JP2010069531A - かしめ保持方法、かしめ保持構造及びかしめ加工機 - Google Patents
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Abstract
【課題】かしめ加工がなされたワークのかしめ部による被保持部材を保持するための挟持力を向上させる。
【解決手段】ベアリングホルダ8の未加工部8xを折り曲げてかしめ部を形成する際に、かしめ加工用ローラ24から伝達される圧力とは別に円筒状押圧部材26によりアウターレースの端面14bに圧縮力を付与している。このことにより、かしめ加工は、アウターレースが、或る程度、挟持力方向に縮んだ状態にて実行されることになるので、未加工部8xはアウターレースが縮んでいない状態よりも折り曲げ幅が大きくなる。かしめ加工後に、加圧機構23aの油圧を低下させて、アウターレースに対する圧縮力が解消されるとアウターレースには圧縮力と反対方向への反発力が生じる。この反発力が、かしめ加工によりベアリングホルダ8の周壁部8cに生じている挟持力に対して加算されることにより、挟持力が向上する。
【選択図】図4
【解決手段】ベアリングホルダ8の未加工部8xを折り曲げてかしめ部を形成する際に、かしめ加工用ローラ24から伝達される圧力とは別に円筒状押圧部材26によりアウターレースの端面14bに圧縮力を付与している。このことにより、かしめ加工は、アウターレースが、或る程度、挟持力方向に縮んだ状態にて実行されることになるので、未加工部8xはアウターレースが縮んでいない状態よりも折り曲げ幅が大きくなる。かしめ加工後に、加圧機構23aの油圧を低下させて、アウターレースに対する圧縮力が解消されるとアウターレースには圧縮力と反対方向への反発力が生じる。この反発力が、かしめ加工によりベアリングホルダ8の周壁部8cに生じている挟持力に対して加算されることにより、挟持力が向上する。
【選択図】図4
Description
本発明は、かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成し、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持するかしめ保持方法、かしめ保持構造、及びかしめ加工機に関する。
内燃機関などを駆動対象装置として、これに直動駆動力を付与するために取り付けられる回転−直動変換アクチュエータが知られている(例えば特許文献1,2参照)。これら特許文献1,2は内燃機関のバルブリフト装置を駆動する回転−直動変換アクチュエータを開示している。この回転−直動変換アクチュエータの本体ケース内にはベアリングを介して回転体が回転可能に支持されている。この回転体がモータ駆動により回転され、このことでネジ軸が直動して軸方向に移動することにより、バルブリフト装置を駆動している。
特許文献1,2では、回転体を回転可能に支持するためのベアリングを、ハウジング内に固定するために、環状の支持部材をハウジング内部に配置し、この支持部材をハウジング内面にボルト締結している。
このようにベアリングを固定するための環状の支持部材をハウジング内部に配置してボルト締結する構成であるために、ハウジングの体格が大型化しやすい。これをかしめ加工(例えば特許文献3,4参照)を組み合わせることによりベアリングを支持する手法が考えられる。
特開2007−303408号公報(第5頁、図1)
特開2007−303479号公報(第5頁、図2)
特開2001−50291号公報(第3−4頁、図2)
特開2005−351321号公報(第4−5頁、図1)
しかしベアリングなどの或る程度の挟持力が必要な被保持部材をハウジングで保持する場合には、単にハウジングをかしめ加工して挟持したのでは保持のための挟持力が不足するおそれがある。すなわち、かしめ加工時の圧力を増加してハウジングのかしめ部による挟持力を強めようとしても、この圧力の増加分のほとんどは、かしめ部にて軸方向とは直交する径方向への塑性変形の増加に寄与するものとなっていた。このことにより最終的に挟持力を発生させる役割を果たすべきハウジングの残留軸力を十分に大きくできないという問題が生じていた。
本発明は、かしめ加工がなされたワークのかしめ部による被保持部材を保持するための挟持力を向上させることを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載のかしめ保持方法は、かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成し、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持するかしめ保持方法であって、前記かしめ加工時に、かしめるための圧力とは別に、前記被保持部材に対して前記挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加えることを特徴とする。
