JP2009077308A - 位相ロックループ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力クロック信号の定常位相誤差を防止することを課題とする。
【解決手段】リファレンスクロック信号及びフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相差検出器(101)と、前記検出された位相差に応じて、第1のコンデンサを電源電圧又は基準電位に接続する第1のチャージポンプ回路(102)と、前記検出された位相差に応じて、第2のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第2のチャージポンプ回路(122)と、前記第1及び第2のコンデンサの電圧を比較して比較結果信号を出力する比較器(141)と、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第1のスイッチ(142)と、前記第1のコンデンサに接続され、前記第1のコンデンサの電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成する電圧制御発振器(104)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相ロックループ回路に関する。
位相ロックループ(PLL)回路は、クロック周波数の逓倍やLSI(Large-scale Integrated Circuit)内部のクロック信号のスキュー(Skew)調整等を行う機能を有しており、近年のLSIの高速化及び大規模化を実現させる為に必須の回路(マクロ)として提供されている。
そのような市場動向に伴い、PLL回路が半導体チップに搭載されるのが当然となってきた。半導体チップの低電圧化、微細化に伴い、PLL回路を構成するトランジスタも、低電圧化、微細化が進められていることは認知されてきた。しかし、近年、この微細化により、アナログ回路のアナログ的動作として無視できていたトランジスタのリークによる特性劣化量が無視できないほど大きくなり、定常位相誤差を悪化させる大きな要因の1つとなってきた。
図7は、PLL回路の構成例を示す図である。PLL回路は、PLL回路用IC(集積回路)700及び分周器705を有する。IC700は、位相比較回路(PFD)701、チャージポンプ回路(CP)702、ローパスフィルタ(LPF)703及び電圧制御発振器(VCO)704を有する。
図8及び図9は、図7のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。位相比較回路701は、リファレンスクロック信号CKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較し、その位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路702へ出力する。フィードバッククロック信号FBがリファレンスクロック信号CKに対して遅れているときには信号UPB及びDNがローレベルになり、フィードバッククロック信号FBがリファレンスクロック信号CKに対して進んでいるときには信号UPB及びDNがハイレベルになる。チャージポンプ回路702は、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ703内のコンデンサに対して注入又は抜くことで、制御電圧VCNTを制御する。具体的には、信号UPB及びDNがローレベルになるとローパスフィルタ703内のコンデンサは電源電圧に接続され、制御電圧VCNTが上昇する。また、信号UPB及びDNがハイレベルになるとローパスフィルタ703内のコンデンサは基準電位に接続され、制御電圧VCNTが低下する。電圧制御発振器704は、制御電圧VCNTに応じた発振周波数の出力クロック信号Xを出力する。制御電圧VCNTが上昇すると出力クロック信号Xの周波数は高くなり、制御電圧VCNTが低下すると出力クロック信号Xの周波数が低くなる。分周器705は、出力クロック信号XをN分周し、フィードバッククロック信号FBを出力する。出力クロック信号Xは、リファレンスクロック信号CKに対してN倍高い周波数として出力される。
さらに詳しく動作を説明すると、リファレンスクロック信号CKよりフィードバッククロック信号FBの位相が進んでいる場合は、出力クロック信号Xの周波数が高すぎると認識させて、出力クロック信号Xの周波数を下げる動作を行うために、位相比較回路701は制御信号UPB及びDNをハイレベルにし、チャージポンプ回路702はローパスフィルタ703内のコンデンサに溜まっている電荷を抜くことで、制御電圧VCNTを下げる。また、反対に、リファレンスクロック信号CKよりフィードバッククロック信号FBの位相が遅れている場合は、出力クロック信号Xの周波数が低すぎると認識させて、出力クロック信号Xの周波数を上げる動作を行うために、位相比較回路701は制御信号UPB及びDNをローレベルにし、チャージポンプ回路702はローパスフィルタ703内のコンデンサに電荷を注入することで、制御電圧VCNTを上げる。なお、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間は、チャージポンプ回路702からローパスフィルタ703内のコンデンサへの電荷の授受は行われない。
