JP2010059064A - 薬物送達複合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薬物とカチオン性分子との複合体およびそれを内包するアニオン性分子を含有し、実質的に非荷電であるか負の表面電荷を有する薬物送達複合体であって、該アニオン性分子がγ−ポリグルタミン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸およびそれらの塩からなる群より選択される、薬物送達複合体。薬物とカチオン性分子との複合体が、薬物とカチオン性分子との自己組織化による複合体、薬物を内包するカチオン性ミセルおよび薬物を内包するカチオン性リポソームからなる群より選択される、薬物送達複合体。好ましくは、薬物は核酸である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、細胞毒性や赤血球凝集などの副作用がなく、しかも所望の臓器に核酸などの薬物を効率よくターゲッティングでき、且つそこで十分な遺伝子発現をもたらし得る薬物送達システム(DDS)は、未だに開発されていない。
[1] 薬物とカチオン性分子との複合体およびそれを内包するアニオン性分子を含有し、実質的に非荷電であるか負の表面電荷を有する薬物送達複合体であって、該アニオン性分子がγ-ポリグルタミン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸およびそれらの塩からなる群より選択される、薬物送達複合体。
[2] 薬物とカチオン性分子との複合体が、薬物とカチオン性分子との自己組織化による複合体、薬物を内包するカチオン性ミセルおよび薬物を内包するカチオン性リポソームからなる群より選択される、[1]記載の薬物送達複合体。
[3] 薬物が核酸、ペプチド、タンパク質、多糖および低分子化合物からなる群より選択される、[1]または[2]記載の薬物送達複合体。
[4] カチオン性分子の正電荷を有する官能基と、アニオン性分子の負電荷を有する官能基とのモル比が3:1〜1:4である、[1]〜[3]のいずれかに記載の薬物送達複合体。
[5] アニオン性分子の分子量が10万以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の薬物送達複合体。
[6] アニオン性分子がγ-ポリグルタミン酸またはその塩である、[5]記載の薬物送達複合体。
[7] 薬物を脾臓に送達させるためのものである、[1]〜[6]のいずれかに記載の薬物送達複合体。
[8] 全身投与可能な[1]〜[7]のいずれかに記載の薬物送達複合体。
[9] [1]〜[6]のいずれかに記載の薬物送達複合体を細胞に接触させることを特徴とする、該細胞内への薬物送達方法。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の薬物送達複合体を哺乳動物に投与することを特徴とする、該動物の細胞内への薬物送達方法。
本発明において用いられる核酸は、特に限定されないが、当業者が通常用いる方法により精製されていることが好ましい。
また、カチオン性複合体は正の表面電荷を有する限り、例えば上記した形態の2つ以上を組み合わせた形態であってよく、例えば、上記(a)もしくは(b)複合体を封入したカチオン性リポソームのような形態が挙げられるが、これに限定されず、任意の他の組み合わせが利用可能である。
例えば、核酸等の負電荷を有する水溶性薬物とPEI等の水溶性カチオン性ポリマーとの間の静電的相互作用を利用したカチオン性複合体は、薬物とカチオン性ポリマーとを水または適当な緩衝液中で混合し、室温で0.5〜300分間、好ましくは1〜180分間インキュベートすることにより調製することができる。混合物中の薬物濃度は、用いる薬物の種類、サイズ(分子量)等を考慮し適宜設定できるが、該薬物が核酸である場合は、通常0.01〜1000ng/μLの範囲である。該薬物が通常のプラスミドDNA(サイズが3kbp程度)である場合は、当該混合液中のDNA濃度は好ましくは50〜500ng/μLの範囲である。濃度が低すぎると細胞へ導入されたDNAが期待された機能を発現することができず、濃度が高すぎるとかえって核酸導入効率が低下する。該薬物がRNAである場合も、RNAのサイズ等を考慮し、濃度を適宜設定できるが、RNAのサイズが数kbp程度である場合は、上記混合液中のRNA濃度は、通常3〜100ng/μLの範囲である。