以下、本発明をその実施をするための最良の形態に基づいて説明する。
図3,4は、参考形態に係る配線基板をフラッシュ配線基板として形成する場合の、製造工程の一例を示すものである。
図示のものでは、まず図3(a)に示すように、転写用基材1の一面にパターン状の金属膜2を形成する。この転写用基材1としては例えばステンレス製の板材を用いることができる。この転写用基材1には金属膜2との密着強度の調整のための表面処理を施しておくことが好ましく、例えば転写用基材1に対して、金属膜2が形成される面に、硝酸とフッ酸との混酸や、あるいは塩化第二鉄溶液、これに銅、塩酸等を含有させたもの等のエッチング液によりソフトエッチング処理を施すなどの化学研磨による粗化処理を施して転写用基材1と金属膜2との間の密着強度を調整することが好ましい。
上記表面処理による密着強度の調整は、後述する金属個片3の接合工程や絶縁層4の形成工程等の後工程において転写用基材1と金属膜2や絶縁層4との間に剥離が発生せず、また転写用基材1を絶縁層4及び金属膜2から剥離する際には容易に剥離することができる程度となるようにする。その処理の程度は、金属膜2や絶縁層4の材質、形成方法、その他の具体的な後処理の処理条件などによって異なり、適宜調整されるべきものであるが、例えばステンレス製の厚み20〜150μmの転写用基材1に対して塩化鉄溶液等により粗化処理を施すことにより、例えば厚み35μmのめっき被膜により金属膜2を形成する場合に、転写用基材1の表面粗度Raが0.3〜1.0μmの範囲となるようにするなどして、転写用基材1と金属膜2との間のピール強度が50〜200g/m(0.49〜1.96N/m)の範囲となるようにすると、上記のような特性を発揮させることができる。
上記の金属膜2は銅等の適宜の金属にて形成することができ、転写用基材1へのパターン状の金属膜2の形成は、めっき法により行うことができる。この金属膜2は、所望の薄肉導体配線7と厚肉導体配線6のパターン形状に形成されるものであり、また必要に応じて電子部品10の搭載箇所に相当する位置(電子部品搭載部8)にも金属膜2を形成するものである。金属膜2の薄肉導体配線7と厚肉導体配線6に相当する部分はファインパターンに形成することが好ましく、例えば薄肉導体配線7のライン幅は20〜200μm、厚肉導体配線6のライン幅は500〜5000μmの範囲に形成し、スペース幅は20〜1000μmの範囲に形成することが好ましい。またこの金属膜2の厚みは5〜35μmの範囲に形成することが好ましい。また、電子部品10の搭載箇所に後述する電子部品搭載部8を形成する場合には、この電子部品10の搭載箇所にも金属膜2を、搭載される電子部品10の寸法に応じた所望の電子部品搭載部8の寸法に形成する。
次に、図3(b)に示すように、上記金属膜2のうち、厚肉導体配線6に相当する部位に金属個片3を接合して積層配置する。金属個片3は適宜の金属によって、平面視形状が厚肉導体配線6のパターン形状と合致するように形成される。金属個片3は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、及び少なくともこれらのうち1種以上のものを含む合金、並びに銅インバー銅の複層材(銅、各種インバー合金、銅をこの順に積層成形して得られるクラッド材)から選ばれた金属材料にて形成することができ、この場合、必要に応じて熱伝導性の向上、反射率の向上、軽量化等の目的に応じた材料を選択することができる。金属個片3の配置位置及び配置個数は、厚肉導体配線6のパターン形状に依存するものであり、必要に応じて一個又は複数個の金属個片3が配置される。また、電子部品搭載部8を形成する場合には、金属膜2における電子部品搭載部8に相当する箇所にも、電子部品搭載部8を形成するための金属個片3を接合して積層配置する。また、このような金属個片3を複数個設ける場合には、必要に応じて互いに厚みの異なる金属個片3を設けることができる。これらの金属個片3の厚みは適宜調整されるが、厚肉導体配線6を形成するための金属個片3の厚みは300μm〜3mmの範囲とすることが好ましく、また電子部品搭載部8を形成するための金属個片3の厚みは500μm〜5mmの範囲とすることが好ましい。
金属個片3を金属膜2に積層配置する手法は適宜選択できるが、好ましくは半田等の低融点金属(合金)を介して溶着する。この場合、転写用基材1を金属膜2が上面側に位置するように配置した状態で、各金属個片3を半田等の低融点金属を介して金属膜2上の所定の位置に配置し、この状態でリフロー加熱することで、複数の金属個片3を一括して金属膜2上に密着するように積層配置することができる。また、このようなリフロー処理にて金属個片3を積層配置すると、金属個片3は、その形状と合致する形状の金属膜2上に、溶融した半田の表面張力によって位置決めして配置され、この状態で半田を介して金属膜2と密着して積層されるものであり、このため金属個片3を正確に位置決めして配置することができる。
このようなリフロー処理を行う場合の処理条件は適宜設定されるが、例えば低融点金属として共晶半田を用いる場合は220〜280℃で20〜40秒間加熱することができる。ここで、転写用基材1として予めその表面に上記のような密着性調整のための表面処理をしたものを用いれば、リフロー処理における加熱により転写用基材1と金属膜2とが剥離することを防止することができる。
金属個片3の積層配置は、上記のような低融点金属による溶着を用いたものに限られず、適宜の手法を用いることができる。例えば金属個片3をアルミニウムにて形成する場合には、そのままでは半田実装が出来ないので、表面処理したものを使うか、半田実装以外の接合方法、例えばペースト材料、各種接着剤等により接合させることができる。
また、金属膜2と金属個片3の各接合面にそれぞれ予め金被膜を形成しておけば、いわゆる金−金接合により金属膜2に金属個片3を接合することができる。すなわち、例えば金被膜を有する金属膜2に金被膜を有する金属個片3を直接重ねた状態で、加熱処理を施したり超音波振動を加えたりすることにより、接合面同士を溶着することができるものである。金被膜を形成するにあたっては、金属膜2と金属個片3とを接合する前に、例えば金属膜2と金属個片3の各接合面の最外面に、それぞれめっき処理等により金被膜を形成しておくようにすることができる。尚、このように金被膜を形成する場合には、まずめっき法等によりニッケル被膜を形成した後に、金被膜を形成するようにしても良い。
また、必要に応じて、上記金属膜2と電気的に接続するように電子部品11を搭載する。電子部品11としてはチップコンデンサやチップ抵抗等のチップ部品などを用いることができ、これらの電子部品11は、通常は薄肉導体配線7に相当する金属膜2に電気的に接続するように搭載する。この場合、例えば転写用基材1を金属膜2が上面側に位置するように配置した状態で、電子部品11を半田等の低融点金属を介して金属膜2上の所定の位置に配置し、この状態でリフロー加熱することで、電子部品11を搭載することができる。
上記の金属個片3の積層配置と電子部品11の搭載とを行う場合には、この金属個片3の積層配置と電子部品11の搭載とを半田リフロー処理により一括して行うことができる。すなわち、転写用基材1を金属膜2が上面側に位置するように配置した状態で、金属個片3と電子部品11とを半田等の低融点金属を介して金属膜2上の所定の位置に配置し、この状態でリフロー加熱することで、金属個片3を積層配置すると同時に電子部品11を搭載することができるものである。
次に、図3(c)(d)に示すように、転写用基材1の金属膜2が形成されている面に絶縁層4を積層して形成すると共に、この絶縁層4に上記金属膜2、金属個片3、及び電子部品11を設けている場合には電子部品11を埋設する。