下記の特許文献1には、発振器と、入力される電圧に応じて前記発振器の発信周波数を制御する制御回路と、前記発振器が出力する出力信号と外部からの入力信号との位相差を検出し、該位相差に応じてチャージ信号及びディスチャージ信号のうちいずれか一方を出力する位相比較器と、前記チャージ信号と前記ディスチャージ信号とに応答して出力電流を発生するチャージポンプと、前記出力電流を平滑化して出力電圧を発生し前記制御回路に供給するループフィルタとを有するPLLにおいて、前記出力電圧を所定の参照電圧と比較する電圧比較手段と、該電圧比較手段の比較結果に基づいて、前記チャージ信号及び前記ディスチャージ信号の少なくとも一方を無効にする信号無効手段を設けたことを特徴とするPLLが記載されている。
また、下記の特許文献2には、制御電圧により出力周波数が可変する電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器の出力信号と基準信号の位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の比較結果に応じた信号を出力するチャージポンプ回路と、チャージポンプ回路の出力に基づき前記制御電圧を発生するループフィルタ回路からなるPLL回路において、前記チャージポンプ回路の出力から前記電圧制御発振器の入力までの信号パターン及び前記ループフィルタ回路の部品のすべてあるいはその一部を取り囲み、所定の電位を有するガードパターンを設けることを特徴とするPLL回路が記載されている。
また、下記の特許文献3には、第1のバイアス信号に応じて可変される第1の電流と、第2のバイアス信号に応じて可変される第2の電流とを、入力信号のレベルに応じて切り換えて出力する遅延回路に供給される、上記第1のバイアス信号または上記第2のバイアス信号のうちの何れか一方のバイアス信号を、他方のバイアス信号に基づいて生成するバイアス信号生成回路であって、上記第1のバイアス信号に応じて生成した上記第1の電流と、上記第2のバイアス信号に応じて生成した上記第2の電流との交差出力電圧に応じたしきい値信号を出力する上記遅延回路の擬似回路と、上記しきい値信号と所定の基準信号との差に応じた上記第1のバイアス信号または上記第2のバイアス信号を生成する差動増幅回路とを有するバイアス信号生成回路が記載されている。
特開平10−126259号公報 特開平10−107622号公報 特開2002−76856号公報
図7のPLL回路において、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、チャージポンプ回路702の出力及び電圧制御発振器704の入力は共にハイインピーダンスとなり、ローパスフィルタ703内のコンデンサに蓄えられた電荷は保持されるため、図8のように制御電圧VCNTは一定値を保ち、出力クロック信号Xの周波数も一定値を保つ。
しかし、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振器704の入力部でハイインピーダンスをとならなくなってきた。その結果、図9に示すように、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間に、制御電圧VCNTを一定値に保てなくなり、制御電圧VCNTが低下してしまい、出力クロック信号Xの周波数も低下してしまう。そのため、定常位相誤差φが発生してしまう。
電圧制御発振器704の入力部がハイインピーダンスとならないため、ローパスフィルタ703内のコンデンサに蓄えられた電荷が電圧制御発振器704の入力部から抜けてしまう(又は電圧制御発振器704の入力部から電荷が注入されてしまう)。
上記により、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、制御電圧VCNTが一定値を維持できないため、位相比較回路701が位相比較を行って位相が合うように制御電圧VCNTを調整しても、次に位相比較するときに制御電圧VCNTが調整した値からずれてしまうため、位相差(定常位相誤差)φが発生する。その位相差(定常位相誤差)φをなくすように、位相比較回路701はクロック信号の立ち上がりパルス毎に制御電圧VCNTを制御するため、電圧制御発振器704の出力クロック信号Xには、立ち上がりパルス毎にスプリアス(周波数ずれ)が発生する。
本発明の目的は、出力クロック信号の定常位相誤差を防止することができる位相ロックループ回路を提供することである。
本発明の位相ロックループ回路は、リファレンスクロック信号及びフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相差検出器と、第1の電圧を保持する第1のコンデンサと、前記検出された位相差に応じて、前記第1のコンデンサを電源電圧又は基準電位に接続する第1のチャージポンプ回路と、第2の電圧を保持する第2のコンデンサと、前記検出された位相差に応じて、前記第2のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第2のチャージポンプ回路と、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を比較して比較結果信号を出力する比較器と、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第1のスイッチと、前記第1のコンデンサに接続され、前記第1のコンデンサの前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相差検出器に出力する電圧制御発振器とを有することを特徴とする。
