JP2010064098A - 厚鋼板の冷却設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】大流量の冷却水を鋼板上面に供給し、高冷却速度で均一に鋼板を冷却する技術を提供する。
【解決手段】厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板12の上面に冷却水を供給するヘッダ1と、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズル3と、前記ヘッダの厚鋼板搬送方向上流側及び下流側に配置され、厚鋼板を挟んでテーブルロールと対向する水切りロール10,10aとを備え、該水切りロール10aによる滞留水膜31の堰き止め高さを300mm以上とすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
【選択図】図4

Description

本発明は、厚鋼板の冷却設備に関するものである。
熱間圧延によって厚鋼板を製造するプロセスでは、例えば図13に示すような設備において、熱間粗圧延、仕上圧延を行った後、水冷または空冷を行って組織を制御している。水冷によって比較的低い温度、例えば450〜650℃程度に冷却すると、微細なフェライトやベイナイト組織が得られ、鋼板の強度を確保できるので、スプレー冷却水やラミナー冷却水などによって鋼板を冷却する技術が一般的である。また近年では、高い冷却速度を得て組織をより微細化し、鋼板の強度を上げる技術の開発が盛んである。
例えば、大量の冷却水を供給して熱鋼板を急速冷却する技術として特許文献1の技術がある。これは、熱延鋼帯の上下面に多数の冷却バンクを設置し、各冷却バンクを水切りロールで区切るとともに、鋼帯の搬送速度や仕上温度に応じて冷却水吐出バンク数を増減するものであり、非常に高い冷却速度であっても、鋼帯長手方向に均質な材料特性に優れた製品を製造出来るとされている。
また、冷却水を供給して熱鋼板を冷却する別の技術として、特許文献2の技術がある。これは、水切りロール間で大流量のスプレー冷却水を供給可能にするものであり、広範囲の冷却速度を確保でき、広い温度域で冷却均一性を向上できるとされている。
特開2003−145214号公報 特開2006−35311号公報
しかしながら、厚鋼板を急速冷却するためには、従来の技術は、冷却能力や冷却均一性の確保に問題があった。
特許文献1の技術は、高い冷却速度を得ようとするために、冷却水を大量に供給するものであり、冷却水量を増やすほど鋼板上面に滞留する冷却水膜が厚くなる。大流量の冷却水を供給すると、滞留水が水切りロールを乗り越えて、隣りの冷却ゾーンに溢れてしまう場合が発生する。滞留水が非冷却ゾーン、すなわち空冷ゾーンに溢れれば、鋼板の過冷却を起こすとともに、温度むらを発生させてしまい、品質が均一な鋼板を製造することができなくなる。特に、厚鋼板の場合は板幅が広く、板幅中央付近に供給された冷却水は板幅端部から排水され難いため、水膜の水位は高くなりやすい。したがって、冷却水量は、滞留水が水切りロールから溢れない程度に抑えておく必要があった。
特許文献2の技術は、スプレーノズルを使用するため、冷却水を高圧で噴射しなければならない。スプレー冷却では、冷却水がノズルから噴霧状に噴射されるため、上述したように滞留水膜が厚いと、冷却水の勢いは滞留水膜で大きく減衰し、鋼板に到達できなくなる。したがって、水量密度が2.0m/m・min程度までの範囲でしか適用できず、それ以上の冷却水を供給しても冷却能力が上がるということはなかった。
さらに、スプレーノズルで冷却水を供給する場合は、スプレーノズルでの圧力損失がラミナーノズルに比べて大きい。したがって、冷却水供給ヘッダの圧力は、スプレー冷却ではラミナー冷却よりもずっと高い圧力をかけなければならず、ポンプや配管の設備コストが膨大になるという問題点もあった。
本発明は、上記に鑑み、厚鋼板の上面に冷却水を供給する場合において、大流量の冷却水を鋼板上面に供給し、高冷却速度で均一に冷却する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
第一の発明は、厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板の上面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルと、前記ヘッダの厚鋼板搬送方向上流側及び下流側に配置され、厚鋼板を挟んでテーブルロールと対向する水切りロールとを備え、該水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備である。
