JP2007108212A - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導発熱用ベルト内にスポンジローラを非接着で挿入した構成であって,磁束発生部や熱均しローラの配置の自由度が高い定着装置を提供すること。
【解決手段】定着装置100は,定着ローラ1と,加圧ローラ2と,熱均しローラ8とを備え,定着ローラ1の外側には励磁コイルが対峙している。また,定着ローラ1は,断熱層12上に非接着の誘導発熱用ベルト7が外装されている。加圧ローラ2の幅は,定着ローラ1の幅や誘導加熱用ベルト7の幅よりも大きい。また,加圧ローラ2の端部には,誘導発熱用ベルト7の軸方向への蛇行を規制する蛇行規制部材9が設けられている。
【選択図】 図6

Description

本発明は,トナー画像を記録媒体に加熱定着させる電磁誘導加熱方式の定着装置に関する。さらに詳細には,電磁誘導発熱する発熱層を備えた発熱ベルトを有する定着装置に関するものである。
従来から,電子写真方式の画像形成装置では,トナー画像を記録紙に定着させる定着装置が備えられている。定着装置としては,加熱ローラ(定着ローラ)と加圧ローラとからなるローラ対を備え,そのローラ対のニップ部を記録紙が通過することによりトナー画像の定着を図るローラ方式が広く採用されている。このローラ方式の定着装置では,ハロゲンヒータ等の熱源により定着ローラの表層が熱せられ,その熱やローラの圧力によってトナー像を記録紙に定着させる。
また,消費電力の低減,起動時間の短縮化の観点から,電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されている。電磁誘導加熱方式の定着装置では,磁束発生部からの磁束によって定着ローラ内の電磁誘導発熱層での発熱を促している。そして,電磁誘導加熱方式の定着装置は,発熱層を直接加熱できるという特徴によってハロゲンヒータと比較して定着部材の熱容量が小さい構成とすることが可能となる。これにより,熱効率を向上させることが可能となる。また,近年,さらなる効率化と起動の迅速性を求め,発熱層の厚みを薄くすることによって熱容量を低減した電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されている(例えば,特許文献1,特許文献2)。
また,電磁誘導加熱方式の定着装置は,発熱層の熱容量を小さくすることで,さらなる効率化と起動時間の短縮化を図ることができる。発熱層の熱容量が小さい定着装置として,例えば,誘導発熱層を有するベルト部材(誘導発熱用ベルト)を備え,その誘導発熱用ベルトを定着ローラに外装した定着装置が提案されている。この定着装置では,誘導発熱用ベルトと加圧ローラとのニップ部に未定着像を担持した記録紙を挟持搬送して未定着像を記録紙に溶融定着させる。
さらに,別の構成として,誘導発熱用ベルト内にスポンジローラを挿入し,スポンジローラと誘導発熱用ベルトとは接着しない定着装置が提案されている。誘導発熱用ベルトをスポンジローラに接着しないで使用することで,接着した定着ローラと比較して接着コストを抑制するとともに,誘導発熱用ベルトとスポンジローラとの界面における接着性の低下の問題をなくして製品寿命を延ばすことができる。
特開2000−214714号公報 特開2000−214713号公報
しかしながら,誘導発熱用ベルトを利用する定着装置には,次のような問題があった。すなわち,誘導発熱用ベルトは,回転軸に固定されていないため,回転にともなって軸方向に蛇行する。そのため,その蛇行を規制するための蛇行規制部材を定着ローラの端部に配置している。しかし,その蛇行規制部材が磁束発生部の設置の妨げとなり,磁束発生部を定着ローラに近接させることが困難になっている。
また,定着ローラに熱均しローラを当接しようとすると,蛇行規制部材が妨げとなって定着ローラの幅(軸方向の長さ)以上の幅を有する熱均しローラを配置することができない。また,熱均しローラの幅が定着ローラの幅以下であれば,蛇行規制部材があったとしても熱均しローラを配置することができる。しかし,定着ローラと熱均しローラとの圧接端部に応力が集中し,ローラ表面の破損等の不具合が生じる。そのため,定着ローラに熱均しローラを配置することができない。
