JP5962849B2 - 厚鋼板の製造設備および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板の熱間圧延、形状矯正および制御冷却を行う厚鋼板の製造設備および製造方法に関する。
近年、厚鋼板の製造プロセスとして制御冷却の適用が拡大している。しかしながら、一般に熱間厚鋼板は、形状、表面性状などが必ずしも均一でない。このため、冷却中に厚鋼板内に温度ムラが発生しやすく、冷却後の厚鋼板に変形、残留応力、材質不均一などが生じることで、品質不良や操業上のトラブルを招いている。
そこで、特許文献1では、仕上げ圧延の最終パスの直前および直後の少なくとも一方でデスケーリングを行い、続いて熱間矯正を行い、その後にデスケーリングを行い、強制冷却を行う方法が開示されている。また、特許文献2では、仕上げ圧延、熱間矯正を行った後、デスケーリングを行ってから制御冷却を行う方法が開示されている。また、特許文献3では、制御冷却の直前に、冷却水の衝突圧力を制御しながらデスケーリングを行う方法が開示されている。
特開平9−57327号公報 特許第3796133号 特開2010−247228号公報
しかし、上記特許文献1、2の方法で実際に厚鋼板を製造すると、デスケーリングにおいてスケールが完全には剥離せず、むしろデスケーリングによりスケールむらを発生させてしまい、制御冷却時に均一な冷却を行うことができないという問題点がある。また、特許文献3の方法でスケールむらを発生させないためには、高い衝突圧が必要となる。このため、低い衝突圧ではスケールむらが発生し、その結果、制御冷却時に均一な冷却を行うことができないという問題点がある。
特に近年、厚鋼板に要求される材質均一性のレベルは厳しくなっており、上記のようなスケールむらによって生じる制御冷却時の冷却速度の不均一が、特に厚鋼板幅方向の材質均一性へ与える悪影響を無視できなくなってきている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、デスケーリング工程において厚鋼板表面に発生しているスケールの均一化を図ることにより、冷却工程で均一な冷却を行い、厚鋼板形状に優れた厚鋼板の製造設備および製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、冷却水によりスケール剥離を起こす力について鋭意検討したところ、熱間形状矯正後にデスケーリングを行う場合、デスケーリング装置から厚鋼板に噴射する冷却水のエネルギー密度が0.10J/mm以上であれば、製品後の表面に発生するスケール厚みが均一化することを見出した。その結果、加速冷却装置を通過するときに、厚鋼板の幅方向位置の表面温度のバラツキが殆ど無く均一に冷却することができ、厚鋼板形状に優れた厚鋼板となることを見出した。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]熱間圧延機、形状矯正装置、デスケーリング装置および加速冷却装置をこの順序で搬送方向上流側から配置し、前記デスケーリング装置が厚鋼板の表面に向けて噴射する冷却水の持つエネルギー密度Eを0.10J/mm以上にすることを特徴とする厚鋼板の製造設備。
[2]前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの搬送速度をV[m/s]、冷却前の厚鋼板温度をT[K]とすると、前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの距離L[m]は、L≦V×5×10−9×exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする[1]に記載の厚鋼板の製造設備。
[3]前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの距離Lが12m以下となるように各装置を配置することを特徴とする[2]に記載の厚鋼板の製造設備。
[4]前記デスケーリング装置の噴射ノズルから前記厚鋼板の表面までの噴射距離Hを、40mm以上で200mm以下とすることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか1項に記載の厚鋼板の製造設備。
[5]前記加速冷却装置が、前記厚鋼板の上面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルと、前記厚鋼板と前記ヘッダとの間に設置される隔壁とを備えるとともに、前記隔壁には、前記冷却水噴射ノズルの下端部を内挿する給水口と、前記厚鋼板の上面に供給された冷却水を前記隔壁上へ排水する排水口とが、多数設けられていることを特徴とする[1]乃至[4]の何れか1項に記載の厚鋼板の製造設備。
[6]熱間圧延工程、熱間矯正工程および加速冷却工程の順番で厚鋼板を製造する方法において、前記熱間矯正工程および冷却工程の間に、厚鋼板の表面にエネルギー密度Eが0.10J/mm以上の冷却水を噴射するデスケーリング工程を有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
[7]前記デスケーリング工程の完了から前記加速冷却工程の開始までの時間t[s]は、t≦5×10−9×exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする[6]に記載の厚鋼板の製造方法。ただし、T:冷却前の厚鋼板温度(K)である。
