JP2010077122A - 水性ネイルエナメル用分散体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、有機溶剤系美爪料に比べ、爪に対する身体的影響が少なく、爪に優しい水系美爪料において、光沢や発色と耐水性を両立させた水系美爪料を提供することである。
【解決手段】顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを2本ロールにより混練し、固形チップとする工程(1)、及び該固形チップを水性媒体に分散する工程(2)を含み、工程(1)において顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)は60/40以上であることを特徴とする水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを2本ロールにより混練し、固形チップとする工程(1)、及び該固形チップを水性媒体に分散する工程(2)を含み、工程(1)において顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)は60/40以上であることを特徴とする水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、顔料分散安定性や光沢、発色に優れ、しかも耐水性などの塗膜物性を低下させない水系美爪料に関するものである。
一般的な美爪料は、その目的や特徴から有機溶剤系と水系に大別される。有機溶剤系の美爪料はニトロセルロース等の皮膜形成剤とアルキッド樹脂、スルホンアミド樹脂、シュークロース系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂類に可塑剤や色材等の添加成分を加えたものをトルエン、酢酸エチルや酢酸ブチル系等の有機溶剤に溶解したものある。このような美爪料は、塗膜としての諸物性は優れていて、配合の手軽さや使用性・即乾性において有用である。その反面、有機溶剤を用いるため人体への悪影響の問題がある。例えば、爪や皮膚が荒れ、その結果、爪の光沢の消失、黄変、二枚爪等の障害を生じる恐れがある。また、有機溶剤を吸入する等の問題もある。さらに有機溶剤を使用しているために引火性の問題があり、改善すべき課題を数多く有している。
これに対して水系の美爪料は、有機溶剤系美爪料に比べ、爪に対する身体的影響が少なく、爪に優しい特性を持っている。
溶剤系の美爪料に代わるものとして、水性ポリマーエマルジョンを使用する水系美爪料が提案されている。しかしながら、水系美爪料に用いる樹脂は高い酸価を有する水溶性の樹脂を用いる。そのため、一般に、光沢、硬度などの機械的物性が劣る。また、樹脂を顔料に比べて多く使用すると耐温水性が低下する。すなわち、有機溶剤美爪料に比べ不十分な品位であった。
例えば特公昭55−43445号公報、特公昭61−1043号公報には、顔料を界面活性剤と共に水性ポリマーエマルジョンに添加してディスパーで分散させることが開示されている。しかしながら、顔料の分散が不十分で良好な発色や光沢が得られず、美爪料としての要求を必ずしも満たしているとは言い難かった。一方、発色、光沢に優れ、良好な顔料の分散安定性を備えた水系美爪料として、特開平4−103516号公報には水性ポリマーエマルジョンとともに顔料を湿式粉砕して得られた平均粒径0.5μm以下の顔料を含有することが開示されている。また特開2002−114641には、水性ポリマーエマルジョンに代えて、特定化学構造の水溶性高分子分散剤を用いて湿式粉砕して顔料分散安定性、光沢や発色に優れた水系美爪料が開示されている。また、WO2005/032500には、機械物性(光沢、硬度)と除光性を損なわない樹脂型分散剤の使用例が開示されている。
しかしながら、樹脂型分散剤は水溶性樹脂に比べかなり高価であり、さらに、溶剤系と比較しては不充分な品位であった。
本発明の課題は、光沢や発色と耐水性を両立させた水系美爪料の提供である。
すなわち本発明は、顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを2本ロールにより混練し、固形チップとする工程(1)、及び該固形チップを水性媒体に分散する工程(2)を含み、前記工程(1)において、顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)が60/40以上であることを特徴とする水性ネイルエナメル用分散体の製造方法に関する。
また、本発明は、工程(2)でアルカリ化合物を用いて水性媒体に分散することを含む上記水性ネイルエナメル用分散体の製造方法に関する。
また、本発明は、工程(2)で得られた分散体をメディア型分散機により更に分散する工程(3)を含む上記水性ネイルエナメル用分散体の製造方法に関する。
また、本発明は、工程(3)を含む水性ネイルエナメル用分散体の顔料の平均粒子径が500nm以下である上記水性ネイルエナメル用分散体の製造方法に関する。
また、本発明は、顔料と水溶性樹脂の配合比(重量比)が80/20以下である上記水性ネイルエナメル用分散体の製造方法に関する。
上述したところからわかるように本発明によれば、顔料分散安定性や光沢、発色に優れ、しかも耐水性などの塗膜物性を低下させない水系美爪料を得ることができる。
本発明の水性ネイルエナメル用分散体の製造方法は、顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを2本ロールにより混練し、固形チップとする工程(1)、及び該固形チップを水性媒体に分散する工程(2)を含み、工程(1)において、顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)は60/40以上である。
本発明で使用される水溶性樹脂の例は大別して天然高分子樹脂と合成高分子樹脂とがある。
本発明で使用される水溶性樹脂の例は大別して天然高分子樹脂と合成高分子樹脂とがある。
天然高分子樹脂の具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴム、キサンタンガムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
