JP2010074182A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る窒化物半導体発光素子は、第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、上記p型窒化物半導体層が上記第一の主面側となるように含む積層体と、上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極とを有し、上記透光性の電極の表面には上記発光層で発生される光を散乱または回折する凹凸が形成されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
。
特許文献1には、n側電極およびp側電極の材料に、ITO以外の透明導電膜材料として酸化カドミウム錫(CTO)、窒化チタンタングステン(TiWN)を用い得ることが開示されている。
が生じる。
(1)第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極とを有し、上記電極の表面には上記発光層で発生される光を散乱または回折する凹凸が形成された、窒化物半導体発光素子。
(2)上記凹凸は、高低差が、上記発光層で発生される光の上記透明導電膜材料中における波長の4分の1以上である凹部と凸部を含む、上記(1)に記載の窒化物半導体発光素子。
(3)上記凹凸の凸部が上記積層体の第一の主面上に連続的に広がったパターンに形成されるとともに、上記凹凸の凹部には上記積層体の第一の主面が露出された、上記(1)に記載の窒化物半導体発光素子。
(4)上記凹凸の凸部が上記積層体の第一の主面上に連続的に広がったパターンに形成されるとともに、上記発光層が発光に係る領域としてInxGa1−xNからなる領域を含み、該InxGa1−xNからなる領域で発生される光の波長が紫色〜近紫外領域の波長である、上記(1)に記載の窒化物半導体発光素子。
(5)第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極と、上記電極の表面を覆うように形成された、上記発光層で発生される光を反射する反射面を有する反射層とを有し、上記電極の表面には凹凸が形成され、上記反射面には、上記電極の表面に形成された凹凸に沿って、上記発光層で発生された光を乱反射する凹凸が形成された、窒化物半導体発光素子。
(6)上記反射面に形成された凹凸は、高低差が、上記発光層で発生される光の上記透明導電膜材料中における波長の4分の1以上である凹部と凸部を含む、上記(5)に記載の窒化物半導体発光素子。
(7)上記反射面に形成された凹凸の凸部において、上記積層体の第一の主面と上記反射面とが接している、上記(5)に記載の窒化物半導体発光素子。
(8)上記反射層は、少なくとも上記反射面が、Ag、Al、Rh、Ptから選ばれる少なくともひとつの材料からなる、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
(9)上記反射層が、上記反射面を含み、Ag、Al、Rh、Ptから選ばれる少なくともひとつの材料からなるミラー層と、上記反射層の最外層として形成された、Auからなる表面層と、上記ミラー層と上記表面層との間に形成されたバリア層と、からなる上記(8)に記載の窒化物半導体発光素子。
(10)上記電極がITOまたはZnOからなる、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
(11)上記積層体の第一の主面を形成する窒化物半導体がn型窒化物半導体である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
(12)上記積層体と上記電極との界面に、上記電極との接触抵抗が上記積層体の第一の
主面を形成する窒化物半導体との接触抵抗よりも相対的に小さい金属材料からなる層が、部分的に形成された、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
(13)上記金属材料からなる層が、横方向の電流拡散のために形成された電流拡散層である、上記(12)に記載の窒化物半導体発光素子。
(14)上記電極の表面にワイヤボンディング用のパッド電極が形成され、上記金属材料からなる層が、上記パッド電極の射影部に形成された、上記(12)に記載の窒化物半導体発光素子。
