JP3277985B2 - 高温鋼板の冷却装置 - Google Patents
高温鋼板の冷却装置Info
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Description
温鋼板を冷却する装置及び冷却方法であって、冷却装置
出側における冷却水の滞留を除去し、高温鋼板の均一冷
却を可能とする冷却装置に関するものである。
圧延直後の水冷中に冷却ムラが生じ易い。この冷却ムラ
は、冷却後に鋼板の変形や残留応力、材質のバラツキを
引き起こすと共に、鋼板を変形させ、操業上のトラブル
を発生させやすい。さらに、変形した鋼板は、後にプレ
スや矯正機によって変形を取り除く精整行程を必要とす
るため、コスト上不利になってきた。そこで、従来か
ら、冷却ムラをなくすため、いわゆる均一な冷却法が種
々提案されてきた。
るに際しては、水平の状態で、その上下から冷却水を注
水して冷却を施すことが一般的である。特に、近年、冷
却と圧延を組み合わせた制御圧延や、オンラインで鋼板
を冷却する制御冷却に関する技術が開発されているが、
これらの技術の進歩に伴い、高精度の温度制御、特に冷
却停止温度制御が益々重要になってきている。
幅が5mにも及ぶ場合があり、さらに板厚が厚いため
に、冷却するには多量の冷却水が必要である。よって、
この冷却水を効率的に利用するためには、冷却装置出側
でこの冷却水をせきとめていかに水切りを行うか、さら
にこのせきとめた冷却水をいかに速やかに板端部から流
出させるかが重要な問題となっている。
ルで水を塞き止めると、冷却水が盛り上がって上水切り
ロールを乗り越え、次の冷却ゾーンや冷却装置本体の後
部に流れ込んでしまう恐れがあった。このようなことが
発生すると、非冷却部に冷却水が流れ込んで過冷却を引
き起こし、品質管理上及び操業上問題となっていた。
板の水切り装置に関して種々の研究がなされており、例
えば、次のような技術が提案されている。
の上面に向けてエアノズルを上下移動自在に配置して、
噴射するエアによって水切りを行う技術が開示されてい
る。
ローラ上を移送される鋼板の1側方に設けられた噴射ノ
ズルから鋼板の幅方向に高圧のスプレー水を噴射し、鋼
板上に滞留している残水を鋼板の他の側端面から排除す
る方法が開示されている。
実開昭59−161062号公報には、鋼板を上下に設
けたゴムロールにより挟んで押圧して水切りを行う方法
が開示されている。
報、実開平7−33406号公報には、水切りロールを
配置し、その下流側に鋼板の板幅方向に噴射ノズルを設
け、鋼板の板幅方向中央部より両端部に向け、かつ水切
りロールに向けて水を噴射し水切りをする技術が開示さ
れている。
53−39508号公報に開示される技術のように上下
移動自在にエアノズルを配置して噴射エアで水切りをす
るもの、及び特開平7−9023号公報に開示される技
術のようにサイドから高圧のスプレー水を噴射して、滞
留している冷却水を板端部から排除させる方法において
は、幅の広い鋼板上に滞留する冷却水をせきとめ、かつ
板端部へ押しやって排除することは困難であった。
59−161062号公報に記載される技術、特開昭6
0−206516号公報、実開平7−33406号公報
に記載される技術は、水切りロールと鋼板との間に生じ
た隙間からの冷却水の漏洩を防ぐにはある程度の効果は
あるものの、これらのロールを乗り越えて流出する冷却
水については効果的に塞き止めることができなかった。
厚鋼板の焼き入れが求められており、大量の冷却水を鋼
板に注水して冷却を施すことが多くなってきている。こ
のような操業においては、大量の冷却水が上水切りロー
ルを乗り越えて流出し、鋼板の不均一冷却を引き起こす
ことが特に多い。
水切りロールの直径を大きくすれば良いのであるが、む
やみに直径を大きくすることは経済的でなく、また、複
数の水切りロールで複数の冷却ゾーンを構成する冷却装
置では、冷却ゾーンのスペースを狭くしてしまうという
問題点がある。
になされたもので、最適な直径の上水切りロールを有す
る高温鋼板の冷却装置、及び最適な冷却水塞き止め手段
とその下流側の上水切りロール間の距離Lを有する高温
鋼板の冷却装置を提供することを目的とする。
