JP2010059957A - 触媒の劣化判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であるか否かを判定し、その判定結果に応じて、触媒の被毒を除去するための制御の実行頻度を最小限に抑制しながら、触媒の劣化判定を適切に行うことができる触媒の劣化判定装置を提供する。
【解決手段】内燃機関3から排出された排ガスを浄化する触媒7の劣化判定装置1は、触媒7による排ガスの浄化能力に基づいて、触媒7が劣化しているか否かを判定し、触媒7が劣化していると判定されたときに、触媒7に蓄積された硫黄分を除去するための第1硫黄分除去制御を実行する。また、第1硫黄分除去制御が終了したときに、触媒7の劣化判定を実行する。そして、劣化判定により触媒7が劣化していないと判定されたときに、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であると判定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関から排出された排ガスを浄化する触媒の劣化判定装置に関する。
従来の触媒の劣化判定装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この触媒はNOx触媒であり、この劣化判定装置では、NOx触媒の劣化の判定が以下のようにして行われる。まず、必要還元剤量とNOx触媒によるNOx捕捉量との比に応じて、NOx触媒によるNOxの浄化率を算出する。この必要還元剤量は、NOx触媒よりも下流側の排気通路内の空燃比に基づいて算出され、NOx捕捉量は、吸入空気量と内燃機関の回転数および負荷に応じて算出される。算出した浄化率が第1所定値未満のときには、この浄化率の低下の原因が、NOx触媒の劣化ではなく、燃料に含まれていた硫黄分が蓄積したことによるNOx触媒の被毒である可能性があるため、それを確認すべく、NOx触媒の被毒を除去するための被毒除去制御を実行する。この被毒除去制御は、NOx触媒の温度を所定温度以上に昇温させた後、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御し、硫黄分を還元することによって行われる。その後、浄化率を再度、算出し、この浄化率が第2所定値以上のときには、浄化率が低下していた原因がNOx触媒の被毒であるとして、NOx触媒は正常と判定する。
特開2002−195089号公報
以上のように、従来の劣化判定装置では、NOx触媒の浄化率が低下しているときに、その原因を確認するために被毒除去制御が実行される。このため、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料のときには、NOx触媒は被毒しやすいことで浄化率が低下しやすいので、空燃比をリッチ側に制御する被毒除去制御を頻繁に実行しなければならなくなる。その結果、より多くの燃料が消費され、燃費が悪化してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であるか否かを判定し、その判定結果に応じて、触媒の被毒を除去するための制御の実行頻度を最小限に抑制しながら、触媒の劣化判定を適切に行うことができる触媒の劣化判定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、内燃機関3の排気通路(実施形態における(以下、本項において同じ)排気管5)に設けられ、内燃機関3から排出された排ガスを浄化する触媒7の劣化判定装置1であって、触媒7による排ガスの浄化能力(酸素貯蔵能OSC)に基づいて、触媒7が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段(ECU2、図3のステップ14,15)と、劣化判定手段により触媒7が劣化していると判定されたときに、触媒7に蓄積された硫黄分を除去するための第1硫黄分除去制御を実行する第1硫黄分除去制御実行手段(ECU2、図3のステップ21)と、第1硫黄分除去制御が終了したときに、劣化判定手段による触媒7の劣化判定を実行させる劣化判定実行手段(ECU2、図3のステップ15)と、劣化判定により触媒7が劣化していないと判定されたときに、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であると判定する高サルファ判定手段(ECU2、図3のステップ22)と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、排気通路に設けられた触媒によって排ガスが浄化される。また、触媒による排ガスの浄化能力に基づいて、触媒が劣化しているか否かを判定し、触媒が劣化していると判定されたときに、触媒に蓄積された硫黄分を除去するための第1硫黄分除去制御を実行する。その後、触媒の劣化判定を再度、実行する。
触媒が劣化しておらず、かつ被毒している場合、第1硫黄分除去制御の実行によって、触媒に蓄積された硫黄分が除去され、それにより、触媒の浄化能力は回復する。このため、第1硫黄分除去制御の実行後、触媒が劣化していないと判定されたときには、浄化能力の低下の原因が触媒の劣化ではなく、触媒の被毒によるものと特定し、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であると判定する。このように、高サルファ燃料であると判定された場合、そのことを前提として第1硫黄分除去制御を行うことによって、その実行頻度を最小限に抑制しながら、触媒の劣化判定を適切に行うことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の触媒7の劣化判定装置1において、高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、劣化判定手段による触媒7の劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段(ECU2、図3のステップ12,23,24)をさらに備えることを特徴とする。
高サルファ燃料の場合には、触媒に蓄積される硫黄分がより多いため、劣化判定の精度が低下する可能性が高くなる。本発明によれば、燃料が高サルファ燃料であると判定された場合には、触媒の劣化の判定を禁止するので、被毒による触媒の劣化の誤判定を回避することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の触媒7の劣化判定装置1において、燃料の消費量を算出する燃料消費量算出手段(ECU2)をさらに備え、劣化判定禁止手段は、算出された燃料消費量S_QINが所定の第1しきい値IREF1に達したときに、劣化判定を禁止することを特徴とする。
