JP2010065252A - 微細結晶粒銅材料の製造方法、微細結晶粒銅材料及びスパッタリングターゲット - Google Patents
微細結晶粒銅材料の製造方法、微細結晶粒銅材料及びスパッタリングターゲット Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】高純度銅または低濃度銅合金からなる銅素材1に対して、異なる方向からそれぞれ圧縮加工を施す多軸鍛造加工処理を行い、結晶粒が微細化された銅材料を製出する微細結晶粒銅材料の製造方法であって、前記多軸鍛造加工処理における1パス目の圧縮加工を行う初期加工温度T1が、銅素材1において動的再結晶が少なくとも部分的に発生する温度であることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
近年、集積回路の高集積化が進められており、これに伴って回路基板上の配線についても、サブミクロンオーダの極細線化が求められている。このような極細線化に対応するためには、スパッタリングターゲットの結晶粒を従来以上に微細化させてシャドウイングの発生を抑える必要がある。
そこで、高純度銅や低濃度銅合金の結晶粒の微細化の手段として種々のものが提案されている。例えば、非特許文献1には、単軸高温鍛造による方法が開示されており、非特許文献2−4には、超強加工法による方法が開示されている。また、特許文献1には、超強加工と熱処理とを組み合わせた方法が開示されている。
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また、非特許文献2−4に記載された方法においては、平均結晶粒径を0.2μm程度まで微細化することが可能であるものの、内部に高い歪エネルギーを有しているため熱的安定性に欠けており、容易に再結晶して結晶粒が粗大化してしまう。このため、スパッタリングターゲットとして使用することはできなかった。
さらに、特許文献1に記載された方法では、平均結晶粒径が数μm程度まで微細化されるが、加工工程と熱処理工程とを複数回実施する必要があり、かつ、超強加工を実施するために大型の鍛造機が必要となり、汎用性に欠け、製造コストが大幅に上昇してしまうといった問題があった。
さらに、比較的高温での圧縮加工によって動的再結晶を発生させているので、結晶の内部に高い歪エネルギーが蓄積されることがなく、熱的に安定な微細結晶粒銅材料を製出することができる。
加工軟化は、動的再結晶が大規模に発生することによって起こる現象である。つまり、加工軟化温度では、確実に動的再結晶が発生していることになる。ここで、初期加工温度T1をT1≧Ts−50℃とすることによって、1パス目の圧縮加工において動的再結晶を確実に発生させることができる。また、動的再結晶を比較的広範囲で発生させることが可能となり、結晶粒径の均一化を図ることもできる。また、初期加工温度T1をT1≦Ts+50℃とすることにより、動的再結晶によって生じる結晶粒の粒径が小さく抑えられ、結晶粒の微細化を効率良く行うことができる。
さらに、前記多軸鍛造加工処理における2パス目以降において、圧縮加工を行う加工温度Tnが、直前パスにおける加工温度Tn−1よりも低く設定されたパスを有する構成を採用してもよい。
そこで、結晶粒径の均一化を図る場合には、圧縮加工を行う加工温度Tnを直前パスにおける加工温度Tn−1と同一として、比較的高温で圧縮加工を行うことになる。一方、結晶粒径を小さくする場合には、圧縮加工を行う加工温度Tnを直前パスにおける加工温度Tn−1よりも低くして、比較的低温で圧縮加工を行うことになる。なお、圧縮加工を行う加工温度Tnを直前パスにおける加工温度Tn−1よりも高くした場合には、動的再結晶によって発生する結晶粒の粒径が直前パスよりも大きくなってしまい、結晶粒の微細化を効率的に行うことができなくなるため、好ましくない。
このような高純度銅は、従来の方法では結晶粒の微細化が困難であるが、本発明の微細結晶粒銅材料の製造方法によって、結晶粒の微細化を図ることが可能となる。また、高純度銅は、電気抵抗が低く、基板上の配線を構成する材質として適している。
このような低濃度銅合金は、前述した高純度銅に添加元素を0.1質量%以下添加したものであるので、電気抵抗が低く、基板上の配線を構成する材質として適している。
さらに、添加元素としてAg、Ca、Co、Zr、Auの中から選択される1種または2種以上の元素を採用することにより、熱的安定性を大幅に向上させることができる。また、さらなる結晶粒の微細化を図ることができる。
