JP2010072345A - 定着装置およびこれを備える画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇温速度を速めてウォームアップ時間の短縮化を図ることが可能な構成の電磁誘導加熱方式の定着装置を提供すること。
【解決手段】円筒状をした定着ベルトの周回経路の内側に配された定着ローラをその周回経路の外側から定着ベルトを介して加圧ローラで押圧して定着ニップを確保する構成の電磁誘導加熱方式の定着装置において、定着ベルトの内径Db、定着ローラの外径Dr、定着ベルトの内径Dbを定着ローラの外径Drで除した値を割合Xとしたとき、定着ベルトと定着ローラを、0<X≦1.18の範囲内になる組み合わせのものを用いる。
【選択図】図6

Description

本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
プリンタ等の画像形成装置は、トナーなどの未定着画像が形成されたシートを定着ニップを通過させることにより、当該未定着画像を加熱、加圧により当該シート上に定着する定着装置を備えている。この定着装置としては、近年、ハロゲンヒータを熱源とする方式よりも省エネルギー化を図れる電磁誘導加熱方式によるものが採用され始めている。
電磁誘導加熱方式の定着装置の例として、特許文献1には、芯金の周囲に断熱用のスポンジ層を介して誘導発熱層を配した定着ローラと、定着ローラを押圧して定着ニップを確保する加圧ローラと、定着ローラの近傍に配され、定着ローラの誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる磁束発生部とを有する定着装置が開示されている。
また、特許文献2には、第1ローラと、誘導発熱層を有する発熱部材と、第1ローラと発熱部材に掛け渡されつつバネ付勢により張架されるベルトと、ベルトを介して第1ローラを押圧して定着ニップを確保する第2ローラと、ベルトを介して発熱部材に対向する位置にベルト表面から間隔をおいて配され、発熱部材の誘導発熱層を発熱させるための磁束発生部とを備える定着装置が開示されている。
特許3882800号公報 特許3988251号公報
上記特許文献1の定着装置は、断熱用のスポンジ層を設けてはいるが、誘導発熱層の熱がローラ全周に渡ってスポンジ層を介して芯金に伝わって逃げてしまうという伝熱ロスが避けられず、定着ローラの昇温速度の高速化を図るには限界がある。
一方、特許文献2の定着装置は、発熱部材と第1ローラが離間しており、発熱部材から発せられる熱が直接、第1ローラの芯金に伝わって逃げることがなく、またローラよりも熱容量の小さいベルトを用いて発熱部材の熱を定着ニップに伝達する構成なので、特許文献1の定着装置よりも発熱部材からの熱を効率的に利用できる。
しかしながら、特許文献2の定着装置は、発熱部材がベルトのテンション部材を兼ねる構成なので、ベルトに一定のテンションを張りつつ発熱部材から発せられる熱をベルトにローラ軸方向に均等に伝えるには、発熱部材を例えば厚みをより厚くするなどして高強度化されたものを用いる必要がある。このような高強度のものを用いると、それだけ発熱部材自身の熱容量が大きくなってしまい、ベルトによる低熱容量化を狙った構成をとっても、ベルトの昇温速度を速めることができないという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、より昇温速度を速めてウォームアップ時間の短縮化を図ることが可能な構成の電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、未定着画像が形成されたシートを定着ニップを通過させることにより、当該未定着画像を加熱、加圧により当該シート上に定着する電磁誘導加熱方式の定着装置であって、周回駆動される、誘導発熱層を有する略円筒状のベルトと、前記ベルトの周回経路の内側に配された第1ローラと、前記ベルトの周回経路の外側から前記ベルトを介して前記第1ローラを押圧して、当該ベルト表面との間に前記定着ニップを確保する第2ローラと、前記ベルトの周回経路の外側に配され、前記ベルトの誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる磁束発生部と、を備え、前記第1ローラの外径に対する前記ベルトの内径の割合Xが、1<X≦1.18の範囲であることを特徴とする。
また、前記ベルトの内径が40〜50〔mm〕の範囲であることを特徴とする。
ここで、前記ベルトの内径が40〔mm〕の場合に、前記第1ローラの外径が34〜39〔mm〕の範囲であることを特徴とする。
さらに、前記第1ローラの外径が36〜38〔mm〕の範囲であることを特徴とする。
また、前記ベルトの内径が50〔mm〕の場合に、前記第1ローラの外径が44〜48〔mm〕の範囲であることを特徴とする。
ここで、前記第1ローラの外径が46〜48〔mm〕の範囲であることを特徴とする。
さらに、前記定着ニップのシート搬送方向におけるニップ幅が、11〔mm〕以上であることを特徴とする。
また、前記割合Xを前記範囲外であるX=1の構成をとったとしたときの前記ベルトにおける単位時間当たりの温度上昇の大きさを示す昇温速度をVa、前記割合Xを前記範囲内のいずれかの値の構成をとったときの前記ベルトにおける単位時間当たりの温度上昇の大きさを示す昇温速度をVb、前記VbをVaで除して得られる値を昇温速度比Yとしたとき、前記XとYの関係を示すグラフが、Xの値が前記範囲内において大きくなるに連れてYの値が増加しつつ1つのピークを境に減少して行く曲線を描くものである場合に、前記Xの値は、前記Yが前記1つのピークまたはそのピークの直近の値になるときの値に設定されていることを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、シート上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を定着部により定着する画像形成装置であって、前記定着部として、上記の定着装置を備えることを特徴とする。
