JP2010070626A - ポリエステル樹脂組成物および複合成形体 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物および複合成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2010070626A
JP2010070626A JP2008239018A JP2008239018A JP2010070626A JP 2010070626 A JP2010070626 A JP 2010070626A JP 2008239018 A JP2008239018 A JP 2008239018A JP 2008239018 A JP2008239018 A JP 2008239018A JP 2010070626 A JP2010070626 A JP 2010070626A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin composition
weight
laser beam
butyl acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008239018A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Kiyono
幸一 清野
Tomoyuki Uno
智幸 宇野
So Wakao
創 若尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2008239018A priority Critical patent/JP2010070626A/ja
Publication of JP2010070626A publication Critical patent/JP2010070626A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 レーザー光線透過性に優れ、自動車部品に有用な耐冷熱衝撃性にも優れたレーザー溶着に適したポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂29〜84重量%、(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂5〜60重量%、(C)強化繊維10〜50重量%、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体1〜20重量%を含有するポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物に関し、特に、耐熱性、成形品表面外観、寸法安定性、レーザー溶着性が均衡して優れるだけでなく、自動車部品に適用可能なポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その優れた射出成形性、機械特性、耐熱性、電気特性、耐薬品性などを利用して、機械部品、電気・通信部品、自動車部品などの分野で射出成形品として広範囲に利用されている。しかし、射出成形品の成形効率は良いが、その流動特性や金型構造の点から形状に制限があり、あまり複雑なものは成形が困難であった。従来、製品形状の複雑な部品同士の接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。一方、レーザー溶着、熱板溶着などの外部加熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの摩擦熱溶着に関しては短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題が発生しないため、これらの方法による部品同士の接合が増大している状況にある。外部加熱溶着のひとつであるレーザー溶着は、重ね合わせた樹脂成形体にレーザー光を照射し、照射した一方を透過させてもう一方で吸収させ溶融、融着させる工法であり、三次元接合、非接触加工、バリ発生が無いなどの利点を利用して、幅広い分野に広がりつつある。
各種用途に数多く使用されているポリブチレンテレフタレート系樹脂においては、ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂に比べてレーザー光線透過率が非常に低く、ポリブチレンテレフタレート系樹脂をそのままレーザー光線透過側の成形品として適用すると、レーザー光線透過のポテンシャルが低いことから、レーザー光線照射部の厚みを薄くする必要があるため、製品設計の自由度が小さかった。
特許文献1には、レーザー溶着工法においてポリブチレンテレフタレート系共重合体を用いることによる融点のコントロールによって、溶着条件幅を広くすると記載されているが、融点のコントロールだけでは、レーザー光線透過性の大きな向上は望めず、従って成形体の肉厚設計の自由度向上も望めず、またポリブチレンテレフタレート系樹脂の成形性を損なう問題点があった。
特許文献2、特許文献3にはポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体からなる樹脂とポリカーボネート樹脂、スチレンアクリロニトリル樹脂をはじめとする非晶樹脂、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーを配合してなるレーザー溶着用樹脂組成物が開示されている。本文献では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂をレーザー溶着時の透過側に適用するのに十分な透過率が確保されているが、記載されている組成においては、自動車部品に適用する場合、耐冷熱衝撃性が不足し、自動車電装部品への適用が制限されることがある。
特開2001−26656号公報 特開2003−292752号公報 特開2004−315805号公報
本発明は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂において、製品設計自由度を低下させることなくレーザー光線透過側成形体として適用することができるだけでなく、自動車部品に有用な耐冷熱衝撃性にも優れたレーザー溶着に適したポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は次の構成からなる。すなわち、
(1)(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂48〜88重量%、(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂5〜40重量%を配合してなり、(C)強化繊維10〜50重量%、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体1〜20重量%からなるポリエステル樹脂組成物。
