JP2010059595A - 布帛および繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含む布帛であって審美性に優れた布帛および繊維製品を提供する。
【解決手段】単繊維径50〜1500nmの有機繊維Aと単繊維径が1500nmより大の有機繊維Bを含みかつ織物組織または編物組織を有する布帛であって、布帛の表裏少なくともどちらか一面に、前記有機繊維Aと有機繊維Bとが露出しており、かつ前記有機繊維Aと有機繊維Bとが互いに異なる色に着色してなる布帛および繊維製品。
【選択図】図1

Description

本発明は、単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含む布帛であって審美性に優れた布帛およびその製造方法および繊維製品に関するものである。
従来、極細繊維を用いた布帛は極細繊維特有のソフトな風合いを呈するため、衣料用途、インナー衣料、スポーツ衣料などの分野で、さかんに開発が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
しかしながら、超極細繊維で構成されかつ審美性に優れた布帛はこれまであまり提案されていない。
特開2003−41432号公報 特開2004−162244号公報 特開2005−23466号公報 特開2007−2364号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含む布帛であって審美性に優れた布帛および繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、単繊維径50〜1500nmの有機繊維と単繊維径が1500nmより大の有機繊維とで布帛を構成し、かつ両繊維を互いに異なる色に着色することにより審美性に優れた布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径50〜1500nmの有機繊維Aと単繊維径が1500nmより大の有機繊維Bを含みかつ織物組織または編物組織を有する布帛であって、布帛の表裏少なくともどちらか一面に、前記有機繊維Aと有機繊維Bとが露出しており、かつ前記有機繊維Aと有機繊維Bとが互いに異なる色に着色してなることを特徴とする布帛。」が提供される。
その際、布帛の表裏少なくともどちらか一面において、前記有機繊維Aのみで構成されるかもしくは前記有機繊維Aと有機繊維Bとで構成される箇所aと、前記有機繊維Bのみで構成される箇所bとが存在することが好ましい。また、前記の箇所aが直線状、記号状、文字状、数字状または絵柄状であることが好ましい。また、前記の有機繊維Aがポリエステル繊維であることが好ましい。また、前記の有機繊維Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた繊維であることが好ましい。また、前記の有機繊維Bが、綿繊維またはポリエステル繊維または麻繊維またはナイロン繊維またはビスコース繊維であることが好ましい。また、前記の箇所aにおいて、経密度150〜360本/2.54cmかつ緯密度150〜360本/2.54cmの織編密度を有することが好ましい。また、前記の箇所aにおいて、有機繊維A同士、および/または有機繊維Aと有機繊維Bとが熱融着していることが好ましい。その際、前記の箇所aにおいて、表面粗さが700nm以下であることが好ましい。ただし、表面粗さは隣りあう山部と谷部の高低差であり、任意の位置4箇所で測定しその平均値を算出するものとする。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、婦人衣料、インテリア用椅子張り、インテリア用カーテン、自動車用天井材、自動車用サイド材、自動車用ヘッドレスト、自動車用サンバイザー、自動車用シート、財布、靴上皮、日用雑貨用ベルト、ハンドバッグ、および傘地からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含む布帛であって審美性に優れた布帛および繊維製品が得られる。
本発明において、採用することのできる箇所aのパターンの一例である。 実施例1で用いた織組織図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる有機繊維Aにおいて単繊維径が50〜1500nm(好ましくは100〜1000nm、より好ましくは400〜800nm、特に好ましくは510〜800nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単糸繊度に換算すると、0.00002〜0.022dtexに相当する。単繊維径が50nm未満の場合には製造が困難となるだけでなく、繊維強度が低くなるため実用上好ましくない。逆に、単繊維径が1500nmを超える場合には、本発明の主目的である、審美性に優れた布帛が得られないおそれがある。なお、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。