JP5308870B2 - 触媒の劣化判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気通路に設けられ、排ガスを浄化するための触媒の劣化を判定する触媒の劣化判定装置に関する。
従来の触媒の劣化判定装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この劣化判定装置は、酸素貯蔵能力を有するNOx触媒や三元触媒などの触媒の劣化を判定するものである。触媒の上流側および下流側には、排ガスの空燃比を検出する上流側空燃比センサおよび下流側空燃比センサが、それぞれ設けられている。
劣化判定を行う際には、まず、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンな状態からリッチな状態に切り換えることにより、触媒に捕捉されていた酸素を放出させる。この空燃比のリッチ化制御中に、上流側空燃比センサおよび下流側空燃比センサで所定の周期ごとに検出された多数の上流側空燃比および下流側空燃比を用い、所定の劣化触媒モデルのモデルパラメータを最小二乗法により同定する。この劣化触媒モデルは、Y=β・Xで表され、Xは上流側空燃比、Yは下流側空燃比およびβはモデルパラメータである。そして、このモデルパラメータβを同定することによって得られた同定パラメータβminが判定値よりも小さいときに、上流側空燃比に対する下流側空燃比の遅れが小さいとして、触媒が劣化していると判定される。
特開2007−292014号公報
しかし、上述した従来の劣化判定装置では、劣化触媒モデルを設定し、検出された多数の上流側空燃比および下流側空燃比を用い、モデルパラメータを最小二乗法により同定することが必要であるため、その演算処理が煩雑であるとともに、演算負荷が大きくなってしまう。このため、触媒の劣化判定を簡便に行うことができない。
また、上記の劣化判定装置では、多数の上流側空燃比および下流側空燃比のサンプリングが、上流側空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化した後の全領域にわたって行われる。このため、サンプリングされた上流側空燃比および下流側空燃比の中には、上流側空燃比が大きく変化している状態でサンプリングされたものも含まれてしまうため、同定パラメータが上流側空燃比に対する下流側空燃比の遅れを必ずしも適正に表さない。その結果、正確な触媒の劣化判定を行えず、その精度が低下し、誤判定による不必要な触媒の交換が行われるおそれがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、触媒に流入する排ガスの実際の状態に応じた最適なタイミングで検出された、上流側および下流側空燃比パラメータに基づいて、触媒の劣化を精度良く簡便に判定することができる触媒の劣化判定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関3の排気通路(実施形態における(以下、本項において同じ)排気管5)に設けられ、内燃機関3の排ガスが酸化雰囲気のときに排ガス中の酸素を貯蔵する酸素貯蔵能力を有し、貯蔵した酸素を排ガスが還元雰囲気のときに放出するとともに、排ガスを浄化する触媒7の劣化を判定する触媒7の劣化判定装置1であって、排気通路の触媒7よりも上流側における排ガスの空燃比を表す上流側空燃比パラメータ(上流側排ガス空燃比AFEX1)を検出する上流側空燃比パラメータセンサ(上流側LAFセンサ12)と、排気通路の触媒7よりも下流側における排ガスの空燃比を表す下流側空燃比パラメータ(下流側排ガス空燃比AFEX2)を検出する下流側空燃比パラメータセンサ(下流側LAFセンサ13)と、上流側空燃比パラメータセンサ12を通って触媒7に流入する排ガスを、酸化雰囲気と還元雰囲気との間で切り換えて制御する制御手段(ECU2)と、制御手段により排ガスが酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられた後、検出された上流側空燃比パラメータの変化量(上流側空燃比変化量ΔAFEX1)を算出する変化量算出手段(ECU2、図2のステップ4)と、排ガスが酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられた後、上流側空燃比パラメータが排ガスの還元雰囲気に相当する所定の範囲内にあり、かつ算出された上流側空燃比パラメータの変化量が所定値ΔAFREF以下に達したタイミングで検出された上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとの乖離度合を表す値(空燃比偏差DAFEX12)を、判定値DAF12と比較することによって、触媒7の劣化を判定する劣化判定手段(ECU2、ステップ9〜11)と、を備えることを特徴とする。