このように構成すれば、(a)割合X>1により、定着ニップ以外の部分でベルト内周面と第1ローラの表面との間に空間ができるので、X=1とした場合に両者が密着して、ベルトの熱が第1ローラの表面の全域に渡って奪われて逃げていくといった伝熱ロスを抑制でき、(b)割合X≦1.18として第1ローラの外径に対するベルト長を規制したので、ベルト長が長くなり過ぎたため、割合X>1としたことによる伝熱ロスの効果を消してしまう程度にまでベルト自身の熱容量が増大し、ベルトの昇温速度が低下するといったことを防止して、ウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。これにより、省エネルギー化と共に、画像形成装置のユーザにとって、短縮された時間分だけ装置を利用できるまでの待ち時間が短くなってさらなる利便性の向上に繋がる。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例にして説明する。
〔1〕プリンタの全体構成
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、ベルト搬送部20と、給送部30と、定着部40を備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
画像プロセス部10は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部10Y〜10Kを備えている。作像部10Yは、感光体ドラム11Yと、その周囲に配設された帯電器12Y、露光部13Y、現像器14Y、一次転写ローラ15Y、感光体ドラム11Yを清掃するためのクリーナなどを備えており、公知の帯電、露光、現像工程を経て感光体ドラム11Y上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部10M〜10Kについて同様であり、対応する色のトナー像が感光体ドラム11M〜11K上に作像される。
ベルト搬送部20は、矢印方向に循環走行される中間転写ベルト21を備える。給送部30は、給紙カセットから記録用のシートSを搬送路35に1枚ずつ繰り出す。
感光体ドラム11Y〜11K上に作像されたトナー像は、感光体ドラム11Y〜11Kの転写位置において転写ローラ15Y〜15Kと感光体ドラム11Y〜11K間に生じる電界による静電力の作用を受けて、循環走行する中間転写ベルト21上に一次転写される。この際、各色の作像動作は、中間転写ベルト21上において同じ位置に多重転写されるようにタイミングをずらして実行される。
この作像動作のタイミングに合わせて、給送部30からは、シートSが搬送されて来ており、そのシートSは、中間転写ベルト21と、これに圧接された二次転写ローラ22の間に挟まれて搬送され、二次転写ローラ22に印加された二次転写電圧により生じる電界による静電力の作用を受けて、中間転写ベルト21上の各色トナー像が一括してシートS上に二次転写される。二次転写後のシートSは、定着部40に送られる。
定着部40は、定着ベルト101を備える電磁誘導加熱方式によるものであり、二次転写後のシートSを加熱、加圧して、シートS上の各色トナー像を定着させる。定着後のシートSは、排出ローラ対38を介して機外に排出され、収容トレイ39上に収容される。
〔2〕定着部40の構成
図2は、定着部40の構成を示す斜視図であり、図3は、定着部40の構成を示す横断面図であり、図4は、定着ベルト101の断面図である。なお、図2と図3では、定着部40を図1から同図の時計方向に90°回転させた状態で示しており、図2では、説明の都合上、一部を切り欠いて示している。
各図に示すように、定着部40は、定着ベルト101と、定着ローラ102と、加圧ローラ103と、磁束発生部104と、発熱制御部材105と、分離爪106を備える。
<定着ベルト101の構成>
定着ベルト101は、矢印A方向に周回駆動される略円筒状のベルトであり、図4に示すように表面115側から離型層111と、弾性層112と、発熱層113が、この順に積層されてなる。定着ベルト101の内径Dbは、40〔mm〕であり、径方向にある程度の力を加えると弾性変形するが、変形した状態から力を離して自由にすると自身の復元力により元の円筒状に戻るという、自己形状保持可能なものが用いられている。
定着ベルト101のベルト幅方向(定着ローラ102の軸方向に相当)長さは、最大サイズのシートの幅方向長さよりも長くなっている。図2では、最大サイズよりもサイズの小さい小サイズ紙が定着ニップ107を通過している様子を示している。
離型層111は、厚みが20〔μm〕のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などからなる。弾性層112は、厚みが10〜800〔μm〕、より好ましくは100〜300〔μm〕であり、JIS硬度が1〜80度、より好ましくは5〜30度の範囲内のシリコーンゴムやフッ素ゴムなどからなる。ここでは、厚みが200〔μm〕、JIS硬度が10度のシリコーンゴムが用いられる。
発熱層113は、厚みが5〜40〔μm〕の非磁性材、特に銅や銀等の高導電性の材料などから形成され、磁束発生部104から発せられる磁束により発熱する。ここでは、厚みが10〔μm〕の銅が用いられる。なお、非磁性材に限られず、磁性材として例えば40〜100〔μm〕のニッケルなどを用いることもできる。