本発明は,前記した従来の定着装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,誘導発熱用ベルト内にスポンジローラを非接着で挿入した構成であって,磁束発生部や熱均しローラの配置の自由度が高い定着装置を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた定着装置は,記録媒体上の画像を記録媒体に定着させる電磁誘導加熱方式の定着装置であって,電磁誘導発熱する発熱層を備えた無端状の発熱ベルトと,その発熱ベルト内に発熱ベルトとは非接着で収容された弾性層とを備えた定着ローラと,発熱ベルトの幅以上の幅である弾性層を備え,定着ローラに圧接する加圧ローラと,加圧ローラの少なくとも一方の端部に位置し,発熱ベルトの軸方向への移動を規制する規制部材と,定着ローラと対峙し,定着ローラの軸方向に沿って配置された励磁コイルとを有することを特徴としている。
すなわち,本発明の定着装置は,定着ローラと加圧ローラとの間でニップ部を形成し,そのニップ部に記録媒体を搬送することで未定着画像を溶融定着させる。また,本発明の定着装置は,電磁誘導加熱方式であり,励磁コイルが定着ローラと対峙し,励磁コイルへの電力供給によって磁場が発生する。そして,その磁場の発生により発熱ベルトの発熱層(電磁誘導発熱層)に渦電流が生じ,その発熱層が加熱される。
また,定着ローラは,電磁誘導発熱する発熱層を備えた発熱ベルトの内側に弾性層を備え,発熱ベルトと弾性層とが非接着になる構成を有している。また,加圧ローラは,軸方向の長さ,すなわち幅が発熱ベルトの幅よりも大きい。また,加圧ローラの少なくとも一方の端部には,規制部材が配置されている。この規制部材により,定着ローラの弾性層に非接着で外装された発熱ベルトの蛇行を規制する。規制部材としては,例えば加圧ローラの外径よりも径が大きい円状板材がある。
この規制部材は,加圧ローラの端部に配置されている。すなわち,定着ローラに配置されていない。このことから,規制部材は,定着ローラ側に位置する励磁コイルの配置を妨げない。よって,励磁コイルと定着ローラとを近接させることが容易である。また,熱均しローラを定着ローラに接触させる際も,規制部材は熱均しローラの配置を妨げない。なお,熱均しローラの幅が定着ローラの弾性層の幅以上であると,定着ローラとの圧接端部での応力集中を回避することができる。
また,加圧ローラの弾性層の端部領域の厚みは,端部に向かうほど薄いこととするとよりよい。なお,端部領域とは,端部を含む端部近傍の領域を意味する。加圧ローラの弾性層の端部領域において,加圧ローラの弾性層の厚みを端部に向かって徐々に薄くすることにより,加圧ローラが定着ローラから徐々に離間する構成になる。よって,端部でのニップ圧の集中を回避することができる。
また,定着ローラの弾性層の幅は,加圧ローラの弾性層の幅と同一長であることとするとよりよい。すなわち,両ローラの弾性層の幅を同一長とすることで,ニップ端部での発熱ベルトの屈曲を回避することができる。また,定着ローラの弾性層が規制部材と接することになるため,発熱ベルトの規制部材に対するストレスも軽減される。
また,規制部材は,発熱ベルトとの接触面に加圧ローラと同心円状の凹部が設けられ,その凹部の内径が加圧ローラの外径よりも小さく,外径が加圧ローラの外径よりも大きいこととするとよりよい。これにより,加圧ローラと定着ローラ(発熱ベルト)とのニップ部が規制部材に直接接触することが回避され,発熱ベルトの規制部材に対するストレスが軽減される。
本発明によれば,加圧ローラ側に配置された規制部材によって誘導発熱用ベルトの蛇行を規制するため,磁束発生部や熱均しローラの配置を妨げない。よって,誘導発熱用ベルト内にスポンジローラを非接着で挿入した構成であって,磁束発生部や熱均しローラの配置の自由度が高い定着装置が実現している。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,電子写真方式のプリンタに備えられた電磁誘導加熱方式の定着装置に本発明を適用したものである。
