JP2010062386A - コイル部品 - Google Patents

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勝治 松田
Kazuhide Kudo
和秀 工藤
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功 山長
Masahiko Kawaguchi
正彦 川口
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Abstract

【課題】 小型で、かつ高周波のノイズを除去可能なコイル部品を提供する。
【解決手段】 コモンモードチョークコイル1は、第1,第2の磁性体基板16,17の間に積層体2を設けて構成する。また、積層体2は、第1の絶縁層3、1次コイル8、コイル間絶縁層9、2次コイル14、第2の絶縁層15等を積み重ねることによって形成する。一方、第1,第2の磁性体基板16,17は、2つの磁性体層16A,16B,17A,17Bの間に低誘電率層16C,17Cを挟む構成とする。これにより、各コイル8,14の周囲に生じる電気力線の一部が低誘電率層16C,17Cの内部を通過し、各コイル8,14の浮遊容量が低下する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、2枚の磁性体基板の間にコイルを挟むコイル部品に関する。
一般に、コイル部品として、互いに対向した2つのコイルを挟んだ状態で複数の絶縁層を厚さ方向に積み重ねて積層体を形成すると共に、該積層体を第1,第2の磁性体基板の間に挟んだコモンモードチョークコイルが知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、コイルが2つの磁性体基板によって挟持されているから、容易に大きなインダクタンス値が確保できる。また、積層体の絶縁層を磁性材料を用いて形成したものに比べて、2つのコイル間で高い結合が得られるため、小型、低背でありながら良好な電気的特性を得ることができる。
特開平8−203737号公報
ところで、近年、小型液晶の高解像度化に伴って差動信号の高周波化が進んでいる。また、映像と音声を1本のケーブルで出力可能な超高速差動伝送方式HDMI(High Definition Multimedia Interface)のモバイル機器への搭載が進められている。このため、小型で高周波のノイズを除去可能なコモンモードチョークコイルが要求されている。
特に、CISPR(国際無線障害特別委員会)において、新たに1〜6GHzでの輻射ノイズに関する規格が制定されることに伴って、1〜6GHzの高周波帯域におけるノイズ除去効果の高いコモンモードチョークコイルが望まれている。
一方、小型で、かつ高周波のコモンモードノイズの除去効果が高いコモンモードチョークコイルを実現するためには、1次コイルと2次コイルのそれぞれについて浮遊容量を削減する必要がある。しかし、従来技術では、例えば1GHz以上の高周波帯域でのコイルの浮遊容量を削減する方法が提示されておらず、小型で高周波のノイズを除去可能なコモンモードチョークコイルは提供されていなかった。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、小型で、かつ高周波のノイズを除去可能なコイル部品を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、第1の磁性体基板と、該第1の磁性体基板の表面に形成され、少なくとも1つの平面状のコイルを挟んだ状態で複数の絶縁層を厚さ方向に積み重ねた積層体と、前記第1の磁性体基板との間に該積層体を挟む第2の磁性体基板とを備えたコイル部品において、前記第1,第2の磁性体基板は、2つの磁性体層と、前記コイルと平行な状態でこれら2つの磁性体層に挟まれ該磁性体層よりも誘電率が低い低誘電率層とによって構成したことを特徴としている。
請求項2の発明では、前記2つの磁性体層のうち前記積層体に近い位置に配置された一方の磁性体層は、他方の磁性体層よりも厚さ寸法を小さく形成している。
請求項3の発明では、前記低誘電率層は、絶縁樹脂材料を用いて形成している。
請求項4の発明では、前記積層体は、互いに対向した状態で厚さ方向に離間した2つのコイルを備える構成としている。