なお、弾性層112と発熱層113の間に酸化防止層を設けるとしても良い。弾性層112と発熱層113の間に外気(空気)が入り込み、発熱層113の、弾性層112側の面に酸化皮膜ができると、この酸化皮膜により弾性層112と発熱層113の接着性が低下する場合があり、これを防止するものである。酸化防止層としては、非磁性かつ低抵抗材料、例えばニッケル、クロム、銀などで形成すると共に、厚みを薄く、具体的には0.5〜40〔μm〕の範囲とすることが望ましい。
<定着ローラ102の構成>
定着ローラ102は、長尺状の芯金121の周囲に弾性層122を介して表層123が積層されてなり、外径Drが36〔mm〕であり、定着ベルト101の周回経路(定着ベルト101が周回移動するときの走行路)内側に配される。
芯金121は、アルミニウムまたはステンレス等からなり、弾性層122は、ゴム材や樹脂材等からなり断熱層としても機能し、表層123は、PFAチューブなどからなる。断熱層122として、例えばシリコンスポンジ材を用いる場合には、厚みは1〜10〔mm〕の範囲が良く、2〜7〔mm〕のものがより好適である。この場合、アスカーC硬度は20〜60度の範囲が良く、30〜50度の範囲がより望ましい。なお、表層123を設けない構成とすることもできる。
<加圧ローラ103の構成>
加圧ローラ103は、長尺状の芯金131の周囲に、弾性層132を介して離型層133が積層されてなり、その外径が35〔mm〕であり、定着ベルト101の周回経路外側に配置され、定着ベルト101の外側から定着ベルト101を介して定着ローラ102を押圧して、定着ベルト101表面との間に定着ニップ107を確保する。本実施の形態では、400〜500〔N〕の荷重で押圧されており、定着ニップ107のシート搬送方向長さ(ニップ幅)L(図3)が11〜12〔mm〕になっている。
芯金131は、アルミニウム等からなり、弾性層132は、シリコーンスポンジゴム等からなり断熱層としても機能し、離型層133は、PFAやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コート等からなる。弾性層132の厚みは、3〜10〔mm〕の範囲が好ましく、離型層133の厚みは、10〜50〔μm〕の範囲が好ましい。
定着ローラ102と加圧ローラ103は、芯金121、131の軸方向両端部が図示しないフレームに軸受部材などを介して回転自在に支持されると共に、加圧ローラ103は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラ103の回転に従動して、定着ベルト101が矢印A方向に周回駆動されると共に定着ローラ102が同方向に回転駆動される。なお、定着ローラ102を駆動側、定着ベルト101と加圧ローラ103を従動側としても良い。
<磁束発生部104の構成>
磁束発生部104は、励磁コイル141と、メインコア142と、端部コア143と、裾コア144と、カバー145と、コイルボビン146を有し、定着ベルト101の周回経路外側であり、定着ベルト101を挟んで加圧ローラ103と相対する位置に、定着ベルト101に対し所定の間隔、例えば1〜2〔mm〕の間隔を空けた状態でベルト幅方向に沿うように配置される。
コイルボビン146は、定着ベルト101の周回方向(以下、「ベルト周回方向」という。)に沿って円弧状に湾曲してなる部材であり、ベルト幅方向両端部が図示しないフレームなどに固定されている。
励磁コイル141、メインコア142、端部コア143、裾コア144は、コイルボビン146の、定着ベルト101とは反対側の面上に配置される。
励磁コイル141は、高周波インバータを含む駆動回路(不図示)に接続され、その駆動回路からの高周波電力の供給により、定着ベルト101の発熱層113を加熱するための磁束を発生させる。本実施の形態では、高周波電力を20〜50〔kHz〕、100〜2000〔W〕としているが、これに限られることはない。
メインコア142は、アーチ形状のものであり、本実施の形態では、定着ローラ102の軸方向の幅が10〔mm〕のコア片が13個、当該軸方向に間隔を空けて配置される。メインコア142の形状は、アーチ状に限られず、例えば断面略E字状のものを用い、中央の突片が定着ローラ102側を向くように配置する構成をとるとしても良い。
端部コア143は、定着ローラ102の軸方向両端部に対応するそれぞれの位置に配され、本実施の形態では、横断面が四角形状で長さが5〜10〔mm〕のものが用いられる。裾コア144は、横断面が四角形状で定着ローラ102の軸方向長さと略同じ長さであり、コイルボビン146の、シート搬送方向上流側と下流側の端部それぞれの位置に長手方向が定着ローラ102の軸方向に沿うように配置される。これらコアは、高透磁率であり渦電流の損失が低い材料,例えばフェライトやパーマロイなどにより形成される。
励磁コイル141から発生される磁束は、メインコア142〜裾コア144により定着ベルト101に導かれ、定着ベルト101の発熱層113を貫き、発熱層113に渦電流を発生させて発熱層113を発熱させる。
この発熱した部分の熱が定着ベルト101の周回により定着ニップ107に伝わることにより定着ニップ107の領域(ニップ領域)が昇温される。なお、図示していないが定着ベルト101の温度を検出するためのセンサが別途配置されており、このセンサの検出信号により定着ベルト101の現在の温度を検出し、この検出温度に基づきニップ領域の温度が目標温度、例えば180〔℃〕に維持されるように励磁コイル141への電力供給が制御される。定着ニップ107の温度が目標温度に維持された状態でシートSが定着ニップ107を通過する際に、シートS上の未定着のトナー像が加熱、加圧されて当該シートS上に熱定着される。
<発熱制御部材105の構成>