本形態の画像形成装置は,電子写真方式のレーザプリンタであり,図1に示すように光学系にレーザ発振器102と,ポリゴンミラー103と,反射ミラー104とが配置され,画像プロセス部に感光体ドラム101と,帯電チャージャ105と,現像器106と,転写チャージャ107と,クリーニングブレード108とが配置されている。また,搬送部に給紙ローラ109と,排紙ローラ115と,給紙センサ110と,排紙センサ114と,定着装置100等とが配置されている。
次に,上記のように構成されたレーザプリンタの動作を簡単に説明する。感光体ドラム101は図1中矢印方向に回転しており,帯電チャージャ105により表面を一様に帯電させられる。また,画像信号に基づいて,レーザ発振器102からレーザ光が変調発光される。このレーザ光は,ポリゴンミラー103により主走査方向に走査され,反射ミラー104により反射されて感光体ドラム101に入射する。これにより,感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器106により現像されてトナー像となる。トナー像は,感光体ドラム101に対向して配置された転写チャージャ107により,給紙ローラ109によって給紙された記録紙P上に転写される。その後,トナー像が転写された記録紙Pは,定着装置100において加熱され,その熱によりトナー像が溶融して記録紙P上に定着される。画像定着後,記録紙Pは,排紙ローラ115により装置外に排出される。以上の動作により,1枚分のプリントが行われる。
続いて,本形態のレーザプリンタに備えられている定着装置100の構成について説明する。定着装置100は,電磁誘導加熱方式の定着装置であり,図2に示すように定着ローラ1と,加圧ローラ2と,磁束発生部3と,温度センサ4と,熱均しローラ8とを有している。
定着ローラ1と加圧ローラ2とは長手方向(軸方向)に並行配置されている。加圧ローラ2は,モータ等の駆動機構により所定の速度で回転駆動される。また,加圧ローラ2は,バネ等の付勢部材によって定着ローラ1側に付勢されており,定着ローラ1との間でニップ部を形成している。さらに定着ローラ1は,加圧ローラ2との圧接摩擦力によって定着ローラ1の回転に従動回転するように設けられている。
定着ローラ1は,図3に示すように,芯金11上に,断熱層12が順次積層されている。さらに,断熱層12の外側には,誘導発熱用ベルト7が非接着で外装されている。誘導発熱用ベルト7は,内側から順に,電磁誘導発熱層73,弾性層74,および離型層75が積層されている。定着ローラ1と誘導発熱用ベルト7とを非接着とすることで,ベルトとローラとの接着剥がれの問題を回避し,長寿命化が図られる。また,ベルトの接着コストも削減できる。
定着ローラ1の支持層としての芯金11は,厚さが3mm程度のアルミパイプである。なお,芯金11には,鉄やPPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性樹脂を使用することも可能である。なお,芯金11が発熱するのを防ぐために電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性材料を用いるのが好ましい。
支持層としての芯金11は,厚さが3mm程度のアルミパイプである。なお,芯金11には,鉄やPPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性樹脂を使用することも可能である。なお,芯金11が発熱するのを防ぐために電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性材料を用いるのが好ましい。
