JP2010066246A - ガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定電極のAu被毒を防止し、検出精度の低下を抑制できるガスセンサ素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】焼結体作製工程と内部ポンプ電極合金化工程とを行ってガスセンサ素子を製造する。焼結体作製工程においては、第1固体電解質体51及び第2固体電解質体52の間に形成された被測定ガス室11と、ここに所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部12と、被測定ガス室11における特定ガス濃度を検出するセンサセル3と、被測定ガス室11における酸素濃度を調整する酸素ポンプセル2とを有し、被測定ガス室11に面する第2固体電解質体52の表面にはPtを主成分としAuを含有しない内部ポンプ電極21を有するガスセンサ焼結体190を作製する。内部ポンプ電極合金化工程においては、測定電極31及び内部ポンプ電極21のうち、内部ポンプ電極21のみにAuを付着させ、Auにより合金化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定ガス室に導入された被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセルと、上記被測定ガス室における酸素濃度を調整する酸素ポンプセルとを有するガスセンサ素子の製造方法に関する。
例えば、自動車の排気系には、排気ガス中における窒素酸化物(NOx)濃度など、被測定ガス中における特定ガス濃度を測定するためのガスセンサが設置されている。
かかるガスセンサに用いるガスセンサ素子として、例えば図10に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセル93と、被測定ガス室91における酸素濃度を調整する酸素ポンプセル92とを有するガスセンサ素子9が開示されている(特許文献1)。
このガスセンサ素子9は、被測定ガス中に含まれる酸素の影響によって、本来測定したい特定ガスの濃度を正確に測ることが困難となることがあることに鑑み、酸素ポンプセル92によって、被測定ガス室91における酸素濃度を調整して、その影響を抑制しようとするものである。
具体的には、上記ガスセンサ素子9は、図10に示すごとく、第1の拡散律速通路961を通じて被測定ガスを導入する第1の内部空所911と、第2の拡散律速通路962を通じて第1の内部空所911と連結された第2の内部空所912とを、複数の固体電解質体95の間に有する。
そして、第2の内部空所912にセンサセル93の測定電極931が配設され、第1の内部空所911に酸素ポンプセル92の内部ポンプ電極921が配設されている。また、上記測定電極931と対をなす電極である基準電極932が、大気を導入する基準ガス室913に配設されている。また、上記内部ポンプ電極921と対をなす外部ポンプ電極922が、ガスセンサ素子9の外部に設けてある。
また、第1の内部空所911には、第1の内部空所911における酸素濃度を検出するための酸素モニタセル94の内部モニタ電極941が配設される。そして、酸素モニタセル94は、この内部モニタ電極941と上記基準電極932とによって構成され、両者間に生じる起電力によって、第1の内部空所911における酸素濃度を検出する。
上記の構成によって、第1の拡散律速通路961を通じて第1内部空所911に導入された被測定ガスにおける酸素を酸素ポンプセル92によって外部へ汲み出し、被測定ガス中の酸素濃度を低くする。そして、酸素濃度が低くなった被測定ガスは、第2の拡散律速通路962を通じて第2の内部空所912へ導かれる。第2の内部空所912に測定電極931が設けられたセンサセル93によって、被測定ガスにおける特定ガス濃度を測定する。このとき、被測定ガスにおける酸素濃度は充分に低いため、酸素濃度の影響を小さくして、特定ガス濃度の測定誤差を抑制する。
また、酸素モニタセル94によって、第1の内部空所911における被測定ガス中の酸素濃度をモニタリングしておき、その測定値に応じて、酸素ポンプセル92の出力を変化させて、酸素のポンピング能力を変化させる。これにより、第1の内部空所911に導入された被測定ガス中の酸素濃度を一定に保つようにしている。
このようなガスセンサ素子は、各種セラミック材料のグリーンシートにPtを主成分とする電極を印刷して積層し、焼成することにより作製されていた。このとき測定電極931には、窒素酸化物(NOX)に対して活性なPt−Rh電極が用いられていた。一方、内部ポンプ電極921は、窒素酸化物に対して不活性なPt−Au電極が用いられていた。
特開平8−271476号公報
しかしながら、ガスセンサ素子の焼成には、ジルコニア・セリア等からなる固体電解質体やアルミナ等を焼結させるために1000℃以上という高温焼成が必要となる。そのため、焼成中に内部ポンプ電極921から比較的融点の低いAuが揮発し、測定電極931を被毒してしまうおそれがあった。その結果、窒素酸化物等の被測定ガスの分解活性が低下し、検出精度が低下するという問題があった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、測定電極のAu被毒を防止し、検出精度の低下を抑制できるガスセンサ素子の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、酸素イオン伝導性を有する第1固体電解質体及び第2固体電解質体の間に形成され、被測定ガスを導入する被測定ガス室と、該被測定ガス室に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部と、上記被測定ガス室に導入された被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセルと、上記被測定ガス室における酸素濃度を調整する酸素ポンプセルとを有し、上記センサセルは上記第1固体電解質体と、上記被測定ガス室に面して上記第1固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする測定電極と、該測定電極と対をなすように上記第1固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする基準電極とを有し、上記酸素ポンプセルは、上記第2固体電解質と、上記被測定ガス室に面して上記第2固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分としAuを含有しない内部ポンプ電極と、該内部ポンプ電極と対をなすように上記第2固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする外部ポンプ電極とを有するガスセンサ焼結体を作製する焼結体作製工程と、
