外枠1は、図1に示すように、複数の木材を前後面が開口する四角筒状に相互に接合することから構成されたものであり、外枠1の前方には、図2に示すように、内枠2が上下方向へ指向する軸3を中心に回動可能に装着されている。この内枠2は四角環状をなすものであり、左板部と右板部と上板部と下板部を有している。この内枠2は外枠1の前端面に前方から接触する閉鎖状態および外枠1の前端面から前方へ離間する開放状態相互間で軸3を中心に回動操作されるものであり、内枠ロック機構を介して閉鎖状態にロックされている。この内枠2の下端部には台板部4が形成されている。この台板部4は垂直な板状をなすものであり、内枠2の下端部を閉鎖している。
内枠2には、図1に示すように、内枠2の前方に位置して前枠5が装着されている。この前枠5は内枠2の前面を閉鎖する閉鎖状態および内枠2の前面を開放する開放状態相互間で内枠2と共通の軸3を中心に回動操作されるものであり、錠機構6を介して閉鎖状態にロックされている。この前枠5には円形状の貫通孔7が形成されており、貫通孔7の内周面には透明なガラス製の窓8が固定されている。
前枠5には、図1に示すように、前枠5の前方に位置して上皿9が固定されている。この上皿9は上面が開口する容器状をなすものであり、内枠2の台板部4には、図2に示すように、上皿9の後方に位置して払出口10が形成されている。この払出口10は遊技球を上皿9内に賞品として払出すものであり、払出口10から上皿9内に払出された遊技球は上皿9内に貯留される。内枠2には、図1に示すように、上皿9の下方に位置して下皿板11が固定されており、下皿板11には下皿12が固定されている。この下皿12は上皿9内から溢れた遊技球を貯留するものであり、上面が開口する容器状をなしている。
下皿板11には、図1に示すように、下皿12の右方に位置してハンドル台13が固定されており、ハンドル台13にはハンドル14が前後方向へ指向する軸15を中心に回動可能に装着されている。このハンドル14は遊技者が前方から手指で操作するものであり、ハンドル台13内にはハンドルセンサ16が収納されている。このハンドルセンサ16はハンドル14が予め決められた発射停止位置に静止したハンドル14の非操作状態で電気的なオフ状態になるものであり、ハンドル14が発射停止位置から図1の時計回り方向へ回動操作された操作状態で電気的なオン状態になる。
内枠2の台板部4には、図2に示すように、発射ソレノイド17が固定されている。この発射ソレノイド17はロータリーソレノイドからなるものであり、ハンドル14が発射停止位置から時計回り方向へ回動操作されたハンドルセンサ16の電気的なオン状態では発射ソレノイド17に駆動電源が与えられる。この発射ソレノイド17の出力軸には打球槌が連結されており、発射ソレノイド17は駆動電源が与えられることに基づいて打球槌を待機位置および打球位置相互間で往復的に移動操作する。
内枠2の台板部4には、図2に示すように、発射レール18が固定されている。この発射レール18は打球槌が打球位置から待機位置に向けて移動開始することに連動して上皿9内から1個の遊技球が移送されるものであり、右から左に向けて上昇する傾斜状をなしている。この発射レール18の右端部には球止め板19が形成されており、球止め板19には遊技球が通過することが不能な大きさの貫通孔が形成されている。この球止め板19は上皿9内から発射レール18に移送された遊技球が発射レール18の右端部から転落することを防止するものであり、打球槌は待機位置から打球位置に移動することに基づいて球止め板19が転落不能に支持する遊技球を球止め板19の貫通孔を通して右から左に向けて叩き、発射レール18に沿って右から左に向けて転動させる。
内枠2には、図3に示すように、台板部4の上方に位置して遊技盤収納部20が形成されている。この遊技盤収納部20は前面および後面のそれぞれが開口する四角筒状をなすものであり、前枠5の後方に配置されている。この遊技盤収納部20の内周面には、図2に示すように、垂直な板状の遊技盤21が前方から嵌合されており、遊技盤21の前面には内レール22と外レール23と球止めゴム24が固定されている。内レール22は上面が開口する円弧状の金属板から構成されたものであり、外レール23は内レール22の外周部に配置された円弧状の金属板から構成されたものであり、球止めゴム24は内レール22の右端部および外レール23の右端部相互間の隙間を塞ぐゴムから構成されている。
遊技盤21には、図2に示すように、内レール22および外レール23相互間に位置して発射通路25が形成されている。この発射通路25は下端部および上端部のそれぞれが開口する円弧状をなすものであり、発射レール18の左端部から発射された遊技球は発射通路25の下端部の入口を通って発射通路25内に進入する。この遊技球は発射通路25に沿って円弧状の軌跡を描きながら上昇した後に発射通路25の上端部の出口から放出される。
遊技盤21には、図2に示すように、発射通路25の右方に隣接して遊技領域26が形成されている。この遊技領域26は内レール22と外レール23と球止めゴム24で囲まれた領域のうち発射通路25を除く残りの円形状の領域を称するものであり、発射通路25の出口から放出された遊技球が転動することが可能な最大範囲に相当する。遊技盤21には遊技領域26内に位置して複数の障害釘が固定されており、発射通路25の出口から遊技領域26内に放出された遊技球は障害釘に当りながら遊技領域26内を落下する。この遊技領域26は前枠5の閉鎖状態で前枠5の窓8が前方から対向するものであり、前枠5の閉鎖状態で前方から窓8を通して視覚的に認識可能にされている。
遊技盤21には、図4に示すように、遊技領域26内に位置して垂直な板状のゲート台板27が固定されており、ゲート台板27にはゲート28が固定されている。このゲート28は上面および下面のそれぞれが開口するコ字枠状をなすものであり、遊技盤21の遊技領域26内を転動する遊技球はゲート28内を上から下へ通過可能にされている。このゲート28内にはゲートセンサ29(図5参照)が固定されており、ゲートセンサ29は遊技球がゲート28内を通過したことを検出してゲート信号を出力する。
