JP2010065257A - 金属製薄板の表面処理方法及び燃料電池用メタルセパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】金属製薄板に対して炭化珪素をショットブラストした後、熱処理炉を使用することなく、金属製薄板の表面に形成された複合皮膜中の珪素を容易に酸化して酸化珪素を形成することができ、その結果、燃料電池用メタルセパレータの親水性の向上を図ることができる金属製薄板の表面処理方法及び親水性の向上が図られた燃料電池用メタルセパレータを提供する。
【解決手段】
第1ステップはステンレス鋼薄板11の表面に対して炭化珪素の微粉末を噴射し、ステンレス鋼薄板11の表面に炭化珪素の微粉末を衝突させることによって炭化珪素の一部を珪素と炭素とに解離し、ステンレス鋼薄板11の表面に炭化珪素、珪素及び炭素からなる導電性を有する複合皮膜14を形成する。第2ステップは複合皮膜14を形成した後、前記ステップよりも低エネルギーで、微粉末をステンレス鋼薄板11の表面に噴射し、複合皮膜14中の珪素を酸化して酸化珪素を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】
第1ステップはステンレス鋼薄板11の表面に対して炭化珪素の微粉末を噴射し、ステンレス鋼薄板11の表面に炭化珪素の微粉末を衝突させることによって炭化珪素の一部を珪素と炭素とに解離し、ステンレス鋼薄板11の表面に炭化珪素、珪素及び炭素からなる導電性を有する複合皮膜14を形成する。第2ステップは複合皮膜14を形成した後、前記ステップよりも低エネルギーで、微粉末をステンレス鋼薄板11の表面に噴射し、複合皮膜14中の珪素を酸化して酸化珪素を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属製薄板の表面処理方法及び燃料電池用メタルセパレータに関する。
固体高分子型の燃料電池では、イオン交換膜からなる電解質膜を一対の電極で挟むMEA(Membrane-Electrode Asseembly)と、MEAを挟む一対のセパレータとを備えている。一方のセパレータと、MEAとの間に形成されたガス流路に燃料ガス(例えば水素ガス)が供給され、他方のセパレータとMEAの間に形成されたガス流路には酸化ガス(例えば、空気)が供給されるようになっている。前記セパレータとしては、従来、金属製セパレータのものが提案されている。金属製セパレータは、高い導電性を有し、かつ、燃料ガスに対して高いガス気密性を有し、さらに、燃料ガス及び酸化ガスの酸化還元反応に対して高い耐食性が求められている。このような金属製セパレータとしては、例えば、ステンレス材(SUS)、チタン等がある。
上記のような燃料電池では、ガス流路の排水性が十分でない場合、電気化学反応により生じた水や結露した水(生成水)が電極の一部を構成しているガス拡散層に沿って拡がり、ガス流路を塞いでしまうフラッディング現象が生ずる。このフラッディング現象が生ずると、電気化学反応が十分でなくなり、電池性能が急激に低下して、電池として機能しなくなる虞がある。
そこで、従来から、金属製セパレータの表面に親水性を付与して、排水性を上げるために、該表面に表面処理を行うようにしている。親水性を付与する表面処理としては、グラフト処理、ショットブラスト処理、プラズマ処理等が提案されている(特許文献1参照)。
又、特許文献2では、ステンレス材からなるセパレータの表面に対して、炭化珪素(SiC)をショットし、該表面において、炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離し、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)及び炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜を形成するようにしている。このようにして特許文献2では、ステンレス材からなるセパレータの表面に複合皮膜を形成して、表面の粗さを適度に大きくし、該表面における水液滴の接触角を小さくして親水性を得るようにしている。
特開2006−351334号公報、段落0024
特開2006−219749号公報
しかし、特許文献2の親水性を付与するための方法は、ある程度の親水性は得られるものの、さらに親水性を向上した金属製セパレータが求められている。