高サルファ燃料の場合には、燃料消費量が多くなるほど、触媒に蓄積される硫黄分がより多くなるため、劣化判定の精度が低下する可能性が高くなる。本発明によれば、燃料が高サルファ燃料であると判定された場合には、算出された燃料消費量が所定の第1しきい値に達したときに、触媒の劣化判定を禁止する。したがって、被毒による触媒の劣化判定の精度が低下する可能性が高いときに、劣化判定を禁止することで、その誤判定を確実に回避することができる。また、燃料消費量が所定の第1しきい値に達するまでは、触媒の劣化判定の実行を許容するので、判定精度を確保しながら、触媒の劣化判定を可能な限り、行うことができる。
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の触媒7の劣化判定装置1において、高サルファ燃料と判定された燃料が消費されたか否かを判定する燃料消費判定手段(ECU2、図3のステップ24)と、触媒7の劣化判定の禁止中、燃料消費判定手段により燃料が消費されたと判定されたときに、劣化判定を再開する劣化判定再開手段(ECU2、図3のステップ21,23,24)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、劣化判定の禁止中、高サルファ燃料と判定された燃料が消費されたと判定されたときに、触媒の劣化判定を再開する。このため、その燃料の消費が終了したタイミングで劣化判定を再開でき、被毒による触媒の劣化の誤判定を回避することができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の触媒7の劣化判定装置1において、燃料消費判定手段は、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1よりも大きな所定の第2しきい値IREF2に達したときに、燃料が消費されたと判定することを特徴とする。
この構成によれば、触媒の劣化判定の禁止中、燃料消費量が第1しきい値よりも大きな第2しきい値に達したときに、触媒の劣化判定を再開する。このため、第2しきい値として、それを超えれば高サルファ燃料が確実に消費されたと想定される値を用いることによって、高サルファ燃料が確実に消費されたタイミングで、劣化判定を再開することができる。
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の触媒7の劣化判定装置1において、燃料の給油が行われたか否かを判定する給油判定手段(ECU2、図6のステップ41)をさらに備え、燃料消費判定手段は、給油判定手段により燃料の給油が行われたと判定されたときに、燃料が消費されたと判定することを特徴とする。
この構成によれば、触媒の劣化判定の禁止中、燃料の給油が行われたと判定されたときに、触媒の劣化判定を再開する。燃料の給油が行われれば、それまで使用されていた燃料が消費されたと判定することができる。このため、燃料の給油に伴い、高サルファ燃料が確実に消費されたタイミングで、劣化判定を再開することができる。
請求項7に係る発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、劣化判定再開手段による触媒7の劣化判定の再開に先立ち、第1硫黄分除去制御を実行することを特徴とする。
この構成によれば、触媒の劣化判定の再開に先立ち、第1硫黄分除去制御を実行するので、それにより、触媒の被毒が確実に除去された状態で劣化判定を再開することができ、劣化判定を適切に行うことができる。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、内燃機関3の運転の進行に伴って触媒7に蓄積された硫黄分を除去するために、第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段(ECU2、図2のステップ7)をさらに備え、第1硫黄分除去制御の実行期間は、第2硫黄分除去制御の実行期間よりも長いことを特徴とする。
この構成によれば、内燃機関の運転の進行に伴って触媒に蓄積された硫黄分は、通常の第2硫黄分除去制御を実行することによって、除去される。また、触媒が劣化していると判定されたとき、または触媒の劣化判定の再開に先立って実行される第1硫黄分除去制御の実行期間を、第2硫黄分除去制御の実行期間より長く設定する。これにより、第1硫黄分除去制御がより長く実行されることによって、触媒の被毒を確実に除去することができるので、その後の触媒の劣化判定をより適切に行うことができる。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、内燃機関3の運転の進行に伴って触媒7に蓄積された硫黄分を除去するために、第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段(ECU2、図2のステップ7)をさらに備え、第1および第2硫黄分除去制御手段は、触媒7に流入する排ガスを還元雰囲気に制御し、第1硫黄分除去制御の実行中には、第2硫黄分除去制御の実行中よりも、排ガスの還元度合いを高くなるように制御することを特徴とする。
この構成によれば、第1および第2硫黄分除去制御を実行することによって、触媒に流入する排ガスが還元雰囲気に制御される。これにより、触媒に蓄積された硫黄分が還元され、除去される。また、第1硫黄分除去制御の実行中には、通常の第2硫黄分除去制御の実行中よりも、排ガスの還元度合いが高くなるように制御する。これにより、第1硫黄分除去制御の実行中には、触媒に蓄積された硫黄分がより多く除去されることによって、触媒の被毒を確実に除去することができるので、その後の触媒の劣化判定をより適切に行うことができる。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、内燃機関3の運転の進行に伴って触媒7に蓄積された硫黄分を除去するために、第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段(ECU2、図2のステップ7)をさらに備え、第1硫黄分除去制御の実行中には、第2硫黄分除去制御の実行中よりも、触媒7の温度を高くなるように制御することを特徴とする。
一般に、触媒の温度が高いほど、その活性度合いは高くなり、それに伴い、硫黄分の除去能力が高くなる。本発明によれば、第1硫黄分除去制御の実行中には、通常の第2硫黄分除去制御の実行中よりも、触媒の温度が高くなるように制御される。これにより、第1硫黄分除去制御の実行中には、触媒がより活性化した状態で触媒の被毒を確実に除去することができるので、その後の触媒の劣化判定をより適切に行うことができる。
請求項11に係る発明は、請求項8ないし10のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、第2硫黄分除去制御の実行周期を短く設定する第2硫黄分除去制御周期設定手段(ECU2、図2のステップ2,4)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、燃料が高サルファ燃料の場合には、触媒が早く被毒しやすいので、通常の第2硫黄分除去制御の実行周期を短くすることによって、触媒の被毒を適切なタイミングで除去することができる。これにより、触媒によるNOxの捕捉能力を維持することができ、排ガス特性を維持することができる。