また、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記有機繊維Aの繊維種類としては、特に限定されないが、本発明の主目的である、審美性に優れた布帛を得る上でポリエステルから繊維が好ましい。ポリエステルの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。マテリアルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。特に、前記の有機繊維Aが、後記のような、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた繊維であることが好ましい。
また、前記有機繊維Aの形態としては、短繊維でもよいが、審美性に優れた布帛を得る上でマルチフィラメント(長繊維)であることが好ましい。かかるマルチフィラメントにおいて、単糸数が500本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
一方、本発明に用いられる有機繊維Bにおいて単繊維径が1500nmより大であることが肝要である。該単繊維径が1500nmよりも小さいと前記有機繊維Aとの差が小さくなってしまい審美性に優れた布帛が得られないおそれがある。
かかる有機繊維Bの繊維種類としては特に限定されないが、綿繊維または前記のようなポリエステル繊維または麻繊維またはナイロン繊維またはビスコース繊維であることが好ましい。特に、前記有機繊維Aと異なる色に着色する上で、綿繊維が好ましい。なお、有機繊維Aと有機繊維Bがともにポリエステル繊維である場合には、どちら一方を原着ポリエステル繊維にするか、どちら一方をカチオン可染性ポリエステル繊維としてカチオン染料を用いて染色する方法などにより有機繊維Aと有機繊維Bとを互いに異なる色に着色することができる。
かかる有機繊維Bの形態としては、短繊維でもマルチフィラメント(長繊維)でもよい。マルチフィラメントの場合、単繊維繊度が0.1dtexより大(好ましくは0.2〜6dtex)であることが好ましい。また、フィラメント数は特に限定されないが、1〜300本(好ましくは40〜200本)の範囲内であることが好ましい。
本発明の布帛において、布帛の表裏少なくともどちらか一面に、前記有機繊維Aと有機繊維Bとが露出しており、かつ前記有機繊維Aと有機繊維Bとが互いに異なる色に着色し
ている。なお、「異なる色」は、明度および/または色相が異なるという意味であり、例えば、同色で濃淡のみが異なる場合も含まれる。
ここで、布帛の面内において、前記有機繊維Aのみで構成されるかもしくは前記有機繊維Aと有機繊維Bとで構成される箇所aと、前記有機繊維Bのみで構成される箇所bとが存在することが好ましい。特に、前記の箇所aが直線状、曲線状、円形状、楕円形状、四角形状、多角形状、記号状、文字状、数字状または絵柄状であることが好ましい。特に、直線状、記号状、文字状、数字状または絵柄状が好ましい。動物状やキャラクター状でもよい。その際、箇所aの1箇所あたりの面積としては25mm以上であることが好ましい。なお、図1は、直線状の箇所aが複数存在する様子を模式的に示すものである。
本発明の布帛は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、下記のような海島型複合繊維(有機繊維A用)の海成分ポリマーと島成分ポリマーを用意する。
海成分ポリマーは、好ましくは島成分との溶解速度比が200以上であればいかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。また、ナイロン6は、ギ酸溶解性があり、ポリスチレン・ポリエチレンはトルエンなど有機溶剤に非常によく溶ける。なかでも、アルカリ易溶解性と海島断面形成性とを両立させるため、ポリエステル系のポリマーとしては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。なお、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加効果が大きくなるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性・紡糸安定性などの点から好ましくなくなる。また、共重合量が10重量%以上になると、本来溶融粘度低下作用があるので、本発明の目的を達成することが困難になるおそれがある。したがって、上記の範囲で、両成分を共重合することが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、海成分との溶解速度差があればいかなるポリエステルポリマーであってもよいが、前記のように繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、多いほど海成分を溶解除去して極細繊維を製造する場合の生産性が高くなるので100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。なお、島数があまりに多くなりすぎると紡糸口金の製造コストが高くなるだけでなく、加工精度自体も低下しやすくなるので10000以下とするのが好ましい。
