JP2010053461A - 嵩高性構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水不溶性の親水性高分子を含んだ高空孔率構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上20重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.2重量%以上20重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液を得る工程であって、該油性化合物が水相に分散したエマルジョンとであって該親水性高分子を含有する水系分散液を調整する調製工程、(2)水系分散液を構成する水の一部を脱水することによって、油性化合物の濃度を該水系分散液より増加させた濃縮組成物を得る脱水工程、(3)濃縮組成物を加熱することによって、該濃縮組成物から油性化合物および水の一部を蒸発させて除去する乾燥工程、の3つの工程を含む親水性高分子からなる多孔性嵩高性構造体の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、水不溶性の親水性高分子からなる嵩高性構造体の製造方法、特に、微細なセルロース繊維からなるシート状の嵩高性構造体の製造方法に関する。
一般的に親水性高分子には水溶性のものが多い。しかし、セルロースやアミロース(でんぷんの主成分)、キチンのような多糖類をはじめとし、親水性ながらも水中へ混入された際に、水に完全には溶解せず、膨潤程度に留まる化合物も多く存在する。
例えば、食材類には水不溶性の親水性高分子が多量に含まれているケースが多い。該当分野では、食材を、いったん水系分散体の状態で種々の調味料や添加剤と混合して調理した後に、長期保存の効く乾燥体として加工し、製品とするケースが非常に多い。
しかし、単純に、例えば混錬しながら乾燥させただけでは、得られる乾燥体は、水やお湯に再度分散させても極めて分散性の悪い、高密度構造体となってしまう。これは、表面張力の大きな水媒体中で膨潤した水不溶性の親水性高分子が、乾燥の際の水の気散時に互いに融着し合い、緻密な固体構造を形成してしまうことに起因する。このような現象は、水不溶性の親水性高分子の水系分散体が、ゲルに近い柔軟な状態にあるか、あるいは少なくとも表面に極めて微細な繊維を含む分散体である場合に起こり得る。
水不溶性の親水性高分子を含む水系分散体から乾燥の際に高密度構造体となることを防止し、水中やお湯の中に再分散させた際に分散性に優れるような嵩高性構造体となるようにするためには、例えば、凍結乾燥法(特許文献1参照)や二酸化炭素媒体への置換による超臨界乾燥法(特許文献2および特許文献3参照)のような特殊な乾燥手法が必要であった。この他、特許文献4および特許文献5には、水系分散体中の水を、より表面張力の低い有機溶媒にいったん置換するか、あるいは分散体中の溶媒を有機溶媒とし、成形後、乾燥させることにより多孔性構造体が得られるとの開示もなされている。
しかしながら、嵩高性構造体を得るために、凍結乾燥法や二酸化炭素による超臨界乾燥法を用いると多大なコストを要するため、工業的製法としては大きな制約となっていた。さらに、予め水系分散体の濃縮物を調製し、該濃縮物の内部に含有する水を有機溶媒に置換し乾燥する方法や、あるいは、分散体中の媒体そのものを有機溶媒として濃縮等の後に乾燥させる方法では、得られる構造体に対し、大量の有機溶媒が必要となり、コスト面でも好ましくないばかりか、それに伴う製造設備面および環境面での負荷も大きくなるため、やはり工業的製法としての制約となっていた。
特開2002−218962号公報 特開2004−131343号公報 特開2006−207090号公報 特開平9−140493号公報 国際公開2006/004012号パンフレット
本発明は、水不溶性の親水性高分子を含有する嵩高性構造体を製造する方法であって、空孔率の高い嵩高性構造体を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、低濃度の油性化合物をエマルジョンとして配合した水不溶性の親水性高分子を含有する水系分散液を脱水濃縮すると、高い油性化合物濃度の濃縮組成物へと濃縮されること、さらには該濃縮組成物から油性化合物および水を乾燥させることにより、高空孔率を有する嵩高性構造体を提供でき、上記課題が解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
[1](1)水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上20重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.2重量%以上20重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液を得る工程であって、該油性化合物が水相に分散したエマルジョンであって該親水性高分子を含有する水系分散液を調整する調製工程、
(2)水系分散液を構成する水の一部を脱水することによって、油性化合物の濃度を該水系分散液より増加させた濃縮組成物を得る脱水工程、
(3)濃縮組成物を加熱することによって、該濃縮組成物から油性化合物および水の一部を蒸発させて除去する乾燥工程、
の3つの工程を含む親水性高分子からなる嵩高性構造体の製造方法。
[2]水系分散液が、水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上5.0重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.4重量%以上10重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液である上記1に記載の嵩高性構造体の製造方法。