請求項1の発明によれば、第1,第2の磁性体基板は、2つの磁性体層と、これら2つの磁性体層に挟まれた低誘電率層とによって構成したから、コイルの周囲に電気力線が形成されたときに、この電気力線の一部を低誘電率層内に形成することができる。このとき、低誘電率層は磁性体層よりも誘電率が低い材料を用いて形成したから、例えば従来技術のように磁性体基板を磁性体層(磁性体材料)だけで形成した場合に比べて、コイルの周囲に形成される浮遊容量を小さくすることができる。この結果、コイルの自己共振周波数を高周波側に移動させることができるから、外形形状を小型に維持しつつ、例えば1GHz以上の高周波信号に対してインピーダンスを高めることができ、高周波のノイズを除去することができる。
請求項2の発明によれば、積層体に近い一方の磁性体層はその厚さ寸法を他方の磁性体層の厚さ寸法よりも小さく形成した。このとき、低誘電率層は一方の磁性体層を挟んで積層体と対向するから、低誘電率層を積層体内のコイルに近付けることができる。ここで、コイルによる電気力線はコイルに近付くに従って増加する。このため、低誘電率層をコイルに近付けることによって、低誘電率層内に形成される電気力線を増やすことができ、コイルの周囲に形成される浮遊容量を小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、低誘電率層は絶縁樹脂材料を用いて形成したから、例えば低誘電率層を積層体の絶縁層と同じ材料を用いて形成することができる。このため、例えば低誘電率層および絶縁層を耐熱性等の特性が優れた材料を用いて形成することによって、部品全体の耐熱性等を高めることができる。
請求項4の発明によれば、積層体は互いに対向した状態で厚さ方向に離間した2つのコイルを備える構成としたから、これら2つのコイルを磁気的に相互に結合させることができ、2つのコイルを用いてコモンモードチョークコイルを構成することができる。このとき、低誘電率層によって各コイルの自己共振周波数を高周波側に移動させることができるから、例えば1GHz以上の高周波に対してコモンモードインピーダンスを高めることができる。
以下、本発明の実施の形態によるコイル部品としてコモンモードチョークコイルを例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すように、コモンモードチョークコイル1は、後述する第1,第2の磁性体基板16,17と該磁性体基板16,17の間に挟まれた積層体2とによって構成されている。
積層体2は、図2ないし図4に示すように、後述する絶縁層3,9,15、コイル8,14等を厚み方向に積み重ねることによって形成されている。
第1の絶縁層3は、磁性体基板16の表面に位置して、スピン塗布法、スクリーン印刷等の方法を用いて形成されている。絶縁層3は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の種々の樹脂材料、またはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス、誘電体材料等の非磁性体の絶縁材料を用いて形成されている。絶縁層3の材料は、その目的に応じて複数材料を組み合わせたものを使用してもよい。そして、絶縁層3は、例えば3.3程度の誘電率(比誘電率)を有している。
また、第1の絶縁層3の表面には、渦巻状(スパイラル形状)のコイルパターン4が形成されている。コイルパターン4の材料には、導電性に優れた金属、例えばAg,Pd,Cu,Al等の金属、またはこれらの合金等が採用される。コイルパターン4等の電極材料と絶縁層3等の絶縁材料との組み合わせは、加工性・密着性等を考慮して選択するのが望ましい。
そして、コイルパターン4は、絶縁層3の表面に導電性材料膜を形成した後に、レジストの塗布、露光、現像、エッチング等の一連のフォトリソグラフィ技術を用いて渦巻形状に形成される。なお、導電性材料膜は、スパッタリング、真空蒸着等の薄膜形成法、またはスクリーン印刷等の厚膜形成法といった成膜技術を用いて形成される。また、コイルパターン4のうち外周側の端部は、絶縁層3の外縁側に位置して引出電極部4Aとなっている。一方、コイルパターン4のうち内周側の端部は、後述する引出パターン6に電気的に接続されている。