そこで、複合皮膜中の珪素(Si)を酸化させるために、金属製セパレータを熱処理炉を使用して加熱し、複合皮膜中の酸化珪素を増やすことにより、親水性向上を図ることが考えられる。しかし、この方法は、金属製セパレータの基材自身も酸化してしまうため、抵抗値が大幅増になり、導電性が損なわれてしまう問題がある。又、金属製セパレータの基材の酸化防止のために、非酸化性雰囲気で熱処理を行うことが考えられるが、この場合は、複合皮膜中の酸化珪素の形成が良好に行われず、親水性の向上が望めない問題がある。
そこで、複合皮膜中の珪素(Si)を酸化させるために、金属製セパレータを熱処理炉を使用して加熱し、複合皮膜中の酸化珪素を増やすことにより、親水性向上を図ることが考えられる。しかし、この方法は、金属製セパレータの基材自身も酸化してしまうため、抵抗値が大幅増になり、導電性が損なわれてしまう問題がある。又、金属製セパレータの基材の酸化防止のために、非酸化性雰囲気で熱処理を行うことが考えられるが、この場合は、複合皮膜中の酸化珪素の形成が良好に行われず、親水性の向上が望めない問題がある。
この発明は、金属製薄板に対して炭化珪素をショットブラストした後、熱処理炉を使用することなく、金属製薄板の表面に形成された複合皮膜中の珪素を容易に酸化して酸化珪素を形成することができ、その結果、燃料電池用メタルセパレータの親水性の向上を図ることができる金属製薄板の表面処理方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、親水性の向上が図られた燃料電池用メタルセパレータを提供することにある。
上記の問題点を解決するために、本発明の金属製薄板の表面処理方法は、金属製薄板の表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、前記金属製薄板の表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させることによって炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離し、前記金属製薄板の表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)及び炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜を形成する第1ステップと、前記複合皮膜を形成した後、前記ステップよりも低エネルギーで、微粉末を前記金属製薄板の表面に噴射し、前記複合皮膜中の珪素(SiC)を酸化して酸化珪素を形成する第2ステップを含むことを特徴とする。本明細書で、薄板とは、板厚が0.2mm以下のものをいう。板厚が0.2mmを越えるものは、燃料電池が重量増加するため好ましくない。
ここで、炭化珪素(SiC)自体は、優れた導電性を有する材料ではない。しかしながら、炭化珪素(SiC)の微粒子を高速で金属製薄板の表面に衝突させることにより、微粒子の運動エネルギーの大部分が熱エネルギーに変換される。ここで、微粒子は100μm以下の細かいものであればよい。この変換された熱エネルギーによって、炭化珪素(SiC)の珪素(Si)と炭素(C)との結合が断たれて、炭化珪素(SiC)の一部が珪素(Si)と炭素(C)に解離する。第1ステップでの、ショットにより、珪素(Si)と炭素(C)に解離し、導電性の炭素(C)を形成し、抵抗値を下げる。この結果、一般的に市場に流通していて、安価に入手可能な炭化珪素(SiC)を用いて、金属製薄板の表面における導電特性を改善することができるため、製造コストを大幅に低減することができる。
一方、金属製薄板の表面においては、炭化珪素(SiC)が衝突することにより熱が発生することに加えて、金属製薄板の表面組織が動いて表面温度の上昇を助長する。このように、金属製薄板の表面にて表面温度が上昇することにより、炭化珪素(SiC)から解離した珪素(Si)と炭素(C)が金属製薄板に対して容易に拡散しやすくなる。この結果、珪素(Si)と炭素(C)を含む複合皮膜が強固に形成される。そして、形成された複合皮膜のうち、特に、炭素(C)が析出した部分は導電性が良好となり、金属製薄板の表面における導電特性が極めて良好に改善される。
又、第2ステップにおいて、微粉末を第1ステップよりも低エネルギーでショットすることにより、皮膜中の分離した珪素(Si)の酸化を促進し、親水性の良い酸化珪素成分を増加させ親水性を向上することができる。