上記被測定ガス室に面する上記測定電極及び上記内部ポンプ電極のうち、該内部ポンプ電極のみにAuを付着させ、該内部ポンプ電極の少なくとも表面をAuにより合金化させる内部ポンプ電極合金化工程とを有することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法にある(請求項1)。
本発明においては、上記焼結体作製工程において、Ptを主成分としAuを含有しない上記内部ポンプ電極を有する上記ガスセンサ焼結体を作製する。そして、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記内部ポンプ電極をAuにより合金化させる。
そのため、焼成中に上記内部ポンプ電極からAuが揮発して上記測定電極を被毒させてしまうことを防止することができる。一方、上記焼結体作製工程後の上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記内部ポンプ電極をAuにより合金化させることができるため、窒素酸化物等の被測定ガスからの上記内部ポンプ電極の被毒を防止することもできる。
即ち、上記焼結体作製工程においては、上記第1固体電解質体及び上記第2固体電解質体等のセラミック材料を焼結させる必要があるため、一般に1000℃を越える高い温度で焼成を行う必要があり、Au等の融点の低い金属が揮発しやすい。本発明においては、上記焼結体作製工程における上記内部ポンプ電極からのAuの揮発を防止するために、予めAuを含有しない上記内部ポンプ電極を有する上記ガスセンサ焼結体を作製し(上記ガスセンサ焼結体作製工程)、焼成後に、上記内部ポンプ電極をAuにより合金化させている(上記内部ポンプ電極合金化工程)。そのため、上述のごとく、焼成中の上記内部ポンプ電極からのAuの揮発を防止し、揮発したAuが上記測定電極を被毒させてしまうことを防止できる。その結果、上記ガスセンサ素子の検出精度の低下を抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、測定電極のAu被毒を防止し、検出精度の低下を抑制できるガスセンサ素子の製造方法を提供することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記ガスセンサ焼結体作製工程は、本出願までに公知の製造方法により行うことができ、所謂積層型及びコップ型のガスセンサ素子に対して本発明を適用することができる。具体的には、ガスセンサ素子におけるセラミック部分の材料となるセラミックススラリーを成形し、これに各種電極を形成し、焼成する。この焼成により、セラミック材料を焼結させると共に、各種の電極を第1固体電解質体及び第2固体電解質体等のセラミックスに焼付ける。
本発明において、上記特定ガスとしては、例えばNOX(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等があり、上記ガスセンサ素子は、例えば自動車等の内燃機関における排気系に配置して用いることができる。
上記第1固体電解質体及び上記第2固体電解質体は、イオン伝導性セラミックスを主成分とする。
上記イオン伝導性セラミックスとしては、例えばジルコニア、部分安定化ジルコニア、安定化ジルコニア、セリア、ガドリニウム、セリア酸ストロンチウム、ジルコン酸ストロンチウム、セリア酸バリウム、及びジルコン酸バリウム等がある。
また、上記ガスセンサ素子(ガスセンサ焼結体)には、絶縁セラミックからなる絶縁体を形成することができ、該絶縁体、上記第1固体電解質体、及び上記第2固体電解質体等によって囲まれる空間として上記被測定ガス室を形成することができる。上記絶縁セラミックスとしては、例えばアルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素等がある。
また、上記拡散抵抗部は、上記絶縁セラミックスにより形成することができる。上記拡散抵抗部は、少なくとも一部が多孔質体によって構成されていることが好ましい。
この場合には、上記拡散抵抗部における拡散抵抗を調整することができる。
上記焼結体作製工程においては、金属成分としてPtを主成分とする上記測定電極、上記基準電極、上記内部ポンプ電極及び上記外部ポンプ電極を形成することができる。
上記測定電極は、金属成分として、Pt−Rh合金を含有することが好ましい(請求項10)。
この場合には、NOxの分解活性を向上させることができる。金属成分中のRhの含有量は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは、30〜50とすることができる。
また、上記焼結体作製工程において、Auを含有しない状態の上記内部ポンプ電極を形成する。好ましくは、全ての電極がAuを含有しないことがよい。この場合には、焼成時におけるAuの揮発を完全に防止し、上記測定電極の被毒をより確実に防止することができる。
上述の各電極は、上述の金属成分を含有する多孔質サーメット電極により形成することができる。
上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記被測定ガス室に面する上記測定電極及び上記内部ポンプ電極のうち、該内部ポンプ電極のみにAuを付着させ、該内部ポンプ電極の少なくとも表面をAuにより合金化させる。