そして、コイルパターン4の表面には、例えば絶縁層3と同じ材料を用いて層間絶縁層5が形成される。層間絶縁層5には、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて複数のビアホール5Aが形成されている。このとき、ビアホール5Aは、層間絶縁層5を貫通した状態で形成され、例えばコイルパターン4の内周側の端部や渦巻状に延びる途中部位と対応した位置に配置されている。
なお、フォトリソグラフィ技術を用いる場合には、層間絶縁層5の材料として感光性機能を付加した材料が用いられる。本実施の形態では、層間絶縁層5は、例えば感光性のポリイミド樹脂材料が用いられる。
また、層間絶縁層5の表面には、層間絶縁層5の内側から外縁側に向けて延びる引出パターン6が形成されている。このとき、引出パターン6の一端側は、ビアホール5Aを介してコイルパターン4の内周側の端部に電気的に接続されている。一方、引出パターン6の他端側は、層間絶縁層5の外縁側に位置して引出電極部6Aとなっている。また、引出電極部6Aは、例えばコイルパターン4を挟んで引出電極部4Aとは図2中の前,後方向の反対側に配置されている。
さらに、層間絶縁層5の表面には、C字状をなす複数のラダーコイルパターン7が形成されている。このとき、ラダーコイルパターン7は、コイルパターン4に沿って延びると共に、その両端側がビアホール5Aを介してコイルパターン4の途中位置に電気的に接続されている。これにより、ラダーコイルパターン7は、1次コイル8の直流抵抗Rdcを低下させている。また、引出パターン6およびラダーコイルパターン7は、例えばコイルパターン4と同じ材料を用いて形成されている。
そして、コイルパターン4、引出パターン6およびラダーコイルパターン7によって、平面状の1次コイル8が形成されている。
コイル間絶縁層9は、引出パターン6およびラダーコイルパターン7の表面に位置して、例えば絶縁層3,5と同じ材料を用いて成膜されている。そして、コイル間絶縁層9は、1次コイル8と2次コイル14との間を絶縁している。
コイル間絶縁層9の表面には、1次コイル8と同様な成膜工程等を繰返すことによって、コイルパターン4、層間絶縁層5、引出パターン6、ラダーコイルパターン7とほぼ同様な、コイルパターン10、層間絶縁層11、引出パターン12、ラダーコイルパターン13がそれぞれ形成されている。但し、コイルパターン10と引出パターン12の引出電極部10A,12Aは、コイルパターン4と引出パターン6の引出電極部4A,6Aと異なる位置として、例えば引出電極部4A,6Aから図2中の左,右方向に離間した位置に配置されている。
また、ラダーコイルパターン13は、ビアホール11Aを介してコイルパターン10の途中位置に電気的に接続されている。そして、コイルパターン10、引出パターン12およびラダーコイルパターン13によって、平面状の2次コイル14が形成されている。これにより、1次コイル8と2次コイル14とは、厚さ方向に積層された状態で磁気的に密接に結合するものである。
第2の絶縁層15は2次コイル14と第2の磁性体基板17との間に位置して、例えば第1の絶縁層3と同じ材料を用いて形成されている。このため、第2の絶縁層15も、第1の絶縁層3と同様に、例えば3.3程度の誘電率を有している。
また、第2の絶縁層15は、例えば熱硬化性のポリイミド樹脂が用いられ、第2の磁性体基板17を2次コイル14の表面に接着するための接着剤を兼ねている。即ち、コモンモードチョークコイル1の製造時には、まず第1の磁性体基板16の表面に、第1の絶縁層3、1次コイル8、コイル間絶縁層9、2次コイル14を成膜工程等を繰返して積み重ねる。その後、第2の磁性体基板17の裏面側に接着剤としての第2の絶縁層15を塗布した後に、2次コイル14(引出パターン12およびラダーコイルパターン13)の表面に第2の磁性体基板17の裏面側を貼り合わせる。このとき、第2の磁性体基板17の接合は、真空中または不活性ガス中にて加熱、加圧した状態で行い、冷却後に圧力を解除するものである。
これにより、第2の絶縁層15は、2次コイル14と第2の磁性体基板17との間に配置される。この結果、第1,第2の磁性体基板16,17の間には、第1,第2の絶縁層3,15、1次コイル8、2次コイル14、コイル間絶縁層9からなる積層体2が形成される。