下水切りロールで高温の鋼板を拘束しながら搬送し、搬
送途中において鋼板に上下から冷却水を注水して高温鋼
板を冷却する装置であって、鋼板の上側に注水された冷
却水が鋼板搬送方向の上流側に流れないようにする冷却
水塞き止め手段を有し、当該冷却水塞き止め手段とその
下流側の上水切りロール間の距離をL(m)、鋼板幅1
m当たりの冷却水流量密度をQ(m3 /秒)、鋼板板幅
をW(m)としたとき、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) なる大きさの直径D(m)を有する上水切りロール又は
Dに相当する高さを有する水切り物体を有してなること
を特徴とする高温鋼板の冷却装置(請求項1)により解
決される。
流側の上水切りロール間の距離をLを0.6 〜3.0
(m)、鋼板幅1m当たりの冷却水密度を0.003 〜0.08
3 (m3 /秒)、鋼板板幅を2.0 〜5.0 (m)の範囲で
可変し、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロ
ール間に滞留する冷却水の最高液面高さH(m)を、模
擬試験装置及び実機で調査した。
す。図1の(a)〜(e)は、種々の冷却法式を示す。
図1において、1は鋼板、2は上水切りロール、3は下
水切りロール、4はスリットノズル、6はラミナーノズ
ル、7は冷却水噴射ノズル、8は堰、8はスプレーノズ
ルである。また、Dは上水切りロールの直径、Lは、冷
却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロール間の距
離を示したものである。
(a)、(b)、(e)においては、上流側の上水切り
ロール2、図1(c)においては、冷却水噴射ノズル
7、図1(d)においては、堰8である。なお、鋼板の
下側の冷却装置は省略してある。
ロール2近傍に設けられた、幅方向に切れ目の無いスリ
ット状のスリットノズル4から、下流の上水切りロール
2に向かって冷却水を注水するもので、この場合、冷却
水は2つの上水切りロール2間にほぼ充満している。
設けた幅方向に切れ目の無いスリット状のラミナーノズ
ル6から、冷却水を注水している。
ール2近傍、かつ鋼板1近傍に設けられた幅方向に切れ
目の無い冷却水噴射ノズル7から、下流の上水切りロー
ル2に向かって冷却水を注水するもので、この場合も、
冷却水は2つの上水切りロール2間にほぼ充満してい
る。
ロール2近傍に設けられた、幅方向に切れ目の無いスリ
ット状のスリットノズル4から、下流の上水切りロール
2に向かって冷却水を注水するもので、かつ、スリット
ノズル4と下流側の上水切りロール2との間に、下流側
上水切りロール2から跳ね返って戻ってきた冷却水を塞
き止める堰8を設けたものである。この場合も、冷却水
は2つの上水切りロール2間にほぼ充満している。
ら冷却水を噴射して鋼板1を冷却するものである。
を切る物体は上水切りロールとなっているが、これに限
られるものではなく、上水切りロールを多段に重ねあわ
せて堰としての高さを高くしたものや、上水切りロール
の上に堰を重ねて設けたようなものでもよい。
いて実験を行い、液面最高高さHがどのように表わされ
るかを求めた。
を示し、縦軸は最高液面高さH(m)を示す。黒四角の
データは模擬試験装置によるものであり、黒丸のデータ
は実施によるものである。すなわち、液面最高高さH
が、通常では当業者が思い付かないようなパラメータ
(QW/L)2/3 と直線関係にあることが、発明者
らによって始めて発見された。図2中におけるCは横軸
と縦軸の間の勾配を表わす係数である。模擬紙型装置で
求めた係数Cの値は、0.32〜0.34であった。このデータ
を基に、実機に直径300mmの水切りロールを設けて液
面の最高高さHを測定したところ、やはり、パラメータ
(QW/L)2/3 と直線関係にあり、その係数Cは
0.4 である事が分かった。よって、図2より、本発明に
おいては実機のデータであるC=0.4 を採用し、液面最
高高さHを表わす式として、 H=0.4 (QW/L)2/3 … (2) を得た。よって、上水切りロールの直径又は水切り物体
