JP2010077436A - 機密保護書類を印刷するための滲出性インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶媒及び薬品に接触した際に滲出する、機密保護書類上に印刷されたインク層であって、該インク層は、固体結合剤マトリックス中の染料の分散物を含み、該染料は、有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有する(すなわち、溶解性を有する)ものであり、ここで、該固体結合剤マトリックスは、液体インクから形成され、該液体インクは、基材の上で固体フィルムに転換されるものであり、そして、該固体フィルム自体が、該溶媒及び薬品に対する耐久性を有していることを特徴とする、上記印刷されたインク層。
【選択図】なし
Description
書類全体を複製する全偽造、あるいは、
例えば、小切手の金額、運転免許証の署名、又は、パスポートの情報の如き情報を削除及び/又は書き換えることによって、書類を変更する贋造である。
溶媒滲出性の印刷インクは、既に知られていて、機密保護インクの分野でかなり長い時間にわたって使用されてきた。機密保護書類の保護は、そのような書類が偽造試薬として使用される有機溶媒又は他の化学物質に接触した時の色の変化又は滲出による退色又は場合によっては色の消失によって、確立される。
そのようなインクは、乾式又は湿式のオフセット印刷によって、スクリーン印刷、フレキソ印刷及びグラビア印刷によって、あるいは、凸版印刷によって、特に印刷することができる。上記インクは、鉱物油及びアルキド樹脂をその成分とするビヒクル又は結合剤と、有機溶媒中で可溶性であると共に上記薬品に対して感受性を有する物質である1又はそれ以上の染料と、種々の添加剤とから構成されている。上記染料は、主として、クロム錯体、コバルト錯体、又は、(銅)フタロシアニンブルーである。乾燥メカニズムは、純粋に物理的なメカニズムであって、主として、吸収性を有する繊維質の固体基材の中に浸透することによって進行する。実際に、乾燥が、液体の印刷インクが基材上で固体の固定膜に転換するものと定義された場合には、そのようなインクは、乾燥するのではなく、「液体」の状態を維持する。しかしながら、インクは、その移動性が大幅に低下するので、基材の繊維の隙間の中に十分に且つ永続的に捕捉される。そのような印刷インクの吸収は、部分的且つ漸進的なものであり、印刷された書類が明らかな乾燥状態を示すためには、印刷後に数日間(一般的には、5乃至7日間)を必要とする。その時点以降にだけ、印刷された基材を更に処理することができる。例えば、レーザプリンタ又はイオン蒸着プリンタによって、個人情報を付加することができる。また、基材の吸収能力は、品質及び乾燥時間を決定する。
また、基材の粗度は、インク膜の構造を乱すことによって、滲出効果に間接的に強い影響を与え、インク膜が非常に薄い状況においては、そのようなインク膜は、大きな固体インクのスポット(点)よりも上記溶媒及び薬品により容易に接近可能な不連続で接続されていない領域から実際に構成されることになる。これは、疑いなく、標準的な小切手又は証券用紙(これら小切手及び証券用紙においては、1乃至4μmの厚さのオフセットインクが、基材の少なくとも10μmの粗度を補償することができない)に対するオフセット印刷に応用される。
染料の間のあらゆる組み合わせが、種々の溶媒又は薬品に対する感受性を示すことも関心のある事項である。これは、種々の化学薬品を用いて行われる試みに対するいたずらを立証し、従って、書類の偽造に対する保護を強化する。
そのような染料及び通常の顔料の組み合わせは、興味のある可能性も提供する。青の変色性染料と赤の耐変色性の染料との組み合わせは、溶解して青の染料を抽出することのできる溶媒又は薬品に接触すると、赤に変化し、これにより、詐欺行為を明らかにする。
また、上に既に述べた最も効果的な性質は、印刷作業の時点から乾燥作業及び印刷された基材が一般的に受けるあらゆる後処理作業までに必要とされる時間を大幅に減少させることである。既存の滲出性インクは、乾燥作業に数日(平均的には、5乃至7日)を必要とするが、本発明の印刷インクは、UV光線(紫外線)又は電子ビームの如き放射線エネルギによって乾燥するような成分から構成された場合には、印刷作業の直後に、あるいは、酸素重合(oxypolymerization)によって乾燥される場合には、約24時間後に、処理することができる。
滲出性印刷インクを紫外線で乾燥させる場合には、そのような印刷インクは、重合反応を開始させるために、フォトイニシエーション(photoinitiation)組織を含む必要がある。そのような組織は、インク製造の専門家には広く知られている。
滲出性インクを電子ビーム放射線によって乾燥させる場合には、フォトイニシエーション組織を添加することは、一般的に必要がない。
例 1:
紫外線(UV光線)により乾燥する滲出性インクを、湿式オフセット印刷のために準備し、以下の成分を三段式のローラミルで混合した。
成 分 量(重量部)
脂肪族ウレタン・トリアクリレート 43.0
アクリル酸ポリエステル(改質脂肪酸) 10.0
グリセリン・プロポキシトリアクリレート(モノマー) 12.5
ヒドロキノン(安定剤) 0.5
TiO2(顔料) 1.0
CaCO3(顔料) 8.0
染料:C.I.Solvent Blue 67(Ciba-Geigy) 15.0
ベンゾフェノン 7.0
イソプロピル・チオキサントン 3.0
この印刷インクを用いて、150m/分の速度で紙を連続的に印刷し、240W/cm(線方向)の全出力を有する3つの紫外線ランプ(UVランプ)の下で乾燥させた。