上記絶縁層4は適宜の熱硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂組成物等のような成形材料を用いて形成することができる。これらの組成物としては、フィラーを含有しないものを用いてもよいが、成形時の流動性の調整や形成される絶縁層4の熱伝導性の向上を図るためには無機フィラーを含有するものを用いることが好ましい。このような組成物は、配線基板の絶縁層4形成に適用可能な適宜の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に必要に応じて公知の無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤、溶剤、表面処理剤、顔料などを添加することによって、調製することができる。
特に成形材料として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合は、主成分となる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂等を用いることができ、また、難燃性を付与するため臭素化された樹脂やリン変性された樹脂を用いることもできる。なお、添加型難燃剤を使用すると絶縁層4の耐熱性や機械的強度の低下を招くおそれがあるが、耐熱性等に影響が出ない程度であれば上記難燃剤を熱硬化性樹脂に添加して使用してもよい。
また、成形材料として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合に無機フィラーを高充填することが好ましい。このように無機フィラーを高充填することによって、絶縁層4の熱伝導性をさらに高めることができ、電子部品10からの発熱をより効率よく放散させることができると共に、絶縁層4の熱膨張係数が金属膜2や金属個片3の熱膨張係数に近付き、配線基板の熱的な信頼性を向上させることができるものである。
上記の無機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、Al2O3、MgO、BN、AlN、SiO2から選ばれるものを用いるのが好ましい。これらの無機フィラーは、その他の無機フィラーよりも熱伝導性に優れている上に、粒度分布に自由度があり、高充填化するための粒度設計を容易に行うことができるからである。なお、無機フィラーの熱硬化性樹脂への分散性を向上させるため、カップリング剤や分散剤等を併用するのが好ましい。
成形材料の形態は、特に限定されるものではないが、特に図示のようにシート状の成形材料14を用いると、薄くて均一な厚みの絶縁層4を容易に形成することができる。シート状の成形材料14を用いる場合には、具体的には、PETフィルム等のような基体に成形材料を塗布してBステージ状態とすることにより得られる接着フィルム(樹脂シート)や、ガラス布等の基材に成形材料を含浸した後Bステージ状態とすることにより得られるプリプレグ等を用いることができる。このようなシート状の成形材料14を用いて絶縁層4を形成する場合には、例えばエポキシ樹脂組成物等のような熱硬化性樹脂組成物にて形成した樹脂シートやプリプレグ等のシート状の成形材料14を用い、転写用基材1の金属膜2を形成した面に前記のようなシート状の成形材料14を一枚又は複数枚積層し、加熱加圧して成形硬化することで絶縁層4を形成することができる。このとき加熱により溶融したシート状の成形材料14が金属膜2等の形状に沿って流動し、金属膜2等が埋設されるものである。
また、成形材料として、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に必要に応じて公知の無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤、溶剤、表面処理剤、顔料などを添加し、混練機等を用いてスラリー化したペースト状の樹脂組成物を用いることもできる。この場合、このペースト状の樹脂組成物を、転写用基材1の金属膜2を形成した面に印刷塗布し、必要に応じて硬化成形することで絶縁層4を形成することができる。
上記絶縁層4の厚みは、金属膜2の厚み、金属個片3の厚み、及び電子部品10を搭載する場合はこの電子部品10の厚みに応じて、これらの金属膜2、金属個片3、電子部品10が絶縁層4に埋設されるように適宜調整される。このときシート状の成形材料14を用いる場合は、シート状の成形材料14の厚みに応じて、絶縁層4が所望の厚みになるように適宜の枚数のシート状の成形材料14を用いて絶縁層4を形成する。また、特にこの絶縁層4の金属膜2が設けられている側とは反対側の表面と、絶縁層4に埋設されている金属個片3の金属膜2が設けられている側とは反対側の表面との間の寸法は、40μm以上となるようにすることが好ましく、この厚みが40μm未満であると絶縁層4に混入した気泡や金属個片3等の表面の微細な突起により絶縁不良が発生する可能性が高くなる。また、この寸法を150μm以下とすることで金属個片3にて形成される厚肉導体配線6や電子部品搭載部8からの放熱性を特に向上することができるものであり、この寸法が150μmを超えると、特に電子部品搭載部8を構成する金属個片3の場合では放熱特性が低下し電子部品10の発熱を十分に抑制することが困難となる。
上記のような絶縁層4の形成は絶縁層4内における気泡発生を抑制するために真空下又は減圧雰囲気下で行うことが好ましく、例えば1.33kPa(10torr)以下の圧力下で行うようにする。
また、上記絶縁層4には、図示のように、金属膜2が形成されている側とは反対側の面に、ヒートシンク材5を積層して設けることができる。ヒートシンク材5は適宜の金属材料にて形成することができるが、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、及び少なくともこれらのうち1種以上のものを含む合金、並びに銅インバー銅の複層材から選ばれた金属材料にて形成することができ、この場合、必要に応じて熱伝導性の向上、反射率の向上、軽量化等の目的に応じた材料を選択することができる。このヒートシンク材5は、例えば平板状に形成し、これを絶縁層4の金属膜2が形成されている側とは反対側の面に全面に亘って密着して積層成形することができる。また、発熱量の大きい電子部品10が搭載される電子部品搭載部8に相当する部位にのみヒートシンク材5を設けるようにしても良い。このヒートシンク材5の厚みは適宜調整されるが、0.5〜10mmの範囲に形成することが好ましい。
また、上記のヒートシンク材5には放熱フィン18(図6(d)、図2参照)を設けることで放熱性を更に向上することも好ましい。このとき、ヒートシンク材5を構成する金属板に放熱フィン18を接合すると共に放熱グリース等を塗って熱的に接合させても良いが、両者の間に隙間が生じることにより放熱性が低下したり、またコストが高くなったりするおそれがある。そこで、ヒートシンク材5として放熱フィン18を一体に形成したものを用いることが好ましく、これにより高い放熱性を発揮させると共に、厚みの増大を抑制して更なる小型化を図ることができ、また放熱フィン18のための別部品を不要とすると共に接合作業を行う手間を省くすることができて製造コストの抑制も図ることができる。
ヒートシンク材5を設ける場合には、適宜の手法を用いることができるが、例えば図3(c)(d)に示すように、絶縁層4を形成する際に同時にヒートシンク材5と絶縁層4とを一体に密着して積層成形することができる。例えば上記のように絶縁層4をシート状の成形材料14にて形成する場合には、転写用基材1の金属膜2を形成した面に前記のようなシート状の成形材料14を一枚又は複数枚積層すると共に、更に転写用基材1とは反対側にヒートシンク材5を積層して重ね、この状態で成形材料を硬化成形することにより絶縁層4を形成すると共に、この絶縁層4に対してヒートシンク材5を密着して積層成形することができる。