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の触媒7の劣化判定装置1において、触媒7は、酸化雰囲気下で排ガス中のNOxを捕捉するように構成され、触媒7に捕捉されたNOxを還元するために、触媒7に流入する排ガスを還元雰囲気に制御する還元制御を実行する還元制御手段(ECU2、インジェクタ6)と、高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、還元制御の実行周期を短く設定する還元制御周期設定手段(ECU2、図4のステップ32,34)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、排ガス中のNOxは、酸化雰囲気下で触媒に捕捉され、捕捉されたNOxは、触媒に流入する排ガスを還元雰囲気に制御する還元制御を実行することによって、還元される。燃料が高サルファ燃料の場合には、触媒に蓄積される硫黄分がより多くなるため、触媒はより早く飽和状態になる。本発明によれば、高サルファ燃料と判定されたときには、還元制御の実行周期を短くするので、触媒が飽和状態になる前の適切なタイミングで還元制御を実行することができる。これにより、触媒の飽和によるNOxの通過を抑制でき、排ガス特性を維持することができる。
本実施形態による触媒の劣化判定装置、およびこれを適用した内燃機関を概略的に示す図である。 通常被毒除去制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態による劣化判定処理を示すフローチャートである。 リッチスパイク制御処理を示すフローチャートである。 触媒が正常で、かつ燃料が高サルファ燃料のときの動作例を示すタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態による劣化判定処理を示すフローチャートである。 給油判定処理を示すフローチャートである。 給油判定処理の変形例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による触媒の劣化判定装置1、およびこれを適用した内燃機関3を示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)3は、車両(図示せず)に搭載されたディーゼルエンジンである。
エンジン3のシリンダヘッド3aには、吸気管4および排気管5が接続されるとともに、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6が、燃焼室3bに臨むように取り付けられている。
このインジェクタ6は、燃焼室3bの天壁中央部に配置されており、燃料タンク(図示せず)の燃料を燃焼室3bに噴射する。インジェクタ6からの燃料噴射量QINJは、後述するECU2によって設定され、ECU2からの駆動信号により、設定した燃料噴射量QINJが得られるように、インジェクタ6の開弁時間が制御される。
エンジン3には、クランク角センサ10が設けられている。クランク角センサ10は、クランクシャフト3cの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号をECU2に出力する。CRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
吸気管4には、エアフローセンサ11が設けられている。このエアフローセンサ11は、エンジン3に吸入される吸入空気量GAIRを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
排気管5には、触媒7が設けられている。この触媒7は、例えばNOx触媒で構成されており、流入する排ガスが、酸素濃度が高い酸化雰囲気のときに、排ガス中のNOxを捕捉する。一方、排ガス中のHCやCOが多く、排ガスが、酸素濃度が低い還元雰囲気のときに、触媒7は、排ガス中の還元剤(未燃燃料)により、捕捉したNOxを還元することによって、排ガスを浄化する。触媒7には、その温度(以下「触媒温度」という)TCATを検出する触媒温度センサ14が設けられており、その検出信号はECU2に出力される。
また、排気管5には、触媒7の上流側および下流側に、上流側LAFセンサ12および下流側LAFセンサ13がそれぞれ設けられている。この上流側LAFセンサ12は、ジルコニアなどで構成されており、エンジン3に供給される混合気の空燃比がリッチ領域からリーン領域までの広範囲な領域において、触媒7よりも上流側における排ガス中の酸素濃度をリニアに検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。下流側LAFセンサ13も、上流側LAFセンサ12と同様、ジルコニアなどで構成されており、エンジン3に供給される混合気の空燃比がリッチ領域からリーン領域までの広範囲な領域において、触媒7よりも下流側における排ガス中の酸素濃度をリニアに検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、ECU2には、アクセル開度センサ15から、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、イグニッション・スイッチ16から、イグニッションキー(図示せず)のON/OFF状態を表す信号が、それぞれ出力される。
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェースなどから成るマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されており、前述した各種のセンサ10〜15からの検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別し、判別した運転状態に応じて、燃料噴射制御処理などの各種の制御処理を実行する。特に、ECU2は、後述するように、触媒7に蓄積されたSOx(硫黄分)を除去する通常の被毒除去制御(第2硫黄分除去制御)処理や、触媒7の劣化判定処理などを実行する。
なお、本実施形態では、ECU2が、劣化判定手段、第1硫黄分除去制御実行手段、劣化判定実行手段、高サルファ判定手段、劣化判定禁止手段、燃料消費量算出手段、燃料消費判定手段、劣化判定再開手段、給油判定手段、第2硫黄分除去制御実行手段、第2硫黄分除去制御周期設定手段、還元制御手段および還元制御周期設定手段に相当する。
