JP2010059027A - セラミック粉末の製造方法、誘電体セラミックの製造方法、セラミック粉末、誘電体セラミック、および積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 積層セラミックコンデンサに用いられるBaTiO3系誘電体材料に関し、誘電率が高く、温度特性が良好で、かつ信頼性の高い、誘電体セラミックおよびその製造方法、ならびに、上述の誘電体セラミックに適したセラミック粉末およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、主成分粉末を用意する第1の工程と、前記主成分粉末の粒子の表面に、少なくともBa化合物を担持させる第2の工程と、前記粒子の表面にBa化合物を担持させた主成分粉末を熱処理する第3の工程と、
を備える製造方法によって得られたセラミック粉末を用いて、積層セラミックコンデンサを作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、主成分粉末を用意する第1の工程と、前記主成分粉末の粒子の表面に、少なくともBa化合物を担持させる第2の工程と、前記粒子の表面にBa化合物を担持させた主成分粉末を熱処理する第3の工程と、
を備える製造方法によって得られたセラミック粉末を用いて、積層セラミックコンデンサを作製する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、積層セラミックコンデンサに用いられる誘電体セラミックとその製造方法に関し、さらに、誘電体セラミックに用いられるセラミック粉末とその製造方法に関する。
本発明の主用途である積層セラミックコンデンサは、以下のようにして製造されるのが一般的である。
まず、その表面に、所望のパターンをもって内部電極となる導電材料を付与した、誘電体セラミック原料を含むセラミックグリーンシートが用意される。
次に、上述した導電材料を付与したセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、熱圧着され、それによって一体化された生の積層体が作製される。
次に、この生の積層体は焼成され、それによって、焼結後の積層体が得られる。この積層体の内部には、上述した導電材料をもって構成された内部電極が形成されている。
次いで、積層体の外表面上に、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように、外部電極が形成される。外部電極は、たとえば、導電性金属粉末およびガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体の外表面上に付与し、焼き付けることによって形成される。このようにして、積層セラミックコンデンサが完成される。
積層セラミックコンデンサでは、小型化・大容量化を達成するため、誘電体セラミックには高い誘電率を有することが求められ、具体的にはBaTiO3系材料がよく用いられる。
このBaTiO3は基本的には強誘電体である。ただ実用的には、高い誘電率、温度特性および信頼性をそれぞれ確保するために、添加物を結晶粒子の表層付近のみに拡散させたコア・シェル構造などが多数みられる。特許文献1には、BaTiO3を主成分とし、コア・シェル構造を有する誘電体セラミックが開示されている。
特開2002−80276号公報
最近では、積層セラミックコンデンサに小型化・大容量化が求められているため、セラミック層一層当たりの厚みが薄くなってきている。よって、これまで以上に高い信頼性が求められるとともに、誘電率や温度特性も劣化させてはならない。
しかしながら、特許文献1に記載のコア・シェル構造を有する誘電体セラミックにおいては、薄層化を進めた場合、信頼性、誘電率、温度特性の水準がまだまだ不足であった。
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、誘電率が高く、温度特性が良好で、かつ信頼性の高い、誘電体セラミックおよびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上述の誘電体セラミックに適したセラミック粉末およびその製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である。)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、主成分粉末を用意する第1の工程と、前記主成分粉末の粒子の表面に、少なくともBa化合物を担持させる第2の工程と、前記粒子の表面にBa化合物を担持させた主成分粉末を熱処理する第3の工程と、を備えることを特徴とする、セラミック粉末の製造方法である。