次に、転写用基材1を絶縁層4及び金属膜2の表面から剥離して除去することにより、図4(a)のような配線基板が得られる。転写用基材1の剥離は適宜の手法で行うことができるが、例えば転写用基材1を撓らせながら絶縁層4の端部から引き剥がすことにより行うことができる。
このようにして形成される配線基板は、金属膜2のみからなる薄肉導体配線7が絶縁層4の一面側に露出するように埋設して形成されており、また互いに接合された金属膜2と金属個片3とが積層してなる厚肉導体配線6が絶縁層4の前記一面側に露出するように埋設して形成されている。すなわち、薄肉導体配線7と、薄肉導体配線7よりも厚みの厚い厚肉導体配線6という、厚みの異なる導体配線が、絶縁層4の同一面側に露出するように形成されるものである。また必要に応じて互いに接合された金属膜2と金属個片3とが積層してなる電子部品搭載部8も絶縁層4の前記一面側に露出するように埋設して形成されている。また、必要に応じて前記薄肉導体配線7の所定位置と電気的に接続されたチップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品11が絶縁層4に埋設して設けられている。また、ヒートシンク材5を設ける場合には、絶縁層4の、薄肉導体配線7等が露出する面とは反対側の面にヒートシンク材5が積層して設けられている。
また、厚肉導体配線6については、図4(b)(c)に示すように金属膜2を除去することにより金属個片3のみで構成しても良い。例えば配線基板上に薄肉導体配線7を覆うようにレジスト膜12を形成すると共に、厚肉導体配線6は露出させ、この状態でエッチング処理を施した後、前記レジスト膜12を剥離することにより、厚肉導体配線6における金属膜2(半田等の低融点金属にて溶着している場合には更にこの低融点金属)を除去し、これにより厚肉導体配線6を金属個片3のみで構成することができる。この場合、厚肉導体配線6の表面は、絶縁層4の表面よりも除去された金属膜2の厚みの分だけ内奥側に一段下がった位置に形成されることとなり、これにより配線基板の表面には、厚肉導体配線6の形成位置に凹部9が形成されると共に、この凹部9の底面に厚肉導体配線6の表面が露出するようになる。このような凹部9を形成すると、厚肉導体配線6の両側に突出した絶縁層4によって絶縁障壁が形成され、非常に高い絶縁信頼性を得ることができる。また厚肉導体配線6において半田接続を行う場合には、厚肉導体配線6の両側に突出した絶縁層4によって半田の流出を堰き止めることができ、これによってショートサーキットを防止することができるものである。
また、金属個片3と金属膜2とで構成される電子部品搭載部8を形成する場合には、厚肉導体配線6の場合と同様にして金属膜2を除去することで、電子部品搭載部8を金属個片3のみで構成することもできる。この場合、例えば配線基板上に薄肉導体配線7を覆うようにレジスト膜12を形成すると共に、厚肉導体配線6と電子部品搭載部8とを露出させ、この状態でエッチング処理を施すことにより厚肉導体配線6と電子部品搭載部8における金属膜2(半田等の低融点金属にて溶着している場合には更にこの低融点金属)を同時に除去した後、前記レジスト膜12を剥離することができる。この場合、電子部品搭載部8の表面も、絶縁層4の表面よりも除去された金属膜2の厚みの分だけ内奥側に一段下がった位置に形成されることとなり、これにより配線基板の表面には、電子部品搭載部8の形成位置に凹部9が形成されると共にこの凹部9の底面に電子部品搭載部8の表面が露出することとなる。
このように形成される薄肉導体配線7、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面には、必要に応じてその一部又は全部に、めっき処理等により金被膜を形成することでワイヤボンディング性の向上等を図ることができ、またこのときまずニッケル被膜を形成した後に金被膜を形成することで、ニッケル被膜により耐食性、耐久性の向上を図ることもできる。
また、金属個片3を金属膜2に接合する前に、予め金属個片3の金属膜2との接合面にめっき法等により金被膜(あるいはニッケル被膜及び金被膜)を形成しておけば、絶縁層4形成後にめっき処理等を施すことなく、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面に金被膜(あるいはニッケル被膜及び金被膜)が形成された状態とすることもできる。また、金属個片3を金属膜2に接合する前に、予め金属膜2の金属個片3との接合面にめっき法等により金被膜(あるいはニッケル被膜及び金被膜)を設けておけば、上記のように金属膜2を除去した際に金属個片3の露出面に金被膜が残存し、これにより絶縁層4形成後にめっき処理等を施すことなく、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面に金被膜が形成された状態とすることもできる。また、上記のように金属個片3と金属膜2とを金−金接合により接合する場合には、上記のように金属膜2を除去した際に、やはり金属個片3の露出面に金被膜が残存し、これにより絶縁層4形成後にめっき処理等を施すことなく、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面に金被膜が形成された状態とすることもできる。
ここで、上記配線基板は多数個取りで形成することができ、この場合はルータ等を用いて配線基板を切断して個片化することができる。
このように形成された配線基板には、電子部品10をバンプ接続やワイヤボンディング接続等により薄肉導体配線7や厚肉導体配線6に電気的に接続して実装することができる。このとき電子部品搭載部8を形成している場合には、パワートランジスタやLED等のように発熱量の大きい電子部品10については、図4(d)に示すように、電子部品搭載部8の表面にダイボンディングするなどして搭載すると共に、ワイヤボンディング等にて薄肉導体配線7や厚肉導体配線6に電気的に接続して実装することができる。
ここで、電子部品搭載部8は、厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成することもできる。この場合、例えば電子部品搭載部8に搭載された電子部品10をワイヤボンディング接続等により、この電子部品10が搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)と電気的に接続することができる。このような電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成する場合は、電子部品搭載部8の露出面の最外層に金被膜を形成するなどして、この面にワイヤボンディングによりワイヤを接続することができる。