第1のコンデンサに電圧制御発振器が接続されるために、第1のコンデンサに対して電荷が抜ける又は注入される場合であっても、第1のスイッチから電荷の供給又は引き抜きを行うことができるので、第1及び第2のチャージポンプが動作しないときには、第1のコンデンサの第1の電圧を一定に保つことができ、定常位相誤差を防止することができる。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示す回路図であり、図2は図1のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。PLL回路は、PLL回路用IC(集積回路)100及び分周器105を有する。IC100は、位相比較回路(PFD)101、第1のチャージポンプ回路(CP)102、第1のローパスフィルタ(LPF)103及び電圧制御発振器(VCO)104の他、ダミー回路121、比較器141及びpチャネルMOS電界効果トランジスタ142を有する。第1のチャージポンプ回路102は、スイッチ111,114及び定電流源112,113を有する。第1のローパスフィルタ103は、抵抗115及びコンデンサ116,117を有する。ダミー回路121は、第2のチャージポンプ回路122及び第2のローパスフィルタ123を有する。第2のチャージポンプ回路122は、スイッチ131,134及び定電流源132,133を有する。第2のローパスフィルタ123は、抵抗135及びコンデンサ136,137を有する。
スイッチ111及び定電流源112の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT1のノード間に接続される。定電流源113及びスイッチ114の直列接続回路は、制御電圧VCNT1のノード及び基準電位(グランド電位)間に接続される。抵抗115及びコンデンサ116の直列接続回路は、制御電圧VCNT1のノード及び基準電位間に接続される。コンデンサ117は、制御電圧VCNT1のノード及び基準電位間に接続される。
スイッチ131及び定電流源132の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT2のノード間に接続される。定電流源133及びスイッチ134の直列接続回路は、制御電圧VCNT2のノード及び基準電位間に接続される。抵抗135及びコンデンサ136の直列接続回路は、制御電圧VCNT2のノード及び基準電位間に接続される。コンデンサ137は、制御電圧VCNT2のノード及び基準電位間に接続される。
入力端子INPUTには、リファレンスクロック信号CKが入力される。フィードバッククロック信号FBは、分周器105から出力される。位相比較回路101は、リファレンスクロック信号CKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較し、その位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路102及び122へ出力する。フィードバッククロック信号FBがリファレンスクロック信号CKに対して遅れているときには、信号UPB及びDNがローレベルになり、フィードバッククロック信号FBがリファレンスクロック信号CKに対して進んでいるときには信号UPB及びDNがハイレベルになる。信号UPB及びDNのパルス幅は、フィードバッククロック信号FB及びリファレンスクロック信号CKの位相差が大きいほど広くなる。
チャージポンプ回路102は、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117に対して注入又は抜くことで、制御電圧VCNT1を制御する。スイッチ111は、信号UPBがローレベルになるとオンし、信号UPBがハイレベルになるとオフする。スイッチ114は、信号DNがハイレベルになるとオンし、信号DNがローレベルになるとオフする。信号UPB及びDNがローレベルになるとローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117は正の電源電圧に接続され、制御電圧VCNT1が上昇する。また、信号UPB及びDNがハイレベルになるとローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117は基準電位(グランド電位)に接続され、制御電圧VCNT1が低下する。なお、フィードバッククロック信号FB及びリファレンスクロック信号CKの立ち上がり位相が同じときには、狭パルス幅で信号UPBがローレベル、信号DNがハイレベルになり、制御電圧VCNT1は変化しない。
同様に、チャージポンプ回路122は、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ123内のコンデンサ136及び137に対して注入又は抜くことで、制御電圧VCNT2を制御する。スイッチ131は、信号UPBがローレベルになるとオンし、信号UPBがハイレベルになるとオフする。スイッチ134は、信号DNがハイレベルになるとオンし、信号DNがローレベルになるとオフする。信号UPB及びDNがローレベルになるとローパスフィルタ123内のコンデンサ136及び137は正の電源電圧に接続され、制御電圧VCNT2が上昇する。また、信号UPB及びDNがハイレベルになるとローパスフィルタ123内のコンデンサ136及び137は基準電位(グランド電位)に接続され、制御電圧VCNT2が低下する。なお、フィードバッククロック信号FB及びリファレンスクロック信号CKの立ち上がり位相が同じときには、狭パルス幅で信号UPBがローレベル、信号DNがハイレベルになり、制御電圧VCNT2は変化しない。
