JP2006219749A - ステンレス鋼薄板の表面処理方法および同表面処理方法によって表面処理される燃料電池用メタルセパレータ - Google Patents

ステンレス鋼薄板の表面処理方法および同表面処理方法によって表面処理される燃料電池用メタルセパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】 ステンレス鋼薄板の表面の導電特性を改善できる安価な表面処理方法および同方法によって表面処理された燃料電池用メタルセパレータを提供すること。
【解決手段】 メタルセパレータ10は、ステンレス鋼薄板11に複数の筋状凹部12および筋状凸部13が成形されている。そして、この筋状凹部12の電極に接触する側に対して、炭化珪素(SiC)の微粒子を高速で噴射する。この噴射された炭化珪素の微粒子が有する運動エネルギーは、筋状凹部12の表面に衝突することによって熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーによって、炭化珪素の一部が珪素(Si)と炭素(C)とに解離する。そして、炭化珪素、珪素および炭素とからなる複合皮膜14が筋状凹部12の表面に形成される。これにより、安価な炭化珪素を用いて、筋状凹部12の表面における導電特性を改善することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ステンレス鋼薄板の表面における導電特性を改善する表面処理方法および同表面処理方法によって表面処理される燃料電池用メタルセパレータに関する。
ステンレス鋼薄板は、その表面に不働態皮膜が形成されているため優れた耐食性を有している。このため、ステンレス鋼薄板は、高温、高湿のような苛酷な環境下で使用される通電電気部品として広く利用されている。このような苛酷な環境下で使用される通電電気部品の一つとして、固体高分子型燃料電池のメタルセパレータが挙げられる。しかし、ステンレス鋼の不働態皮膜は、優れた耐食性を有するものの、他部材との接触に係る電気的な抵抗(以下、単に接触抵抗という)は大きい。このため、ステンレス鋼をメタルセパレータとして利用した場合には、メタルセパレータと電極との間の接触抵抗が大きくなり、メタルセパレータから電極への電子の流れが阻害されるようになる。したがって、固体高分子型燃料電池の出力電圧が低下するという問題がある。
この問題に対して、従来から種々の提案がなされており、例えば、下記特許文献1には、ステンレス鋼から成形されて電極との接触面に直接金めっきを施したメタルセパレータが示されている。このメタルセパレータによれば、表面に金めっきが施されることによって、電極との接触抵抗が低下し、メタルセパレータから電極への電子の導通が良好となるため、燃料電池の出力電圧を大きくすることができる。
また、下記特許文献2には、導電性を有する炭化物系金属介在物および硼化物系金属介在物のうちの1種以上をステンレス鋼の表面に分散、露出させ、このステンレス鋼を用いて成形したメタルセパレータが示されている。このメタルセパレータによれば、ステンレス鋼の不働態皮膜を突き破るように分散、露出した炭化物系金属介在物または硼化物系金属介在物を電気の通り道として利用することによって、電極との接触抵抗が低下し、燃料電池の出力電圧を大きくすることができる。
特開平10−228914号公報 特開2001−32056号公報
ところで、上記特許文献1に示されたメタルセパレータにおいては、金めっきの厚さを薄くすることにより、メタルセパレータ1枚当たりの金使用量を抑制するようにしている。しかし、大量にメタルセパレータを製造する場合には、高価な金の総使用量が増大するために製造コストが高くなる。また、上記特許文献2に示されたメタルセパレータにおいては、使用する導電性を有する炭化物系金属介在物や硼化物系金属介在物(例えば、クロム、モリブデン、タングステンなどの炭化物や硼化物)は、一般に市場に流通している材料ではない。このため、これらの材料を容易に入手することが困難となる場合があり、仮にこれら材料を作製する場合には処理コストが高額となる。したがって、メタルセパレータの製造コストも高くなる。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ステンレス鋼薄板の表面の導電特性を改善できる安価な表面処理方法および同表面処理方法によって表面処理された燃料電池用メタルセパレータを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ステンレス鋼薄板の表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、前記ステンレス鋼薄板の表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させることによって炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離し、前記ステンレス鋼薄板の表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜を形成するようにしたことにある。この場合、前記炭化珪素(SiC)の微粉末は、前記ステンレス鋼薄板の表面に対して、精密ショットピーニング装置を用いて噴射されるとよい。