特に核酸がsiRNAのように約20〜約200bpの非常に小さいものである場合、該核酸の濃度は、通常1〜500nMの範囲である。尚、薬物とカチオン性ポリマーとの配合比は、上記した範囲から適宜選択することができる。混合液のインキュベーション時間は、用いる薬物とカチオン性ポリマーの種類に応じて上記の範囲内で適宜選択することができるが、インキュベーション時間が短すぎると、薬物とカチオン性ポリマーとの複合体形成が不十分となり、インキュベーション時間が長すぎると、形成された複合体が不安定化する場合があり、いずれも細胞への薬物送達効率が低下する。
本発明の薬物送達複合体は実質的に非荷電もしくは負荷電であることから、静脈内投与等の全身投与によっても、PEI等のカチオン性ポリマーやカチオン性リポソームを用いた従来のキャリア分子のように赤血球の凝集を引き起こすことがない。また、標的以外の細胞への非特異的な薬物の送達も低減される。
従来、粒子サイズを大きくして標的部位の細網内皮系に塞栓させることによって肺などの臓器への移行性を向上させる試みがなされてきたが、この手法では粒子が全身の毛細血管に詰まって、塞栓症を引き起こす危険性があった。これに対し、本発明の薬物送達複合体は、カチオン性複合体とほぼ同等の粒子サイズで十分な滞留性を実現し、かつ特定の臓器への薬物の送達効率を向上させ得ることから、安全に全身投与が可能である。
細胞の種類は特に限定されず、原核生物及び真核生物の細胞を用いることができるが、好ましくは真核生物である。真核生物の種類も、特に限定されず、例えば、ヒトを含む哺乳類(ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウシ等)、鳥類(ニワトリ、ダチョウ等)、両生類(カエル等)、魚類(ゼブラフィッシュ、メダカ等)などの脊椎動物、昆虫(蚕、蛾、ショウジョウバエ等)などの非脊椎動物、植物、酵母等の微生物等が挙げられる。より好ましくは、本発明で対象とされる細胞は、動物もしくは植物細胞、さらに好ましくは哺乳動物細胞である。当該細胞は、癌細胞を含む培養細胞株であっても、個体や組織より単離された細胞、あるいは組織もしくは組織片の細胞であってもよい。また、細胞は接着細胞であっても、非接着細胞であってもよい。
即ち、細胞は薬物送達複合体との接触の数日前に適当な培地に懸濁され、適切な条件で培養される。薬物送達複合体との接触時において、細胞は増殖期にあってもよいし、そうでなくてもよい。接触時の培養液は、血清含有培地であっても血清不含培地であってもよいが、培地中の血清濃度は30%以下、好ましくは20%以下であることが好ましい。培地中に過剰な血清等の蛋白質が含まれていると、薬物送達複合体と細胞との接触が阻害される可能性があるからである。
また、培養時間も用いる細胞の種類等の条件を考慮して適宜設定することが可能であるが、通常1〜72時間、好ましくは1〜60時間、より好ましくは1〜48時間、更に好ましくは1〜40時間、最も好ましくは1〜32時間の範囲である。
上記培養時間が短すぎると、薬物が十分細胞内へ導入されず、培養時間が長すぎると、細胞が弱ることがある。
更なる培養の時間は、薬物に期待される機能等を考慮して、適宜設定することが可能であるが、該薬物が発現ベクター等のプラスミドDNAである場合は、通常8〜72時間、好ましくは8〜60時間、より好ましくは8〜48時間、更に好ましくは8〜36時間、最も好ましくは12〜32時間の範囲である。該化合物がsiRNAなどの標的遺伝子の発現を制御し得る低分子核酸である場合には、通常0〜72時間、好ましくは0〜60時間、より好ましくは0〜48時間、更に好ましくは0〜36時間、最も好ましくは0〜32時間の範囲である。
即ち、該複合体を対象に投与することにより、該複合体が標的細胞へ到達・接触し、生体内で該複合体に含まれる化合物が細胞内へ導入される。
該複合体を投与可能な対象としては、特に限定されず、例えば、ヒトを含む哺乳類(ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウシ等)、鳥類(ニワトリ、ダチョウ等)、両生類(カエル等)、魚類(ゼブラフィッシュ、メダカ等)などの脊椎動物、昆虫(蚕、蛾、ショウジョウバエ等)などの無脊椎動物、植物等を挙げることができる。好ましくは、該複合体の投与対象としては、ヒトまたは他の哺乳動物が挙げられる。
