JP2010059406A - ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 - Google Patents

ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジアシルグリセロール高含有油脂を工業的に有利な条件で効率よく製造する方法の提供。
【解決手段】モノアシルグリセロール類を化学触媒下でエステル交換反応させるジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法に関する。
ジアシルグリセロールを高濃度に含む油脂は、体脂肪燃焼作用等の生理作用を有することから、食用油として広く使用されている。ジアシルグリセロールの製造は、通常、グリセリンと油脂とのグリセロリシス反応による方法や、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応による方法が一般的であるが(例えば特許文献1〜3参照)、モノグリセライドと油脂をエステル交換反応する方法もある(特許文献4参照)。
また、エステル化反応に用いる脂肪酸を、原料油脂を高圧分解法と酵素分解法を組み合わせて加水分解することにより製造し、次いで当該脂肪酸とグリセリンとをエステル化するという方法がある(特許文献5参照)。
これらの製造法は、アルカリ触媒等を用いた化学法と、リパーゼ等の酵素を用いた酵素法に大別される。
特公平6−65310号公報 特公平6−65311号公報 特開平4−330289号公報 特開2000−345189号公報 特開2006−137923号公報
前記従来技術において、グリセロリシス反応やエステル交換反応による方法では、得られた反応生成物自体のジアシルグリセロール純度が低く、高純度とするためには高真空の蒸留設備を必要とするなどジアシルグリセロールの純度の点及び工業的生産性の点で課題がある。また、エステル化によれば反応原料とする脂肪酸の純度や条件設定により、ジアシルグリセロールの純度を高めることはできるが、製造効率と品質との兼ね合いやコストの点で必ずしも満足するものとはいえない。
そこで、本発明の課題は、ジアシルグリセロール高含有油脂を工業的に有利な条件で効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者は、ジアシルグリセロールの製造方法について種々検討してきたところ、モノアシルグリセロール類をエステル交換反応させることにより、高純度のジアシルグリセロールが効率よく得られることを見出した。
すなわち、本発明は、モノアシルグリセロール類を化学触媒下でエステル交換反応させるジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、高価な原料や特殊な設備を用いることなく、ジアシルグリセロール含量の高い油脂を効率よく得られることから、工業的に極めて有利である。
本発明方法に用いるモノアシルグリセロール類(以下、「原料モノアシルグリセロール類」ともいう)としては、グリセリンの1位の水酸基が脂肪酸でエステル化されたもの(1−モノアシルグリセロール)、2位の水酸基が脂肪酸でエステル化されたもの(2−モノアシルグリセロール)及び3位の水酸基が脂肪酸でエステル化されたもの(3−モノアシルグリセロール)が挙げられるが、1−モノアシルグリセロール又は3−モノアシルグリセロールの比率が高いものが好ましい。
原料モノアシルグリセロール類の脂肪酸残基の炭素数に特に制限はないが、炭素数8〜24、更に炭素数14〜24、特に炭素数16〜22が好ましい。脂肪酸残基としては、飽和のもの及び不飽和のものが挙げられ、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸由来のアシル基や、これらの酸を含有する牛脂、豚脂等の動物油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、綿実油、シソ油、トウハゼ油、アマニ油、紅花油、エゴマ油、パーム油等の植物油から誘導される脂肪酸由来のアシル基が挙げられる。
これらの原料モノアシルグリセロール類は一種又は二種以上を用いることができる。
原料モノアシルグリセロール類の全構成脂肪酸中不飽和脂肪酸含有量は、最終製品の外観、生理効果や、工業的生産性の点から、50質量%(以下、単に「%」と記載する)以上、更に60%以上、特に70%以上であることが好ましい。また、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が好ましい。
また、原料モノアシルグリセロール類の構成脂肪酸のうち、トランス不飽和脂肪酸含有量は、最終製品中のトランス不飽和脂肪酸含有量を低減させる点から、8%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、更に最終製品中のトランス不飽和脂肪酸含有量をより高度に低減させる点からは、2%以下、更に1.5%以下、特に1%以下、殊更0.5%以下であることが好ましい。