これらによれば、一般的に市場に流通していて、安価に入手可能な炭化珪素(SiC)を用いて、ステンレス鋼薄板の表面における導電特性を改善することができるため、製造コストを大幅に低減することができる。ところで、炭化珪素(SiC)自体は、優れた導電性を有する材料ではない。しかしながら、炭化珪素(SiC)の微粒子を高速でステンレス鋼薄板の表面に衝突させることにより、より好ましくは、精密ショットピーニング装置を用いて炭化珪素(SiC)の微粒子をステンレス鋼薄板の表面に衝突させることにより、微粒子の運動エネルギーの大部分が熱エネルギーに変換される。この変換された熱エネルギーによって、炭化珪素(SiC)の珪素(Si)と炭素(C)との結合が断たれて、炭化珪素(SiC)の一部が珪素(Si)と炭素(C)に解離する。
一方、ステンレス鋼薄板の表面においては、炭化珪素(SiC)が衝突することにより熱が発生することに加えて、ステンレス鋼薄板の表面組織が動いて表面温度の上昇を助長する。このように、ステンレス鋼薄板の表面にて表面温度が上昇することにより、炭化珪素(SiC)から解離した珪素(Si)と炭素(C)がステンレス鋼薄板に対して容易に拡散しやすくなる。この結果、珪素(Si)と炭素(C)を含む複合皮膜が強固に形成される。そして、形成された複合皮膜のうち、特に、炭素(C)が析出した部分は導電性が良好となり、ステンレス鋼薄板の表面における導電特性が極めて良好に改善される。ここで、精密ショットピーニング装置とは、微粒子(ショット)を噴射速度として毎秒100メートル以上で噴射可能な装置である。
また、本発明の他の特徴は、燃料電池の電極構造体を構成する電極層に対して燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ供給するとともに、前記電極にて発電された電気を集電するための複数の筋状凹部および筋状凸部が形成されたステンレス鋼薄板からなる燃料電池用メタルセパレータにおいて、前記燃料電池用メタルセパレータの表面には、同燃料電池用メタルセパレータの表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、前記燃料電池用メタルセパレータの表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させて同炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離させることにより、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜が形成されることにもある。この場合、前記炭化珪素(SiC)の微粉末は、前記燃料電池用メタルセパレータの表面に対して、精密ショットピーニング装置を用いて噴射されるとよい。さらに、この場合、前記複合皮膜は、前記複数の筋状凹部および筋状凸部が成形された後に形成されるとよい。
これらによれば、一般的に市場に流通していて安価に入手可能な炭化珪素(SiC)を用いて、燃料電池用メタルセパレータの表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる複合皮膜を形成することができる。これにより、燃料電池用メタルセパレータの表面おける導電特性を安価に改善することができ、製造コストを大幅に低減することができる。また、燃料電池用メタルセパレータの表面における導電特性を良好に改善することにより、電極との接触抵抗を低下させることができ、燃料電池の出力電圧を大きくすることができる。
また、燃料電池用メタルセパレータの表面に複合皮膜を形成することにより、表面の粗さを適度に大きくすることができる。このため、燃料電池用メタルセパレータの表面における水液滴の接触角を小さくして親水性を良好に確保することができる。これにより、燃料電池、特に、固体高分子型燃料電池の電極において発生する水分過多状態(所謂フラッディング)を燃料電池メタルセパレータの親水性によって防止することができる。したがって、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
さらに、燃料電池用メタルセパレータの複数の筋状凹部および筋状凸部が形成された後に、炭化珪素(SiC)を噴射して複合皮膜を形成することによって、筋状凹部および筋状凸部の形成に伴う残留応力(残留ひずみ)を除去することができる。これにより、別途、残留応力(残留ひずみ)を除去するための工程を設定することなく、料電池用メタルセパレータに生じるねじれや反りを防止することができる。したがって、生産性を向上させるとともに製造コストを低減することができる。