本発明によると、デスケーリング工程において厚鋼板表面に発生しているスケールの均一化を図ることにより、加速冷却工程で均一な冷却を行うことができ、厚鋼板形状に優れた厚鋼板を製造することができる。
図1は、厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。 図2は、デスケーリング装置における、噴射する冷却水のエネルギー密度と、厚鋼板の製品表面に発生するスケール厚みとの関係を示すグラフである。 図3は、デスケーリング装置における、噴射ノズルの噴射距離と流体速度との関係を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る冷却装置の側面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る他の冷却装置の側面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る隔壁のノズル配置例を説明する図である。 図7は、隔壁上の冷却排水の流れを説明する図である。 図8は、隔壁上の冷却排水の他の流れを説明する図である。 図9は、従来例の厚鋼板幅方向温度分布を説明する図である。 図10は、加速冷却装置における冷却水の流れを説明する図である。 図11は、加速冷却装置における隔壁上の冷却排水との非干渉を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。なお、ここでは、本発明を厚板圧延プロセスでの厚鋼板の冷却に用いた場合を例にして述べる。
図1は、本発明の実施に供する厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。加熱炉2から抽出されたスラブは圧延機3によって粗圧延と仕上圧延が施され、所定板厚の厚鋼板1に圧延される。そして、デスケーリング装置4で厚鋼板1の表面に発生したスケールが除去された後、厚鋼板1はオンラインにて加速冷却装置6に搬送される。ここで、第1の形状矯正装置5を通して厚鋼板の形状を整えてから加速冷却を行うことが、冷却後の厚鋼板形状には好適である。加速冷却装置6では、上面冷却設備と下面冷却設備とから噴射される冷却水によって厚鋼板は所定温度まで冷却される。その後、必要に応じて第2の形状矯正装置7で厚鋼板の形状が矯正される。
デスケーリング装置4は、厚鋼板1の表面に発生したスケールを除去する装置である。デスケーリング装置4では、圧延後、第1の形状矯正装置5で厚鋼板1に発生した歪の形状矯正をした後の厚鋼板1の表面に複数の噴射ノズルを向け、それらノズルから冷却水を噴射する。
本発明者らは、デスケーリング条件によってスケール剥離が十分に行われず、むしろスケールむらを助長するという知見を得た。そして、スケール剥離が十分に行われる条件について鋭意検討したところ、形状矯正後にデスケーリングを行なう場合には、図2に示すように、デスケーリング装置4の噴射ノズルから厚鋼板1の表面に噴射される冷却水のエネルギー密度Eを0.10J/mm以上にすることにより、その後に再生成するスケール厚みが5μm以下と均一になることを明らかにした。これは、デスケーリングにより一旦スケールが均一に完全剥離し、その後、スケールが薄く均一に再生成したためと考えられる。
本発明では、冷却水のエネルギー密度Eを0.10J/mm以上にしてデスケーリングを行うことにより、厚鋼板1の表面に発生したスケールを除去する。その後、加速冷却装置6で厚鋼板1の加速冷却を行なう。本発明では、デスケーリングにより厚鋼板のスケール厚みが薄く均一になるので、加速冷却装置を通過するときに、厚鋼板の幅方向位置の表面温度バラツキが殆ど無く均一に冷却することができ、厚鋼板形状に優れた厚鋼板となる。
この理由は次の通りである。従来の圧延設備において、形状矯正後にデスケーリング装置においてスケール除去を行うと、部分的にスケールが剥離する場合がある。そうすると、スケールが均一に剥離されないため、10〜50μm程度のスケール厚み分布のバラツキが生じる。この場合、その後の加速冷却装置において厚鋼板を均一に冷却することが困難である。つまり、従来の圧延設備においてスケール厚み分布のバラツキが生じた厚鋼板を加速冷却すると、幅方向位置の表面温度のバラツキが大きく、均一に冷却することができない。その結果、厚鋼板形状に影響が生じる。
したがって、デスケーリング装置4で冷却水のエネルギー密度Eを0.10J/mm以上にしてデスケーリングを行うことにより、スケール厚み分布のバラツキが無くなるので、加速冷却装置6で厚鋼板1を冷却した際に、幅方向位置の表面温度のバラツキが殆ど無く均一に冷却することができる。その結果、厚鋼板形状に優れた厚鋼板1を製造することができる。また、本発明の場合、衝突圧が低い場合でも、搬送速度を調整することにより、高い衝突圧を用いる場合と同様のデスケーリングを達成することができる。
ここで、厚鋼板に噴射される冷却水のエネルギー密度E(J/mm)とは、デスケーリングによってスケールを除去する能力の指標であり、次の(1)式のように定義される。
E=Q/(d×W)×ρv/2×t…(1)
ただし、Q:デスケーリング水の噴射流量[m/s]、d:フラットノズルのスプレー噴射厚み[mm]、W:フラットノズルのスプレー噴射幅[mm]、流体密度ρ[kg/m]、厚鋼板衝突時の流体速度v[m/s]、衝突時間t[s](t=d/1000/V、搬送速度V[m/s])である。