遊技盤21には、図4に示すように、遊技領域26内に位置して垂直な板状の入賞口台板30が固定されており、入賞口台板30には入賞口31が固定されている。この入賞口31は上面が開口するポケット状をなすものであり、入賞口31内には遊技盤21の遊技領域26内を転動する遊技球が入賞可能されている。この入賞口31内には入賞口センサ32(図5参照)が固定されており、入賞口センサ32は遊技球が入賞口31内に入賞したことを検出して入賞信号を出力する。この入賞口31には、図6に示すように、前後方向へ指向する樋33の前端部が接合されている。この樋33は上面が開口する断面U字状をなすものであり、前から後に向けて下降する傾斜状の底面を有している。この樋33の後端部は遊技盤21を貫通して遊技盤21の後方に突出しており、入賞口31内に入賞した遊技球は樋33内を樋33の底面に沿って前から後へ転動することで樋33の後面から落下する。即ち、樋33は遊技球を遊技盤21の遊技領域26内から遊技盤21の後方へ排出するものである。
遊技盤21には、図4に示すように、遊技領域26内に位置して垂直な板状の始動口台板34が固定されており、始動口台板34には始動口35が固定されている。この始動口35は上面が開口するポケット状をなすものであり、始動口35内には遊技盤21の遊技領域26内を転動する遊技球が入賞可能されている。この始動口35内には始動口センサ36(図5参照)が固定されており、始動口センサ36は遊技球が始動口35内に入賞したことを検出して始動信号を出力する。この始動口35には樋33が接合されており、始動口35内に入賞した遊技球は樋33に沿って遊技盤21の後方へ排出される。
始動口35には、図4に示すように、2枚の羽根板37が装着されている。これら両羽根板37のそれぞれは前後方向へ指向する軸38を中心に回動可能にされたものであり、共通の始動口ソレノイド39(図5参照)のプランジャに連結されている。これら両羽根板37のそれぞれは始動口ソレノイド39の電気的なオフ状態で垂直な縮小状態になるものであり、始動口ソレノイド39の電気的なオン状態では水平な拡大状態に軸38を中心に回動する。これら両羽根板37のそれぞれは縮小状態で両羽根板37相互間に1個の遊技球が通過することが可能な大きさの隙間を形成するものであり、両羽根板37のそれぞれの縮小状態では遊技領域26内を転動する遊技球が両羽根板37相互間の隙間を通って始動口35内に入賞することが許容される。これら両羽根板37のそれぞれは拡大状態で遊技領域26内を転動する遊技球を捕捉するものであり、両羽根板37のそれぞれの拡大状態では遊技領域26内を転動する遊技球が羽根板37に沿って転動することに基づいて始動口35内に入賞することが許容される。
遊技盤21には、図7に示すように、遊技領域26内に位置して開口部40が形成されており、開口部40内には前方から装飾枠41が接触状態で嵌合されている。この装飾枠41は前面および後面のそれぞれが開口する筒状をなすものであり、装飾枠41には装飾枠41を取囲む環状の台板部42が形成されている。この装飾枠41は前方から台板部42を通して遊技盤21に複数のネジを螺合することで固定されたものであり、装飾枠41には表示器枠43が後方から接触状態で固定されている。この表示器枠43には液晶表示器からなる図柄表示器44が接触状態で固定されており、装飾枠41は、図4に示すように、前方から見て図柄表示器44を取囲んでいる。この図柄表示器44は遊技盤21の後方に配置されたものであり、図柄表示器44の表示内容は前方から前枠5の窓8を通して視覚的に認識可能にされている。
装飾枠41の台板部42には、図4に示すように、図柄表示器44の上方に位置して上特別入賞口45が固定されている。この上特別入賞口45は前面が開口する箱状をなすものであり、上特別入賞口45には上扉46が左右方向へ指向する軸47を中心に回動可能に装着されている。この上扉46は上特別入賞口ソレノイド48(図5参照)の出力軸に連結されており、上特別入賞口ソレノイド48の電気的なオフ状態で垂直な閉鎖状態になることに基づいて上特別入賞口45の前面を遊技球が入賞不能に閉鎖する。この上扉46は上特別入賞口ソレノイド48の電気的なオン状態で前方へ水平に倒れた開放状態に回動するものであり、上扉46の開放状態では遊技盤21の遊技領域26内を転動する遊技球が上扉46に乗って上特別入賞口45内に入賞することが許容される。この上特別入賞口45内には上カウントセンサ49(図5参照)が固定されており、上カウントセンサ49は遊技球が上特別入賞口45内に入賞したことを検出して上カウント信号を出力する。
装飾枠41には、図4に示すように、図柄表示器44の下方に位置してステージ50が固定されている。このステージ50は後から前に向けて下降する傾斜板状をなすものであり、上特別入賞口45は球通路を介してステージ50の後端部に接続されている。この球通路は装飾枠41に固定されたものであり、上特別入賞口45内に入賞した遊技球は球通路を通してステージ50の後端部に排出される。この遊技球はステージ50に沿って後から前に向けて転動し、ステージ50の前端部から落下する。装飾枠41には、図4に示すように、外れ口51が固定されている。この外れ口51はステージ50の前端部から落下した遊技球が進入可能なものであり、上面が開口する横長な箱状をなしている。この外れ口51内には上面が開口するポケット状の大当り口52が収納されている。この大当り口52内には大当りセンサ53(図5参照)が固定されており、大当りセンサ53は遊技球が大当り口52内に進入したことを検出して大当り信号を出力する。