以下に、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、固体高分子型燃料電池に利用されるメタルセパレータ10を示している。このメタルセパレータ10は、図中にて破線で示した電極(アノード電極、高分子膜およびカソード電極から構成され、特にMembrane−Electrode Assembly:膜−電極アッセンブリと呼ばれる)に外部から供給される燃料ガスおよび酸化剤ガス(以下、まとめて単にガスという)を分離して供給するとともに、電極の電極反応によって発電された電気を集電するものである。このため、メタルセパレータ10には、外部から供給されたガスを電極に効率よく供給する機能に加え、発電された電気を効率よく集電する機能が要求される。すなわち、外部から供給されたガスを電極に効率よく供給するためには、導通するガスの圧力損失を低減する形状であることが要求される。また、発電された電気を効率よく集電するためには、電極との接触面積を大きくして集電抵抗を低減するとともに、電極とメタルセパレータ10間の接触抵抗を低減する形状であることが要求される。
したがって、メタルセパレータ10は、図1に示すように、導通ガスの圧力損失を低減するためにステンレス鋼薄板11に対して複数の筋状凹部12および筋状凸部13が成形されている。ここで、ステンレス鋼薄板11としては、例えば、SUS304が採用され、その板厚は0.1mm〜0.2mm程度とされている。そして、複数の筋状凹部12および筋状凸部13は、例えば、上型と下型とを備えたプレス成形機によって成形される。このとき、集電抵抗を低減するために、電極と接触する筋状凹部12の成形幅は筋状凸部13の成形幅よりも大きくなるように成形されている。なお、以下の説明においては、ステンレス鋼薄板11に筋状凹部12および筋状凸部13を成形したものを、一次成形品という。
また、接触抵抗を低減するために、筋状凹部12の電極に接触する側の表面には、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)とからなる複合皮膜14が形成されている。以下、この複合皮膜14の形成について詳細に説明する。
本発明者等は、不働態皮膜の形成されるステンレス鋼薄板11の表面において、導電特性を改善するための複合皮膜14を形成するために、種々の実験を実施した。その結果、市販されている精密ショットピーニング装置を用いて、炭化珪素(SiC)の微粒子をステンレス鋼薄板11の表面に噴射することにより、所望の複合皮膜14が容易に形成できることを発見した。なお、本発明者等が実施した種々の実験においては、精密ショットピーニング装置を用いて、珪酸アルミナ(ゼオライト)の微粒子をステンレス鋼薄板11の表面に噴射する実験も実施した。しかしながら、後述するように、珪酸アルミナ(ゼオライト)の微粒子をステンレス鋼薄板11の表面に噴射しても、同薄板11の表面における導電特性の改善は実現できなかった。
ここで、上記発見に係る実験について具体的に説明しておく。本発明者等は、実験におけるステンレス薄板の供試品として、板厚が0.2mm、ビッカース硬度が200HvのSUS304(圧延品)を用いた。また、このステンレス鋼薄板に対して噴射するショットとして、平均粒径が10,20,30,40および60μm、ビッカース硬度が2000Hvの市販の炭化珪素(SiC)を用いた。そして、本発明者等は、精密ショットピーニング装置を利用し、下記表1に示すような種々の条件(噴射圧力および噴射速度)に従って、炭化珪素(SiC)を上記ステンレス鋼薄板の表面に噴射した。
Figure 2006219749
そして、上記種々の条件で炭化珪素(SiC)が噴射されたステンレス鋼薄板の表面についてラマン分光分析を実施し、その表面状態を観察した。その結果、図2に示すように、炭化珪素(SiC)のみを噴射したにもかかわらず、ステンレス鋼薄板の表面にて炭化珪素(SiC)を示すピークの他に、珪素(Si)単体を示すピークと炭素(C)単体を示すピークとが現れる結果を得た。このことについて以下に考察する。
精密ショットピーニング装置は、上述したように、平均粒径が数十μm程度の炭化珪素(SiC)の微粒子を秒速数百m程度の高速で噴射することが可能である。このように、高速で炭化珪素(SiC)の微粒子がステンレス鋼薄板の表面に噴射されると、噴射された微粒子が有する運動エネルギーがステンレス鋼薄板の表面にて急激に減速される。ここで、炭化珪素(SiC)のビッカース硬度は2000Hvであり、ステンレス鋼薄板(ビッカース硬度が200Hv)に比して硬いため、ステンレス鋼薄板に衝突した炭化珪素(SiC)は、めり込んで停止する。この結果、炭化珪素(SiC)の微粒子が有する大きな運動エネルギーは、その大部分が熱エネルギーに変換され、炭化珪素(SiC)の温度およびステンレス鋼薄板の表面温度が急激に上昇する。
このように炭化珪素(SiC)の温度が上昇した状態においては、炭化珪素(SiC)を形成する珪素(Si)と炭素(C)との化学的な結合(大部分が共有結合)の一部が断たれて、珪素(Si)単体と炭素(C)単体に解離する。これにより、ステンレス鋼薄板の表面には、衝突した炭化珪素(SiC)の濃度がリッチな部分、解離した珪素(Si)の濃度がリッチな部分および解離した炭素(C)の濃度がリッチな部分を有する複合皮膜が形成される。また、ステンレス鋼薄板の表面温度が上昇した状態においては、炭化珪素(SiC)から解離した珪素(Si)と炭素(C)がステンレス鋼薄板に対して容易に拡散しやすくなる。この結果、珪素(Si)と炭素(C)を含む複合皮膜が、ステンレス鋼薄板の表面に対して、強固に形成される。