断熱層12は,誘導発熱用ベルト7の電磁誘導発熱層73を断熱保持するための層であり,耐熱性や弾性を有する部材(例えば,ゴム材や樹脂材)のスポンジ体が適用される。また,ゴム材や樹脂材のスポンジ体を用いると,電磁誘導発熱層73を断熱保持するとともに,電磁誘導発熱層73のたわみを許容し,ニップ幅(記録紙の搬送方向の長さ)を増やすことができる。そして,ローラ硬度を小さくし,排紙性および記録紙の分離性の向上を図ることができる。例えば,断熱層12にシリコンスポンジ材を適用する場合には,厚さが2mm〜10mm,望ましくは3mm〜10mmの範囲内に,また硬度がアスカーゴム硬度計で20度〜60度,望ましくは30度〜50度の範囲内にそれぞれ設定される。
また,断熱層12の代わりに,下層にソリッドゴム層,表層にスポンジゴム層の2層構造を用いると,耐久性の向上を図ることができる。このような構造を有するローラは,特に高荷重や高速回転のような比較的過酷な条件で使用される場合や,ニップ幅の確保のために断熱層12の厚みを厚く設定する場合や,柔らかいスポンジ層を使用する場合に,ゴムの破断を防ぐことができる。
また,定着ローラ1の最外層に,誘導発熱用ベルト7の内面との摩擦力を軽減し,ベルト蛇行力を抑制するための低摩擦層を設けてもよい。低摩擦層としては,例えば,PFA,PTFE,FEP,PFEP等のフッ素樹脂が適用可能である。低摩擦層の厚さは,5μm〜100μm,好ましくは10μm〜50μmの範囲内であればよい。
誘導発熱用ベルト7の電磁誘導発熱層73は,磁束発生部3による励磁によりジュール熱を発生させる層であり,厚さが10μm〜100μm,望ましくは20〜50μmの範囲内のニッケル電鋳ベルト層である。なお,電磁誘導発熱層73には,例えば磁性ステンレスのような磁性金属といった,高透磁率であり,適当な抵抗率を備えたものを使用してもよい。また,非磁性材料でも,金属などの導電性がある材料の薄膜であっても使用可能である。また,樹脂に発熱粒子を混入したものを使用してもよい。電磁誘導発熱層13に樹脂ベースのものを用いることによって分離性の向上を図ることが可能となる。
電磁誘導発熱層73には,後述する磁束発生部3による励磁により渦電流が流れる。電磁誘導発熱層73は,熱容量が小さく断熱層12と接しているため,表層側に位置する弾性層74あるいは離型層75を迅速に加熱する。よって,誘導発熱用ベルト7の表面温度を所望の温度に迅速に到達させることができ,通紙時に記録紙に熱が奪われたとしても必要な熱をすぐに供給することができる。
弾性層74は,記録紙と誘導発熱用ベルト7表面との密着性を高めるための層であり,耐熱性や弾性を有する部材(例えば,ゴム材や樹脂材)が適用される。具体的には,定着温度での使用に耐えうるシリコンゴム,フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーが使用可能である。なお,弾性層74に,熱伝導性や補強等を目的として各種充填剤を混入してもよい。熱伝導性粒子としては,ダイヤモンド,銀,銅,アルミニウム,大理石,ガラス等がある。この他,シリカ,アルミナ,酸化マグネシウム,窒化ホウ素,酸化ベリリウム等が使用可能である。
弾性層74の厚みは,10μm〜800μm,望ましくは100μm〜300μmの範囲内に設定される。なお,弾性層74の厚さが10μm未満であると厚み方向の弾力性を得ることが困難となる。一方,弾性層74の厚さが800μmを超えてしまうと,電磁誘導発熱層73からの熱が誘導発熱用ベルト7の表面に達し難くなって熱効率が悪化する。
弾性層の硬度は,JIS硬度で1度〜80度,望ましくは5度〜30度のシリコンゴムからなることが好ましい。この範囲内であれば,弾性層74の強度の低下,密着性の不良を抑制しつつ,トナーの定着性の不良を抑制できる。シリコンゴムとしては,1成分系,2成分系,または3成分系以上のシリコンゴム,LTV型,RTV型,またはHTV型のシリコンゴム,縮合型または付加型のシリコンゴム等が使用可能である。本形態では,JIS硬度が10度,厚さが200μmのシリコンゴム層とする。