ここで、制御電圧VCNT1のノードは、電圧制御発振器104の入力端子に接続されている。上記で図9を参照しながら説明したように、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振器104の入力部は完全なハイインピーダンスではない。その結果、ダミー回路121、比較器141及びトランジスタ142がない場合には、スイッチ111及び114が共にオフであっても、ローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117に蓄えられた電荷が電圧制御発振器104の入力部から抜けてしまい、図2の点線で示すように、制御電圧VCNT1は一定値にならず、低下してしまう。
これに対し、制御電圧VCNT2のノードは、電圧制御発振器104に接続されていないため、スイッチ131及び134が共にオフの場合に、電荷が抜けることがなく、制御電圧VCNT2は一定値を保つことができる。
比較器141は、制御電圧VCNT2を基準として制御電圧VCNT1を比較し、その比較結果を信号VCNTFBとして出力する。その結果、図2において、信号VCNTFBは、制御信号VCNT1の点線と同じ波形となる。pチャネルトランジスタ142は、ゲートが信号VCNTFBのノードに接続され、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインが制御電圧VCNT1のノードに接続され、信号VCNTFBが小さいほど多くの電荷を制御電圧VCNT1のノードに供給する。制御電圧VCNT1のノードは、信号VCNTFBが小さいときには多くの電荷の供給を受け、信号VCNTFBが大きいときには少ない電荷の供給を受ける。トランジスタ142は、制御電圧VCNT1の電荷が電圧制御発振器104の入力部から抜けた量だけ、制御電圧VCNT1のノードに電荷を供給する。その結果、制御電圧VCNT1のノードは、図2の実線で示すように、スイッチ111,114,131,134がオフのときには、一定電圧を保つことができる。
電圧制御発振器104は、制御電圧VCNT1に応じた発振周波数の出力クロック信号Xを出力する。制御電圧VCNT1が上昇すると出力クロック信号Xの周波数は高くなり、制御電圧VCNT1が低下すると出力クロック信号Xの周波数が低くなる。分周器105は、出力クロック信号XをN分周し、フィードバッククロック信号FBを出力する。出力クロック信号Xは、リファレンスクロック信号CKに対してN倍高い周波数として出力される。
より具体的に動作を説明すると、リファレンスクロック信号CKよりフィードバッククロック信号FBの位相が進んでいる場合は、信号UPB及びDNがハイレベルになり、スイッチ111及び131がオフし、スイッチ114及び134がオンする。ローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117並びにローパスフィルタ123内のコンデンサ136及び137は基準電位に接続され、制御電圧VCNT1及びVCNT2は低下する。電圧制御発振器104は、制御電圧VCNT1が低下すると出力クロック信号Xの発振周波数を下げる。その結果、リファレンスクロック信号CKに対してフィードバッククロック信号FBは位相の進み量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
逆に、リファレンスクロック信号CKよりフィードバッククロック信号FBの位相が遅れている場合は、信号UPB及びDNがローレベルになり、スイッチ111及び131がオンし、スイッチ114及び134がオフする。ローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117並びにローパスフィルタ123内のコンデンサ136及び137は電源電圧に接続され、制御電圧VCNT1及びVCNT2は上昇する。電圧制御発振器104は、制御電圧VCNT1が上昇すると出力クロック信号Xの発振周波数を上げる。その結果、リファレンスクロック信号CKに対してフィードバッククロック信号FBは位相の遅れ量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
以上のように、本実施形態によれば、制御電圧VCNT1のノードの電荷が電圧制御発振器104の入力部から抜ける課題を解決することができる。本実施形態は、電圧制御発振器104が接続されていない第2のチャージポンプ回路122及び第2のローパスフィルタ123を設ける。ダミー回路121の制御電圧VCNT2のノードは、電圧制御発振器104に接続されていないため、電圧制御発振器104による電圧低下が起きない理想電圧となる。比較器141は、制御電圧VCNT2を基準として、電圧制御発振器104が接続されているノードの制御電圧VCNT1を比較する。pチャネルトランジスタ142は、比較器141の出力信号VCNTFBをゲートに入力する。pチャネルトランジスタ142がオンすることにより、第1のローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117に電荷が注入される。図2のタイミングチャートのように、制御電圧VCNT1のノードにおいて電圧制御発振器104の入力部で抜けた電荷を補うように、信号VCNTFBによりpチャネルトランジスタ142から制御電圧VCNT1のノードに電荷が注入されるため、制御電圧VCNT1は制御電圧VCNT2と同電位となる。すなわち、電圧制御発振器104の入力部における電荷漏れによる制御電圧VCNT1の低下を防止することができる。