請求項1に記載のかしめ保持方法は、かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成し、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持するかしめ保持方法であって、前記かしめ加工時に、かしめるための圧力とは別に、前記被保持部材に対して前記挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加えることを特徴とする。
ワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成する際に、被保持部材に対して、かしめ部による挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を、かしめるための圧力とは別に加えている。
このことにより、かしめ加工は、或る程度、挟持力方向に縮んだ状態にある被保持部材に対して実行されることになる。したがってワークの端部は被保持部材が縮んでいない状態よりも折り曲げ幅が大きくなる。
このことにより、かしめ加工は、或る程度、挟持力方向に縮んだ状態にある被保持部材に対して実行されることになる。したがってワークの端部は被保持部材が縮んでいない状態よりも折り曲げ幅が大きくなる。
かしめ加工後に、被保持部材に対する圧縮力が解消されると被保持部材には圧縮力と反対方向への反発力が生じる。この反発力が、かしめ加工によりワークに生じている挟持力に加算されることにより、挟持力が増加する。
このようにして、かしめ加工がなされたワークのかしめ部による被保持部材を保持するための挟持力を向上させることができる。
請求項2に記載のかしめ保持方法では、請求項1に記載のかしめ保持方法において、前記圧縮力はバネの付勢力により発生させていることを特徴とする。
請求項2に記載のかしめ保持方法では、請求項1に記載のかしめ保持方法において、前記圧縮力はバネの付勢力により発生させていることを特徴とする。
このようにバネにより圧縮力を発生させても良く、かしめ加工時に簡易に被保持部材に対して挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加えることができる。かしめ加工後には、バネの付勢力を排除することにより、被保持部材に対する圧縮力が解消され、被保持部材の反発力が、かしめ加工によりワークに生じている挟持力に加算され、挟持力が増加するようになる。
請求項3に記載のかしめ保持方法では、請求項1に記載のかしめ保持方法において、前記圧縮力は液圧により発生させていることを特徴とする。
このように液圧、例えば油圧などにより被保持部材に対する圧縮力を発生させても良い。かしめ加工後には、液圧を排除することにより、被保持部材に対する圧縮力が解消され、被保持部材の反発力が、かしめ加工によりワークに生じている挟持力に加算され、挟持力が増加するようになる。
このように液圧、例えば油圧などにより被保持部材に対する圧縮力を発生させても良い。かしめ加工後には、液圧を排除することにより、被保持部材に対する圧縮力が解消され、被保持部材の反発力が、かしめ加工によりワークに生じている挟持力に加算され、挟持力が増加するようになる。
請求項4に記載のかしめ保持方法では、請求項1〜3のいずれか一項に記載のかしめ保持方法において、前記被保持部材はベアリングであり、前記ワークは、このベアリングにより回転可能に配置されている回転部材を内部に収納するハウジング、もしくはこのハウジング内に配置されるベアリングホルダであることを特徴とする。
このようにハウジングもしくはベアリングホルダ内にベアリングを保持するために本発明を適用でき、通常のかしめ加工に比較して、ベアリングに対するハウジングもしくはベアリングホルダでの挟持力が増加する。
このことによりベアリングを、ハウジングもしくはベアリングホルダ内にボルト等にて取り付ける機構を別に用意することなく、十分な挟持力によるかしめ保持が可能となるので、ハウジングもしくはベアリングホルダ全体を小型化できる。
請求項5に記載のかしめ保持方法では、請求項4に記載のかしめ保持方法において、前記ベアリング及び前記ハウジングもしくは前記ベアリングホルダは、回転−直動変換アクチュエータにおけるベアリング及びハウジングもしくはベアリングホルダであり、この回転−直動変換アクチュエータは、駆動対象装置に取り付けられる前記ハウジングもしくは前記ベアリングホルダ内に前記ベアリングを介して回転可能に回転部材を配置すると共に、この回転部材の回転によりワークの軸方向に移動する出力シャフトを前記ハウジングから外部に突出させた状態に配置してこの出力シャフトから前記駆動対象装置に駆動力を伝達するものであることを特徴とする。
このような回転−直動変換アクチュエータの製造に対して本発明を適用できる。このことによりハウジングもしくはベアリングホルダでは大きな挟持力により十分なベアリング保持が実現できる。このため回転−直動変換アクチュエータを小型化でき、更に駆動対象装置全体に対しても小型化に貢献できる。