[3]水系分散液が、界面活性剤および水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一種を0.001重量%以上1重量%以下含む水系分散液である上記1または2のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[4]水不溶性の親水性高分子が、水不溶性の多糖類である上記1〜3のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[5]水不溶性の多糖類がセルロースである上記4に記載の嵩高性構造体の製造方法。
[6]セルロースがミクロフィブリル化セルロースである上記5に記載の嵩高性構造体の製造方法。
[7]脱水工程において、水系分散液を構成する水の一部を回転式脱水機で脱水する上記1〜6のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[8]脱水工程において、水系分散液を構成する水の一部を抄紙機で脱水する上記1〜6のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[9]水系分散液が、ミクロフィブリル化セルロース0.05重量%以上1.0重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物0.5重量%以上5重量%以下、及び水80重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液であって、脱水工程において、該水系分散液を構成する水の一部を抄紙機で脱水してシート状構造体を形成させる上記8に記載の嵩高性構造体の製造方法。
[10]油性化合物が炭素数6〜炭素数14の範囲の炭化水素の中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、上記1〜9のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[11]油性化合物が炭素数5〜炭素数9の範囲であり一価かつ一級のアルコールの中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、上記1〜9のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[12]油性化合物が、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノールの中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、上記11に記載の嵩高性構造体の製造方法。
[13]ミクロフィブリル化セルロースの数平均繊維径が2nm以上300nm以下の範囲にある上記6〜12のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[14]ミクロフィブリル化セルロースの原料が、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ,及び竹由来パルプからなる群から選択された少なくとも一種のパルプである上記6〜13のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[15]脱水工程において、抄紙機に通水性のあるシート状の支持体をのせて、水系分散液を構成する水の一部を該支持体上で脱水することによって、該支持体上に親水性高分子からなる嵩高性構造体を積層一体化させる工程を含み、少なくとも2層以上の積層構造を有するシート状の嵩高性構造体を製造する上記8〜14のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[16]得られる嵩高性構造体が10s/100cc以上4000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体である上記8〜15のいずれかに記載の嵩高性構造体の製造方法。
[17]得られる嵩高性構造体が20s/100cc以上1000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体である上記16に記載の嵩高性構造体の製造方法。
本発明により、水不溶性の親水性高分子を含有する嵩高性構造体の製造方法であって、空孔率の高い嵩高性構造体を容易に製造することが可能となる。
本発明をさらに詳細に説明する。 本発明は、嵩高性構造体の製造方法に関する。本発明の製造方法は、主に3つの工程から成る。
具体的には、(1)水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上20重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.2重量%以上20重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液を得る工程であって、該油性化合物が水相に分散したエマルジョンであって該親水性高分子を含有する水系分散液を調整する調製工程、(2)水系分散液を構成する水の一部を脱水することによって、油性化合物の濃度を該水系分散液より増加させた濃縮組成物を得る脱水工程、(3)濃縮組成物を加熱することによって、該濃縮組成物から油性化合物および水の一部を蒸発させて除去する乾燥工程、の3つの工程である。
本発明によって、高空孔率を有する嵩高性構造体を得ることが可能となるが、上記工程の記載からも理解できるように、得られる嵩高性構造体は水不溶性の親水性高分子を含有する固体である。
次に、3つの工程の詳細について説明する。本発明は、水不溶性の親水性高分子を含有する水系分散液を脱水濃縮し、乾燥させることにより、嵩高性構造体を得るものである。該水系分散液は、0.02重量%以上20重量%以下の水不溶性の親水性高分子を含有し、0.2重量%以上20重量%以下の大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物がエマルジョンとして、70重量%以上99%以下の水から成る水相に分散した水系分散液であることが必要である。
ここで、水不溶性の親水性高分子としては、水不溶性の多糖類あるいは、ケン化度の高いポリビニルアルコールのように、25℃で水に溶解しない合成高分子が例示される。