図2は、通常被毒除去制御処理を示すフローチャートである。本処理は、所定時間ごとに実行される。本処理では、まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、SOx蓄積量S_QSOxを算出する。このSOx蓄積量S_QSOxは、触媒7に蓄積されているSOx量に相当し、以下のようにして算出される。まず、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、今回の処理サイクルにおいてエンジン3から排出されたSOx量を算出する。そして、このSOx量を、前回までのSOx蓄積量S_QSOxに加算することによって、今回までのSOx蓄積量S_QSOxを算出する。なお、要求トルクPMCMDは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
次に、高サルファ燃料フラグF_SHが「1」であるか否かを判別する(ステップ2)。この高サルファ燃料フラグF_SHは、後述するように、使用中の燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料と判定されたときに「1」にセットされるものである。
この判別結果がNOで、燃料が高サルファ燃料ではなく通常燃料のときには、しきい値QSREFを通常燃料用の所定値QSSに設定する(ステップ3)。
一方、ステップ2の判別結果がYESで、燃料が高サルファ燃料のときには、しきい値QSREFを高サルファ燃料用の所定値QSHに設定する(ステップ4)。この高サルファ燃料用の所定値QSHは、通常燃料用の所定値QSSよりも小さな値に設定されている。
ステップ3または4に続くステップ5では、SOx蓄積量S_QSOxがしきい値QSREF以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、触媒7に蓄積されているSOx量が少なく、触媒7が被毒していないため、それを除去するための通常被毒除去制御を実行しないものとし、そのことを表すために、通常被毒除去フラグF_SPURを「0」にセットし(ステップ6)、本処理を終了する。
一方、ステップ5の判別結果がYESのときには、触媒7が被毒しているため、これを除去するための通常被毒除去制御を実行するものとし、そのことを表すために、通常被毒除去フラグF_SPURを「1」にセットし(ステップ7)、本処理を終了する。なお、この通常被毒除去制御は、触媒温度TCATを所定温度以上の目標温度になるように制御した後、燃焼室3bに供給する燃料噴射量を増大させることにより、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の目標空燃比になるように制御し、排ガスを酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えることによって行われる。これにより、触媒7に蓄積していたSOxが還元され、硫黄分が除去される。また、この通常被毒除去制御は、所定時間、実行され、その終了時に、通常被毒除去フラグF_SPURは「0」にリセットされるとともに、SOx蓄積量S_QSOxは値0にリセットされる。
図3は、本発明の第1実施形態における、上述した触媒7の劣化判定処理を示すフローチャートである。本処理は、所定時間(例えば10msec)ごとに実行される。本処理では、まず、ステップ11において、判定用被毒除去フラグF_SPURLが前回と今回の間で「1」から「0」に変化したか否かを判別する。後述するように、この判定用被毒除去フラグF_SPURLは、判定用被毒除去制御(第1硫黄分除去制御)の実行中に「1」にセットされ、また、この判定用被毒除去制御は、触媒7の劣化判定に関連し、触媒7に蓄積されたSOxを除去するために、通常被毒除去制御とは別個に実行されるものである。この判別結果がYESで、判定用被毒除去フラグF_SPURLが「1」から「0」に変化しているとき、すなわち判定用被毒除去制御の終了直後のときには、後述する燃料消費量S_QINおよび高サルファ燃料フラグF_SHをともに「0」にリセットし(ステップ25)、本処理を終了する。
一方、ステップ11の判別結果がNOで、判定用被毒除去制御の終了直後でないときには、高サルファ燃料フラグF_SHが「1」であるか否かを判別する(ステップ12)。この判別結果がNOで、燃料が高サルファ燃料でなく通常燃料のときには、リッチスパイクフラグF_RICHが「1」であるか否かを判別する(ステップ13)。
このリッチスパイクフラグF_RICHは、後述するリッチスパイクの実行中に「1」にセットされるものである。図4は、このリッチスパイク制御処理を示すフローチャートである。本処理では、まず、ステップ31において、NOx捕捉量S_QNOxを算出する。このNOx捕捉量S_QNOxは、触媒7に捕捉されているNOx量に相当し、以下のようにして算出される。まず、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、今回の処理サイクルにおいてエンジン3から排出されたNOx量を算出する。そして、このNOx量を、前回までのNOx捕捉量S_QNOxに加算することによって、今回までのNOx捕捉量S_QNOxを算出する。
次に、高サルファ燃料フラグF_SHが「1」であるか否かを判別する(ステップ32)。この判別結果がNOのときには、しきい値QNREFを通常燃料用の所定値QNSに設定する(ステップ33)。一方、ステップ32の判別結果がYESで、燃料が高サルファ燃料のときには、しきい値QNREFを高サルファ燃料用の所定値QNHに設定する(ステップ34)。この高サルファ燃料用の所定値QNHは、通常燃料用の所定値QNSよりも小さな値に設定されている。
ステップ33または34に続くステップ35では、NOx捕捉量S_QNOxがしきい値QNREF以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、触媒7に捕捉されているNOx量が少なく、それを還元するためのリッチスパイクを実行しないものとし、そのことを表すために、リッチスパイクフラグF_RICHを「0」にセットし(ステップ36)、本処理を終了する。
一方、ステップ35の判別結果がYESで、NOx捕捉量S_QNOxがしきい値QNREF以上のときには、触媒7に捕捉されているNOxが比較的多いため、リッチスパイクを実行するものとし、そのことを表すために、リッチスパイクフラグF_RICHを「1」にセットし(ステップ37)、本処理を終了する。なお、このリッチスパイクは、燃焼室3bに供給する燃料噴射量を増大させることにより、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御し、排ガスを酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えることによって行われる。これにより、触媒7に捕捉されていたNOxが還元されるとともに、還元された無害な状態で大気中に放出される。また、このリッチスパイクは、所定時間、実行され、その終了後に、リッチスパイクフラグF_RICHは「0」にリセットされるとともに、NOx捕捉量S_QNOxは値0にリセットされる。