大当り口52は役物モータ54(図5参照)の回転軸に連結されている。この役物モータ54は装飾枠41に固定されたものであり、役物モータ54の運転状態では大当り口52が外れ口51内の左端部および外れ口51内の右端部相互間で左右方向へ往復的に移動する。この大当り口52の左右方向の幅寸法は1個の遊技球が進入することが可能な大きさに設定され、外れ口51の左右方向の幅寸法は遊技球の直径寸法の3倍以上に設定されており、ステージ50の前端部から落下した遊技球は外れ口51内および大当り口52内のいずれかに進入する。これら外れ口51および大当り口52のそれぞれには樋33の前端部が接合されており、外れ口51内に進入した遊技球および大当り口52内に進入した遊技球のそれぞれは樋33に沿って遊技盤21の後方へ排出される。
遊技盤21には、図4に示すように、遊技領域26内に位置して垂直な板状の下特別入賞口台板55が固定されており、下特別入賞口台板55には下特別入賞口56が固定されている。この下特別入賞口56は前面が開口する箱状をなすものであり、下特別入賞口56には下扉57が左右方向へ指向する軸58を中心に回動可能に装着されている。この下扉57は下特別入賞口ソレノイド59(図5参照)の出力軸に連結されており、下特別入賞口ソレノイド59の電気的なオフ状態で垂直な閉鎖状態になることに基づいて下特別入賞口56の前面を遊技球が入賞不能に閉鎖する。この下扉57は下特別入賞口ソレノイド59の電気的なオン状態で前方へ水平に倒れた開放状態に回動するものであり、下扉57の開放状態では遊技盤21の遊技領域26内を転動する遊技球が下扉57に乗って下特別入賞口56内に入賞することが許容される。この下特別入賞口56内には下カウントセンサ60(図5参照)が固定されており、下カウントセンサ60は遊技球が下特別入賞口56内に入賞したことを検出して下カウント信号を出力する。この下特別入賞口56には樋33の前端部が接合されており、下特別入賞口56内に入賞した遊技球は樋33に沿って遊技盤21の後方へ排出される。
内枠2には、図3に示すように、台板部4の後面に位置して合成樹脂製の球排出ケース61が接合されている。この球排出ケース61は前面および後面のそれぞれが開口する四角筒状をなすものであり、装飾枠41と表示器枠43と図柄表示器44のそれぞれに対して直接的に接触しないように配置されている。この球排出ケース61の内周面には、図8に示すように、仕切板62が接合されている。この仕切板62は球排出ケース61の内部空間を後面が開口する後方の基板収納室および前面が開口する前方の球排出室63に仕切るものであり、球排出室63の前面は内枠2の台板部4によって閉鎖されている。この球排出ケース61にはカバー64が装着されている。このカバー64は垂直な軸65を中心に閉鎖状態および開放状態相互間で回動可能にされたものであり、閉鎖状態で基板収納室の後面を閉鎖すると共に開放状態で基板収納室の後面を開放する。
球排出ケース61には、図3に示すように、縦長な賞球ケース66の下端部が固定されている。この賞球ケース66は内枠2の後方に配置されたものであり、賞球ケース66の内部には上球通路および下球通路が形成されている。これら上球通路および下球通路のそれぞれは上下方向へ指向するものであり、上下方向に隙間を介して一列に配置されている。この上球通路の上端部は球タンク67に接続されている。この球タンク67はパチンコホールの島設備から遊技球が投入されるものであり、内枠2の後面に接合されている。この球タンク67は遊技球を貯留するものであり、賞球ケース66の上球通路内には球タンク67内から遊技球が供給される。
賞球ケース66内には上球通路の下端部および下球通路の上端部相互間に位置して賞球払出装置が収納されている。この賞球払出装置はパルスモータからなる払出しモータ68(図5参照)を駆動源として上球通路の下端部から遊技球を落下させるものであり、上球通路の下端部から落下した遊技球は下球通路の上端部を通して下球通路内に進入する。この下球通路の下端部は内枠2の払出口10に接続されており、下球通路内に進入した遊技球は下球通路から払出口10を通して上皿9内に払出される。
球排出ケース61の基板収納室内には賞球回路基板が収納されており、賞球回路基板にはマイクロコンピュータを主体に構成された賞球制御回路69(図5参照)が搭載されている。この賞球制御回路69には、図5に示すように、賞球払出装置の払出しモータ68が接続されており、賞球制御回路69は払出しモータ68を駆動することで球タンク67内から賞球ケース66を通して上皿9内に遊技球を賞品として払出す。球排出ケース61の基板収納室内にはメイン回路基板が収納されている。このメイン回路基板は賞球回路基板の後方に配置されたものであり、カバー64の開放状態で露出する。このメイン回路基板にはメイン制御回路70(図5参照)が搭載されている。このメイン制御回路70はマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、CPU71とROM72とRAM73を有している。
メイン制御回路70には、図5に示すように、ゲートセンサ29と入賞口センサ32と始動口センサ36と上カウントセンサ49と大当りセンサ53と下カウントセンサ60が接続されており、メイン制御回路70のCPU71は入賞口センサ32から出力される入賞信号と始動口センサ36から出力される始動信号と上カウントセンサ49から出力される上カウント信号と下カウントセンサ60から出力される下カウント信号のそれぞれを検出した場合には賞球制御回路69に払出しモータ68を駆動することを指令することで上皿9内に遊技球を賞品として払出す。
メイン制御回路70には、図5に示すように、ハンドルセンサ16が接続されており、メイン制御回路70のCPU71はハンドルセンサ16がオンされていると判断している状態ではリレー74のコイルを電気的にオンすることに基づいてリレー74の常開接点を閉成する。このリレー74の常開接点は発射ソレノイド16に駆動電源を印加する給電路に介在されたものであり、リレー74の常開接点が閉成された状態では発射ソレノイド16に駆動電源が印加されることで打球槌が駆動する。このメイン制御回路70はハンドルセンサ16がオフされていると判断している状態ではリレー74のコイルを電気的にオフすることに基づいてリレー74の常開接点を開放し、発射ソレノイド16の駆動電源を遮断することで打球槌を駆動停止する。