発熱制御部材105は、定着ベルト101の周回経路内側かつ定着ベルト101を介して磁束発生部104に対向する位置に配置される。発熱制御部材105は、厚みが0.2〜2〔mm〕の板状部材であり、定着ベルト101の裏面116の曲率に略等しくなるようにベルト周回方向に沿って湾曲する断面円弧状であると共に、ベルト幅方向長さが定着ベルト101の幅よりも長い長尺状の部材であり、その長さ方向両端部が不図示のフレームに固定されており、定着ベルト101および定着ローラ102に接していない。
発熱制御部材105は、図4に示すように定着ベルト101の裏面116に近い方から発熱制御層118、低抵抗導電層119の順にこれらが積層されてなる。
発熱制御層118は、目標温度と同程度の温度にキュリー点を有する鉄、ニッケル、パーマロイなどからなり、キュリー温度を超えると磁性体から非磁性体に変化し、キュリー温度以下になると磁性を取り戻す可逆的な変化特性を有する。本実施の形態では、キュリー温度が目標温度よりも20〔℃〕高い温度のパーマロイが用いられる。一方、低抵抗導電層119は、銅またはアルミニウムなどの電気抵抗率の低い材料からなる。
この発熱制御層118と低抵抗導電層119により、多数枚の小サイズのシートを連続してプリントする場合の過昇温を防止することができる。すなわち、当該プリント中に定着ベルト101のうち、ベルト幅方向に小サイズのシートが通過しない両端側の部分(非通紙部)P(図2)の温度が、当該シートに熱が奪われないために目標温度より上昇してキュリー温度に達すると、発熱制御層118の非通紙部Pに対応する部分が磁性体から非磁性体に変化する。発熱制御層118の非通紙部Pに対応する部分が非磁性体に変化すると、その変化した部分については磁束発生部104からの磁束が発熱層113から発熱制御層118を介して低抵抗導電層119に通り抜け易くなる。
低抵抗導電層119の非通紙部Pに対応する部分では、当該対応する部分を通過する磁束に対して、打ち消す方向の磁束が発生し、この打ち消す方向の磁束の発生により、発熱層113のうち非通紙部Pに対応する部分の発熱が抑制される。このような作用により非通紙部Pに対応する部分の温度がキュリー温度を大幅に超えることがなくなり、定着ベルト101にダメージを与えるような過昇温に至ることが防止されるものである。
キュリー温度は、過昇温を防止できる温度であれば上記の温度に限られることはない。また、発熱制御層118と低抵抗導電層119の素材や発熱制御部材105の厚みなどの寸法についても上記のものに限られない。
なお、定着ベルト101の裏面116と発熱制御層118の表面とは、僅かな隙間(空間)が空いているだけなので、定着ベルト101が周回駆動されると、周回中に発生する定着ベルト101の振れの大きさによっては、定着ベルト101の裏面116と発熱制御層118の表面のある部分同士が一時的に接する場合があるが、この程度の接触では定着ベルト101の熱の、発熱制御部材105への伝熱ロスが問題になることはない。
<分離爪106について>
分離爪106(図3)は、その先端が定着ベルト101の表面115に接触または近接する位置に配され、定着ニップ107を通過したシートSが定着ベルト101の表面115から曲率分離されずに表面115に張り付いたままであれば、そのシートSの搬送方向先端に係合して強制的に定着ベルト101から分離させる。
本実施の形態のように発熱層113を有する定着ベルト101の周回経路の内側に定着ローラ102を配置し、定着ニップ107を除いて定着ベルト101と定着ローラ102の間に空間を設けつつ、その空間には定着ベルト101をその径方向外側に向けて張力を付与するためのテンション部材を設けない構成(以下、「隙間嵌め構成」という。)を採用すれば、次のような効果を得られる。すなわち、隙間嵌め構成では、定着ベルト101が定着ローラ102と接する領域が定着ニップ107だけになるので、上記の特許文献1のようにベルトを用いずに定着ローラ表面に発熱層を設けたために発熱層から発せられる熱がローラ周方向全域に渡って芯金(軸芯)に逃げるといった伝熱ロスを低減できる。
また、特許文献2のように定着ベルトを定着ローラとテンション部材を兼ねる発熱部材とで張架して定着ベルトに一定のテンションを作用させる構成のために、発熱部材(テンション部材)の高強度化により熱容量化が大きくなるといったことがなく、それだけ低熱容量化を実現でき、昇温速度を速めてウォームアップ時間の短縮化を図れる。
本実施の形態では、隙間嵌め構成の一例として、定着ベルト101の内径Dbを40〔mm〕、定着ローラ102の外径Drを34〔mm〕とした場合の構成を説明した。隙間嵌め構成をとれば、特許文献1の構成に比べて伝熱ロスを低減できることは上述した通りであるが、その一方で定着ローラ102に対し定着ベルト101の内径Dbを大きくしすぎると(周長を長くしすぎると)、定着ベルト101自体の熱容量が増えることになり、昇温速度の向上を図れなくなってしまう。
そこで、本発明者は、定着ベルト101の内径Dbに対する定着ローラ102の外径Drの割合について、定着ベルト101の昇温速度をより向上できる範囲を実験等から導き出した。以下、具体的に説明する。
〔3〕定着ベルト101の内径Dbと定着ローラ102の外径Drの範囲
図5は、定着ニップ107のニップ加重とニップ幅Lの関係を示すグラフであり、図6は、定着ベルト101の内径Dbに対する定着ローラ102の外径Drの割合X(=Db/Dr)と、昇温速度比Yおよびベルトばたつき量Zとの関係を示すグラフである。
ここで、図5は、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101と、外径が35〔mm〕の加圧ローラ103を用いた場合であり、定着ローラ102については外径Drが32、34、34.5、36、40〔mm〕の5種類のものを順に一つずつ取り代えて、それぞれのローラについて定着ニップ107の温度を180〔℃〕に維持しつつニップ荷重を小から大に順に変化させたときのニップ幅Lを計測した結果を示している。同図では、外径Drが34〔mm〕と34.5〔mm〕に対するグラフが重なって示されている。