そして、本発明者等は、上述したように複合皮膜が形成されたステンレス鋼薄板(以下の説明において開発品という)について、下記表2に示すように、接触抵抗値を測定した。ここで、接触抵抗値の測定においては、負荷荷重を20Kg/cmとして測定した。なお、複合皮膜が形成されたステンレス鋼薄板の表面における導電性が改善されているか否かを確認するため、表2において複合皮膜を形成していないステンレス鋼薄板(板厚が0.2mmの圧延薄板であり、以下の説明において比較品という)の接触抵抗値を測定した。また、ステンレス鋼薄板の酸化に伴う接触抵抗値の変化を確認するため、開発品および比較品を硫酸(pH=2.0)中に浸漬した状態で電圧0.9Vを3時間かけて強制的に酸化した後の接触抵抗値も測定した。
Figure 2006219749
接触抵抗値の測定の結果については、表2から明らかなように、複合皮膜を形成した開発品の接触抵抗値は比較品に比して極めて小さな値となった。また、強制的に酸化した後の接触抵抗値においても、比較品が大幅に上昇することに対して、開発品は極端な抵抗値の上昇が見られなかった。したがって、炭化珪素(SiC)から形成される複合皮膜は、ステンレス鋼薄板の表面における導電特性を良好に改善すると考えることができる。すなわち、開発品においては、形成された複合皮膜のうち炭素(C)の濃度がリッチな部分が良好な導電特性を有しており、この炭素(C)のリッチな部分が極めて良好に電気を導通すると考えられる。
なお、参考までに、開発品と珪酸アルミナ(ゼオライト)をステンレス鋼薄板に噴射したもの(以下、参考品という)との接触抵抗値を表3に示しておく。ここで、開発品の接触抵抗値は、炭化珪素(SiC)の平均粒径が30μm、噴射圧力が0.3MPaおよび噴射速度が秒速150mで複合皮膜を形成したときの値であり、参考品の接触抵抗値は、珪酸アルミナ(ゼオライト)の平均粒径が30μm、噴射圧力が0.3MPaおよび噴射速度が秒速150mでステンレス鋼薄板に噴射したときの値である。表3から明らかなように、参考品の接触抵抗は、開発品に比して極めて大きな値となっており、ステンレス鋼薄板の表面における導電特性を改善したものとなっていない。
Figure 2006219749
また、表1に示すように、炭化珪素(SiC)が噴射されて衝突すると、ステンレス鋼薄板の表面粗さ(中心線粗さRa)が大きくなる。そして、このステンレス鋼薄板の表面粗さの増大によって、表1に示すように、水液滴の接触角が小さくなる。言い換えれば、表面粗さの増大に伴って、ステンレス鋼薄板の表面における親水性が良好となる。ここで、本発明者等は、この水液滴の接触角についても、比較品と対比して測定しており、同測定結果を表4に示す。表4からも明らかなように、開発品は、比較品に比して水液滴の接触角が小さく、表面における親水性が良好となっていることが分かる。
Figure 2006219749
この水液滴の接触角の減少すなわち親水性の改善は、ステンレス鋼薄板から成形されるメタルセパレータ10において重要である。すなわち、固体高分子型燃料電池においては、電極反応に伴って液体としての水が生成される。この生成された水が電極に大量に付着すると、電極にて水分過多状態(フラッディング)が発生する。このように、フラッディングが発生すると、水滴によって電極と接触するガス量が減少して、発電効率が減少する。したがって、メタルセパレータ10に対しては、電極に付着した水を効率よく排除することが要求される。この場合、メタルセパレータ10の表面における親水性が良好であれば、電極に付着した水がメタルセパレータ10の表面に容易に広がる。このため、電極に付着した水を容易に収集することができ、収集された水を、例えば、未反応ガスとともに外部に排出することができる。
なお、参考までに、開発品と参考品との水液滴の接触角を比較した表5を示しておく。この水液滴の接触角に関しては、参考品の接触角は開発品に比して小さい値である。したがって、参考品においては、ステンレス鋼薄板の表面における親水性が改善されているといえる。
Figure 2006219749
上記した実験の結果から、精密ショットピーニング装置を用いて、炭化珪素(SiC)の微粒子を高速で一次成形品に噴射することにより複合皮膜14を形成する。より具体的には、一次成形品の表面における導電特性を良好に改善するとともに親水性を良好に確保できる条件として、平均粒径が10〜30μm、噴射圧力が0.3〜0.5MPa、噴射速度が秒速150m〜300mで炭化珪素(SiC)を噴射する。これにより、一次成形品が炭化珪素(SiC)の衝突によって形状変形することなく、良好な導電特性および親水性を確保することができる。
上記説明からも理解できるように、本実施形態によれば、一般的に市場に流通していて安価に入手可能な炭化珪素(SiC)を用いて、メタルセパレータ10の表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる複合皮膜14を形成することができる。これにより、メタルセパレータ10の表面おける導電特性を安価に改善することができ、製造コストを大幅に低減することができる。また、メタルセパレータ10の表面における導電特性を良好に改善することにより、電極との接触抵抗を低下させることができ、固体高分子型燃料電池の出力電圧を大きくすることができる。