この微細結晶粒銅材料は、従来に比べて平均結晶粒径が小さく、かつ、熱的安定性に優れているので、スパッタリングターゲットの素材として適している。なお、平均結晶粒径は10μm以下とされていることがさらに好ましい。また、本発明に係る微細結晶粒銅材料は、動的再結晶によって結晶粒を微細化しているので、結晶の内部には転位下部組織が残存している。この転位下部組織は、前記多軸鍛造加工処理の後に熱処理等を施したとしても全てがなくなることはなく、一部が残存すると考えられる。
このスパッタリングターゲットによれば、平均結晶粒径が20μm以下と小さいので、表面の凹凸が少なく、シャドウイングの発生を抑えることができ、スパッタリングによって均一な薄膜を形成することができる。これにより、サブミクロンオーダーの配線の形成にも適用することが可能となる。
本発明の実施形態に係る微細結晶粒銅材料の製造方法においては、純度が99.99%以上とされた高純度銅、または、この高純度銅に、Ag、Ca、Co、Zr、Auの中から選択される1種または2種以上の元素を0.1質量%以下添加した低濃度銅合金からなる微細結晶粒銅材料を製造するものである。
まず、多軸鍛造加工処理を行う前の状態では、図5(a)に示すように粗大な初期結晶粒10が全体に存在している。ここで、初期加工温度T1で1パス目の圧縮加工をX軸方向を圧縮方向として行うと、図5(b)に示すように動的再結晶による新たな結晶粒11が部分的に発生する。動的再結晶による新たな結晶粒11は、初期結晶粒10の粒界に主に発生して初期結晶粒10を分断することになる。このように、部分的に動的再結晶が発生するため初期結晶粒10が多く残存しており、1パス後では、結晶粒の大きさは極めて不均一となる。
このように、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向から圧縮加工を順に行うことで、銅素材1は、結晶粒が微細化されることになる。このようにして得られた本実施形態である微細結晶粒銅材料の平均結晶粒径は、20μm以下とされ、より好ましくは10μm以下とされる。
例えば、X軸、Y軸及びZ軸方向で、順に、圧縮加工を行う構成として説明したが、これに限定されることはなく、異なる方向からそれぞれ圧縮加工を施すものであればよい。
後述する所定組成の高純度銅又は低濃度銅合金の鋳塊を製出し、この鋳塊を760℃に加熱して熱間鍛造して水中急冷してバルク材を得た。このバルク材を切断・面削して、図1に示す角柱状の試験片を作製した。
多軸鍛造加工処理の各パスの圧縮加工には、株式会社エー・アンド・デイ製のテンシロン高温圧縮試験機を用いて行った。ここで、各パスの圧縮加工を行う際のひずみ速度は、3.0×10−3s−1に制御した。潤滑剤としてグラファイト潤滑剤を使用した。
組織観察用試料は、試験片から最終圧縮方向に平行な断面で切り出し、機械研磨(エメリー紙・バフ)、電解研磨を行って作製した。電解研磨は、電解研磨液としてリン酸50体積%、蒸留水50体積%のものを使用し、室温(25℃)において電圧1.8Vで約40秒の条件で行った。
この電解研磨後の試料をTSL製のOrientation Imaging Microscopy(OIM)で解析するとともに、平均結晶粒径を算出した。
また、電解研磨後に、電解研磨液を用いて室温(25℃)において電圧0.5Vで約10秒の条件で電解腐食を行い、光学顕微鏡観察を行った。
実施例1として、純度が99.9999%以上の高純度銅(いわゆる6N銅)からなる微細結晶粒銅材料を製出した。
図6に、初期(多軸鍛造加工処理前)のOIMマップを示す。初期(多軸鍛造加工処理前)の結晶粒径D0は、D0=100μmであった。
また、各種温度(503K,563K,593K)で単軸圧縮試験を行った試験片のOIMマップ及びそのイメージクオリティマップを図8に示す。503K(230℃)でも僅かに動的再結晶が発生しているのが確認される。圧縮試験温度が高くなるにつれて動的再結晶が発生している領域が広がっていることがわかる。
ここで、単軸圧縮試験による動的再結晶によって生成された新たな結晶粒の粒径と圧縮試験温度との関係を図9に示す。圧縮試験温度が低い程、新たな結晶粒の粒径が小さくなることが確認される。
多軸鍛造加工処理としては、1パス当りのひずみ量を0.6とし、累積ひずみ量が3.0となるように、すなわち5パスの圧縮加工を行った。
等温工程では、1パス目から5パス目までの加工温度をすべて593K(320℃)とした。降温工程では、1パス毎に加工温度を30℃ずつ低下させていき、5パス目は4パス目と同じ加工温度(503K)とした。
実施例2として、純度99.9999%以上の高純度銅にAgを0.035質量%添加した低濃度銅合金(以下、Cu−Ag合金)からなる微細結晶粒銅材料を製出した。
図20に、初期(多軸鍛造加工処理前)のOIMマップを示す。初期(多軸鍛造加工処理前)の結晶粒径D0は、D0=72μmであった。なお、このCu−Ag合金では、前述の熱間鍛造後に、550℃×2hの焼鈍を行って均一化を図った。