ここで、前記第2ステップで使用する微粉末は、第1ステップで使用する微粉末の平均粒子径よりも平均粒子径が小さいものを使用することにより、第1ステップよりも低エネルギーで前記金属製薄板の表面に噴射することが好ましい。
或いは、前記第2ステップで使用する微粉末は、第1ステップで使用する微粉末よりも比重が小さいものを使用することにより、第1ステップよりも低エネルギーで前記金属製薄板の表面に噴射することが好ましい。
前記第1ステップ及び第2ステップでの微粉末の噴射は、精密ショットピーニング装置を用いて行うことが好ましい。
ここで、第1ステップ及び第2ステップでの微粉末の噴射は、精密ショットピーニング装置を用いて行うとよい。精密ショットピーニング装置とは、微粒子(ショット)を噴射速度として毎秒100メートル以上で噴射可能な装置である。
ここで、第1ステップ及び第2ステップでの微粉末の噴射は、精密ショットピーニング装置を用いて行うとよい。精密ショットピーニング装置とは、微粒子(ショット)を噴射速度として毎秒100メートル以上で噴射可能な装置である。
又、上記のように、第1ステップ及び第2ステップの処理がされた本発明の金属製薄板からなる燃料電池用メタルセパレータであることを特徴とする。
本発明の金属製薄板の表面処理方法によれば、金属製薄板に対して炭化珪素をショットブラストした後、熱処理炉を使用することなく、金属製薄板の表面に形成された複合皮膜中の珪素を容易に酸化して酸化珪素を形成することができ、その結果、燃料電池用メタルセパレータの親水性の向上を図ることができる。又、熱処理炉によって熱処理を行うことがないため、少ない入熱で基材自身の酸化を防止でき、抵抗値の劣化を抑制できる。さらには、燃料電池用メタルセパレータの導電特性を安価に改善することができ、製造コストを大幅に低減することができる。又、燃料電池用メタルセパレータの表面における導電特性を良好に改善することにより、電極との接触抵抗を低下させることができ、燃料電池の出力特性を大きくすることができる。又、燃料電池用メタルセパレータの表面に複合皮膜を形成し、さらに複合皮膜中に酸化珪素を含むようにして親水性を向上しているため、燃料電池、特に、固体高分子型燃料電池の電極において発生する水分過多状態(すなわち、フラッディング)を防止することができる。この結果、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
本発明の燃料電池用メタルセパレータによれば、熱処理炉によって熱処理が行われていないため、少ない入熱で基材自身の酸化が防止され、抵抗値の劣化を抑制でき、かつ親水性の向上が図られた燃料電池用メタルセパレータとなる。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の燃料電池用メタルセパレータ(以下、単にメタルセパレータという)10の断面図である。
メタルセパレータ10は破線で示した電極(アノード電極、高分子膜及びカソード電極から構成され、特にMembrane−Electrode Assembly:膜−電極アッセンブリと呼ばれる)に外部から供給される燃料ガス及び酸化ガス(以下、まとめて単にガスという)を分離して供給するとともに、電極の電極反応によって発電された電気を集電するものである。
メタルセパレータ10は破線で示した電極(アノード電極、高分子膜及びカソード電極から構成され、特にMembrane−Electrode Assembly:膜−電極アッセンブリと呼ばれる)に外部から供給される燃料ガス及び酸化ガス(以下、まとめて単にガスという)を分離して供給するとともに、電極の電極反応によって発電された電気を集電するものである。
このため、メタルセパレータ10には、外部から供給されたガスを電極に効率よく供給する機能に加え、発電された電気を効率よく集電する機能が要求される。すなわち、外部から供給されたガスを電極に効率よく供給するためには、導通するガスの圧力損失を低減する形状であることが要求される。又、発電された電気を効率よく集電するためには、電極との接触面積を大きくして集電抵抗を低減するとともに、電極とメタルセパレータ10間の接触抵抗を低減する形状であることが要求される。
このため、メタルセパレータ10は、図1に示すように、導通ガスの圧力損失を低減するためにステンレス鋼薄板11に対して複数の筋状凹部12及び筋状凸部13が成形されている。