ニップ荷重は、加圧ローラ103の定着ローラ102に対する押圧力をニュートン(N)の単位で表わしている。なお、定着ローラ102の外径Drが40〔mm〕ということは、定着ベルト101の内径Dbが40〔mm〕なので、定着ベルトの裏面と定着ローラの表面が密着している構成(密着構成)に相当する。
内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101は、通常、プリント速度が40〜65〔枚/分〕、システム速度(感光体ドラムの周速やシート搬送速度などに相当)でいえば、200〜350〔mm/秒〕程度という中高速のプリンタに用いられるものである。本実施の形態に係るプリンタ1は、システム速度が310〔mm/秒〕の例によるものである。
同図に示すように、ニップ荷重が大きくなるに連れてニップ幅Lが大きくなっており、ニップ荷重とニップ幅Lが略比例の関係にあることが判る。プリント速度が40〜65〔枚/分〕の場合、ニップ荷重が500〔N〕以下、かつニップ幅Lが11〔mm〕以上が望ましいことが経験的に判っている。
これは、ニップ荷重ついては、500〔N〕を超えると加圧ローラ103の耐久性の問題が生じてくるからであり、ニップ幅については、11〔mm〕よりも小さくすると、中高速機におけるシステム速度が速いことからシートSが定着ニップ107を通過するのに要する時間が短くなって、定着ニップ107の通過中にトナー粒子をシートS上に良好に定着できなくおそれがあるからである。なお、定着ニップ107の通過時間としては、40〜60〔ms〕以上が望ましい。
同図のグラフから、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101を用いる場合には、外径Drが32〔mm〕の定着ローラを除く34〜40〔mm〕の定着ローラを用いれば、荷重が400〜500〔N〕の範囲でニップ幅Lを11〔mm〕以上とれることが判る。また、定着ローラ102の外径Drとニップ幅Lとの関係を見ると、外径Drが40〔mm〕のものよりも36〔mm〕のものの方がニップ幅Lを大きくとれることが判る。このようになるのは、密着構成よりも隙間嵌め構成の方が定着ニップ107において定着ベルト101と定着ローラ102の間に隙間ができ易く、定着ローラ102の弾性層122が変形し易くなるからであると考えられる。外径Drが36〔mm〕よりも小さい34や34.5〔mm〕のローラでも荷重400〜500〔N〕の範囲では40〔mm〕のものと同程度のニップ幅Lが得られている。このことから、隙間嵌め構成は、ニップ幅Lをより大きくとるのにも有効といえる。
上記では、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合の例を説明したが、例えば内径Dbが50〔mm〕の定着ベルト101に、外径Drが32〜50〔mm〕の範囲内で径の異なる定着ローラ102それぞれを組み合わせた場合には、図5に示す各直線のグラフが全体的に上側にシフトしたようなグラフになり、荷重500〔N〕以下の範囲内でニップ幅Lを11〔mm〕以上とれることが判った。
図6は、内径Dbが40〔mm〕と50〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合のそれぞれについて、割合Xと昇温速度比Y、割合Xとベルトばたつき量Zとの関係を示している。また、グラフの右側に位置する表の「ベルト内径/ローラ外径」は、定着ベルト101と定着ローラ102の組み合わせの例を示している。以下、定着ベルト101と定着ローラ102の組み合わせを言う場合には、その数値だけで、例えば「40/40」、「40/39」などと簡略表記する。グラフ中にプロットされた点は、右側の表に示す割合Xの各値、例えばベルト内径Dbが40〔mm〕の場合であれば、「1.00」、「1.03」・・「1.60」に対応している。
昇温速度比Yは、密着構成をとったときの昇温速度Va(基準値)に対する、隙間嵌め構成をとったときの昇温速度Vbの比率を百分率で表したものであり、Y=(Vb/Va)×100〔%〕の式で求められる。ここで、昇温速度は、定着ニップ107における単位時間当たりの温度上昇の大きさで表される。例えば、定着ニップ107をある温度(例えば25〔℃〕)から目標温度(ここでは180〔℃〕)まで昇温させるとした場合に、その温度差(155〔℃〕)を昇温に要した時間Tで除することにより求められる。
同図のグラフは、密着構成(X=1)に対する隙間嵌め構成(X>1)の昇温速度比を示すので、X=1のときにVa=Vbになり、Y=100〔%〕としている。
隙間嵌め構成(X>1)では、同図のグラフに示すように、割合Xの大きさによって昇温速度比Yの値が100〔%〕を超えたり、100〔%〕以下になったりする。以下、隙間嵌め構成をとった場合について、プロットされた点ごとに、昇温速度比Yをどのように求めたかを具体的に説明する。
(a)「40/39」〔X=1.03〕の組み合わせについて
まず、「40/39」の組の定着装置を製作し、この定着装置における昇温速度Vbを計測する。次に、「39/39」の別の組の定着装置を製作し、この定着装置における昇温速度Vaを計測する。計測条件(昇温開始温度と目標温度など)は、同じである。そして、各計測結果を上記の式に代入することにより昇温速度比Yを計算する。
すなわち、ローラ外径Drをある値(ここでは、39〔mm〕)としたときに、そのローラ外径Drとベルト内径Dbが同じになる組(密着構成)と、そのローラ外径Drよりもベルト内径Dbが大きくなる別の組(隙間嵌め構成)をそれぞれ用意し、それぞれの構成についての昇温速度の比率をとったものである。