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図であり、図4は図3のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。本実施形態(図3)は、第1の実施形態(図1)に対して、pチャネルMOS電界効果トランジスタ142の代わりにnチャネルMOS電界効果トランジスタ242を設けている。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。抵抗115及びコンデンサ116の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT1のノード間に接続される。コンデンサ117は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT1のノード間に接続される。抵抗135及びコンデンサ136の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT2のノード間に接続される。コンデンサ137は、正の電源電圧及び制御電圧VCNT2のノード間に接続される。nチャネルトランジスタ242は、ゲートが信号VCNTFBのノードに接続され、ソースが基準電位に接続され、ドレインが制御電圧VCNT1のノードに接続される。
ここで、制御電圧VCNT1のノードは、電圧制御発振器104の入力端子に接続されている。上記で図9を参照しながら説明したように、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振器104の入力部は完全なハイインピーダンスではない。その結果、ダミー回路121、比較器141及びトランジスタ242がない場合には、スイッチ111及び114が共にオフであっても、電圧制御発振器104の入力部からローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117に電荷が注入されてしまい、図4の点線で示すように、制御電圧VCNT1は一定値にならず、上昇してしまう。
これに対し、制御電圧VCNT2のノードは、電圧制御発振器104に接続されていないため、スイッチ131及び134が共にオフの場合に、電荷が注入されることがなく、制御電圧VCNT2は一定値を保つことができる。
比較器141は、制御電圧VCNT2を基準として制御電圧VCNT1を比較し、その比較結果を信号VCNTFBとして出力する。その結果、図4において、信号VCNTFBは、制御信号VCNT1の点線と同じ波形となる。nチャネルトランジスタ242は、ゲートが信号VCNTFBのノードに接続され、ソースが基準電位に接続され、ドレインが制御電圧VCNT1のノードに接続され、信号VCNTFBが大きいほど多くの電荷を制御電圧VCNT1のノードから引き抜く。制御電圧VCNT1のノードは、信号VCNTFBが大きいときには多くの電荷が引き抜かれ、信号VCNTFBが小さいときには少ない電荷が引き抜かれる。トランジスタ242は、電圧制御発振器104の入力部から制御電圧VCNT1のノードに注入された電荷量だけ、制御電圧VCNT1のノードから電荷を引き抜く。その結果、制御電圧VCNT1のノードは、図4の実線で示すように、スイッチ111,114,131,134がオフのときには、一定電圧を保つことができる。
以上のように、本実施形態によれば、電圧制御発振器104の入力部から制御電圧VCNT1のノードに電荷が注入される課題を解決することができる。本実施形態は、電圧制御発振器104が接続されていない第2のチャージポンプ回路122及び第2のローパスフィルタ回路123を設ける。ダミー回路121の制御電圧VCNT2のノードは、電圧制御発振器104に接続されていないため、電圧制御発振器104による電圧上昇が起きない理想電圧となる。比較器141は、制御電圧VCNT2を基準として、電圧制御発振器104が接続されているノードの制御電圧VCNT1を比較する。nチャネルトランジスタ242は、比較器141の出力信号VCNTFBをゲートに入力する。nチャネルトランジスタ242がオンすることにより、第1のローパスフィルタ103内のコンデンサ116及び117に余計に溜まっている電荷が抜ける。図4のタイミングチャートのように、電圧制御発振器104の入力部から余計に注入される電荷を補うように、信号VCNTFBによりnチャネルトランジスタ242から電荷が抜けるため、制御電圧VCNT1は制御電圧VCNT2と同電位となる。すなわち、電圧制御発振器104の入力部からの電荷注入による制御電圧VCNT1の上昇を防止することができる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図である。本実施形態(図5)は、第1の実施形態(図1)に対して、定電流源112,113,132及び133を削除し、抵抗501及び502を追加したものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。抵抗501は、スイッチ111及び114の相互接続点と制御電圧VCNT1のノードとの間に接続される。スイッチ111は、正の電源電圧及び抵抗501間に接続される。スイッチ114は、抵抗501及び基準電位間に接続される。抵抗502は、スイッチ131及び134の相互接続点と制御電圧VCNT2のノードとの間に接続される。スイッチ131は、正の電源電圧及び抵抗502間に接続される。スイッチ134は、抵抗502及び基準電位間に接続される。