メイン制御回路70は、図5に示すように、電源が投入された場合にはリレー75のコイルを電気的にオンすることに基づいてリレー75の常開接点を閉成する。このリレー75の常開接点は役物モータ54に駆動電源を印加する給電路に介在されたものであり、リレー75の常開接点が閉成された状態では役物モータ54に駆動電源が印加されることで大当り口52が左右方向へ往復的に移動する。このメイン制御回路70は電源が遮断された場合にリレー75のコイルを電気的にオフしてリレー75の常開接点を開放するものであり、大当り口52はメイン制御回路70の電源が遮断されることに基づいて移動停止する。
メイン制御回路70は遊技球がゲート28内を通過した場合には普通遊技を行い、遊技球が始動口35内に入賞した場合には特別遊技を行うものであり、普通遊技および特別遊技のそれぞれの遊技内容は次の通りである。
[1]普通遊技
メイン制御回路70のCPU71はゲートセンサ29からゲート信号が出力されたと判断することに基づいて当りカウンタの現在の計測値を検出する。この当りカウンタはCPU71が一定時間(例えば4msec)が経過する毎に単位値(例えば「1」)だけ更新するものであり、当りカウンタの更新処理は予め決められた下限値(例えば「0」)を基準に予め決められた上限値(例えば「32」)まで加算した後に下限値に戻して循環的に行われる。このCPU71は当りカウンタの検出結果を予め決められた当り値(例えば「7」)と比較するものであり、当りカウンタの検出結果が当り値と同一である場合に当りであると判定し、当りカウンタの検出結果が当り値と相違している場合に当りではない外れであると判定する。このCPU71は当りであると判定した場合には始動口ソレノイド39に予め決められた当り時間だけ駆動電源を印加し、両羽根板37のそれぞれを縮小状態から拡大状態に回動操作することで遊技球が始動口35内に入賞する難易度を低下させる。
[2]特別遊技
メイン制御回路70のCPU71は始動口センサ36から始動信号が出力されたと判断することに基づいて大当りカウンタの現在の計測値を検出する。この大当りカウンタはCPU71が一定時間(例えば4msec)が経過する毎に単位値(例えば「1」)だけ更新するものであり、大当りカウンタの更新処理は予め決められた下限値(例えば「0」)を基準に予め決められた上限値(例えば「100」)まで加算した後に下限値に戻して循環的に行われる。このCPU71は大当りカウンタの検出結果を予め決められた大当り値(例えば「7」)と比較するものであり、大当りカウンタの検出結果が大当り値と同一である場合に大当りであると判定し、大当りカウンタの検出結果が大当り値と相違している場合に外れであると判定する。このCPU71は大当りであると判定した場合には上特別入賞口ソレノイド48に予め決められた時間だけ駆動電源を印加し、上扉46を閉鎖状態から開放状態に回動操作することで遊技球が上特別入賞口45内に入賞することを許容する。
CPU71は大当りであると判定した場合には大当りセンサ53から大当り信号が出力されたか否かを判断する。この処理は上特別入賞口ソレノイド48に駆動電源を印加したことを基準に予め決められた進入待ち時間が経過するまで行われるものであり、進入待ち時間は上特別入賞口45が閉鎖される直前に上特別入賞口45内に入賞した遊技球が大当り口52内に進入した場合に遊技球が大当り口52内に進入したことを検出することが可能な値に設定されている。
CPU71は進入待ち時間が経過する前に大当りセンサ53から大当り信号が出力されたと判断した場合には大当りラウンドを開始する。この大当りラウンドは下特別入賞口ソレノイド59に駆動電源を印加することに基づいて下扉57を開放し、遊技球が下特別入賞口56内に入賞することを許容するものである。この大当りラウンドには限度時間および限度個数のそれぞれが予め決められており、大当りラウンドは下特別入賞口56の開放時間が限度時間に到達する前に下特別入賞口56内に限度個数の遊技球が入賞または下特別入賞口56内に限度個数の遊技球が入賞する前に下特別入賞口56の開放時間が限度時間に到達することで終了する。
表示器台枠43には、図7に示すように、表示基板ボックス76が固定されている。この表示基板ボックス76は表示基板ケース77および表示基板ベース78を相互に接合することから構成されたものであり、表示基板ケース77および表示基板ベース78のそれぞれは合成樹脂を材料に成形されている。表示基板ケース77は前面が開口するものであり、表示基板ベース78は表示基板ケース77の前面を閉鎖する板状をなしている。この表示基板ケース77は前後方向から見て横長な長方形状をなすものであり、後板と左側板と右側板と天板と底板を有している。
表示基板ベース78には、図7に示すように、複数のボス部79が形成されている。これら複数のボス部79のそれぞれは前後方向へ指向する円筒状をなすものであり、複数のボス部79のそれぞれの内周面には後方から表示基板80を通してネジ81が螺合されている。この表示基板80は表示基板ボックス76の内部に複数のネジ81の締結力で静止状態に固定されたものであり、表示基板80にはマイクロコンピュータを主体に構成された表示制御回路81(図5参照)が搭載されている。
表示制御回路81は、図5に示すように、メイン制御回路70に接続されており、メイン制御回路70のCPU71は大当りであると判定した場合には表示制御回路81に大当りコマンドを送信し、外れであると判定した場合には表示制御回路81に外れコマンドを送信する。この表示制御回路81は大当りコマンドを受信した場合には装飾図柄を大当りの組合せに設定するものであり、外れコマンドを受信した場合には装飾図柄を外れの組合せに設定する。この装飾図柄は左列の図柄要素と中列の図柄要素と右列の図柄要素の組合せからなるものであり、大当りの組合せとは左列の図柄要素と中列の図柄要素と右列の図柄要素のそれぞれが相互に同一な組合せを称し、外れの組合せとは左列の図柄要素と中列の図柄要素と右列の図柄要素のそれぞれが相互に同一ではない組合せを称する。