このとき、積層体2の絶縁層3,5,9,11,15は、例えば5〜10μm程度の厚さ寸法をもって形成されている。これにより、コイル8,14は磁性体基板16,17に近付けて配置されるから、インダクタンスの取得効率が高いのに加え、コモンモードチョークコイル1全体の厚さ寸法を小さくすることができる。また、絶縁層3,5,9,11,15は、耐熱性の向上、層間の熱歪みの低減、機械的な強度の確保等を図るために、全て同じ系統の材料(例えばポリイミド樹脂)を用いて形成するのが好ましい。
磁性体基板16,17は、積層体2を挟んで厚さ方向の両端側に配置されている。ここで、第1の磁性体基板16は、第1,第2の磁性体層16A,16Bと、これらの磁性体層16A,16Bに挟まれた低誘電率層16Cとによって構成されている。
このとき、第2の磁性体層16Bは、積層体2の裏面側に位置して絶縁層3に接合されている。このため、第2の磁性体層16Bは、第1の磁性体層16Aよりも積層体2に近い位置に配置されている。
また、第1,第2の磁性体層16A,16Bは、フェライト等の磁性体材料を用いて形成されている。特に、磁性体層16A,16Bにフェライトを使用した場合には、コモンモードチョークコイル1は高インダクタンスで、高周波特性が優れたものになる。そして、磁性体層16A,16Bは、例えば9〜16程度の誘電率(比誘電率)を有している。
さらに、第2の磁性体層16Bの厚さ寸法T1bは、第1の磁性体層16Aの厚さ寸法T1aよりも小さい値に設定されている。これにより、低誘電率層16Cは、1次コイル8に近い位置に配置されている。特に、第2の磁性体層16Bの厚さ寸法T1bは、100μm以下の値に設定するのが好ましい。
一方、低誘電率層16Cは、平面状をなすコイル8,14と平行な状態で磁性体層16A,16Bに挟まれている。そして、低誘電率層16Cは、磁性体層16A,16Bの誘電率よりも低い値として例えば3.3程度の誘電率(比誘電率)を有する材料を用いて形成されている。
具体的には、低誘電率層16Cは、絶縁層3等と同様に、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の種々の樹脂材料、またはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス、誘電体材料等の非磁性体の絶縁材料を用いて形成されている。低誘電率層16Cの材料は、その目的に応じて複数材料を組み合わせたものを使用してもよい。
特に、耐熱性の向上、層間の熱歪みの低減、機械的な強度の確保等を図るために、低誘電率層16Cは、絶縁層3等と同じ耐熱性等を有する材料(例えばポリイミド樹脂)を用いて形成するのが好ましい。
第2の磁性体基板17は、第1の磁性体基板16とほぼ同様に、第1,第2の磁性体層17A,17Bと、これらの磁性体層17A,17Bに挟まれた低誘電率層17Cとによって構成されている。
このとき、第2の磁性体層17Bは、積層体2の表面側に位置して絶縁層15に接合されている。このため、第2の磁性体層17Bは、第1の磁性体層17Aよりも積層体2に近い位置に配置されている。また、第1,第2の磁性体層17A,17Bは、磁性体層16A,16Bと同じフェライト等の磁性体材料を用いて形成され、第2の磁性体層17Bの厚さ寸法T2bは、第1の磁性体層17Aの厚さ寸法T2aよりも小さい値に設定されている。
さらに、低誘電率層17Cは、低誘電率層16Cと同じ非磁性体の絶縁材料を用いて形成され、その誘電率が磁性体層17A,17Bの誘電率よりも低い値に設定されている。
なお、磁性体基板16,17は、フォトリソ加工において絶縁層3,5,9,11,15、電極層(パターン4,6,7,10,12,13等)の形成に支承がないように、表面粗さRaで0.5μm以下に研磨されていることが望ましい。
そして、図1に示すように、コモンモードチョークコイル1の後側端面には外部電極18,19が設けられ、前側端面には外部電極20,21が設けられている。外部電極18,19,20,21はそれぞれ引出電極部4A,10A,6A,12Aに電気的に接続されている。外部電極18〜21は、例えばAg,Cu,Pb,NiCr,NiCuまたはこれらの合金等の導電性材料を用いて形成される。具体的には、外部電極18〜21は、例えば導電性材料を含む導電性ペーストを塗布したり、これらの材料を蒸着、スパッタリング、無電解めっき等の手段を用いて形成され、コモンモードチョークコイル1の端面に堅固に密着している。さらに、必要であれば、例えば湿式電解めっきによりNi,Sn,Sn−Pb等の金属膜を形成し、外部電極18〜21の膜厚を厚くしてもよい。外部電極18,19,20,21の材料は、絶縁層3,5,9,11,15(積層体2)に対する密着性や加工性等に優れたものが適宜選択されるものである。