ここで合成高分子の場合には、分子鎖の主鎖または側鎖に、水酸(OH)基、−(CHCHO)−基、−(CHCHCHO)−基、及びカルボキシル(COOMt(Mt;金属カチオン)あるいはCOOH)基のうちの少なくともいずれか一つの親水性基を有することが好ましい。これらは共重合体の一部として組み込まれていても構わない。
通常、多糖類や上述した化学構造を有する高分子は、親水性であるがために水中では何なりかの構造変化を呈するが、本発明で使用される水系分散液中に必須成分として含有される親水性高分子は水不溶性であることが重要である。ここで、水不溶性とは、水に完全溶解しない状態を意味し、不透明な非膨潤状態、不透明な膨潤状態、不透明なゲル化状態、透明なゲル化状態のいずれかの状態にあるものを意味する。さらにここで、ゲル化状態とは、水を取り込んで3次元的架橋構造を有したものを意味する。
より具体的に、調整工程の水系分散液中に含まれる水不溶性の親水性高分子を例示すると、多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、あるいはその混合物であるでんぷん、さらにはセルロース、キチン、アラビノキシランやグルクロノキシランのようなキシラン類、ペクチン系多糖であるガラクタン類、キシログルカン類、グルコマンナンに代表されるマンナン類、コンドロイチンやグルコサミンのようなムコ多糖類、動物性多糖であるグリコーゲン等があげられる。また、合成高分子としては、高ケン化度のポリビニルアルコールやビニルアルコール系共重合体(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体)、ポリアクリル酸やアクリル酸系共重合体、ポリメタクリル酸やメタクリル酸系共重合体、ポリエチレングリコール系共重合体、ポリプロピレングリコール系共重合体等を挙げることができる。これら以外でも上述した条件を満たす親水性高分子は本発明に使用することができる。
一般に、多糖類は、例えば、種々の食材中に含有され、また該食材の乾燥体の製造工程において、多糖同士が融着して硬く固まった構造体を作り易く、こうした構造を有した固体は、水中で元の状態に戻す(水戻し)際に多大な分散力を加えないと元の状態へ戻らないか、あるいは二度と元の状態に戻らない等、水系分散液への回復性という観点では問題がある。これは多糖類に、本発明の水不溶性の親水性高分子としての条件を満たすものが多いことに起因している。
本発明の製法によって、高空孔率の嵩高性構造体を作製することにより、こうした問題を回避することが可能となる。すなわち、本発明では、特に水不溶性の親水性高分子が多糖類であることが好ましい。さらに、後述するように多糖類の中でも、セルロース、特に、一部あるいは総てがフィブリル化した状態のセルロース繊維である場合には、好適に本発明の高空孔率の嵩高性構造体を製造することができる。特に、セルロースの総てをフィブリル化させた、ミクロフィブリル化セルロース(非特許文献;A.F.Turbak, F.W.Snyder and K.R.Sandberg, ” Microfibrilated Cellulose, A New Cellulose Product: Properties, Uses, and Commercial Potential” J.Appl.Polym.Sci.: Appl. Polym. Symp., 37, 815 (1983))であることが好ましい。これは、特に表面がフィブリル化した繊維またはミクロフィブリル化セルロースでは、乾燥時にフィブリル同士が融着し易く、部分的あるいは全体的に緻密な固体状態となり、水中での再分散が困難になるため、改善を要するケースが多いためである。
ミクロフィブリル化セルロースは、パルプ原料等のセルロースを水中に分散させ、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、グラインダー等の高度にせん断力の加わる装置で微細化処理することにより、セルロース繊維のフィブリル化に留まらず、繊維表面から引き剥がれた独立したフィブリル繊維(一般にミクロフィブリルとも呼ばれる)のレベルにまでばらばらにしたものである。
ミクロフィブリル化セルロースの原料としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等のいわゆる木材パルプと非木材パルプを使用することができる。非木材パルプとしては、コットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプ、ワラ由来パルプを挙げることができる。コットン由来パルプ,麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプは、各々、コットンリントやコットンリンター、麻系のアバカ(例えばエクアドル産またはフィリピン産のものが多い)、ザイサルや、バガス、ケナフ、竹、ワラ等の原料を蒸解処理による脱リグニン等の精製工程や漂白工程を経て得られる精製パルプを意味する。この他、海藻由来のセルロースやホヤセルロースの精製物もミクロフィブリル化セルロースの原料として使用することができる。また、ミクロフィブリル化セルロースではないが、微細な繊維径のセルロースとして、酢酸菌のようなバクテリアが産生するバクテリアセルロースを使用してもよい。
特に、ミクロフィブリル化セルロースを使用する場合には、数平均繊維径が2nm以上300nm以下、好ましくは10nm以上120nm以下の範囲にあると例えば、シート状の高空孔率を有する嵩高性構造体を製造するような場合に、微細かつ均一なネットワーク構造を有する構造体を得ることができるのでそのような構造体を望む場合には有効である。数平均繊維径が2nmよりも小さいセルロースミクロフィブリルの報告は文献上存在せず、現実的に作ることは困難と考えられる。また、数平均繊維径が300nmよりも大きな場合には、本発明の製造方法を用いなくとも、エマルジョンでない水系分散液からの脱水と乾燥により比較的容易に嵩高性構造体が得られるため、本発明の効果が主張し難くなるため、好ましくない。