離型層75は,表面の離型性を高めるための層であり,定着温度での使用に耐えられる材料が使用される。例えば,シリコンゴム,フッ素ゴム,PFA,PTFE,FEP,PFEP等のフッ素樹脂が使用される。離型層75の厚みは,5μmから100μm,望ましくは10μm〜50μmがより好ましい。また,層間接着力を向上させるため,プライマ等による接着処理を行ってもよい。なお,離型層75中に,必要に応じて,導電材,耐磨耗材,良熱伝導材等を充填剤として添加してもよい。
加圧ローラ2は,図4に示すように,芯金21上に,シリコンスポンジ層22,および離型層25が順次積層されている。加圧ローラ2は,定着ローラ1(誘導発熱用ベルト7)に対して300N〜500Nの荷重で加圧され,ニップ幅は5mm〜15mmの範囲内となっている。なお,記録紙の種別等により荷重を変化させてもよい。加圧ローラ2の端部には,図5に示すように蛇行規制部材9が設けられている。この蛇行規制部材9の詳細については後述する。
支持層としての芯金21は,厚さが3mm程度のアルミパイプである。なお,芯金21には,鉄やPPSのような耐熱性樹脂を使用することも可能である。なお,芯金21が発熱するのを防ぐために電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性材料を用いるのが好ましい。シリコンスポンジ層22の厚さは,3mm〜10mmの範囲内で使用条件に合わせて設計される。なお,シリコンスポンジ層22の代わりにソリッドゴム層を用いることも可能であるが,定着ローラ1(誘導発熱用ベルト7)からニップ部を通して伝達される熱を逃さないように低熱伝導率の素材が望ましい。離型層25は,誘導発熱用ベルト7と同様に表面の離型性を高めるための層であり,厚さが10μm〜50μmであり,定着温度での使用に耐えられる材料が使用される。例えば,シリコンゴム,フッ素ゴム,PFA,PTFE,FEP,PFEP等のフッ素樹脂が使用される。
また,シリコンスポンジ層22の代わりに,下層にソリッドゴム層,表層にスポンジゴム層の2層構造を用いると,耐久性の向上を図ることができる。このような構造を有するローラは,特に高荷重や高速回転のような比較的過酷な条件で使用される場合や,ニップ幅の確保のためにシリコンスポンジ層22の厚みを厚く設定する場合や,柔らかいスポンジ層を使用する場合に,ゴムの破断を防ぐことができる。
また,加圧ローラ2のシリコンスポンジ層22の幅(軸方向の長さ)は,図6に示すように,定着ローラ1の断熱層12の幅よりも大きい。すなわち,シリコンスポンジ層22の幅は,誘導発熱用ベルト7の幅よりも大きい。そして,蛇行規制部材9は,シリコンスポンジ層22の端部に位置している。
磁束発生部3は,図2に示したように,励磁コイル31と,磁性体コア32と,コイルボビン33とを有している。そして,磁束発生部3は,定着ローラ1の外側に位置するとともに,定着ローラ1に対向させて長手方向に沿って配設されている。また,磁束発生部3には,高周波インバータ5(励磁回路)や制御回路6が接続されている。
磁性体コア32は,横断面が略E字形状であり,定着ローラ1の長手方向の寸法に対応した長さ寸法を有する長尺部材である。磁性体コア32は,中央部に定着ローラ側に突出した部位を設けて略E字形状とすることにより,発熱効率を高めている。磁性体コア32の材料としては,高透磁率かつ低損失のもの(例えば,フェライト)を使用する。パーマロイのような合金の場合には,コア内の渦電流損失が高周波領域で大きくなるため積層構造にするとよい。
また,磁性体コア32は,磁気回路の高効率化と磁気遮蔽との両機能を備えている。なお,磁気遮蔽が十分にできる手段があれば空芯(コアなし)にしてもよい。また,コア材として樹脂材に磁性粉を混入させたものを用いると,形状の設計自由度が高くなる。
励磁コイル31は,長尺の磁性体コア32に沿って長手方向に渡って導線を巻きつけた構造を有している。また,励磁コイル31は,高周波インバータ5に接続され,100W〜2000Wの高周波電力が供給される。そのため,細線を数十から数百本の範囲内で束ねてリッツ線にしたものを用いている。また,巻線に伝熱した場合を考慮し,耐熱性の樹脂で被覆している。