次に、島成分の径は、50〜1500nmの範囲とする必要がある。また、海島複合繊維断面内の各島は、その径が均一であるほど海成分を除去して得られる極細マルチフィラメント糸からなる布帛の品位や耐久性が向上するので好ましい。
溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面形成がなされるいかなる紡糸口金でもよい。
吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。
ここで、特に微細な島径を有する海島型複合繊維を高効率で製造するために、通常のいわゆる配向結晶化を伴うネック延伸(配向結晶化延伸)に先立って、繊維構造は変化させないで繊維径のみを極細化する流動延伸工程を採用することが好ましい。流動延伸を容易とするため、熱容量の大きい水媒体を用いて繊維を均一に予熱し、低速で延伸することが好ましい。このようにすることにより延伸時に流動状態を形成しやすくなり、繊維の微細構造の発達を伴わずに容易に延伸することができる。このプロセスでは、特に海成分および島成分が共にガラス転移温度100℃以下のポリマーであることが好ましく、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルに好適である。具体的には60〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲の温水バスに浸漬して均一加熱を施し、延伸倍率は10〜30倍、供給速度は1〜10m/分、巻取り速度は300m/分以下、特に10〜300m/分の範囲で実施することが好ましい。予熱温度不足および延伸速度が速すぎる場合には、目的とする高倍率延伸を達成することができなくなる。
得られた流動状態で延伸された延伸糸は、その強伸度などの機械的特性を向上させるため、定法にしたがって60〜220℃の温度で配向結晶化延伸する。該延伸条件がこの範囲外の温度では、得られる繊維の物性が不十分なものとなる。なお、この延伸倍率は、溶融紡糸条件、流動延伸条件、配向結晶化延伸条件などによって変わってくるが、該配向結晶化延伸条件で延伸可能な最大延伸倍率の0.6〜0.95倍で延伸すればよい。
かくして得られた海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が40%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方5%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
また、前記の海島型複合繊維において、その島間の海成分厚みが500nm以下、特に20〜200nmの範囲が適当であり、該厚みが500nmを越える場合には、該厚い海成分を溶解除去する間に島成分の溶解が進むため、島成分間の均質性が低下するだけでなく、毛羽やピリングなど着用時の欠陥や染め斑も発生しやすくなる。
一方、単繊維径が1500nmより大の有機繊維Bを用意する。かかる有機繊維Bは前記の通りである。
次いで、前記の海島型複合繊維(有機繊維A用繊維)と有機繊維Bとを用いて、織物組織または編物組織を有する布帛を常法により製編織した後、前記の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維を単繊維径50〜1500nmの有機繊維Aとし、該布帛に染色加工を施すことにより、有機繊維Aと有機繊維Bとを互いに異なる色に着色する。ここで、有機繊維Aと有機繊維Bとを互いに異なる色に着色する方法としては、繊維種類を互いに異ならせる方法や、有機繊維Aおよび/または有機繊維Bとして原着繊維を用いる方法などが例示される。例えば、有機繊維Aとしてポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるポリエステル繊維を採用し、有機繊維Bとして綿繊維を採用して、分散染料を用いて布帛を染色すると有機繊維Aを有機繊維Bよりも濃色に着色することができる。
また、かかる布帛において、布帛の組織は前記有機繊維Aと有機繊維Bとが、布帛の表面および/または裏面に露出する組織であればよく、例えば、織組織としては、平織、斜文織、サテン織物等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。また、編物としては、2枚筬または3枚筬を用いた、ハーフ組織、ハーフベース組織、サテン組織などが例示される。なかでも、布帛の表裏少なくともどちらか一面において、前記有機繊維Aのみで構成されるかもしくは前記有機繊維Aと有機繊維Bとで構成される箇所aと、前記有機繊維Bのみで構成される箇所bとが存在する織編組織が好ましい。特に、前記の箇所aが直線状、記号状、文字状、数字状または絵柄状であることが特に好ましい。