の高さを(2)式で得られるHより大きくしておけば、
水切りロール又は水切り物体を冷却水が乗り越えること
が無い。
の高さが設備上の制約大きくできない場合等のときは、
冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロール間の
距離Lが(1)式を満足するような設備としても(請求
項3)同様の効果が得られる。
して、鋼板進行方向の上流側上水切りロール近傍に設置
されたノズルから下流側の上水切りロールに向けて冷却
水を注水するスリットノズルを有するものが使用されて
いるが、請求項1及び請求項3の発明は、このような設
備において特に効果を有する(請求項2、請求項4)。
鋼板上に滞留する冷却水を他の板端部に向けてパージす
るパージスプレーを配置することにより(請求項5)、
万一冷却水が漏洩したときにも、鋼板上に滞留する冷却
水を速やかに鋼板外にパージすることができ、冷却水の
滞留による冷却むらの発生を防ぐことができる。
上部に接触させて、バックアップロールを設置すること
により(請求項6)、上水切りロールの撓みを防止し、
鋼板と上水切りロールの間から冷却水が漏洩するのを防
止することができる。
用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態の1例を
示す図である。図3において、1は鋼板、2は上水切り
ロール、3は下水切りロール、4はスリットノズル、5
は円管ノズルである。この冷却装置においては、20組
の上水切りロール2、下水切りロール3の間を圧延直後
の鋼板1が搬送されながら、上側をスリットノズル4か
らの冷却水により、下側を円管ノズル5からの冷却水に
よりオンラインで冷却される。図4は、これらの装置の
内の一部分を拡大して示すもので、においては、上下水
切りロール2、3を2本分、冷却ゾーンを1ゾーン分示
している。
部分には同じ符号を付して、説明を省略する。図4にお
ける10は油圧シリンダ、14は冷却水である。各水切
りロールのピッチは1mである。
板搬送方向の上流側の上水切りロール2から下流側の上
水切りロール2に向かって、鋼板1の進行方向にスリッ
トノズル4から板幅1mあたり0.033 m3 /秒の冷却水
を鋼板1に沿って流している。一方、下面は、150mm
ピッチで設け水中に没した円管ノズル5から、水を噴射
し、その随伴流で生じた水流で冷却を施している。
て、下水切りロール3は搬送ロールを兼ねており、固定
式である。上水切りロール2上下に昇降が可能であり、
0.5 mmピッチで制御可能である。
ロールの3のギャップは、鋼板1の厚み以下にセットさ
れ、鋼板1が通過した際には、上水切りロール2が油圧
シリンダ10の押し付け力に抗して持ち上げられ、その
反力により鋼板1に押し付け力がかかり、鋼板1が拘束
されるようになっている。
ンの冷却水を間引くことによって冷却の強さをコントロ
ールすることができる。例えば、スリットノズル4と円
管ノズル5のゾーンを交互にオン・オフして間欠的に冷
却を施すことがある。この場合には、冷却水をオンにし
たゾーンから、冷却水をオフにした隣接するゾーンに冷
却水が流れ込まないように、各水切りロール2、3にお
いて確実に水切りを行う必要がある。
水切りロール2のロール直径Dを、前記(1)式に従っ
て決定している。
ル2の直径Dが(1)式を満足するようにできない場合
は、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロール
間の距離Lが(1)式を満足するように間隔を選定して
いる。
明する。図5における装置が図4における設備と異なる
点は、上水切りロール2の上部に接して、その中央部分
にバックアップロール11が設けられている点である。
上拘束ロール2により鋼板1を拘束すると、その反力に
より上拘束ロール2に撓みが生じ、鋼板1との間に隙間
ができて、その隙間から冷却水が漏洩することになる。
バックアップロール11を設けることにより、上拘束ロ
ール2の撓み量が小さくなり、冷却水の漏洩が少なく押
さえられる。
判断は、板幅と所要拘束力、上水切りロール2の直径等
によって決まるが、上水切りロール2の両端から荷重を