第二の発明は、前記ヘッダと、前記ヘッダの厚鋼板搬送方向上流側及び下流側に配置された前記水切りロールとを複数備え、少なくとも厚鋼板搬送方向最上流側と最下流側の水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とすることを特徴とする第一の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第三の発明は、冷却水噴射ノズルから噴射される冷却水の水量密度を2.0m/m・min以上、前記冷却水噴射ノズルのノズル長さを100mm以上、前記冷却水噴射ノズルの下端から厚鋼板表面までの距離を30〜120mmとすることを特徴とする第一または第二の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第四の発明は、滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とする水切りロールとして、直径を300mm以上450mm以下とする大径水切りロールを用いることを特徴とする第一乃至第三の発明のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備である。
第五の発明は、滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とする水切りロールとして、バックアップロールを有する水切りロールを用いて、バックアップロールと水切りロールの直径の和を300mm以上とすることを特徴とする第一乃至第三の発明のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備である。
本発明の厚鋼板の冷却設備を用いることにより、大流量の冷却水を鋼板上面に供給し、高い冷却速度を得て、強度の高い鋼板を製造することができる。また鋼板上面の冷却は、全面にわたって均一に行うことができるので、品質の高い鋼板を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態の一例を図面を参照して説明する。
図13は、本発明の実施に供する厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。
加熱炉から抽出されたスラブは圧延機によって粗圧延と仕上圧延が施され、所定の仕上温度、仕上板厚とされた後、オンラインにて加速冷却設備に搬送される。冷却前にプリレベラを通して鋼板の形状を整えてから加速冷却を行うのが均一な材質を得るには好適である。加速冷却設備では、上面冷却設備と下面冷却設備とから噴射される冷却水によって鋼板は所定温度まで冷却される。
図1は本発明の一実施の形態に係る上面冷却設備の配置を示す側面図である。
本発明の上面冷却設備は、厚鋼板12の上面に冷却水を供給する上ヘッダ1と、該上ヘッダ1から懸垂した上冷却水噴射ノズル3と、上ヘッダ1の前後に水切りロール10が設置されている。上冷却水噴射ノズル3は棒状の冷却水を噴射する円管ノズル3からなり、厚鋼板幅方向、長手方向に一定ピッチで設置されている。なお、ガイド14は水切りロール10とテーブルロール11の間に厚鋼板12の先端がスムーズに入っていくようにするものであるが、本発明において必須の構成ではない。
ここで、本発明における棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口からある程度加圧された状態で噴射される冷却水であって、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が8m/s以上であり、ノズル噴出口から噴射された水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流の冷却水のことをいう。すなわち、円管ラミナーノズルからの自由落下流や、スプレーのような液滴状態で噴射されるものとは異なる。
図1に示す上面冷却設備では、冷却水が厚鋼板の長手方向に拡がらないように、上ヘッダ1の前後に大径水切りロール10aがテーブルロール11の上方に設置されており、これにより上ヘッダ1による冷却ゾーン長さが一定となり、冷却温度制御が容易になる。また水切りロール10aにより厚鋼板の搬送方向への冷却水の流れは堰き止められ、上ヘッダ1から供給された冷却水の滞留水31は厚鋼板の幅方向外側に流れるようになる。
図2は、他の実施の形態に係る上面冷却設備の配置を示す側面図であり、図1に示した大径水切りロール10aと比較して小径の水切りロール10bをバックアップロール13で支えることにより、冷却ゾーンの滞留水31が他の冷却ゾーンに流出するのを、大径水切りロール10aを設置した場合と同様に防止することができる。
本発明においては、冷却水が滞留水膜を貫通して厚鋼板に到達できるようにするとともに、滞留水を厚鋼板の幅方向外側に円滑に排水するために、以下の条件を満たすことが好適である。
図9に示すように、上ヘッダ1の鋼板上面からの高さが高い場合には、滞留水の鋼板幅方向への流れは比較的円滑であるが、冷却水の噴射距離が長いため、冷却水が滞留水膜を貫通する力が弱くなる。一方、図10に示すように、上ヘッダ1の鋼板上面からの高さが低い場合には、ヘッダ1が障害となり鋼板幅方向への排水流路面積が狭くなるため、滞留水の鋼板幅方向への排出が困難となり、滞留水の水位も高くなる。