また,励磁コイル31には,高周波インバータ5により10kHz〜100kHzの交流電流が印加される。交流電流によって誘導された磁束は,フェライトコア32内を外部に漏れることなく通り,さらに定着ローラ1の電磁誘導発熱層13を通る。そして,磁性体コア32の突起部にて磁性体コア32の外部に漏れ,定着ローラ1の電磁誘導発熱層13を貫く。そして,電磁誘導発熱層13に渦電流が流れることにより,電磁誘導発熱層13自体がジュール発熱する。これにより,定着ローラ1が加熱状態となる。
温度センサ4は,定着ローラ1の表面温度を検出するためのものであり,定着ローラ1と加圧ローラ2とのニップ部の近傍に配設される。温度センサ4としては,例えばサーミスタが使用可能である。温度センサ4の検知信号は,制御回路6に入力される。
制御回路6は,高周波インバータ5の制御(すなわち,励磁コイル31の制御)を行う。制御回路6は,温度センサ4の検知信号を基に高周波インバータ4を制御して励磁コイル31への電力供給を増減させる。すなわち,定着ローラ1の表面温度が一定となるように自動制御を行う。
熱均しローラ8は,加圧ローラ2に対して長手方向全域で対向するように配置され,加圧ローラ2に対して圧接離間可能に設けられている。また,熱均しローラ8は,加圧ローラ2に圧接した際に,加圧ローラ2に従動回転するように構成されている。熱均しローラ8が加圧ローラ2に圧接すると,熱均しローラ8の軸方向に熱が移動し,加圧ローラ2の軸方向の温度分布が均一化される。さらに,加圧ローラ2に圧接してニップ部を形成している定着ローラ1の温度分布も均一化される。なお,熱均しローラ8は,ヒータランプや抵抗発熱体等の加熱源を内蔵してもよい。加熱源を内蔵すると,加圧ローラ2の温度上昇の補助や温度を一定にする効果がある。
続いて,誘導発熱用ベルト7の蛇行規制について詳説する。蛇行規制部材9は,図5に示すように加圧ローラ2の外径よりも径が大きい円形状の部材である。蛇行規制部材9は,図6に示すように,定着ローラ1とのニップ形成領域の外側に位置し,加圧ローラ2の芯金21上に固定されている。つまり,加圧ローラ2の両端部に配置された蛇行規制部材9,9の間に誘導発熱用ベルト7が位置している。そのため,誘導発熱用ベルト7が一方の端部にスライドした際に,蛇行規制部材9に当接することによってそれ以上の移動が規制される。
本形態の定着装置100では,蛇行規制部材9を加圧ローラ2の端部に配置することにより,定着ローラ1と磁束発生部3とをより近接配置することが可能になる。そのため,発熱効率の向上やギャップに対する効率変動を抑制できる。
[応用例1]
また,定着装置100は,図7に示すように,定着ローラ1に熱均しローラ80を設置してもよい。この場合,蛇行規制部材7が加圧ローラ2に設置されているため,蛇行規制部材の妨げなしに熱均しローラ80を定着ローラ1に圧接させることができる。さらには,熱均しローラ80の幅を定着ローラ1の幅以上とすることができる。これにより,熱均しローラの幅が定着ローラ1の幅以下の場合に生じる応力集中を回避でき,ローラ表面の破損等の不具合を解消することができる。
[応用例2]
また,定着装置100は,図8に示すように,加圧ローラ2のシリコンスポンジ層22のうち,端部付近の領域の厚みを,端部に向かうほど薄くするとよい。すなわち,定着ローラ1とのニップ部の稜線Lに丸みを付ける。これにより,加圧ローラ2は,端部に向かうほど定着ローラ1から徐々に離間する。そのため,ニップ部の端部におけるニップ圧の集中が軽減される。従って,ニップ圧が一点に集中し,そこからローラが破損する不具合を解消することができる。
[応用例3]
また,定着装置100は,図9に示すように,定着ローラ1の断熱層12の幅と加圧ローラのシリコンスポンジ層22の幅とがほぼ同一長であるとよい。すなわち,図6に示したように断熱層12の幅がシリコンスポンジ層22の幅よりも小さいと,ニップ形成領域の外側では誘導発熱用ベルト7が加圧ローラ2に突き上げられる状態になる。そのため,誘導発熱用ベルト7が屈曲してしまう。そこで,断熱層12の幅とシリコンスポンジ層22の幅とを同一長とすることで,加圧ローラ2の突き上げを回避する。