ここで、ミクロフィブリル化セルロースの数平均繊維径は以下のようにして定義される。すなわち、該ミクロフィブリル化セルロースをシート状に成形して乾燥させて得たセルロース不織布の表面に関して、無作為に少なくとも2箇所、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を10000倍相当以上30000倍以下の範囲で、繊維径がはっきりと認識できる倍率で行う。得られたSEM画像(例えば、図1)に対し、画面に対し水平方向と垂直方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の繊維径を拡大画像から実測し、交差する繊維の個数と各繊維の繊維径を数える。こうして2つのラインに交差するすべての繊維について繊維径の測定結果を用いて数平均繊維径を算出する。さらに同じサンプルについて観察した別の場所を撮影した同じ倍率のSEM画像についても同じように数平均繊維径を算出し、合計2画像分の結果の平均値を対象とする試料の数平均繊維径とする。ここで、図1に示すサンプルの数平均繊維径は68nmである。
原料パルプからミクロフィブリル化セルロースへの微細化においては、100℃以上の温度での水中含浸下でのオートクレーブ処理、叩解処理、酵素処理等によって、原料パルプを微細化し易い状態に前処理しておくことは有効である。
例えば、叩解処理工程においては、原料繊維を0.5重量%以上4重量%以下、好ましくは0.8重量%以上3重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下の固形分濃度となるように水に分散させ、まずビーターやディスクレファイナー(ダブルディスクレファイナー)のような叩解装置でフィブリル化を高度に促進させる。ディスクレファイナーを用いる場合には、ディスク間のクリアランスを極力狭く(例えば0.1mm以下)設定して、処理を行うと、極めて高度な叩解(フィブリル化)が進行するので、高圧ホモジナイザー等による微細化処理の条件を緩和でき、有効な場合がある。
好ましい叩解処理の程度は以下のように定められる。水中に分散させたセルロースをJIS P 8121で定義されるパルプのカナダ標準ろ水度試験方法(以下、CSF法)のCSF値で評価したところ、叩解処理を行うにつれCSF値は経時的に減少していき、一旦、ゼロ近くとなった後、さらに叩解処理を続けると増大していく傾向が確認された。水系分散液を調整するに当たって使用するミクロフィブリル化セルロースは、CSF値が一旦、ゼロ近くとなった後、さらに叩解処理を続けCSF値が増加している状態まで叩解することが好ましい。本発明では、未叩解からCSF値が減少する過程でのCSF値を***↓、ゼロとなった後に増大する傾向におけるCSF値を***↑と表現する。該叩解処理においては、CSF値は少なくともゼロあるいはその後増大する***↑の値をもつことが好ましい。このような叩解度に調製したスラリーではフィブリル化が高度に進行していると同時にスラリーの均一性が増大し、その後の高圧ホモジナイザー等による微細化処理での詰まりを軽減でき、またその処理条件を負担の少ない条件(例えばパス回数の軽減)につなげられるので好ましい。
ミクロフィブリル化セルロースの製造には、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー等を用いることができる。この際の水分散液中の固形分濃度は、上述した叩解処理に準じ、0.5重量%以上4重量%以下、好ましくは0.8重量%以上3重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下の固形分濃度とすると詰まりが発生せず、しかも効率的な微細化処理が達成できる。使用する高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ニロ・ソアビ社(伊)のNS型高圧ホモジナイザー、(株)エスエムテーのラニエタイプ(Rモデル)圧力式ホモジナイザー、三和機械(株)の高圧式ホモゲナイザーなどを挙げることができ、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。超高圧ホモジナイザーとしては、みづほ工業(株)のマイクロフルイダイザー、吉田機械興業(株)ナノマイザー、(株)スギノマシーンのアルティマイザーなどの高圧衝突型の微細化処理機を意味し、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。グラインダー型微細化装置としては、(株)栗田機械製作所のピュアファインミル、増幸産業(株)のスーパーマスコロイダーに代表される石臼式摩砕型微細化装置を挙げることができるが、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。
ミクロフィブリル化セルロースの繊維径は、高圧ホモジナイザー等による微細化処理の条件(装置の選定や操作圧力およびパス回数)あるいは該微細化処理前の前処理の条件(例えば、オートクレーブ処理、酵素処理、叩解処理等)によって制御することができる。
また、セルロースがゲル状態のセルロースである場合にも本発明は好適に高空孔率の嵩高性構造体を与える。ゲル状態のセルロースとしては、例えば、セルロースの銅アンモニア溶液を水や各種水溶液、有機溶媒等の凝固浴中で構造化させた状態のもの、セルロースのビスコースレーヨン原液を酸性水溶液中で構造化させたもの、セルロースのN−メチルモルホリン−N−オキシド溶液を水や各種水溶液、有機溶媒等の凝固浴中で構造化させた状態のもの、さらには、特許文献(国際公開1999−28350号パンフレット)に記載されている微細なセルロース粒子から成る水性ゲル等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
調整工程で調製する水系分散液中には、上述した水不溶性の親水性高分子が、0.02重量%以上20重量%以下、好ましくは、0.02重量%以上5.0重量%以下の濃度で含有されることが好ましい。特に、水不溶性の親水性高分子がミクロフィブリル化セルロースである場合には、0.05重量%以上1.0重量%以下の範囲にあることが好ましい。これは、多くの場合に乾燥後の嵩高性構造体の主成分である水不溶性の親水性高分子は上述した濃度範囲で安定な水系分散液を形成するためである。特に、水不溶性の親水性高分子の濃度が0.02重量%未満であると、主成分濃度が低すぎるため、工業的に効率的な乾燥プロセスを設計し難くなり、著しく不利な製造プロセスとなるため好ましくなく、また、水不溶性の親水性高分子の濃度が20重量%を超えると、水系分散液の粘度が極めて高くなり、操作上不利になると同時に配合するエマルジョンを均一に分散することも困難となるために好ましくない。また、水不溶性の親水性高分子がミクロフィブリル化セルロースである場合にも、同様に上述した濃度範囲以外では、成形のための適正な粘度、分散状態を設計し難くなるため、好ましくない。