また、上記のような電子部品搭載部8には、電子部品10として特にLED等の光電変換素子のような発光部品10aを搭載する場合、図5(a)に示すように、座ぐり加工を施すなどしてその露出面側に開口する凹所15を形成しても良い。この凹所15は、その底面が電子部品10が配置される配置部17として形成し、この内面を反射面16として形成することができる。反射面16を形成する場合は、例えば凹所15の内側面に、凹所15の開口側ほど外側方に向かうように傾斜する反射面16を形成することができる。このような電子部品搭載部8の配置部17に図5(b)に示すように発光部品10aを搭載すると、金属製の電子部品搭載部8の表面からなる反射面16は光の反射率が非常に高いことから、発光部品10aからの発光が反射面16に到達するとその大部分が反射されることとなり、これにより発光部品10aの発光輝度を向上することができる。また金属は光による劣化が少ないことから、耐久性の高い反射面16が形成されるものである。また、発光部品10aとして特にUV光(紫外線)を発するLED等を用いる場合では、UV光を反射面16にて反射させることでこのUV光が絶縁層4の照射されることを防ぐことができ、絶縁層4がUV光によって絶縁特性の低下等のような劣化が生じることを防ぐことができ、またこの絶縁層4を形成するために耐UV性の高い特殊な成形材料を用いるような必要もなくなるものである。
更に、上記凹所15に発光部品10aを搭載すると共にこの凹所15に蛍光剤を含有する封止材を充填すると、発光部品10aからのUV光等の発光により蛍光剤を励起させて、この蛍光剤も発光させ、更なる高輝度化を達成することもでき、近年LED業界において検討されているUV発光による高輝度化にも十分対応することができる。この場合、封止材として透明なものを用いれば、反射面16としての機能が損なわれることなく、蛍光発光による発光輝度の更なる向上を達成することができる。
また、上記の凹所15の内面、特に反射面16にめっき処理により銀被膜を形成しておくと、反射面16における光の反射量が増大し、更なる発光輝度の向上を達成することができる。
また、上記のような凹所15を形成しない場合でも、電子部品搭載部8にLED等の発光部品10aを搭載した後、この発光部品10aの周囲に反射鏡を取り付けることで、発光輝度の向上や絶縁層4のUV光による劣化抑制を図るようにしても良い。
また、このような凹所15を有する電子部品搭載部8に発光部品10a等の電子部品10を搭載する場合においても、この電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成することができる。この場合も、例えば電子部品搭載部8に搭載された電子部品10をワイヤボンディング接続等により、この電子部品10が搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)と電気的に接続することができる。このような凹所15を有する電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成する場合は、電子部品搭載部8の露出面のうち、凹所15の外側方に位置する面の最外層に金被膜を形成するなどして、この面にワイヤボンディングによりワイヤを接続することができる。
上記のように形成される配線基板は、絶縁層4の同一面側に薄肉導体配線7と厚肉導体配線6とが併設されているものであり、また厚肉導体配線6は薄肉導体配線7よりも厚みが厚く形成されているために、厚肉導体配線6の面積を大きくすることなく十分な大電流を導通させることが可能となる。これにより、薄肉導体配線7を信号系配線として形成すると共に、厚肉導体配線6を大電流を導通可能としてパワー系配線として形成することができ、一つの配線基板の同一面に信号系配線とパワー系配線とを併設することが可能となり、且つ信号系配線とパワー系配線とが併設されていても細線化が可能となって、配線基板の小型化を図ることができる。また、電子部品搭載部8に発熱量の大きい電子部品10を搭載すると、電子部品10からの発熱を電子部品搭載部8に速やかに伝達させることができて、放熱性を向上することができるものである。
このとき上記の薄肉導体配線7はその厚みが好ましくは50μm以下、特に好ましくは5〜35μmの範囲となるように形成するものであり、また、厚肉導体配線6はその厚みが好ましくは300μm以上、特に好ましくは300μm〜3mmの範囲となるように形成する。このようにすると、薄肉導体配線7を信号系配線として形成すると共にその配線の微細化(ファインパターン化)が可能となるものであり、また厚肉導体配線6は大電流が導通可能であり且つ放熱性の高いパワー系配線として形成することができると共にこのパワー系配線の面積やライン幅の増大を抑制して、配線の微細化に寄与することができるものである。
また、電子部品搭載部8を設ける場合には、その厚みは500μm〜5mmの範囲となるように形成することが好ましく、この場合、電子部品搭載部8に大きな熱容量を付与することができて電子部品搭載部8にダイボンディング等で直付けにより搭載された電子部品10から発せられる熱を速やかに電子部品搭載部8に搭載すると共に、この熱を電子部品10の搭載面とは反対側の面に向けて速やかに伝達することができて、特に優れた放熱性を発揮するようになり、またこの電子部品搭載部8が絶縁層4で覆われることで優れた絶縁性を発揮する。また電子部品搭載部8の平面視寸法は、搭載される電子部品10の寸法に応じて適宜調整されるが、電子部品10からの発熱は理論的には下方に向けて45度の方向へ拡散するので、この熱が拡散する領域が電子部品搭載部8の内側に収まるような寸法に形成することが好ましい。電子部品搭載部8の平面視寸法はこれよりも更に大きくしても良いが、電子部品搭載部8の増大に比して放熱性の増大はそれほど見込まれず、また基板面積の増大により配線基板の小型化を損ねたり、コストの増大を招いたりする場合がある。
図6は、本参考形態にて作製することができる配線基板の例を示す。
図6(a)に示すものでは、絶縁層4に金属膜2が埋設されると共にこの金属膜2が絶縁層4の一面側で露出するようになっており、この金属膜2の所定の部位には、金属個片3が接合されると共にこの金属個片3は絶縁層4内に埋設されている。これにより、金属膜2のみからなる薄肉導体配線7が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の一面側に露出するように形成され、また金属膜2と金属個片3とが接合して構成された厚肉導体配線6が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の前記一面側に露出するように形成される。また金属膜2と金属個片3とが接合して構成された電子部品搭載部8も絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の前記一面側に露出するように形成されている。
また、図6(b)に示すものでは、絶縁層4に金属膜2と金属個片3とが埋設されると共にこの金属膜2と金属個片3とが絶縁層4の一面側で露出するようになっている。これにより、金属膜2のみからなる薄肉導体配線7が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の一面側に露出するように形成され、また金属個片3のみから構成された厚肉導体配線6が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の前記一面側に露出するように形成される。また金属個片3のみから構成された電子部品搭載部8も絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の前記一面側に露出するように形成されている。また、絶縁層4には前記一面側に開口する複数の凹部9が設けられていると共に、この凹部9の底面において前記厚肉導体配線6と電子部品搭載部8とが露出するように形成されている。
また、絶縁層4には、薄肉導体配線7、厚肉導体配線6及び電子部品搭載部8が露出する面とは反対側の面に、ヒートシンク材5が積層して設けられている。