以上のように、本実施形態は、図1のチャージポンプ回路102及び122内の定電流源112,113,132及び133を削除し、チャージポンプ回路102及び122の出力に抵抗501及び502を直列に接続した回路構成でも、図1と同じ効果を実現できる。
また、同様に、図3のチャージポンプ回路102及び122内の定電流源112,113,132及び133を削除し、チャージポンプ回路102及び122の出力に抵抗501及び502を直列に接続した回路構成でも、図3と同じ効果を実現できる。
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図である。本実施形態(図6)は、第1の実施形態(図1)に対して、ローパスフィルタ103及び123をIC100の外部に設けた点が異なる。その他の点については、本実施形態は第1の実施形態と同じである。ローパスフィルタ103及び123をIC100の外部に設けて、ローパスフィルタ103及び123をIC100内の制御電圧VCNT1及びVCNT2のノードに接続した場合でも、図1と同じ効果を実現できる。
また、同様に、図3のローパスフィルタ103及び123をIC100の外部に設けて、ローパスフィルタ103及び123をIC100内の制御電圧VCNT1及びVCNT2のノードに接続した場合でも、図3と同じ効果を実現できる。
第1〜第4の実施形態のPLL回路によれば、電圧制御発振器104の入力部において電荷が抜ける又は電荷が注入されることにより制御電圧VCNT1が変化し、定常位相誤差φが生じる課題を解消することができる。また、定常位相誤差φを防止することにより、電圧制御発振器104の出力クロック信号Xに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
なお、第1〜第4の実施形態において、ローパスフィルタ103及び123内の抵抗115,135及びコンデンサ116,136は削除してもよい。また、分周器105を削除し、電圧制御発振器104の出力クロック信号Xをフィードバッククロック信号FBとして直接位相比較回路101に入力してもよい。その場合、出力クロック信号Xは、リファレンスクロック信号CKと同じ周波数として出力される。
第1〜第4の実施形態のPLL回路は、リファレンスクロック信号CK及びフィードバッククロック信号FBの位相差を検出する位相差検出器(位相比較回路)101と、第1の電圧VCNT1を保持する第1のコンデンサ117(及び116)と、前記検出された位相差に応じて、前記第1のコンデンサ117を電源電圧又は基準電位に接続する第1のチャージポンプ回路102と、第2の電圧VCNT2を保持する第2のコンデンサ137(及び136)と、前記検出された位相差に応じて、前記第2のコンデンサ137を前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第2のチャージポンプ回路122と、前記第1の電圧VCNT1及び前記第2の電圧VCNT2を比較して比較結果信号VCNTFBを出力する比較器141と、前記比較結果信号VCNTFBに応じて、前記第1のコンデンサ117を前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第1のスイッチ(トランジスタ)142又は242と、前記第1のコンデンサ117に接続され、前記第1のコンデンサ117の前記第1の電圧VCNT1に応じた発振周波数の出力クロック信号Xを生成し、前記出力クロック信号X又は前記出力クロック信号Xに応じた信号(分周された信号)を前記フィードバッククロック信号FBとして前記位相差検出器101に出力する電圧制御発振器104とを有する。
第1の実施形態(図1)では、前記第1のスイッチは、前記比較結果信号VCNTFBに応じて、前記第1のコンデンサ117を前記電源電圧に接続するトランジスタ142である。
第2の実施形態(図3)では、前記第1のスイッチは、前記比較結果信号VCNTFBに応じて、前記第1のコンデンサ117を前記基準電位に接続するトランジスタ242である。
第1及び第2の実施形態(図1及び図3)では、前記第1のチャージポンプ回路102は、前記電源電圧及び前記第1のコンデンサ117間に接続される第2のスイッチ111及び第1の電流源112と、前記第1のコンデンサ117及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチ114及び第2の電流源113とを有する。前記第2のチャージポンプ回路122は、前記電源電圧及び前記第2のコンデンサ137間に接続される第4のスイッチ131及び第3の電流源132と、前記第2のコンデンサ137及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチ134及び第4の電流源133とを有する。