しかしながら、厚鋼板衝突時の流体速度vの測定は必ずしも容易ではないため、(1)式で定義されるエネルギー密度Eを厳密に求めようとすると、多大な労力を要する。
そこで、本発明者らは、さらに検討を加えた結果、厚鋼板に噴射される冷却水のエネルギー密度E(J/mm)の簡便な定義として、水量密度×噴射圧力×衝突時間を採用すればよいことを見出した。ここで、水量密度(m/mm・min)は、「冷却水の噴射流量÷冷却水衝突面積」で計算される値である。噴射圧力(N/m(=MPa))は、冷却水の吐出圧力で定義される。衝突時間(s)は、「冷却水の衝突厚み÷厚鋼板の搬送速度」で計算される値である。この簡便な定義で算出される冷却水のエネルギー密度と製品表面に発生するスケール厚みとの関係も、図2と同様になり、冷却水のエネルギー密度が大きいほどスケール厚みは小さくなる。すなわち、エネルギー密度Eが0.10J/mmより小さいと厚鋼板のスケール厚みのバラツキが大きくなり、均一に冷却することができず、厚鋼板形状に優れた厚鋼板を製造することができない場合がある。これに対して、エネルギー密度Eが0.10J/mm以上であれば、このような障害は回避される。したがって、本発明において、冷却水のエネルギー密度Eは0.10J/mm以上とし、0.15J/mm以上であることがより好ましい。
次に、本発明者らは、デスケーリング装置4の噴射ノズルから噴射される冷却水の流体速度vについて調べた。その結果、流体速度vと噴射距離との関係は、図3のようになることがわかった。縦軸である流体速度は、浮力と空気抵抗を考慮した運動方程式を解くことにより求めた。厚鋼板に冷却水が到達するまでの間に、冷却水の流体速度vは噴射時よりも減速する。このため、噴射距離が小さいほど、厚鋼板衝突時の流体速度vが大きく、大きなエネルギー密度を得ることができる。図3から、特に噴射距離Hが200mm超えになると減衰が大きくなるため、噴射距離Hは200mm以下とすることが好ましい。
そして、噴射距離が短いほど、所定のエネルギー密度を得るための噴射圧力、噴射流量なども少なくできるため、デスケーリング装置4のポンプ能力の低減化を図ることができる。図1に示すような本発明の一実施形態において、第1の形状矯正装置5で形状矯正された厚鋼板1は、デスケーリング装置4内に移動してくるので、デスケーリング装置4の噴射ノズルを厚鋼板1の表面に近づけることが可能である。しかし、噴射ノズルと厚鋼板1との接触を考慮して、噴射距離の下限値は40mm以上であることが好ましい。以上より、本発明において、噴射距離Hは40mm以上200mm以下であることが好ましい。
また、デスケーリング装置4において、冷却水の噴射圧力は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上とする。これにより、搬送速度を過度に小さくすることなく冷却水のエネルギー密度を0.10J/mm以上に設定することができるので有効である。噴射圧力の上限値は特に限定されない。ただし、噴射圧力を高くすると、高圧水を供給するポンプが消費するエネルギーが膨大となるので、噴射圧力は50MPa以下が好ましい。
ところで、加速冷却装置6による厚鋼板1の冷却時の安定性に影響を及ぼす、厚鋼板1の表面のスケールについて、厚鋼板1のスケールの成長は一般的に拡散律速で整理できるとされ、次の(2)式で表されることが知られている。
ξ=a×exp(−Q/RT)×t…(2)
ただし、ξ:スケール厚み、a:定数、Q:活性化エネルギー、R:定数、T:冷却前の厚鋼板温度[K]、t:時間である。
そこで、デスケーリング装置4によるスケール除去後のスケール成長を考慮し、種々の温度、時間でスケール成長のシミュレーション実験を行い、上記(2)式の定数を実験的に導出し、さらに、スケール厚みと冷却安定性について鋭意検討した。その結果、スケール厚みが15μm以下で冷却が安定し、スケール厚みが10μm以下でより安定し、スケール厚みが5μm以下で非常に安定するという知見を得た。
スケール厚みが15μm以下の場合、上記(2)式に基づき、下記式(3)を導出することができる。すなわち、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケール除去終了後から、加速冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間t[s]が、次の(3)式を満たす場合に、加速冷却装置6による冷却が安定する。
t≦5×10−9×exp(25000/T)…(3)
ただし、T:冷却前の厚鋼板温度[K]である。
また、スケール厚みが10μm以下の場合、上記(2)式に基づき、下記式(4)を導出することができる。すなわち、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールの除去終了後から、加速冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間t[s]が、次の(4)式を満たす場合に、加速冷却装置6による冷却がより安定する。
t≦2.2×10−9×exp(25000/T)…(4)