(15)第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極とを有し、上記積層体と上記電極との界面に、上記電極との接触抵抗が上記積層体の第一の主面を形成する窒化物半導体との接触抵抗よりも相対的に小さい金属材料からなる層が、部分的に形成された、窒化物半導体発光素子。
発光層で発生され、窒化物半導体層から透光性の電極の内部に入射した光は、電極の表面に達したとき、該表面に形成された凹凸によって散乱または回折を受けて、進行方向を大きく変える。あるいは、該表面上に更に反射層が形成される態様では、電極表面に形成される凹凸に沿って該反射層の反射面に形成される凹凸により、乱反射を受けて、進行方向を大きく変える。これによって、光が、素子の光取り出し面に対して、全反射角よりも小さな、素子外部に出射し得る入射角で入射する確率が高くなる。
(ロ)素子内部での多重反射の抑制
透光性電極の表面で反射され、窒化物半導体層側に戻される光は、該表面に形成された凹凸による散乱または回折によって、進行方向が不規則的に変化する。透光性電極の表面上に更に反射層が形成される態様では、該反射層の反射面に形成された凹凸による乱反射によって、光の進行方向が不規則的に変化する。これにより、素子内部での多重反射の発生が抑制されるために、内部吸収による損失が低減される。
図1は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子を説明するための構造図であり、同図(a)は断面図、(b)は平面図である。
図1において、11はサファイア基板、12は膜厚2μmのアンドープGaN層12Aと、その上に形成されたSiドープGaN(電子濃度約5×1018cm−3)からなる膜厚3μmのn型クラッド層12Bとからなるn型窒化物半導体層である。サファイア基板11とアンドープGaN層12Aとの間には、アンドープGaN層12Aの成長温度よりも低温で成長された、膜厚20nmのAlGaN低温バッファ層(図示せず)が介在される。
13は発光層であり、例えば、GaN障壁層とInGaN井戸層を各10層交互に積層してなる多重量子井戸(MQW)層からなる。発光波長は井戸層を構成するInGaNのIn組成を調節することによって行われる。
14は、MgドープAlGaNからなる膜厚50nmの第一p型クラッド層14Aと、その上に形成されたMgドープGaN(Mg濃度約1×1020cm−3)からなる膜厚150nmの第二p型クラッド層14Bとからなるp型窒化物半導体層である。
15は、SiドープGaN(電子濃度約1×1019cm−3)からなる膜厚5nmのn型コンタクト層である。
また、n型コンタクト層15の上側表面には、該表面を覆うように、ITOからなるp側電極P12が設けられる。p側電極P12の表面には、発光層13で発生される光を散乱または回折する凹凸が形成される。なお、平面図(b)においては、この凹凸の図示を省略している。
p側電極P12の表面の一部には、Ti/Auからなるワイヤボンディング用のパッド電極P13が形成される。
この素子の主な光取り出し面は、ITOからなるp側電極P12の表面である。
ここで、図2(a)の形状においては、溝の部分が凹部、尾根の部分が凸部であり、図2(b)の形状においては、窪みの部分が凹部、平坦面の部分が凸部であり、図2(c)の形状においては、平坦面の部分が凹部、突起の部分が凸部である。
上記例示した形状において、ストライプ状の溝や尾根の断面形状や、ドット状の窪みや突起の平面形状等は、図示されたものに限定されず、また、凹凸の高低差や凹部と凸部の間隔等が一定であったり、周期性を持つことも必須ではない。
p側電極P12の表面に形成される凹凸は、凹部および/または凸部が不規則形状を有してもよいし、その分布がランダムであってもよい。
図3は、図2(a)に示す凹凸形状の、ストライプ状の溝および尾根に直交する方向の断面図で、Aは凹部、Bは凸部、Hは凹部と凸部の高低差、Lは隣合う凹部の中心部間の間隔である。
発光層13で発生される光が、この凹凸によって効果的に散乱または回折されるようにするには、凹部Aと凸部Bの高低差Hを、発光層13で発生される光のITO中での波長の4分の1以上とし、かつ、このような凹部Aと凸部Bが、隣合う凹部Aの中心部間の間隔Lが、発光層13で発生される光の波長の4分の1以上、50μm以下となるように、交互に並んだ形状とすることが好ましい。
発光層13で発生される光のITO中での波長の4分の1とは、例えば、発光波長が400nmの発光素子であれば、発光層13で発生される光の大気中での波長が400nmということであるから、ITO中での波長は、これをITOの屈折率である約2で除した約200nmとなり、その4分の1は約50nmとなる。