また、本発明のセラミック粉末の製造方法においては、前記第2の工程において、さらにTi化合物を担持させることが好ましい。
さらに、本発明のセラミック粉末の製造方法においては、前記第3の工程の後に、前記セラミック粉末に対し、希土類元素、Mg化合物、Mn化合物、Si化合物のうち少なくとも一種を混合させる第4の工程を備えてもよい。
また、本発明は、本発明のセラミック粉末を成形し、成形体を得る工程と、前記成形体を焼成する工程と、を備える、誘電体セラミックの製造方法にも向けられる。
本発明は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である。)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、セラミック粉末にも向けられる。
また、本発明のセラミック粉末は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。)を主成分とする組成を有するとともに、個数割合にして50%以上の粒子において、粒子が単結晶であり、かつ粒子の表面に非晶質層が形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。)を主成分とする組成を有し、結晶粒子と結晶粒界とを備える誘電体セラミックにも向けられ、個数割合にして50%以上の結晶粒子が、単結晶であるコア部と、前記コア部を被覆するシェル部とを備えていることを特徴とする。
また、本発明は、積層された複数の誘電体セラミック層と、これらの誘電体セラミック層間に配置された内部電極と、これらの内部電極に電気的に接続された外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサにも向けられ、上記誘電体セラミック層が、本発明の誘電体セラミックにより形成されていることを特徴とする。
本発明においては、ABO3主成分粉末のA/B比が0.95〜0.98と化学量論比より低く設定されているため、粒子表面にBa化合物が担持されて熱処理されたとき、担持されたBa化合物が粒子の表層部のみに固溶し、粒子表面に非晶質層が形成される。このようにして得られたセラミック粉末は、内部が単結晶であるため非常に結晶化度が高く、かつ表層部は非晶質のため非常に結晶化度が低い状態になっている。この状態において、希土類元素などの副成分を添加し、これをセラミック原料粉末として焼成した際、副成分が結晶化度の低い表層部のみに効率的に固溶し、かつ、結晶化度の高い内部には殆ど固溶しなくなる。こうして得られた誘電体セラミックは、コアとシェルの境界が非常に急峻であるコア・シェル構造をとなる。このような誘電体セラミック、およびその製造方法により、誘電率や温度特性を落とすことなく、信頼性を高めることができる。
また、ABO3主成分粉末の粒子表面にBa化合物を担持させる際、同時にTi化合物をも担持させた場合、熱処理により形成される粒子表面の非晶質層の均質性が高まるため、信頼性がさらに向上する。
以上、本発明のセラミック粉末、およびその製造方法、ならびに本発明のセラミック粉末を用いた誘電体セラミックおよびその製造方法を用いることによって、小型・大容量に優れ、かつ温度特性や信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
まず、本発明の誘電体セラミックの主要な用途である、積層セラミックコンデンサについて説明する。図1は一般的な積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、直方体状のセラミック積層体2を備えている。セラミック積層体2は、複数の積層された誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3間の界面に沿って形成された複数の内部電極4および5とを備えている。内部電極4および5は、セラミック積層体2の外表面にまで到達するように形成されるが、セラミック積層体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、セラミック積層体2の内部において、誘電体セラミック層3を介して静電容量を取得できるように交互に配置されている。
内部電極4および5の導電材料は、低コストであるニッケルもしくはニッケル合金が好ましい。