請求項6に記載のかしめ保持方法では、請求項5に記載のかしめ保持方法において、前記回転部材は遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のナットであり、前記出力シャフトはサンシャフトであり、ナットとサンシャフトとの間にはプラネタリシャフトが配置されていることにより、前記ナット内に形成された前記サンシャフト、前記プラネタリシャフト及び前記ナット間の噛み合い機構により回転−直動変換がなされることを特徴とする。
回転−直動変換アクチュエータはこのような遊星差動ネジ型回転−直動変換機構として構成しても良く、請求項5と同様な作用・効果を生じる。
請求項7に記載のかしめ保持方法では、請求項5又は6に記載のかしめ保持方法において、前記駆動対象装置は内燃機関であることを特徴とする。
請求項7に記載のかしめ保持方法では、請求項5又は6に記載のかしめ保持方法において、前記駆動対象装置は内燃機関であることを特徴とする。
このことにより、内燃機関全体として小型化が可能となる。
請求項8に記載のかしめ保持構造は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のかしめ保持方法にて前記ワーク内に前記被保持部材を保持したことを特徴とする。
請求項8に記載のかしめ保持構造は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のかしめ保持方法にて前記ワーク内に前記被保持部材を保持したことを特徴とする。
このように請求項1〜7のいずれか一項に記載のかしめ保持方法にて被保持部材が保持されたかしめ保持構造は、かしめ部による大きい挟持力によりワークにおいて被保持部材を確実に保持することができる。
請求項9に記載のかしめ加工機は、かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成することで、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持させるためのかしめ加工機であって、前記ワークの端部に接触してかしめ圧力を付与することで、前記端部を折り曲げてかしめ部を形成するかしめ加工部と、前記被保持部材に接触して前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加える圧縮付与部とを備えたことを特徴とする。
このように、かしめ加工機は、かしめ加工部と圧縮付与部とを備えることにより、前述した請求項1〜7のいずれかのかしめ保持方法を実行できる。したがって、このかしめ加工機によりかしめ加工がなされたワークのかしめ部は、被保持部材を保持するための挟持力を向上できる。
請求項10に記載のかしめ加工機では、請求項9に記載のかしめ加工機において、前記ワークは円筒状であり、前記かしめ加工部はかしめ加工用ローラを備え、このかしめ加工用ローラを前記ワークの端部に接触させて転動させることにより、前記かしめ部を形成することを特徴とする。
このようにかしめ加工部としてはかしめ加工用ローラを備えることで、その転動により容易にかしめ部を形成することができる。このかしめ加工の際に圧縮付与部により被保持部材を挟持力方向にて弾性圧縮させることにより、かしめ加工用ローラによるかしめ加工後にかしめ部による挟持力を向上できる。
請求項11に記載のかしめ加工機では、請求項9又は10に記載のかしめ加工機において、前記圧縮付与部はバネを備え、このバネの付勢力を前記圧縮力として前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させることを特徴とする。
このように圧縮付与部としてバネを備え、その付勢力により圧縮力を発生させても良い。このことにより簡易に圧縮力を発生させることができるので、かしめ加工機の構成が簡易なものとなる。
請求項12に記載のかしめ加工機では、請求項9又は10に記載のかしめ加工機において、前記圧縮付与部は液圧装置を備え、この液圧装置が発生する液圧を前記圧縮力として前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させることを特徴とする。
このように圧縮付与部として液圧装置を備え、その液圧、例えば油圧などを利用して被保持部材に対する圧縮力を発生させても良い。
請求項13に記載のかしめ加工機では、請求項9〜12のいずれか一項に記載のかしめ加工機において、前記かしめ加工部によるかしめ加工の期間にて、前記圧縮付与部による圧縮力付与を継続して実行するかしめ加工制御部を備えたことを特徴とする。
請求項13に記載のかしめ加工機では、請求項9〜12のいずれか一項に記載のかしめ加工機において、前記かしめ加工部によるかしめ加工の期間にて、前記圧縮付与部による圧縮力付与を継続して実行するかしめ加工制御部を備えたことを特徴とする。