表示制御回路81は図柄表示器44の表示内容を制御するものであり、装飾図柄を設定した場合には図柄表示器44に装飾図柄遊技の映像を表示開始する。この装飾図柄遊技の映像は図柄表示器44に左列の図柄要素と中列の図柄要素と右列の図柄要素のそれぞれを可変状態および可変停止状態で順に表示するものであり、左列の図柄要素〜右列の図柄要素のそれぞれの可変表示は8種類の図柄要素「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」を予め決められた順序「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「7」→「8」→「1」・・・で循環的に変化させることで行われる。この装飾図柄遊技の映像では左列の図柄要素が1番目に可変停止し、右列の図柄要素が2番目に可変停止し、中列の図柄要素が3番目に可変停止する。これら左列の図柄要素〜中列の図柄要素のそれぞれの停止表示は装飾図柄が装飾図柄の設定結果に応じた組合せとなるように行われるものであり、メイン制御回路70のCPU71が外れであると判定した場合には最終の中列の図柄要素が停止表示された時点で図柄表示器44に装飾図柄が外れの組合せで表示され、大当りであると判定した場合には最終の中列の図柄要素が停止表示された時点で図柄表示器44に装飾図柄が大当りの組合せで表示される。このメイン制御回路70のCPU71は大当りであると判定した場合には図柄表示器44に最終の中列の図柄要素が停止表示された後に上特別入賞口ソレノイド48に駆動電源を印加するものであり、上特別入賞口45は図柄表示器44に装飾図柄が大当りの組合せで停止表示された場合に開放され、図柄表示器44に装飾図柄が外れの組合せで停止表示された場合に開放されない。
上皿9には、図1に示すように、ボタン96が装着されている。このボタン96は通常位置および通常位置に比べて下方の押込み位置相互間で上下方向へ直線的に移動可能にされたものであり、ボタン96はスイッチの操作子に連結されている。このスイッチは自己復帰形のプッシュスイッチからなるものであり、ボタン96はスイッチの操作子の自己保持力で通常位置に保持されている。このスイッチはボタン96の通常位置で電気的なオフ状態になるものであり、ボタン96が通常位置から押込み位置に操作されることに基づいて電気的なオフ状態からオン状態に変化する。このスイッチは上皿9内に収納されたものであり、表示制御回路81に電気的に接続されている。この表示制御回路81はスイッチがオフ状態からオン状態に変化したことに基づいてボタン96が操作されたと判断するものであり、遊技者が装飾図柄遊技の映像の表示中にボタン96を通常位置から押込み位置に操作した場合には表示制御回路81がスイッチのオンを判断して図柄表示器44に予め決められた映像を表示し、装飾図柄遊技の映像に視覚的な変化を与える。
球排出ケース61には、図8に示すように、球排出室63の天井部に位置して切欠状の進入口82が形成されており、入賞口31と始動口35と外れ口51と大当り口52と下特別入賞口56のそれぞれの樋33から落下した遊技球は進入口82を通って球排出室63内に進入する。この球排出室63の仕切板62には球排出室63内に位置して球受けレール83が形成されている。この球受けレール83は右から左に向けて下降する傾斜状をなすものであり、進入口82から球排出室63内に進入した遊技球は球受けレール83上に落下し、球受けレール83に沿って右から左へ転動する。
球排出室63の仕切板62には、図8に示すように、球排出路84が形成されている。この球排出路84は前面が開口するものであり、内枠2の台板部4は球排出路84の前面を閉鎖している。この球排出路84は上面および下面のそれぞれが開口するものであり、球受けレール83に沿って転動する遊技球は球排出路84の上面の入口から球排出路84内に進入する。この遊技球は球排出路84に沿って下降し、球排出路84の下面の出口から球排出室63の外部に排出される。この球排出路84の出口の下方にはパチンコホールの島設備が設置されており、遊技球は球排出路84の出口から島設備に回収される。
遊技球が装飾枠41のステージ50に沿って外れ口51内に進入した場合には大当りラウンドが開始されず、遊技球が装飾枠41のステージ50に沿って大当り口52内に進入した場合には大当りラウンドが開始される。この大当りラウンドでは下特別入賞口56が開放されるので、下特別入賞口56内に遊技球を入賞させることで賞品としての遊技球を獲得できる。この遊技球がステージ50に沿って転動する様子は前方から窓8を通して視覚的に認識可能にされているので、遊技球がステージ50に沿って転動している最中に前枠5と上皿9と下皿12とハンドル台13を含む機枠を叩き、遊技盤21に衝撃力を加えることでステージ50に沿って転動する遊技球が大当り口52内に進入するように遊技球の転動方向を変化させる不正行為が行われることがある。振動センサ90は遊技盤21に衝撃力を加えることで遊技球の転動方向を変化させる不正行為を検出するものであり、次のように構成されている。
表示基板ケース77には、図7に示すように、圧電型の振動センサ90が固定されている。この振動センサ90は表示基板ケース77の後板と左側板と右側板と底板と天板のうちで最も面積が大きな後板の隅部に接触状態で固定されたものであり、次のように構成されている。センサケース92は前面および後面のそれぞれが閉鎖された円筒状をなすものであり、球排出ケース61と賞球ケース66と球タンク67のそれぞれはセンサケース92から離間している。このセンサケース92はセンサケース92の前板を表示基板ケース77の後板に面接触状態で接合することから静止状態で固定されたものであり、表示基板ケース77が振動した場合に表示基板ケース77と共に振動する。このセンサケース92内にはばね部材93が収納されている。このばね部材は前後方向へ指向する圧縮コイルスプリングからなるものであり、ばね部材93の前端部はセンサケース92の前板に固定されている。このばね部材93の後端部には重り94が固定されている。これらばね部材93および重り94は一端部がセンサケース92に固定された片持ち状の振動感知部97を構成するものであり、振動感知部97はセンサケース92が振動した場合にセンサケース92に対して相対的に振動する。