上記内部ポンプ電極合金化工程においては、金酸塩溶液を上記内部ポンプ電極のみに付着させ、その後800℃以上かつ金の融点未満の温度で加熱することが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記内部ポンプ電極のみを容易に合金化させることができる。例えば上記焼結体作製工程において内部ポンプ電極の金属成分としてPtを用いた場合には、NOXに対して不活性なPt−Au合金を生じさせることができる。
上記内部ポンプ電極合金化工程における加熱温度が800℃未満の場合には、合金化が不十分になり、上記内部ポンプ電極がNOXにより被毒を受けやすくなるおそれがある。一方、加熱温度が金の融点を越える場合には、加熱時に金が揮発して、上記測定電極が被毒してしまうおそれがある。
上記金酸塩溶液としては、例えば塩化金(III)酸溶液、亜硫酸金(I)ナトリウム溶液、金クエン酸コロイド溶液、シアン化金(I)アンモニア溶液、シアン化金(I)カリウム溶液、及び、シアン化金(III)カリウム溶液等を用いることができる。また、金酸塩溶液としては、例えば水溶液を用いることができる。
上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記金酸塩溶液を上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内に注入し上記金酸塩溶液を上記内部ポンプ電極に付着させることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記内部ポンプ電極にAuを付着させることが容易にできる。
上記金酸塩溶液の上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内への注入は、上記ガスセンサ焼結体を該ガスセンサ焼結体の上記抵抗拡散部側から上記金酸塩溶液中に浸漬することにより行うことが好ましい(請求項4)。
また、上記金酸塩溶液の上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内への注入は、上記金酸塩溶液を上記抵抗拡散部からポンプにより上記被測定ガス室内に送り込むことにより行うことが好ましい(請求項5)。
これらの場合には、上記拡散抵抗部から上記金酸塩溶液を容易に注入することができる。浸漬させる場合には、上記ガスセンサ焼結体を上記金酸塩溶液中に浸漬させる深さを調整することにより、上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることができる。また、ポンプによる注入は、例えばシリンジ型等のポンプを用いて、上記金酸塩溶液を上記拡散抵抗部から上記被測定ガス室内へ染み込ませることができる。このときの注入量を調整することにより、上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることができる。
上記焼結体作製工程においては、上記積層方向と直交方向において上記測定電極が上記内部ポンプ電極の内側端部よりもさらに内側に配設されたガスセンサ焼結体を作製し、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記ガスセンサ焼結体を、上記積層方向と直交する方向の上記抵抗拡散部側から上記金酸塩溶液に浸漬することが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記抵抗拡散部側から上記ガスセンサ焼結体を上記金酸塩溶液中に浸漬させることにより、上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることが容易にできる。
即ち、上記焼結体作製工程において、上記測定電極31は、上記内部ポンプ電極21の内側端部212よりも内方に形成されており、上記測定電極31の外側端部311と上記内部ポンプ電極21の内側端部212との間には上記積層方向Zと直交方向(長手方向Y)において隔たりが形成されている。そのため、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記ガスセンサ焼結体190を上記金酸塩溶液500中に浸漬させる際に、上記内部ポンプ電極21の内側端部212と上記測定電極31の外側端部311との間まで浸漬させることにより、上記内部ポンプ電極21のみにAuを付着させることが容易できる(図4参照)。したがって、上記ガスセンサ焼結体190を上記金酸塩溶液500中に浸漬させる深さを調整することにより、上記内部ポンプ電極21のみにAuを付着させることが容易にできる。
なお、上記測定電極31の外側端部311は、上記抵抗拡散部12側に位置する端部であり、上記内部ポンプ電極の内側端部は、上記抵抗拡散部12側とは反対側に位置する端部である(図4参照)。
好ましくは、上記焼結体作製工程においては、上記測定電極の外側端部と上記内部ポンプ電極の内側端部との間の上記隔たりを300μm以上形成することが好ましい。300μm未満の場合には、上記内部ポンプ電極と上記測定電極の形成位置が近すぎて、上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることが困難になるおそれがある。
上記焼結体作製工程においては、上記被測定ガス室に面する上記測定電極と上記内部ポンプ電極とが上記積層方向に少なくとも10μm以上の間隙をもってそれぞれ上記第1固体電解質体及び上記第2固体電解質体の表面に形成された上記ガスセンサ焼結体を作製し、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記ガスセンサ焼結体を、上記積層方向にかつ上記測定電極と上記内部ポンプ電極のうち該内部ポンプ電極側から上記金酸塩溶液に浸漬することが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記ガスセンサ焼結体を上記積層方向に上記内部ポンプ電極側から上記金酸塩溶液中に浸漬させることにより、上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることが容易にできる。