このように形成される配線基板では、電子部品搭載部8が設けられている共に、更にヒートシンク材5が設けられていることから、高い放熱性を有するものであり、特に電子部品搭載部8に発熱量の大きい電子部品10を搭載した場合、電子部品10から発せられた熱が速やかに電子部品搭載部8に伝達され、更にこの熱がヒートシンク材5に伝達されて放熱されることとなり、非常に高い放熱性を有することになる。また、凹部9の底面に厚肉導体配線6と電子部品搭載部8が露出することから、厚肉導体配線6と電子部品搭載部8の両側に突出した絶縁層4によって絶縁障壁が形成されて高い絶縁信頼性が得られ、また厚肉導体配線6において半田接続を行う場合には、厚肉導体配線6の両側に突出した絶縁層4によって半田の流出を堰き止めることができ、これによってショートサーキットを防止することができる。
また、図6(c)に示す配線基板は、図6(b)に示すタイプの配線基板に電子部品10を実装したものであり、電子部品搭載部8には、パワートランジスタやパワーIC等のような発熱量の大きい電子部品10がダイボンディングされて搭載されており、薄肉導体配線7や厚肉導体配線6とワイヤボンディング等により接続されている。また薄肉導体配線7に対してIC等の電子部品10がバンプ接続(表面実装)により実装されている。また厚肉導体配線6を兼ねる電子部品搭載部8も形成されており、パワートランジスタ等の電子部品10を電源やアースに接続する場合などに、この電子部品10を厚肉導体配線6を兼ねる電子部品搭載部8に搭載すると共にワイヤボンディング接続等により、この電子部品搭載部8と電気的に接続することができる。
また、図6(d)に示すものでは、絶縁層4に金属膜2と金属個片3とが埋設されると共にこの金属膜2と金属個片3とが絶縁層4の一面側で露出するようになっている。これにより、金属膜2のみからなる薄肉導体配線7が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の一面側に露出するように形成され、また金属個片3のみから構成された電子部品搭載部8が絶縁層4に埋設されると共に絶縁層4の前記一面側に露出するように形成される。また、この配線基板には前記一面側に開口する複数の凹部9が設けられていると共に、この凹部9の底面において前記電子部品搭載部8が露出するように形成されている。またこの電子部品搭載部8には、その露出面側に開口する凹所15が設けられており、この凹所15は底面が電子部品10が配置される配置部17として形成され、この内面が反射面16として形成されており、前記配置部17には電子部品10としてLED等の発光部品10aが搭載されている。また電子部品搭載部8は厚肉導体配線6を兼用するものとして形成されており、各電子部品10は、ワイヤボンディングにより薄肉導体配線7とこの電子部品10が搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)とに電気的に接続されている。また、この電子部品搭載部8と薄肉導体配線7との間もワイヤボンディングにより電気的に接続されている。また絶縁層4の薄肉導体配線7及び電子部品搭載部8が露出する面とは反対側の面には、放熱フィン18を有するヒートシンク材5が積層して設けられている。
このように構成される配線基板では、電子部品搭載部8が設けられている共に、更に放熱フィン18を有するヒートシンク材5が設けられていることから、高い放熱性を有するものであり、特に電子部品搭載部8に発熱量の大きい電子部品10を搭載した場合、電子部品10から発せられた熱が速やかに電子部品搭載部8に伝達され、更にこの熱がヒートシンク材5に伝達されて放熱フィン18から放熱されることとなり、非常に高い放熱性を有することになる。また、凹部9の底面に厚肉導体配線6を兼ねる電子部品搭載部8が露出することから、電子部品搭載部8の両側に突出した絶縁層4によって絶縁障壁が形成されて高い絶縁信頼性が得られ、また厚肉導体配線6を兼ねる電子部品搭載部8において半田接続を行う場合には、電子部品搭載部8の両側に突出した絶縁層4によって半田の流出を堰き止めることができ、これによってショートサーキットを防止することができる。また、電子部品搭載部8に電子部品10として発光部品10aを搭載すると、金属製の電子部品搭載部8の表面からなる反射面16は光の反射率が非常に高いことから、発光部品10aからの発光が反射面16に到達するとその大部分が反射されることとなり、これにより発光部品10aの発光輝度を向上することができる。また金属は光による劣化が少ないことから、耐久性の高い反射面16が形成されるものである。また、発光部品10aとして特にUV光(紫外線)を発するLED等を用いる場合では、UV光を反射面16にて反射させることでこのUV光が絶縁層4の照射されることを防ぐことができ、絶縁層4がUV光によって絶縁特性の低下等のような劣化が生じることを防ぐことができ、またこの絶縁層4を形成するために耐UV性の高い特殊な成形材料を用いるような必要もなくなるものである。
図1,2は、本発明に係る配線基板を形成する場合の製造工程を示すものである。
図示のものでは、まず図1(a)に示すように、転写用基材1の一面にパターン状の金属膜2を形成する。この転写用基材1としては例えばステンレス製の板材を用いることができる。この転写用基材1には金属膜2との密着強度の調整のための表面処理を施しておくことが好ましく、例えば転写用基材1に対して、金属膜2が形成される面に、硝酸とフッ酸との混酸や、あるいは塩化第二鉄溶液、これに銅、塩酸等を含有させたもの等のエッチング液によりソフトエッチング処理を施すなどの化学研磨による粗化処理を施して転写用基材1と金属膜2との間の密着強度を調整することが好ましい。
上記表面処理による密着強度の調整は、後述する金属個片3の接合工程、仮保持層13の形成工程、絶縁層4の形成工程等の後工程において転写用基材1と金属膜2や仮保持層13との間に剥離が発生せず、また転写用基材1を仮保持層13及び金属膜2から剥離する際には容易に剥離することができる程度となるようにする。その処理の程度は、金属膜2や仮保持層13の材質、形成方法、その他の具体的な後処理の処理条件などによって異なり、適宜調整されるべきものであるが、例えばステンレス製の厚み20〜150μmの転写用基材1に対して塩化鉄溶液等により粗化処理を施すことにより、例えば厚み35μmのめっき被膜により金属膜2を形成する場合に、転写用基材1の表面粗度Raが0.3〜1.0μmの範囲となるようにするなどして、転写用基材1と金属膜2との間のピール強度が50〜200g/m(0.49〜1.96N/m)の範囲となるようにすると、上記のような特性を発揮させることができる。
また、上記の金属膜2は、上記の図3,4に示す参考形態の場合と同様にして形成される。
続いて、図3,4に示す場合と同様の手法により、図1(b)に示すように、金属膜2の所定箇所に厚肉導体配線6を形成するための金属個片3を積層して接合すると共に、必要に応じて金属膜2の所定箇所に電子部品搭載部8を形成するための金属個片3を積層して接合し、また更に必要に応じて金属膜2の所定箇所に電気的に接続するようにしてチップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品11を実装する。