メタルセパレータ10の基材である金属製薄板としてのステンレス鋼薄板11は、例えば、SUS304が採用され、その板厚は0.1mm〜0.2mm程度とされている。なお、ステンレス鋼薄板11に代えて、金属製薄板をチタン、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又は銅等からなる薄板としてもよいが、これらに限定されるものではなく、燃料電池用セパレータとして使用できるものであればよい。そして、複数の筋状凹部12及び筋状凸部13は、例えば、上型と下型とを備えたプレス成形機によって成形される。このとき、集電抵抗を低減するために、電極と接触する筋状凹部12の成形幅は筋状凸部13の成形幅よりも大きくなるように成形されている。
又、接触抵抗を低減するために、筋状凹部12の電極に接触する側の表面には、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)、炭素(C)及び酸化珪素からなる複合皮膜14が形成されている。
この、複合皮膜14を形成するために、下記の第1ステップと第2ステップの2段階でのショットブラスト処理を行う。
第1ステップでは、高速で平均粒子径が数十μm程度の炭化珪素(SiC)の微粒子(すなわち、微粉末)をステンレス鋼薄板11の表面に噴射する。このように噴射されると微粒子が有する運動エネルギーがステンレス鋼薄板の表面にて急激に減速される。ここで、炭化珪素(SiC)のビッカース硬度は2000Hvであり、ステンレス鋼薄板(ビッカース硬度が200Hv)に比して硬いため、ステンレス鋼薄板に衝突した炭化珪素(SiC)は、破砕しめり込んで停止する。この結果、炭化珪素(SiC)の微粒子が有する大きな運動エネルギーは、その大部分が熱エネルギーに変換され、炭化珪素(SiC)(図2では、SiC皮膜)の温度及びステンレス鋼薄板の表面温度が急激に上昇する(図2参照)。
第1ステップでは、高速で平均粒子径が数十μm程度の炭化珪素(SiC)の微粒子(すなわち、微粉末)をステンレス鋼薄板11の表面に噴射する。このように噴射されると微粒子が有する運動エネルギーがステンレス鋼薄板の表面にて急激に減速される。ここで、炭化珪素(SiC)のビッカース硬度は2000Hvであり、ステンレス鋼薄板(ビッカース硬度が200Hv)に比して硬いため、ステンレス鋼薄板に衝突した炭化珪素(SiC)は、破砕しめり込んで停止する。この結果、炭化珪素(SiC)の微粒子が有する大きな運動エネルギーは、その大部分が熱エネルギーに変換され、炭化珪素(SiC)(図2では、SiC皮膜)の温度及びステンレス鋼薄板の表面温度が急激に上昇する(図2参照)。
そして、図2に示すように炭化珪素(SiC)(図2では、SiC皮膜)の温度が上昇した状態においては、炭化珪素(SiC)を形成する珪素(Si)と炭素(C)との化学的な結合(大部分が共有結合)の一部が断たれて、珪素(Si)単体と炭素(C)単体に解離する。この結果、ステンレス鋼薄板(図2では、金属製薄板)の表面には、衝突した炭化珪素(SiC)の濃度がリッチな部分、解離した珪素(Si)の濃度がリッチな部分及び解離した炭素(C)の濃度がリッチな部分を有する複合皮膜が形成される。又、ステンレス鋼薄板の表面温度が上昇した状態においては、炭化珪素(SiC)から解離した珪素(Si)と炭素(C)がステンレス鋼薄板に対して容易に拡散しやすくなる。この結果、珪素(Si)と炭素(C)を含む複合皮膜が、ステンレス鋼薄板の表面に対して、強固に形成される。このように形成された複合皮膜のうち炭素(C)の濃度がリッチな部分が良好な導電特性を有しており、この炭素(C)のリッチな部分が極めて良好に電気を導通する。
又、炭化珪素(SiC)が噴射されてステンレス鋼薄板の表面に衝突すると、ステンレス鋼薄板の表面粗さ(中心線粗さRa)が大きくなる。そして、このステンレス鋼薄板の表面粗さの増大によって、水液滴の接触角が小さくなる。言い換えれば、表面粗さの増大に伴って、ステンレス鋼薄板の表面における親水性が良好となる。