原料モノアシルグリセロール類は、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、米油、紅花油、綿実油、牛脂、あまに油、魚油等の油脂の加水分解反応、これら各種油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応、かかる油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応等任意の方法により得ることができる。また、前記油脂は、分別、混合したもの、水素添加やエステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも利用できるが、水素添加していないものであることが、油脂の構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含有量を低減させる点から好ましい。反応方法は、アルカリ触媒等を用いた化学法、リパーゼ等の酵素を用いた酵素法のいずれでもよい。得られた反応生成物を蒸留、分画、溶剤抽出、水蒸気蒸留等することにより所期の原料モノアシルグリセロール類を得ることができる。
原料モノアシルグリセロール類は、製造工程の簡略化、コスト低減、最終製品中のトランス不飽和脂肪酸含有量を低減させる点から、油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応によって得られた反応終了油(以下、「グリセロリシス反応終了油」ともいう)を用いることが好ましい。また、グリセロリシス反応に用いる原料油脂は、その構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含有量が3%以下、更に2%以下、特に1%以下、殊更0.5%以下であることが最終製品中のトランス不飽和脂肪酸含有量を低減させる点から好ましい。具体的には、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、米油、紅花油、綿実油、牛脂、あまに油、魚油等の未脱臭油脂を用いることが好ましい。なお、本発明において未脱臭油脂とは、油脂の精製処理において脱臭を行っていない油脂をいう。
油脂とグリセリンをグリセロリシス反応する方法は、従来公知の方法を採用すればよく、化学法、酵素法のいずれでも可能である。最終製品中のトリアシルグリセロール含有量を低減するという点からは、化学法によるのが好ましい。また、最終製品中のトランス不飽和脂肪酸含有量を増加させないという点からは、酵素法によるのが好ましい。
グリセロリシス反応を化学法で行う場合、触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ、又は有機酸などの酸やその塩を使用することが、反応速度を向上する点、反応油の色相を良くする点から好ましい。反応温度は、反応速度を向上する点、トランス不飽和脂肪酸の生成を抑制する点から100〜300℃、更に150〜250℃が好ましい。
また、グリセロリシス反応を酵素法で行う場合、酵素としてはリパーゼを用いることが好ましく、リパーゼは、動物由来、植物由来のものはもとより、微生物由来の市販リパーゼを使用することもできる。グリセロリシス反応を酵素法で行う場合、例えば反応速度を向上する点、リパーゼの失活を抑制する点から、反応温度は0〜100℃、更に20〜80℃、特に30〜80℃とするのが好ましい。
本発明における原料モノアシルグリセロール類中には、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール及びグリセリンを含んでいてもよい。本発明の態様においては、ジアシルグリセロール純度を高める点、原料の精製負荷の点から、グリセリンは20%以下が好ましく、更に15%以下、更に0.1〜10%、更に0.2〜7%、特に0.5〜7%であることが好ましい。なお、油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応によるグリセロリシス反応終了油を用いる場合には、グリセロリシス反応終了油からグリセリンを除去して用いるのが好ましい。
グリセリンの除去方法は、遠心分離によりグリセリン層を除去する方法、減圧によりグリセリンを留去する方法、水蒸気蒸留によりグリセリンを除去する方法、分層によりグリセリン層を除去する方法、水洗による除去方法、吸着剤等を用いて除去する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを組み合わせても良い。
最終製品のジアシルグリセロール純度を向上させる点から、原料モノアシルグリセロール類中のトリアシルグリセロール含有量は50%以下が好ましく、更に40%以下、特に0.1〜30%が好ましい。また、原料モノアシルグリセロール類中のジアシルグリセロール含有量は40%以下が好ましく、更に30%以下、特に0.1〜20%が好ましい。原料モノアシルグリセロール類中の脂肪酸含有量は50%以下が好ましく、更に40%以下、更に0.1〜30%、特に0.1〜20%、殊更0.1〜10%が好ましい。原料モノアシルグリセロール類中のモノアシルグリセロール含有量は45%以上が好ましく、更に50%以上、特に55〜99%が好ましい。
モノアシルグリセロール類のエステル交換反応は化学触媒下で行われる。化学触媒としては、通常のエステル交換に用いられる酸触媒又はアルカリ触媒が用いられる。酸触媒としては、リン酸、リン酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ触媒としては、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等が挙げられる。
化学触媒は、反応性の点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドの場合、原料に対して0.01〜3%、更に0.05〜2%、特に0.1〜1%となるように加えるのが好ましい。反応温度は、反応速度を向上する点から30〜150℃、更に50〜120℃が好ましい。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物の場合、原料に対して0.001〜2%、更に0.002〜1%、特に0.005〜0.5%となるように加えるのが好ましい。反応温度は、反応速度を向上する点から100〜270℃が好ましく、更に150〜240℃が好ましい。
