JP2008174490A - 抗原性ペプチドを主成分とする薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、抗原性ペプチドの投与において効率的・安定的に免疫誘導を得られる検討を進め、抗原性ペプチドの投与において鉱物油エマルションなどを利用しなくても免疫誘導を可能とする薬剤を提供することを課題とする。
【解決手段】抗原性ペプチドを皮内または皮下投与する場合、水溶液の状態では拡散が早く免疫担当細胞に認識される前に抗原が拡散して、高い免疫誘導が得られない。抗原性ペプチドの複合体を形成して不溶化する事で、投与時の免疫誘導能を得る事が可能である。抗原性ペプチドの投与において、抗原性ペプチドの抗原決定基を阻害しない末端に塩基性アミノ酸等を結合させ、ポリマー粒子と混合して形成される複合体を投与することによる。
【選択図】 なし
【解決手段】抗原性ペプチドを皮内または皮下投与する場合、水溶液の状態では拡散が早く免疫担当細胞に認識される前に抗原が拡散して、高い免疫誘導が得られない。抗原性ペプチドの複合体を形成して不溶化する事で、投与時の免疫誘導能を得る事が可能である。抗原性ペプチドの投与において、抗原性ペプチドの抗原決定基を阻害しない末端に塩基性アミノ酸等を結合させ、ポリマー粒子と混合して形成される複合体を投与することによる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤に関し、抗原としての機能を有するペプチドを用いて免疫を行う際、効率的、安定的に免疫反応を惹起する事を可能とする薬剤であり、新規な免疫複合体、特に抗原性ペプチドとポリマー粒子との複合体に関する。
MHCI又はMHCII拘束性のペプチド抗原を用いて免疫を行う際、生理食塩水単体で抗原により免疫を行うと免疫誘導能が低く効率的でない。そこで、従来ではフロイントの完全または不完全アジュバントなどの鉱物油とのエマルション化や、水酸化アルミニウムとの不溶性複合体を調製して、皮内や皮下に投与を行っている(非特許文献1)。これらのエマルションや不溶性複合体が皮内や皮下での抗原拡散を抑制して、免疫誘導能を持たせている。ただし、これら免疫時に用いる調製方法は、エマルションなどの場合であれば調製に手間がかかるなどの問題がある。また、長期間保存できないため、要時調製が必要であるため医療現場では不便であるといった問題がある。
医学大辞典 南山堂 18版 p.19
医学大辞典 南山堂 18版 p.19
本発明は、上記問題点に鑑みて、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤を生体内に投与するに際し、鉱物油エマルションなどを利用しなくても免疫誘導を可能とする薬剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために抗原性ペプチドの投与において、効率的・安定的に免疫誘導が得られるよう鋭意研究を重ねた結果、抗原性ペプチドを投与部において不溶化することによって、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
つまり本発明は以下よりなる;
1.抗原性ペプチドを主成分とする薬剤であって、該薬剤の生体投与の際に、該抗原性ペプチドが不溶化されていることを特徴とする、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤。
2.抗原性ペプチドを不溶化させる手段が、該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させることによる前項1に記載の薬剤。
3.抗原性ペプチドとポリマー粒子を同時に同一箇所に投与することによって、該投与箇所において該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させ、不溶化されていることを特徴とする前項2に記載の薬剤。
4.あらかじめ抗原性ペプチドとポリマー粒子を混合して複合体化させたものを、製剤化してなる前項2の薬剤。
5.抗原性ペプチドが、MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつペプチドである前項1〜4の何れか一に記載の薬剤。
6.複合体形成の際に、抗原性ペプチドのN末端及び/又はC末端に介在物質を結合させてなる前項1〜5の何れか一に記載の薬剤。
7.介在物質が、アルギニン、ヒスチジン、リジンから選ばれる塩基性アミノ酸である前項6に記載の薬剤。
8.ポリマー粒子が、生体適合性を有し、表面電位がアニオン性であり、塩基性アミノ酸との反応性を有し、抗原性ペプチドとの複合体形成が可能である前項2〜7の何れか一に記載の薬剤。
9.ポリマー粒子が、生体分解性を有するポリマー粒子である前項8の薬剤。