かしめ加工制御部により、かしめ加工部によるかしめ加工の期間に、圧縮付与部による圧縮力付与を継続して実行するように制御することにより、ワークの端部は折り曲げ幅を確実に大きくでき、かしめ加工後において被保持部材に対して十分に大きい反発力を生じさせることができる。このことによりかしめ部での挟持力が向上する。
[実施の形態1]
図1に示した縦断面図は、上述した発明が適用された回転−直動変換アクチュエータ(以下、「アクチュエータ」と称する)2の構成を表している。このアクチュエータ2は、内燃機関を駆動対象装置として、そのシリンダヘッドあるいはカムキャリアの外面に取り付けられる。特にアクチュエータ2はシリンダヘッド上の可変動弁機構を駆動するために、可変動弁機構に備えられたコントロールシャフトを軸方向に駆動するものである。ここではアクチュエータ2は、一点鎖線にて示すごとくカムキャリア4の外周面4aに取り付けられるものである。
図1に示した縦断面図は、上述した発明が適用された回転−直動変換アクチュエータ(以下、「アクチュエータ」と称する)2の構成を表している。このアクチュエータ2は、内燃機関を駆動対象装置として、そのシリンダヘッドあるいはカムキャリアの外面に取り付けられる。特にアクチュエータ2はシリンダヘッド上の可変動弁機構を駆動するために、可変動弁機構に備えられたコントロールシャフトを軸方向に駆動するものである。ここではアクチュエータ2は、一点鎖線にて示すごとくカムキャリア4の外周面4aに取り付けられるものである。
アクチュエータ2のハウジング6内には、前方側(図示F側)にベアリングホルダ8がボルト締結されており、後方側(図示B側)にステータ10がボルト締結されている。ハウジング6の後端側は制御盤12にて閉塞状態とされている。
ベアリングホルダ8の内部には、後端側にベアリング14が取り付けられている。ベアリングホルダ8は、このベアリング14を介して遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16の外周を構成しているナット16aを回転可能に支持している。
この遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16は、ハウジング6の内部空間に軸方向の全長にわたって配置されている。図2の部分破断斜視図に示すごとく、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16は、回転部材であるナット16a、サンシャフトである出力シャフト16b、及びナット16aと出力シャフト16bとの間に配置されたプラネタリシャフト16cを備えている。ナット16aとプラネタリシャフト16cとはギヤとネジとで噛み合い、同様にプラネタリシャフト16cと出力シャフト16bとの間についてもギヤとネジとで噛み合っている。
ナット16aの後端部には図1に示したごとくロータ18が圧入により取り付けられており、制御盤12からの駆動信号により前述したステータ10を介してロータ18が回転駆動され、このことによりナット16aは軸周りに回転する。このナット16aの回転により、プラネタリシャフト16cは自転しつつ出力シャフト16bの周りを公転する。このプラネタリシャフト16cの自転と公転とにより生じるネジの差動作用により、ベアリングホルダ8の先端との間でスプライン嵌合されて軸周りの回転が阻止されている出力シャフト16bは軸方向(矢線F−B方向)移動を生じる。この出力シャフト16bの軸方向移動に連動して、カムキャリア4内の空間に存在する可変動弁機構のコントロールシャフトが軸方向に移動し、この移動により内燃機関の各気筒において吸気バルブの最大バルブリフト量が連続的に調節される。
遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16の全体を支持するベアリング14(被保持部材に相当)は、そのアウターレース14aが、段差によりベアリングホルダ8内部に設置された当接面8aと、後端部のかしめ部8bとにより軸方向に挟持されている。このことにより遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16全体がベアリングホルダ8を介してハウジング6内の基準位置に保持されている。
ここでかしめ部8bを形成するためのかしめ加工について説明する。かしめ加工直前の組立状態を図3の断面図に示す。かしめ加工前では、ベアリングホルダ8(円筒状のワークに相当)の後方側(図3では上側)の端部は円筒状に立ち上がった形状の未加工部8xである。したがって後方側は開放されており、この後方側からベアリングホルダ8内部に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16が挿入されている。この遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16は、挿入に先立って、ナット16aの外周にベアリング14を嵌合してスナップリング20により固定した状態とされている。この他、シールリング22についても、予め後方側から挿入されて所定の位置に配置されている。尚、シールリング22は、予め遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16に嵌合されることで遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16の挿入時に同時に配置しても良い。