次いで、図1(c)に示すように、転写用基材1の金属膜2を形成した面に仮保持層13を積層して形成すると共に、この仮保持層13に上記金属膜2、金属個片3、及び電子部品11を設けている場合には電子部品11を埋設する。この仮保持層13は、特定の薬剤に溶解する材質や、加熱等により容易に軟化・溶融させることが可能な材質などのように、成形後に容易に除去可能な材質にて形成するものであり、例えばエッチングレジストやめっきレジストなどとして用いられるアルカリ溶解タイプの樹脂組成物や、適宜の熱可塑性材料、ろう材等を成形して形成することができる。具体的には、例えば転写用基材1の金属膜2等が設けられている側の面に、液状のアルカリ溶解タイプの樹脂組成物(例えばNAZDAR社製の印刷インキ「229Blue」)を、金属膜2、金属個片3、及び電子部品11を設けている場合にはこの電子部品11が、全て埋まるようになるまで複数回に分けて塗布、硬化を繰り返すことにより、仮保持層13を形成すると共にその表面が平滑になるようにする。このとき仮保持層13の形成は、仮保持層13内における気泡発生を抑制したり、或いは電子部品11を設けている場合には電子部品11と転写用基材1との間の空間まで仮保持相13を充填させるようにするために真空下又は減圧雰囲気下で行うことが好ましく、例えば1.33kPa(10torr)以下の圧力下で行うようにする。
上記の仮保持層13を形成するにあたっては適宜の手法を採用することができるが、例えばアルカリ溶解タイプの樹脂組成物を用いる場合には、例えばペースト状に調製されたアルカリ溶解タイプの樹脂組成物を転写用基材1の金属膜2を形成した面に印刷塗布し、必要に応じて硬化成形することで仮保持層13を形成することができる。
次に、転写用基材1を仮保持層13及び金属膜2の表面から剥離して除去する。転写用基材1の剥離は適宜の手法で行うことができるが、例えば転写用基材1を撓らせながら絶縁層4の端部から引き剥がすことにより行うことができる。このとき仮保持層13の一面に金属膜2が露出するように形成される。
このように形成される仮保持層13は、後述する絶縁層4を形成する前に、金属膜2及び金属個片3を保持してその配置位置を固定する機能を有し、これにより後工程において絶縁層4の同一面に厚みの異なる導体配線を形成することを可能とする。
次に、図2(a)(b)に示すように、仮保持層13の金属膜2が露出する面側に、絶縁層4を積層して形成する。上記絶縁層4は上記の場合と同様の適宜の熱硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂組成物等のような成形材料を用いて形成することができ、また上記の場合と同様に接着フィルム(樹脂シート)や、プリプレグ等のシート状の成形材料14や、ペースト状に調製されたもの等のように適宜の形態のものが用いられる。
絶縁層4を形成するにあたっては適宜の手法が用いられるが、例えばシート状の成形材料14を用いる場合は、仮保持層13の金属膜2が露出する面に前記のようなシート状の成形材料14を一枚又は複数枚積層し、加熱加圧して成形硬化することで絶縁層4を形成することができる。
また、成形材料としてペースト状の樹脂組成物を用いる場合は、このペースト状の樹脂組成物を、仮保持層13の金属膜2が露出する面に印刷塗布し、必要に応じて硬化成形することで絶縁層4を形成することができる。またこの絶縁層4の形成は絶縁層4内における気泡発生を抑制するために真空下又は減圧雰囲気下で行うことが好ましく、例えば1.33kPa(10torr)以下の圧力下で行うようにする。
上記絶縁層4の厚みは特に制限されるものではないが、40〜150μmの範囲とすることが好ましい。
また、上記絶縁層4には、図示のように、金属膜2が形成されている側とは反対側の面に、ヒートシンク材5を積層して設けることができる。ヒートシンク材5としては上記のものと同様のものを形成することができる。
ヒートシンク材5を設ける場合には、適宜の手法を用いることができるが、例えば絶縁層4を形成する際に同時にヒートシンク材5と絶縁層4とを一体に密着して積層成形することができる。例えば上記のように絶縁層4をシート状の成形材料14にて形成する場合には、仮保持層13の金属膜2が露出する面に前記のようなシート状の成形材料14を一枚又は複数枚積層すると共に、更に仮保持層13とは反対側にヒートシンク材5を積層して重ね、この状態で成形材料を硬化成形することにより絶縁層4を形成すると共に、この絶縁層4に対してヒートシンク材5を密着して積層成形することができる。
このヒートシンク材5は、上記図4,5に示す参考形態の場合と同様の材質にて形成することができる。またこの図2に示す例では、ヒートシンク材5として放熱フィン18が設けられたものを用いており、これにより放熱性を更に向上することができる。
次に、図2(c)に示すように、仮保持層13をその材質に応じた手法により除去する。すなわち、例えば仮保持層13をアルカリ溶解タイプの樹脂組成物の成形体にて形成する場合には、仮保持層13をアルカリ性溶液にて処理することにより溶解除去し、また仮保持層13を熱可塑性材料やろう材等の成形体にて形成している場合には仮保持層13を加熱するなどして軟化・溶融させることにより除去し、配線基板を得る。
このようにして形成される配線基板は、金属膜2のみからなる薄肉導体配線7が絶縁層4の一面側に露出するように積層して形成されており、また金属膜2と金属個片3とが積層してなる厚肉導体配線6が絶縁層4の前記一面側に露出するように積層して形成されている。すなわち、薄肉導体配線7と、薄肉導体配線7よりも厚みの厚い厚肉導体配線6という、厚みの異なる導体配線が、絶縁層4の同一面側に露出するように形成されるものである。また必要に応じて金属膜2と金属個片3とが積層してなる電子部品搭載部8も絶縁層4の前記一面側に露出するように積層して形成されている。また、必要に応じて前記薄肉導体配線7の所定位置と電気的に接続されたチップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品11が絶縁層4から露出するように設けられている。また、ヒートシンク材5を設ける場合には、絶縁層4の、薄肉導体配線7等が露出する面とは反対側の面にヒートシンク材5が積層して設けられている。
このように形成される薄肉導体配線7、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面には、必要に応じてその一部又は全部に、めっき処理等により金被膜を形成することでワイヤボンディング性の向上等を図ることができ、またこのときまずニッケル被膜を形成した後に金被膜を形成することで、ニッケル被膜により耐食性、耐久性の向上を図ることもできる。
また、仮保持層13を形成する前、例えば金属膜2と金属個片3とを接合する前に、金属膜2における薄肉導体配線7の露出面となる面や、金属個片3における厚肉導体配線や電子部品搭載部8の露出面となる面に、予め金被膜を形成したり、ニッケル被膜、金被膜を順次形成したりしておけば、仮保持層13を除去した後にめっき処理等を施すことなく、薄肉導体配線7、厚肉導体配線6、電子部品搭載部8等の露出面に金被膜が形成された状態とすることができる。このとき、例えば金属膜2と金属個片3とを接合する前に、金属膜2に金被膜(又はニッケル被膜及び金被膜)を形成すると共に、金属個片3には厚肉導体配線や電子部品搭載部8の露出面となる面と、金属膜2との接合面の最外面に金被膜(又はニッケル被膜及び金被膜)を形成しておくこともでき、この場合は、金被膜を、上記のように金属個片3と金被膜2とを金−金接合するために利用することもできる。
ここで、上記配線基板は多数個取りで形成することができ、この場合はルータ等を用いて配線基板を切断して個片化することができる。
このように形成された配線基板には、電子部品10をバンプ接続やワイヤボンディング接続等により薄肉導体配線7や厚肉導体配線6に電気的に接続して実装することができる。このとき電子部品搭載部8を形成している場合には、パワートランジスタやLED等のように発熱量の大きい電子部品10については、電子部品搭載部8の表面にダイボンディングするなどして搭載すると共に、ワイヤボンディング等にて薄肉導体配線7や厚肉導体配線6に電気的に接続して実装することができる。