10.抗原性ペプチドとポリマー粒子とによって形成された複合体が、抗原性ペプチドの末端に結合する塩基性アミノ酸由来のカチオン量が、ポリマー粒子のアニオン量より多い混合比率である前項6〜9の何れか一に記載の薬剤。
11.以下の式からなる免疫複合体;
(MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつ抗原性ペプチド)−(X)n−P
〔式中Pはポリマー粒子であり、Xは塩基性アミノ酸であり、Xは抗原性ペプチドのN末及び/又はC末に結合しており、nは2〜15の整数である。〕
1.抗原性ペプチドを主成分とする薬剤であって、該薬剤の生体投与の際に、該抗原性ペプチドが不溶化されていることを特徴とする、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤。
2.抗原性ペプチドを不溶化させる手段が、該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させることによる前項1に記載の薬剤。
3.抗原性ペプチドとポリマー粒子を同時に同一箇所に投与することによって、該投与箇所において該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させ、不溶化されていることを特徴とする前項2に記載の薬剤。
4.あらかじめ抗原性ペプチドとポリマー粒子を混合して複合体化させたものを、製剤化してなる前項2の薬剤。
5.抗原性ペプチドが、MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつペプチドである前項1〜4の何れか一に記載の薬剤。
6.複合体形成の際に、抗原性ペプチドのN末端及び/又はC末端に介在物質を結合させてなる前項1〜5の何れか一に記載の薬剤。
7.介在物質が、アルギニン、ヒスチジン、リジンから選ばれる塩基性アミノ酸である前項6に記載の薬剤。
8.ポリマー粒子が、生体適合性を有し、表面電位がアニオン性であり、塩基性アミノ酸との反応性を有し、抗原性ペプチドとの複合体形成が可能である前項2〜7の何れか一に記載の薬剤。
9.ポリマー粒子が、生体分解性を有するポリマー粒子である前項8の薬剤。
10.抗原性ペプチドとポリマー粒子とによって形成された複合体が、抗原性ペプチドの末端に結合する塩基性アミノ酸由来のカチオン量が、ポリマー粒子のアニオン量より多い混合比率である前項6〜9の何れか一に記載の薬剤。
11.以下の式からなる免疫複合体;
(MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつ抗原性ペプチド)−(X)n−P
〔式中Pはポリマー粒子であり、Xは塩基性アミノ酸であり、Xは抗原性ペプチドのN末及び/又はC末に結合しており、nは2〜15の整数である。〕
本発明の薬剤は、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤に関し、生体への投与部において、抗原ペプチドが複合体を形成し、不溶化されている状態となっているので、薬剤投与後の免疫誘導能を得ることが可能となる。すなわち、従来では抗原性ペプチドをそのまま皮内または皮下投与する際に、水溶液の状態では拡散が早く免疫担当細胞に認識される前に抗原が拡散してしまい、高い免疫誘導が得られなかったが、本発明の薬剤により、投与時において抗原性ペプチドの複合体が形成され、不溶化されているので、投与後の免疫誘導能を得る事が可能である。
本発明において、薬剤とは人体または動物などの生体に投与しうる薬剤をいう。人体に投与しうる薬剤としては、抗原性を有するペプチドを有効成分とする製剤や医薬品等があげられる。また、動物に投与しうる薬剤としては、人体と同様に抗原性を有するペプチドを有効成分とする製剤や医薬品の他、例えば実験に用いる抗原性ペプチドを含む試薬などの薬剤が考えられる。
本発明において、抗原性ペプチドとは、いわゆるMHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもち、少なくとも5個以上、好ましくは7個以上の連続したアミノ酸配列を有する生物活性物質由来のペプチドであって、抗原性を担持していればよく、アミノ酸数の最大値は実質的に限定されない。しかし、一般的には、MHCI拘束性のペプチドは、8〜10のアミノ酸数であり、MHCII拘束性のペプチドは12〜15のアミノ酸数であるといわれている。したがって、このような配列を含み、機能するのであれば特に限定されない。抗原性ペプチドとしては、ウイルス表面抗原、細菌膜抗原、癌抗原等が例示されるがこれに限定されるものではない。
抗原性ペプチドの生体への投与部とは、抗原性ペプチドを投与した際に、免疫誘導を起こしうる部位をいう。例えば、皮下又は皮内投与の場合は、腕、臀部等が一般的である。当該抗原性ペプチドを不溶化させるとは、投与した抗原性ペプチドが投与部で拡散しない状態を維持しており、体液等によって抗原性ペプチドが拡散されない状態をいう。