合成高分子樹脂の例としては、アクリル系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、アルキド系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、セルロース系、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル系共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体などのスチレン−マレイン酸系共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体などのビニルナフタレン系共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びこれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体や、疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体や、疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体においては、疎水性基にスチレン基を持つものがさらに好ましい。
本発明で用いる水溶性樹脂は、溶解性、分散性の観点から、重量平均分子量が100000以下のものが好ましく使用できる。さらに好ましくは1000〜50000、特に好ましくは1500〜30000のものが使用できる。また、水溶性樹脂が水に溶けにくいものである場合には、アンモニウム、アミン、無機アルカリ等の中和剤で中和することにより水溶性を高めることができる。さらに、水溶性樹脂の水溶液が酸性を呈する場合には、中和剤を用いて中和することが望ましい。本発明での顔料と樹脂の配合比(重量比)は分散性及び耐水性を考慮すると、60/40以上が好ましく、80/20以下が好ましく、より好ましくは65/35から75/25である。
上記した水溶性樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。これらの共重合体や重合体は、公知の溶液重合によって得ることができる。
顔料としては従来から化粧料に配合されているものを本発明においても用いることができる。具体的には、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、又はアルミニミウムレーキ等のレーキ顔料;等公知の有機顔料が挙げられる。このような有機顔料以外に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、γ−酸化鉄、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等といった無機顔料も使用することができる。また、アクリル系樹脂やナイロン系樹脂等の樹脂粉末等も使用できる。
水性ネイルエナメル用分散体中の水溶性樹脂及び顔料は、耐水性、分散安定性を考慮すると、固形分として(つまり、上記分散体を硬化した塗膜中)水溶性樹脂は0.5〜40%、より好ましくは5%〜25%、顔料分は0.5〜50%でより好ましくは10%〜30%、残りを水とすれば良い。但し%は重量%である。
本発明における工程(1)で使用される水又は揮発性溶剤は2本ロールの混練時に顔料の分散を促進させる粘結剤して使用される。この水又は揮発性溶剤は最終の美爪料まで残存することは望ましくない。揮発性溶剤としては、2本ロールの混練時に熱により100%揮発するものが望ましい。揮発性溶剤の沸点としては、80〜200℃程度のものが好ましい。揮発性溶剤としては、具体的には従来から化粧料に配合されているアルコール類が好ましく、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、ヘキシレングリコール、ベヘニルアルコール、ベンジルアルコール、政府所定外変性アルコール、政府所定変性アルコール等がある。
本発明における工程(2)の水性媒体としては、 水、アルコールが挙げられる。また、水溶性樹脂の溶解を容易にするため、アルカリ化合物を用いて、固形チップを水性媒体に分散してもよい。使用されるアルカリ化合物の例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール等の各種有機アミン化合物、アンモニア、水酸化ナトリウム等に代表される無機塩基性物質、その他、各種の第4級アンモニウム化合物が使用できる。好ましくは人体に影響が少なく、揮発性が高いアンモニアが望ましい。
アルカリ化合物の添加量は、水溶性樹脂の使用量、酸価によって異なるが過剰に添加することで臭気の要因になるのは望ましくない。好ましい添加量は、0.5〜2%である。
本発明では、工程(1)において、顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを、2本ロールにより混練し、固形チップとする。詳細には、顔料と樹脂と溶剤または水とを混錬して、一枚のシートを作成し、何回も2本ロールの間を通して混練、すなわち、分散させた後、熱により溶剤または水を蒸発させて固形チップとする。2本ロールによると、少ない水溶性樹脂で分散性を良好にするので、ネイルエナメルとした際の耐水性に優れる。
次に、工程(2)において、得られた固形チップを水性媒体に分散する。分散には分散機を用いてもよく、メディア型分散機が好ましい。
メディア型分散機は、ボールミル、アトライター、ロールミル、コロイドミル、高速ディスクインペラー、高速衝突ミル、高速ストーンミル、ペブルミル、サンドミル及びバッチ磨砕機、コボールミル、バスケットミル、流通式湿式ビーズミル、超音波ホモジナイザー等の公知の装置を用いて行うことができる。また、それらを組み合わせて使用しても良い。顔料の平均粒子径は、安定性、発色性の観点から、500nm以下になるまで分散するのが好ましい。さらに、好ましくは、400nm以下である。
メディア型分散機は、ボールミル、アトライター、ロールミル、コロイドミル、高速ディスクインペラー、高速衝突ミル、高速ストーンミル、ペブルミル、サンドミル及びバッチ磨砕機、コボールミル、バスケットミル、流通式湿式ビーズミル、超音波ホモジナイザー等の公知の装置を用いて行うことができる。また、それらを組み合わせて使用しても良い。顔料の平均粒子径は、安定性、発色性の観点から、500nm以下になるまで分散するのが好ましい。さらに、好ましくは、400nm以下である。