さらに、スケール厚みが5μm以下の場合、上記(2)式に基づき、下記式(5)を導出することができる。すなわち、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケール除去終了後から、加速冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間t[s]が、次の(5)式を満たす場合に、加速冷却装置6による冷却が非常に安定する。
t≦5.6×10−10×exp(25000/T)…(5)
一方、デスケーリング装置4の出側から加速冷却装置6の入り側までの距離Lは、厚鋼板1の搬送速度Vと、時間t(デスケーリング装置4の工程終了から加速冷却装置6の工程開始までの時間)とに対して次の(6)式を満たすように設定する。
L≦V×t…(6)
ただし、L:デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離(m)、V:厚鋼板1の搬送速度(m/s)、t:時間(s)
そして、上記(6)式と上記(3)式とから、次の(7)式を導出することができる。本発明において、(7)式を満足することがより好ましい。
L≦V×5×10−9×exp(25000/T)…(7)
また、上記(6)式と上記(4)式とから、次の(8)式を導出することができる。本発明において、(8)式を満足することがさらに好ましい。
L≦V×2.2×10−9×exp(25000/T)…(8)
さらに、上記(6)式と上記(5)式とから、次の(9)式を導出することができる。本発明において、(9)式を満足することが好ましい。
L≦V×5.6×10−10×exp(25000/T)…(9)
上記の(7)〜(9)式から、例えば加速冷却装置6による冷却前の厚鋼板1の温度を820℃とし、厚鋼板1の搬送速度を0.28〜2.50m/sとすると、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lは12m以上107m以下で冷却が安定し、5m以上47m以下で冷却がより安定し、1.3m以上12m以下で冷却が非常に安定する。
これより、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lを12m以下とすると、厚鋼板1の搬送速度Vが遅い(例えばV=0.28m/s)場合でも冷却は安定し、逆に、厚鋼板1の搬送速度Vが早い(例えばV=2.50m/s)場合には冷却が非常に安定するので、好ましい。なお、より好ましいのは、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lが5m以下である。
さらに、一般的に、制御冷却を必要とする厚鋼板1の大部分は搬送速度Vが0.5m/s以上であることを考えると、この搬送速度Vで冷却が非常に安定する条件である距離Lが2.5m以下とすることがさらに好ましい。
なお、ここでは、加速冷却装置6による冷却前の厚鋼板1の温度を820℃とした場合について説明した。加速冷却装置6による冷却前の厚鋼板1の温度を820℃以外の場合についても同様に、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lを好ましくは12m以下、より好ましくは5m以下、さらに好ましくは2.5m以下とすることにより、冷却を安定することができる。これは、加速冷却装置6による冷却前の厚鋼板1の温度が820℃よりも低い場合、上記(7)式、上記(8)式、上記(9)式の右辺の値が、それぞれ、T=820℃の場合よりも大きくなるので、T=820℃の場合について適正に設定されたデスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lであれば、上記(7)式、上記(8)式、上記(9)式は、必然的に満足するからである。逆に、加速冷却装置6による冷却前の厚鋼板1の温度が820℃よりも高い場合には、厚鋼板1の搬送速度Vを適宜低めに調整することにより、やはり、上記(7)式、上記(8)式、上記(9)式を満足させることができる。
次に、本発明の加速冷却装置6は、図4に示すように、厚鋼板1の上面に冷却水を供給する上ヘッダ11と、該上ヘッダ11から懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズル13と、厚鋼板1と上ヘッダ11との間に設置される隔壁15とを備えるとともに、隔壁15には、冷却水噴射ノズル13の下端部を内挿する給水口16と、厚鋼板1の上面に供給された冷却水を隔壁15上へ排水する排水口17とが、多数設けられていることが好ましい。
具体的には、上面冷却設備は、厚鋼板1の上面に冷却水を供給する上ヘッダ11と、該上ヘッダ11から懸垂した冷却水噴射ノズル13と、上ヘッダ11と厚鋼板1との間に厚鋼板幅方向に亘り水平に設置され多数の貫通孔(給水口16と排水口17)を有する隔壁15とを備えている。そして、冷却水噴射ノズル13は棒状の冷却水を噴射する円管ノズル13からなり、その先端が前記隔壁15に設けられた貫通孔(給水口16)に内挿されて隔壁15の下端部より上方になるように設置されている。なお、冷却水噴射ノズル13は、上ヘッダ11内の底部の異物を吸い込んで詰まるのを防止するため、その上端が上ヘッダ11の内部に突出するように、上ヘッダ11内に貫入させることが好ましい。