第3の実施形態(図5)では、さらに、前記第1のチャージポンプ回路102及び前記第1のコンデンサ117間に接続される第1の抵抗501と、前記第2のチャージポンプ回路122及び前記第2のコンデンサ137間に接続される第2の抵抗502とを有する。前記第1のチャージポンプ回路102は、前記電源電圧及び前記第1の抵抗501間に接続される第2のスイッチ111と、前記第1の抵抗501及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチ114とを有する。前記第2のチャージポンプ回路122は、前記電源電圧及び前記第2の抵抗502間に接続される第4のスイッチ131と、前記第2の抵抗502及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチ134とを有する。
第4の実施形態(図6)では、前記位相差検出器101、前記第1のチャージポンプ回路102、前記第2のチャージポンプ回路122、前記比較器141、前記第1のスイッチ142又は242及び前記電圧制御発振器104は、同一半導体チップ(IC)100内に設けられる。前記第1のコンデンサ117及び前記第2のコンデンサ137は、前記半導体チップ100の外部に設けられる。
第1のコンデンサに電圧制御発振器が接続されるために、第1のコンデンサに対して電荷が抜ける又は注入される場合であっても、第1のスイッチから電荷の供給又は引き抜きを行うことができるので、第1及び第2のチャージポンプが動作しないときには、第1のコンデンサの第1の電圧を一定に保つことができ、定常位相誤差を防止することができる。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
(付記1)
リファレンスクロック信号及びフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相差検出器と、
第1の電圧を保持する第1のコンデンサと、
前記検出された位相差に応じて、前記第1のコンデンサを電源電圧又は基準電位に接続する第1のチャージポンプ回路と、
第2の電圧を保持する第2のコンデンサと、
前記検出された位相差に応じて、前記第2のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第2のチャージポンプ回路と、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧を比較して比較結果信号を出力する比較器と、
前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第1のスイッチと、
前記第1のコンデンサに接続され、前記第1のコンデンサの前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相差検出器に出力する電圧制御発振器と
を有することを特徴とする位相ロックループ回路。
(付記2)
前記第1のスイッチは、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧に接続するトランジスタであることを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記3)
前記第1のスイッチは、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記基準電位に接続するトランジスタであることを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記4)
前記第1のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第1のコンデンサ間に接続される第2のスイッチ及び第1の電流源と、前記第1のコンデンサ及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチ及び第2の電流源とを有し、
前記第2のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第2のコンデンサ間に接続される第4のスイッチ及び第3の電流源と、前記第2のコンデンサ及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチ及び第4の電流源とを有することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記5)
さらに、前記第1のチャージポンプ回路及び前記第1のコンデンサ間に接続される第1の抵抗と、
前記第2のチャージポンプ回路及び前記第2のコンデンサ間に接続される第2の抵抗とを有し、
前記第1のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第1の抵抗間に接続される第2のスイッチと、前記第1の抵抗及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチとを有し、
前記第2のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第2の抵抗間に接続される第4のスイッチと、前記第2の抵抗及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチとを有することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記6)