即ち、上記焼結体作製工程において、上記測定電極と上記内部ポンプ電極とは、上記積層方向に少なくとも10μm以上の間隙をもって形成されている。そのため、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記ガスセンサ焼結体190を上記金酸塩溶液500中に浸漬させる際に、積層方向Zにおける上記内部ポンプ電極21と上記測定電極31との間まで浸漬させることにより、上記内部ポンプ電極21のみにAuを付着させることが容易できる(図8参照)。即ち、上記ガスセンサ焼結体を上記金酸塩溶液中に浸漬させる深さを調整することにより、容易に上記内部ポンプ電極のみにAuを付着させることができる。
上記焼結体作製工程においては、上記被測定ガス室として、互いに絞り部を介して連通する、上記第1固体電解質体側に形成された第1被測定ガス室と上記第2固体電解質体側に形成された第2被測定ガス室とを有する上記ガスセンサ焼結体を作製することが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記被測定ガスを上記拡散抵抗部から上記第1被測定ガス室に導入し、ここで上記酸素ポンプセルによって酸素濃度を調整し、その後、上記被測定ガスを、上記絞り部を通過させて上記第2被測定ガス室へ移動させ、ここで上記センサセルによって特定ガス濃度を検出することができる。
それゆえ、より測定精度に優れたガスセンサ素子を得ることができる。
また、この場合には、上記第1被測定ガス室側に上記内部ポンプ電極を形成し、上記第2被測定ガス室側に上記測定電極を形成することができる。その結果、上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記被測定ガス室に面する上記測定電極及び上記内部ポンプ電極のうち、該内部ポンプ電極のみにAuを付着させることが容易になる。
次に、上記拡散抵抗部は、その少なくとも一部が多孔質体によって構成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記拡散抵抗部における拡散抵抗を調整することが容易になる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、図1〜図5を用いて説明する。
まず、本例において作製するガスセンサ素子の構成について説明する。
本例のガスセンサ素子1は、図1〜図3に示すごとく、酸素イオン伝導性を有する第1固体電解質体51及び第2固体電解質体52の間に形成され、被測定ガスを導入する被測定ガス室11と、該被測定ガス室11に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部12とを有する。
また、ガスセンサ素子1は、被測定ガス室11に導入された被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセル3と、被測定ガス室11における酸素濃度を調整する酸素ポンプセル2とを有する。
センサセル3は、第1固体電解質体51と、被測定ガス室11に面して上記第1固体電解質体51の表面に設けられた測定電極31と、この測定電極31と対をなすように第1固体電解質体51の表面に設けられた基準電極32とを有する。測定電極31と基準電極32とは第1固体電解質体51を挟んで形成されている。
酸素ポンプセル2は、第2固体電解質体52と、被測定ガス室11に面して第2固体電解質体52の表面に設けられた内部ポンプ電極21と、この内部ポンプ電極21と対をなすように第2固体電解質体52の表面に設けられた外部ポンプ電極22とを有する。内部ポンプ電極21と外部ポンプ電極22とは第3固体電解質体52を挟んで形成されている。
本例において、測定電極31は、ガスセンサ素子の積層方向Zと直交方向(長手方向Y)において、内部ポンプ電極22の内側端部212よりもさらに内側、即ち拡散抵抗部12からより遠い側に配設されている(図1参照)。即ち、被測定ガス室に面する測定電極31と内部ポンプ電極22との間には、互いにガスセンサ素子1の長手方向Yに所定の間隔が形成されている。
また、基準電極32は、第1固体電解質体51における、測定電極31と反対側の面に形成され、第1基準ガス空間101に面して配設されている。
また、酸素ポンプセル2の外部ポンプ電極22は、第2固体電解質体52における、内部ポンプ電極21と反対側の面に形成され、第2基準ガス空間102に面して配設されている。
また、拡散抵抗部12は、ガスセンサ素子の長手方向Yの端部において、被測定ガス室11の開口部分を塞ぐように形成されている。
図1〜図3に示すごとく、第1固体電解質体51と第2固体電解質体52は、両者の間に被測定ガス室11を形成するためのスペーサ130を介して積層されている。拡散抵抗部12は、スペーサ130と積層方向における同じ層に形成されている。
また、第1固体電解質体51における被測定ガス室11と反対側の面には、第1基準ガス空間101を形成するためのスペーサ131を介して被覆板14が積層されている。
また、第2固体電解質体52における被測定ガス室11と反対側の面には、第2基準ガス空間102を形成するためのスペーサ132を介して、酸素ポンプセル2及びセンサセル3を加熱するためのセラミックヒータ15が積層されている。
第1固体電解質体51、第2固体電解質体52、スペーサ130、131、132、及びセラミックヒータ15は、焼成により一体化されている。
図1に示すごとく、本例において、拡散抵抗部12と内部ポンプ電極21とは、互いに長手方向Yに所定の間隔をあけて配設されている。拡散抵抗部12は、アルミナ等のセラミックからなる多孔質体によって構成されている。そして、図1及び図3に示すごとく、拡散抵抗部12は、第1固体電解質体と第2固体電解質体との間に形成されたスペーサ130と同じ層に形成され、第1固体電解質体と第2固体電解質体とスペーサ130によって囲まれる被測定ガス室の長手方向の開口部を塞ぐように配置されている。