図3に戻り、前記ステップ13の判別結果がNOのとき、すなわちリッチスパイクの実行中でないときには、本処理をそのまま終了する。
一方、ステップ13の判別結果がYESで、リッチスパイクの実行中のときには、触媒7の酸素貯蔵能OSCを算出する(ステップ14)。この酸素貯蔵能OSCは、触媒7の酸素の貯蔵能力を表すものであり、触媒7の劣化が進むほど酸素を貯蔵する能力が低下することから、触媒7の劣化を表すパラメータとして用いられる。酸素貯蔵能OSCの算出方法は、本出願人が特願2008−154687号公報ですでに提案したものと同様であるので、以下、その算出方法を簡単に説明する。
まず、排ガスが還元雰囲気になった後に触媒7に流入した還元剤の総量を、第1還元剤量積算値sumkact1として算出する。また、触媒7を通過した排ガスが還元雰囲気に変化した後に触媒7をスリップした還元剤の総量を、第2還元剤量積算値sumkact2として算出する。さらに、第1当量比KACT1が定常状態に達した後に上流側LAFセンサ12で検出された触媒7の上流側における排ガス中の酸素濃度に基づいて、第1当量比平均値avekact1を算出する。同様に、第2当量比KACT2が定常状態に達した後に下流側LAFセンサ13で検出された触媒7の下流側における排ガス中の酸素濃度に基づいて、第2当量比平均値avekact2を算出する。そして、第1および第2還元剤量積算値sumkact1,2と第1および第2当量比平均値avekact1,2を用い、次式(1)に従って、酸素貯蔵能OSCを算出する。
OSC=(sumkact1/avekact1)-(sumkact2/avekact2) ・・・(1)
次に、酸素貯蔵能OSCが所定の判定値OSCJUDよりも大きいか否かを判別する(ステップ15)。この判別結果がNOのときには、燃料消費量S_QINが所定の第1しきい値IREF1(例えば10L)よりも大きいか否かを判別する(ステップ18)。この燃料消費量S_QINは、前述した判定用被毒除去制御が終了した以降に燃焼室3bに供給された燃料の総量であり、燃料消費量S_QINの前回値に燃料噴射量QINJを加算することによって算出される。このステップ18の判別結果がNOのときには、燃料消費量S_QINが少ない状態で、酸素貯蔵能OSCが低下しているため、その原因が触媒7の被毒によるものではないとして、触媒7が劣化していると判定し、そのことを表すために、劣化フラグF_CATNGを「1」にセットした(ステップ19)後、本処理を終了する。
一方、ステップ18の判別結果がYESで、燃料消費量S_QINが比較的多いときには、触媒7が劣化していると仮判定し、そのことを表すために、仮劣化フラグF_CATNGVを「1」にセットする(ステップ20)。
次に、判定用被毒除去制御を実行し(ステップ21)、本処理を終了する。この判定用被毒除去制御は、通常被毒除去制御と同様、触媒温度TCATを前記所定温度以上の前記目標温度になるように制御した後、空燃比を理論空燃比よりもリッチな前記目標空燃比になるように制御し、触媒7に流入する排ガスを酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えることによって行われる。また、この判定用被毒除去制御は、通常被毒除去制御よりも長い所定時間、実行されるとともに、その実行中には、判定用被毒除去フラグF_SPURLが「1」にセットされ、その終了後に、SOx蓄積量S_QSOxは値0にリセットされる。このように、判定用被毒除去制御が長い時間実行されることによって、触媒7にSOxが蓄積されている場合には、そのSOxが確実に除去される。
前記ステップ15の判別結果がYESのときには、仮劣化フラグF_CATNGVが「1」であるか否かを判別する(ステップ16)。この判別結果がNOのときには、判定用被毒除去制御が実行されることなく、高い酸素貯蔵能OSCが得られているため、触媒7が劣化しておらず正常であると判定し、そのことを表すために、劣化フラグF_CATNGを「0」にセットした(ステップ17)後、本処理を終了する。
一方、ステップ16の判別結果がYESのときには、低下していた酸素貯蔵能OSCが、判定用被毒除去制御の実行によって回復しているため、低下の原因が触媒7の被毒によるものであるとして、燃料が高サルファ燃料であると判定し、そのことを表すために、高サルファ燃料フラグF_SHを「1」にセットする(ステップ22)。その後、仮劣化フラグF_CATNGVを「0」にリセットし(ステップ26)、本処理を終了する。
上記のステップ22が実行されると、前記ステップ12の判別結果がYESになり、その場合には、燃料消費量S_QINが前記第1しきい値IREF1よりも大きいか否かを判別する(ステップ23)。この判別結果がNOのときには、前記ステップ13以降を実行し、本処理を終了する。
一方、ステップ23の判別結果がYESで、S_QIN>IREF1のときには、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1よりも大きな所定の第2しきい値IREF2(例えば50L)よりも大きいか否かを判別する(ステップ24)。この判別結果がNOで、IREF1<S_QIN≦IREF2のときには、触媒7の劣化判定を行うことなく、本処理をそのまま終了する。このように、IREF1<S_QIN≦IREF2のときには、触媒7の劣化判定が禁止される。
また、ステップ24の判別結果がYESで、S_QIN>IREF2のときには、給油が行われ、燃料タンク内の燃料が消費されたとして、前記ステップ21に進み、判定用被毒除去制御を実行した後、本処理を終了する。これにより、判定用被毒除去制御の終了後、高サルファ燃料フラグF_SHがリセットされることで、前記ステップ12の判別結果がNOになり、触媒7の劣化判定が再開される。
なお、上述した劣化判定処理において、例えば仮劣化フラグF_CATNGVが「1」にセットされた状態で、イグニッション・スイッチ16がOFFになり、エンジン3の運転が停止された場合には、その時点で設定されていたフラグ類や燃料消費量S_QINなどの値がEEPROMに記憶され、次回の運転サイクルでは、これらの値を初期値として用い、劣化判定処理が引き続き行われる。
図5は、触媒7が正常で、かつ燃料が高サルファ燃料の場合に、これまでに説明した制御処理によって得られる動作例を示している。同図中の「IG」はイグニッション・スイッチ16のON/OFF状態を表す。この例では、タイミングt1において、判定用被毒除去制御が終了するものとする。それに伴い、燃料消費量S_QINが「0」にリセットされる(図3のステップ25)とともに、判定用被毒除去制御の実行により、触媒7の酸素貯蔵能OSCが回復している。