なお、実際にコモンモードチョークコイル1を製造する場合には、1枚の親基板(磁性体基板)に多数のコモンモードチョークコイル1を一緒に形成した後に、ダイシング等の切断加工によって分割を行い、それぞれのコモンモードチョークコイル1を切り出す。このとき、切断面には、コイル8,14の引出電極部4A,10A,6A,12Aが露出するようにする。これにより、切断面に露出した引出電極部4A,10A,6A,12Aに対して、外部電極18〜21を接続することができる。
本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1は上述の如き構成を有するもので、次に低誘電率層16C,17Cと浮遊容量との関係について、図4ないし図6を参照しつつ検討する。
まず、図5に示す比較例によるコモンモードチョークコイル31について検討する。比較例のコモンモードチョークコイル31では、第1,第2の磁性体基板32,33は、低誘電率層を含まず、磁性体材料のみによって形成した。この比較例について、コモンモードインピーダンスの周波数特性を測定した。その結果を図6中に点線で示す。
図6の結果より、比較例のコモンモードチョークコイル31では、600MHz付近でコモンモードインピーダンスが最大(800Ω程度)となり、それよりも高周波側ではコモンモードインピーダンスが低下する。このため、例えば1GHz付近ではコモンモードインピーダンスが350Ω程度になっている。この理由は、1次コイル8や2次コイル14に並列接続された状態で浮遊容量が生じるためと考えられる。即ち、信号の周波数が高くなるに従って、各コイル8,14のインダクタンスは増加する。一方、信号の周波数が高くなるに従って、浮遊容量によるインピーダンスは低下する。このため、高周波側ではコモンモードインピーダンスに対する浮遊容量の影響が大きくなり、コモンモードインピーダンスが減少し、コモンモードノイズの減衰量が低下するものと考えられる。
ここで、浮遊容量は、各コイル8,14の周囲、各コイル8,14と外部電極18〜21との間等のように種々の箇所に生じる。しかし、従来技術では、大きな浮遊容量が生じる箇所を十分に特定できていなかった。
本発明者達は鋭意検討の結果、各コイル8,14の内周側8A,14Aと外周側8B,14Bとの間に大きな浮遊容量が生じることが分かった。これは、例えば1次コイル8の内周側8Aと外周側8Bは、それぞれ1次コイル8の両端に近く、他の部位に比べて、1次コイル8の内周側8Aと外周側8Bとの間に大きな電位差が生じることが原因と考えられる。この原因は、2次コイル14についても同様である。
このとき、1次コイル8は略平面状に広がった渦巻形状をなしている。また、1次コイル8は第1の絶縁層3を挟んで第1の磁性体基板32と対面した状態で配置されている。このため、1次コイル8の内周側8Aと外周側8Bとの間に生じる電気力線Eは、第1の絶縁層3や第1の磁性体基板32に沿って平面状に広がり、第1の絶縁層3および第1の磁性体基板32の内部を通過する。同様な理由により、2次コイル14の内周側14Aと外周側14Bとの間に生じる電気力線Eは、第2の絶縁層15および第2の磁性体基板33の内部を通過する。
ここで、磁性体基板32,33は、フェライト等の磁性体材料を用いて形成されるから、例えば9〜16程度の誘電率を有している。このとき、磁性体基板32,33の誘電率は、磁性体基板32,33の材料によって決まり、例えば9よりも低下させることは困難である。
これにより、各コイル8,14の内周側8A,14Aと外周側8B,14Bとの間に生じる電気力線Eは、誘電率の高い磁性体基板32,33の内部を通過する割合が高い。また、各コイル8,14と外部電極18〜21との間に生じる電気力線Eも、磁性体基板32,33の内部を通過する傾向がある。