本発明の水系美爪料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他に水系美爪料成分として一般に使用されている成分、例えば油分、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、染料、香料、防腐剤、アクリル系樹脂やナイロン系樹脂等の樹脂粉末等を適宜配合することができる。これらのうち増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機系増粘剤や、無機系のベントナイ卜等の水膨潤性粘土鉱物、ベーマイト等の含水酸化物、珪酸アルミニウムマグネシウム等の珪酸塩、無水珪酸等が好ましく使用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。例中、「部」「%」は、それぞれ「重量部」「重量%」をそれぞれ表す。
<実施例1>
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、プロピレングリコールを蒸発させ、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 60.0 部、
水溶性樹脂A 40.0 部、
プロピレングリコール 10.0 部
水溶性樹脂AはTg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量が12000。
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、プロピレングリコールを蒸発させ、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 60.0 部、
水溶性樹脂A 40.0 部、
プロピレングリコール 10.0 部
水溶性樹脂AはTg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量が12000。
[工程(2)]
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.88部
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.88部
上記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、顔料分散液Aを得た。
[分散度評価]
得られた顔料分散体Aについて分散度の評価を行った。分散体を機器規格の濃度まで希釈し、超微粒子粒度分布測定装置(日機装製、UPA−EX150)により、粒度分布D50(μm)を測定した。
得られた顔料分散体Aについて分散度の評価を行った。分散体を機器規格の濃度まで希釈し、超微粒子粒度分布測定装置(日機装製、UPA−EX150)により、粒度分布D50(μm)を測定した。
[テストピース作成]
得られた顔料分散液Aを、下記組成の通り、塗液中の顔料含有率が2.0%となるようにアクリルエマルジョンと混合し、塗工液Bを得た。
得られた顔料分散液Aを、下記組成の通り、塗液中の顔料含有率が2.0%となるようにアクリルエマルジョンと混合し、塗工液Bを得た。
[塗工液Bの作成法]
顔料分散液A 7.50部
アクリルエマルジョン(日本ポリマー工業社製の「TOCRYL W−263」、32〜38%のアクリル樹脂分、残部水を含む。)
85.70部
市販精製水 6.80部
上記塗工液Bをアプリケーター(10ミル)でガラス板に展色し、水平のまま、室温で30分静置した後、40℃で30分加熱して乾燥し、塗膜を得た。
顔料分散液A 7.50部
アクリルエマルジョン(日本ポリマー工業社製の「TOCRYL W−263」、32〜38%のアクリル樹脂分、残部水を含む。)
85.70部
市販精製水 6.80部
上記塗工液Bをアプリケーター(10ミル)でガラス板に展色し、水平のまま、室温で30分静置した後、40℃で30分加熱して乾燥し、塗膜を得た。
[光沢評価]
塗膜の光沢について評価した。光沢の評価は、光沢計(日本電色製、Gloss Meter VG2000)により、測定面と入射との角度が60°、測定面と入射光との角度が20°でそれぞれ測定することにより行った。表1において「光沢60°グロス」及び「光沢20°グロス」として示した。
塗膜の光沢について評価した。光沢の評価は、光沢計(日本電色製、Gloss Meter VG2000)により、測定面と入射との角度が60°、測定面と入射光との角度が20°でそれぞれ測定することにより行った。表1において「光沢60°グロス」及び「光沢20°グロス」として示した。
[透明性評価]
塗膜の透明性について評価した。透明性の評価は、目視により、以下の評価基準に基づき行った。なお、ネイルエナメルの発色は、顔料粒子が微細化して一次粒子に近くなり、結果として着色力が向上して色が強くなる意味合いと、透明になる意味合いとがある。ここでは、透明性を評価することにより、発色を評価した。
○:透明だった。
×:不透明だった。
塗膜の透明性について評価した。透明性の評価は、目視により、以下の評価基準に基づき行った。なお、ネイルエナメルの発色は、顔料粒子が微細化して一次粒子に近くなり、結果として着色力が向上して色が強くなる意味合いと、透明になる意味合いとがある。ここでは、透明性を評価することにより、発色を評価した。
○:透明だった。
×:不透明だった。
[耐水性評価]
得られた塗工済みガラス板の下半分を40℃の温水に浸漬し、1時間保持した。その後、浸漬部、未浸漬部の「光沢差」を測定した。
得られた塗工済みガラス板の下半分を40℃の温水に浸漬し、1時間保持した。その後、浸漬部、未浸漬部の「光沢差」を測定した。
「光沢差」は光沢60°グロスについて、耐水性試験の前後における光沢の減少率をパーセントで表した。例えば、比較例1の光沢差は、試験前の光沢60°グロス72.3(表1より)、試験後は13.2(表に示さず)であるので、(72.3−13.2)/72.3=0.817とした。
また、目視による「判定」も行った。評価基準は以下の通りである。