(2)(A)〜(D)成分の樹脂組成物合計100重量部に対して、さらに(E)エポキシ化合物を0.05〜2.0重量部含有する(1)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂がテレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂、または、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体が、ポリメチルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体である(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体のブチルアクリレート比率が、ブロック共重合体全体の40重量%〜90重量%である(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物が、レーザー溶着用であるポリエステル樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
(8)(7)に記載の成形品をレーザー溶着した複合成形体。
を提供するものである。
レーザー溶着工法において、レーザー光線透過側成形体に適用する樹脂材料においては、レーザー光線が透過することが必須であり、照射したレーザー光線のエネルギーを100%とした場合、そのレーザー光線透過側成形体を通して裏側に透過して出てくるエネルギーは、最低10%以上必要である。10%未満のレーザー光線透過率の成形体をレーザー光線透過側成形体に適用した場合、レーザー光線入射表面で溶融、発煙するなどの不具合を生じる可能性が高くなる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、レーザー光線透過性に優れたものであり、機械的強度にも優れる。この利点を活かして、各種用途の樹脂成形体のレーザー溶着接合に有用である。さらには、耐冷熱衝撃性にも優れるため、自動車部品に有用なレーザー溶着用ポリエステル樹脂組成物を提供できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、組成物にカーボンブラック等の近赤外線吸収剤を添加することにより、レーザー光線吸収側成形体にも容易に適用可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、レーザー光線透過性以外にも、耐冷熱性を更に付与しており、この利点を活かして、特に自動車部品用途の樹脂成形体のレーザー溶着接合の、特にレーザー光線透過側成形体として有用である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂29〜84重量%を含有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物に使用する(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート単独であっても良いし、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体との併用であっても良い。
本発明のポリエステル樹脂組成物に使用するポリブチレンテレフタレートは、テレフタル酸(あるいはそのジメチルテレフタレート等エステル形成性誘導体)と1,4−ブタンジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを重縮合反応して得られる重合体である。
また、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体を併用する場合、ポリブチレンテレフタレートと併用して用いることができるポリブチレンテレフタレート共重合体は、テレフタル酸(あるいはそのジメチルテレフタレート等エステル形成性誘導体)と1,4−ブタンジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)およびこれらと共重合可能なその他のジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)あるいはその他のグリコール(あるいはそのエステル形成性誘導体)の共存下、重合することによって得ることができる。
共重合可能なジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、またはそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また複数種以上同時に使用することもできる。共重合可能なジカルボン酸の割合は、全ジカルボン酸成分中、3〜30モル%の範囲であることが成形性の点から好ましく、3〜20モル%の範囲であることがより好ましい。
一方、共重合可能なグリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。また複数種以上同時に使用することもできる。1,4−ブタンジオール以外の共重合可能なグリコールの割合は、全グリコール成分中、3〜30モル%の範囲であることが成形性の点から好ましく、3〜20モル%の範囲であることがより好ましい。
その他の共重合可能な成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
本発明に使用する(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の粘度は、通常、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度は0.36〜1.60であることが好ましい。また、(A)成分がポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体からなる場合には、その物理的混合物あるいは溶融混合物を粉砕後、もしくはペレット状のまま用いてo−クロロフェノールに溶解し、o−クロロフェノール溶液を調整し、粘度測定した結果が前記粘度条件内にあればよい。
本発明において(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂が、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体との併用である場合には、ポリブチレンテレフタレート共重合体を(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂全体の50重量%未満とするのが好ましい。50重量%未満であると、レーザー透過性、成形性に優れ、また樹脂組成物全体の耐熱性が低下することがない。
本発明における(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の配合量は、樹脂組成物の29〜84重量%である。ポリブチレンテレフタレート系樹脂の配合量が29重量%未満であると、樹脂組成物の成形性が劣り、84重量%を越えると樹脂組成物のレーザー光線透過性が不十分である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を5〜60重量%含有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物に用いる成分(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂は、テレフタル酸残基を持つ物質、例えば、テレフタル酸と、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を持つ物質、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールを反応して得られる。さらに、テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂には、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノール以外に他の物質、例えば、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などのジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのジオールと添加して、重縮合反応させることもできる。
テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%未満である場合には、本発明の樹脂組成物をレーザー溶着時の透過材に用いる時、溶着に必要な程度までレーザー光線を透過せず、仮にレーザーを透過できたとしても、薄肉部のみであり、成形品のサイズや設計の自由度を狭くするので不適当である。
(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂は、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールの2成分からなるポリエステル樹脂、または、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコールの3成分からなるポリエステル樹脂であることがポリエステル樹脂組成物のレーザー光線透過性の点から好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物に用いる成分(B)ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とを反応させることにより得られる重合体であって、例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、2価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは2価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製造される。
2価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が好ましい。ビスフェノールA以外の2価フェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ハイドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられる。これらの2価フェノールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。本発明で用いるポリカーボネート樹脂(B)としては、平均分子量が10000〜60000、特に15000〜40000の範囲にあるものが好適である。平均分子量が10000〜60000であると、機械的特性が良好で、成形性に優れる。
本発明における(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂組成物の5〜60重量%である。テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂の配合量が5重量%未満であると樹脂組成物のレーザー光線透過性が不十分であり、60重量%を越えると樹脂組成物の成形性が劣る。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(C)強化繊維を10〜50重量%含有する。
本発明で用いられる(C)強化繊維としては、ガラス繊維,炭素繊維,金属繊維および有機繊維(ナイロン,ポリエステル,アラミド,ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマ,アクリル等)等を使用することが可能であり、ガラス繊維が最も望ましい。(C)強化繊維は、2種以上併用することも可能である。また、(C)強化繊維は、好ましくは、直径4から25μm、特に、6から20μmの繊維を使用することが好ましい。また、本発明において強化繊維は組成物中で開繊していることが好ましく、かかる開繊性とは組成物中の強化繊維が実質的に単繊維にまで開繊している状態をいい、具体的には観察した強化繊維の内で10本以上束になった強化繊維の本数が強化繊維の総本数の40%以下程度にあることを意味する。
本発明における(C)強化繊維の配合量は、樹脂組成物の10〜50重量%である。強化繊維の配合量が10重量%未満であると樹脂組成物の機械特性、耐冷熱性が劣り、50重量%を越えると樹脂組成物のレーザー光線透過性が不十分となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体を1〜20重量%含有する。
本発明で用いられる(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体とは、ハードセグメント(又は硬質成分)としてのポリアルキルメタクリレートブロックとソフトセグメント(又は軟質成分)としてのブチルアクリレートブロックとで構成されている。(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体は、ポリエステル樹脂組成物の耐冷熱性を向上させることができる。特に、レーザー光線透過性の点から、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体が、ポリメチルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体であることが好ましい。また、ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体のブチルアクリレート比率は40重量%〜90重量%であることが耐冷熱性の点から好ましい。
本発明における(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体の配合量は1.0〜20重量%である。配合量が1.0重量%未満であると耐冷熱性が不足し、20重量%を越えると樹脂組成物の成形性が劣る。
また、本発明の樹脂組成物においては、好ましくは、(E)エポキシ化合物を含有することができる。(E)エポキシ化合物としては、1グラム当量のエポキシ基を含む化合物のグラム数であるエポキシ当量が1000以下であるエポキシ基を有する化合物が、加水分解性の改良効果の点から好ましく挙げられ、一般に熱可塑性樹脂に添加して使用されるものであってよい。さらに分子内にグリシジルエステルを有する化合物、グリシジルエーテルを有する化合物、グリシジルエステルとグリシジルエーテルの両者を有する化合物が好ましく挙げられる。これらのエポキシ化合物は1種または2種以上で用いられ、特にグリシジルエステルを有する化合物とグリシジルエーテルを有する化合物の併用やグリシジルエステルとグリシジルエーテルの両者を有する化合物の配合が好ましい。具体的なエポキシ化合物としては、レゾルシングリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、大豆油グリシジルエステル、安息香酸モノグリシジルエステル、ステアリン酸モノグリシジルエステル、ラウリン酸モノグリシジルエステル、p−ヒドロキシベンゾイック酸グリシジルエステルエーテルなどが挙げられる。