第1固体電解質体51及び第2固体電解質体52は、それぞれジルコニアやセリア等を主成分とし、スペーサ130、131、132は、アルミナを主成分としてなる(図1〜図3参照)。
また、センサセル3の測定電極31及び基準電極32は、電源及び電流計を備えたセンサ回路(図示略)に接続されている。
また、測定電極31及び基準電極32は、電極内部へのガス拡散、及び測定電極31と第1固体電解質体51との間での反応を促進することができる多孔質の電極とするために、Ptを主成分とした金属成分とジルコニアを主成分とするセラミック成分とを含有するサーメット材料からなる。金属成分とセラミック成分との総重量に対するセラミック成分の含有量は、例えば、10〜20重量%とすることができる。
また、測定電極31は、窒素酸化物(NOx)に対して活性なPt−Rh電極よりなる。そして、その金属成分の総重量に対するRhの含有量を、例えば、10〜50重量%とすることができる。
酸素ポンプセル2の内部ポンプ電極21及び外部ポンプ電極22は、電源を備えたポンプ回路(図示略)に接続されている。
また、内部ポンプ電極21及び外部ポンプ電極22も、上述の測定電極31及び基準電極32と同様に、Ptを主成分とした金属成分とジルコニアを主成分とするセラミック成分とを含有するサーメット材料からなる。そして、金属成分とセラミック成分との総重量に対するセラミック成分の含有量は、例えば、10〜20重量%とすることができる。
また、内部ポンプ電極21の金属成分は、窒素酸化物に対して不活性なPt−Au合金からなる。金属成分の総重量に対するAuの含有量は、例えば1〜10重量%とすることができる。
なお、測定電極31、基準電極32内部ポンプ電極21、及び外部ポンプ電極22は、導電性のリード部及びスルーホールを介して、外部の端子部に電気的に接続されている(図示略)。
セラミックヒータ15は、図1〜図3に示すごとく、ヒータ基板151と該ヒータ基板151上に設けた発熱体150と該発熱体150を覆う絶縁層152とよりなる。
また、セラミックヒータ15は、アルミナよりなるシートに、通電発熱する発熱体150及びこれに通電するためのリード部153をパターニング形成すると共に、発熱体150に絶縁層152を隣接配置してなる。この発熱体150には、例えば、Ptとアルミナ等のセラミックとからなるサーメット材料が用いられる。
上記セラミックヒータ15は、発熱体150を外部からの給電により発熱させ、酸素ポンプセル2、センサセル3、及び酸素モニタセル4を活性温度まで加熱するものである。
発熱体150に対する給電は、発熱体150に一体的に形成されたリード部153と、スルーホール(図示略)と、端子部(図示略)とを介して行われる。
次に、本例のガスセンサ素子の製造方法について説明する。
本例においては、焼結体作製工程と内部ポンプ電極合金化工程とを行うことによりガスセンサ素子を製造する。
焼結体作製工程においては、図1〜図3に示すごとく、酸素イオン伝導性を有する第1固体電解質体51及び第2固体電解質体52の間に形成され、被測定ガスを導入する被測定ガス室11と、この被測定ガス室11に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部12と、被測定ガス室11に導入された被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセル3と、被測定ガス室11における酸素濃度を調整する酸素ポンプセル2とを有し、センサセル3は第1固体電解質体51と、被測定ガス室11に面して第1固体電解質体51の表面に設けられた、Ptを主成分とする測定電極31と、この測定電極31と対をなすように第1固体電解質体51の表面に設けられ、Ptを主成分とする基準電極32とを有し、酸素ポンプセル2は、第2固体電解質体52と、被測定ガス室11に面して第2固体電解質体52の表面に設けられ、Ptを主成分としAuを含有しない内部ポンプ電極21と、この内部ポンプ電極21と対をなすように第2固体電解質体52の表面に設けられ、Ptを主成分とする外部ポンプ電極22とを有するガスセンサ焼結体190を作製する。
具体的には、第1固体電解質体51、第2固体電解質体52、スペーサ130、131、132、被覆板14、絶縁層152及びヒータ基板151を、ドクターブレード法や押し出し成形法等によりシート状体として形成した。各種シート状体の材質としては、後述の焼成後に、上述のジルコニア又はアルミナ等の各種セラミックからなる第1固体電解質体51、第2固体電解質体52、スペーサ130、131、132、被覆板14、絶縁層152及びヒータ基板151を生成する材料を選択した。
測定電極31、基準電極32、内部ポンプ電極21、外部ポンプ電極22は、それぞれ、スクリーン印刷等によって形成した。各電極の材質としては、後述の焼成後に、上述のPt−Rh合金や、Ptを金属成分とするサーメット電極を生成する材料を選択した。このとき、内部ポンプ電極21については、金属成分としてPtのみを用いて形成した。
また、拡散抵抗部12を構成する多孔質体も、スクリーン印刷等によって形成した。
次いで、上記各電極等を適宜形成した後のセラミックシートを積層し焼成して一体化することによりガスセンサ焼結体を作製した。各種セラミック材料からなる上記シート状体の焼結のために、焼成は1350〜1500℃の温度で行った。
次に、内部ポンプ電極化工程においては、被測定ガス室11に面する測定電極31及び内部ポンプ電極21のうち、内部ポンプ電極21のみにAuを付着させ、内部ポンプ電極21の少なくとも表面をAuにより合金化させる。
具体的には、まず、1g/Lの塩化金(III)酸水溶液500を準備した。次いで、この水溶液500に、上記焼結体作製工程において作製したガスセンサ焼結体190を浸漬した(図4参照)。このとき、同図に示すごとく、ガスセンサ焼結体190は、その積層方向Zと直交する方向であって、長手方向Yの抵抗拡散部12側から浸漬させると共に、被測定ガス室11内における水溶液500の液面の高さが内部ポンプ電極21と測定電極31との間の位置にくるまで浸漬させた。これにより、塩化金(III)酸水溶液500が多孔体からなる拡散抵抗部12から被測定ガス室11内に侵入し、被測定ガス室11内に形成された内部ポンプ電極21及び測定電極31のうち、内部ポンプ電極21のみに金(塩化金酸)を付着させることができる。