センサケース92内には、図7に示すように、圧電素子95が収納されている。この圧電素子95はセンサケース92の後板に静止状態で固定されたものであり、重り94は圧電素子95にばね部材93のばね力で前方から接触している。この重り94はセンサケース92に振動が加わることに応じてばね部材93のばね力で圧電素子95の結晶の表面に力を加えるものであり、圧電素子95は重り94から加えられた力の大きさに応じた電圧を発生する。この電圧の周波数は圧電素子95の結晶の表面に加わった力の振動数に応じて変化するものであり、圧電素子95は結晶の表面に加わった力の大きさに応じた振幅のパルス信号を結晶の表面に加わった力の振動数に応じた周波数で出力する。この振動センサ90のばね部材93の固有振動数は遊技盤21に機枠を叩くことで振動が加えられた場合に共振する値に設定されたものであり、遊技者が機枠のボタン96を正規に叩く場合の振動およびパチンコホールの従業員が前枠5を正規に開閉する場合の振動のそれぞれで共振しない値に設定されている。振動センサ90は以上のように構成されている。
表示基板ボックス76は、図7に示すように、表示器台枠43および装飾枠41を介して遊技盤21に間接的に固定されている。この表示基板ボックス76は遊技盤21および内枠2を介して球排出ケース61に間接的に接触しているものの直接的には接触していないので、遊技者がステージ50上の遊技球の転動方向を変化させようとして機枠を叩くことで遊技盤21に衝撃力を加えた場合には遊技盤21から表示基板ボックス76を通して振動センサ90に振動が伝わり、遊技球が入賞口31と始動口35と外れ口51と大当り口52と下特別入賞口56のそれぞれから球排出ケース61の球受けレール82上に落下した場合には球排出ケース61の振動が遊技盤21と装飾枠41と表示器台枠43と表示基板ボックス76のそれぞれで減衰されて振動センサ90に伝わる。この表示基板ボックス76は賞球ケース66および球タンク67のそれぞれにも直接的に接触しないものであり、遊技球が賞球ケース66内および球タンク67内のそれぞれを転動する場合の振動も遊技盤21と装飾枠41と表示器台枠43と表示基板ボックス76のそれぞれで減衰されて振動センサ90に伝わる。
振動センサ90は、図5に示すように、メイン制御回路70にセンサ回路91を介して接続されている。このセンサ回路91は振動センサ90から出力されるパルス信号の立上りを検出してメイン制御回路70に検出信号を出力するものであり、メイン制御回路70のCPU71はセンサ回路91から検出信号が出力されることに基づいてINT割込み処理を起動する。図9はINT割込み処理を示すものであり、CPU71はINT割込み処理を起動した場合にはステップS1でエッジカウンタにROMに予め記録された単位値「1」を加算する。このエッジカウンタはCPU71が電源投入時に「0」にリセットするものである。
CPU71はセンサ回路91から出力される検出信号に基づいて遊技盤21の振動状態を監視する。この振動監視処理はセンサ回路91から断続的に出力される複数の検出信号を1組の信号群として取扱うことで行われるものであり、CPU71は、図10の(a)に示すように、検出信号を検出してから信号群終了値T1(例えば160msec)が経過するまでの期間内に新たに検出信号を検出しなかった場合には信号群終了値T1が経過した時点で信号群が終了したと判断し、図10の(b)に示すように、検出信号を検出してから信号群終了値T1が経過するまでの期間内に新たに検出信号を検出した場合に信号群が継続していると判断する。
CPU71は信号群の継続時間を計測しており、信号群が終了したと判断した場合には信号群の継続時間の計測結果を下限値T2(例えば272msec)および上限値T3(例えば400msec)のそれぞれと比較する。下限値T2は遊技盤21に振動が加えられたものの振動が遊技球の転動方向を変化させるに満たない非有効振動であるか否かを判定するための閾値であり、CPU71は、図10の(c)に示すように、信号群の継続時間の計測結果が下限値T2以下である場合には不正に振動が加えられたと判定しない。上限値T3はエラーが発生したか否かを判定するための閾値であり、CPU71は、図10の(b)に示すように、信号群の継続時間の計測結果が上限値T3以上である場合には不正に振動が加えられたと判定しない。即ち、CPU71は、図10の(d)および(e)のそれぞれに示すように、信号群の継続時間の計測結果が下限値T2および上限値T3の範囲内である場合に不正に振動が加えられたと判定する。
図11はタイマ割込み処理を示すものである。このタイマ割込み処理はCPU71が予め決められた一定時間(例えば4msec)が経過する毎に起動するものであり、CPU71はタイマ割込み処理を起動した場合にはステップS11の振動監視処理で遊技盤21に振動を加える不正の有無を判定し、ステップS12の異常処理で不正の有無の判定結果に応じた処理を行い、ステップS13の通常処理で普通遊技および特別遊技のそれぞれを行う。
図12はステップS11の振動監視処理を示すものであり、CPU71はステップS21でタイマイネーブルフラグがオン状態にセットされているか否かを判断する。このタイマイネーブルフラグは電源投入時にオフ状態にリセットされるものであり、CPU71はステップS21でタイマイネーブルフラグがオフ状態にリセットされていると判断した場合にはステップS22へ移行し、エッジカウンタが「0」にリセットされているか否かを判断する。例えばセンサ回路91から1回目の検出信号が出力された場合にはステップS22で「エッジカウンタ>0」であると判断し、ステップS23でタイマイネーブルフラグをオン状態にセットする。