ここで、電子部品搭載部8は、厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成することもできる。この場合、例えば電子部品搭載部8に搭載された電子部品10をワイヤボンディング接続等により、この電子部品10が搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)と電気的に接続することができる。このような電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成する場合は、電子部品搭載部8の露出面の最外層に金被膜を形成するなどして、この面にワイヤボンディングによりワイヤを接続することができる。
また、上記のような電子部品搭載部8には、図3,4に示すものと同様に、電子部品10として特にLED等の光電変換素子のような発光部品10aを搭載する場合、座ぐり加工を施すなどしてその露出面側に開口する凹所15を形成しても良い。このような電子部品搭載部8の配置部17に発光部品10aを搭載すると、金属製の電子部品搭載部8の表面からなる反射面16は光の反射率が非常に高いことから、発光部品10aからの発光が反射面16に到達するとその大部分が反射されることとなり、これにより発光部品10aの発光輝度を向上することができる。また金属は光による劣化が少ないことから、耐久性の高い反射面16が形成されるものである。また、発光部品10aとして特にUV光(紫外線)を発するLED等を用いる場合では、UV光を反射面16にて反射させることでこのUV光が絶縁層4の照射されることを防ぐことができ、絶縁層4がUV光によって絶縁特性の低下等のような劣化が生じることを防ぐことができ、またこの絶縁層4を形成するために耐UV性の高い特殊な成形材料を用いるような必要もなくなるものである。
更に、上記図3,4に示す場合と同様に、上記凹所15に発光部品10aを搭載すると共にこの凹所15に蛍光剤を含有する封止材を充填すると、発光部品10aからのUV光等の発光により蛍光剤を励起させて、この蛍光剤も発光させ、更なる高輝度化を達成することもでき、近年LED業界において検討されているUV発光による高輝度化にも十分対応することができる。この場合、封止材として透明なものを用いれば、反射面16としての機能が損なわれることなく、蛍光発光による発光輝度の更なる向上を達成することができる。
また、上記の凹所15の内面、特に反射面16にめっき処理により銀被膜を形成しておくと、反射面16における光の反射量が増大し、更なる発光輝度の向上を達成することができる。
また、上記のような凹所15を形成しない場合でも、電子部品搭載部8にLED等の発光部品10aを搭載した後、この発光部品10aの周囲に反射鏡を取り付けることで、発光輝度の向上や絶縁層4のUV光による劣化抑制を図るようにしても良い。
また、このような凹所15を有する電子部品搭載部8に発光部品10a等の電子部品10を搭載する場合においても、この電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成することができる。この場合も、例えば電子部品搭載部8に搭載された電子部品10をワイヤボンディング接続等により、この電子部品10が搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)と電気的に接続することができる。このような凹所15を有する電子部品搭載部8を厚肉導体配線6を兼ねる配線として形成する場合は、電子部品搭載部8の露出面のうち、凹所15の外側方に位置する面の最外層に金被膜を形成するなどして、この面にワイヤボンディングによりワイヤを接続することができる。
上記のように形成される配線基板は、絶縁層4の同一面側に薄肉導体配線7と厚肉導体配線6とが併設されているものであり、また厚肉導体配線6は薄肉導体配線7よりも厚みが厚く形成されているために、厚肉導体配線6の面積を大きくすることなく十分な大電流を導通させることが可能となる。これにより、薄肉導体配線7を信号系配線として形成すると共に、厚肉導体配線6を大電流を導通可能としてパワー系配線として形成することができ、一つの配線基板の同一面に信号系配線とパワー系配線とを併設することが可能となり、且つ信号系配線とパワー系配線とが併設されていても細線化が可能となって、配線基板の小型化を図ることができる。また、電子部品搭載部8に発熱量の大きい電子部品10を搭載すると、電子部品10からの発熱を電子部品搭載部8に速やかに伝達させることができて、放熱性を向上することができるものである。
このとき上記の薄肉導体配線7はその厚みが好ましくは50μm以下、特に好ましくは5〜35μmの範囲となるように形成するものであり、また、厚肉導体配線6はその厚みが好ましくは300μm以上、特に好ましくは300μm〜3mmの範囲となるように形成する。このようにすると、薄肉導体配線7を信号系配線として形成すると共にその配線の微細化(ファインパターン化)が可能となるものであり、また厚肉導体配線6は大電流が導通可能であり且つ放熱性の高いパワー系配線として形成することができると共にこのパワー系配線の面積やライン幅の増大を抑制して、配線の微細化に寄与することができるものである。
また、電子部品搭載部8を設ける場合には、その厚みは500μm〜5mmの範囲となるように形成することが好ましく、この場合、電子部品搭載部8に大きな熱容量を付与することができて電子部品搭載部8にダイボンディング等で直付けにより搭載された電子部品10から発せられる熱を速やかに電子部品搭載部8に搭載すると共に、この熱を電子部品10の搭載面とは反対側の面に向けて速やかに伝達することができて、特に優れた放熱性を発揮するようになり、またこの電子部品搭載部8が絶縁層4で覆われることで優れた絶縁性を発揮する。また電子部品搭載部8の平面視寸法は、搭載される電子部品10の寸法に応じて適宜調整されるが、電子部品10からの発熱は理論的には下方に向けて45度の方向へ拡散するので、この熱が拡散する領域が電子部品搭載部8の内側に収まるような寸法に形成することが好ましい。電子部品搭載部8の平面視寸法はこれよりも更に大きくしても良いが、電子部品搭載部8の増大に比して放熱性の大きな増大は見込まれず、また基板面積の増大により配線基板の小型化を損ねたり、コストの増大を招いたりする場合がある。
本発明についての更に具体的な実施例を以下に説明する。
(参考例1)
厚み100μmのステンレス製の転写用基材1を、塩化第2鉄溶液に銅、塩酸等を混入させたエッチング液にて処理することで表面を粗化した後、パターンめっき処理により銅製の厚み35μmの金属膜2をパターン状に形成した。
次に、厚肉導体配線6と電子部品搭載部8とを形成するための銅製の厚み2mmの複数の金属個片3を打ち抜き形成し、これらを金属膜2上の所定位置に半田リフロー処理により接合した。
一方、樹脂シートを次のようにして形成した。まず、エポキシ樹脂100重量部、ジシアンジアミド(硬化剤)5重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1重量部、エポキシシランカップリング剤10重量部、メチルエチルケトン及びジメチルフォルムアミドからなる溶剤(MEK:DMF=1:2(重量比))70重量部をあらかじめ混合して溶解させた溶液を準備した。次に、この溶液にさらに平均粒径5μmのアルミナフィラー(無機フィラー)700重量部を混合し、これをディスパーで撹拌することにより、固形分93質量%、粘度3000cps(cP)のスラリーとした。そしてこのスラリーをPETフィルムの上に塗布し、これを150℃で10分間乾燥することによって、厚み100μmの接着性を有するBステージ状態の樹脂シート(無機フィラー85質量%含有)を作製した。