次いで、内部ポンプ電極21に塩化金酸を付着させたガスセンサ焼結体190を大気中、温度900℃で2時間加熱し、さらに還元雰囲気(13%H2)中にて温度800℃で加熱することにより還元処理を行った。これにより、内部ポンプ電極21をAuにより合金化させ、Pt−Au合金からなる内部ポンプ電極21を有するガスセンサ素子1を得た。これを試料Eとする。
なお、本例のガスセンサ素子(試料E)は、N2バランスのNOX濃度500ppmのガス中で限界電流が約1.5μAとなる。
次に、本例のガスセンサ素子1の動作原理につき、図1〜図3を用いて説明する。
まず、被測定ガスは、所定の拡散抵抗の下に拡散抵抗部12を通過して、被測定ガス室11に導入される。導入される被測定ガス量は、拡散抵抗部12の拡散抵抗により決定される。被測定ガスが酸素ポンプセル2の内部ポンプ電極21の表面を通過する際に、被測定ガス中における酸素濃度が酸素ポンプセル2によって調整される。
すなわち、酸素ポンプセル2の一対の電極に、外部ポンプ電極22が正極となるように電圧を印加すると、内部ポンプ電極21上で被測定ガス中の酸素が還元されて酸素イオンとなり、ポンピング作用により第2基準ガス空間102側の外部ポンプ電極22に排出される。逆に、内部ポンプ電極21が正極となるように電圧を印加すると、外部ポンプ電極22上で酸素が還元されて酸素イオンとなり、ポンピング作用により被測定ガス室11側の内部ポンプ電極21に排出される。すなわち、酸素ポンプセル2は、一対の電極間に電圧をかけることにより被測定ガス室11における酸素の出し入れを行い、被測定ガス室11における酸素濃度を調整するよう構成されている。
特に、被測定ガスは、拡散抵抗部12を通過する際に、内部ポンプ電極21と接触しやすく、酸素濃度の調整が行われやすい。
次に、内部ポンプ電極21を通過した被測定ガスは、センサセル3の測定電極31に到達する。
センサセル3に、第1基準ガス空間101側の基準電極32が正極となるように所定の電圧(例えば、0.40V)を印加すると、測定電極31が窒素酸化物の分解に活性なPt−Rhのサーメット電極からなるため、測定電極31上で被測定ガス室11における被測定ガス中の酸素及び窒素酸化物が還元されて酸素イオンとなり、ポンピング作用により第1基準ガス空間101側の基準電極32に排出されて、測定電極31と基準電極32との間に電流が流れる。この電流は、被測定ガス中のNOX及び酸素の濃度に起因する電流である。これらのうちNOXに起因する電流を求めることにより、NOx濃度を検出することができる。
次に、本例の作用効果につき説明する。
本例においては、上記焼結体作製工程において、Ptを主成分としAuを含有しない内部ポンプ電極21を有するガスセンサ焼結体190を作製し、焼成後の後工程(内部ポンプ電極合金化工程)において、内部ポンプ電極21をAuにより合金化させている。
そのため、上記焼結体作製工程における高温(1350〜1500℃)での焼成中に内部ポンプ電極21からAuが揮発して測定電極31を被毒させてしまうことを防止することができる。また、上記焼結体作製工程後の上記内部ポンプ電極合金化工程において、上記内部ポンプ電極をAuにより合金化させるため、窒素酸化物等の被測定ガスからの内部ポンプ電極21の被毒を防止することもできる。
即ち、上記焼結体作製工程においては、第1固体電解質体51及び第2固体電解質体52等のセラミック材料を焼結させる必要があるため、一般に1000℃を越える高い温度で焼成を行う必要がある。そのため、Au等の融点の低い金属が揮発しやすい。本例においては、上記焼結体作製工程における内部ポンプ電極21からのAuの揮発を防止するため、予めAuを含有しない内部ポンプ電極21を有するガスセンサ焼結体190を作製し(ガスセンサ焼結体作製工程)、焼成後の後工程(内部ポンプ電極合金化工程)に、内部ポンプ電極21をAuにより合金化させている。そのため、上述のごとく、焼成中の内部ポンプ電極21からのAuの揮発を防止し、揮発したAuが測定電極31を被毒させてしまうことを防止できる。その結果、ガスセンサ素子1の検出精度の低下を抑制することができる。
次に、本例のガスセンサ素子(試料E)の優れた特性を明らかにするために、比較用のガスセンサ素子(試料C)を作製し、比較用と本例のガスセンサ素子におけるNOX分解活性を検討した。試料Cは、焼成前にPt−Ag合金を金属成分として用いて内部ポンプ電極を形成し、上述の合金化工程を行わなかった点を除いては上記試料Eと同様にして作製したガスセンサ素子である。
具体的には、まず、試料Eの場合と同様に、第1固体電解質体、第2固体電解質体、スペーサ、被覆板、絶縁層及びヒータ基板を、ドクターブレード法や押し出し成形法等によりシート状体として形成し、測定電極、基準電極、内部ポンプ電極、外部ポンプ電極をそれぞれ、スクリーン印刷等によって形成した。このとき、内部ポンプ電極の金属成分としてはPt−Au合金を用いた。
また、拡散抵抗部12を構成する多孔質体も、スクリーン印刷等によって形成した。
次いで、試料Eの場合と同様に、上記各電極等を適宜形成した後のセラミックシートを積層し焼成して一体化することによりガスセンサ焼結体を作製した。各種セラミック材料からなる上記シート状体の焼結のために、焼成は1350〜1500℃を越える温度で行った。これにより、比較用のガスセンサ素子(試料C)を得た。
比較用のガスセンサ素子(試料C)も、試料Eと同様に、N2バランスのNOX濃度500ppmガス中で限界電流が約1.5μAとなる。
次に、試料Eと試料CとのNOX分解活性を比較した。
具体的には、NOX濃度500ppmのガス中で、各試料(試料E及び試料C)のヒータに所定の電力を投入し、センサセルに電圧を印加した。電圧の印加は、0.001V/sの速さで0.2Vから0.6Vまで変化させながら行った。そして、このときの電流値を測定した。その結果を図5に示す。