次の、第2ステップでは、ステンレス鋼薄板に対して炭化珪素(SiC)等の微粒子(すなわち、微粉末)を第1ステップのショットブラストよりも低エネルギーで噴射する。第2ステップでは、第1ステップよりも低エネルギーで噴射を行う方法は種々ある。例としては、下記の方法があるが、下記のものに限定されるものではなく、第2ステップで噴射される微粒子の運動エネルギーが第1ステップの微粒子の運動エネルギーよりも小さく、かつ、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換された際に、その熱エネルギーにより珪素を酸化すればよい。
(1)第1ステップの炭化珪素(SiC)の平均粒子径と同じで、かつ、同じ比重の微粒子を使用する場合、第2ステップでは、第1ステップよりも低速(すなわち低圧噴射)で行う。
(2)第1ステップの炭化珪素(SiC)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さい微粒子で、第1ステップと同一の速度、又は低速で噴射を行う。
(3)第1ステップと同じ速度で微粒子を噴射する場合には、第2ステップの微粒子の比重を第1ステップで使用した炭化珪素の比重よりも軽いものを使用する。
(3)第1ステップと同じ速度で微粒子を噴射する場合には、第2ステップの微粒子の比重を第1ステップで使用した炭化珪素の比重よりも軽いものを使用する。
なお、第1ステップは、金属製薄板に衝突した炭化珪素(SiC)にめり込んで停止させて、金属製薄板の表面に捉えられた炭化珪素(SiC)の微粒子が有する大きな運動エネルギーの大部分を熱エネルギーに変換する。そして、炭化珪素(SiC)の温度及びステンレス鋼薄板の表面温度が急激に上昇させることにより、珪素(Si)単体と炭素(C)単体に解離させることを目的としている。
これに対して、第2ステップでは、複合皮膜に存在する珪素(Si)を酸化させ、かつ、金属製薄板の温度上昇を抑制して、接触抵抗が劣化するのを抑制するためであるため、第2ステップの微粒子の運動エネルギーを第1ステップよりも低下させている。
この第2ステップによる微粒子の材質は、炭化珪素(SiC)に限定されるものではなく、例えば、炭素粉末でもよい。第2ステップでは、噴射された微粒子が有する運動エネルギーが、第1ステップの場合よりも小さく、この微粒子が複合皮膜に衝突した際、前記運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、複合皮膜の温度が急激に上昇する。この複合皮膜の温度が上昇した状態においては、分離された珪素(Si)の酸化が促進されて酸化珪素成分を増加させ、この結果、親水性が向上する。
ここで、第1ステップ及び第2ステップでのショットブラスト処理では、精密ショットピーニング装置を使用することができる。
本実施形態においては、以下の効果がある。
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 本実施形態の金属製薄板の表面処理方法では、第1ステップでは、金属製薄板の表面に対して炭化珪素の微粉末を噴射し、前記金属製薄板の表面に前記炭化珪素の微粉末を衝突させることによって炭化珪素の一部を珪素と炭素とに解離し、前記金属製薄板の表面に炭化珪素、珪素及び炭素からなる導電性を有する複合皮膜を形成する。そして、第2ステップでは、複合皮膜を形成した後、前記ステップよりも低エネルギーで、微粉末を前記金属製薄板の表面に噴射し、前記複合皮膜中の珪素を酸化して酸化珪素を形成する。この結果、金属製薄板に対して炭化珪素をショットブラストした後、熱処理炉を使用することなく、金属製薄板の表面に形成された複合皮膜中の珪素を容易に酸化して酸化珪素を形成することができ、その結果、燃料電池用メタルセパレータの親水性の向上を図ることができる。
さらには、熱処理炉によって熱処理を行うことがないため、少ない入熱で基材自身の酸化を防止でき、抵抗値の劣化を抑制できる。又、燃料電池用メタルセパレータの導電特性を安価に改善することができ、製造コストを大幅に低減することができる。さらに、燃料電池用メタルセパレータの表面における導電特性を良好に改善することにより、電極との接触抵抗を低下させることができ、燃料電池の出力特性を大きくすることができる。又、燃料電池用メタルセパレータの表面に複合皮膜を形成し、さらに複合皮膜中に酸化珪素を含むようにして親水性を向上しているため、燃料電池、特に、固体高分子型燃料電池の電極において発生する水分過多状態(すなわち、フラッディング)を防止することができる。この結果、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