CPU71はステップS23でタイマイネーブルフラグをオン状態にセットすると、ステップS24で信号群タイマを「0」にリセットし、ステップS25で割込み禁止を設定することに基づいて図9のINT割込み処理が起動することを禁止する。そして、ステップS26でエッジカウンタを「0」にリセットし、ステップS27で割込み禁止の設定を解除することに基づいて図9のINT割込み処理が起動することを許容し、ステップS28で間隔タイマを「0」にリセットする。信号群タイマは1個目のパルス信号の立上りを検出したことを基準に信号群の継続時間を計測するものであり、間隔タイマは今回の検出信号を検出してから次回の検出信号を検出するまでの間隔時間を計測するものであり、信号群タイマおよび間隔タイマのそれぞれは電源投入時に「0」にリセットされる。
CPU71はタイマイネーブルフラグのオン状態ではステップS21からステップS29へ移行し、ステップS29で信号群タイマに単位値ΔT(=4msec)を加算することで信号群の継続時間を計測し、ステップS30で間隔タイマに単位値ΔT(=4msec)を加算することで検出信号の間隔時間を計測し、ステップS31で間隔タイマの加算結果をROMに予め記録された信号群終了値T1と比較する。
CPU71は信号群の継続中にはステップS31で「間隔タイマ<信号群終了値T1」であると判断し、ステップS32で間隔タイマの加算結果をROM72に予め記録されたノイズ判定値T4(例えば20msec)と比較する。図13の(a)は遊技者が機枠を打撃することに基づいて遊技盤21を通して振動センサ90に振動が伝わった場合の検出信号の出力波形図である。この場合には検出信号がノイズ判定値T4未満の間隔時間で継続的に出力されるので、CPU71は図12のステップS32で「間隔タイマ<T4」であると判断し、ステップS34で「エッジカウンタ>0」であると判断する毎にステップS26でエッジカウンタを「0」にリセットし、ステップS28で間隔タイマを「0」にリセットする。
図13の(b)は遊技者が機枠を打撃した場合とは異なる振動ノイズ(例えばパチンコホールの近辺を車両が走行するときの振動)が遊技盤21を通して振動センサ90に伝わった場合の検出信号の出力波形図の一例である。この場合には検出信号がノイズ判定値T4未満の間隔時間で出力された後にノイズ判定値T4以上の間隔時間で出力されるので、CPU71は前回に検出信号を検出してから新たに検出信号を検出しないままノイズ判定値T4が経過することに基いて図12のステップS32で「間隔タイマ≧T4」であると判断し、ステップS33で信号群タイマの加算結果をROM72に予め記録されたノイズ判定値T5(例えば132msec)と比較する。ここで「信号群タイマ<T5」であると判断し、ステップS35で信号群タイマを「0」にリセットし、ステップS36でエッジカウンタを「0」と比較する。
CPU71はステップS36で「エッジカウンタ=0」であると判断した場合にはステップS37でタイマイネーブルフラグをオフ状態にリセットし、ステップS36で「エッジカウンタ>0」であると判断した場合にはステップS25〜S27のそれぞれへ移行することでエッジカウンタを「0」にリセットし、いずれの場合にもステップS28で間隔タイマを「0」にリセットする。即ち、振動ノイズが遊技盤21を通して振動センサ90に伝わった場合には不正に振動が加えられたと判定されることなく、信号群タイマおよび間隔タイマのそれぞれが新たに計測される。
CPU71は遊技者が機枠を打撃することに基づいて遊技盤21から振動センサ90に振動が伝わった場合には信号群の終了後に図12のステップS31で「間隔タイマ≧信号群終了値T1」であると判断し、ステップS38で信号群タイマの加算結果をROM72に予め記録された下限値T2および上限値T3のそれぞれと比較する。以下、CPU71の処理内容を検出信号の波形別に説明する。
[1]信号群の継続時間が下限値T2以下または上限値T3以上である場合
CPU71はステップ38で「下限値T2<信号群タイマ<上限値T3」ではないと判断し、ステップS35で信号群タイマを「0」にリセットし、ステップS36でエッジカウンタが「0」にリセットされているか否かを判断する。ここで「エッジカウンタ=0」であると判断した場合にはステップS37でタイマイネーブルフラグをオフ状態にリセットし、「エッジカウンタ>0」であると判断した場合にはステップS25〜S27のそれぞれへ移行することでエッジカウンタを「0」にリセットし、いずれの場合にもステップS28で間隔タイマを「0」にリセットする。即ち、検出信号の継続時間が下限値T2以下である場合および上限値T3以上である場合のそれぞれには不正に振動が加えられたと判定されることなく、信号群タイマおよび間隔タイマのそれぞれが新たに計測される。
[2]信号群の継続時間が下限値T2および上限値T3の範囲内である場合
CPU71はステップ38で「下限値T2<信号群タイマ<上限値T3」であると判断し、ステップS39で進入待ち時間の計測中であるか否かを判断する。この進入待ち時間は上特別入賞口45の開放を開始したことを基準に計測開始され、上特別入賞口45を閉鎖する直前に上特別入賞口45内に入賞した遊技球が大当り口52内に進入するまでに要する時間が上特別入賞口45を閉鎖してから経過した時点で計測停止されるものであり、CPU71はステップS39で進入待ち時間の計測中ではないと判断した場合にはステップS35へ移行する。即ち、遊技球が上特別入賞口45に入賞してから大当り口52に進入するまでの期間とは異なる期間内に遊技球の転動方向を変化させることが可能な有効振動が遊技盤21から振動センサ90に伝えられた場合には不正に振動が加えられたと判定されることなく、信号群タイマおよび間隔タイマのそれぞれが新たに計測される。
CPU71はステップS39で進入待ち時間の計測中であると判断すると、ステップS40で振動検知フラグをオン状態にセットする。この振動検知フラグは電源投入時にオフ状態にリセットされるものであり、CPU71はステップS40で振動検知フラグをオン状態にセットすることで遊技球が上特別入賞口45内に入賞してから大当り口52内に進入するまでの期間内に遊技球の転動方向を変化させることが可能な有効振動が遊技盤21から振動センサ90に加えられたと記録する。