隣合う凹部間の間隔Lを50μm以下とすることが好ましい理由は、Lがこれより大きくなると、300μm〜400μm角の通常サイズの発光素子チップでは、p側電極P12の表面に形成される凹部と凸部の数が少なくなり、光の散乱や回折の効果が十分に得られなくなるからである。従って、この間隔は、より好ましくは30μm以下であり、特に好ましくは15μm以下である。
ただし、p側電極P12の表面に形成する凹凸の凸部を、発光素子の平面図である図4〜図6に例示するように、網目状(図4)、梯子状(図5)、櫛状(図6)等、n型コンタクト層の表面に連続的に広がったパターンにする場合には、電流がこの凸部を主な経路として電極全体に拡散されるため、凹部を上記厚さより薄く形成してもよい。図4〜図6において、斜線で示した領域が凸部である。この態様においては、電流の主な経路となる凸部の厚さが電流拡散性にとって重要であり、好ましい凸部の厚さは80nm以上、より好ましくは100nm以上である。凹部の厚さに限定はなく、例えば、図7に断面の拡大図を示すように、凹部の厚さがゼロ、すなわち、p側電極P12の凹部にn型コンタクト層15の表面が露出されるようにしてもよい。
ここで、発光層13に含まれるInGaNのIn組成比が大きい、発光波長が緑色〜青色の波長である窒化物半導体発光素子では、発光層13の電流密度を増加させたとき、比較的低い電流密度において電気−光変換効率の低下が起こり、出力が飽和する傾向があるが、In組成比の小さいInGaNを用いた、発光波長が紫色(420nm前後)〜近紫外領域の発光素子では、電流密度の増加に伴う発光層の電気−光変換効率の低下が起こり難い。そのため、発光波長が紫色〜近紫外の窒化物半導体発光素子に、上記連続的に広がったパターンに形成された凸部を有するp側電極P12を適用すると、凸部の下方への電流集中が発光層13の電気−光変換効率に与える影響は小さく、それよりも、凹凸による
散乱や回折の効果と、それに加えて、p側電極P12の凹凸の凹部でITOの膜厚が相対的に薄いために光透過性が高くなることによる、光取り出し効率の向上の効果の方が優勢となり、発光効率が向上する。
この電流拡散層は、ITOとの接触抵抗がn型窒化物半導体との接触抵抗よりも相対的に小さい金属材料(例えば、ITOとは良好なオーミック性の接触を形成するが、n型窒化物半導体とは良好なオーミック性の接触を形成しない金属材料)で形成する。このように材料を選択すると、電流拡散層から窒化物半導体層に直接電流が供給されることがなくなり、電流拡散層を通して運ばれた電流も、ITOを介して窒化物半導体層に供給されることになる。
ITOは殆どの金属材料とオーミック性の接触を形成するので、この材料選択は、p側電極形成用のコンタクト層の導電型に応じて行えばよく、n型コンタクト層15の上に形成する電流拡散層には、Ag、Rh、Pt等を用いることが好ましく、p側電極用のコンタクト層をp型窒化物半導体で形成する場合には、Al等を用いることが好ましい。
電流拡散層から窒化物半導体層に直接電流が供給されないことにより、電流拡散層の下方の領域では発光層13に電流が殆ど供給されず、該領域での発光が抑制されるが、この領域で発生する光は、電流拡散層が影になるために素子外部に取り出され難く、その多くが損失となるので、この発光の抑制は好ましい効果を与える。同じ理由から、この電流拡散層は、p側電極の表面に形成されるワイヤボンディング用のパッド電極P13の射影部にも形成することが好ましい。
発光層で発生される光の一部が、この電流拡散層に達する場合があるので、電流拡散層をAl、Ag、Rh、Ptのような反射率の高い金属からなる反射性の層とすると、電流拡散層の吸収による損失が低くなり、好ましい。ただし、p側電極の電流拡散の補助という、この電流拡散層の主目的にとって、反射性の層とすることは必須ではない。
この電流拡散層の平面形状は、p側電極P12の電流拡散を助ける形状であればよく、特に限定されないが、線状の部分を含む形状が好ましい。例えば、幅数μmの細いストライプ状の電流拡散層が、パッド電極P13の射影部、またはその近傍を起点として、n型コンタクト層15の表面に放射状に広がるパターンが挙げられる。ここで、電流拡散層は電流拡散の補助が目的であるので、n型コンタクト層15の表面全体に連続的に形成する必要はない。その他、線状部分が網目状、櫛状、樹枝状等をなすように、n型コンタクト層15上に広がったパターンなども例示される。