かしめ加工に際しては、図3に示した構成を、図4のブロック図に示すごとくのかしめ加工機23に配置する。このことで図5,6に示すごとくかしめ加工機23に備えられた2つのかしめ加工用ローラ24がベアリングホルダ8に対してその軸Ax周りに配置される。更にアウターレース14aを加圧するための円筒状押圧部材26がベアリングホルダ8の軸Axと同軸に配置される。図5は配置状態を示す平面図、図6は正面側からの配置説明図である。ただし図6では円筒状押圧部材26、ベアリングホルダ8及びベアリング14は縦断面にて示している。
図示するごとく、2つのかしめ加工用ローラ24がベアリングホルダ8の軸Ax周りで180°の位相間隔で対向するように配置されており、2つのかしめ加工用ローラ24に共通の回転軸Bxはベアリングホルダ8の軸Axに直交する状態とされている。
この配置状態で、図7に示すごとく、円筒状押圧部材26の下端面であるリング状加圧面26aを、アウターレース14aの端面14bに当接させて、加圧機構23a(液圧装置に相当)によりベアリングホルダ8の軸Axに沿ってアウターレース14aに圧縮力を付与する。
このベアリング14のアウターレース14aに対する圧縮力の付与と共に、かしめ加工用ローラ24をベアリングホルダ8の軸Ax方向に沿って下降させて、ベアリングホルダ8の未加工部8xに、かしめ加工用ローラ24の先端部外周に形成されているかしめ面28を接触させる。そして、かしめ加工用ローラ24をかしめ加工機23に設けられた回転機構23bによりベアリングホルダ8の軸Ax周りに公転させる。この公転状態にて、加工用ローラ24の軸位置に形成されている回転軸体24aに対して、軸Bxに直交する方向、すなわちベアリングホルダ8の軸Ax方向に沿って下方へ、かしめ加工機23に備えられている加圧機構23cからの圧力を加える。
これらの加圧機構23a,23cには、油圧などの圧力発生装置が設けられていると共に、圧力調節機構が設けられており、これら圧力調節機構により、円筒状押圧部材26及びかしめ加工用ローラ24に対して要求される圧力が独立に加えられる。この工程はかしめ加工制御部23dを介して、作業者による手動あるいは自動処理により実行される。
尚、かしめ加工用ローラ24は回転軸体24aを介して軸Bx周りに自転可能に支持されているため、加圧による公転と同時に自転も生じる。
このかしめ加工用ローラ24による公転と自転とにより、かしめ加工用ローラ24はベアリングホルダ8の未加工部8xをかしめ加工する。このかしめ加工により、図8に示すごとく、ベアリングホルダ8の端部にある未加工部8xはベアリングホルダ8の内周側に軸Axに直交する方向に折り曲げられて、かしめ部8bを形成する。このことでアウターレース14aをかしめ部8bと当接面8aとの間で挟持でき、ベアリング14をベアリングホルダ8内部に保持することができる。
このかしめ加工用ローラ24による公転と自転とにより、かしめ加工用ローラ24はベアリングホルダ8の未加工部8xをかしめ加工する。このかしめ加工により、図8に示すごとく、ベアリングホルダ8の端部にある未加工部8xはベアリングホルダ8の内周側に軸Axに直交する方向に折り曲げられて、かしめ部8bを形成する。このことでアウターレース14aをかしめ部8bと当接面8aとの間で挟持でき、ベアリング14をベアリングホルダ8内部に保持することができる。
円筒状押圧部材26については、このかしめ加工の間、前述したごとくアウターレース14aの端面14bに当接してアウターレース14aをベアリングホルダ8の軸Ax方向にて弾性圧縮している。このことによりかしめ加工用ローラ24により形成されるかしめ部8bは、圧縮力によりベアリングホルダ8の軸Ax方向にて少し縮んだ状態のアウターレース14aに対して、その端面14bに沿って形成されることになる。
図9に拡大して示すごとく、折り曲げ対象とならない周壁部8cには、かしめ加工時に未加工部8x(かしめ加工後ではかしめ部8bに相当)側から、かしめ加工用ローラ24のかしめ面28による圧力が、実線の矢線にて示すごとく、ベアリングホルダ8の軸Axに沿った方向(挟持力方向)に加わる。
かしめ加工用ローラ24による未加工部8xに対するかしめ加工時には、弾性変形と塑性変形とが生じる。この塑性変形は、かしめ部8bにては図9に破線の矢線にて示すごとく先端側への塑性流動を生じる。そして、このかしめ加工によって周壁部8c側へも塑性流動を実線の矢線にて示したごとくの方向に生じる。この塑性変形が周壁部8cで生じると、その分、周壁部8cでの弾性変形量が減少することになる。