この触媒の劣化判定装置によれば、排気通路の触媒よりも上流側および下流側における、排ガスの空燃比をそれぞれ表す上流側空燃比パラメータおよび下流側空燃比パラメータが、上流側空燃比パラメータセンサおよび下流側空燃比パラメータセンサによってそれぞれ検出される。また、触媒に流入する排ガスが、制御手段によって、酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられた後において検出された、上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとの乖離度合を表す値を判定値と比較することにより、触媒の劣化を判定する。
触媒に流入する排ガスが酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられると、触媒の上流側における排ガスの空燃比は、すぐにリッチ側に変化する。一方、触媒の下流側における排ガスの空燃比は、排ガスが酸化雰囲気のときに貯蔵されていた酸素が触媒から放出され、排ガス中の還元剤を酸化するのに消費されるため、すぐにはリッチ側に変化せず、上流側の空燃比に対して遅れをもって変化する。また、触媒が劣化すると、触媒の酸素貯蔵能力が低下し、それに応じて触媒に貯蔵される酸素量が減少するため、上流側の空燃比に対する下流側の空燃比の遅れは小さくなる。以上から、排ガスの還元雰囲気への切り換え後に検出された上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとの乖離度合を表す値を、判定値と比較することによって、触媒の劣化を判定することができる。
また、この触媒の劣化判定装置によれば、排ガスが酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられた後、上流側空燃比パラメータの変化量を算出するとともに、上流側空燃比パラメータが排ガスの還元雰囲気に相当する所定の判定値の範囲内にあり、かつ算出された上流側空燃比パラメータの変化量が所定値以下に達したタイミングで検出された上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとを用いて上記の判定が行われる。このため、触媒に流入する排ガスが還元雰囲気に確実に切り換わり、かつその状態で十分に安定し、しかも、上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとの乖離度合が比較的大きな最適なタイミングで検出された上流側および下流側空燃比パラメータを用いて、触媒の劣化を精度良く判定することができる。
また、判定に際し、上述した1つのタイミングで検出された上流側および下流側空燃比パラメータを用いるだけでよいので、従来のような複雑な演算処理を行うことなく、触媒の劣化判定を簡便に行うことができる。
本実施形態による触媒の劣化判定装置を、これを適用した内燃機関とともに概略的に示す図である。 劣化判定処理を示すフローチャートである。 硫黄被毒量を算出するためのテーブルである。 劣化判定用の判定値を設定するためのテーブルである。 劣化判定処理によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による触媒の劣化判定装置1、およびこれを適用した内燃機関3を示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)3は、車両(図示せず)に搭載されたディーゼルエンジンである。
エンジン3のシリンダヘッド3aには、吸気管4および排気管5が接続されるとともに、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6が、燃焼室3bに臨むように取り付けられている。このインジェクタ6は、燃焼室3bの天壁の中央に配置されており、燃料タンク(図示せず)の燃料を燃焼室3bに噴射する。インジェクタ6から噴射される燃料噴射量QINJは、後述するECU2によって設定され、ECU2からの駆動信号により、インジェクタ6の開弁時間が制御されることによって、制御される。
排気管5には、NOx触媒で構成された触媒7が設けられている。この触媒7は、流入する排ガスがその酸素濃度が高い酸化雰囲気のときには、排ガス中のNOxを捕捉するとともに、排ガス中の酸素を貯蔵する酸素貯蔵能力を有している。また、触媒7は、還元雰囲気の排ガスが流入したときには、貯蔵していた酸素を放出するとともに、捕捉したNOxを還元させることによって、排ガスを浄化する。
また、排気管5には、触媒7の上流側および下流側に、上流側LAFセンサ12および下流側LAFセンサ13がそれぞれ設けられている。これらのLAFセンサ12、13は、ジルコニアなどで構成されており、エンジン3に供給される混合気の空燃比がリッチ領域からリーン領域までの広範囲な領域において、排ガスの酸素濃度をリニアに検出する。上流側LAFセンサ12は、触媒7の上流側における排ガスの酸素濃度を検出し、下流側LAFセンサ13は、触媒7の下流側における排ガスの酸素濃度を検出し、それらの検出信号をECU2に出力する。