この結果、比較例では、誘電率の高い磁性体基板32,33の内部に電気力線Eが形成されることによって、各コイル8,14の内周側8A,14Aと外周側8B,14Bとの間の浮遊容量C11や各コイル8,14と外部電極18〜21との間の浮遊容量C12が増加する。このため、比較例では、1GHz以上の高周波信号に対するコモンモードインピーダンスが低下し、高周波信号に対するコモンモードノイズの減衰量が低下するという問題があった。
次に、本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1について検討する。そこで、本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1について、コモンモードインピーダンスの周波数特性を測定した。その結果を図6中に実線で示す。
図6の結果より、実施の形態のコモンモードチョークコイル1では、800MHz付近でコモンモードインピーダンスが最大(1kΩ程度)となると共に、1GHz以上の高周波側のインピーダンスは、比較例の場合よりも増加している。このように、第1の磁性体層16A,17Aと第2の磁性体層16B,17Bとの間に低誘電率層16C,17Cを挟むことによって、コモンモードインピーダンスのピークが高周波側に移動すると共に、1GHz以上の高周波側のコモンモードインピーダンスが増加することが分かる。
この理由は、磁性体基板16,17に低誘電率層16C,17Cを設けることによって、各コイル8,14の内周側8A,14Aと外周側8B,14Bとの間に生じる電気力線Eや各コイル8,14と外部電極18〜21との間に生じる電気力線Eは、比較例に比べて、誘電率の低い低誘電率層16C,17Cの内部を通過するためと考えられる。
この結果、本実施の形態では、誘電率の低い低誘電率層16C,17Cの内部に形成される電気力線Eの割合を増加させることによって、各コイル8,14の内周側8A,14Aと外周側8B,14Bとの間の浮遊容量C1や各コイル8,14と外部電極18〜21との間の浮遊容量C2を低下させることができる。これにより、本実施の形態では、1GHz以上の高周波信号に対するコモンモードインピーダンスを大きくすることができ、高周波信号に対するコモンモードノイズの減衰量を増加させることができる。
なお、第2の磁性体層16B,17Bの厚さ寸法T1b,T2bを小さくすると、各コイル8,14と低誘電率層16C,17Cとの距離が近くなるから、浮遊容量C1,C2は低下する。しかし、低誘電率層16C,17Cによって磁気抵抗が増加するから、インダクタンスの取得効率が低下する。
一方、第2の磁性体層16B,17Bの厚さ寸法T1b,T2bを大きくすると、各コイル8,14と低誘電率層16C,17Cとの距離が遠くなるから、浮遊容量C1,C2は増加するが、磁気抵抗が減少してインダクタンスの取得効率は向上する。
このような相反する性質を考慮すると、第2の磁性体層16B,17Bの厚さ寸法T1b,T2bは、例えば100μm以下(T1b,T2b≦100μm)に設定するのが好ましい。
かくして、本実施の形態では、第1,第2の磁性体基板16,17は、2つの磁性体層16A,16B,17A,17Bと、これら2つの磁性体層16A,16B,17A,17Bに挟まれた低誘電率層16C,17Cとによって構成したから、コイル8,14の周囲に電気力線が形成されたときに、この電気力線の一部を低誘電率層16C,17C内に形成することができる。このとき、低誘電率層16C,17Cは磁性体層16A,16B,17A,17Bよりも誘電率が低い材料を用いて形成したから、例えば従来技術のように磁性体基板を磁性体層(磁性体材料)だけで形成した場合に比べて、コイル8,14の周囲に形成される浮遊容量C1,C2を小さくすることができる。この結果、コイル8,14の自己共振周波数を高周波側に移動させることができるから、外形形状を小型に維持しつつ、例えば1GHz以上の高周波信号に対してコモンモードインピーダンスを高めることができ、高周波のコモンモードノイズを除去することができる。