このような電流拡散層は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において有用であるだけでなく、ITO等の透明導電膜材料からなるp側電極が、表面平坦な層状に形成された、従来技術の窒化物半導体発光素子に適用した場合にも、好ましい効果を奏する。特に、従来の窒化物半導体発光素子では、p側電極が平坦であるために多重反射が生じ易いので、電流拡散層を利用してp側電極を薄く形成し、その光透過率を高くすることは、光取り出し効率の向上に顕著な効果がある。
まず、サファイア基板11上に、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、分子ビームエピタキシー(MBE)法等の気相成長法を用いて、AlGaN低温バッファ層、アンドープGaN層12A、n型クラッド層12B、発光層13、第一p型クラッド層14A、第二p型クラッド層14B、n型コンタクト層
15を、順次、所定の厚さに成長する。
ここで、基板はサファイア基板に限定されるものではなく、SiC基板、GaN基板、AlN基板、Si基板、スピネル基板、ZnO基板、GaAs基板、NGO基板等、窒化物半導体結晶のエピタキシャル成長に使用可能な基板を適宜用いることができる。
なお、図1に示す発光素子では、第二p型クラッド層14Bとn型コンタクト層15とは、界面で全面的に接触しているが、上記特許文献2を参考にして、この二層間に低抵抗領域を介在させて、実質的にショートさせることによって、界面での整流性の発生を抑制することもできる。n型コンタクト層15の膜厚をより厚くする場合には、このような低抵抗領域を設けることが効果的であると考えられる。
なお、基板としてSiC基板、GaN基板、Si基板、ZnO基板、GaAs基板等の導電性基板(半導体基板)を用いる場合は、n側電極を基板の裏面(窒化物半導体層が形成されていない側の面)に形成することができ、その場合には、n側電極形成面sを形成する工程は省略できる。
ここで、p側電極P12には、ITOに代えて、ZnO、CTO、TiWN等の透明導電膜材料を用いることもできる。
ITO、ZnO等の透明導電膜の製膜は、真空蒸着法やスパッタリング法のような物理的手法であれば150℃〜300℃、CVDやスプレー法のような化学的手法でも350℃〜500℃という、窒化物半導体の結晶成長と比べると、かなり低い基板温度で行うことができる。従って、比較的厚い透明導電膜が、発光層13に大きな熱ダメージを与えることなくn型コンタクト層15の表面に製膜できるため、p側電極P12の表面に高低差の大きな凹凸を形成するうえで好都合である。
エッチング法としては、p側電極P12の表面に粒子を堆積させ、その粒子をランダムエッチングマスクとして利用することにより、不規則なエッチングパターンを形成するランダムエッチングや、p側電極P12の表面に形成したフォトレジスト膜にフォトリソグラフィ技法を用いて開口部を形成し、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングあるいはウェットエッチングにより該開口部に凹部を形成する方法が挙げられる。
フォトレジスト膜を用いる場合、ITOとのエッチング速度の差が比較的小さいフォトレジストを用いたり、開口部をパターニングした後のフォトレジスト膜に加熱処理を行うなどして、フォトレジスト膜の断面形状に丸みを持たせると、エッチングにより形成されるITO膜表面の凹凸を、丸みを帯びた形状とすることができる。このようにすると、p側電極P12の表面において、発光層13の側から入射する光の全反射が生じ難くなり、光取り出し効率を向上させるうえで好ましい。
化させると、照射しなかった部分を選択的にエッチングすることができる。このような方法により、透明導電膜の表面に凹凸形状をパターニングすることもできる。この方法の詳細については、特開2000−31463号公報を参照することができる。
図8は、本発明の第2の実施形態を説明するための素子構造断面図である。
図8において、サファイア基板21と、その上に形成された窒化物半導体層22〜25からなる積層体、n側電極P21、p側電極P22の構成は、図1に示した、第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子と同じである。