また、かかる布帛の前記の箇所aにおいて、経密度150〜360本/2.54cmかつ緯密度150〜360本/2.54cmの織編密度を有すると、前記の箇所aの表面および/または裏面において凹凸が小さくなるため、審美性が向上し好ましい。特に、前記の箇所aにおいて、有機繊維A同士、および/または有機繊維Aと有機繊維Bとが熱融着していると審美性がさらに向上し好ましい。その際、前記の箇所aにおいて、表面粗さが700nm以下であることが好ましい。ただし、表面粗さは隣りあう山部と谷部の高低差であり、任意の位置4箇所で測定しその平均値を算出するものとする。
なお、有機繊維A同士、および/または有機繊維Aと有機繊維Bとを熱融着させ、かつ前記の箇所aにおいて表面粗さが700nm以下となるようにするには、布帛の表面および/または裏面にカレンダー加工を施すとよい。その際、カレンダー加工の条件としては、温度170〜200℃、線圧8000〜200000N/cm(816〜20410kgf/cm)の範囲が好ましい。
かくして得られた布帛において、布帛の表裏少なくともどちらか一面に、前記有機繊維Aと有機繊維Bとが露出しており、かつ前記有機繊維Aと有機繊維Bとが互いに異なる色に着色しているので優れた審美性を呈する。特に、前記のように、布帛の表裏少なくともどちらか一面において、前記有機繊維Aのみで構成されるかもしくは前記有機繊維Aと有機繊維Bとで構成される箇所aと、前記有機繊維Bのみで構成される箇所bとが存在し、かつ、前記の箇所aが直線状、曲線状、円形状、楕円形状、四角形状、多角形状、記号状、文字状、数字状または絵柄状であり、かつ前記の箇所aにおいて、有機繊維A同士、および/または有機繊維Aと有機繊維Bとが熱融着していると特に優れた審美性を呈する。
本発明の布帛において、布帛重量に対して30重量%以下であれば他の繊維が含まれていてもさしつかえない。また、前記の染色加工以外に、エンボス加工、アルカリ減量加工、着色プリント、撥水加工、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に、本発明の繊維製品は、前記の布帛を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、婦人衣料、インテリア用椅子張り、インテリア用カーテン、自動車用天井材、自動車用サイド材、自動車用ヘッドレスト、自動車用サンバイザー、自動車用シート、財布、靴上皮、日用雑貨用ベルト、ハンドバッグ、および傘地からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、優れた審美性を呈する。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶解速度>海・島ポリマーの各々直径0.3mm−長さ0.6mm×孔数24の口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取りし、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製した。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<単繊維径>透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定した。n数5で測定しその平均値を求めた。
<表面粗さ>透過型電子顕微鏡を用いて隣りあう山部と谷部の高低差を測定し表面粗さとした。なお、任意の位置4箇所で測定しその平均値を算出した。
<ソフト感>試験者3人より官能評価で布帛のソフト感を3級:ソフトである、2級:普通、1級:ソフトでない、の3段階に評価した。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートを用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=40:60、島数=500の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。この海島型複合延伸糸56dtex/10fil(有機繊維A用繊維)を、一本糊付機((株)ヤマダ製)にて互応化学製の糊剤を配合し走行速度100m/min、乾燥温度100℃で走行させて、箇所aの経糸とした。一方、箇所bの経糸として綿60番手双糸(有機繊維B)を用意し、箇所aの経糸とともに鈴木製の部分製経機にて整経準備を実施した。次いで、該経糸を用い、緯糸として前記綿60番手双糸(有機繊維B)だけを用いて図2の織組織図に従い製織した。その際、箇所b経糸密度31.7本/cm、箇所a経糸密度79.1本/cm、緯糸密度34.0本/cmとし、ジャガード式開口織機にて箇所aが朱子組織になるように製織し、箇所b経糸密度31.7本/cm、箇所a経糸密度79.1本/cm、緯密度の生機34.3本/cmを得た。その後、30%のアルカリ減量を施すことにより、前記海島型複合延伸糸を単繊維径が700nmの有機繊維Aとした後、60℃で精錬を行い、120℃にて染色加工を行った。次いで、130℃で3分間乾燥後、朱子部分を熱融着するため98000N/cm(10ton/cm)のカレンダー加工を行い、箇所bの経密度41.0本/cm、箇所aの経密度102.5本/cm、緯密度37.8本/cmの織物を得た。