本発明において、不溶化させるとは、例えば、抗原性ペプチドにポリマー粒子を結合させ、ポリマー粒子の機能により、抗原性ペプチドが拡散しないようにすることをいい、抗原性ペプチドにポリマー粒子を結合させる手段は、特に限定されない。ポリマー粒子は、投与時には投与操作性が確保でき、投与後には投与部で拡散性が小さいものが好ましく、そのようなポリマーの粒子径は、1nm以上であって、500nm以下が望ましい。好適には、10〜400nm、より好適には50〜300nm、さらに好適には80〜250nmが例示される。粒子径は、この範囲内であれば操作性と効果を考慮して適宜変更可能である。
本発明で使用する好適なポリマー粒子は、表面電位がアニオン性であり生体適合性をもち、介在物質である塩基性アミノ酸との反応性をもち、この反応性により抗原性ペプチドとポリマー粒子の複合体形成が可能である。
ポリマーの材質は、生体内投与であることから、生体分解性であり、水不溶性であることが好適である。このようなポリマー粒子としては、ポリ乳酸、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)、キトサン、ポリγ−グルタミン酸などが例示され、好適にはポリ乳酸−グリコール酸の粒子が好適に例示される。ポリマーの分子量は適宜選択できるが、数平均分子量が1000〜50000、好ましくは2000〜30000、より好ましくは3000〜25000である。
本発明において、抗原性ペプチドとポリマー複合体化させるとは、薬剤の投与部位において、抗原性ペプチドとポリマー複合体化されていれば良い。したがって、抗原性ペプチドとポリマー粒子を別々に調製し、抗原性ペプチドとポリマー粒子を同時に同一箇所に投与することによって、該投与部位において該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させても良い。つまり、本発明の薬剤は、例えば抗原性ペプチドとポリマー粒子をあらかじめ結合させることなく、別々に調製して製剤化し、両者を同時に同部位に投与し、当該投与部位において両者が接触し、複合体を形成させることによって得られる。このようにして得た抗原性ペプチドを主成分とする薬剤では、主成分である抗原性ペプチドの拡散を防止することができ、目的を達成しうる。
あるいは、抗原性ペプチドとポリマー複合体化させるとは、あらかじめ抗原性ペプチドとポリマー粒子を混合して複合体化させたものであっても良い。そのようにして調製して製剤化した薬剤を投与することで、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤では、主成分である抗原性ペプチドの拡散を防止することができ、目的を達成しうる。
本発明において、抗原性ペプチドとポリマー粒子との結合のために介在物質を設けることができる。介在物質として、両化合物との結合性を有する物質を介在させることが簡便で都合が良い。そのような介在物質としては、塩基性アミノ酸が好適に例示され、非天然型の塩基性アミノ酸であってもよい。本発明で使用する塩基性アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジンから選ばれることが好適である。特に望ましくは、アルギニンである。さらに介在物質は一種類である必要はなく、三種又は複数のアミノ酸をランダムに結合させてもよい。介在物質は、抗原性ペプチドのN末端及び/又はC末端に結合させることができる。本発明において、抗原性ペプチドに結合する介在物質は、例えば塩基性アミノ酸の残基数は少なくとも2残基以上であればよい。好適な残基数は、2〜15、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10である。
本発明で介在物質である塩基性アミノ酸を介して、抗原性ペプチドとポリマー粒子とによって形成された複合体は、抗原性ペプチドの末端に結合する塩基性アミノ酸等に由来のカチオン量が、ポリマー粒子のアニオン量より多い混合比率であることが好ましい。
本発明の免疫複合体は、化合物として以下の式で示すことができる。
式1;
(MHCI又はMHCII拘束性の配列を有する抗原性ペプチド)−(X)n−P
〔式中Pはポリマー粒子であり、Xは塩基性アミノ酸であり、Xは抗原性ペプチドのN末及び/又はC末に結合している、nは2〜15の整数〕
各化合物の定義は上述のとおりである。
式1;
(MHCI又はMHCII拘束性の配列を有する抗原性ペプチド)−(X)n−P
〔式中Pはポリマー粒子であり、Xは塩基性アミノ酸であり、Xは抗原性ペプチドのN末及び/又はC末に結合している、nは2〜15の整数〕
各化合物の定義は上述のとおりである。