ここで、本発明における棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口からある程度加圧された状態で噴射される冷却水であって、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が6m/s以上、好ましくは8m/s以上であり、ノズル噴出口から噴射された水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流の冷却水のことをいう。すなわち、円管ラミナーノズルからの自由落下流や、スプレーのような液滴状態で噴射されるものとは異なる。
冷却水噴射ノズル13の先端が貫通孔に内挿されて隔壁15の下端部より上方になるように設置されているのは、仮に先端が上方に反った厚鋼板が進入してきた場合でも隔壁15によって冷却水噴射ノズル13が損傷するのを防止するためである。それによって冷却水噴射ノズル13が良好な状態で長期間に亘って冷却を行うことができるので、設備補修等を行うことなく、厚鋼板の温度むらの発生を防止することができる。
また、円管ノズル13の先端が貫通孔に内挿されているので、図11に示すように、隔壁15の上面を流れる点線矢印の排出水19の幅方向流れと干渉することがない。したがって、冷却水噴射ノズル13から噴射された冷却水は、幅方向位置によらず等しく厚鋼板上面へ達することができ、幅方向に均一な冷却を行うことができる。
隔壁15の一例を示すと、図6に示すように隔壁15には直径10mmの貫通孔が厚鋼板幅方向に80mm、搬送方向に80mmのピッチで碁盤の目状に多数開けられている。そして、給水口16には外径8mm、内径3mm、長さ140mmの冷却水噴射ノズル13が挿入されている。冷却水噴射ノズル13は千鳥格子状に配列され、冷却水噴射ノズル13が通っていない貫通孔は冷却水の排水口17となっている。このように、本発明の加速冷却装置の隔壁15に設けられた多数の貫通孔は、ほぼ同数の給水口16と排水口17とから成り立っており、それぞれに役割、機能を分担している。
このとき、排水口17の総断面積は、冷却水噴射ノズル13の円管ノズル13の内径の総断面積よりも十分広く、円管ノズル13の内径の総断面積の11倍程度が確保されており、図4に示すように厚鋼板上面に供給された冷却水は、厚鋼板表面と隔壁15との間に充満し、排水口17を通して、隔壁15の上方に導かれ、速やかに排出される。図7は隔壁上の厚鋼板幅方向端部付近の冷却排水の流れを説明する正面図である。排水口17の排水方向が冷却水噴射方向と逆の上向きになっており、隔壁15の上方へ抜けた冷却排水は、厚鋼板幅方向外側へ向きを変え、上ヘッダ11と隔壁15との間の排水流路を流れて排水される。
一方、図8に示す例は、排水口17を厚鋼板幅方向に傾斜させて排水方向が厚鋼板幅方向外側に向くように幅方向外側へ向けた斜め方向としたものである。このようにすることで、隔壁15上の排出水19の厚鋼板幅方向流れが円滑になり、排水が促進されるので好ましい。
ここで、図9に示すように排水口と給水口が同一の貫通孔に設置されていると、冷却水は、厚鋼板に衝突した後、隔壁15の上方に抜けにくくなって、厚鋼板1と隔壁15の間を厚鋼板幅方向端部へ向かって流れるようになる。そうすると厚鋼板1と隔壁15の間の冷却排水の流量は、板幅方向の端部に近づく程多くなるので、噴射冷却水18が滞留水膜を貫通して厚鋼板に到達する力が板幅方向端部ほど阻害されることとなる。
薄板の場合には板幅が高々2m程度であるのでその影響は限定的である。しかしながら、特に板幅が3m以上の厚板の場合には、その影響は無視できない。従って、厚鋼板幅方向端部の冷却が弱くなり、この場合の厚鋼板幅方向の温度分布は、不均一な温度分布となる。
これに対して、本発明の加速冷却装置は、図10に示すように給水口16と排水口17は別個に設けられており、給水と排水を役割分担しているので、冷却排水は隔壁15の排水口17を通過して隔壁15の上方に円滑に流れて行くようになる。従って、冷却後の排水が速やかに厚鋼板上面から排除されるので、後続で供給される冷却水は、容易に滞留水膜を貫通することができ、十分な冷却能力を得ることができる。この場合の厚鋼板幅方向の温度分布は、均一な温度分布となり、幅方向に均一な温度分布を得ることができる。
ちなみに、排水口17の総断面積は、円管ノズル13の内径の総断面積の1.5倍以上であれば、冷却水の排出が速やかに行われる。このことは、例えば、隔壁15には円管ノズル13の外径よりも大きい穴を開け、排水口の数を給水口の数と同じか、それ以上にすれば実現できる。
排水口17の総断面積が円管ノズル13の内径の総断面積の1.5倍より小さいと、排水口の流動抵抗が大きくなり、滞留水が排水されにくくなる結果、滞留水膜を貫通して厚鋼板表面に到達できる冷却水量が大幅に減り、冷却能が低下するので好ましくない。より好ましくは4倍以上である。一方排水口が多過ぎたり、排水口の断面径が大きくなりすぎると、隔壁15の剛性が小さくなって、厚鋼板が衝突したときに損傷し易くなる。従って、排水口の総断面積と円管ノズル13の内径の総断面積の比は1.5から20の範囲が好適である。
また、隔壁15の給水口16に内挿した円管ノズル13の外周面と給水口16の内面との隙間は3mm以下とすることが望ましい。この隙間が大きいと、円管ノズル13から噴射される冷却水の随伴流の影響により、隔壁15の上面へ排出された冷却排水が給水口16の円管ノズル13の外周面との隙間に引き込まれ、再び厚鋼板上に供給されることとなるので、冷却効率が悪くなる。これを防止するには、円管ノズル13の外径を給水口16の大きさとほぼ同じにすることがより好ましい。しかしながら、工作精度や取り付け誤差を考慮し、実質的に影響が少ない3mmまでの隙間は許容する。より望ましくは2mm以下とする。