前述した静電容量を取り出すため、セラミック積層体2の外表面上であって、端面6および7上には、内部電極4および5のいずれか特定のものに電気的に接続されるように、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。外部電極8および9に含まれる導電材料としては、内部電極4および5の場合と同じ導電材料を用いることができ、さらに、銀、パラジウム、銀−パラジウム合金なども用いることができる。外部電極8および9は、このような金属粉末にガラスフリットを添加して得られた導電性ペーストを付与し、焼き付けることによって形成される。
また、外部電極8および9上には、必要に応じて、ニッケル、銅などからなる第1のめっき層10および11がそれぞれ形成され、さらにその上には、半田、錫などからなる第2のめっき層12および13がそれぞれ形成される。
次に、本発明の詳細について説明する。
まず、モル比A/Bが0.95〜0.98であり、単結晶であるABO3主成分粉末が用意される。
この主成分は、ABO3で表されるペロブスカイト型化合物からなり、AはBaが支配的であり、BはTiが支配的であるため、BaTiO3が代表例として挙げられる。このBaは必要に応じてSr、Ca等の元素で置換されてもよく、TiはZr、Hf等の元素で置換されてもよい。前記主成分がBaTiO3であると、誘電率が高くなるため好ましい。
単結晶であるとは、粒子における結晶方位が、粒子の内部において同一方向に揃っていることをいう。たとえば、TEM(透過型電子顕微鏡)などにより観察される結晶格子縞が、粒子のほぼ全域において同一方向に揃っている。すなわち、ある一つの結晶粒子の中に、結晶方位の方向が変わる界面が存在しない。さらに、たとえば、TEMによる制限視野電子線回折の回折パターンにおける配列規則性を観察することによっても、単結晶か否かを判断可能である。
また、ABO3主成分粉末の製造方法は特に問われるものではない。ただ、モル比A/Bが0.95〜0.98と1より低くなっていることにより、比較的多くの粒子を単結晶化しやすくなる。
なお、ABO3主成分粉末において単結晶である粒子の割合は、TEM観察における個数割合において50%以上であれば、本発明の目的は損なわれない。
次に、本発明のABO3主成分粉末の粒子表面に対し、Ba化合物が担持される。Ba化合物は、酸化物でもよいし、炭酸化物でもよい。なお、担持する方法は、ボールミルにてBa化合物粉末を混合させてもよいし、金属石鹸、ゾル、溶液などを付与してもよい。
なお、Ba化合物を担持させると同時に、TiO2粉末などのTi化合物を同時に担持させることが好ましい。さらに、本発明の目的を損なわない限り、希土類元素などの副成分をこの時点で混合しても構わない。
次いで、Ba化合物などが表面に担持されたABO3主成分粉末が、600℃〜1000℃程度の温度において熱処理される。これにより、ABO3主成分粉末の粒子表面に対し、表面に担持されたBa化合物が固溶し、この固溶した部分が非晶質層となる。このBa化合物はABO3の化学量論比から不足する分のAサイト成分を補う形になるため、仮にABO3粒子が単結晶であっても、表面部分だけは反応が生じると考えられる。
このとき、Ba化合物だけでなくTi化合物も担持されている場合は、熱処理時にこのBa化合物とTi化合物とが反応し、これが粒子表面における非晶質層と一部となる。よって、非晶質層の反応が進みやすくなる結果、非晶質層の均質性が高まる。
このようにして得られたセラミック粉末は、内部が単結晶であり、表面に非晶質層を備えているため、表面のみ相対的に結晶化度が低く、表面の反応活性が高くなっている。非晶質層の厚みは、好ましくは、その粒子径の1〜10%である。
上記セラミック粉末に対し、希土類元素、Mg化合物、Mn化合物、Si化合物などの副成分が混合されると、セラミック原料として好ましい。このセラミック原料を用いて成形体を作製し、焼成すると、上記副成分が、反応活性の高い非晶質層のみに選択的に固溶し、内部の単結晶部分には殆ど固溶しない。
上述の方法によって、結晶粒子と結晶粒界とを有する誘電体セラミックが得られるが、この結晶粒子の個数割合にして50%以上は、単結晶であり副成分の殆ど存在しないコア部と、副成分が固溶したシェル部とを備えるコア・シェル構造を有する。この場合、コア・シェルの境界は非常に急峻であり、かつ明確である。
なお、ここでいう結晶粒子とは、主として主成分ABO3からなる結晶粒子のことをいい、異相成分が析出した粒子は該当しない。また、ここでいう結晶粒界とは、三重点をも含む。
なお、本発明の誘電体セラミックの組成には、必要に応じて種々の副成分を含ませることができる。たとえば、希土類元素、Mn、Mg、Siの他にも、Y、Cr、Fe、V、Mo、W、Nb、Co、Ni、Cuなどが考えられる。