この状態からエンジン3の運転が進むと、高サルファ燃料中の硫黄分が触媒7に蓄積することによって、酸素貯蔵能OSCが徐々に低下する。また、エンジン3の運転中、図2の通常被毒除去制御処理により、SOx蓄積量S_QSOxがそのしきい値QSREFに達する(ステップ5:YES)ごとに、通常被毒除去制御が実行される。また、図4のリッチスパイク制御処理により、NOx捕捉量S_QNOxがそのしきい値QNREFに達する(ステップ35:YES)ごとに、リッチスパイクが実行されるとともに、その実行中、酸素貯蔵能OSCに基づく触媒7の劣化判定が行われる。
酸素貯蔵能OSCが判定値OSCJUD以下になる(t2)までは、図3のステップ15の判別結果がYESになることで、触媒7は正常と判定される。一方、タイミングt2以後において触媒7の劣化判定が行われると(t3)、ステップ15の判別結果がNOになるとともに、この時点では燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1を超えているため、ステップ18の判別結果がYESになり、それに応じて、仮劣化フラグF_CATNGVが「1」にセットされる(ステップ20)とともに、判定用被毒除去制御が実行される(ステップ21)。前述したように、この判定用被毒除去制御は、通常被毒除去制御よりも長い所定時間にわたって実行され、それにより、低下していた酸素貯蔵能OSCが十分に回復する。また、判定用被毒除去制御の終了時(t4)に、燃料消費量S_QINが「0」にリセットされる(ステップ25)。
その後、触媒7の劣化判定が行われると(t5)、酸素貯蔵能OSCが回復しているため、ステップ15の判別結果がYESになるとともに、仮劣化フラグF_CATNGVが「1」にセットされていることで、ステップ16の判別結果がYESになる。その結果、燃料が高サルファ燃料と判定され、高サルファ燃料フラグF_SHが「1」にセットされる(ステップ22)とともに、仮劣化フラグF_CATNGVが「0」にリセットされる(ステップ26)。
このように燃料が高サルファ燃料と判定されると、ステップ12の判別結果がYESになり、その後の動作は、燃料消費量S_QINに応じて定まる。すなわち、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1を超える(t6)までは、ステップ23の判別結果がNOになることで、ステップ13以降において、触媒7の劣化判定が行われる。
また、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1を超えた後、第2しきい値IREF2を超える(t7)までは、ステップ24の判別結果がNOになることで、図3の処理がそのまま終了され、すなわち、触媒7の劣化判定が禁止される。
その後、燃料消費量S_QINが第2しきい値IREF2を超えると(t7)、判定用被毒除去制御が再び実行される(ステップ21)。この判定用被毒除去制御により、酸素貯蔵能OSCが回復するとともに、その終了時(t8)に、燃料消費量S_QINおよび高サルファ燃料フラグF_SHがそれぞれ「0」にリセットされる(ステップ25)。
その後は、ステップ12の判別結果がNOになることで、ステップ13以降の処理が実行されることによって、触媒7の劣化判定が再開される。
以上のように、燃料が高サルファ燃料と判定されたときには、図5に示すように、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1を超えてから判定用被毒除去制御が終了するまでの期間(t6−t8間)が、劣化判定の禁止期間として設定される。この禁止期間内では、触媒7の劣化判定が禁止され、したがって、その判定結果に応じた仮劣化判定に伴う判定用被毒除去制御も行われない。なお、この禁止期間においても、通常被毒除去制御およびリッチスパイクは、図2および図4の処理によって実行される。
以上のように、本実施形態によれば、触媒7が劣化していると判定されたときに、判定用被毒除去制御を実行し、その後、触媒7が劣化していないと判定されたときに、燃料が高サルファ燃料と判定する。そして、高サルファ燃料と判定されたときには、燃料消費量S_QINJが第1しきい値IREF1を超えてから判定用被毒除去制御が終了するまでの禁止期間において劣化判定を禁止するので、被毒による触媒7の劣化の誤判定を回避することができ、その劣化判定を適切に行うことができる。また、そのように劣化判定が禁止されることで、その判定結果に応じた判定用被毒除去制御も実行されないので、その実行頻度を最小限に抑制でき、それにより、燃費を向上させることができる。
さらに、燃料が高サルファ燃料と判定されたときでも、燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1に達するまでは、触媒7の劣化判定の実行を許容するので、判定精度を確保しながら、触媒7の劣化判定を可能な限り行うことができる。また、燃料消費量S_QINが第2しきい値IREF2に達したときに、触媒7の劣化判定を再開するので、高サルファ燃料の消費が終了したタイミングで、劣化判定を再開することができ、触媒7の誤判定を回避することができる。
さらに、触媒7の劣化判定の再開に先立ち、判定用被毒除去制御を実行するので、触媒7の被毒が確実に除去された状態で劣化判定を再開することができる。
また、判定用被毒除去制御を、通常被毒除去制御よりも長い所定時間にわたって実行するので、触媒7の被毒を確実に除去でき、その後の触媒7の劣化判定をより適切に行うことができる。
さらに、燃料が高サルファ燃料のときには、通常被毒除去制御を実行するか否かを判定するためのしきい値QSREFとして、より小さな所定値QSHを用いる(ステップ2〜4)ので、SOx蓄積量S_QSOxがより早くしきい値QSREFに達することによって、通常被毒除去制御の実行周期が短くなり、触媒7の被毒を適切なタイミングで除去することができる。これにより、触媒7によるNOxの捕捉能力を維持でき、排ガス特性を維持することができる。
また、高サルファ燃料のときには、リッチスパイクを実行するか否かを判定するためのしきい値QNREFとして、より小さな所定値QNHを用いる(ステップ32〜34)ので、リッチスパイクの実行周期が短くなり、触媒7が飽和状態にる前の適切なタイミングでリッチスパイクを実行することができる。これにより、触媒7の飽和によるNOxの通過を抑制でき、排ガス特性を維持することができる。
図6は、本発明の第2実施形態による劣化判定処理のフローチャートである。この第2実施形態は、第1実施形態では、触媒7の劣化判定を再開するための条件として、燃料消費量S_QINを用いているのに対し、給油の実行の有無を用いる点が主として異なる。
具体的には、図3の処理のステップ24に代えて、ステップ41が実行される。このステップ41では、燃料消費フラグF_EXFが「1」であるか否かを判別する。この燃料消費フラグF_EXFは、後述する給油判定処理において、給油に伴って燃料が消費されたと判定されたときに「1」にセットされるものである。この判別結果がNOのときには、給油が行われておらず、燃料タンク内の燃料が消費されていないとして、触媒7の劣化判定を行うことなく、本処理をそのまま終了する。これにより、触媒7の劣化判定が禁止される。