ECU2は、上流側LAFセンサ12の検出信号に基づいて、触媒7の上流側における排ガスの空燃比(以下「上流側排ガス空燃比」という)AFEX1を検出する。ここで、「排ガスの空燃比」とは、排ガス中の空気と可燃性気体の重量比をいう。このため、排ガスの空燃比は、排ガスが酸化雰囲気のときには大きくなり、還元雰囲気のときには小さくなる。同様に、ECU2は、下流側LAFセンサ13の検出信号に基づいて、触媒7の下流側における排ガスの空燃比(以下「下流側排ガス空燃比」という)AFEX2を検出する。
また、ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェースなどから成るマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。前述した各種のセンサ12,13からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。また、ECU2は、これらの入力信号に応じ、ROMに記録された制御プログラムなどに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じて、インジェクタ6の燃料噴射量QINJの制御や、触媒7の劣化を判定する劣化判定処理を実行する。
また、ECU2は、触媒7の硫黄被毒量QSを、後述するようにして算出するとともに、算出した硫黄被毒量QSが所定量に達したときに、触媒7から硫黄分を除去するために硫黄除去処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、制御手段、劣化判定手段、硫黄被毒量算出手段および判定値設定手段に相当する。
図2は、上述した触媒7の劣化判定処理を示すフローチャートである。本処理は、所定時間ごとに実行される。また、この劣化判定処理を実行するに際し、次のようなエンジン3の混合気の空燃比制御が行われる。すなわち、エンジン3では、ECU2による燃料噴射量制御により、通常、混合気の空燃比が、理論空燃比よりもリーン側に制御されており、それにより、排ガスは酸化雰囲気に制御されている。劣化判定処理を実行する際には、この状態から、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御することで、排ガスを還元雰囲気に切り換える。以下、このように劣化判定処理のために排ガスを還元雰囲気に切り換える制御を「排ガス還元制御」という。また、劣化判定処理は、エンジン3が安定した所定の運転状態にあり、かつ、ECU2および各種のセンサ12,13が正常であることを条件として実行される。
まず、図2のステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、還元制御フラグF_JUDが「1」であるか否かを判別する。この還元制御フラグF_JUDは、排ガス還元制御中に「1」にセットされるものである。このステップ1の答がNOで、排ガス還元制御中でないときには、燃料消費量積算値SQFを算出し(ステップ2)、本処理を終了する。なお、この燃料消費量積算値SQFは、燃料噴射量QINJを積算した燃料噴射量積算値に等しい値として算出される。なお、前述した触媒7の硫黄除去処理が実行された場合には、燃料消費量積算値SQFは「0」にリセットされる。
ステップ1の答がYESで、排ガス還元制御中のときには、上流側排ガス空燃比AFEX1が所定値AFREFよりも小さいか否かを判別する(ステップ3)。この所定値AFREFは、混合気の理論空燃比に相当する排ガスの空燃比よりもリッチ側に、すなわち、還元雰囲気に相当する値に設定されている。このステップ3の答がNOで、AFEX1≧AFREFのときには、触媒7に流入する排ガスが確実に還元雰囲気に切り換わっていないとして、触媒7の劣化判定は行わず、前記ステップ2を実行した後、本処理を終了する。
ステップ3の答がYESで、上流側排ガス空燃比AFEX1が所定値AFREFよりも小さいときには、上流側排ガス空燃比の前回値AFEX1(n−1)と今回値AFEX1(n)との差(AFEX1(n−1)−AFEX1(n))を、上流側空燃比変化量ΔAFEX1として算出する(ステップ4)。
次に、上記ステップ4で算出された上流側空燃比変化量ΔAFEX1が、所定値ΔAFREF以下であるか否かを判別する(ステップ5)。このステップ5の答がNOで、ΔAFEX1>ΔAFREFのときには、触媒7に流入する排ガスの空燃比が十分に安定していないとして、触媒7の劣化判定は行わず、前記ステップ2を実行した後、本処理を終了する。
ステップ5の答がYESで、上流側空燃比変化量ΔAFEX1が所定値ΔAFREF以下のときには、前記ステップ2で算出された燃料消費量積算値SQFに応じ、図3に示すテーブルを検索することによって、触媒7の硫黄被毒量QSを算出する(ステップ6)。このテーブルでは、硫黄被毒量QSは、燃料消費量積算値SQFに比例するように設定されている。