(2) 本実施形態の燃料電池用メタルセパレータは、前記第1ステップ及び第2ステップの処理がされている。この結果、本実施形態の燃料電池用メタルセパレータは、熱処理炉によって熱処理が行われていないため、少ない入熱で基材自身の酸化が防止され、抵抗値の劣化を抑制でき、かつ親水性の向上が図られた燃料電池用メタルセパレータとなる。
以下に、上記の表面処理方法による実施例1,2、及び比較例1,2を説明する。ここで、実施例1,2、及び比較例1,2の金属製薄板は、板厚0.1mm、A4サイズの大きさのステンレス鋼薄板(SUS304)を使用した。
実施例1の第1ステップでは、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:25μm)を使用し、第2ステップでは、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:10μm)を使用し、両ステップとも精密ショットピーニング装置を使用して金属製薄板の表面に対して同じ速度で噴射した。
実施例2の第1ステップでは、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:25μm)を使用し、第2ステップでは、炭化珪素(SiC)よりも比重が軽い炭素粉末(C)(平均粒子径:20μm)を使用し、両ステップとも同じ速度で噴射した。
比較例1は、第1ステップを、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:25μm)を使用し、第2ステップを省略した。
比較例2の第1ステップでは、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:25μm)を使用し、第1ステップのショットブラスト処理の後、第2ステップの代わりに熱処理炉において、金属製薄板を800℃で1時間加熱した。実施例1,2、及び比較例1,2の水接触角と接触抵抗測定した結果を表1に示す。
比較例2の第1ステップでは、炭化珪素(SiC)(平均粒子径:25μm)を使用し、第1ステップのショットブラスト処理の後、第2ステップの代わりに熱処理炉において、金属製薄板を800℃で1時間加熱した。実施例1,2、及び比較例1,2の水接触角と接触抵抗測定した結果を表1に示す。
図4は、実施例1の第1ステップ及び第2ステップの処理を行った後の、複合皮膜をX線光電子分光法(XPS)で分析した結果のチャートである。図4に示すように、第1ステップのショットブラスト処理では、炭化珪素(SiC)及び珪素(Si)を示す結合エネルギーの位置にピークが出たが、酸化珪素(SiOx)を示す結合エネルギーの位置にピークはないことが確認できた。
一方、第2ステップでは、炭化珪素(SiC)及び珪素(Si)を示す結合エネルギーの位置及び酸化珪素(SiOx)を示す結合エネルギーの位置にピークが出たことを確認でき、酸化珪素(SiOx)が第2ステップのショットブラスト処理により、形成されたことが確認できた。
又、実施例1,2の接触抵抗は、比較例1と同等の接触抵抗が得られたことが確認できた。それに対して、比較例2では、水接触角の向上がみられたが、反対に、接触抵抗は、実施例1,2がそれぞれ10mΩcm2,12mΩcm2であったのに対して、比較例2の接触抵抗は、200mΩcm2と悪化した。なお、接触抵抗の測定は、実施例1,2及び比較例1,2とも圧力2MPaを金属製薄板にかけた状態で行った。
図3は、実施例2における第2ステップの説明図である。同図に示すように、第1ステップのショットブラスト処理が終了し、炭素粉末(C)をSiC皮膜が形成された金属製薄板表面に噴射されると、SiC皮膜(すなわち、複合皮膜)中にある珪素(Si)が、温度上昇により空気のO2と反応して酸化されて酸化珪素(SiCx)が形成される。この場合、第1ステップとは異なり、炭素粉末(C)の運動エネルギーは、第1ステップの運動エネルギーよりも小さいため、すなわち、低エネルギーであるため、金属製薄板全体の温度上昇が抑制され、金属製薄板の接触抵抗が悪化することがない。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、前記実施形態の構成を下記のように変更してもよい。