次に、厚み1mmのアルミニウム板からなるヒートシンク材5を、上記転写用基材1における金属膜2及び金属個片3が設けられた面と対向させて配置すると共に、その間に20枚の上記樹脂シートを介在させるように積層し、6.67hPa(5torr)以下の減圧雰囲気下で、実圧0.29MPa(3kgf/cm2)をかけながら、130℃で10分処理した後、175℃で60分処理することで加熱加圧成形し、次いで転写用基材1を手で剥ぎ取った。
次に、絶縁層4の表面に露出する金属膜2を、金属個片3が接合されている部位を除いてエッチングレジストにて被覆し、金属膜2の露出する部分をエッチング処理により除去した。
これにより、金属膜2のみにて構成される薄肉導体配線7と、金属個片3のみで構成される厚肉導体配線6と、金属個片3のみで構成される電子部品搭載部8とを絶縁層4に埋設すると共にその同一面側を露出させ、また厚肉導体配線6と電子部品搭載部8の露出面は配線基板の凹部9の底部に露出するように形成され、且つ絶縁層4の他面側にヒートシンク材5が積層成形された配線基板を得た。
そして、この配線基板をルータにより切断して個片化した。
(参考例2)
厚み100μmのステンレス製の転写用基材1を、塩化第2鉄溶液に銅、塩酸等を混入させたエッチング液にて処理することで表面を粗化した後、パターンめっき処理により厚み0.1μmの金被膜、厚み0.5μmのニッケル被膜、厚み18μmの銅被膜を順次積層して金属膜2を形成した。
次に、厚肉導体配線6と電子部品搭載部8とを形成するための銅製の厚み2mmの複数の金属個片3を打ち抜き形成し、これにめっき処理を施して厚み0.5μmのニッケル被膜、厚み0.1μmの金被膜を順次形成し、この金属個片3を金属膜2上の所定位置に、金−金接合により接合した。
一方、プリプレグを次のようにして形成した。まず、エポキシ樹脂100重量部、ジシアンジアミド(硬化剤)6重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.3重量部、エポキシシランカップリング剤2重量部、メチルエチルケトン及びジメチルフォルムアミドからなる溶剤(MEK:DMF=1:2(重量比))70重量部をあらかじめ混合して溶解させて樹脂ワニスを調製した。この樹脂ワニスをガラス不織布に含浸させた後、150℃で10分間乾燥することによって、厚み300μmの接着性を有するBステージ状態のプリプレグを作製した。
次に、厚み1mmのアルミニウム板に放熱フィン18を設けたヒートシンク材5を、上記転写用基材1における金属膜2及び金属個片3が設けられた面と対向させて配置すると共に、その間に7枚の上記樹脂シートを介在させるように積層し、6.67hPa(5torr)以下の減圧雰囲気下で、実圧0.29MPa(3kgf/cm2)をかけながら、130℃で10分処理した後、175℃で60分処理することで加熱加圧成形し、次いで転写用基材1を手で剥ぎ取った。
次に、絶縁層4の表面に露出する金属膜2を、金属個片3が接合されている部位を除いてエッチングレジストにて被覆し、金属膜2の露出する部分をエッチング処理により除去した。
これにより、金属膜2のみにて構成される薄肉導体配線7と、金属個片3のみで構成される厚肉導体配線6と、金属個片3のみで構成される電子部品搭載部8とを絶縁層4に埋設すると共にその同一面側を露出させ、また厚肉導体配線6と電子部品搭載部8の露出面は配線基板の凹部9の底部に露出するように形成され、且つ絶縁層4の他面側に放熱フィン18を有するヒートシンク材5が積層成形された配線基板を得た。
そして、この配線基板をルータにより切断して個片化した。
(参考例3)
参考例1において、ヒートシンク材5としてアルミニウム製のものに代えて銅製のものを用いた以外は、参考例1と同様にして、配線基板を形成した。
この配線基板における電子部品搭載部8に座ぐり加工を施すことで、電子部品搭載部8の露出面側に平面視円形状に開口する凹所15を形成し、この凹所15の底面の配置部17にLEDを搭載し、ワイヤボンディング法により二つの電極のうち一方を制御系配線に接続すると共に他方をLEDが搭載されている電子部品搭載部8(兼厚肉導体配線6)に接続した。
(実施例4)
厚み100μmのステンレス製の転写用基材1を、塩化第2鉄溶液に銅、塩酸等を混入させたエッチング液にて処理することで表面を十分に粗化した後、パターンめっき処理により銅製の厚み35μmのパターン状の金属膜2を、転写用基材1との間のピール強度が200g/cmとなるように形成した。
次に、厚肉導体配線6と電子部品搭載部8とを形成するための銅製の厚み300μmの複数の金属個片3を打ち抜き形成し、これらを金属膜2上の所定位置に半田リフロー処理により接合した。
次に、一般的にエッチングレジストとして使用されているアルカリ溶解タイプの樹脂組成物(NAZDAR社製のスクリーン印刷インキ「229Blue」)を用い、これを転写用基材1の金属膜2が形成されている側の面に6.67hPa(5torr)以下の減圧雰囲気下で塗布した後に150℃で5分間加熱乾燥する操作を繰り返すことにより、仮保持層13を形成すると共にこの仮保持層13の内部に金属膜2及び金属個片3を埋設した。次いで、仮保持層13の冷却後、仮保持層13及び金属膜2から転写用基材1を手で引き剥がした。
一方、樹脂シートを次のようにして形成した。まず、エポキシ樹脂100重量部、ジシアンジアミド(硬化剤)5重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1重量部、エポキシシランカップリング剤10重量部、メチルエチルケトン及びジメチルフォルムアミドからなる溶剤(MEK:DMF=1:2(重量比))70重量部をあらかじめ混合して溶解させた溶液を準備した。次に、この溶液にさらに平均粒径5μmのアルミナフィラー(無機フィラー)700重量部を混合し、これをディスパーで撹拌することにより、固形分93質量%、粘度3000cps(cP)のスラリーとした。そしてこのスラリーをPETフィルムの上に塗布し、これを150℃で10分間乾燥することによって、厚み100μmの接着性を有するBステージ状態の樹脂シート(無機フィラー85質量%含有)を作製した。
次に、厚み2mmのアルミニウム板からなるヒートシンク材5を、上記仮保持層13における金属膜2が露出する面と対向させて配置すると共に、その間に1枚の上記樹脂シートを介在させるように積層し、6.67hPa(5torr)以下の減圧雰囲気下で、実圧0.29MPa(3kgf/cm2)をかけながら、130℃で10分処理した後、175℃で60分処理することで加熱加圧成形した。
次に、アルカリエッチングにより仮保持層13を溶解除去し、これにより、金属膜2のみにて構成される薄肉導体配線7と、金属膜2及び金属個片3で構成される厚肉導体配線6と、金属膜2及び金属個片3で構成される電子部品搭載部8が絶縁層4の一面側に積層して形成されると共に、絶縁層4の他面側に放熱フィン18を有するヒートシンク材5が積層して形成された配線基板を得た。
そして、この配線基板をルータにより切断して個片化した。
以上のような各参考例及び実施例により、一つの配線基板の同一面に信号系配線とパワー系配線とを併設することができ、且つ信号系配線とパワー系配線とが併設されていても細線化が可能となって、小型化された配線基板を得ることができた。また、電子部品搭載部8に発熱量の大きい電子部品10を搭載すると、電子部品10からの発熱を電子部品搭載部8に速やかに伝達させ、或いは更にヒートシンク材に伝達させて放熱することができ、配線基板の放熱性を向上することができた。