さらに、冷却水が滞留水膜を貫通して厚鋼板に到達できるようにするためには、円管ノズル13の内径、長さ、冷却水の噴射速度やノズル距離も最適にする必要がある。
即ち、ノズル内径は3〜8mmが好適である。3mmより小さいとノズルから噴射する水の束が細くなり勢いが弱くなる。一方ノズル径が8mmを超えると流速が遅くなり、滞留水膜を貫通する力が弱くなる。
円管ノズル13の長さは120〜240mmが好適である。ここでいう円管ノズル13の長さとは、ヘッダ内部へある程度貫入したノズル上端の流入口から、隔壁の給水口に内挿したノズルの下端までの長さを意味する。円管ノズル13が120mmより短いと、ヘッダ下面と隔壁上面との距離が短くなりすぎる(例えば、ヘッダ厚み20mm、ヘッダ内へのノズル上端の突出量20mm、隔壁へのノズル下端の挿入量10mmとすると、70mm未満となる。)ため、隔壁より上側の排水スペースが小さくなり、冷却排水が円滑に排出できなくなる。一方、240mmより長いと円管ノズル13の圧力損失が大きくなり、滞留水膜を貫通する力が弱くなる。
ノズルからの冷却水の噴射速度は、6m/s以上、好ましくは8m/s以上が必要である。6m/s未満では、滞留水膜を冷却水が貫通する力が極端に弱くなるからである。8m/s以上であれば、より大きな冷却能力を確保できるので好ましい。また、上面冷却の冷却水噴射ノズル13の下端から厚鋼板1の表面までの距離は、30〜120mmとするのが良い。30mm未満では、厚鋼板1が隔壁15に衝突する頻度が極端に多くなり設備保全が難しくなる。120mm超えでは、冷却水が滞留水膜を貫通する力が極端に弱くなる。
厚鋼板上面の冷却では、冷却水が厚鋼板長手方向に拡がらないように、上ヘッダ11の前後に水切ロール20を設置するのが良い。これにより、冷却ゾーン長が一定となり、温度制御が容易になる。ここで水切ロール20により厚鋼板搬送方向の冷却水の流れは堰き止められるので冷却排水は厚鋼板幅方向外側に流れるようになる。しかしながら、水切ロール20の近傍は冷却水が滞留し易い。
そこで図5に示すように、厚鋼板幅方向に並んだ円管ノズル13の列のうち、厚鋼板搬送方向の最上流側列の冷却水噴射ノズルは、厚鋼板搬送方向の上流方向へ15〜60度傾け、厚鋼板搬送方向の最下流側列の冷却水噴射ノズルは、厚鋼板搬送方向の下流方向へ15〜60度傾けることが好ましい。こうすることにより、水切ロール20に近い位置にも冷却水を供給することができ、水切ロール20近傍に冷却水が滞留することがなく、冷却効率が上がるので好適である。
上ヘッダ11下面と隔壁15上面の距離は、ヘッダ下面と隔壁上面に囲まれた空間内での厚鋼板幅方向流路断面積が冷却水噴射ノズル内径の総断面積の1.5倍以上となるように設けられ、例えば100mm程度以上である。この厚鋼板幅方向流路断面積が冷却水噴射ノズル内径の総断面積の1.5倍以上ない場合、隔壁に設けられた排水口17から隔壁15上面へ排出された冷却排水が円滑に厚鋼板幅方向に排出できない。
本発明の加速冷却装置において、最も効果を発揮する水量密度の範囲は、1.5m/m・min以上である。水量密度がこれよりも低い場合には滞留水膜がそれほど厚くならず、棒状冷却水を自由落下させて厚鋼板を冷却する公知の技術を適用しても、幅方向の温度むらはそれほど大きくならない場合もある。一方、水量密度が4.0m/m・minよりも高い場合でも、本発明の技術を用いることは有効である。しかしながら、設備コストが高くなるなど実用化の上での問題があるので、1.5〜4.0m/m・minが最も実用的な水量密度である。
本発明の冷却技術を適用するのは、冷却ヘッダの前後に水切りロールを配する場合が特に効果的である。しかしながら、水切りロールがない場合にも適用することは可能である。例えば、ヘッダが長手方向に比較的長く(2〜4m程度ある場合)、そのヘッダの前後でパージ用の水スプレーを噴射して、非水冷ゾーンへの水漏れを防止する冷却設備に適用することも可能である。
なお、本発明において、厚鋼板下面側の冷却装置については、特に限定されるものではない。図4、5に示す実施形態では、上面側の冷却装置と同様の円管ノズル14を備えた冷却下ヘッダ12の例を示した。厚鋼板下面側の冷却では、噴射された冷却水は厚鋼板に衝突した後に自然落下するので、上面側冷却のような冷却排水を厚鋼板幅方向に排出する隔壁15はなくてもよい。また、膜状冷却水や噴霧状のスプレー冷却水などを供給する公知の技術を用いてもよい。
以上のように、本発明の厚鋼板の製造設備は、デスケーリング装置4の噴射ノズルから厚鋼板1の表面に噴射するエネルギー密度Eを0.10J/mm以上に設定することにより、厚鋼板1に発生しているスケールの均一化を図り、加速冷却装置6で均一な冷却を図ることができる。その結果、厚鋼板形状に優れた厚鋼板1を製造することができる。
また、第1の形状矯正装置5で厚鋼板1の形状矯正を行うことにより、デスケーリング装置4の噴射ノズルを厚鋼板1の表面に近づけることが可能となる。
また、噴射距離H(デスケーリング装置4の噴射ノズルと厚鋼板1の表面距離)を40mm以上、200mm以下にするとデスケーリング能力が向上する。また、所定のエネルギー密度Eを得るための噴射圧力、噴射流量などが小さくて済むのでデスケーリング装置4のポンプ能力の低減化を図ることができる。