次に、調整工程で調製する水系分散液中には、0.02重量%以上20重量%以下の、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物がエマルジョンとして、70重量%以上99.5%以下の水から成る水相に分散していることが好ましい。
これは、該水系分散液中に含有される水不溶性の親水性高分子が、油性化合物から成るエマルジョンと相互作用し、安定化させる性質を有することに起因する。
その作用はコロイド科学の分野で保護コロイドとして知られている(非特許文献;川口正美著,「高分子の界面・コロイド科学」1999年,コロナ社,p170)が、水不溶性の親水性高分子の場合にも同様の効果が発現することが報告されている(非特許文献;H.Ono, Y.Shimaya, T.Hongo and C. Yamane, ” New Aqueous Dispersion of Cellulose Sub-micron Particles: Preparation and Properties of Transparent Cellulose HydroGel (TCG)” Trans.Matr.Soc.Jpn., 26, 569 (2001))。
本発明者らは、上述した条件下で形成されるエマルジョンにおいて、水と比較して油性化合物が、回転式脱水機による回転、または抄紙機における濾過等の脱水工程により濾液側に移動せずに、水不溶性の親水性高分子の近傍に効率的に残存し、実質的に油性化合物の濃縮化が進行することを見い出し、本発明に到った。
すなわち、乾燥工程に到る際に、水不溶性の親水性高分子が水に比べ、表面張力の低い油性化合物に取り囲まれることは、乾燥時に高分子間の融着を防御し、高空孔率の嵩高性構造体を形成する原動力となる。そうした環境を作るために、油性化合物と水から成るエマルジョンが一定割合で含まれることが本発明の必須条件となる。
乾燥時に油性化合物が除去されないと嵩高性構造体となり得ないため、用いる油性化合物は、乾燥工程で除去可能なことが必要である。したがって、本発明の水系分散液にエマルジョンとして含まれる油性化合物は、一定の沸点範囲にあることが必要であり、具体的には、大気圧下での沸点が50℃以上200℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは、60℃以上190℃以下であれば、工業的生産プロセスとして水系分散液を操作し易く、また、比較的効率的に加熱除去することが可能となる。油性化合物の大気圧下での沸点が50℃未満であると水系分散液を安定に扱うために低温制御下で扱うことが必要となり、効率上好ましくなく、さらに油性化合物の大気圧下での沸点が200℃を超えると、乾燥工程で油性化合物を加熱除去するのに多大なエネルギーが必要となるため、やはり好ましくない。
さらに、上記油性化合物の25℃での水への溶解度が20重量%以下であることが好ましい。溶解度が20重量%より大きくなるとエマルジョン形成のために寄与する割合が低くなり、それだけ効率が悪くなるため好ましくない。
特に、炭素数6〜炭素数14の範囲の炭化水素の中で上述した条件を満足する油性化合物を用いると好適に本発明の嵩高性構造体を得ることができる。このような油性化合物として、具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ウンデカンやそれらの異性体(例えば、イソヘキサン、イソオクタン、イソデカン)に代表される鎖状飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘキセンのような環状炭化水素類、ジイソブチレンやシクロヘキセンのような鎖状または環状の不飽和炭化水素類、及びベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
また、特に、油性化合物として炭素数5〜炭素数9の範囲であり一価かつ一級のアルコールを用いるとやはり好適に、本発明の嵩高性構造体を得ることができる。このような油性化合物として、具体的には、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、イソヘキサノール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、4−メチル−1−ペンタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、(2E,4E)−2,4−ヘキサジエン−1−オール、2−メチル−2−ヘキサノール、イソヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、イソオクタノール、1,3−ベンゾジオキソール−5−メタノール等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
また、一級のアルコールではないが、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、シクロヘプタノール、4−ヘプタノール、1−メチルシクロヘキサノール、1−エチニルシクロペンタノール、2−オクタノール、(S)−2−オクタノール、シクロオクタノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、1−オクチン−3−オール等の炭素数5〜炭素数9の範囲である一価のアルコールも油性化合物として好適に使用できる。