グラフからX=1.03のときYの値が120〔%〕になっており、100〔%〕を超えている。昇温速度比Yは、X>1では、密着構成の昇温速度Vaに対する、隙間嵌め構成の昇温速度Vbの比率であるから、Y=120〔%〕ということは、「40/39」の組み合わせにすれば、同じ径の定着ローラを用いる「39/39」(X=1)の密着構成よりも昇温速度が比率の上昇分だけ速くなっていることになる。昇温速度が速くなっているということは、ウォームアップ時間がそれだけ短くなっていることになる。
(b)「40/38」〔X=1.05〕の組み合わせについて
「40/38」の組の定着装置における昇温速度Vbを計測し、次に「38/38」の別の定着装置の組における昇温速度Vaを計測し、各計測結果を上記の式に代入することにより昇温速度比Yを計算した。グラフからX=1.05のときYの値が130〔%〕になっており、「40/38」の組み合わせにすれば、同じ径の定着ローラを用いる「38/38」(X=1)の密着構成よりも昇温速度が速くなっていることが判る。
(c)「40/25」〔X=1.60〕の組み合わせについて
「40/25」の定着装置における昇温速度Vbを計測し、次に「25/25」の別の定着装置における昇温速度Vaを計測し、各計測結果を上記の式に代入することにより昇温速度比Yを計算した。グラフからX=1.60のときYの値が80〔%〕になっており、上記とは逆に、同じ径の定着ローラを用いる「25/25」(X=1)の密着構成よりもその比率の減少分だけ昇温速度が遅くなっていることが判る。昇温速度が遅くなっているということは、ウォームアップ時間がそれだけ長くなっていることになる。なお、昇温速度比Yの計算の方法は、他の組み合わせのもの、および内径Dbが50〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合も同様である。
昇温速度比Yを示すグラフを見ると、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルトも50〔mm〕の定着ベルトも略同様に、X=1のときY=100〔%〕であり、Xの値が1から大きくなるに連れて、Yの値が100〔%〕から大きくなって、Xがある値になるとYの値がピーク(最大)になる。そして、Xがある値からさらに大きくなるに連れて、Yの値がピークから小さくなって行き、やがて100〔%〕を下回っていることが判る。
このように昇温速度比Yが100〔%〕よりも大きくなる範囲があるのは、上述のように密着構成よりも隙間嵌め構成の方が伝熱ロスを抑制できるからである。逆に、隙間嵌め構成でも昇温速度比Yが100〔%〕より小さくなる範囲があるのは、定着ベルト101の周長が長くなり過ぎてベルト自身の熱容量が大きくなって昇温速度が遅くなってしまうからである。昇温速度比Yがピーク値になるときのXの値は、伝熱ロスの抑制による熱容量の低減効果が最大になる組み合わせ構成をとったときのXの値に相当する。
昇温速度比Yの値がピーク値から小さくなって行くのは、割合Xの値が大きくなるに連れて、密着構成に対してベルト周長が長くなり、そのベルト自身の熱容量の増大により、伝熱ロスの抑制による熱容量の低減効果が薄れて行くからである。昇温速度比Yの値が100〔%〕よりも小さくなるのは、ベルト自身の熱容量の増大量が伝熱ロスの抑制による熱容量の低減効果を超えてしまったことによる。
図6の昇温速度比Yのグラフから、プロットしている各点のうち、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合にYの値が100〔%〕を超えている点に対するXの値の範囲は、1.03〜1.18であり、このXの範囲に対応する定着ローラ102の外径Drは、34〜39〔mm〕になる。外径Drが34〜39〔mm〕の範囲とは、図5によるニップ荷重とニップ幅Lの関係に基づく定着ローラ102の外径Drの適正範囲(34〜40〔mm〕)内に入っている。
従って、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101を用いる場合、外径Drが34〜39〔mm〕の定着ローラ102を用いれば、ニップ幅Lの確保と共にウォームアップ時間の短縮化をも図れるということになる。
一方、内径Dbが50〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合のグラフから、Yの値が100〔%〕を超えているプロット点に対する割合Xの値の範囲は、1.04〜1.19であり、この割合Xの範囲に対応する定着ローラ102の外径Drは、42〜48〔mm〕になる。上述のように内径Dbが50〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合、定着ローラ102の外径Drは、32〜50〔mm〕の範囲でニップ幅Lを11〔mm〕以上確保できることが判っているので、外径Drが42〜48〔mm〕の定着ローラ102を用いれば、ニップ幅Lの確保と共にウォームアップ時間の短縮化を図れることになる。
<ベルトばたつき量Zについて>
ベルトばたつき量Zとは、定着ニップ107の出口からベルト周回方向に定着ニップ107の入口までの間のある位置において、周回中の定着ベルト101の径方向における変移量(ストローク量)を計測したときのその変移量のことである。
本実験における、ある位置とは、コイルボビン146の、ベルト周回方向最上流の側端部の位置である。このような位置でベルトばたつき量Zを計測したのは、通常、定着ニップ107の出口から出た直後の方が入口に入る直前よりもばたつきが大きくなるので、ベルトばたつき量Zの最大値を計測することができるからである。