(方法)
プラスミドDNA(以下、pDNAと略記する)としてCMVプロモータを含み、ホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpCVM−Lucを使用した。pDNAの5%グルコース溶液(1mg/mL)10μLと5%糖液20μLとを混合した後に、PEI(分子量25000)の5%グルコース溶液(1mg/mL、pH=7.4)10μLと混合し(pDNAのリン酸基とPEIのアミノ基とのモル比1:8)、室温で15分間インキュベートした。この混合液に種々の濃度のγ−PGA(分子量10000〜100000)の5%グルコース溶液を加えて、pDNAのリン酸基(P)、PEIのアミノ基(N)およびγ−PGAのカルボキシル基(C)のモル比(以下、「PNC比」と略記する)が、それぞれ1:8:2、1:8:4、1:8:6になるようにし、室温で15分間インキュベートした。各PNC比について、得られたpDNA/PEI/γ−PGA複合体の表面電荷(ζ電位)および粒子径を、それぞれゼータサイザーナノ(Nano-ZS、Malvern 社製)を用いて測定した。また、同様の方法でコンドロイチン硫酸、アルギン酸について検討した。
(結果)
粒子径と表面電荷の測定結果を図1に示す。棒グラフが粒子径、線グラフが表面電荷の数値を表す。三種類のアニオン性分子全てにおいてPNC比が1:8:4のものと1:8:6のものは粒子径がpDNA/PEI複合体とほぼ同等であり、負の表面電荷を有していた。表面電荷が安定したアニオン性を示すことから、以後の遺伝子導入実験では、特にことわらない限りPNC比1:8:6の複合体を用いた。
(方法)
実施例1で調製した3種のpDNA/PEI/γ−PGA複合体と、実施例1と同様にして調製したpDNA/PEI/CS(分子量10万以下)複合体(PNC比(但し、CはCS中のカルボキシル基およびスルホン酸基のモル数を意味する。以下の実施例においても同様)1:8:6)およびpDNA/PEI/AGA(分子量12000 〜80000)複合体(PNC比1:8:6)とについて、赤血球溶液(2%、v/v)と混合し、室温で15分インキュベートし、凝集を誘発するか否かを調べた。測定は顕微鏡下(400倍)で行った。
(結果)
結果を図2に示す。pDNA/PEI複合体と接触させた場合は赤血球が凝集したが、pDNA/PEI/γ−PGA複合体、pDNA/PEI/CS複合体、pDNA/PEI/AGA複合体はどれも赤血球の凝集を誘発しなかった。
(方法)
分子量の4種類(Aタイプ:1,500,000、Bタイプ:500,000〜800,000、Cタイプ:200,000〜400,000、Dタイプ:10,000〜100,000)のγ-PGAを用い、実施例1と同様にしてpDNA/PEI/γ−PGA複合体(それぞれについてPNC比1:8:2、1:8:4、1:8:6)を作製した。各複合体を0.8%アガロースゲル電気泳動に付し、泳動後ゲルをEtBrで染色した。
(結果)
結果を図3に示す。Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのγ-PGAを使用した場合、PNC比1:8:4と1:8:6の複合体ではpDNAの流出が認められたが、Dタイプのγ-PGAを使用した複合体では、調べた全てのPNC比においてpDNAの流出が認められなかった。配合比に関係なく優れたpDNA保持能を示すことから、以後の実験では、特に断わらない限りDタイプのγ−PGAを用いた。
(方法)
実施例3のDタイプのγ−PGA、Dタイプに分子量が近似しているα−PGAを使用して、実施例1と同様にしてpDNA/PEI/γ−もしくはα−PGA複合体(それぞれPNC比が1:8:2、1:8:4、1:8:6、1:8:8)を作製し、実施例3と同様にして複合体のpDNA保持能を調べた。同様に、pDNA/PEI/CSもしくはAGA複合体(それぞれPNC比が1:8:2、1:8:4、1:8:6)も作製し、pDNA保持能を調べた。
(結果)
結果を図4に示す。α−PGAを使用した場合はα−PGAの配合比が高くなるにつれてpDNAの流出が認められたが、γ−PGAを使用した場合は調べた全てのPNC比においてpDNAの流出が認められなかった。また、アニオン性分子としてCSまたはAGAを使用した場合でも、調べた全てのPNC比においてpDNAの流出が認められなかった。