また,断熱層12の幅がシリコンスポンジ層22の幅よりも小さいと,断熱層12のバックアップなしで誘導発熱用ベルト7が蛇行規制部材9と接触することになる。そのため,誘導発熱用ベルト7へのストレスが大きくなる。よって,断熱層12の幅をシリコンスポンジ層22の幅とほぼ同一長とすると,誘導発熱用ベルト7は断熱層12とシリコンスポンジ層22との両層によって保持されるのでさらに誘導発熱用ベルト7の寿命を長くすることができる。
[応用例4]
また,定着装置100は,図10に示すように,蛇行規制部材9に加圧ローラ2と同心円状に形成された溝部91を設けるとよい。溝部91の外側壁面91Aの径(溝部91の外径)は,加圧ローラ2の外径よりも大きい。また,溝部91の内側壁面91Bの径(溝部91の内径)は,加圧ローラ2の外径よりも小さい。そのため,図11に示すように,加圧ローラ2と誘導発熱用ベルト7とのニップ部は,軸方向から見て溝部91内に位置する。すなわち,誘導発熱用ベルト7は,ニップ部以外で蛇行規制部材9と当接し,溝部91内に位置するニップ部では蛇行規制部材9と当接しない。
このように構成することで,応力が集中するニップ部での接触を回避することができる。よって,誘導発熱用ベルト7の寿命が向上する。なお,このような構成にすると,誘導発熱用ベルト7のビッカース硬度が600(荷重:100g)以下,もしくは引張破壊強度が1500MPa以下の場合に特に効果がある。
また,蛇行規制部材9の硬度が誘導発熱用ベルト7の硬度よりも低いと,誘導発熱用ベルト7の端部の割れの発生を抑えることができる。よって,誘導発熱用ベルト7の寿命がさらに向上する。
また,蛇行規制部材9の表面に固体摺動層を設けたり,グリースを塗布することにより,摩擦による誘導発熱用ベルト7の割れを抑制することができる。
固体摺動層として用いられる材料としては,耐磨耗性,耐熱性だけではなく,自己潤滑性にも優れた性質を示すポリイミドやポリアミドイミド等のイミド系樹脂が適している。このような摺動層の形成方法としては,例えば,ポリイミド,ポリアミドイミド等のワニス状樹脂の場合,そのままで,或いは無水NMPやN,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶剤で適度に希釈させた溶液を用いて,ディッピング塗工,スプレー塗装などによりコートした後に焼成して成型する。あるいは,上記樹脂材料等を用い,摺動層のみを別体として成形し,接着等の方法により蛇行規制部材9に勘合させる,或いはシート状の摺動層を挟み込んで使用してもよい。
また,グリースとしては,摺動性,潤滑性に優れた耐熱性グリースを塗布させる。グリースの種類としては,誘導発熱用ベルト7からの熱による昇温にも耐えうるような,耐熱性を有するフッ素系グリースあるいはシリコン系のグリースが適している。グリースの塗布方法は,蛇行規制部材9を加圧ローラ2の芯金21に固定する前にあらかじめ蛇行規制部材9の誘導発熱用ベルト7との当接面に塗布しておく。あるいは,誘導発熱用ベルト7の端面に塗布してもよい。グリースの塗布量は,塗布量が少なすぎると耐久中にオイル分が涸渇し潤滑機能を損なうことになる。一方,多すぎると,誘導発熱用ベルト7が,回転中に周囲に広がったり,通紙によって発生する紙紛等のごみが蓄積し易くすなる。そのため,単位面積あたり5mg以上30mg以下であることが望ましい。
以上詳細に説明したように実施の形態の定着装置100では,電磁誘導加熱方式の定着装置であり,加圧ローラ2のシリコンスポンジ層22の幅が定着ローラ1の断熱層12および誘導発熱用ベルト7の幅よりも大きい。また,定着装置100では,誘導発熱用ベルト7の軸方向への蛇行を規制する蛇行規制部材9を,加圧ローラ2の両端部に配置することとしている。すなわち,蛇行規制部材9を定着ローラ1側に配置していない。そのため,蛇行規制部材9が磁束発生部3の配置の妨げにならず,定着ローラ1と磁束発生部3とを近接配置することが可能になる。