第2の実施形態に係る窒化物半導体発光素子は、n型コンタクト層25の表面を覆うように、反射層Rが形成されることを特徴とし、この反射層Rは、発光層23で発生された光をサファイア基板21の方向に反射する。従って、図8の窒化物半導体発光素子における主な光取り出し面は、サファイア基板21の裏面となる。
反射層Rには、金属材料の中でも、可視〜近紫外領域における反射率の高さから、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Rh(ロジウム)、Pt(白金)を用いることが、特に好ましい。
金属材料で反射層Rを形成する方法については、従来公知の技術を参照することができ、蒸着、スパッタリング、CVD等の気相法や、メッキ法が例示される。
Alは可視〜近紫外波長においてAgに次いで高い反射率を有し、表面に形成される酸化膜のために化学的にも安定であることから、反射層Rの材料として好適である。ただし、Alの熱膨張係数は約23×10−6K−1であり、ITOの熱膨張係数8.5×10−6K−1〜10.2×10−6K−1との差が大きいために、ITOの表面にAl単体からなる膜を形成すると、素子表面に保護膜を形成する工程や実装工程において、加熱・冷却のサイクルに曝されたときに、界面で発生するストレスによってAl膜の変形が生じる場合がある。この問題を抑制するためには、Alの耐熱性を高める効果を有するTi(チタン)、Si(ケイ素)、Nd(ネオジム)、Cu(銅)等の元素が添加されたAl合金を使用することが好ましい。
これを防ぐために、ミラー層と表面層との間には、バリア層を介在させることが好ましい。
バリア層には、ミラー層の材料および、表面層の材料であるAuよりも、高融点の金属材料をが用いる。従って、ミラー層の材料に応じて、Ti(チタン)、W(タングステン)、Pd(パラジウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Pt(白金)、Rh、Ir(イリジウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Ni(ニッケル)等の単体または合金を用いることができる。バリア層は、これらの金属からなる単層膜または多層膜とすることができ、また、これらの金属からなる膜とAu膜とを交互に積層した多層膜としてもよい。例えば、ミラー層をAlで形成する場合に、Pt膜とAu膜とを交互に積層した多層膜は、バリア層の好ましい態様のひとつである。
Auからなる表面層の好ましい厚さは50nm〜2000nm、バリア層の好ましい厚さは10nm〜300nmである。
される凹凸の好ましい形状やサイズは、第1の実施形態の場合と同じである。
反射層Rのp側電極P22と接する部分が、ITOとオーミック接触しない金属材料からなる場合には、反射層Rとp側電極P22との界面に、部分的に、ITOとオーミック接触する金属からなる層を介在させることによって、やはり、反射層Rをp側電極P22へのボンディング用の電極として用いることができる。このような金属層としては、例えば、Ti層が挙げられる。また、他の方法として、反射層Rとは別に、p側電極P22へのボンディング用の電極として、Ti/Al電極やTi/Au電極を、p側電極P22に直接形成することもできる。
実施例1として図1に示す構造の発光素子を作製した。
直径2インチ、厚さ約300μmのC面サファイア基板11をMOVPE装置の成長炉内に設けられたサセプタに装着し、水素雰囲気下で基板温度を1100℃まで上昇させて、表面のサーマルクリーニングを行った。
次に、基板温度を330℃まで下げ、3族原料としてトリメチルガリウム(TMG)およびトリメチルアルミニウム(TMA)、5族原料としてアンモニアを用いて、AlGaN低温バッファ層を20nm成長させた。なお、この工程以降、有機金属原料のキャリアガスには水素ガスを用いた。
次に、基板温度を1000℃に上げ、原料としてTMG、アンモニアを供給し、アンドープGaN層12Aを2μm成長させた後、更にシランを供給し、SiドープGaNからなるn型クラッド層12Bを3μm成長させた。
次に、基板温度を800℃に低下させて、GaN障壁層と、InGaN井戸層(発光波長405nm)を各10層交互に積層してなるMQW構造の発光層13を形成した。井戸層成長時のIn原料にはトリメチルインジウムを用いた。
次に、基板温度を1000℃に上げ、Mg原料のビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(EtCp2Mg)と、TMG、TMA、アンモニアを供給し、MgドープAlGaNからなる第一p型クラッド層14Aを50nm成長させた。