(方法)
pDNAとして緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするpEGFP−C1を用い、ローダミンBで蛍光標識したPEI(R−PEI)と、種々のポリアニオン(ポリA、ポリIC、フコイダン、λ−カラギーナン、キサンタン、α-ポリアスパラギン酸、α−PGA、γ−PGA、CS、AGA)とを用いて、実施例1と同様にしてpDNA/R−PEI/ポリアニオン複合体を作製した。各複合体をB16/F10メラノーマ細胞(入手元:東北大学加齢医学研究所)と血清非存在下で2時間接触させ、接触後にさらに22時間培養した後の蛍光顕微鏡下での蛍光を観察した。
(結果)
結果を図5および6に示す。上段は細胞内取り込みにより発色する様子を、下段は遺伝子発現により発色する様子を示している。pDNA/R−PEI複合体、pDNA/R−PEI/γ−PGA複合体、pDNA/PEI/CS複合体、pDNA/PEI/AGA複合体は上下段とも発色が認められたが、他の複合体では上下段とも発色は認められなかった。
(方法)
pDNAとしてホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpCMV−Lucを用い、非標識のPEIを用いる以外は、実施例5と同様の方法でpDNA/PEI/ポリアニオン複合体を作製して、B16/F10メラノーマ細胞にトランスフェクトし、遺伝子発現を定量化した。また、WST−1アッセイ(文献:In Vitro Toxicol. 8, 187-190 (1995))により、細胞毒性を評価した。
(結果)
遺伝子発現の程度を図7、細胞毒性の程度を図8に示す。図7より、アニオン性分子としてγ−PGAまたはCSを使用した複合体によるルシフェラーゼ発現は、pDNA/PEI複合体と比較して有意に低いものの、十分高レベルであった。AGAを使用した場合も、γ−PGAやCSと比べて発現レベルは低いが、遺伝子導入試薬としての使用にたえ得る程度の発現が認められた。また、図8より、pDNA/PEI/γ−PGA、CSもしくはAGA複合体では、pDNA/PEI複合体に比べて、細胞の生存率が顕著に高く、これらのアニオン性分子でpDNA/PEI複合体を被覆することによって、細胞毒性が大きく改善されることが示された。
(方法)
実施例6の要領で、γ−PGA、CSおよびAGAについて、それぞれPNC比が1:8:4、1:8:6、1:8:8となるようにpDNA/PEI/ポリアニオン複合体を作製し、B16/F10メラノーマ細胞にトランスフェクトした場合のルシフェラーゼ発現を測定、比較した。
(結果)
結果を図9に示す。いずれのアニオン性分子においても、調べたPNC比の範囲で、ほぼ同等の遺伝子発現が認められた。
(方法)
pDNA/PEI複合体、pDNA/PEI/γ−PGA複合体およびpDNA/PEI/CS複合体をddY系雄性マウス(5週齢、SLCより入手)3匹の尾静脈内にpDNA量として40μg投与し、6、12、24時間後に肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺を摘出し、各臓器におけるルシフェラーゼ発現を測定した。
(結果)
結果を図10に示す。pDNA/PEI/γ−PGAもしくはCS複合体を投与した場合、pDNA/PEI複合体と比較して肺でのルシフェラーゼ発現が顕著に抑制され、脾臓でのみ臓器1gあたり106RLUを超える高レベルの発現が認められ、γ-PGAもしくはCSの利用により、全身投与によっても高い選択性をもって脾臓に遺伝子導入され得ることが示された。
(方法)
カチオン性分子としてPEIの代わりにポリリジン、ポリアルギニン、プロタミンを用いる以外は、実施例1と同様にしてpDNA/カチオン性分子/γ−PGA複合体(それぞれについてPNC比1:8:2、1:8:4、1:8:6)を作製し、実施例3と同様にしてpDNA保持能を検定した。
(結果)
結果を図11に示す。全ての複合体でpDNAの流出が見られず、γ−PGAで被覆することにより、カチオン性分子の種類に関係なくpDNAが安定に内包されることが示された。
(方法)
pDNAとしてホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpCMV−Lucを用い、カチオン性分子としてポリリジン、ポリアルギニンまたはプロタミンを、アニオン性分子としてγ−PGAをそれぞれ用いてpDNA/カチオン性分子/γ−PGA複合体を作製し、実施例6と同様にしてB16/F10メラノーマ細胞にトランスフェクトし、遺伝子発現を定量化した。
(結果)
結果を図12に示す。いずれのカチオン性分子を用いた場合でも、γ−PGAで被覆した複合体は、被覆していないカチオン性複合体と同等の発現を示した。
(方法)
pDNAを、代表的なカチオン性リポソームであるDOTMA−DOPEまたはDOTMA−CHOLを作製してリポソームと混合し、室温で15分間インキュベートし、複合体を形成した。さらに、このpDNA内包リポソームの懸濁液とγ−PGA溶液とを混合し、室温で15分間インキュベートすることにより、該リポソームをγ−PGAで被覆した複合体も作製した(それぞれについてPNC比1:2:2〜12。但し、NはDOTMA中のトリメチルアンモニウム基のモル数を意味する)。実施例3と同様にしてこれらの複合体を電気泳動した。また、実施例6と同様にしてこれらの複合体と細胞を接触させてルシフェラーゼ活性を測定した。
(結果)
電気泳動の結果を図13に、ルシフェラーゼ活性の測定結果を図14に示す。図13に示される通り、いずれのカチオン性リポソームを用いた場合でも、調べた全てのPNC比の範囲で複合体からのpDNAの流出が見られず、安定にpDNAが内包されていることがわかった。また、図14より、いずれのカチオン性リポソームをγ-PGAで被覆した場合でも、被覆していないリポソームと同等の遺伝子発現を示すことが明らかとなった。
(方法)
常法により作製したDOTMA−CHOLリポソームまたは1−アミドデカンミセルを作製と、γ−PGA溶液とを種々の割合で混合し、室温で30分間インキュベートすることにより、該リポソームまたはミセルをγ−PGAで被覆した複合体を作製した。これらの複合体を実施例3と同様にして電気泳動した。
(結果)
結果を図15に示す。図中、上がマイナス極、下がプラス極である。カチオン性リポソームとカチオン性ミセルとはそのままの状態ではどちらもマイナス極側に移行するが、γ−PGAで被覆することにより、プラス極側に移行していることが確認された。したがって、γ−PGAがカチオン性リポソームとカチオン性ミセルのどちらも内包できることが明らかになった。
Claims (10)
- 薬物とカチオン性分子との複合体およびそれを内包するアニオン性分子を含有し、実質的に非荷電であるか負の表面電荷を有する薬物送達複合体であって、該アニオン性分子がγ−ポリグルタミン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸およびそれらの塩からなる群より選択される、薬物送達複合体。
- 薬物とカチオン性分子との複合体が、薬物とカチオン性分子との自己組織化による複合体、薬物を内包するカチオン性ミセルおよび薬物を内包するカチオン性リポソームからなる群より選択される、請求項1記載の薬物送達複合体。
- 薬物が核酸、ペプチド、タンパク質、多糖および低分子化合物からなる群より選択される、請求項1または2記載の薬物送達複合体。
- カチオン性分子の正電荷を有する官能基と、アニオン性分子の負電荷を有する官能基とのモル比が3:1〜1:4である、請求項1〜3のいずれかに記載の薬物送達複合体。
- アニオン性分子の分子量が10万以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の薬物送達複合体。
- アニオン性分子がγ−ポリグルタミン酸またはその塩である、請求項5記載の薬物送達複合体。
- 薬物を脾臓に送達させるためのものである、請求項1〜6のいずれかに記載の薬物送達複合体。
- 全身投与可能な請求項1〜7のいずれかに記載の薬物送達複合体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の薬物送達複合体を細胞に接触させることを特徴とする、該細胞内への薬物送達方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の薬物送達複合体を哺乳動物に投与することを特徴とする、該動物の細胞内への薬物送達方法。
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