一方、ステップ41の判別結果がYESのときには、給油が行われ、燃料タンク内の燃料が消費されたとして、前記ステップ21に進み、判定用被毒除去制御を実行した後、燃料消費フラグF_EXFを「0」にセットし(ステップ42)、本処理を終了する。これにより、判定用被毒除去制御の終了後、高サルファ燃料フラグF_SHがリセットされることで、前記ステップ12の判別結果がNOになり、触媒7の劣化判定が再開される。
図7は、給油判定処理のフローチャートである。本処理は、所定時間ごとに実行される。本処理では、まずステップ51において、給油フラグF_REFUELが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、アップカウント式のタイマ(図示せず)のタイマ値TMが所定時間TMREF(例えば5分)以上であるか否かを判別する(ステップ52)。この判別結果がNOのときには、燃料レベルLEVELFの平均値LVFAVEを算出し(ステップ53)、本処理を終了する。この燃料レベルLEVELFは、燃料タンク内の燃料量を表し、燃料レベルセンサ17(図1参照)によって検出される。
一方、前記ステップ52の判別結果がYESで、TM≧TMREFのときには、平均値LVFAVEとその前回値LVFAVEZとの差(=LVFAVE−LVFAVEZ)が所定値FREFよりも大きいか否かを判別する(ステップ54)。この判別結果がNOで、LVFAVE−LVFAVEZ≦FREFのときには、給油が行われていないとして、後述するステップ57に直接、進む。一方、ステップ54の判別結果がYESで、平均値LVFAVEが今回と前回の間で大きく変化しているときには、給油が行われた直後であるとして、給油後燃料消費量S_QINFを「0」にリセットする(ステップ55)。この給油後燃料消費量S_QINFは、給油が行われた以後に燃焼室3bに供給された燃料の総量を表し、給油後の燃料噴射量QINJの積算値として算出される。
次に、給油が行われたことを表すために、給油フラグF_REFUELを「1」にセットする(ステップ56)。そして、平均値LVFAVEを前回値LVFAVEZにシフトした(ステップ57)後、タイマ値TMを値0にリセットし(ステップ58)、本処理を終了する。
前記ステップ56が実行された後には、前記ステップ51の判別結果がYESになり、その場合には、前述した給油後燃料消費量S_QINFが所定量QREFよりも大きいか否かを判別する(ステップ59)。この判別結果がNOのときには、燃料タンクとインジェクタ6とを接続する通路(図示せず)内などに、給油前の高サルファ燃料が残留しているおそれがあるため、燃料消費フラグF_EXFを「0」にセットし(ステップ60)、本処理を終了する。
一方、ステップ59の判別結果がYESで、S_QINF>QREFのときには、上記通路などに残留した高サルファ燃料が確実に消費されたとして、燃料消費フラグF_EXFを「1」にセットする(ステップ61)とともに、給油フラグF_REFUELを「0」にセットし(ステップ62)、本処理を終了する。
以上のように、第2実施形態によれば、燃料レベルLEVELFの平均値LVFAVEが今回と前回の間で大きく変化したときに、触媒7の劣化判定を再開するので、給油に伴い、高サルファ燃料が消費されたタイミングで、劣化判定を再開することができ、その誤判定を回避することができる。また、給油後には、給油後燃料消費量S_QINFが所定量QREFを上回るのを待って、触媒7の劣化判定を再開するので、通路などに残留した高サルファ燃料が確実に消費された適切なタイミングで触媒7の劣化判定を再開することができる。
図8は、給油判定処理の変形例を示している。本処理では、まずステップ71において、給油フラグF_REFUELが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、フィラーキャップスイッチ18(図1参照)がONされたか否かを判別する(ステップ72)。このフィラーキャップスイッチ18は、燃料タンクの給油口を開閉するフィラーキャップ(いずれも図示せず)が開放されているときに、ON信号を出力するものである。このステップ72の判別結果がNOのときには、本処理をそのまま終了する。一方、ステップ72の判別結果がYESのときには、給油口が開放され、給油が行われたとして、給油後燃料消費量S_QINFを「0」にリセットする(ステップ73)とともに、給油フラグF_REFUELを「1」にセットした(ステップ74)後、ステップ75に進む。
また、ステップ74が実行された後には、前記ステップ71の判別結果がYESになり、その場合には、ステップ75に直接、進む。
このステップ75では、前述した図7のステップ59と同様、給油後燃料消費量S_QINFが所定量QREFよりも大きいか否かを判別し、この判別結果がNOのときには、燃料消費フラグF_EXFを「0」にセットした(ステップ76)後、本処理を終する。一方、ステップ75の判別結果がYESのときには、燃料消費フラグF_EXFを「1」にセットする(ステップ77)とともに、給油フラグF_REFUELを「0」にセットした(ステップ78)後、本処理を終了する。
以上のように、この変形例によれば、給油口が開放されたときに給油が行われたと判定し、それに伴い、触媒7の劣化判定を再開するので、その誤判定を回避することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、触媒7はNOx触媒であるが、排ガスが酸化雰囲気のときに排ガス中のNOxを捕捉し、捕捉したNOxを還元雰囲気のときに還元するとともに、排ガスを浄化するタイプの触媒であれば、他の任意の触媒、例えば三元触媒を用いてもよい。また、実施形態では、浄化能力を表すパラメータとして、酸素貯蔵能OSCを用いているが、適当な他の任意のパラメータを用いてもよい。
また、実施形態では、判定用被毒除去制御において、触媒7に蓄積しているSOxを確実に除去するために、その実行期間を、通常被毒除去制御の実行期間よりも長く設定しているが、これに代えて、他の手法を採用してもよい。例えば、判定用被毒除去制御における目標空燃比を通常被毒除去制御のそれよりもリッチ側に設定し、それにより、排ガスの還元度合いを高めるようにしてもよい。あるいは、判定用被毒除去制御における目標温度を通常被毒除去制御のそれよりも高く設定し、それにより、触媒の活性度合いを高めるようにしてもよい。
さらに、実施形態では、リッチスパイクを、燃焼室3bに供給する燃料量を増大させることによって行っているが、排気管5の触媒7よりも上流側に直接、燃料を供給することによって行ってもよい。また、この場合、燃料に代えて他の還元剤、例えば尿素などを用いてもよい。