これらの油性化合物は単体として配合してもよいし、複数の混合物を配合してもよい。さらには、エマルジョン特性を適当な状態に制御するために、これら油性化合物中に例えば、水溶性のアルコール類、例えばエチルセロソルブ等の水溶性の有機溶剤を少量溶解させて使用してもよい。この際の水溶性の有機溶媒は、油性化合物に対し25重量%以下であることが好ましい。これ以上の添加量とすると油性化合物のエマルジョンの形成能が低下するため、好ましくない。
これらの油性化合物の中で、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノールの中から選ばれる少なくとも一つを用いた場合には、エマルジョンの油滴サイズが極めて微小となるため、高空孔率かつ微細な多孔質構造を有する嵩高性構造体を得ることができるので本発明の製造工程で使用する油性化合物として特に好ましい。
次に、本発明の調整工程で調製する水系分散液中の油性化合物の濃度は0.2重量%以上20重量%以下、好ましくは0.4重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上5重量%以下であれば、好適に高空孔率を有する嵩高性構造体を製造することができる。特に水不溶性の親水性高分子としてミクロフィブリル化セルロースを用いる場合には、油性化合物の濃度範囲が0.5重量%以上5重量%以下であると高空孔率を有する嵩高性構造体を好適に製造することができる。水系分散液中の油性化合物の濃度が0.2重量%よりも低いと濃縮組成物中の油性化合物の含有量が十分ではないため、濃縮組成物を乾燥させた嵩高性構造体が高空孔率とならないため好ましくない。また、油性化合物の濃度が20重量%を超えても本発明の嵩高性構造体を得ることはできるが、製造プロセスとして使用する油性化合物の量が多くなり、それに伴う、安全上の対策の必要性やコスト上の制約が発生するため好ましくない。
上述した油性化合物は、調整工程における水系分散液中にエマルジョンとして分散していることが重要である。この場合、油滴が水相に分散しているO/W型のエマルジョンである。油滴サイズに該当した網目構造が乾燥後の構造体に反映されるため、油滴サイズは小さく、安定に分散していることが好ましい。その目的のために、水系分散液中に、エマルジョンの乳化安定化剤として、界面活性剤および水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一種の化合物の濃度が0.001重量%以上1重量%以下、より好ましくは、0.002重量%以上0.1重量%以下、さらに好ましくは、0.003重量%以上0.05重量%以下の量だけ含有されると、水系分散液の状態が安定化し、工業生産時の嵩高性構造体の品質安定性に寄与するため、より好ましい場合がある。エマルジョンの乳化安定化剤としての、水系分散液中の界面活性剤および水溶性高分子のうちの少なくとも一種の濃度が0.001重量%よりも小さいと、界面活性剤あるいは水溶性高分子の添加効果が現れ難いので好ましくなく、また、該濃度が1重量%を超えると泡立ち等の添加量増大に伴う負の効果が現れ易くなるため好ましくない。
この場合、使用する界面活性剤は、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、アルキルポリオキシエチレンエーテルや脂肪酸グリセロールエステル等のノニオン性界面活性剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一方、水溶性高分子にも乳化安定化の機能があるため、水系分散液へ添加することができるが、具体例としては、ポリビニルアルコール(ケン化度が高過ぎないグレードがより安定化に寄与し、また、末端をアルキル修飾したものも安定化剤として有効である)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(エチレン組成が低く、水溶性のグレード)やビニルアルコールとブチラール等その他のモノマー類との共重合体構造を有するもの、ポリエチレンオキサイドあるいはその末端をアルキル修飾したもの、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチラール系樹脂(水溶性のグレード)のようなノニオン性の水溶性高分子、アクリル酸モノマー単位およびアクリル酸塩モノマー単位、メタクリル酸モノマー単位およびメタクリル酸塩モノマー単位のようなアニオン性のモノマー単位が分子鎖骨格中に含まれるアニオン系水溶性高分子、アクリル酸の有機アミノ誘導体エステル、メタクリル酸の有機アミノ誘導体エステル、エチレンイミン誘導体のようなカチオン性のモノマー単位が分子鎖骨格中に含まれるカチオン系水溶性高分子、あるいはアニオン性のモノマー単位とカチオン性のモノマー単位が両方、分子鎖骨格中に含まれる両性水溶性高分子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
この他、当然のことながら、水系分散液中には、目的に応じて種々の添加物が添加されていても構わない。例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、炭酸カルシウム粒子のような無機系粒子状化合物、樹脂微粒子、各種塩類、調味料、食材、食品添加物、エマルジョンの安定性を阻害しない程度の有機溶剤等、本発明の高空孔率構造体の製造に悪影響を及ぼさない範囲(種類の選択や組成の選択)で添加することができる。
調整工程で調製する水系分散液は、上述した化合物群から成るエマルジョン組成物であるが、エマルジョンの形成においては、乳化方法のあらゆる方法を採用することができる。すなわち、機械的乳化、転相乳化、液晶乳化、転相温度乳化、D相乳化、可溶化領域を利用した超微細乳化(マイクロエマルジョン乳化)等の方法によりO/W型エマルジョンを調製する。
ここで、最終的な水系分散液中では水以外の成分は、70重量%以上99.5重量%以下、好ましくは75重量%以上99.0重量%以下、さらに好ましくは80重量%以上99%以下の組成の水中に分散または溶解していることが好ましい。特に水不溶性の親水性高分子がミクロフィブリル化セルロースである場合には、水系分散液中の水の組成が80重量%以上99重量%以下の範囲にあると、高空孔率を有する嵩高性構造体を好適に製造することができるのでより好ましい。水系分散液中の水の組成が70重量%より低くなると、粘度が増大するケースが多く、エマルジョンを分散体中に均一に分散し難くなり、均一な構造の高空孔率を有する嵩高性構造体が得られ難くなるため好ましくない。