したがって、本発明では、図11に示すように、上ヘッダ1の鋼板上面からの高さ位置を高くし、且つ、冷却水噴射ノズルの脚長を長くすることにより、鋼板幅方向の排水流路面積を大きくするとともに冷却水が滞留水膜を貫通して厚鋼板に到達できるようにする。
なお、図11では、厚鋼板12が上冷却水噴射ノズル3に衝突しないように、隔壁5を設けた例を示しており、設備保全の点で好ましいが、本発明は隔壁5を備えたものに限定されない。ただし、隔壁5を設ける場合には、隔壁5に多数の貫通孔を設け、その一部を冷却水噴射ノズル3の先端を内挿する給水口6とし、残りを冷却水の排水口7とすると、高い冷却能と排水性が両立できるので、好ましい。
冷却水噴射ノズル3の長さは100〜200mmが好適である。ノズル長さが100mmより短いと、図10に示すように上ヘッダ1と鋼板12との間の排水スペースが狭くなり、冷却排水が厚鋼板の幅方向に円滑に排出できなくなる。一方、200mmより長いと円管ノズルの圧力損失が大きくなり、冷却水が滞留水膜を貫通する力が弱くなるからである。
上冷却水噴射ノズル3の下端から鋼板12の表面までの距離は、30〜120mmとするのが良い。30mm未満では、厚鋼板12が上冷却水噴射ノズル3に衝突する頻度が極端に多くなり設備保全が難しくなる。120mm超えでは、図9に示すように冷却水の噴射距離が長くなり、冷却水が滞留水膜を貫通する力が極端に弱くなるからである。
本発明で最も効果を発揮する水量密度の範囲は、2.0m/m ・min以上である。水量密度がこれよりも低い場合には滞留水膜がそれほど厚くならず、従来の水切りロールを用いた場合でも、滞留水が水切りロールを乗り越え、隣りの冷却ゾーンに漏れる恐れはない。
一方、水量密度が5.0m/m ・minよりも高い場合でも、本発明の技術を用いることは有効であるが、滞留水膜が厚くなりすぎて水切りロールを乗り越え、隣りの冷却ゾーンに漏れてしまう危険性が高まり、また設備コストも高くなるなど実用化の上での問題がある。水量密度3.0m/m ・min程度以下が冷却装置としての実用的な範囲である。
更には、円管ノズル3の内径は3〜8mmが好適である。ノズル内径が3mmより小さいと、ノズルから噴射する水の束が細くなり勢いが弱くなる。一方ノズル径が8mmより大きいと、流速が遅くなり、ともに冷却水の貫通力を確保できなくなるからである。
円管ノズルからの冷却水の噴射速度は、8m/s以上が好適である。8m/s未満では、滞留水膜を冷却水が貫通する力が極端に弱くなるからである。
ところで、図11に示すように、上ヘッダ1の鋼板上面からの高さ位置を高くし、上冷却水噴射ノズル3の脚長を長くすれば、鋼板幅方向の排水流路面積を大きくできる。しかしながら、脚長の長いノズルが排水流路に多数存在し、且つ、これらのノズルから高速で噴射される棒状冷却水の束が高密度に存在するため、それらが滞留水の鋼板幅方向流れの流動抵抗になり、冷却排水の流れが抑制される。それ故、この場合の滞留水の水位は、図10の場合よりも低くはなるが、図9の場合よりは高くなる。
従って、本発明の上ヘッダ1および上冷却水噴射ノズル3を用い、特に板幅が3m以上の幅広の厚鋼板に対して、高い水量密度で冷却を行う場合は、滞留水膜が厚くなりすぎて、冷却排水が水切りロール10を乗り越えて、鋼板搬送方向に隣接する冷却ゾーンに漏れてしまう危険性が高まる。
図7は、大流量の冷却水を鋼板上面に供給した時の滞留水の鋼板幅方向水位分布を模式的に示したものである。鋼板12の上面に一様な水量密度で供給された冷却水は、滞留水31となって水膜を形成する。その水位は、板幅中央部で最も高く、左右の板幅端部で最も低い分布となる。
そして、図7に示す最高水位が水切りロール10の上端より高くなる場合は、滞留水が鋼板搬送方向に隣接する冷却ゾーンに溢れ出ることとなる。その冷却ゾーンが空冷ゾーンである場合は、溢れ出た冷却排水により鋼板は過冷却を起こし、大きな温度むらを生じることとなる。
図8に水量密度と滞留水の最高水位との関係について示す。なお、この最高水位は、水切りロールの上端が十分に高い(滞留水が溢れない)と仮定して、板幅4.5mの厚鋼板についてシミュレーションした値である。
滞留水の最高水位は、テーブルロール径やテーブルロール間距離、鋼板下面の冷却ヘッダの構造などから決まる排水性によって変動するが、水量密度が高くなるほど、また、板幅が広くなるほど高くなる傾向にある。
例えば、板幅が4.5mある広幅の厚鋼板を水量密度3.0m/m ・minで冷却する場合は、滞留水の最高水位は300mmであり、水切りロールの直径が300mm未満であれば、滞留水が溢れることとなる。