本発明において、モノアシルグリセロール類のエステル交換反応の際のその他の条件は、反応系内の圧力は1.33Pa〜大気圧、特に1.33〜13300Pa、更に133〜1330Paとすることが好ましく、反応時間は5〜180分、更に7〜120分とすることが好ましい。また、反応中の系内の水分量は2%以下、更に1%以下、特に0.001〜0.5%とすることが、触媒性能低下を抑制する点から好ましい。
本発明において、モノアシルグリセロール類のエステル交換反応は、回分式、連続式、又は半連続式で行うことができる。反応装置に供給される原料は、予め減圧による脱水、脱気又は脱酸素を行うことが得られる反応生成物のジアシルグリセロール含有量を高くし、触媒性能低下を抑制する点から好ましい。
エステル交換反応終了後、触媒を水洗、中和、溶剤抽出、水蒸気蒸留あるいは吸着等により除去し、又は固体触媒の場合には濾過等により除去するのが好ましい。
本発明において、反応生成物のジアシルグリセロールの純度は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60〜99%、更に70〜98%、特に80〜97%であることが、生理効果、工業的生産性の点から好ましい。ここで、ジアシルグリセロール純度は、[ジアシルグリセロール/(ジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール)×100]である。
本発明において、反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量[質量%]は50%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜99%、更に55〜98%、特に60〜97%であることが、生理効果、工業的生産性の点から好ましい。
なお、本発明においては、反応時間を長くすると反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量は増加するが、トリアシルグリセロールの生成量が増大することにより、ジアシルグリセロール純度が低下する場合がある。これは触媒の活性度にも影響されるが、ジアシルグリセロール純度の高い油脂をより効率的に製造するという観点から、適宜反応時間等をコントロールすることが好ましい。例えば、反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量が30〜65%未満ではジアシルグリセロールの純度は60%以上であることが好ましく、より好ましくは60〜99%、更に70〜98%、特に80〜97%であることが、生理効果、工業的生産性の点から好ましい。反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量が65%以上ではジアシルグリセロールの純度は50%以上であることが好ましく、より好ましくは55〜99%、更に60〜98%、特に70〜97%であることが、生理効果、工業的生産性の点から好ましい。
本発明方法により化学触媒下でエステル交換反応して得られた反応生成物は、ジアシルグリセロール純度が高いため、高い生理効果を有する油脂として有用である。
エステル交換反応により得られたジアシルグリセロール高含有油脂は、後処理を行うことにより製品とすることができる。後処理は、蒸留、酸処理、水洗、脱臭の各工程を行うことが好ましい。蒸留工程は、エステル交換反応により得られたジアシルグリセロール高含有油脂を減圧蒸留することにより、反応生成物から副生した脂肪酸及び未反応のモノアシルグリセロールを除去する工程をいう。酸処理工程は、前記蒸留油にクエン酸等のキレート剤を添加、混合し、更に減圧脱水する工程をいう。また、得られた酸処理油は、色相、風味を更に良好とする点から、吸着剤との接触による脱色工程を行っても良い。水洗工程は、前記酸処理油に水を添加して強攪拌し、油水分離を行う操作を行う工程をいう。水洗は複数回(例えば3回)繰り返し、水洗油を得るのが好ましい。脱臭工程は、前記水洗油を減圧水蒸気蒸留する工程をいう。脱臭は、バッチ式、連続式、半連続式等が挙げられ、薄膜脱臭装置またはトレイ式脱臭装置の単独で行う方法の他、これら薄膜脱臭装置を用いた脱臭処理とトレイ式脱臭装置を用いた脱臭処理とを組み合わせて行ってもよい。
以上の後処理により、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロール以外の未反応物、副生成物は除去される。従って、製品となったジアシルグリセロール高含有油脂中のジアシルグリセロール含有量は、前記「ジアシルグリセロールの純度」の範囲となることが好ましい。
〔分析方法〕
(i)グリセリド組成の測定
遠心分離が可能な試験管に反応生成物のサンプルを約3g採取し、3000r/minで10分間遠心分離を行い、沈降したグリセリンを除去した。次いで、ガラス製サンプル瓶に、上層を約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.5mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して、グリセリド組成の分析を行った。
(ii)構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含有量