ベルトばたつき量Zが大きくなると、定着ベルト101の周回中にその表面115がコイルボビン146や分離爪106に当たり表面115に傷が付き易くなる。表面115に付いた傷により表面115が凹凸状になり、その凹凸状になった部分で定着ニップ107においてトナー像が加圧されると、定着後のトナー像の表面も凹凸状になってしまい、再現画像の光沢性が劣化するなどの画像のノイズが発生するおそれがある。
また、定着ベルト101が分離爪106に当たることにより分離爪106の先端にトナーが付着する場合があり、付着したトナーが蓄積されて塊になり、分離爪106の先端からシート搬送路に落下してシートSを汚すおそれも生じる。
これらのことからベルトばたつき量Zは、小さければ小さい方が良いことになるが、隙間嵌め構成では、定着ベルト101にある程度のばたつきが生じてしまうので、画質劣化に至らない程度の量以下に抑えることが求められる。例えば、1.0〔mm〕以下、より望ましくは0.8〔mm〕以下に抑えるようにすれば良い。1.0〔mm〕を超えると、定着ベルト101とコイルボビン146との間隔(1〜2mm)の大きさからしてベルト傷つきの発生が起こり易くなり、0.8〔mm〕以下に抑えると画像ノイズやシート汚れの発生をほぼ防止できることが確認された。
ベルトばたつき量Zのグラフから、内径Dbが40〔mm〕の定着ベルト101を用いる場合、Zの値が0.8〔mm〕以下になるXの値の範囲は、1.18以下であり、この範囲には、Y>100〔%〕の範囲(X=1.03〜1.18)が含まれている。
一方、内径Dbが50〔mm〕の定着ベルト101を用いる場合、Zの値が1.0〔mm〕以下になるXの値の範囲は、1.19以下であり、この範囲には、Y>100〔%〕の範囲(X=1.04〜1.19)が含まれている。なお、内径Db=50〔mm〕の定着ベルト101を用いる場合、Zの値が0.8〔mm〕以下になるXの値の範囲は、1.09以下になっていることから、Xの範囲を1.04〜1.09とすれば、ウォームアップ時間の短縮化と共に画像ノイズなどのさらなる発生の防止を図れることになる。
以上、説明したように、隙間嵌め構成をとりつつローラ外径に対するベルト内径(ベルト長)を規制することにより、密着構成よりも伝熱ロスを抑制でき、かつ、その伝熱ロスの抑制(低熱容量化)の効果がベルト長を長くしすぎたためにベルト自身の熱容量が増大して消えてしまうといったことを防止できるので、ベルトの昇温速度をより高速化でき、もってウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。また、定着ベルトを張架するための別のテンション部材を設けなくてもベルトばらつき量Zを十分に小さくできるので、上記の特許文献2の構成に比べて低熱容量化を図ることができる。特に、上述の中高速のプリンタでは、ベルト長やローラ径が低速機に比べて大きくなりウォームアップ時間が長くなる傾向にあることから、より効果的である。
上記図6の昇温速度比Yのグラフは、内径Dbが40と50〔mm〕の定着ベルト101を用いた場合の例を示したものであるが、昇温速度比Yが上記のような形状の曲線を描くグラフになることは、内径Dbが40と50〔mm〕のものに限られず、他の径のものでも略同様の形状のグラフになる。例えば、40<Db<50〔mm〕の範囲については、図6の40〔mm〕の場合のグラフと50〔mm〕の場合のグラフの間に位置する曲線を描くグラフになる。このグラフでも、1<X≦1.18の範囲をとれば、内径Db=40〔mm〕とDb=50〔mm〕双方の場合と同様に、隙間嵌め構成をとりつつ、Y>100〔%〕になって昇温速度を密着構成よりも高速化することができる。
また、例えば50<Db≦60〔mm〕の範囲のグラフでは、X=1のときY=100〔%〕であり、Xが1から大きくなるに連れてYの値が大きくなり、Yのピーク値は、50〔mm〕の曲線よりもやや大き目(数%程度)になる。ピークをすぎると、Yの値が下降して行き、X=1.2付近で100〔%〕になり、100〔%〕を下回る部分では、50〔mm〕の曲線よりも数%程度、Yの値が小さい範囲を50〔mm〕の曲線に沿って下降して行くグラフになる。このグラフでも、1<X≦1.18の範囲にすれば、Y>100〔%〕になり、昇温速度の高速化を図ることができる。内径が60〔mm〕を超える場合についても同様の曲線形状を描く。
逆に、内径が40〔mm〕よりも小さいもの、例えば30≦Db<40〔mm〕の範囲では、Yのピーク値が40〔mm〕の場合よりもやや小さくなり、100〔%〕を下回る部分では、40〔mm〕の曲線よりも数%程度、Yの値が大きい範囲を40〔mm〕の曲線に沿って下降していくグラフになる。このグラフでも、少なくともX≦1.18の範囲にすれば、Y>100〔%〕を得られる。
このように定着ベルト101の内径Dbと定着ローラ102の外径Drの関係は、上記の数値の組み合わせに関らず、図6に示す形状と略同じ曲線形状のグラフになることが判り、この結果から、1<X≦1.18の範囲を満たせば、Y>100〔%〕になって昇温速度を高速化によるウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。
割合Xの値は、1<X≦1.18の範囲内で決めれば良いが、Yがピーク値またはその直近の値になるときのXの値に設定されることがより好ましい。実験などから適正値が予め決められる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、発熱制御部材105が発熱制御層118と低抵抗導電層119を含む構成としたが、これに限られない。例えば、発熱制御層118を定着ベルト101側に設け、発熱制御部材105を低抵抗導電層119からなるものとすることもできる。この場合、定着ベルト101の層構成は、表面側から裏面側にかけて、離型層111、弾性層112、発熱層113、発熱制御層118の順とされる。また、発熱制御部材105は、小サイズ紙における過昇温防止を目的に設けられるものであるので、例えば小サイズ紙を用いても過昇温にまで至らない構成や、小サイズ紙が通紙されない構成などの場合には、発熱制御部材105自体を設けない構成としても良い。