図5より知られるごとく、焼成後に内部ポンプ電極合金化工程を行って作製した試料Eにおいては、センサ電圧0.4V以下で限界電流が検出された。これに対し、従来のように焼成前にPt−Au合金により内部ポンプ電極を形成して作製した試料Cにおいては、センサ電圧0.6V以上で限界電流が検出された。
このことから、内部ポンプ電極合金化工程を行って焼成後に内部ポンプ電極をAuで合金化させることにより、センサセルへのAuの被毒(具体的には測定電極へのAuの被毒)を抑制し、NOX分解活性を向上できることがわかる。
以上のように、本例によれば、測定電極のAu被毒を防止し、検出精度の低下を抑制できるガスセンサ素子の製造方法を提供することができる。
(実施例2)
本例は、図6及び図7に示すごとく、被測定ガス室11を、積層方向Zに二つに分割したガスセンサ素子の例である。
すなわち、被測定ガス室11は、互いに絞り部113を介して連通した第1被測定ガス室111と第2被測定ガス室112からなる。第1被測定ガス室111には内部ポンプ電極21が面しており、第2被測定ガス室112には測定電極31が面している。また、内部ポンプ電極21は、第1被測定ガス室111に面する第2固体電解質体52の表面に形成されている。
また、第1固体電解質体51と第2固体電解質体52との間に形成されたスペーサ130は、繰り抜き部の形状の異なる3層のセラミック層130a,130b,130cからなる。セラミック層130aの繰り抜き部によって第1被測定ガス室111が形成され、セラミック層130bの繰り抜き部によって絞り部113が形成され、セラミック層130cの繰り抜き部によって第2被測定ガス室112が形成される。
また、拡散抵抗部12は、被測定ガス室11から、第1固体電解質体51と第2固体電解質体52との積層方向Zに直交する方向に形成されている(図7参照)。
図7に示すごとく、拡散抵抗部12と内部ポンプ電極21とは、互いに積層方向Zに隣接して配設されている。拡散抵抗部12は、被測定ガス室11における積層方向Z及び長手方向Yに直交する幅方向Xの両端に一対形成されている。本例においては、拡散抵抗部12は、アルミナ等のセラミックからなる多孔質体によって構成されている。そして、拡散抵抗部12は、内部ポンプ電極21と第1固体電解質体51との間に介設され、内部ポンプ電極21の一部と積層方向Zに重なっている。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、被測定ガスは、拡散抵抗部12から第1被測定ガス室111へ導入され、ここで酸素ポンプセル2によって酸素濃度を調整される。その後、被測定ガスは、絞り部113を通過して第2被測定ガス室112へ移動し、ここでセンサセル3によって特定ガス濃度が検出される。
それゆえ、より測定精度に優れたガスセンサ素子1を得ることができる。
本例のガスセンサ素子のガスセンサ素子についても、実施例1と同様に焼結体作製工程と内部ポンプ電極合金化工程とを行うことにより作製することができる。
本例の焼結体作製工程においては、上記被測定ガス室11として、互いに絞り部113を介して連通する、上記第2固体電解質体52側に形成された第1被測定ガス室111と上記第1固体電解質体51側に形成された第2被測定ガス室112とを有するガスセンサ焼結体190を作製する。そして、第1被測定ガス室111に面する内部ポンプ電極21と第2被測定ガス室112に面する測定電極31とは、積層方向に所定の間隔(本例においては約10μm)を有している。
そのため、図8に示すごとく、ガスセンサ焼結体190を積層方向に、かつ内部ポンプ電極21側から上記塩化金(III)酸水溶液500に浸漬し、被測定ガス室11内における水溶液500の液面の高さを内部ポンプ電極21と測定電極31との間の位置に調整することにより、内部ポンプ電極21のみに金(塩化金酸)を付着させることができる。
即ち、上記のごとく、ガスセンサ焼結体190を塩化金(III)酸水溶液500に浸漬すると、拡散抵抗部12から第1被測定ガス室111に水溶液が進入し、第1被測定ガス室111に面して第2固体電解質体52上に形成された内部ポンプ電極21に金(塩化金酸)を付着させることができる。第1被測定ガス室111と第2被測定ガス室112とは、絞り部113で連通しているが、ガスセンサ焼結体190を浸漬する深さを調整することにより、内部ポンプ電極21のみに金を付着させることできる。その後、実施例1と同様に、加熱及び還元を行うことにより、Pt−Au合金からなる内部ポンプ電極21を形成させることができる。
また、内部ポンプ電極合金化工程における金を付着させる方法としては、浸漬の他にもポンプを用いる方法がある。
即ち、図9に示すごとく、焼成後のガスセンサ焼結体190の拡散抵抗部12からシリンジ59を用いて塩化金(III)酸水溶液500を第1被測定ガス室111に注入することができる。拡散抵抗部12から注入された水溶液は、第1被測定ガス室111内を満たし、内部ポンプ電極21に塩化金(III)酸を付着させることができる。このとき、注入量を調整することにより、測定電極31に塩化金(III)酸を付着させることなく、内部ポンプ電極21のみに塩化金(III)酸を付着させることができる。その後、実施例1と同様に、加熱及び還元を行うことにより、Pt−Au合金からなる内部ポンプ電極21を形成させることができる。
本例においても、焼成後のガスセンサ焼結体に対して、金を付着させ内部ポンプ電極の合金化を図ることができる。そのため、焼成時におけるAuの揮発を防止し、測定電極等のAuによる被毒を防止することができる。そのため、ガスセンサ素子の検出精度の低下を抑制することができる。
実施例1にかかる、ガスセンサ素子の長手方向Y及び積層方向Zに平行な平面による断面説明図。 図1のA−A線矢視断面図。 実施例1にかかる、ガスセンサ素子の斜視展開図。 実施例1にかかる、ガスセンサ焼結体を積層方向と直交する方向(長手方向)に金酸塩溶液に浸漬する様子を示す断面説明図。 実施例1にかかる、ガスセンサ素子(試料E及び試料C)のセンサセル電圧とセンサセル電流との関係を示す説明図。 実施例2にかかる、ガスセンサ素子の長手方向Y及び積層方向Zに平行な平面による断面説明図。 図6のB−B線矢視断面図。 実施例2にかかる、ガスセンサ焼結体を積層方向の内部ポンプ電極が形成された側から金酸塩溶液に浸漬する様子を示す断面説明図。 実施例2にかかる、ポンプ(シリンジ)により金酸塩溶液をガスセンサ焼結体の第1被測定ガス室内に注入する様子を示す説明図。 従来例における、ガスセンサ素子の長手方向Y及び積層方向Zに平行な平面による断面説明図。