また,定着ローラ1に熱均しローラ80を設置する場合には,蛇行規制部材の妨げなしに定着ローラ1を圧接させることができる。そのため,定着ローラ1の幅以上の幅を有する熱均しローラ80を圧接させることができる。従って,誘導発熱用ベルト内にスポンジローラを非接着で挿入した構成であって,磁束発生部や熱均しローラの配置の自由度が高い定着装置が実現している。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,実施の形態ではレーザプリンタに本発明を適用しているがこれに限るものではない。すなわち,複写機,スキャナ,FAXあるいはワードプロセッサ等であっても定着装置を備えるものであれば適用可能である。また,カラーに限らず,モノクロ画像専用のものであってもよい。また,タンデム方式であっても,4サイクル方式であってもよい。
実施の形態にかかるプリンタの概略構成を示す図である。 実施の形態にかかる定着装置の概略構成を示す図である。 定着ローラの概略構成を示す断面図である。 加圧ローラの概略構成を示す断面図である。 加圧ローラの概略構成を示す斜視図である。 定着ローラと加圧ローラとのニップ部の詳細を示す断面図(実施例)である。 定着ローラと加圧ローラとのニップ部の詳細を示す断面図(定着ローラ側の熱均しローラ付)である。 定着ローラと加圧ローラとのニップ部の詳細を示す断面図(加圧ローラ側のシリコンスポンジ層の層厚縮小)である。 定着ローラと加圧ローラとのニップ部の詳細を示す断面図(定着ローラの断熱層の幅と加圧ローラ側のシリコンスポンジ層の幅とが同一長)である。 定着ローラと加圧ローラとのニップ部の詳細を示す断面図(溝付き蛇行規制部材)である。 図10に示した定着装置にかかる定着ローラと加圧ローラとのニップ部を軸方向から見た図である。
符号の説明
1 定着ローラ(定着ローラ)
11 芯金
12 断熱層(弾性層)
2 加圧ローラ(加圧ローラ)
21 芯金
22 シリコンスポンジ層(弾性層)
3 磁束発生部
31 励磁コイル(励磁コイル)
32 磁性体コア
33 コイルボビン
7 誘導発熱用ベルト(発熱ベルト)
8 熱均しローラ
80 熱均しローラ(熱均しローラ)
9 蛇行規制部材(規制部材)
91 溝部(凹部)
100 定着装置(定着装置)

Claims (5)

  1. 記録媒体上の画像を記録媒体に定着させる電磁誘導加熱方式の定着装置において,
    電磁誘導発熱する発熱層を備えた無端状の発熱ベルトと,その発熱ベルト内に発熱ベルトとは非接着で収容された弾性層とを備えた定着ローラと,
    前記発熱ベルトの幅以上の幅である弾性層を備え,前記定着ローラに圧接する加圧ローラと,
    前記加圧ローラの少なくとも一方の端部に位置し,前記発熱ベルトの軸方向への移動を規制する規制部材と,
    前記定着ローラと対峙し,前記定着ローラの軸方向に沿って配置された励磁コイルとを有することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1に記載する定着装置において,
    前記加圧ローラの弾性層の端部領域の厚みは,端部に向かうほど薄いことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1に記載する定着装置において,
    前記定着ローラの弾性層の幅は,前記加圧ローラの弾性層の幅と同一長であることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する定着装置において,
    前記規制部材は,前記発熱ベルトとの接触面に前記加圧ローラと同心円状の凹部が設けられ,その凹部の内径が前記加圧ローラの外径よりも小さく,外径が前記加圧ローラの外径よりも大きいことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する定着装置において,
    前記定着ローラの弾性層の幅以上の幅であり,前記定着ローラに圧接する熱均しローラを有することを特徴とする定着装置。
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