加えた場合の上水切りロール2のたわみ量を弾性力学的
に求め、この数字が数mm以上である場合にはバックアッ
プロール11を設ける必要がある。
例を示す。図6における装置が図5における装置と異な
るのは、上水切りロール2の下流側にヘッダ12が設け
られ、その水切りスプレーノズル13から、鋼板1の進
行方向に角度45度で板の搬送方向に対向して、かつ、
板幅方向板端部から他方の端部に向かって、100リッ
トル/min の水切りスプレーが噴射されていることであ
る。
却水の漏洩が多少あったとしても、ほとんどが鋼板上か
らパージされてしまい、過冷却等を引き起こすことが無
くなる。
7における(a)は、上水切りロール2の上に、さらに
補助水切りロール15を重ねたものである。この構成に
よれば、発明の作用効果の点において、上水切りロール
2の直径が、上水切りロール2と補助水切りロール15
の直径の和であるDとなったと同じことであり、有効に
水切りを行うことができる。この場合において、補助水
切りロール15として、水切り性のよいゴムライニング
ロールを使用することにより、一層水切り性が良くな
る。
補助水切りロール15をあわせたものが、請求項に記載
される「水切り物体」に相当する。
15を多段に重ねることにより、「水切り物体」として
の高さを高くしたものである。この場合も、上水切りロ
ール2と多段の補助水切りロール15をあわせたもの
が、請求項に記載される「水切り物体」に相当する。
に摺接させて堰8を設けたものであり、上水切りロール
2と堰8をあわせたものが請求項に記載される「水切り
物体」に相当する。
が水切り物体の高さに相当し、このDが(1)式を満足
するように水切り物体の高さが選ばれている。
m、厚さ25mmの圧延直後の高温鋼板を搬送速度40m
pmで通過させて冷却を実施した。本実施例では、所要
の冷却速度を得るために、各ロール間の鋼板上部冷却水
を1ゾーンおきにオン・オフさせた。すなわち、スリッ
トノズル4の冷却水を2本に1本停止させた。鋼板下部
の冷却水については、円管ノズル5からの冷却水を1ゾ
ーンおきに停止・噴出させ、スリットノズル4での冷却
が行われている場所で円管ノズル5からの冷却が行われ
るようにし、鋼板の上下の両面が同じゾーンで冷却され
るようにした。水切りロール2、3間のギャップは、板
厚−1.5 mm、すなわち23.5mmとした。最大板幅5mを計
算に使用して、上水切りロール2のロール径Dを求め
た。スリットノズル4からの鋼板幅1m当たりの冷却水
流量密度は、前述したように、Q=0.033 m3 /秒であ
る。そして、この場合、上水切りロール2間の距離が1
mであるので、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水
切りロール間の距離をLは、(1−D/2−D/2)と
した。これらの条件から、(2)式を用いて最高液面高
さHを計算するとH=0.132 mとなるので、上水切りロ
ール2の直径Dは、0.14mとした。すると、上水切りロ
ール2を冷却水が乗り越えることはなかった。
射温度計で計測したところ、850℃±15℃であっ
た。この冷却装置の下流側20mの位置で同じく走査型
の放射温度計でその温度分布を計測したところ、500
℃±10℃であって、冷却ムラの発生はなかった。
く、冷却床での冷却後も特に大きな変形が発生せず、特
別な矯正を行うことなく製品が得られた。又、冷却後に
板幅方向の硬度分布を調べたところ、特に大きな硬度分
布差はなかった。このことから、大きな冷却ムラはなか
ったと判定される。
圧延直後の板幅5m、長さ30m、厚み16mmの高温鋼
板を冷却した。本実施例では、所要の冷却速度を得るた
めに、各ロール間の鋼板上部冷却水を1ゾーンおきにオ
ン・オフさせた。すなわち、スリットノズル4の冷却水
を2本に1本停止させた。鋼板下部の冷却水について
は、円管ノズル5からの冷却水を1ゾーンおきに停止・
噴出させ、スリットノズル4での冷却が行われている場
所で円管ノズル5からの冷却が行われるようにし、鋼板
の上下の両面が同じゾーンで冷却されるようにした。上
下水切りロール間のギャップは、板厚−1.5 mm、すなわ