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.2−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)により測定した。
〔原料油脂の調製1〕
エステル交換反応の原料となるモノアシルグリセロールはO−95R(花王(株)、以下同じ)を用いた(原料A)。また、O−95Rに菜種油を添加し、トリアシルグリセロール含有量の異なるグリセリド混合油を調製し(原料B、C、D)、更に、O−95Rに健康エコナクッキングオイル(花王(株))を添加し、ジアシルグリセロール含有量の異なるグリセリド混合油を調製した(原料E、F)。表1に原料油脂のグリセリド組成を示す。
〔原料油脂の調製2〕
未脱臭菜種油804g及びグリセリン196gを、攪拌羽根(90mm×24mm)を取り付けた2L4ツ口フラスコに入れ、攪拌500r/minの条件で攪拌しながら、触媒として水酸化カルシウム100mgを添加した。次に、窒素ガスを流通しながら、温度210℃、反応時間1時間の条件にてグリセロリシス反応を行い、100℃以下に冷却後、リン酸を118mg添加して触媒を中和した。次いで、25℃まで冷却し、6000r/minで10分間遠心分離を行い、分離したグリセリンを除去して原料モノアシルグリセロールである原料Gを得た。未脱臭菜種油及び原料Gのトランス不飽和脂肪酸含有量は、それぞれ0.1%及び0.2%であった。
未脱臭菜種油1000g及びグリセリン343gを、攪拌羽根(90mm×24mm)を取り付けた2L4ツ口フラスコに入れ、触媒の水酸化カルシウムを0.134g、中和剤のリン酸を0.158g添加した以外は、原料Gと同じ条件でグリセロリシス反応を行い、原料Hを得た。原料Hのトランス不飽和脂肪酸含有量は、0.2%であった。
表1に未脱臭菜種油、原料G及び原料Hのグリセリド組成を示す。
Figure 2010059406
〔触媒濃度の影響〕
試験例1
攪拌羽根(75mm×20mm)を取り付けた500ML4ツ口フラスコに、70℃で溶解した原料Aを250g入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度100℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。次いで、温度80℃に冷却後、窒素で常圧に戻した。触媒としてナトリウムメチラートを0.4%添加した後、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら、温度100℃に昇温し、30分間エステル交換反応を行った。その後約80℃まで冷却し、窒素で常圧に戻しサンプルAを得た。表2に反応生成物のグリセリド組成を示した。なお、グリセリド組成は、反応終了油から前記「分析方法」に従って、分離したグリセリンを除去した後のものである(以下同じ)。
試験例2
触媒であるナトリウムメチラートの添加量を0.2%とした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルBを得た。表2に反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成を示した。
Figure 2010059406
〔反応時間の影響〕
試験例3
攪拌羽根(75mm×20mm)を取り付けた500ML4ツ口フラスコに、70℃で溶解した原料Aを250g入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度100℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。次いで、窒素で常圧に戻し、窒素を流通しながら触媒としてナトリウムメチラートを0.4%添加し、100℃、常圧にてエステル交換反応を開始した。反応2、5、8、15、30、60、120分後にサンプリングし、サンプルC、D、E、F、G、H、Iを得た。表3に反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成を示した。
Figure 2010059406
〔触媒種の影響〕
試験例4
攪拌羽根(75mm×20mm)を取り付けた500ML4ツ口フラスコに、70℃で溶解した原料Aを250g入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度100℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。次いで、温度80℃に冷却後、窒素で常圧に戻し、窒素を流通しながら触媒として水酸化カルシウムを0.01%添加した後、温度210℃、反応時間1時間の条件にてエステル交換反応を行い、100℃以下に冷却後、リン酸で触媒を中和しサンプルJを得た。表4に反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成を示した。
Figure 2010059406
〔原料油脂のグリセリド組成の影響〕
試験例5
エステル交換反応の反応原料を原料Bとした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルKを得た。
試験例6
エステル交換反応の反応原料を原料Cとした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルLを得た。
試験例7