また、実施形態では、燃料が高サルファ燃料のときに、触媒7の劣化判定を許容または禁止するかを判定するためのしきい値(ステップ23)と、触媒7が劣化していると仮判定するか否かを判定するためのしきい値(ステップ18)を、同じ第1しきい値IREF1に設定しているが、これらを互いに異なる値に設定してもよい。
さらに、実施形態では、触媒7の劣化判定を、高サルファ燃料と判定された後、燃料の燃料消費量S_QINが第1しきい値IREF1に達したときに禁止しているが、高サルファ燃料と判定されたときに直ちに、禁止してもよい。
さらには、実施形態は、本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ディーゼルエンジン以外のガソリンエンジンなどの各種のエンジンに適用してもよく、また、車両用以外のエンジン、例えば、クランク軸を鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 劣化判定装置
2 ECU(劣化判定手段、第1硫黄分除去制御実行手段、劣化判定実行手段、高サル
ファ判定手段、劣化判定禁止手段、燃料消費量算出手段、燃料消費判定手段、劣化
判定再開手段、給油判定手段、第2硫黄分除去制御実行手段、第2硫黄分除去制御
周期設定手段、還元制御手段および還元制御周期設定手段)
3 エンジン
5 排気管(排気通路)
6 インジェクタ(還元制御手段)
7 触媒
OSC 酸素貯蔵能(触媒による排ガスの浄化能力)
S_QIN 燃料消費量
IREF1 第1しきい値
IREF2 第2しきい値

Claims (12)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関から排出された排ガスを浄化する触媒の劣化判定装置であって、
    前記触媒による排ガスの浄化能力に基づいて、当該触媒が劣化しているか否かを判定する劣化判定手段と、
    当該劣化判定手段により前記触媒が劣化していると判定されたときに、当該触媒に蓄積された硫黄分を除去するための第1硫黄分除去制御を実行する第1硫黄分除去制御実行手段と、
    当該第1硫黄分除去制御が終了したときに、前記劣化判定手段による前記触媒の劣化判定を実行させる劣化判定実行手段と、
    当該劣化判定により前記触媒が劣化していないと判定されたときに、燃料が硫黄分を多く含む高サルファ燃料であると判定する高サルファ判定手段と、
    を備えることを特徴とする触媒の劣化判定装置。
  2. 前記高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、前記劣化判定手段による前記触媒の劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の触媒の劣化判定装置。
  3. 燃料の消費量を算出する燃料消費量算出手段をさらに備え、
    前記劣化判定禁止手段は、前記算出された燃料消費量が所定の第1しきい値に達したときに、前記劣化判定を禁止することを特徴とする、請求項2に記載の触媒の劣化判定装置。
  4. 前記高サルファ燃料と判定された燃料が消費されたか否かを判定する燃料消費判定手段と、
    前記触媒の劣化判定の禁止中、前記燃料消費判定手段により燃料が消費されたと判定されたときに、前記劣化判定を再開する劣化判定再開手段と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項2または3に記載の触媒の劣化判定装置。
  5. 前記燃料消費判定手段は、前記燃料消費量が前記第1しきい値よりも大きな所定の第2しきい値に達したときに、前記燃料が消費されたと判定することを特徴とする、請求項4に記載の触媒の劣化判定装置。
  6. 燃料の給油が行われたか否かを判定する給油判定手段をさらに備え、
    前記燃料消費判定手段は、前記給油判定手段により燃料の給油が行われたと判定されたときに、前記燃料が消費されたと判定することを特徴とする、請求項4に記載の触媒の劣化判定装置。
  7. 前記劣化判定再開手段による前記触媒の劣化判定の再開に先立ち、前記第1硫黄分除去制御を実行することを特徴とする、請求項4ないし6のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
  8. 前記内燃機関の運転の進行に伴って前記触媒に蓄積された硫黄分を除去するために、前記第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段をさらに備え、
    前記第1硫黄分除去制御の実行期間は、前記第2硫黄分除去制御の実行期間よりも長いことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
  9. 前記内燃機関の運転の進行に伴って前記触媒に蓄積された硫黄分を除去するために、前記第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段をさらに備え、
    前記第1および第2硫黄分除去制御手段は、前記触媒に流入する排ガスを還元雰囲気に制御し、
    前記第1硫黄分除去制御の実行中には、前記第2硫黄分除去制御の実行中よりも、排ガスの還元度合いを高くなるように制御することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
  10. 前記内燃機関の運転の進行に伴って前記触媒に蓄積された硫黄分を除去するために、前記第1硫黄分除去制御とは別個に第2硫黄分除去制御を実行する第2硫黄分除去制御実行手段をさらに備え、
    前記第1硫黄分除去制御の実行中には、前記第2硫黄分除去制御の実行中よりも、前記触媒の温度を高くなるように制御することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
  11. 前記高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、前記第2硫黄分除去制御の実行周期を短く設定する第2硫黄分除去制御周期設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
  12. 前記触媒は、酸化雰囲気下で排ガス中のNOxを捕捉するように構成され、
    当該触媒に捕捉されたNOxを還元するために、当該触媒に流入する排ガスを還元雰囲気に制御する還元制御を実行する還元制御手段と、
    前記高サルファ判定手段により燃料が高サルファ燃料であると判定されたときに、前記還元制御の実行周期を短く設定する還元制御周期設定手段と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の触媒の劣化判定装置。
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