ち14.5mmとした。
の冷却水流量密度は、Q=0.025 m3 /秒とした。そし
て、この場合、上水切りロール2間の距離が1mである
ので、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロー
ル間の距離をLは、(1−D/2−D/2)とした。こ
れらの条件から、(2)式を用いて最高液面高さHを計
算するとH=0.108 mとなるので、上水切りロール2の
直径Dは、0.11mとした。すると、上水切りロール2を
冷却水が乗り越えることはなかった。
の場合に比べて、上水切りロール2の直径が細いため、
撓みが発生して、上水切りロール2と鋼板1との間に生
じた隙間から冷却水が漏洩した。そこで、本実施例にお
いては、幅500mm、直径250mmのバックアップロー
ル11を上水切りロール2の中心位置に設けることによ
り、この撓みを防止した。
を走査型の放射温度計で計測したところ、850℃±1
5℃であった。この冷却装置の下流側20mの位置で同
じく走査型の放射温度計でその温度分布を計測したとこ
ろ、500℃±10℃であって、冷却ムラの発生はなか
った。
く、冷却床での冷却後も特に大きな変形が発生せず、特
別な矯正を行うことなく製品が得られた。又、冷却後に
板幅方向の硬度分布を調べたところ、特に大きな硬度分
布差はなかった。このことから、大きな冷却ムラはなか
ったと判定される。
圧延直後の板幅5m、長さ30m、厚み40mmの高温鋼
板を冷却した。本実施例では、所要の冷却速度を得るた
めに、各ロール間の鋼板上部冷却水を1ゾーンおきにオ
ン・オフさせた。すなわち、スリットノズル4の冷却水
を2本に1本停止させた。鋼板下部の冷却水について
は、円管ノズル5のピッチ100mmとして、冷却水を1
ゾーンおきに停止・噴出させ、スリットノズル4での冷
却が行われている場所で円管ノズル5からの冷却が行わ
れるようにし、鋼板の上下の両面が同じゾーンで冷却さ
れるようにした。上下水切りロール間のギャップは、板
厚−1.5 mm、すなわち38.5mmとした。
の冷却水流量密度は、Q=0.05m3/秒とした。そし
て、この場合、上水切りロール2間の距離が1mである
ので、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロー
ル間の距離をLは、(1−D/2−D/2)とした。こ
れらの条件から、(2)式を用いて最高液面高さHを計
算するとH=0.181 mとなるので、上水切りロール2の
直径Dは、0.19mとした。すると、上水切りロール2を
冷却水が乗り越えることはなかった。
0mmのバックアップロール11を上水切りロール2の中
心位置に設けることにより、上水切りロール2の撓みを
防止して、上水切りロール2と鋼板1との間から冷却水
が漏洩するのを防止している。
りスプレーノズル13から100リットル/min の噴射
量で噴出されるパージスプレーにより速やかに鋼板1上
から除去され、鋼板上1上に滞留して過冷却を引き起こ
すことはなかった。
を走査型の放射温度計で計測したところ、850℃±1
5℃であった。この冷却装置の下流側20mの位置で同
じく走査型の放射温度計でその温度分布を計測したとこ
ろ、500℃±10℃であって、冷却ムラの発生はなか
った。
く、冷却床での冷却後も特に大きな変形が発生せず、特
別な矯正を行うことなく製品が得られた。又、冷却後に
板幅方向の硬度分布を調べたところ、特に大きな硬度分
布差はなかった。このことから、大きな冷却ムラはなか
ったと判定される。
水切りロール2の直径を100mmとした他は、実施例1
と同じ条件で操業を行った。
mmの圧延直後の高温鋼板を搬送速度40mpmで通過さ
せて冷却を実施した。本比較例では、所要の冷却速度を
得るために、各ロール間の鋼板上部冷却水を1ゾーンお
きにオン・オフさせた。すなわち、スリットノズル4の
冷却水を2本に1本停止させた。鋼板下部の冷却水につ
いては、円管ノズル5からの冷却水を1ゾーンおきに停
止・噴出させ、スリットノズル4での冷却が行われてい
る場所で円管ノズル5からの冷却が行われるようにし、
鋼板の上下の両面が同じゾーンで冷却されるようにし