エステル交換反応の反応原料を原料Dとした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルMを得た。
試験例8
エステル交換反応の反応原料を原料Eとした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルNを得た。
試験例9
エステル交換反応の反応原料を原料Fとした以外は試験例1と同様にエステル交換反応を行い、サンプルOを得た。
表5に、試験例5〜9の反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成を示した。
Figure 2010059406
試験例10
攪拌羽根(75mm×20mm)を取り付けた500ML4ツ口フラスコに、70℃で溶解した原料Gを250g入れた。次いで、圧力400Paの減圧下で攪拌しながら温度100℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。次いで、窒素で常圧に戻し、窒素を流通しながら触媒としてナトリウムメチラートを0.2%添加し、100℃、常圧にてエステル交換反応を開始した。反応2、5、8、15、30、60、120分後にサンプリングし、サンプルP、Q、R、S、T、U、Vを得た。表6に反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成、トランス不飽和脂肪酸含有量を示した。
Figure 2010059406
試験例11
エステル交換反応の反応原料を原料Hとして、触媒であるナトリウムメチラートの添加量を0.15%とした以外は試験例10と同様にエステル交換反応を行った。反応1、2、5、8、11、15、20、30分後にサンプリングし、サンプルW、X、Y、Z、AA、AB、AC、ADを得た。表7に反応時間及び得られた反応生成物のグリセリド組成、トランス不飽和脂肪酸含有量を示した。
Figure 2010059406
表2〜7より明らかなように、モノアシルグリセロール類を化学触媒下でエステル交換反応させると、ジアシルグリセロール含量の高い油脂組成物を効率的に得られることが判った(試験例1〜11)。表2及び3より、触媒濃度を高くすること、及び反応時間を長くすることにより、反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量は増加するが、トリアシルグリセロール濃度も上昇することから、ジアシルグリセロール含量の高い油脂組成物を得るためには、触媒量により反応時間を決定すべきことが判った。即ち、触媒濃度を高くした場合には反応時間を短くすることが好ましいことが判った(試験例1〜3)。
表4より、活性度の異なる触媒を用いても、反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量が低くなる傾向は見られるものの、ジアシルグリセロール純度の高い油脂組成物が得られることが判った(試験例4)。
表5〜7より、反応原料中のトリアシルグリセロール含有量やジアシルグリセロール含有量が高くなると、反応生成物中のジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール含有量は増加するが、ジアシルグリセロール純度の点からは、反応原料中のトリアシルグリセロール含有量やジアシルグリセロール含有量が少ないことが好ましいことが判った(試験例5〜11)。
表6及び7より、エステル交換反応の原料モノアシルグリセロール類として、未脱臭油脂とグリセリンとをグリセロリシス反応して得られた反応終了油を用いると、トランス不飽和脂肪酸含有量の少ないジアシルグリセロール高含有油脂を得られることが判った(試験例10及び11)。

Claims (6)

  1. モノアシルグリセロール類を化学触媒下でエステル交換反応させるジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
  2. モノアシルグリセロール類中のトリアシルグリセロール含有量が50質量%以下である請求項1記載のジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
  3. モノアシルグリセロール類が、油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応によって得られたグリセロリシス反応終了油である請求項1又は2記載のジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
  4. グリセロリシス反応に用いる油脂が未脱臭油脂である、請求項3記載のジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
  5. モノアシルグリセロール類の構成脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含有量が2質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載のジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
  6. ジアシルグリセロール高含有油脂のジアシルグリセロール純度[ジアシルグリセロール/(ジアシルグリセロール+トリアシルグリセロール)×100]が50質量%以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法。
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