得られた織物は、単繊維径が700nmの有機繊維Aと、単繊維径が11.4μmの綿60番手双糸(有機繊維B)とで構成されていた。かかる織物は、箇所aの表面が平滑となり高意匠性を呈するものであった。この布帛の箇所aの表面粗さを透過型電子顕微鏡で4箇所測定したところ表面の表面粗さはそれぞれ450nm、530nm、290nm、190nmであり、平均365nmであった。また、該布帛において、箇所aおよび箇所bは図1に模式的に示すように直線状(縞状)であった。
ついで、該織物を用いてスポーツ衣料を縫製したところ優れた審美性を呈するものであった。
[比較例1]
実施例1において箇所aの経糸として通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex/144fil(帝人ファイバー(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に製織、染色加工、カレンダー加工を行った。
得られた織物において、前記ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex/144filの単繊維径は5.9μmであり、綿60番手双糸の単繊維径は11.4μmであった。また、得られた織物においては、箇所aの表面は光沢が生じるが、平滑性に欠け、この布帛の箇所a部分の平滑さを透過型電子顕微鏡で測定したところ表面の表面粗さは800nmを超えるものとなった。
本発明によれば、単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含む布帛であって審美性に優れた布帛および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1:箇所a
2:箇所a
3:箇所a
4:箇所b
5:箇所b
6:箇所b
7:箇所b

Claims (10)

  1. 単繊維径50〜1500nmの有機繊維Aと単繊維径が1500nmより大の有機繊維Bを含みかつ織物組織または編物組織を有する布帛であって、布帛の表裏少なくともどちらか一面に、前記有機繊維Aと有機繊維Bとが露出しており、かつ前記有機繊維Aと有機繊維Bとが互いに異なる色に着色してなることを特徴とする布帛。
  2. 布帛の表裏少なくともどちらか一面において、前記有機繊維Aのみで構成されるかもしくは前記有機繊維Aと有機繊維Bとで構成される箇所aと、前記有機繊維Bのみで構成される箇所bとが存在する、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記の箇所aが直線状、記号状、文字状、数字状または絵柄状である、請求項1または請求項2に記載の布帛。
  4. 前記の有機繊維Aがポリエステル繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の布帛。
  5. 前記の有機繊維Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた繊維である、請求項4に記載の布帛。
  6. 前記の有機繊維Bが、綿繊維またはポリエステル繊維または麻繊維またはナイロン繊維またはビスコース繊維である、請求項1〜5のいずれかに記載の布帛。
  7. 前記の箇所aにおいて、経密度150〜360本/2.54cmかつ緯密度150〜360本/2.54cmの織編密度を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の布帛。
  8. 前記の箇所aにおいて、有機繊維A同士、および/または有機繊維Aと有機繊維Bとが熱融着している、請求項1〜7のいずれかに記載の布帛。
  9. 前記の箇所aにおいて、表面粗さが700nm以下である、請求項8に記載の布帛。
    ただし、表面粗さは隣りあう山部と谷部の高低差であり、任意の位置4箇所で測定しその平均値を算出するものとする。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の布帛を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、婦人衣料、インテリア用椅子張り、インテリア用カーテン、自動車用天井材、自動車用サイド材、自動車用ヘッドレスト、自動車用サンバイザー、自動車用シート、財布、靴上皮、日用雑貨用ベルト、ハンドバッグ、および傘地からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
JP2009076409A 2008-08-07 2009-03-26 布帛および繊維製品 Active JP5260376B2 (ja)

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