また、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離Lを、L≦V×5×10−9×exp(25000/T)を満たすことにより、加速冷却装置6による厚鋼板1の冷却を安定させることができる。
さらに、本発明の加速冷却装置6は、図4に示したように、上部冷却水噴射ノズル13から給水口16を介して供給された冷却水が、厚鋼板1の上面を冷却して高温の排水となり、上部冷却水噴射ノズル13が挿通されていない排水口17を排水流路として隔壁15の上方から厚鋼板1の幅方向に流れていき、冷却後の排水が厚鋼板1から速やかに排除されるようになっているので、上部冷却水噴射ノズル13から給水口16を介して流れてくる冷却水が順次厚鋼板1に接触することで、十分且つ幅方向に均一な冷却能力を得ることができる。
なお、本発明者らが検討した結果、本発明のようなデスケーリングを行わずに、加速冷却を行った厚鋼板の幅方向の温度むらは40℃程度となることがわかった。その一方で、本発明のデスケーリング装置4を用いて、冷却水のエネルギー密度を0.10J/mm以上でデスケーリングを行った後、加速冷却を行った厚鋼板の幅方向の温度むらは10℃程度に減少することがわかった。さらに、デスケーリング装置4でデスケーリングを施した後、図4に示す加速冷却装置6を用いて加速冷却を施した厚鋼板の幅方向の温度むらは、4℃程度にまで減少することがわかった。なお、厚鋼板の温度むらは、走査型温度計で加速冷却後の鋼板表面温度分布を測定し、その測定結果から幅方向の温度むらを算出した。
また、本発明のように、圧延中に発生した歪は第1の形状矯正装置5で矯正し、デスケーリング装置4で厚鋼板1のデスケーリングを行い、冷却の制御性を安定化させるため、第2の形状矯正装置7で矯正される厚鋼板1は、もともと平坦度が高く厚鋼板1の温度も均一である。したがって、第2の形状矯正装置7の矯正反力については、あまり高くする必要はない。また、加速冷却装置6と第2の形状矯正装置7との距離は、圧延製造ラインで製造する厚鋼板1の最大長さよりも長くするとよい。これにより、第2の形状矯正装置7でリバース矯正などを実施する場合も多いため、逆送した厚鋼板1が搬送ロール上で跳ねて、加速冷却装置6に衝突するなどのトラブルを防ぐ効果や、加速冷却装置6における冷却中に発生したわずかな温度偏差を均一化し、矯正後に温度偏差に起因した反りの発生を避ける効果を期待できる。
圧延機3によって圧延した板厚30mm、幅3500mmの厚鋼板1を、第1の形状矯正装置5およびデスケーリング装置4を通過してから、820℃から420℃までの制御冷却を行った。ここで、冷却が安定する条件は、前述の(3)、(4)、(5)式から算出すると、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールを除去終了後から加速冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間tは、好ましくは42s以下、より好ましくは19s以下、さらに好ましくは5s以下である。
デスケーリング装置4は、ノズルの噴射圧力が17.7MPa、ノズル1本あたりの噴射流量が50L/min(=8.3×10−4/s)、噴射距離(デスケーリング装置4の噴射ノズルと厚鋼板1の表面距離)が130mm、ノズル噴射角度が32°、ノズル迎え角が15°とし、隣り合うノズルの噴射領域がある程度ラップされるように幅方向に1列並べたものであり、スプレー噴射厚みは3mm、スプレー噴射幅は77mmである。ここで、冷却水のエネルギー密度は、前述した水量密度×噴射圧力×衝突時間で定義される値である。衝突時間(s)は厚鋼板表面にデスケーリング水が噴射されている時間であり、スプレー噴射厚みを搬送速度で除することにより求められる。
加速冷却装置6は、図4に示すように厚鋼板上面に供給した冷却水を隔壁の上方に流し、さらに図7に示すように厚鋼板幅方向側方から排水できるような流路を設けた設備とした。隔壁には、直径12mmの孔を碁盤の目のようにあけ、図6に示すように、千鳥格子状に配列した給水口に上部冷却水噴射ノズルを内挿し、残りの孔を排水口として用いた。上ヘッダ下面と隔壁上面の距離は100mmとした。
加速冷却装置6の上部冷却水噴射ノズルは、内径5mm、外径9mm、長さ170mmとし、その上端をヘッダ内へ突出させた。また、棒状冷却水の噴射速度を8.9m/sとした。厚鋼板幅方向のノズルピッチは50mmとして、テーブルローラ間距離1mのゾーン内でノズルを長手方向に10列並べた。上面の水量密度は、2.1m/m・minであった。上面冷却のノズル下端は、板厚25mmの隔壁の上下表面の中間位置となるように設置し、厚鋼板表面までの距離は80mmとした。
なお、下面冷却設備については、図4に示すような、隔壁を備えないこと以外は上面冷却設備と同様の冷却設備を用い、棒状冷却水の噴射速度および水量密度を上面の1.5倍とした。
そして、表1に示すように、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離L、厚鋼板の搬送速度Vおよびデスケーリング装置4から加速冷却装置6までの時間tを種々変化させた。
厚鋼板形状については、追加矯正率(%)で評価した。具体的には、鋼板全長の反り、および/または、鋼板全幅の反りが、その鋼板に対応する製品規格で定められている基準値以内であれば合格、基準値を超えていれば、追加矯正実施材と判断し、追加矯正率は(追加矯正実施材の本数)/(対象材の全本数)×100として算出した。
Figure 0005962849