次に、ステップ6で算出された硫黄被毒量QSに応じ、図4に示すテーブルを検索することによって、触媒7の劣化を判定するための判定値DAF12を設定する(ステップ7)。このテーブルでは、判定値DAF12は、触媒7の硫黄被毒量QSが大きいほど、より大きくなるようにリニアに設定されている。これは、硫黄被毒量QSが大きいほど触媒7の酸素貯蔵能力が高くなることが確認されているため、それに応じた判定値DAF12を適切に設定するためである。また、このように硫黄被毒量QSが大きいほど触媒7の酸素貯蔵能力が高くなるのは、硫黄分が触媒7の表面に硫酸根という形態で化学吸着することによって、硫酸根中の酸素が出入りしやすい化学状態になっているためと推定される。
次のステップ8では、下流側排ガス空燃比AFEX2と上流側排ガス空燃比AFEX1との差(AFEX2−AFEX1)を、空燃比偏差DAFEX12として算出する。次に、この空燃比偏差DAFEX12が、ステップ7で設定された判定値DAF12よりも大きいか否かを判別する(ステップ9)。
この答がYESで、DAFEX12>DAF12のときには、触媒7に貯蔵されていた酸素の量が十分に大きいと推定されるため、触媒7が劣化していないと判定するとともに、そのことを表すために、触媒劣化フラグF_CATNGを「0」にセットし(ステップ10)、本処理を終了する。一方、上記ステップ9の答がNOで、DAFEX12≦DAF12のときには、触媒7に貯蔵されていた酸素の量が小さいと推定されるため、触媒7が劣化していると判定するとともに、そのことを表すために、触媒劣化フラグF_CATNGを「1」にセットし(ステップ11)、本処理を終了する。
図5は、これまでに説明した触媒7の劣化判定処理によって得られる動作例を示している。同図の実線および一点鎖線は、排ガス還元制御が行われたときの、上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2の推移をそれぞれ示す。同図に示すように、時点t1の前においては、触媒7の劣化判定の条件が成立していないため、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御するリーン運転が行われている。このため、排ガスは酸化雰囲気に制御され、上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2は、混合気の空燃比に対応した大きな値になっている。
その後、触媒7の劣化判定の条件が成立すると(時点t1)、還元制御フラグF_JUDが「1」にセットされ、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御する排ガス還元制御が開始される。これにより、排ガスが酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換えられる。それに伴い、上流側排ガス空燃比AFEX1は、排ガスが上流側LAFセンサ12に到達するまでの時間、遅れて低下し始める(時点t2)。
一方、下流側排ガス空燃比AFEX2は、リーン運転中に触媒7によって貯蔵されていた酸素が放出されるため、貯蔵された酸素量、すなわち触媒7の酸素貯蔵能力に応じた遅れをもって低下する。
また、上流側排ガス空燃比AFEX1は、所定値AFREFを横切り(時点t3)、それを下回るようになる(ステップ3:YES)。その後、上流側空燃比変化量ΔAFEX1は徐々に減少する。そして、時点t4において、上流側空燃比変化量ΔAFEX1が所定値ΔAFREF以下になると(ステップ5:YES)、そのときに検出された下流側排ガス空燃比AFEX2と上流側排ガス空燃比AFEX1との差である空燃比偏差DAFEX12を、判定値DAF12と比較することによって、触媒7の劣化判定が行われる(ステップ9〜11)。その後、上流側排ガス空燃比AFEX1は、さらに低下し、排ガス還元制御中の混合気の空燃比に対応する値に収束し、これに遅れて下流側排ガス空燃比AFEX2も同様に収束する。
以上のように、本実施形態によれば、排ガス還元制御中に検出された下流側排ガス空燃比AFEX2と上流側排ガス空燃比AFEX1との差である空燃比偏差DAFEX12を、判定値DAF12と比較することによって、触媒7の劣化を判定する。触媒7が劣化すると、その酸素貯蔵能力が低下し、それに応じて、触媒7に貯蔵される酸素量が減少するため、上流側排ガス空燃比AFEX1に対する下流側排ガス空燃比AFEX2の遅れは小さくなる。このため、上述のようにして算出された空燃比偏差DAFEX12を判定値DAF12と比較することによって、触媒7の劣化を判定することができる。