○ 前記実施例1、2において、第1ステップのショットよりも第2ステップのショットを低エネルギーで行うために、第2ステップでは第1ステップよりも、比重が同じで平均粒子径が小さい微粉末、或いは、比重が小さい微粉末で行ったが、第2ステップにおいて、低エネルギーで行う方法は、上記方法に限定されるものではない。例えば、第1ステップと第2ステップとで、同一平均粒子径の微粉末で行う場合、第2ステップでは、第1ステップよりも第2ステップよりも低圧で行うことにより、第2ステップのショットを低エネルギーでショットするようにしてもよい。このようにしても、第1ステップで形成された複合被膜中の分離したSiの酸化が第2ステップで酸化が促進され、親水性の良い酸化シリコン成分を増加させて、金属製薄板の表面の親水性の向上させることができる。
○ 前記実施例1、2において、第1ステップのショットよりも第2ステップのショットを低エネルギーで行うために、第2ステップでは第1ステップよりも、比重が同じで平均粒子径が小さい微粉末、或いは、比重が小さい微粉末で行ったが、第2ステップにおいて、低エネルギーで行う方法は、上記方法に限定されるものではない。例えば、第1ステップと第2ステップとで、同一平均粒子径の微粉末で行う場合、第2ステップでは、第1ステップよりも第2ステップよりも低圧で行うことにより、第2ステップのショットを低エネルギーでショットするようにしてもよい。このようにしても、第1ステップで形成された複合被膜中の分離したSiの酸化が第2ステップで酸化が促進され、親水性の良い酸化シリコン成分を増加させて、金属製薄板の表面の親水性の向上させることができる。
この結果、この金属製薄板を燃料電池のセパレータとして使用する場合、燃料電池用メタルセパレータの導電特性を安価に改善することができ、製造コストを大幅に低減することができる。さらに、燃料電池用メタルセパレータの表面における導電特性を良好に改善することにより、電極との接触抵抗を低下させることができ、燃料電池の出力特性を大きくすることができる。
10…メタルセパレータ(電池用メタルセパレータ)、
11…ステンレス鋼薄板(金属製薄板)、
14…複合皮膜。
11…ステンレス鋼薄板(金属製薄板)、
14…複合皮膜。
Claims (5)
- 金属製薄板の表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、前記金属製薄板の表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させることによって炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離し、前記金属製薄板の表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)及び炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜を形成する第1ステップと、
前記複合皮膜を形成した後、前記ステップよりも低エネルギーで、微粉末を前記金属製薄板の表面に噴射し、前記複合皮膜中の珪素(SiC)を酸化して酸化珪素を形成する第2ステップを含むことを特徴とする金属製薄板の表面処理方法。 - 前記第2ステップで使用する微粉末は、第1ステップで使用する微粉末の平均粒子径よりも平均粒子径が小さいものを使用することにより、第1ステップよりも低エネルギーで前記金属製薄板の表面に噴射することを特徴とする請求項1に記載の金属製薄板の表面処理方法。
- 前記第2ステップで使用する微粉末は、第1ステップで使用する微粉末よりも比重が小さいものを使用することにより、第1ステップよりも低エネルギーで前記金属製薄板の表面に噴射することを特徴とする請求項1に記載の金属製薄板の表面処理方法。
- 前記第1ステップ及び第2ステップでの微粉末の噴射は、精密ショットピーニング装置を用いて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の金属製薄板の表面処理方法。
- 金属製薄板からなる燃料電池用メタルセパレータにおいて、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の処理がされたことを特徴とする燃料電池用メタルセパレータ。
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2008
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