印刷された紙を、有機溶媒及び他の化学物質(例えば、アセトン及び/又はエタノール)を用い、印刷の直後に、また、その4週間後に検査した。印刷されたインクの乾燥後の滲出及び変色に対する感受性は、完全であった。これらの検査は、以下のようにして行った。
例 2:
酸素重合によって乾燥する滲出性インクを乾式及び湿式のオフセット印刷のために準備し、下記の成分を三段式のローラミルで混合した。
成 分 量(重量部)
ワニス 40−60アルキド樹脂(DMSのAlsynol PN 66) 15−25
染料(BASFのNeopen Yellow) 15−20
ワックス(LawterのPolytron 90) 4−5
乾燥剤(ナフテン酸コバルト) 1−2
抗酸化剤(ヒドロキノン) 0.3−0.5
シリカ(DegussaのAerosil 200) 1−3
上記ワニスは、フェノール樹脂(HoechstのAlbertol KP 648)と、脱色あまに油と、鉱物油(HaltermannのPKWF 28/31)とから構成されている。
例 3:
以下の組成に従って、紫外線乾燥されるスクリーン印刷用の滲出性インクを準備した。
成 分 量(重量部)
アクリル酸エポキシ 15.0
オリゴアミン 25.0
グリセリン・プロポキシトリアクリレート(モノマー) 30.0
ジアノール−ジアクリレート(モノマー) 15.0
ヒドロキノン(安定剤) 0.5
染料:C.I.solvent blue 67 10.0
イソプロピル・チオキサントン 1.0
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル] 3.5
−2−モルフォリノ−プロパノン−1
消泡剤 3.0
上記インクをフラットベット型のスクリーン印刷機を用いて印刷した。アセトン及びエタノールを用いる滴下試験は、明らかに目視可能な滲出作用及び色付きを示した。
1. 機密保護書類を印刷するための滲出性インクであって、結合剤マトリックスを形成することのできる少なくとも1つの化合物と、有機溶媒及び/又は他の化学物質に対して感受性を有する少なくとも1つの染料とを含み、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、重合作用及び/又は架橋作用によって固体の結合剤マトリックスを形成することのできる化合物から選択されることを特徴とする滲出性インク。
2. 上記1の滲出性インクにおいて、前記染料は、前記結合剤マトリックスの中に実質的に均一に分布された染料及び/又は顔料の粒子を含み、前記化合物は、前記粒子を包囲する溶媒透過性及び/又は薬品透過性の結合剤マトリックスを形成することができることを特徴とする滲出性インク。
3. 上記2の滲出性インクにおいて、前記化合物は、結合剤マトリックスの多孔質層を形成することのできる群から選択されることを特徴とする滲出性インク。
4. 上記1乃至3のいずれかの滲出性インクにおいて、前記染料は、当該インクの約5重量%乃至20重量%を占めることを特徴とする滲出性インク。
5. 上記1乃至4のいずれかの滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する化合物は、エネルギ放射の影響下で硬化又は架橋することができ、前記放射によって誘導される重合反応は、フリー・ラジカルメカニズム、陽イオンメカニズム、又は、これらが複合されたハイブリッドメカニズムに基づくことを特徴とする滲出性インク。
6. 上記1乃至4のいずれかの滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、酸素重合反応によって硬化することのできる群から選択されることを特徴とする滲出性インク。
7. 上記5の滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物として、アクリル酸エポキシ、アクリル酸ポリエステル、及び、アクリル酸ポリウレタンから選択される少なくとも1つの物質を含み、前記アクリル酸化合物は、選択に応じて改質される、エポキシ樹脂、ビニルエステル、及び、これらの混合物であることを特徴とする滲出性インク。
8. 上記5又は7の滲出性インクにおいて、更に、放射線エネルギによって重合及び/又は架橋することのできる少なくとも1つの液体モノマー化合物を含むことを特徴とする滲出性インク。
9. 上記5の滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、照射される紫外線の影響下で硬化又は架橋することができることを特徴とする滲出性インク。
10. 上記5の滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、照射される電子ビームの影響下で硬化又は架橋することができることを特徴とする滲出性インク。
11. 上記6の滲出性インクにおいて、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、フェノール樹脂及び乾性油を含み、当該インクは、更に、少なくとも1つの乾燥剤を含むことを特徴とする滲出性インク。
12. 上記11の滲出性インクにおいて、更に、酸素によって重合可能なアルキド樹脂を含むことを特徴とする滲出性インク。
13. 上記1乃至12のいずれかのインクで少なくとも部分的に印刷された基材であって、前記化合物は、重合された及び/又は架橋された固体の結合剤マトリックスを含むことを特徴とする基材。