次に、TMAの供給を停止して、MgドープGaNからなる第二p型クラッド層14Bを150nm成長させた。
次に、EtCp2Mgの供給を停止し、シランを供給して、SiドープGaNからなるn型コンタクト層15を5nm成長させた。
このようにして発光波長405nmの近紫外LED構造が形成されたウエハを得た。
達する深さのドライエッチングを行い、n型コンタクト層15、第二p型クラッド層14B、第一p型クラッド層14A、発光層13の一部を除去することにより、n側電極P11を形成するためのn側電極形成面sを形成した。
次に、ウエハの表面にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜の、p側電極P12の表面上を覆う部分に、フォトリソグラフィ技法を用いて複数の開口部を設けた。開口部のパターンは、一辺6μmの正方形状の開口部を、縦横とも間隔2μmで正方行列状に規則的に配列させたパターンとした。フォトレジスト膜の開口部に露出したITOにドライエッチングを行い、その後、フォトレジスト膜を除去することにより、p側電極P12の表面に高低差200nmの凹凸を形成した。
次に、n側電極形成面sおよび、p側電極P12の表面の一部に、電子ビーム蒸着法により、膜厚30nmのTi層、膜厚300nmのAu層をこの順に積層した、n側電極P11およびパッド電極P13をそれぞれ形成した。
最後に、サファイア基板11の裏面を厚さ90μmとなるまで研磨し、通常のスクライビングおよびブレーキングによって素子分離を行い、350mm角のLEDチップを得た。
実施例1において、ITOからなるp側電極の表面にパッド電極を形成する代わりに、p側電極の上側表面のほぼ全面に、厚さ50nmのAl膜、厚さ50nmのPd膜、厚さ200nmのAu膜を順に積層した反射層を形成して、LEDチップを作製した。
得られたLEDチップを、リード電極パターンが形成されたセラミックパッケージ上に、Al電極側が下となるように、Au−Sn半田をボンディング材料に用いてフリップチップボンディングした。
素子特性を評価したところ、p側電極を厚さ100nmの平坦なITO膜としたことを除いて同様に作製した従来構造の素子と比べ、順方向電圧(20mA通電時)はほぼ同じであったが、出力が1.2倍に増加した。
例えば、窒化物半導体からなる積層体の構造は、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を含むものであればよく、従来公知の技術を参照して、上記説明した構造に追加や省略を行ったり、各窒化物半導体層の厚さ、組成、バンドギャップ、不純物の種類、キャリア濃度等に、種々の変形を加えることができる。
窒化物半導体層の成長に用いられた基板を、窒化物半導体層から分離したり、除去したりする方法は公知であり、例えば、特開2004−87775号公報、特開平11−35397号公報、特開2000−277804号公報、特開2003−309289号公報等を参照することができる。
また、Cu−W基板、Cu−Mo基板、AlSiC基板、Si基板、SiC基板、GaAs基板、GaP基板、InP基板等の導電性基板を、別の基板上に成長された窒化物半導体層に対して、In、Au、ハンダ、銀ペースト等により接合し、新たな支持基板とし得ることが、特開2000−277804号公報等に開示されている。
また、p側電極を陰極として電解メッキを行ったり、蒸着、無電解メッキ、CVD、スパッタ等の方法を用いてp側電極の表面上に厚さ10μm以上の金属膜を形成し、この金属膜を新たな支持基板とすることが、特開2004−47704号公報、特開2004−88083号公報等に開示されている。
pn接合ダイオード構造を含む窒化物半導体の積層体に対して、その成長に用いられた基板とは異なる、別途準備された支持基板を接合させる場合、該積層体のいずれの主面に接合させることも可能であり、その方法は公知である。
12 n型窒化物半導体層
13 発光層
14 p型窒化物半導体層
15 n型コンタクト層
P11 n側電極
P12 p側電極
Claims (15)
- 第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、
上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極とを有し、