(E)エポキシ化合物の配合量は(A)〜(D)成分のポリエステル樹脂組成物の合計100重量部に対して(E)成分0.05〜2.0重量部の範囲であることが加水分解性や流動性の点から好ましく、0.1〜1.0重量部であることが更に好ましい。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、酸化防止剤、その他の安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤などの、通常の添加剤および少量の他種ポリマーを添加することができるが、特に結晶核剤を添加することにより、結晶化速度(固化速度)が速くなり成形サイクルを短くすることが可能である。
離型剤としては、モンタン酸ワックス類、またはステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリルアミド等の高級脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物などを挙げることができ、なかでも、モンタン酸ワックス類、エチレンビスステアリルアミドが好ましい。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジン)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ化合物等が挙げられ、なかでも、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンが好ましい。
その他安定剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物などを挙げることができる。
結晶核剤としてはポリエーテルエーテルケトン樹脂、タルク等を挙げることができる。これら結晶核剤を添加することにより、結晶化速度(固化速度)が速くなり、成形サイクルを短くすることが可能となる。
着色剤としては、顔料や染料を使用することができる。染料とは、水、溶剤、油脂類などの媒質に溶解し、粒子を持たない色素で、発色性に優れるが耐熱性や耐光性に劣ることから、顔料の方が好ましい。顔料には、フタロシアニン系、アゾ系、ペリノン系、アントラキノン系などの有機顔料と金属酸化物、クロム酸塩、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、フェロシアン化物などからなる無機顔料に分類されるが、本発明の樹脂組成物にはどちらも使用することが可能である。レーザー透過材でありながら、ダーク系の色調の成形品を得ることができるなどの特徴を有する有機系顔料の使用が好ましい。
これらの各種添加剤は、2種類以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。なお、例えば酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物はこれら配合成分が均一に分散されていることが好ましく、その配合方法は任意の方法を用いることができる。代表例として、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなど、公知の溶融混合機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
また、本発明において2軸押出機で用いる場合のスクリュー構成としては、フルフライトおよびニーディングディスクを組み合わせて用いられるが、本発明の組成物を得るためにはスクリューによる均一な混練が必要である。そのため、スクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さ(ニーディングゾーン)の割合は、5〜50%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲であればさらに好ましい。
本発明において溶融混練する場合に、各成分を投入する好ましい方法としては、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から(A)ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体からなるポリブチレンテレフタレート系樹脂、(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体および必要に応じてその他成分を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から(C)強化繊維を供給し溶融混合する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形、真空成形など一般に熱可塑性樹脂の公知の成形方法により成形されるが、なかでも射出成形が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、その優れた特性を活かしてレーザー溶着に供される材料として主に用いられ、レーザー溶着工法のレーザー光線透過側成形体に好適であり、また、該組成物にカーボンブラック等の近赤外線吸収剤を添加することにより、レーザー光線吸収側成形体にも容易に適用可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、レーザー光線透過性以外にも、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体を配合することで耐冷熱性を更に付与しており、この利点を活かして、特に自動車部品用途の樹脂成形体のレーザー溶着接合の、特にレーザー光線透過側成形体として有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではなく応用が可能である。以下に実施例および比較例における材料特性評価方法を示す。
(1)成形性評価
一般的な射出成形機(日精60E9ASE)を使用して、標準的な成形条件(シリンダ温度260℃、金型温度80℃)における引張試験片(ASTM1号タイプ、厚み3.2mm)を成形した。成形の際に、成形品突き出し時に試験片が変形したり、突き出し箇所が大きく挫屈するようなものを成形性不良として表中「×」で示した。一方、変形のないものには表中「○」で示した。
(2)引張特性
シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形した試験片をISO527−1,2(1993年制定)に従い、引張特性を評価した。
(3)耐加水分解性
(株)TABAI ESPEC製HAST CHAMBER EHS−221Mで121℃、100%RHの加水分解処理を50時間した後の引張特性を、ISO527−1,2(1993年制定)に従って測定し、耐加水分解性の評価とした。
(4)耐冷熱性評価