各種温度(563K,643K,703K)で単軸圧縮試験を行った試験片のOIMマップ及びそのイメージクオリティマップを図22に示す。703Kにおいて動的再結晶が部分的に発生しているのが確認される。
また、単軸圧縮試験による動的再結晶によって生成された新たな結晶粒の粒径と圧縮試験温度との関係を図23に示す。圧縮試験温度が低い程、新たな結晶粒の粒径が小さくなるが、高純度銅(6N銅)と比べると温度依存性は小さい。
多軸鍛造加工処理としては、1パス当りのひずみ量を0.6とし、累積ひずみ量が3.0となるように、すなわち5パスの圧縮加工を行った。
等温工程では、1パス目から5パス目までの加工温度をすべて703K(430℃)とした。降温工程では、1パス毎に加工温度を30℃ずつ低下させていき、5パス目は4パス目と同じ加工温度(613K)とした。
一方、降温工程では、5パス後の平均結晶粒径D5が4.3μmと初期の平均結晶粒径D0=74μmに比べて微細化されている。
実施例3として、純度99.9999%以上の高純度銅にCaを0.011質量%添加した低濃度銅合金(以下、Cu−Ca合金)からなる微細結晶粒銅材料を製出した。
図34に、初期(多軸鍛造加工処理前)のOIMマップを示す。初期(多軸鍛造加工処理前)の結晶粒径D0は、D0=58μmであった。なお、このCu−Ca合金では、前述の熱間鍛造後に、630℃×2hの焼鈍を行って均一化を図った。
各種温度(563K,593K,643K)で単軸圧縮試験を行った試験片のOIMマップ及びそのイメージクオリティマップを図36に示す。動的再結晶が全体に発生しているのが確認される。また、単軸圧縮試験による動的再結晶によって生成された新たな結晶粒の粒径と圧縮試験温度との関係を図37に示す。圧縮試験温度が低い程、新たな結晶粒の粒径が小さくなることが確認される。
多軸鍛造加工処理としては、1パス当りのひずみ量を0.6とし、累積ひずみ量が1.8となるように、すなわち3パスの圧縮加工を行った。
2パス目の加工温度T2を623K(350℃)とし、3パス目の加工温度T3を593K(320℃)とした。
3パス後の平均結晶粒径D5が11.2μmと初期の平均結晶粒径D0=58μmに比べて微細化された。また、高純度銅(6N銅)に比べて大幅に結晶粒が微細化可能であることが確認された。
Claims (9)
- 高純度銅または低濃度銅合金からなる銅素材に対して、異なる方向からそれぞれ圧縮加工を施す多軸鍛造加工処理を行い、結晶粒が微細化された銅材料を製出する微細結晶粒銅材料の製造方法であって、
前記多軸鍛造加工処理における1パス目の圧縮加工を行う初期加工温度T1が、前記銅素材において動的再結晶が少なくとも部分的に発生する温度であることを特徴とする微細結晶粒銅材料の製造方法。 - 前記初期加工温度T1は、前記銅素材を前記圧縮加工と同一の圧縮率で単軸圧縮した際に加工軟化が発生する加工軟化温度Tsに対して、Ts−50℃≦T1≦Ts+50℃ の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 前記多軸鍛造加工処理における2パス目以降において、圧縮加工を行う加工温度Tnが、直前パスにおける加工温度Tn−1と同一であるパスを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 前記多軸鍛造加工処理における2パス目以降において、圧縮加工を行う加工温度Tnが、直前パスにおける加工温度Tn−1よりも低く設定されたパスを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 前記高純度銅は、銅の純度が99.99質量%以上とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 前記低濃度銅合金は、添加元素の濃度が0.1質量%以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 前記添加元素が、Ag、Ca、Co、Zr、Auの中から選択される1種または2種以上の元素であることを特徴とする請求項6に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の微細結晶粒銅材料の製造方法によって製造され、平均結晶粒径が20μm以下とされたことを特徴とする微細結晶粒銅材料。
- 請求項8に記載の微細結晶粒銅材料からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
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