◎:塗膜にダメージは全く観察されなかった。
○:塗膜にダメージはほとんど観察されなかった。
△:塗膜にダメージは若干観察されたが、実用上問題のない程度であった。
×:塗膜に大きなダメージが観察された。
また、目視による「判定」も行った。評価基準は以下の通りである。
◎:塗膜にダメージは全く観察されなかった。
○:塗膜にダメージはほとんど観察されなかった。
△:塗膜にダメージは若干観察されたが、実用上問題のない程度であった。
×:塗膜に大きなダメージが観察された。
表1で示すように、分散粒度、塗膜光沢、透明性は本発明によるものの方が比較例より優れていた。
<実施例2>
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 65.0 部
水溶性樹脂A 35.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 65.0 部
水溶性樹脂A 35.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
[工程(2)]
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.67部
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.67部
上記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散した。分散度の評価は粒度分布測定で行った。
テストピース作成、塗膜評価、耐水性評価は実施例1と同様に行った
<実施例3>
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 70.0 部
水溶性樹脂A 30.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 70.0 部
水溶性樹脂A 30.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
[工程(2)]
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.16部
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.16部
上記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散した。分散度の評価は粒度分布測定で行った。
テストピース作成、塗膜評価、耐水性評価は実施例1と同様に行った
結果は、表1で示すように、分散粒度、塗膜光沢、透明性は本発明によるものの方が比較例より優れていた。また耐水性は実施例1より実施例2、さらに実施例3の配合の方が優れていた。
<比較例1>
実施例1の工程(1)をおこなわず、同配合で直接工程(2)のミルベースを作成し、ビーズミル分散機で循環分散した。それ以外は実施例1と同一とした。
実施例1の工程(1)をおこなわず、同配合で直接工程(2)のミルベースを作成し、ビーズミル分散機で循環分散した。それ以外は実施例1と同一とした。
<比較例2>
実施例2の工程(1)をおこなわず、同配合で直接工程(2)のミルベースを作成し、ビーズミル分散機で循環分散した。それ以外は実施例2と同一とした。
実施例2の工程(1)をおこなわず、同配合で直接工程(2)のミルベースを作成し、ビーズミル分散機で循環分散した。それ以外は実施例2と同一とした。
<比較例3>
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、プロピレングリコールを蒸発させ、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 55.0 部
水溶性樹脂A 45.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
水溶性樹脂AはTg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量が12000。
[工程(1)]
下記混合物を2本ロールで10回処理し、プロピレングリコールを蒸発させ、固形チップを得た。
顔料(赤色202号) 55.0 部
水溶性樹脂A 45.0 部
プロピレングリコール 10.0 部
水溶性樹脂AはTg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量が12000。
[工程(2)]
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.88部
得られたチップを下記組成にて、ハイスピードミキサーで60分間分散した。
固形チップ 40.0部
市販精製水 47.1部
アンモニア水(28%) 2.88部
上記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、顔料分散液Aを得た。分散度の評価は粒度分布測定で行った。
テストピース作成、塗膜評価、耐水性評価は実施例1と同様に行った。
2本ロール処理をしても顔料と樹脂の配合比(重量比)で60/40よりも樹脂の比率が大きい55/45では耐水性は劣っていた。
2本ロール処理をしても顔料と樹脂の配合比(重量比)で60/40よりも樹脂の比率が大きい55/45では耐水性は劣っていた。
<実施例4>
顔料を赤色226号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
顔料を赤色226号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<比較例4>
顔料を赤色226号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
顔料を赤色226号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
<実施例5>
顔料を黄色5号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
顔料を黄色5号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<比較例5>