図1に示した底面が正方形の四角柱状で、上面の対角線の交点を中心とした円を底面とする円錐の頂点側を、円錐の底面と平行に切り落とした形状のスプルー3を、前記四角柱の上面に装着することにより形成されるインサート成形品1を、シリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で成形した。図1(a)は上記インサート成形品の平面図であり、図1(b)は同成形品の側面図である。インサート成形品1は金型にインサート金属4を装着し、射出成形機から樹脂を射出し、射出された樹脂をスプルー3から、インサート金属4を覆うように金型キャビティ内に充填し、樹脂2およびスプルー3を固化させることにより形成される。インサート金属4を金型に装着し金属4と金型が接触している部分には樹脂が流れ込まないため、インサート成形品1の底面には、その部分に相当する樹脂未充填部5ができる。インサート成形品1の、四角柱部分の底面(正方形)の辺の長さLは50mm、高さHは30mm、そして樹脂2の厚みWは1.5mmである。
得られた成形品を130℃環境下1時間放置後、−40℃環境下1時間放置し、再び130℃環境下に放置する冷熱サイクル処理を行い、成形品の外観を目視した。インサート成形品にクラックが発生したサイクル数を表中に記載し、その数値の大小を耐冷熱性の指標とした。
(5)レーザー光線透過性
評価試験片は図2のLが80mm正方形で、厚みDが2mmのレーザー光線透過性評価試験片8を用いた。その成形条件はシリンダ温度260℃、金型温度80℃である。図2(a)は、上記レーザー光線透過性評価試験片の平面図であり、図2(b)は同試験片の側面図である。レーザー光線透過性評価試験片8はスプルー23、ランナー6、ゲート7からなり、ゲート7で切断し、レーザー光線透過性評価試験片として用いた。試験機は(株)島津製作所製の紫外近赤外分光高度計(UV−3100)を用い、また検出器には積分球を用いた。透過率は透過光量と入射光量の比を百分率で表す。表中には、近赤外線800〜1100nm波長領域の光線透過率を「透過性」として記載した。
(6)レーザー溶着性
レーザー溶着可否試験およびレーザー溶着試験の評価試験片は、図2に示したレーザー光線透過性評価試験片8から、幅Wが24mm、長さLが70mm、厚みDは2mmの形状に切り出した試験片9を用いた。図3(a)は上記切り出し加工後の試験片の平面図であり、(b)はその側面図である。レーザー溶着機は、ライスター社の“MODULAS C”を用いた。この溶着機は半導体レーザー使用の機器であり、レーザー光の波長は940nmの近赤外線である。最大出力が35W、焦点距離Lが38mm、焦点径Dが0.6mmである。図4はレーザー溶着方法の概略を示す概略斜視図である。レーザー溶着方法は図4に示したように、レーザー光線透過材料の試験片13(試験片9と同一寸法)を上部に、下部にはレーザー光線を吸収させる材料を用いたレーザー光線吸収側試料14(試験片9と同一寸法)を置き、重ね合わせ、上部よりレーザー光線を照射する。レーザー照射はレーザー溶着軌道12に沿って行い、レーザー溶着条件は、出力15〜35W範囲および、レーザー走査速度1〜50mm/secの範囲で最も良好な溶着強度が得られる条件で行った。なお、焦点距離は38mm、焦点径は0.6mm固定で実施した。レーザー溶着の可否は「溶着可否」として記載し、レーザー溶着を行い溶着可能な条件において、レーザー光線透過試料の光線入射表面に溶融痕が認められる場合は「×」、溶融痕が認められず、溶着が可能な場合は「○」と記載した。
図5(a)は上記方法でレーザー溶着したレーザー溶着強度測定用試験片の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。レーザー溶着強度測定用試験片15は図3に示したレーザー溶着試験片であるレーザー光線透過側試料9とレーザー光線吸収側試料14とが、重ね合わせ長さLを30mmとし、溶着距離Yは20mmとして、重ね合わせて溶着部16で溶着したものである。溶着強度測定には引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−500B)を用い、該試験片の両端を固定し、溶着部位には引張剪断応力が発生するように引張試験を行った。強度測定時の引張速度は1mm/min、スパンは40mmである。溶着強度は溶着部位が破断したときの応力とした。なお、レーザー光線透過試料へは本発明のレーザー溶着用ポリエステル樹脂を用い、レーザー光線吸収側試料へは、ポリエステル樹脂組成物100重量部に対し、カーボンブラックを0.4部添加した材料を用いた。
実施例、比較例で使用した原料の内容を以下に示す。
(1)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂: 固有粘度0.81dl/g。
(2)ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体(PBT/I):(a)組成:テレフタル酸/イソフタル酸:90/10mol%(b)PBT/Iの製造方法テレフタル酸(TPA)450部、イソフタル酸(IPA)50部[TPA/IPA=90/10mol%]、1,4−ブタンジオール407部、テトラ−n−ブチルチタネート1部を精留塔付き反応器に仕込み、500mmHgの減圧環境下で、180℃から230℃まで徐々に昇温してエステル化反応率95%以上にまで反応させ、次いで240℃、0.5mmHgにまで昇温、減圧して3時間30分後に重合を完結させた。得られた共重合体の固有粘度は0.80dl/gであった。
(3)1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)系のポリエステル樹脂
ジカルボン酸成分は全てテレフタル酸で、グリコールの比率の変更実験は下記の材料(EG:エチレングリコール,CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール)を使用して行った。
(i)“イースター 3879”: EG:CHDM =0:100(モル比)
(ii)“イースター DN011”: EG:CHDM =29:71(モル比)
(iii)“イースター GN002M”: EG:CHDM =68:32(モル比)
(iv)ポリエチレンテレフタレート(TSB900)EG:CHDM=100: 0(モル比)
(4)PC:ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:19000)。
(5)GF:ガラス繊維(平均繊維径:13μm、繊維長3mmのチョップドストランド)。
(6)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体
(i)(株)クラレ製“LA4285”
ポリメチルメタクリレート:ブチルアクリレート共重合体=50:50(重量比)
(ii)(株)クラレ製“LA2250”
ポリメチルメタクリレート:ブチルアクリレート共重合体=30:70(重量比)
(iii)(株)クラレ製“LA2140e”
ポリメチルメタクリレート:ブチルアクリレート共重合体=20:80(重量比)。
(7)エポキシ化合物:ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル ジャパンエポキシレジン製“エピコート819”。
(8)スチレン系エラストマ:スチレン−ブタジエンブロック共重合体エポキシ化物、ダイセル化学工業(株)製“エポフレンドA1010”(スチレンとブタジエンの共重合比:スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ当量1000、MFR=7g/10min(測定法:JIS−K7210))。