た。水切りロール2、3間のギャップは、板厚−1.5 m
m、すなわち23.5mmとした。
で、水切りプレーノズル13によるパージを加えた。
高液面高さH=0.132 より小さい。よって、この場合に
おいては、冷却水が上水切りロール2を乗り越えて隣接
するゾーンに流れ込み、流れ込んだ水切りスプレーノズ
ル13によるパージでは除去することが不可能であっ
た。この冷却水は、隣接するゾーンに常時存在していた
ので、鋼板1の中央部が選択的に過冷却されることにな
った。
度計で計測したところ、850℃±15℃であった。こ
の冷却装置の下流側20mの位置で同じく走査型の放射
温度計でその温度分布を計測したところ、400℃〜5
10℃であって、大きな冷却ムラの発生があった。この
時、板幅方向にC反り変形が観察された。この板を冷却
床へ搬送し、常温まで冷却したところ、形状不良が発生
した。そこで、レベラー及びプレス矯正機でこの変形を
除去する精整工程を必要とした。また、冷却後に板幅方
向の硬度分布を調べたところ、板中央部に硬度の高い、
いわゆる焼きムラが観察された。
は、冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロール
間の距離をL(m)、鋼板幅1m当たりの冷却水流量密
度をQ(m3 /秒)、鋼板板幅をW(m)としたとき、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) なる大きさの直径D(m)を有する上水切りロールを有
してなることを特徴しているので、冷却水が上水切りロ
ールを乗り越えて次のゾーンに流入することがない。よ
って、厚鋼板を連続的に冷却するオンライン冷却装置に
おいて、冷却ムラのない均一な冷却が可能となる。従っ
て、鋼板内の材質のバラツキが少なく、均質な鋼板を安
定して製造することができる。加えて、冷却中及び冷却
後に大きな鋼板の変形がなく、通板トラブルが発生しな
いため、連続的な操業を阻害しない。
いため、レベラーやプレスによる精整工程が不要であっ
て、低コストの厚鋼板製造が可能である。
ので、設備費を安くすることができる。
で大きくできない場合等のときは、冷却水塞き止め手段
とその下流側の上水切りロール間の距離Lが(1)式を
満足するような設備としても同様の効果が得られる。
して、鋼板進行方向の上流側上水切りロール近傍に設置
されたノズルから下流側の上水切りロールに向けて冷却
水を注水するスリットノズルを有するものが使用されて
いるが、前記の発明は、このような設備において特に効
果を有する)。
鋼板上に滞留する冷却水を他の板端部に向けてパージす
るパージスプレーを配置することにより、万一冷却水が
漏洩したときにも、鋼板上に滞留する冷却水を速やかに
鋼板外にパージすることができ、冷却水の滞留による冷
却むらの発生を防ぐことができる。
上部に接触させて、バックアップロールを設置すること
により、上水切りロールの撓みを防止し、鋼板と上水切
りロールの間から冷却水が漏洩するのを防止することが
できる。
さを示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 複数組の上下水切りロールで高温の鋼板
を拘束しながら搬送し、搬送途中において鋼板に上下か
ら冷却水を注水して高温鋼板を冷却する装置であって、
鋼板の上側に注水された冷却水が鋼板搬送方向の上流側
に流れないようにする冷却水塞き止め手段を有し、当該
冷却水塞き止め手段とその下流側の上水切りロール間の
距離をL(m)、鋼板幅1m当たりの冷却水流量密度を
Q(m3 /秒)、鋼板板幅をW(m)としたとき、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) なる大きさの直径D(m)を有する上水切りロール又は
Dに相当する高さを有する水切り物体を有してなること
を特徴とする高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項2】 複数組の上下水切りロールで高温の鋼板
を拘束しながら搬送し、搬送途中において鋼板に上下か
ら冷却水を注水して高温鋼板を冷却する装置であって、