以下で本発明を実施例で説明するが、これらは本発明の好適な一例を例示するものでああて、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例・比較例1)
卵白アルブミンの抗原の抗原性ペプチド(OVAペプチド)を用いてマウス(C57BL/6、♀、8週齢)に投与して免疫誘導を実施した。抗原性ペプチドは通常のOVAペプチドおよびOVAペプチドにアルギニンを7残基結合したものを合成した(R7−OVAペプチド)。また、ポリマー粒子は表面にカルボキシル基を有するポリスチレン粒子を使用した。
卵白アルブミンの抗原の抗原性ペプチド(OVAペプチド)を用いてマウス(C57BL/6、♀、8週齢)に投与して免疫誘導を実施した。抗原性ペプチドは通常のOVAペプチドおよびOVAペプチドにアルギニンを7残基結合したものを合成した(R7−OVAペプチド)。また、ポリマー粒子は表面にカルボキシル基を有するポリスチレン粒子を使用した。
OVAペプチド:SIINFEKL(Sigma Genosys) (配列番号1)
R7-OVAペプチド:RRRRRRRSIINFEKL(Sigma Genosys) (配列番号2)
R7-OVAペプチド:RRRRRRRSIINFEKL(Sigma Genosys) (配列番号2)
ポリマー粒子:FluoSpheresR carboxylate-modified microspheres
yellow-green fluorescen(Invitrogen社製)
粒径 20nm 固形分濃度 2%
yellow-green fluorescen(Invitrogen社製)
粒径 20nm 固形分濃度 2%
抗原性ペプチドを生理食塩水に溶解して調製した。1回の投与量200μl中に、表1に示したmol数が含まれるように混合条件を変化させた。また、ポリマー粒子も表1に示した固形分濃度となるように混合条件を変化させた。
抗原性ペプチドは1週間間隔で2回投与を行った。2回目の投与から1週間後に脾臓を摘出して細胞を回収し、ELISPOT法により通常のOVAペプチドに対して特異的な免疫活性を評価した。
R7−OVAペプチドとポリスチレン粒子を混合した群では、生理食塩水溶液での投与でもCTL活性の上昇が得られた。その効果として、R7−OVAペプチドのカチオン性とポリマー粒子のアニオン性が相互に反応し、その結果不溶性の複合体を形成して、投与後の皮内での拡散が抑制され免疫効果が現れたと考えられる。その他のR7を付加していない群や、ポリマー粒子を用いない群では、複合体の形成は認められず、免疫活性の上昇も認められなかった。
(実施例・比較例2)
実施例1と同様に、卵白アルブミンの抗原性ペプチド(OVAペプチド)を用いてマウス(C57BL/6、♀、8週齢)での免疫誘導を実施した。抗原性ペプチドは通常のOVAペプチドおよびOVAペプチドにアルギニンを7残基付加したものを合成した(R7−OVAペプチド)。また、ポリマー粒子は生体分解性樹脂であるポリ乳酸(PLA)またはポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)からなる粒子を作成した。
実施例1と同様に、卵白アルブミンの抗原性ペプチド(OVAペプチド)を用いてマウス(C57BL/6、♀、8週齢)での免疫誘導を実施した。抗原性ペプチドは通常のOVAペプチドおよびOVAペプチドにアルギニンを7残基付加したものを合成した(R7−OVAペプチド)。また、ポリマー粒子は生体分解性樹脂であるポリ乳酸(PLA)またはポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)からなる粒子を作成した。
OVAペプチド:SIINFEKL(Sigma Genosys) (配列番号1)
R7-OVAペプチド:RRRRRRRSIINFEKL(Sigma Genosys)(配列番号2)
R7-OVAペプチド:RRRRRRRSIINFEKL(Sigma Genosys)(配列番号2)
生体分解性樹脂:
(1)PLGA5020(乳酸/グリコール酸=50/50、分子量 20000、Wako社製)
(2)PLGA5005(乳酸/グリコール酸=50/50、分子量 5000、Wako社製)
(3)PLA0020(乳酸/グリコール酸=100/0、分子量 20000、Wako社製)
(1)PLGA5020(乳酸/グリコール酸=50/50、分子量 20000、Wako社製)
(2)PLGA5005(乳酸/グリコール酸=50/50、分子量 5000、Wako社製)
(3)PLA0020(乳酸/グリコール酸=100/0、分子量 20000、Wako社製)
(粒子の調製)
各樹脂をアセトン5mlに(0.5、1.0、2.0、3.0%)となるように溶解した。これを15mlの蒸留水中に添加して攪拌した。室温で4時間攪拌してアセトンを揮散させ、各樹脂の粒子水分散液を得た。