上記電極の表面には上記発光層で発生される光を散乱または回折する凹凸が形成された、窒化物半導体発光素子。 - 上記凹凸は、高低差が、上記発光層で発生される光の上記透明導電膜材料中における波長の4分の1以上である凹部と凸部を含む、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記凹凸の凸部が上記積層体の第一の主面上に連続的に広がったパターンに形成されるとともに、上記凹凸の凹部には上記積層体の第一の主面が露出された、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記凹凸の凸部が上記積層体の第一の主面上に連続的に広がったパターンに形成されるとともに、上記発光層が発光に係る領域としてInxGa1−xNからなる領域を含み、該InxGa1−xNからなる領域で発生される光の波長が紫色〜近紫外領域の波長である、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
- 第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、
上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極と、
上記電極の表面を覆うように形成された、上記発光層で発生される光を反射する反射面を有する反射層とを有し、
上記電極の表面には凹凸が形成され、
上記反射面には、上記電極の表面に形成された凹凸に沿って、上記発光層で発生された光を乱反射する凹凸が形成された、窒化物半導体発光素子。 - 上記反射面に形成された凹凸は、高低差が、上記発光層で発生される光の上記透明導電膜材料中における波長の4分の1以上である凹部と凸部を含む、請求項5に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記反射面に形成された凹凸の凸部において、上記積層体の第一の主面と上記反射面とが接している、請求項5に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記反射層は、少なくとも上記反射面が、Ag、Al、Rh、Ptから選ばれる少なくともひとつの材料からなる、請求項5〜7のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記反射層が、上記反射面を含み、Ag、Al、Rh、Ptから選ばれる少なくともひとつの材料からなるミラー層と、上記反射層の最外層として形成された、Auからなる表面層と、上記ミラー層と上記表面層との間に形成されたバリア層と、からなる請求項8に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記電極がITOまたはZnOからなる、請求項1〜9のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記積層体の第一の主面を形成する窒化物半導体がn型窒化物半導体である、請求項1〜10のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記積層体と上記電極との界面に、上記電極との接触抵抗が上記積層体の第一の主面を形成する窒化物半導体との接触抵抗よりも相対的に小さい金属材料からなる層が、部分的に形成された、請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記金属材料からなる層が、横方向の電流拡散のために形成された電流拡散層である、請求項12に記載の窒化物半導体発光素子。
- 上記電極の表面にワイヤボンディング用のパッド電極が形成され、上記金属材料からなる層が、上記パッド電極の射影部に形成された、請求項12に記載の窒化物半導体発光素子。
- 第一の主面および第二の主面を有する窒化物半導体の積層体であって、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とで発光層を挟んだpn接合ダイオード構造を、そのp型窒化物半導体層側が上記第一の主面側となるように含む積層体と、
上記積層体の第一の主面を覆うように形成された透明導電膜材料からなる透光性の電極とを有し、
上記積層体と上記電極との界面に、上記電極との接触抵抗が上記積層体の第一の主面を形成する窒化物半導体との接触抵抗よりも相対的に小さい金属材料からなる層が、部分的に形成された、窒化物半導体発光素子。
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