尚、かしめ加工時に未加工部8x(かしめ部8b)を介して、端面14bから圧力を受けるベアリング14のアウターレース14aについては、硬質材料であり弾性変形のみである。例えば、ベアリングホルダ8とアウターレース14aとは共にスチール製であるが、ベアリングホルダ8よりもアウターレース14aの方が高硬質のスチール製である。例えば、ベアリングホルダ8は一般的なステンレススチールなどを材質とし、アウターレース14aは高炭素クロム鋼などの高硬度のスチールを材質としている。
このベアリング14のアウターレース14aでの弾性変形量とベアリングホルダ8の周壁部8cでの弾性変形量との差により、かしめ加工後にベアリングホルダ8に残留軸力が生じる。この残留軸力によりアウターレース14aが当接面8aに当接した状態にて、かしめ部8bから挟持圧を受け、ベアリング14全体がベアリングホルダ8内に保持されることになる。このようにして、かしめ保持構造が形成されて、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構16のナット16aがベアリングホルダ8内にて回転可能に支持されることになる。
しかも本実施の形態では、かしめ加工完了と共に、円筒状押圧部材26によるアウターレース14aの弾性圧縮も終了するので、アウターレース14aは、かしめ加工時のかしめ加工用ローラ24による圧縮からの復帰に加えて、更に円筒状押圧部材26による圧縮からの復帰が行われる。このため上述した弾性変形量の差が、更に拡大することになり、かしめ部8bからアウターレース14aが受ける挟持圧は更に大きいものとなり、ベアリング14の挟持力が増幅される。
上述した構成において、加工用ローラ24、回転軸体24a、回転機構23b及び加圧機構23cの組み合わせがかしめ加工部に相当し、円筒状押圧部材26及び加圧機構23aの組み合わせが圧縮付与部に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).かしめ加工用ローラ24にてベアリングホルダ8の端部である未加工部8xを折り曲げてかしめ部8bを形成する際に、ベアリング14に対して、かしめ部8bによる挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を、かしめるためにかしめ加工用ローラ24から伝達される圧力とは別に加えている。ここでは円筒状押圧部材26によりアウターレース14aの端面14bに圧縮力を付与している。
(イ).かしめ加工用ローラ24にてベアリングホルダ8の端部である未加工部8xを折り曲げてかしめ部8bを形成する際に、ベアリング14に対して、かしめ部8bによる挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を、かしめるためにかしめ加工用ローラ24から伝達される圧力とは別に加えている。ここでは円筒状押圧部材26によりアウターレース14aの端面14bに圧縮力を付与している。
このことにより、かしめ加工は、アウターレース14aが、或る程度、挟持力方向に縮んだ状態にて実行されることになる。したがって未加工部8xはアウターレース14aが縮んでいない状態よりも、わずかに折り曲げ幅が大きくなる。
かしめ加工後に、加圧機構23aの油圧を低下させて、アウターレース14aに対する圧縮力が解消されるとアウターレース14aには圧縮力と反対方向への反発力が生じる。この反発力が、かしめ加工によりベアリングホルダ8の周壁部8cに生じている挟持力に加算されることにより、挟持力が増加する。
このように、かしめ加工制御部23dにより、かしめ加工の期間にて圧縮力付与を継続して実行するように制御することで、ベアリングホルダ8の端部にかしめ加工がなされて形成されたかしめ部8bは、ベアリング14を保持するための挟持力を向上させることができる。
そして、このことによりベアリング14を、ベアリングホルダ8内にボルト等にて取り付ける機構を別に用意することなく、十分な挟持力によるかしめ保持が可能となるので、ベアリングホルダ8全体を小型化できる。このためアクチュエータ2を小型化でき、更に駆動対象装置である内燃機関全体に対しても小型化に貢献できる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態において、加圧機構23a,23cは共に油圧により圧縮力やかしめ圧力を発生させていたが、特に加圧機構23aではバネを用いて、その付勢力により圧縮力を発生させても良い。このことにより簡易な構成にて圧縮力を円筒状押圧部材26を介してアウターレース14aに付与することができる。
(a).前記実施の形態において、加圧機構23a,23cは共に油圧により圧縮力やかしめ圧力を発生させていたが、特に加圧機構23aではバネを用いて、その付勢力により圧縮力を発生させても良い。このことにより簡易な構成にて圧縮力を円筒状押圧部材26を介してアウターレース14aに付与することができる。
(b).前記実施の形態では、かしめ加工と圧縮力付与とは同時に実行していたが、予め圧縮力付与の期間中にかしめ加工を実行し、かしめ加工が終了してから、圧縮力付与を終了するようにしても良い。