符号の説明
1 ガスセンサ素子
11 被測定ガス室
12 拡散抵抗部
190 ガスセンサ焼結体
2 酸素ポンプセル
21 内部ポンプ電極
22 外部ポンプ電極
3 センサセル
31 測定電極
32 基準電極
51 第1固体電解質体
52 第2固体電解質体

Claims (10)

  1. 酸素イオン伝導性を有する第1固体電解質体及び第2固体電解質体の間に形成され、被測定ガスを導入する被測定ガス室と、該被測定ガス室に所定の拡散抵抗の下に被測定ガスを導入するための拡散抵抗部と、上記被測定ガス室に導入された被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサセルと、上記被測定ガス室における酸素濃度を調整する酸素ポンプセルとを有し、上記センサセルは上記第1固体電解質体と、上記被測定ガス室に面して上記第1固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする測定電極と、該測定電極と対をなすように上記第1固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする基準電極とを有し、上記酸素ポンプセルは、上記第2固体電解質と、上記被測定ガス室に面して上記第2固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分としAuを含有しない内部ポンプ電極と、該内部ポンプ電極と対をなすように上記第2固体電解質体の表面に設けられたPtを主成分とする外部ポンプ電極とを有するガスセンサ焼結体を作製する焼結体作製工程と、
    上記被測定ガス室に面する上記測定電極及び上記内部ポンプ電極のうち、該内部ポンプ電極のみにAuを付着させ、該内部ポンプ電極の少なくとも表面をAuにより合金化させる内部ポンプ電極合金化工程とを有することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  2. 請求項1において、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、金酸塩溶液を上記内部ポンプ電極のみに付着させ、その後800℃以上かつ金の融点未満の温度で加熱することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  3. 請求項2において、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記金酸塩溶液を上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内に注入し上記金酸塩溶液を上記内部ポンプ電極に付着させることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  4. 請求項3において、上記金酸塩溶液の上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内への注入は、上記ガスセンサ焼結体を該ガスセンサ焼結体の上記抵抗拡散部側から上記金酸塩溶液中に浸漬することにより行うことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  5. 請求項3において、上記金酸塩溶液の上記抵抗拡散部から上記被測定ガス室内への注入は、上記金酸塩溶液を上記抵抗拡散部からポンプにより上記被測定ガス室内に送り込むことにより行うことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記焼結体作製工程においては、上記積層方向と直交方向において上記測定電極が上記内部ポンプ電極の内側端部よりもさらに内側に配設されたガスセンサ焼結体を作製し、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記ガスセンサ焼結体を、上記積層方向と直交する方向の上記抵抗拡散部側から上記金酸塩溶液に浸漬することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記焼結体作製工程においては、上記被測定ガス室に面する上記測定電極と上記内部ポンプ電極とが上記積層方向に少なくとも10μm以上の間隙をもってそれぞれ上記第1固体電解質体及び上記第2固体電解質体の表面に形成された上記ガスセンサ焼結体を作製し、上記内部ポンプ電極合金化工程においては、上記ガスセンサ焼結体を、上記積層方向に、かつ上記測定電極と上記内部ポンプ電極のうち該内部ポンプ電極側から上記金酸塩溶液に浸漬することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  8. 請求項7において、上記焼結体作製工程においては、上記被測定ガス室として、互いに絞り部を介して連通する、上記第1固体電解質体側に形成された第1被測定ガス室と上記第2固体電解質体側に形成された第2被測定ガス室とを有する上記ガスセンサ焼結体を作製することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項において、上記拡散抵抗部は、その少なくとも一部が多孔質体によって構成されていることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項において、上記測定電極は、金属成分として、Pt−Rh合金を含有することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
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