本実施例は、ある特定の組成において積層セラミックコンデンサを作製し、本発明にかかるセラミック粉末およびその製造方法、ならびに本発明にかかる誘電体セラミックおよびその製造方法が、積層セラミックコンデンサの各種特性に与える影響をみたものである。誘電体セラミックの組成は、100Ba1.015TiO3+ 2.0Dy2O3 + 1.5MgO + 1.0MnO + 1.5SiO2である。
まず、表1の試料1〜10に記載のBa/Tiモル比mを有する、平均粒子径300nmのBamTiO3粉末を用意した。
試料1〜10のBamTiO3粉末の粒子に対し、TEMによる制限視野電子線回折を行った。各試料において、それぞれ10個の粒子にスポットをあてて回折パターンの観察を行い、5個以上の粒子について単結晶と判断できた試料については、単結晶であると判断した。表1に、単結晶と判断した試料を「○」、単結晶と判断しなかった試料を「×」と示す。単結晶の例として、試料2の回折パターンを図2に示す。また、単結晶でない例として、試料7の回折パターンを図3に示す。
次に、試料1〜3、および試料5〜8のBamTiO3粉末に対し、所定の量のBaCO3粉末を、総量としてのBa/Tiモル比が1.015となるよう秤量し、ボールミルにて混合した。試料4のBamTiO3粉末に対しては、BaCO3粉末をBamTiO3中のTi100モル部に対して4.5モル部、TiO2粉末を1モル部添加し、総量としてのBa/Tiモル比が1.015となるよう秤量し、ボールミルにて混合した。試料9、10に関しては、BaCO3粉末やTiO2粉末は添加しなかった。
次いで、試料1〜10の粉末を、900℃にて2時間、熱処理した。このようにして、粒子表面に非晶質層を有するセラミック粉末を得た。
試料1〜10のセラミック粉末のTEM観察を行い、非晶質層の厚みを測定した。非晶質層の定義としては、粒子表面において、格子縞が観察されない部分を非晶質層とした。このようにして、計20粒子の非晶質層の厚みを求め、その平均値を表2に示した。また、平均粒子径300nmに対する比も併せて表2に示す。
試料1〜10のうち、試料1〜4については、所望の厚みの非晶質層が得られている。例として試料2のTEM観察像を図4に示す。図4においては矢印の部分が非晶質層にあたる。
試料5および6については、mが大きいため、粒子表面に担持されたBa成分が十分に固溶せず、十分な厚みの非晶質層が得られていない。
試料7および8については、BamTiO3粉末の単結晶度が低いため、粒子表面に担持されたBa成分が粒子内部まで拡散してしまい、非晶質層が厚くなりすぎるとともに、非晶質層と内部とのの境界が不明瞭になっている。
試料9および10に関しては、粒子表面にBaCO3粉末を担持させなかったため、非晶質層が殆ど形成されていない。
次に、以上の試料1〜10のセラミック粉末に対し、上述の組成となるよう、Dy2O3、MgCO3、MnCO3、SiO2粉末を秤量し、ボールミルにて混合した。このとき、試料9および10のみ、総量としてのBa/Tiモル比が1.015となるよう、不足分のBaCO3粉末を併せて加えた。これを乾燥し、セラミック原料を得た。
このセラミック原料に対し、エタノール系有機溶媒、およびポリビニルブチラール系バインダを加え、湿式混合し、セラミックスラリーを得た。
得られたセラミックスラリーをドクターブレード法にてシート成形し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートを所定の矩形形状にカットし、この表面にNi金属粉末を含む導電性ペーストを所定のパターン状になるよう塗布した。この導電性ペーストを塗布したセラミックグリーンシートを、引出し側が互い違いになるよう複数枚積層し、圧着して積層体を得た。
得られた積層体において、窒素雰囲気中で350℃の温度で加熱して脱バインダを行った後、酸素分圧10-9.5MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中において1230℃にて2時間焼成して、セラミック積層体を得た。
その後、セラミック積層体の両端面にB2O3−SiO2−BaO系のガラスフリットを含有するCuペーストをそれぞれ塗布し、N2ガス雰囲気において800℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサにおいては、外形寸法が長さ3.2mm、幅1.6mm、厚さ0.8mmであり、誘電体セラミック層の1層厚みは4.0μmであり、静電容量に寄与する内部電極の対向する部分の1層当たりの面積は3.0mm2であり、静電容量に寄与する誘電体セラミック層の層数は100層であった。