よって、上述したように、大流量の冷却水を鋼板上面に供給しても、滞留水が鋼板搬送方向に隣接する空冷ゾーンに溢れることなく、均一で高い冷却速度を与えて高強度の鋼板を製造するためには、水切りロールの直径をある程度大きくするなどして、水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを滞留水の最高水位より高く維持する必要がある。従って、本発明では、水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とした。
なお、図1により説明した大径水切りロール10aを用いる場合、水切りロール径をあまり大きくしすぎると、上ヘッダ1を設置するスペースが狭くなり、厚鋼板に供給できる冷却水量が少なくなるので、大径水切りロール10aのロール径は300〜450mmとすることが好ましい。
さらに、上ヘッダ1を複数備え、冷却ゾーンが複数有る場合は、全ての水切りロール径を大きくすると各冷却ゾーンの上面冷却ヘッダ1を設置するスペースが狭くなり、厚鋼板に供給できる水量が少なくなるので、少なくとも最上流側と最下流側の水切りロール10を大径化すれば良く、その場合の水切りロール径も300mm以上450mm以下とするのが好適である。
例えば、図4に示すようにNo.1冷却ゾーン手前の水切りロールと、No.3〜4ゾーン間の水切りロールに大径水切りロール10aを設置し、No.1〜2間の水切りロールとNo.2〜3間の水切りロールを通常の水切りロール10とすれば良い。
また、図2により説明した、水切りロール10bをバックアップロール13で支える場合は、バックアップロール13と水切りロール10bの直径の和を300mm以上とすればよい。
さらに、上ヘッダ1を複数備え、冷却ゾーンが複数有る場合は、図5に示すように全ての水切りロール10bにバックアップロール13を併設してもよいが、少なくとも冷却ゾーンの最上流側と最下流側の水切りロール10bにバックアップロール13を併設すれば良く、その場合も、バックアップロール13と水切りロール10bの直径の和を300mm以上とするのが好適である。
なお、本発明において、鋼板下面側の冷却装置については、特に限定されるものではない。図1に示す実施形態等では、上面側の冷却装置と同様の円管ノズル4を備えた冷却ヘッダ2の例を示したが、本発明の設備に用いる下面冷却設備は、鋼板の上下面で同程度の冷却能力を持たせて鋼板冷却中の反りが発生しにくいようにしてあれば、公知の技術をもちいてもよい。
以下、本発明の一実施例として、厚板圧延のプロセスにおいて、引張強度590MPaクラスの鋼板の冷却を行う場合について、図面に基づいて説明する。
図13に概略を示す厚板圧延設備において、加熱炉から抽出されたスラブを圧延機によって、成形、幅出し圧延を行った後、粗圧延を行い、さらに仕上圧延を行って板厚を25mm、板幅を4.5mとした。仕上圧延直後に測定した鋼板表面温度、すなわち仕上温度は820℃であった。この後に、ホットレベラを通して、加速冷却設備において加速冷却を行った。冷却開始温度780℃から冷却終了温度(加速冷却設備出側で復熱後の温度を測定した値)560℃まで冷却を行った。
本実施例に用いた上面冷却設備は、図4〜6に示すように3つの上ヘッダ1を備え、それぞれ水切りロール10によって仕切られた3つの冷却ゾーン(1つのロール間が1ゾーンにあたる)を有している。図4は、本発明例1の冷却設備で、No.1冷却ゾーン手前の水切りロールと、No.3〜4ゾーン間の水切りロールにφ320mmの大径水切りロール10aを設置し、No.1〜2間の水切りロールとNo.2〜3間の水切りロールをφ270mmの通常の径の水切りロール10を使用した。
図5は本発明例2の冷却設備で、各冷却ゾーンの入出側の水切りロール径はφ220mmであるが、水切りロール10bをφ150mmのバックアップロール13で支えることによって、各ゾーンの滞留水の水位が370mmになるまで溢れ出ることがないようにした例である。
図6は、比較例の冷却設備で、各冷却ゾーンの入出側の水切りロール径をφ270mm一定とした場合である。
また、高強度鋼板を得るには、25℃/s以上の冷却速度が必要であるので、水量密度は3.0m/m・ min(比較例2を除く)とし、鋼板搬送速度は、1m/sとした。上冷却水噴射ノズル3としては内径5mmの円管ノズルを図12に示すように配置した。
円管ノズル長さは160mm、噴射距離(円管ノズルの下端から厚鋼板表面までの距離)は80mmとした。なお、本実施例では、図12に示すような隔壁5を使用し、隔壁5に多数の貫通孔を設け、その一部を上冷却水噴射ノズル3の先端を内挿する給水口6とし、残りを冷却水の排水口7とした。
表1に実施条件および結果を示す。
Figure 2010064098
比較例1は高い水量密度を設定したので、鋼板上面の滞留水膜が厚くなりすぎて、図6に示すように、滞留水がφ270mmの水切りロール10を越えて、No.1ゾーン手前や、No.3〜4ゾーン間から溢れた。溢れた水は、鋼板の局所に滞留したため、部分的に過冷却を起こし、かつ±40℃の温度むらが生じた。製品の一部を取り出して、材料試験を行なった結果、合格率は60%と低く、歩留りも悪かった。