前記位相差検出器、前記第1のチャージポンプ回路、前記第2のチャージポンプ回路、前記比較器、前記第1のスイッチ及び前記電圧制御発振器は、同一半導体チップ内に設けられ、
前記第1及び第2のコンデンサは、前記半導体チップの外部に設けられることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。
本発明の第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示す回路図である。 図1のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。 本発明の第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図である。 図3のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。 本発明の第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図である。 本発明の第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す回路図である。 PLL回路の構成例を示す図である。 図7のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。 図7のPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
符号の説明
100 IC
101 位相比較回路
102,122 チャージポンプ回路
103,123 ローパスフィルタ
104 電圧制御発振器
105 分周器
121 ダミー回路
141 比較器
142 pチャネルMOS電界効果トランジスタ

Claims (5)

  1. リファレンスクロック信号及びフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相差検出器と、
    第1の電圧を保持する第1のコンデンサと、
    前記検出された位相差に応じて、前記第1のコンデンサを電源電圧又は基準電位に接続する第1のチャージポンプ回路と、
    第2の電圧を保持する第2のコンデンサと、
    前記検出された位相差に応じて、前記第2のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第2のチャージポンプ回路と、
    前記第1の電圧及び前記第2の電圧を比較して比較結果信号を出力する比較器と、
    前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧又は前記基準電位に接続する第1のスイッチと、
    前記第1のコンデンサに接続され、前記第1のコンデンサの前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相差検出器に出力する電圧制御発振器と
    を有することを特徴とする位相ロックループ回路。
  2. 前記第1のスイッチは、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記電源電圧に接続するトランジスタであることを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
  3. 前記第1のスイッチは、前記比較結果信号に応じて、前記第1のコンデンサを前記基準電位に接続するトランジスタであることを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
  4. 前記第1のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第1のコンデンサ間に接続される第2のスイッチ及び第1の電流源と、前記第1のコンデンサ及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチ及び第2の電流源とを有し、
    前記第2のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第2のコンデンサ間に接続される第4のスイッチ及び第3の電流源と、前記第2のコンデンサ及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチ及び第4の電流源とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。
  5. さらに、前記第1のチャージポンプ回路及び前記第1のコンデンサ間に接続される第1の抵抗と、
    前記第2のチャージポンプ回路及び前記第2のコンデンサ間に接続される第2の抵抗とを有し、
    前記第1のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第1の抵抗間に接続される第2のスイッチと、前記第1の抵抗及び前記基準電位間に接続される第3のスイッチとを有し、
    前記第2のチャージポンプ回路は、前記電源電圧及び前記第2の抵抗間に接続される第4のスイッチと、前記第2の抵抗及び前記基準電位間に接続される第5のスイッチとを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相ロックループ回路。
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