(c).前記実施の形態において、かしめ加工用ローラ24は、回転機構23bによる公転に伴って円筒状のワーク(ここではベアリングホルダ8)との摩擦により自転したが、この自転についても回転機構23bや他の回転機構を利用して、回転駆動力により積極的に回転させても良い。
(d).前記実施の形態では、かしめ加工機23は、2つのかしめ加工用ローラ24を180°の位相間隔で対向させて配置したものであった。これ以外に、1つのかしめ加工用ローラ24にてかしめ加工を実行しても良い。
又、かしめ加工用ローラ24は3つ以上配置しても良く、これらを等位相間隔に配置することにより、かしめ加工時に圧力バランスが良好に維持でき、高精度にかしめ部8bを形成でき、残留軸力もベアリングホルダ8の軸Ax周りに均一なものにできる。
(e).円筒状押圧部材26はリング状加圧面26aを有することで、アウターレース14aの端面14bの全周に接触して加圧していたが、これ以外に、接触部分に間隙を設けてアウターレース14aの端面14bを断続的な領域で加圧しても良い。例えば、円筒状押圧部材のリング状加圧面が、等位相間隔で、3ヶ所を60°の位相幅で設けられることにより、アウターレース14aの端面14bをベアリングホルダ8の軸Ax周りの3ヶ所にて加圧するようにしても良い。あるいは円筒状押圧部材のリング状加圧面が、等位相間隔で、4ヶ所を45°の位相幅で設けられることにより、アウターレース14aの端面14bをベアリングホルダ8の軸Ax周りの4ヶ所にて加圧するようにしても良い。あるいはこれ以外の幅にて等間隔にリング状加圧面を形成してアウターレース14aの端面14bを加圧するようにしても良い。
(f).前記実施の形態において、ベアリング14のアウターレース14aの挟持はベアリングホルダ8にて行っていたが、ベアリングホルダ8を用いずにハウジングにて直接挟持しても良い。すなわち、かしめ加工をハウジングに加えることで、ハウジングにかしめ部を形成して、ハウジングにてベアリングのアウターレースを直接保持する構造としても良い。この際にも、ベアリング14のアウターレース14aに対して円筒状押圧部材26から圧縮力付与を行うことにより、前述したごとくベアリングホルダ8にて保持する場合と同様な効果を生じる。
(g).前記実施の形態では、アクチュエータ2にて駆動される機構としては、内燃機関に設けられて、吸気バルブの最大バルブリフト量を連続的に調節できる可変動弁機構であったが、排気バルブの最大バルブリフト量を連続的に調節できる可変動弁機構でも良い。更に、アクチュエータにて駆動される機構としては可変動弁機構に限らず他の機構でも良い。又、内燃機関での用途に限らない。
(h).前記実施の形態では、回転−直動変換機構として遊星差動ネジ型回転−直動変換機構を採用していたが、送りネジ機構を用いても良い。
2…アクチュエータ、4…カムキャリア、4a…外周面、6…ハウジング、8…ベアリングホルダ、8a…当接面、8b…かしめ部、8c…周壁部、8x…未加工部、10…ステータ、12…制御盤、14…ベアリング、14a…アウターレース、14b…端面、16…遊星差動ネジ型回転−直動変換機構、16a…ナット、16b…出力シャフト、16c…プラネタリシャフト、18…ロータ、20…スナップリング、22…シールリング、23…かしめ加工機、23a…加圧機構、23b…回転機構、23c…加圧機構、23d…かしめ加工制御部、24…かしめ加工用ローラ、24a…回転軸体、26…円筒状押圧部材、26a…リング状加圧面、28…かしめ面。
Claims (13)
- かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成し、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持するかしめ保持方法であって、
前記かしめ加工時に、かしめるための圧力とは別に、前記被保持部材に対して前記挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加えることを特徴とするかしめ保持方法。 - 請求項1に記載のかしめ保持方法において、前記圧縮力はバネの付勢力により発生させていることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項1に記載のかしめ保持方法において、前記圧縮力は液圧により発生させていることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のかしめ保持方法において、前記被保持部材はベアリングであり、前記ワークは、このベアリングにより回転可能に配置されている回転部材を内部に収納するハウジング、もしくはこのハウジング内に配置されるベアリングホルダであることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項4に記載のかしめ保持方法において、前記ベアリング及び