また、水系分散液中の水の組成が99.5重量%を超えると、配合組成としてエマルジョンの含有量が低減され、濃縮組成物中の油性化合物濃度が低くなってしまい、高空孔率の構造体が得られ難くなるため、やはり好ましくない。
水系分散液の調製は、一切の添加物を水中へ混入し、適当な乳化方法により水系エマルジョン分散液とするか、あるいは予め油性化合物と乳化剤からなる水系エマルジョンを適当な乳化方法で調製しておき、別途調製した水不溶性の親水性高分子およびその他の添加物から水系分散体と混合して水系分散液とすればよい。
次に、本発明の第二の工程は、第一の工程で調製した水系分散液から水を脱水し、エマルジョン濃度を濃縮化する脱水工程である。該脱水工程は、基本的に、水を含む分散体から水を脱水し、水不溶性の親水性高分子が留まるようなフィルターや濾布を使用する操作であればどのような装置を用いて行ってもよい。上述したようにエマルジョン中の油滴は、水不溶性の親水性高分子と相互作用し、その近傍に局在する性質を有するため、脱水操作により液相が系外に排出されてもフィルターや濾布上に留まり、実質的にエマルジョン成分の濃縮化が進行することになる。
より具体的には、デカンター型遠心分離機、回転加圧式脱水機のような回転式脱水機を用いると好適に脱水工程を行うことができる。また、ディスクフィルター式脱水機、ドラムフィルター式脱水機、オリバーフィルター式脱水機のような真空型脱水装置、フィルタープレス式脱水機、密閉式リーフフィルター型脱水機、密閉式多段フィルター型脱水機、ベルトプレス式脱水機等の加圧型脱水装置を用いても好適に脱水工程を行うことができる。
後述するように、高空孔率で均一なシート状の嵩高性構造体を製造する場合には、抄紙機、すなわち傾斜ワイヤー式抄紙機、長網式抄紙機、円網式抄紙機のような脱水機能のある製膜装置を用いると好適に欠陥の少ないシート状の嵩高性構造体を得ることができる。抄紙機は連続式であってもバッチ式であっても目的に応じて使い分ければよい。特に、抄紙機を用いた場合のシート状の高空孔率を有する嵩高性構造体の製造方法の詳細については後述する。
脱水工程は、当然、固形分率を増大させる工程であるが、本発明で水系分散液中に含まれるのは、保水性の高い、水不溶性の親水性高分子であるから、脱水工程後の濃縮組成物に含まれる固形分率は5重量%以上50重量%以下の範囲とすることが好ましい。上述したように本発明では、脱水工程によってエマルジョンが濃縮化され、脱水前の水系分散液中の油性化合物濃度に対し、脱水工程後の濃縮組成物では該油性化合物濃度が約3倍以上、好適な場合には6倍以上に濃縮化される。
該脱水工程で得られた濃縮組成物は、続く第三の工程、すなわち、乾燥工程により水分および油性化合物が除去され、嵩高性構造体を得る。ここで、乾燥工程は、脱水工程で得た濃縮組成物から油性化合物および水を除去することが目的であるので、得たい高空孔率を有する嵩高性構造体に応じて適宜、乾燥温度等の乾燥条件を選定すればよい。使用する乾燥機も連続式、バッチ式を問わず、工業的に使用し得るあらゆるタイプの乾燥機を使用することができる。但し、特に、後述するような、シート状の嵩高性構造体を製造する場合には、ドラムドライヤーのような幅を定長とした状態で水および油性化合物を乾燥し得るタイプの定長乾燥型の乾燥機を使用すると、より空孔率の高い構造体を得ることが可能である。
該乾燥工程によって、目的に応じて適当な固形分率(130℃1時間で乾燥させた構造体の重量を、現在の構造体の重量で割った値をいう。)にまで乾燥を行う。乾燥工程後の固形分率は、構造体を構成する親水性高分子の性質と量(組成)に依存するが、多くの場合には、固形分率は70重量%以上、好ましくは85重量%以上とすると通常の乾燥体として扱うことができるので好ましい。得られる構造体の水等への再分散性を考慮して、70重量%よりも低い固形分率に調製しても構わない。
本発明により得られる嵩高性構造体の形態は目的に応じて種々の形に成形可能である。粉末状やシート状にも成形できる他、乾燥を金型内で行うことにより特定の大きさ、形に成形することも可能である。例えば、一旦、ケーク状の濃縮組成物を粗くシート状に乾燥させ、乾式で分散し、嵩高性粉末にすることもできる。本発明の製法により、嵩高性の構造体を得ることができる。嵩高性とは、具体的には、該構造体が空孔を有することを意味する。嵩高性構造体の空孔率は、特に不定形構造体の場合には定量化困難であるので、同一条件での水系分散体を用いてシート状に成形、乾燥して得られるサンプルをもって、その膜厚d(μm)と目付W(g/m)、および乾燥体のバルク密度D(g/cm)から、以下の式(1)により算出する。
Pr=(1−W×0.94/(D×d))×100 (1)
ここで、膜厚(d)は、一つのシート状サンプルについて膜厚計により測定された5点以上の測定値の平均値を意味する。ここで、膜厚計は、空孔率の高いシート状サンプルを潰さずに評価できる観点から、面接触型のタイプ(例えば、Mitutoyo(株)製面接触型膜厚計(Code No.547−401))を使用する。また、Dはその固体のバルク密度(文献値等)を使用するが、複数の固体成分の混合物である場合は、各成分のバルク密度に対し、各重量組成にて平均化した値とする。
本発明における高空孔率とは、空孔率60%以上であることが好ましい。本発明の製造方法によると、空孔率が60%以上、好適な場合には70%以上の水不溶性の親水性高分子を含有する嵩高性構造体を得ることができる。同時に、後述するように、条件に応じて、微細な孔構造を有する3次元ネットワークから成る構造体を得ることができる。該構造体は水中での再分散性にも優れる(例えば、ディスパーミキサーによる分散によってほぼ均一に分散する)ため、食品類や各種工業用原料の成形体として産業上、利用価値の高いものである。
次に、本発明の製造方法により高空孔率を有するシート状の嵩高性構造体を得る技術について説明する。シート状の嵩高性構造体は、各種フィルター、各種機能紙、各種蓄電デバイス用のセパレータ、吸収材料、医療材料用の支持体、機能膜等、多くの分野で利用されている。