各樹脂をアセトン5mlに(0.5、1.0、2.0、3.0%)となるように溶解した。これを15mlの蒸留水中に添加して攪拌した。室温で4時間攪拌してアセトンを揮散させ、各樹脂の粒子水分散液を得た。
粒子の粒径および表面ゼータ電位をレーザーゼータ電位計(ELS-8000、大塚電子社製)を用いて測定した。粒径はアセトン溶解濃度が高くなるに従って大きくなり、96.8〜204.4nmまでの粒子を得た。
また、表面ゼータ電位のいずれも負側を示しており、カチオン性のR7−OVAペプチドと上記の粒子を混合した結果、速やかに凝集が認められた。
(免疫誘導実験)
抗原性ペプチドを生理食塩水に溶解して調製。1回の投与量200μl中に、表3に示したmol数が含まれるように混合条件を変化させた。また、ポリマー粒子は上記で作成した中から、[PLGA5020:0.5%、1.0%、2.0%、3.0%]、[PLGA5005:1.0%]、[PLA0020:0.5%]品を利用して免疫誘導実験を実施した。粒子濃度は表3に示した固形分濃度となるように混合条件を変化させた。
抗原性ペプチドを生理食塩水に溶解して調製。1回の投与量200μl中に、表3に示したmol数が含まれるように混合条件を変化させた。また、ポリマー粒子は上記で作成した中から、[PLGA5020:0.5%、1.0%、2.0%、3.0%]、[PLGA5005:1.0%]、[PLA0020:0.5%]品を利用して免疫誘導実験を実施した。粒子濃度は表3に示した固形分濃度となるように混合条件を変化させた。
抗原性ペプチドの投与は1週間間隔で2回投与を行った。2回目の免疫投与から1週間後に脾臓を摘出して細胞を回収、ELISPOT法により通常のOVAペプチドに対して特異的な免疫活性を評価した。
R7−OVAペプチドとPLGAまたはPLA樹脂製粒子を混合した群では、生理食塩水溶液での投与でもCTL活性の上昇が得られた。実施例1と同様に、R7−OVAペプチドのカチオン性とPLGAまたはPLA粒子のアニオン性が相互に作用し、その結果不溶性の複合体を形成して、投与後に皮内での拡散が抑制され免疫効果が現れたと考えられる。その他のR7を付加していない群や、ポリマー粒子を用いない群では複合体の形成は認められず、免疫活性の上昇も認められなかった。
Claims (11)
- 抗原性ペプチドを主成分とする薬剤であって、該薬剤の生体投与の際に、該抗原性ペプチドが不溶化されていることを特徴とする、抗原性ペプチドを主成分とする薬剤。
- 抗原性ペプチドを不溶化させる手段が、該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させることによる請求項1に記載の薬剤。
- 抗原性ペプチドとポリマー粒子を同時に同一箇所に投与することによって、該投与箇所において該抗原性ペプチドとポリマー粒子を複合体化させ、不溶化されていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤。
- あらかじめ抗原性ペプチドとポリマー粒子を混合して複合体化させたものを、製剤化してなる請求項2の薬剤。
- 抗原性ペプチドが、MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつペプチドである請求項1〜4の何れか一に記載の薬剤。
- 複合体形成の際に、抗原性ペプチドのN末端及び/又はC末端に介在物質を結合させてなる請求項1〜5の何れか一に記載の薬剤。
- 介在物質が、アルギニン、ヒスチジン、リジンから選ばれる塩基性アミノ酸である請求項6に記載の薬剤。
- ポリマー粒子が、生体適合性を有し、表面電位がアニオン性であり、塩基性アミノ酸との反応性を有し、抗原性ペプチドとの複合体形成が可能である請求項2〜7の何れか一に記載の薬剤。
- ポリマー粒子が、生体分解性を有するポリマー粒子である請求項8の薬剤。
- 抗原性ペプチドとポリマー粒子とによって形成された複合体が、抗原性ペプチドの末端に結合する塩基性アミノ酸由来のカチオン量が、ポリマー粒子のアニオン量より多い混合比率である請求項6〜9の何れか一に記載の薬剤。
- 以下の式からなる免疫複合体;
(MHCI又はMHCII拘束性の機能を担持する配列特性をもつ抗原性ペプチド)−(X)n−P
〔式中Pはポリマー粒子であり、Xは塩基性アミノ酸であり、Xは抗原性ペプチドのN末及び/又はC末に結合しており、nは2〜15の整数である。〕
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-
2007
- 2007-01-18 JP JP2007009389A patent/JP2008174490A/ja active Pending
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