(2)上記実施の形態では、本発明に係る定着装置および画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関らず、略円筒状をした定着ベルトの周回経路の内側に配された定着ローラをその周回経路の外側から定着ベルトを介して加圧ローラで押圧して定着ニップを確保すると共に、定着ベルトの誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる磁束発生部を定着ベルトの周回経路の外側に配置する構成の電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
(3)また、定着ローラ102と加圧ローラ103を左右の位置関係になるように配置する構成例(図2)を説明したが、これに限られず、例えば定着ローラ102と加圧ローラ103を上下の位置関係になるように配置する構成にも適用できる。
さらに、シート搬送方式としてセンター基準の構成例を説明したが、これに限られない。例えば、シートSの搬送路幅方向一端側の辺が搬送路35の一方端側に設けられた基準位置に沿うようにシートSを搬送する、いわゆる片側基準の搬送方式にも適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置に適用することができる。
プリンタの全体の構成を示す図である。 プリンタに配される定着部の構成を示す斜視図である。 定着部の構成を示す横断面図である。 定着部に備えられる定着ベルトの断面図である。 定着ニップのニップ加重とニップ幅Lの関係を示すグラフである。 定着ベルトの内径Dbに対する定着ローラの外径Drの割合X(=Db/Dr)と、昇温速度比Yおよびベルトばたつき量Zとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 プリンタ
40 定着部
101 定着ベルト
102 定着ローラ
103 加圧ローラ
104 磁束発生部
107 定着ニップ
Db 定着ベルトの内径
Dr 定着ローラの外径
L ニップ幅
X ベルト内径Db/ローラ外径Dr
Y 昇温速度比

Claims (9)

  1. 未定着画像が形成されたシートを定着ニップを通過させることにより、当該未定着画像を加熱、加圧により当該シート上に定着する電磁誘導加熱方式の定着装置であって、
    周回駆動される、誘導発熱層を有する略円筒状のベルトと、
    前記ベルトの周回経路の内側に配された第1ローラと、
    前記ベルトの周回経路の外側から前記ベルトを介して前記第1ローラを押圧して、当該ベルト表面との間に前記定着ニップを確保する第2ローラと、
    前記ベルトの周回経路の外側に配され、前記ベルトの誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる磁束発生部と、を備え、
    前記第1ローラの外径に対する前記ベルトの内径の割合Xが、1<X≦1.18の範囲であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記ベルトの内径が40〜50〔mm〕の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記ベルトの内径が40〔mm〕の場合に、前記第1ローラの外径が34〜39〔mm〕の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記第1ローラの外径が36〜38〔mm〕の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記ベルトの内径が50〔mm〕の場合に、前記第1ローラの外径が44〜48〔mm〕の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  6. 前記第1ローラの外径が46〜48〔mm〕の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記定着ニップのシート搬送方向におけるニップ幅が、11〔mm〕以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記割合Xを前記範囲外であるX=1の構成をとったとしたときの前記ベルトにおける単位時間当たりの温度上昇の大きさを示す昇温速度をVa、前記割合Xを前記範囲内のいずれかの値の構成をとったときの前記ベルトにおける単位時間当たりの温度上昇の大きさを示す昇温速度をVb、前記VbをVaで除して得られる値を昇温速度比Yとしたとき、
    前記XとYの関係を示すグラフが、Xの値が前記範囲内において大きくなるに連れてYの値が増加しつつ1つのピークを境に減少して行く曲線を描くものである場合に、
    前記Xの値は、前記Yが前記1つのピークまたはそのピークの直近の値になるときの値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. シート上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を定着部により定着する画像形成装置であって、
    前記定着部として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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