試料番号1〜10の積層セラミックコンデンサにおいて、誘電率εを、自動ブリッジ式測定器を用いて、温度25℃にて1kHz−1Vrmsの条件下にて測定した。また、この25℃の誘電率を基準として、125℃における誘電率の変化率(%)を求め、これを温度特性とした。誘電率と温度特性の結果を表3に示す。
次に、試料1〜10の積層セラミックコンデンサのそれぞれ20個ずつの試料において、高温負荷試験を行った。温度150℃、負荷電圧60Vの条件において保持し、絶縁抵抗値が100kΩに落ちるまでに要した時間を求めた。この20個の結果のワイブルプロットから、平均故障時間(MTTF)と、バラツキの少なさの指標であるm値を表3に示した。
表3の結果によると、セラミック粉末において所望の厚みの非晶質層が得られていた試料2〜4においては、高い誘電率と、良好な温度特性と、高い高温負荷特性が得られた。ただし、主成分粉末のBa/Ti比mが低い試料1においては、高温負荷試験における故障時間のm値が小さく、信頼性のばらつきが大きい結果となった。
また、非晶質層の厚みが小さかった試料5、6、9、10については、誘電体セラミックにおいて十分なシェル厚みが得られなかったため、MTTFが短い結果となった。
また、非晶質層の厚みが大きかった試料7、8については、誘電体セラミックにおいて、副成分が結晶粒子内部まで拡散するとともに、コア・シェル境界が不明瞭になったため、誘電率と温度特性が低い結果となった。
1 積層セラミックコンデンサ
2 セラミック積層体
3 誘電体セラミック層
4,5 内部電極
8,9 外部電極
2 セラミック積層体
3 誘電体セラミック層
4,5 内部電極
8,9 外部電極
Claims (8)
- 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、主成分粉末を用意する第1の工程と、
前記主成分粉末の粒子の表面に、少なくともBa化合物を担持させる第2の工程と、
前記粒子の表面にBa化合物を担持させた主成分粉末を熱処理する第3の工程と、
を備えることを特徴とする、セラミック粉末の製造方法。 - 前記第2の工程において、さらにTi化合物を担持させることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック粉末の製造方法。
- 前記第3の工程の後に、前記セラミック粉末に対し、希土類元素、Mg化合物、Mn化合物、Si化合物のうち少なくとも一種を混合させる第4の工程を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミック粉末の製造方法。
- 請求項1〜3に記載のセラミック粉末を成形し、成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成する工程と、
を備える、誘電体セラミックの製造方法。 - 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。モル比A/Bは0.95〜0.98である)を主成分とする組成を有し、かつ、個数割合にして50%以上の粒子が単結晶である、セラミック粉末。
- 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。)を主成分とする組成を有する、セラミック粉末であって、
個数割合にして50%以上の粒子において、
粒子が単結晶であり、かつ、粒子の表面に非晶質層が形成されていることを特徴とする、セラミック粉末。 - 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型化合物(AはBaを必ず含み、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種を含む。BはTiを必ず含み、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む。)を主成分とする組成を有し、結晶粒子と結晶粒界とを備える誘電体セラミックであって、
個数割合にして50%以上の結晶粒子が、単結晶であるコア部と、前記コア部を被覆するシェル部とを備えていることを特徴とする、誘電体セラミック。 - 積層された複数の誘電体セラミック層と、これらの誘電体セラミック層間に配置された内部電極と、これらの内部電極に電気的に接続された外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサにおいて、上記誘電体セラミック層が、請求項7に記載の誘電体セラミックによって形成されていることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
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