また、積層体2に近い第2の磁性体層16B,17Bはその厚さ寸法T1b,T2bを第1の磁性体層16A,17Aの厚さ寸法T1a,T2aよりも小さく形成したから、低誘電率層16C,17Cを積層体2内のコイル8,14に近付けることができる。このとき、コイル8,14による電気力線はコイル8,14に近付くに従って増加する。このため、低誘電率層16C,17Cをコイル8,14に近付けることによって、低誘電率層16C,17C内に形成される電気力線を増やすことができ、コイル8,14の周囲に形成される浮遊容量C1,C2を小さくすることができる。
また、低誘電率層16C,17Cは絶縁樹脂材料を用いて形成したから、例えば低誘電率層16C,17Cを積層体2の絶縁層3,5,9,11,15と同じ材料を用いて形成することができる。このため、例えば低誘電率層16C,17Cおよび絶縁層3,5,9,11,15を耐熱性等の特性が優れた材料を用いて形成することによって、コモンモードチョークコイル1全体の耐熱性等を高めることができる。
さらに、積層体2は互いに対向した状態で厚さ方向に離間した2つのコイル8,14を備える構成としたから、これら2つのコイル8,14を磁気的に相互に結合させることができ、2つのコイル8,14を用いてコモンモードチョークコイル1を構成することができる。このとき、低誘電率層16C,17Cによって各コイル8,14の自己共振周波数を高周波側に移動させることができるから、例えば1GHz以上の高周波に対してコモンモードインピーダンスを高めることができ、コモンモードノイズの減衰量を増加させることができる。
なお、前記実施の形態では、積層体2は2つのコイル8,14を備える構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図7に示す変形例のように、2次コイルを省き、積層体2′は1つのコイル8だけを備える構成としてもよい。この場合でも、第1,第2の磁性体基板16,17の低誘電率層16C,17Cによってコイル8の自己共振周波数を高周波側に移動させることができ、高周波信号に対するインピーダンスを高めることができる。
また、前記実施の形態では、1次コイル8、2次コイル14は、ラダーコイルパターン7,13を備える構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1次コイル、2次コイルはラダーコイルパターンを省く構成としてもよい。
本発明の実施の形態によるコモンモードチョークコイルを示す斜視図である。 図1中のコモンモードチョークコイルを分解して示す分解斜視図である。 実施の形態によるコモンモードチョークコイルを図1中の矢示III−III方向からみた断面図である。 実施の形態によるコモンモードチョークコイルに生じる電気力線を示す説明図である。 比較例によるコモンモードチョークコイルに生じる電気力線を示す説明図である。 コモンモードチョークコイルのコモンモードインピーダンスと周波数との関係を示す特性線図である。 変形例によるコイル部品を分解して示す分解斜視図である。
符号の説明
1 コモンモードチョークコイル
2,2′ 積層体
3,5,9,11,15 絶縁層
8,14 コイル
16 第1の磁性体基板
17 第2の磁性体基板
16A,16B,17A,17B 磁性体層
16C,17C 低誘電率層

Claims (4)

  1. 第1の磁性体基板と、
    該第1の磁性体基板の表面に形成され、少なくとも1つの平面状のコイルを挟んだ状態で複数の絶縁層を厚さ方向に積み重ねた積層体と、
    前記第1の磁性体基板との間に該積層体を挟む第2の磁性体基板とを備えたコイル部品において、
    前記第1,第2の磁性体基板は、2つの磁性体層と、前記コイルと平行な状態でこれら2つの磁性体層に挟まれ該磁性体層よりも誘電率が低い低誘電率層とによって構成したことを特徴とするコイル部品。
  2. 前記2つの磁性体層のうち前記積層体に近い位置に配置された一方の磁性体層は、他方の磁性体層よりも厚さ寸法を小さく形成してなる請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記低誘電率層は、絶縁樹脂材料を用いて形成してなる請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記積層体は、互いに対向した状態で厚さ方向に離間した2つのコイルを備える構成としてなる請求項1,2または3に記載のコイル部品。
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