また、メタルセパレータ10の表面に複合皮膜14を形成することにより、表面粗さを適度に大きくすることができるため、メタルセパレータ10の表面における親水性を良好に確保することができる。これにより、固体高分子型燃料電池の電極において発生する水分過多状態(フラッディング)をメタルセパレータ10の親水性によって防止することができ、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
さらに、メタルセパレータ10の複数の筋状凹部12および筋状凸部13が形成された後に炭化珪素(SiC)を噴射して複合皮膜14を形成することによって、筋状凹部12および筋状凸部13の成形に伴い発生する残留応力(残留ひずみ)を除去することができる。これにより、別途、残留応力(残留ひずみ)を除去するための工程を設定することなく、メタルセパレータ10に生じるねじれや反りを防止することができ、生産性を向上させるとともに製造コストを低減することができる。
また、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、精密ショットピーニング装置を用いて炭化珪素(SiC)の微粒子を高速で噴射して複合皮膜14を形成するように実施した。しかし、炭化珪素(SiC)の微粒子を高速かつ連続的に噴射できるものであれば、いかなる装置を用いて前記微粒子を噴射してもよい。
また、上記実施形態においては、ステンレス鋼薄板11に複数の筋状凹部12および筋状凸部13を成形した後に複合皮膜14を形成し、一次成形品の残留応力(残留ひずみ)を除去するように実施した。しかし、コイル状に巻き取られたステンレス鋼薄板帯をアンコイルしてメタルセパレータ10を製造する場合には、アンコイル後のステンレス鋼薄板帯に対して複合皮膜14を形成しておき、その後、所定長に切断されたステンレス鋼薄板11に複数の筋状凹部12および筋状凸部13を成形することも可能である。この場合には、先に複合皮膜14を形成することによって、コイル状に巻き取られさらにアンコイルされたステンレス鋼薄板帯に発生した残留応力(残留ひずみ)を除去することができる。これにより、例えば、複数の筋状凹部12および筋状凸部13をプレス成形する際のステンレス鋼薄板11の割れなどの発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る表面処理方法により製造される燃料電池用のセパレータを示す概略図である。 炭化珪素(SiC)を噴射することによりステンレス鋼薄板の表面に形成された複合皮膜のラマン分光分析結果を示すグラフである。
符号の説明
10…燃料電池用メタルセパレータ、11…ステンレス鋼薄板、12…筋状凹部、13…筋状凸部、14…複合皮膜

Claims (5)

  1. ステンレス鋼薄板の表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、
    前記ステンレス鋼薄板の表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させることによって炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離し、
    前記ステンレス鋼薄板の表面に炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜を形成することを特徴とするステンレス鋼薄板の表面処理方法。
  2. 前記炭化珪素(SiC)の微粉末は、
    前記ステンレス鋼薄板の表面に対して、精密ショットピーニング装置を用いて噴射される請求項1に記載したステンレス鋼薄板の表面処理方法。
  3. 燃料電池の電極構造体を構成する電極層に対して燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ供給するとともに、前記電極にて発電された電気を集電するための複数の筋状凹部および筋状凸部が形成されたステンレス鋼薄板からなる燃料電池用メタルセパレータにおいて、
    前記燃料電池用メタルセパレータの表面には、
    同燃料電池用メタルセパレータの表面に対して炭化珪素(SiC)の微粉末を噴射し、前記燃料電池用メタルセパレータの表面に前記炭化珪素(SiC)の微粉末を衝突させて同炭化珪素(SiC)の一部を珪素(Si)と炭素(C)とに解離させることにより、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)および炭素(C)からなる導電性を有する複合皮膜が形成されることを特徴とする燃料電池用メタルセパレータ。
  4. 前記炭化珪素(SiC)の微粉末は、
    前記燃料電池用メタルセパレータの表面に対して、精密ショットピーニング装置を用いて噴射される請求項3に記載した燃料電池用メタルセパレータ。
  5. 前記複合皮膜は、前記複数の筋状凹部および筋状凸部が成形された後に形成されるものである請求項3に記載した燃料電池用メタルセパレータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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