比較例2は滞留水が水切りロール10を越えないように比較例1よりも水量密度を抑えたので、No.1ゾーン手前や、No.3〜4ゾーン間から冷却水が溢れ出ることはなかった。しかし、水量密度が低い分、冷却速度が低下し、目標の25℃/s以上が得られず、目標とした強度も得られなかった。温度むらは±20℃であり、比較例1よりは小さかったが、冷却速度が低かったので、強度が足りない場合が多く、材料試験の合格率は40%と低く、歩留りも悪かった。
これに対し、本発明例1は、No.1冷却ゾーン手前の水切りロールとNo.3〜4冷却ゾーン間の水切りロールにφ320mmの大径水切りロール10aを設置したため、水量密度3.0m/m minの冷却水を供給しても、図4に示すように、滞留水がこのロールを越えてNo.1ゾーン手前やNo.3〜4ゾーン間から溢れることはなかった。
本発明例2では、φ220mmの水切りロール10bをφ150mmのバックアップロール13で支えることによって、各冷却ゾーンで水位が370mmになるまでは滞留水が溢れ出ないようにしたため、図5に示すように、滞留水がバックアップロールを越えて溢れ出ることはなかった。いずれの発明例でも、温度むらは±10℃と小さく、高い冷却速度が得られ、目標とする強度が余裕で得られた。このため、材料試験の合格率は99%と高く、歩留りも十分に高かった。
本発明の冷却設備を熱延板に用いることにより、大流量の冷却水を鋼板上面に供給し、高い冷却速度を得て、強度の高い鋼板を製造することができる。また鋼板上面の冷却は、全面にわたって均一に行うことができるので、品質の高い鋼板を製造することができる。
本発明の冷却設備を示す側面図である。 本発明の冷却設備を示す側面図である。 従来の冷却設備を示す側面図である。 本発明の冷却設備(複数設置)を示す側面図である。 本発明の冷却設備(複数設置)を示す側面図である。 従来の冷却設備(複数設置)を示す側面図である。 滞留水の鋼板幅方向分布を示す図である。 水量密度と滞留水の最高水位の関係を示す図である。 冷却排水の鋼板幅方向流れを示す図である。 冷却排水の鋼板幅方向流れを示す図である。 冷却排水の鋼板幅方向流れを示す図である。 本発明の冷却設備を示す側面図である。 厚鋼板の圧延設備を示す図である。
符号の説明
1 上ヘッダ
2 下ヘッダ
3 上冷却水噴射ノズル(円管ノズル)
4 下冷却水噴射ノズル(円管ノズル)
5 隔壁
6 給水口
7 排水口
8 噴射冷却水
9 排出水
10 水切りロール
10a 大径水切りロール
10b 水切りロール(バックアップロールを有する)
11 テーブルロール
12 厚鋼板
13 バックアップロール
14 ガイド
31 滞留水
32 漏れ水

Claims (5)

  1. 厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板の上面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルと、前記ヘッダの厚鋼板搬送方向上流側及び下流側に配置され、厚鋼板を挟んでテーブルロールと対向する水切りロールとを備え、該水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とすることを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
  2. 前記ヘッダと、前記ヘッダの厚鋼板搬送方向上流側及び下流側に配置された前記水切りロールとを複数備え、少なくとも厚鋼板搬送方向最上流側と最下流側の水切りロールによる滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の冷却設備。
  3. 冷却水噴射ノズルから噴射される冷却水の水量密度を2.0m/m・min以上、前記冷却水噴射ノズルのノズル長さを100mm以上、前記冷却水噴射ノズルの下端から厚鋼板表面までの距離を30〜120mmとすることを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板の冷却設備。
  4. 滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とする水切りロールとして、直径を300mm以上450mm以下とする大径水切りロールを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備。
  5. 滞留水膜の堰き止め高さを300mm以上とする水切りロールとして、バックアップロールを有する水切りロールを用いて、バックアップロールと水切りロールの直径の和を300mm以上とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の厚鋼板の冷却設備。
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