14. 上記13の基材において、エネルギ照射によって乾燥して硬化する上記9又は10の滲出性印刷インクで少なくとも部分的に印刷されていることを特徴とする基材。
15. 上記13の基材において、酸素重合反応によって乾燥して硬化する上記6の滲出性印刷インクで少なくとも部分的に印刷されていることを特徴とする基材。
16. 滲出性インク組成物ら成る印刷されたインク層であって、重合された及び/又は架橋された結合剤マトリックスと、有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有する少なくとも1つの染料とを含んでおり、該染料は、前記結合剤マトリックスの中で実質的に均一に分布しており、前記結合剤マトリックスは、前記溶媒及び/又は薬品を透過させることができることを特徴とするインク層。
17. 結合剤マトリックスを形成することのできる少なくとも1つの化合物と、実質的に均一に分布していると共に有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有する少なくとも1つの染料とを含む組成物の使用方法であって、前記結合剤マトリックスを形成する単数又は複数の化合物は、重合作用及び/又は架橋作用によって固体の結合剤マトリックスを形成することのできる化合物から選択されていて、機密保護書類を印刷するための組成物の使用方法。
18. 上記17の組成物の使用方法において、前記染料は、染料の集合体及び/又は染料の粒子を含んでおり、前記化合物は、前記集合体又は粒子を包囲する溶媒透過性及び/又は薬品透過性の結合剤マトリックスを形成することができることを特徴とする組成物の使用方法。
19. 上記1乃至18のいずれかに記載の滲出性インク組成物の製造方法であって、重合作用及び/又は架橋作用によって結合剤マトリックスを形成することのできる少なくとも1つの化合物を準備する工程と、該化合物を染料と実質的に均一に混合する工程とを備え、前記染料は、前記化合物に対して実質的に不活性であると共に、有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有することを特徴とする滲出性インク組成物の製造方法。
20. 上記19の製造方法において、前記化合物は、溶媒透過性及び/又は薬品透過性のマトリックスを形成することのできる群から選択されることを特徴とする製造方法。
Claims (10)
- 溶媒及び薬品に接触した際に滲出する、機密保護書類上に印刷されたインク層であって、該インク層は、固体結合剤マトリックス中の染料の分散物を含み、該染料は、有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有する(すなわち、溶解性を有する)ものであり、ここで、該固体結合剤マトリックスは、液体インクから形成され、該液体インクは、基材の上で固体フィルムに転換されるものであり、そして、該固体フィルム自体が、該溶媒及び薬品に対する耐久性を有していることを特徴とする、上記印刷されたインク層。
- 前記染料が、前記結合剤マトリックスの中で実質的に均一に分布している染料粒子を含む、請求項1記載の印刷されたインク層。
- 前記染料が、前記インク層の総重量の5%〜20%で存在する、請求項1又は請求項2に記載の印刷されたインク層。
- 複数の異なる溶媒又は薬品に対して感受性を有する、複数の染料の組み合わせが存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 染料と通常の顔料との組み合わせが存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 前記結合剤マトリックスが、フリー・ラジカルメカニズム、陽イオンメカニズム、又は、フリー・ラジカルメカニズム及び陽イオンメカニズムが複合されたハイブリッドメカニズムを通じて、紫外線又は電子ビーム照射の如きエネルギ放射の影響下で硬化又は架橋する化合物から形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 前記結合剤マトリックスが、乾燥剤の影響下で酸素重合によって、特に、大気中の酸素により不飽和脂肪酸の鎖がラジカル誘導される重合反応によって、硬化される、化合物から形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 前記結合剤マトリックスが、アクリル酸エポキシ、アクリル酸ポリエステル、及び、アクリル酸ポリウレタン、エポキシド、ビニルエーテル、及び、これらの混合物よりなる群から形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 前記結合剤マトリックスが、フェノール樹脂、乾性油及び乾燥剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷されたインク層。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷されたインク層を製造するためのインク組成物であって、該インク組成物は、液体インクマトリックス中の染料の分散物を含み、該染料は、有機溶媒及び/又は他の薬品に対して感受性を有する(すなわち、溶解性を有する)ものであり、ここで、該液体インクマトリックスは、固体フィルムへと架橋可能であり、そして、該固体フィルム自体が、該溶媒及び薬品に対する耐久性を有していることを特徴とする、上記インク組成物。
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