(9)エチレン系エラストマA:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体。両成分の共重合比(重量比)はエチレン単位/グリシジルメタクリレート単位=94/6(重量%)。MFR=3.2g/10min(測定法:JIS−K6760(190℃、2160g荷重))。
[実施例1〜10]
表1、表2に示したように樹脂組成物の組成を変更し、(A)、(B)、(D)、(E)成分、並びにその他添加剤全てを2軸押出機の元込め部から供給し、(C)成分を主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から供給してシリンダー温度250℃に設定したスクリュー径57mmφの2軸押出機で溶融混練を行った。
ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各ペレットは、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、試験片を作製し、流動性、耐冷熱衝撃性、衝撃特性、曲げ特性、引張特性、耐加水分解性、の評価を行なった。その結果を表1に記載した。得られた組成物は何れも成形性、引張強度、耐冷熱性、レーザー光線透過性、レーザー溶着性に優れたものであった。
[比較例1〜10]
表2に示したように樹脂組成物の組成を変更し、(A)、(B)、(D)成分、並びにその他添加剤全てを2軸押出機の元込め部から供給し、(C)成分を主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から供給してシリンダー温度250℃に設定したスクリュー径57mmφの2軸押出機で溶融混練を行った。
ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各ペレットは、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、前記評価方法記載の方法を用いて成形し、各種評価を行った。その結果を表2に記載した。得られた組成物は、成形性、引張強度、耐冷熱性、レーザー光線透過性、レーザー溶着性の何れかが劣るものであった。
Figure 2010070626
Figure 2010070626
(a)は実施例で耐冷熱性評価に用いたインサート成形品の平面図であり、(b)は同成形品の側面図である。 (a)は実施例で用いたレーザー光線透過性評価試験片の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。 (a)は実施例で用いたレーザー溶着用試験片の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。 レーザー溶着方法の概略を示す概略斜視図である。 (a)は実施例で用いたレーザー溶着強度測定試験片の平面図であり、(b)は同試験片の側面図である。
符号の説明
1.インサート成形品
2.樹脂
3.スプルー
4.インサート金属
5.樹脂未充填部
6.ランナー
7.ゲート
8.レーザー光線透過性評価試験片
9.レーザー溶着可否試験およびレーザー溶着試験の評価試験片
10.レーザー光線照射部
11.レーザー光線
12.レーザー光の軌道
13.レーザー光線透過側試料
14.レーザー光線吸収側試料
15.レーザー溶着強度測定用試験片
16.レーザー溶着部

Claims (8)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂29〜84重量%、(B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂5〜60重量%、(C)強化繊維10〜50重量%、(D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体1〜20重量%を含有するポリエステル樹脂組成物。
  2. (A)〜(D)成分の樹脂組成物合計100重量部に対して、さらに(E)エポキシ化合物を0.05〜2.0重量部含有する請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. (B)テレフタル酸残基と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とが結合した繰返し単位が25%以上を占めるポリエステル樹脂が、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂、または、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコールからなるポリエステル樹脂である請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体が、ポリメチルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. (D)ポリアルキルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体のブチルアクリレート比率が、ブロック共重合体全体の40重量%〜90重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物が、レーザー溶着用であるポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
  8. 請求項7に記載の成形品をレーザー溶着した複合成形体。
JP2008239018A 2008-09-18 2008-09-18 ポリエステル樹脂組成物および複合成形体 Pending JP2010070626A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008239018A JP2010070626A (ja) 2008-09-18 2008-09-18 ポリエステル樹脂組成物および複合成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008239018A JP2010070626A (ja) 2008-09-18 2008-09-18 ポリエステル樹脂組成物および複合成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010070626A true JP2010070626A (ja) 2010-04-02

Family

ID=42202727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008239018A Pending JP2010070626A (ja) 2008-09-18 2008-09-18 ポリエステル樹脂組成物および複合成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010070626A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015108136A (ja) * 2013-10-24 2015-06-11 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリエステル系樹脂組成物