鋼板進行方向の上流側上水切りロール近傍に設置された
ノズルから下流側の上水切りロールに向けて冷却水を注
水するスリットノズルを有すると共に、鋼板の上側に注
水された冷却水が鋼板搬送方向の上流側に流れないよう
にする冷却水塞き止め手段を有し、当該冷却水塞き止め
手段とその下流側の上水切りロール間の距離をL
(m)、鋼板幅1m当たりの冷却水流量密度をQ(m3
/秒)、鋼板板幅をW(m)としたとき、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) なる大きさの直径D(m)を有する上水切りロール又は
Dに相当する高さの水切り物体を有してなることを特徴
とする高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項3】 複数組の上下水切りロールで高温の鋼板
を拘束しながら搬送し、搬送途中において鋼板に上下か
ら冷却水を注水して高温鋼板を冷却する装置であって、
鋼板の上側に注水された冷却水が鋼板搬送方向の上流側
に流れないようにする冷却水塞き止め手段を有し、上水
切りロールの直径、又は水切り物体の高さをD(m)、
鋼板幅1m当たりの冷却水流量密度をQ(m3 /秒)、
鋼板板幅をW(m)としたとき、前記冷却水塞き止め手
段とその下流側の上水切りロール間の距離L(m)が、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) 式を満足することを特徴とする高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項4】複数組の上下水切りロールで高温の鋼板を
拘束しながら搬送し、搬送途中において鋼板に上下から
冷却水を注水して高温鋼板を冷却する装置であって、鋼
板進行方向の上流側上水切りロール近傍に設置されたノ
ズルから下流側の上水切りロールに向けて冷却水を注水
するスリットノズルを有すると共に、鋼板の上側に注水
された冷却水が鋼板搬送方向の上流側に流れないように
する冷却水塞き止め手段を有し、上水切りロールの直径
又は水切り物体の高さををD(m)、鋼板幅1m当たり
の冷却水流量密度をQ(m3 /秒)、鋼板板幅をW
(m)としたとき、前記冷却水塞き止め手段とその下流
側の上水切りロール間の距離L(m)が、 D>0.4 (QW/L)2/3 … (1) 式を満足することを特徴とする高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項5】 水切りロール下流側の板端部に、鋼板上
に滞留する冷却水を他の板端部に向けてパージするパー
ジスプレーを配置したことを特徴とする請求項1ないし
請求項4のいずれか1項に記載の高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項6】 上水切りロールの中央部に、その上部に
接触させて、バックアップロールを設置したことを特徴
とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の
高温鋼板の冷却装置。 - 【請求項7】 水切り物体が、上水切りロールと、その
上に重ねられた1個以上の補助水切りロールを有してな
る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高温
鋼板の冷却装置。 - 【請求項8】 補助水切りロールの少なくとも1個が、
ゴムライニングロールである請求項7に記載の高温鋼板
の冷却装置。 - 【請求項9】 水切り物体が、上水切りロールと、その
上に重ねられた堰とを有してなる請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載の高温鋼板の冷却装置。
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JP09001097A JP3277985B2 (ja) | 1997-03-26 | 1997-03-26 | 高温鋼板の冷却装置 |
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