CPU71はステップS40で振動検知フラグをオン状態にセットすると、ステップS41で振動検知カウンタにROM72に予め記録された単位値「1」を加算し、ステップS32へ移行する。この振動検知カウンタは電源投入時に「0」にリセットされるものであり、遊技球が上特別入賞口45内に入賞してから大当り口52内に進入するまでの期間内に有効振動が遊技盤21から振動センサ90に加えられた不正回数を累積的に計測するものである。
図14はステップS12の異常処理を示すものであり、CPU71はステップS51で異常検知フラグがオン状態にセットされているか否かを判断する。ここで異常検知フラグがオン状態にセットされていると判断した場合にはステップS52へ移行し、異常検知フラグをオフ状態にリセットする。そして、ステップS53へ移行し、外部機器に相当するホールコンピュータに異常コマンドを送信する。この異常コマンドは機枠に打撃を加えることで遊技球の転動方向を変化させる不正が発生したことをホールコンピュータに通知するものであり、ホールコンピュータは異常コマンドを受信することに基づいて自身の表示器に異常メッセージを表示し、機枠に打撃を加えることで遊技球の転動方向を変化させる不正が発生したことをパチンコホール側に報知する。
CPU71はステップS53で異常コマンドを送信すると、ステップS54で振動検知カウンタの加算結果をROM72に予め記録された判定値(例えば2)と比較する。ここで「振動検知カウンタ<判定値」であると判断した場合にはステップS55の異常対策処理1へ移行し、「振動検知カウンタ≧判定値」であると判断した場合にはステップS56の異常対策処理2へ移行する。
異常対策処理1は異常対策処理1〜異常対策処理2のうちで軽度なものであり、CPU71は異常対策処理1では表示制御回路81に異常報知コマンドを送信する。この異常報知コマンドは異常の発生を報知することを表示制御回路81に指令するものであり、表示制御回路81は異常報知コマンドを受信した場合には図柄表示器44に異常メッセージ「遊技台を叩かないで下さい。」を表示する。異常対策処理2は異常対策処理1〜異常対策処理2のうちで重度なものであり、CPU71は異常対策処理2では表示制御回路81に異常報知コマンドを送信することで図柄表示器44に異常メッセージを表示し、リレー74のコイルをオフする。このリレー74のコイルがオフされた状態では発射ソレノイド16の駆動電源が遮断され、遊技球を発射することが不能になる。このため、遊技球が大当り口52内に振動で進入することに連動して下特別入賞口56が開放された場合に遊技球を下特別入賞口56内に入賞させることができなくなる。
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
振動センサ90として片持ち状の振動感知部97を有するものを用いた。このため、遊技者がボタン96を正規に叩いた程度の小さな振動およびパチンコホールの店員が機枠の前枠5を正規に開閉する場合の小さな振動のそれぞれでは振動感知部97が振動せず、機枠を叩く大きな振動で振動感知部97が振動するようになる。しかも、振動センサ90を球排出ケース61と賞球ケース66と球タンク67のそれぞれに直接的に接触することなく遊技盤21に間接的に固定された表示基板ケース77に静止状態で取付けたので、遊技球が球排出ケース61〜球タンク67のそれぞれを通過する場合に発生した高周波数の振動が振動センサ90に直接的に伝わらず、遊技盤21と装飾枠41と表示器台枠43と表示基板ボックス76のそれぞれで振動センサ90の検出レベルを下回るレベルに減衰されて振動センサ90に伝わるようになる。このため、遊技者が機枠のボタン96を正規に叩く場合の振動とパチンコホールの店員が機枠の前枠5を正規に開閉する場合の振動と遊技球が球排出ケース61〜球タンク67を通過する場合の振動のそれぞれで機枠を叩く不正行為が行われたと誤検出されることを防止でき、機枠を叩くことで遊技盤21に振動を加える不正行為が行われたことのみを正確に検出できる。
ばね部材93の固有振動数を遊技盤21に機枠を叩くことで振動が加えられた場合に共振し、遊技者が機枠のボタン96を正規に叩く場合の振動およびパチンコホールの店員が機枠の前枠5を正規に開閉する場合の振動のそれぞれで共振しない値に設定したので、機枠を叩くことで遊技盤21に振動を加える不正行為が行われたことのみを一層正確に検出できる。振動センサ90として振動センサ90に加えられた力の大きさに応じた振幅のパルス信号を振動センサ90に加えられた力の振動数に応じた周波数で出力するものを用いた。このため、相互に異なる機種間で振動センサ90を共通化し、メイン制御回路70の制御プログラムを設定する場合に信号群終了値T1と下限値T2と上限値T3とノイズ判定値T4とノイズ判定値T5のそれぞれを機種毎に調整することで不正行為の発生を高精度に検出できる。振動センサ90を表示基板ケース77のうちで面積が最も大きな後面に取付けた。このため、球排出ケース61の球受けレール83が遊技球を受けるときの衝撃力が表示基板ケース77に伝わった場合であっても表示基板ケース77の後面が弾性的に変形することに基づいて振動センサ90に振動が伝わることが抑えられるので、この点からも球排出ケース61が遊技球を受けるときの衝撃力で不正行為が行われたと誤検出されることがなくなる。
21は遊技盤、31は入賞口(入球口)、33は樋(樋部材)、35は始動口(入球口)、51は外れ口(入球口)、52は大当り口(入球口)、53は下特別入賞口(入球口)、61は球排出ケース(球誘導ケース)、66は賞球ケース(球誘導ケース)、67は球タンク(球誘導ケース)、77は表示基板ケース(センサ保持部材・基板ケース)、80は表示回路基板(基板)、90は振動センサ、92はセンサケース、95は圧電素子(電気素子)、97は振動感知部を示している。