JP2015108137A (ja) * 2013-10-24 2015-06-11 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 成形品
US10370533B2 (en) 2014-06-05 2019-08-06 Sabic Global Technologies B.V. Thermoplastic composition and laser-welded article
WO2021013115A1 (zh) 2019-07-22 2021-01-28 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 一种聚酯树脂组合物及其成型品
WO2022037660A1 (zh) * 2020-08-21 2022-02-24 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 聚酯树脂组合物及其成型品
WO2023156232A1 (en) 2022-02-16 2023-08-24 Basf (China) Company Limited Polybutylene terephthalate composition

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015108136A (ja) * 2013-10-24 2015-06-11 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリエステル系樹脂組成物
JP2015108137A (ja) * 2013-10-24 2015-06-11 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 成形品
US10370533B2 (en) 2014-06-05 2019-08-06 Sabic Global Technologies B.V. Thermoplastic composition and laser-welded article
WO2021013115A1 (zh) 2019-07-22 2021-01-28 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 一种聚酯树脂组合物及其成型品
CN112384568A (zh) * 2019-07-22 2021-02-19 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 一种聚酯树脂组合物及其成型品
CN112384568B (zh) * 2019-07-22 2021-08-06 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 一种聚酯树脂组合物及其成型品
WO2022037660A1 (zh) * 2020-08-21 2022-02-24 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 聚酯树脂组合物及其成型品
CN114391032A (zh) * 2020-08-21 2022-04-22 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 聚酯树脂组合物及其成型品
WO2023156232A1 (en) 2022-02-16 2023-08-24 Basf (China) Company Limited Polybutylene terephthalate composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5245265B2 (ja) レーザー溶着用ポリエステル樹脂組成物および複合成形体
JP4911548B2 (ja) レーザ溶着用樹脂組成物およびそれを用いた複合成形体
JP2008163167A (ja) レーザー溶着用変性ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた複合成形体
JP6183822B1 (ja) レーザー溶着用樹脂組成物及びその溶着体
JP2010070626A (ja) ポリエステル樹脂組成物および複合成形体
US20050119377A1 (en) Colored resin composition for laser welding and composite molding product using the same
JP2007169358A (ja) レーザー溶着用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いた成形品
JP5034217B2 (ja) レーザー溶着用樹脂組成物およびそれを用いた複合成形体
WO2020022208A1 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
WO2008032636A1 (fr) Composition de résine pour un soudage laser et article moulé
JP2009155449A (ja) 携帯端末部品
JP2019038878A (ja) レーザー溶着用樹脂組成物及びその溶着体
JP4720149B2 (ja) レーザ溶着用着色樹脂組成物およびそれを用いた複合成形体
CN115427515A (zh) 振镜式激光焊接用树脂组合物、成型品、振镜式激光焊接用套组、车载照相机部件、车载照相机模块、紫外线暴露体和成型品的制造方法
WO2021125205A1 (ja) レーザー溶着用成形品、レーザー溶着用成形品のレーザー透過率のばらつき抑制剤
JP2006257338A (ja) レーザー溶着用樹脂組成物およびそれを用いた複合成形体
JP7122490B1 (ja) 樹脂組成物、成形品、樹脂組成物の使用、キット、レーザー溶着品、および、レーザー溶着品の製造方法
US8791179B2 (en) Laser-transparent polyesters
US11597833B2 (en) Thermoplastic resin composition for laser welding, molded article made of same, and composite molded article
JP2007246716A (ja) レーザー溶着用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いた成形品
JP2007320995A (ja) レーザー溶着用樹脂組成物およびそれからなる成形品
BR112013021248B1 (pt) Ljsos de composições de moldagem termoplástica, e de peças moldadas transparentes ao lasek processo para produzjr peças moldadas soldadas, e, peça moldada soldada
JP2009298947A (ja) レーザー溶着用ポリエステル樹脂組成物及びレーザー溶着方法
JP2019038879A (ja) レーザー溶着用樹脂組成物及びその溶着体
JP2019081364A (ja) レーザー溶着体