顔料を黄色5号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
顔料を黄色5号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
<実施例6>
顔料を青色1号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
顔料を青色1号とした以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<比較例6>
顔料を青色1号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
顔料を青色1号とした以外はすべて比較例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する実施例より劣っていた。
<実施例7>
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂B(Tg60℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量5000のもの)を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂B(Tg60℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量5000のもの)を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<実施例8>
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂C(Tg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量25000のもの)を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<実施例9>
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂C(Tg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量25000のもの)、分散組成比 顔料/樹脂=80/20を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂C(Tg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量25000のもの)を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
<実施例9>
顔料を青色1号、水溶性樹脂として水溶性樹脂C(Tg70℃、酸価195mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂で重量平均分子量25000のもの)、分散組成比 顔料/樹脂=80/20を使用した以外はすべて実施例2と同一にして分散体と塗膜の作成を行った。表1の通り分散体の分散粒度、塗膜の光沢、透明性、耐水性は対応する比較例より優れていた。
比較例1〜6及び実施例1〜6の水溶性樹脂A:重量平均分子量は12000(酸価195、Tg70℃)
実施例7の水溶性樹脂B:重量平均分子量5000(酸価195、Tg60℃)
実施例8及び9の水溶性樹脂C:重量平均分子量25000(酸価195、Tg80℃)
実施例7の水溶性樹脂B:重量平均分子量5000(酸価195、Tg60℃)
実施例8及び9の水溶性樹脂C:重量平均分子量25000(酸価195、Tg80℃)
表1からわかるように、実施例1〜9の本発明による水性ネイルエナメル用分散体は、分散粒度、光沢(60°グロス、20°グロス)、塗膜透明性、塗膜耐水性の各性能において良好な評価が得られた。一方、2本ロールによる固形チップ化工程を経ないで得られた分散液からの塗膜は、光沢、透明性について実用可能レベルではない程度の評価となった(比較例1〜6)。
また、実施例1、2、3の比較からわかるように、顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)において樹脂量を低減しても、耐水性、分散性、光沢において優れることがわかる。
すなわち、樹脂を低減して耐水性を向上させても、分散状態、光沢は2本ロール処理の方が2本ロール未処理と比較して格段に優れ、樹脂低減による光沢の少しの低下も実用上問題ないレベルであった。
本発明により、水性顔料分散体の顔料分散安定性や塗膜の光沢、発色、透明性に優れ、しかも耐水性などの塗膜物性を向上させることができた。本発明の水性顔料分散体は塗膜の光沢、透明性、耐水性を要求される水性美爪料に好適に使用できる。
Claims (5)
- 顔料と、水溶性樹脂と、水または揮発性溶剤とを2本ロールにより混練し、固形チップとする工程(1)、及び
該固形チップを水性媒体に分散する工程(2)を含み、
前記工程(1)において、顔料と水溶性樹脂の配合比(顔料の重量/水溶性樹脂の重量)は60/40以上であることを特徴とする水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。 - 工程(2)でアルカリ化合物を用いて水性媒体に分散することを含む請求項1記載の水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
- 工程(2)で得られた分散体をメディア型分散機により更に分散する工程(3)を含む請求項1または2記載の水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
- 工程(3)を含む水性ネイルエナメル用分散体の顔料の平均粒子径が500nm以下である請求項1ないし3いずれか記載の水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
- 顔料と水溶性樹脂の配合比(重量比)が80/20以下である請求項1ないし4記載の水性ネイルエナメル用分散体の製造方法。
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