表1の本発明例1〜5は、エネルギー密度がいずれも0.10J/mm以上であることから、形状不良による追加矯正率が低く、良好な結果を得られた。これは、加速冷却装置6で冷却した際に、幅方向位置の表面温度のバラツキが殆ど無く均一に冷却され、厚鋼板の温度分布に起因すると考えられる平坦度が優れ、その結果、形状不良による追加矯正率が低くなったと考えられる。また、本発明例1〜5はいずれもスケール除去されており、表面性状も良好であった。なお、表面性状の評価は、室温まで冷却された厚鋼板表面の画像を用いて、スケール残存部と剥離部との色調差を利用した画像処理からスケール有無を判断し、評価した。
特に、デスケーリング装置4から加速冷却装置6までの距離を5mとした本発明例1〜3は、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールを除去終了後から、加速冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間tが、厚鋼板の搬送速度Vに関係なく、加速冷却装置6による冷却がより安定する条件である19s以下であった。そのため、追加矯正率が5%以下と良好であった。
また、本発明例5は、特許文献1や特許文献2のような高い衝突圧(1.0MPa)を必要とせずとも、エネルギー密度を本発明範囲内にすることにより、良好な結果となった。
一方、デスケーリング装置4によるスケール除去を実施せず、加速冷却装置6による冷却を行った比較例1では、厚鋼板の温度分布に起因すると考えられる平坦度が悪化し、追加矯正率が40%となった。
また、デスケーリング装置4による設定条件を、水圧9MPa、ノズル1本あたりの噴射流量が25L/min(=4.2×10−4/s)、とし、他の条件は本発明例2と同一にして、エネルギー密度を0.08J/mmとした比較例2は、スケールが部分剥離することで厚鋼板幅方向の温度分布が悪化し、それにともなって厚鋼板の平坦度も悪化したため、追加矯正率が70%となった。
また、比較例3は、特許文献1や特許文献2のような高い衝突圧の範囲内であるにもかかわらず、エネルギー密度が本発明の範囲外であったため、スケールが部分剥離することで厚鋼板幅方向の温度分布が悪化し、それにともなって厚鋼板の平坦度も悪化したため、追加矯正率が65%となった。
1 厚鋼板
2 加熱炉
3 圧延機
4 デスケーリング装置
5 第1の形状矯正装置
6 加速冷却装置
7 第2の形状矯正装置
11 上ヘッダ
12 下ヘッダ
13 上冷却水噴射ノズル(円管ノズル)
14 下冷却水噴射ノズル(円管ノズル)
15 隔壁
16 給水口
17 排水口
18 噴射冷却水
19 排出水
20 水切ロール
21 水切ロール

Claims (7)

  1. 熱間圧延機、形状矯正装置、デスケーリング装置および加速冷却装置をこの順序で搬送方向上流側から配置し、前記デスケーリング装置が厚鋼板の表面に向けて噴射する冷却水の持つエネルギー密度Eを0.10〜0.60J/mm することを特徴とする厚鋼板の製造設備。
  2. 前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの搬送速度をV[m/s]、冷却前の厚鋼板温度をT[K]とすると、前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの距離L[m]は、L≦V×5×10−9×exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の製造設備。
  3. 前記デスケーリング装置から前記加速冷却装置までの距離Lが12m以下となるように各装置を配置することを特徴とする請求項2に記載の厚鋼板の製造設備。
  4. 前記デスケーリング装置の噴射ノズルから前記厚鋼板の表面までの噴射距離Hを、40mm以上200mm以下とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の厚鋼板の製造設備。
  5. 前記加速冷却装置が、前記厚鋼板の上面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルと、前記厚鋼板と前記ヘッダとの間に設置される隔壁とを備えるとともに、前記隔壁には、前記冷却水噴射ノズルの下端部を内挿する給水口と、前記厚鋼板の上面に供給された冷却水を前記隔壁上へ排水する排水口とが、多数設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の厚鋼板の製造設備。
  6. 熱間圧延工程、熱間矯正工程および加速冷却工程の順番で厚鋼板を製造する方法において、前記熱間矯正工程および冷却工程の間に、厚鋼板の表面にエネルギー密度Eが0.10〜0.60J/mm 冷却水を噴射するデスケーリング工程を有することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
  7. 前記デスケーリング工程の完了から前記加速冷却工程の開始までの時間t[s]は、t≦5×10−9×exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする請求項6に記載の厚鋼板の製造方法。ただし、T:冷却前の厚鋼板温度(K)である。
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