また、空燃比偏差DAFEX12を算出する際の上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2として、上流側排ガス空燃比AFEX1が所定値AFREFを下回り、かつ上流側空燃比変化量ΔAFEX1が所定値ΔAFREF以下になったときに検出されたものを用いる。これにより、排ガスが還元雰囲気に確実に切り換わり、かつその状態で十分に安定し、しかも空燃比偏差DAFEX12が比較的大きな最適なタイミングで検出された上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2を用いて、触媒7の劣化を精度良く判定することができる。
また、判定に際し、上述した1つのタイミングで検出された上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2を用いるだけでよいので、従来のような複雑な演算処理を行うことなく、触媒7の劣化判定を簡便に行うことができる。
さらに、触媒7の硫黄被毒量QSが大きいほど、空燃比偏差DAFEX12と比較される判定値DAF12は、より大きな値に設定される。これにより、硫黄被毒量QSに応じて変化する酸素貯蔵能力に応じた適切な判定値DAF12が設定されるので、硫黄分の付着による誤判定を回避し、触媒7の劣化判定の精度をさらに向上させることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、空燃比パラメータとして、上流側および下流側排ガス空燃比AFEX1,AFEX2を用いているが、排ガスの空燃比を表す他の任意のパラメータを用いてもよい。例えば、排ガス中の酸素濃度または還元剤の濃度を用いてもよく、あるいは、理論空燃比の混合気に対応する排ガスの空燃比と実際の排ガスの空燃比との比である当量比を用いてもよい。
また、本実施形態では、上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータとの乖離度合を表す値として、下流側排ガス空燃比AFEX2と上流側排ガス空燃比AFEX1との差を用いているが、これに限らず、両者AFEX1,AFEX2の比を用いてもよい。
あるいは、実施形態は、触媒7が単一のNOx触媒の例であるが、触媒7が酸素貯蔵能力を有するものであれば、そのタイプや、配置および数を任意に変更することが可能であり、例えば三元触媒でもよいことはもちろんである。
さらに、実施形態は、本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ディーゼルエンジン以外のガソリンエンジンなどの各種のエンジンに適用してもよく、また、車両用以外のエンジン、例えば、クランク軸を鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 劣化判定装置
2 ECU(制御手段、劣化判定手段、硫黄被毒量算出手段、判定値設 定手段)
3 エンジン(内燃機関)
5 排気管(排気通路)
7 触媒
12 上流側LAFセンサ(上流側空燃比パラメータセンサ)
13 下流側LAFセンサ(下流側空燃比パラメータセンサ)
AFEX1 上流側排ガス空燃比(上流側空燃比パラメータ)
AFEX2 下流側排ガス空燃比(下流側空燃比パラメータ)
ΔAFEX1 上流側空燃比変化量(上流側空燃比パラメータの変化量)
ΔAFREF 所定値
QS 硫黄被毒量
DAFEX12 空燃比偏差(上流側空燃比パラメータと下流側空燃比パラメータと の乖離度合を表す値)
DAF12 判定値

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排ガスが酸化雰囲気のときに排ガス中の酸素を貯蔵する酸素貯蔵能力を有し、当該貯蔵した酸素を排ガスが還元雰囲気のときに放出するとともに、排ガスを浄化する触媒の劣化を判定する触媒の劣化判定装置であって、
    前記排気通路の前記触媒よりも上流側における排ガスの空燃比を表す上流側空燃比パラメータを検出する上流側空燃比パラメータセンサと、
    前記排気通路の前記触媒よりも下流側における排ガスの空燃比を表す下流側空燃比パラメータを検出する下流側空燃比パラメータセンサと、
    前記上流側空燃比パラメータセンサを通って前記触媒に流入する排ガスを、前記酸化雰囲気と前記還元雰囲気との間で切り換えて制御する制御手段と、
    当該制御手段により前記排ガスが前記酸化雰囲気から前記還元雰囲気に切り換えられた後、前記検出された上流側空燃比パラメータの変化量を算出する変化量算出手段と、
    前記排ガスが前記酸化雰囲気から前記還元雰囲気に切り換えられた後、前記上流側空燃比パラメータが前記排ガスの前記還元雰囲気に相当する所定の範囲内にあり、かつ前記算出された上流側空燃比パラメータの変化量が所定値以下に達したタイミングで検出された上流側空燃比パラメータと前記下流側空燃比パラメータとの乖離度合を表す値を、判定値と比較することによって、前記触媒の劣化を判定する劣化判定手段と、
    を備えることを特徴とする触媒の劣化判定装置。
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