前記ハウジングもしくは前記ベアリングホルダは、回転−直動変換アクチュエータにおけるベアリング及びハウジングもしくはベアリングホルダであり、この回転−直動変換アクチュエータは、駆動対象装置に取り付けられる前記ハウジングもしくは前記ベアリングホルダ内に前記ベアリングを介して回転可能に回転部材を配置すると共に、この回転部材の回転によりワークの軸方向に移動する出力シャフトを前記ハウジングから外部に突出させた状態に配置してこの出力シャフトから前記駆動対象装置に駆動力を伝達するものであることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項5に記載のかしめ保持方法において、前記回転部材は遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のナットであり、前記出力シャフトはサンシャフトであり、ナットとサンシャフトとの間にはプラネタリシャフトが配置されていることにより、前記ナット内に形成された前記サンシャフト、前記プラネタリシャフト及び前記ナット間の噛み合い機構により回転−直動変換がなされることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項5又は6に記載のかしめ保持方法において、前記駆動対象装置は内燃機関であることを特徴とするかしめ保持方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のかしめ保持方法にて前記ワーク内に前記被保持部材を保持したことを特徴とするかしめ保持構造。
- かしめ加工によりワークの端部を折り曲げてかしめ部を形成することで、このかしめ部の挟持力によりワークの基部に沿って被保持部材を保持させるためのかしめ加工機であって、
前記ワークの端部に接触してかしめ圧力を付与することで、前記端部を折り曲げてかしめ部を形成するかしめ加工部と、
前記被保持部材に接触して前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させる圧縮力を加える圧縮付与部と、
を備えたことを特徴とするかしめ加工機。 - 請求項9に記載のかしめ加工機において、前記ワークは円筒状であり、前記かしめ加工部はかしめ加工用ローラを備え、このかしめ加工用ローラを前記ワークの端部に接触させて転動させることにより、前記かしめ部を形成することを特徴とするかしめ加工機。
- 請求項9又は10に記載のかしめ加工機において、前記圧縮付与部はバネを備え、このバネの付勢力を前記圧縮力として前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させることを特徴とするかしめ加工機。
- 請求項9又は10に記載のかしめ加工機において、前記圧縮付与部は液圧装置を備え、この液圧装置が発生する液圧を前記圧縮力として前記被保持部材を前記挟持力方向にて弾性圧縮させることを特徴とするかしめ加工機。
- 請求項9〜12のいずれか一項に記載のかしめ加工機において、前記かしめ加工部によるかしめ加工の期間にて、前記圧縮付与部による圧縮力付与を継続して実行するかしめ加工制御部を備えたことを特徴とするかしめ加工機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008243214A JP2010069531A (ja) | 2008-09-22 | 2008-09-22 | かしめ保持方法、かしめ保持構造及びかしめ加工機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008243214A JP2010069531A (ja) | 2008-09-22 | 2008-09-22 | かしめ保持方法、かしめ保持構造及びかしめ加工機 |
Publications (1)
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JP2010069531A true JP2010069531A (ja) | 2010-04-02 |
Family
ID=42201797
Family Applications (1)
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JP2008243214A Pending JP2010069531A (ja) | 2008-09-22 | 2008-09-22 | かしめ保持方法、かしめ保持構造及びかしめ加工機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010069531A (ja) |
-
2008
- 2008-09-22 JP JP2008243214A patent/JP2010069531A/ja active Pending
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