高空孔率を有するシート状の嵩高性構造体を製造するのは、特に微細な繊維状の水不溶性の親水性高分子を用いる際に有効である。このような繊維として、前述したミクロフィブリル化セルロースの他に、電解紡糸法として知られるエレクトロスピニング法によって製造される0.02μm以上0.8μm以下の数平均繊維径の水不溶性の親水性高分子繊維の短繊維を挙げることができる。種々のケン化度のポリビニルアルコールやセルロース、キチン、絹、羊毛等において、エレクトロスピニング法によって該当する微細な繊維を製造することが可能であり、これらの短繊維は、特に本発明のシート状の嵩高性構造体の原料として有効である。これらは、機能設計のために表面を化学修飾したものであっても構わない。
さらには、繊維の骨格は疎水性高分子であっても表面を親水化処理してある微細な繊維も本発明の水不溶性の親水性高分子として使用できる。このような繊維として、エレクトロスピニング法で作製した微細な繊維径のポリオレフィン繊維の表面をプラズマ処理し、さらに親水性構造のポリマーをグラフト化して得られる表面親水性の微細繊維を挙げることができる。また、特許文献(特開2008−1728号公報)に記載されている、表面がカルボキシル基に修飾されているセルロース系ナノファイバーも本発明の水不溶性の親水性高分子として使用できる。
特に、シート状の嵩高性構造体を製造するにおいては、脱水工程に抄紙機を使用するのが好ましい。抄紙機としては、たとえば傾斜ワイヤー型抄紙機、長網式抄紙機、円網式抄紙機等を使用することができる。
原料調達の容易性、製造コストの両面から、特にミクロフィブリル化セルロースをシート状構造体の原料、すなわち、調整工程における水系分散液を構成する水不溶性の親水性高分子として使用するのが好ましい。この場合、好ましくは、水系分散液が、0.05重量%以上1.0重量%以下のミクロフィブリル化セルロースを含有し、0.5重量%以上5重量%以下の大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物が80重量%以上99.5重量%以下の水から成る水相中に分散したエマルジョンであると均一性に優れ、かつ10s/100cc以上4000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体を得ることができる。
但し、均一性が高く品質安定に優れたシート状嵩高性構造体を製造するためには、水系分散液が、0.08重量%以上0.4重量%以下のミクロフィブリル化セルロースを含有し、0.6重量%以上3重量%以下の大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物が85重量%以上99重量%以下の水から成る水相中に分散したエマルジョンであることが特に好ましい。
該水系分散液は、上述したように、大きく分けて、予め調製したミクロフィブリル化セルロースの水分散液に、別途調製した、油性化合物と水のエマルジョン分散液を混合して抄紙用の水系分散液を調製する方法と、ミクロフィブリル化セルロースの調製工程の初期、例えば、前処理としての叩解処理工程で油性化合物を配合し、以降、微細化、さらには抄紙用の水系分散液調製のための希釈分散工程に渡り、一括してエマルジョン分散体として処理する方法、さらには、予め調製したミクロフィブリル化セルロースの水分散液に油性化合物を含む各種配合物を混合し、最終的な抄紙用の水系分散液を調製する際に乳化も兼ね合わせる方法等を選ぶことができる。
調整工程でミクロフィブリル化セルロース等を使用して調製した水系分散液を抄紙する方法は、基本的には、本発明者らによる特許文献5に記載されている技術に準じる。特許文献5と本発明の差異は、抄紙用の水系分散液中に油性化合物と水から成るエマルジョンが含まれている点であるが、特許文献5で開示されている抄紙の条件で良好に抄紙を実施できる。その理由は、調整工程で調製する水系分散液中でエマルジョン成分がミクロフィブリル化セルロースから成る会合体中(軟凝集体)に取り込まれて存在している点にあると考えられる。この結果、抄紙によって、エマルジョンと若干の水相を含むミクロフィブリル化セルロースの会合体が堆積すると同時にその隙間をぬって水が排出され、エマルジョン成分の濃縮化が進行すると考えられる。
すなわち、調整工程により得られる水系分散液(抄紙用の水系分散液)を用いて抄紙により脱水工程を行うが、抄紙はワイヤーまたは濾布を用いて水系分散液中に分散している微細セルロース等の軟凝集体を濾過する工程であるため、ワイヤーあるいは濾布の目のサイズが重要である。本発明においては、本質的には、上述した条件により調製した抄紙用の水系分散液を、該分散液中に含まれるセルロース等を含む水不溶性成分の歩留まり割合が70重量%以上、好ましくは、95重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上で抄紙することのできるようなワイヤーあるいは濾布であればどんなものでも使用できる。ただし、セルロース等の歩留まり割合が70重量%以上であっても濾水性が高くないと抄紙に時間がかかり、著しく生産効率が悪くなるため、大気圧下25℃でのワイヤーまたは濾布の水透過量が、好ましくは0.005ml/cm・s以上、さらに好ましくは0.01ml/cm・s以上であると、生産性の観点からも好適な抄紙が可能となる。 上記水不溶成分の歩留まり割合が70重量%よりも低くなると、生産性が著しく低減するばかりか、用いるワイヤーや濾布内にセルロース等の水不溶性成分が目詰まりしていることになり、製膜後のシートの剥離性も著しく悪くなるため、好ましくない。
ここで、大気圧下25℃でのワイヤーまたは濾布の水透過量は次のようにして評価するものとする。バッチ式抄紙機(例えば、熊谷理機工業社製の自動角型シートマシーン)に評価対象となるワイヤーまたは濾布を設置するにおいて、ワイヤーの場合はそのまま、濾布の場合は、80〜120メッシュの金属メッシュ(濾水抵抗がほとんど無いものとして)上に濾布を設置し、抄紙面積がxcmの抄紙機内に十分な量(ymlとする)の水を注入し、大気圧下で濾水時間を測定する。濾水時間がzs(秒)であった場合の水透過量を、 y/(xz) (ml/cm・s) と定義する。
ミクロフィブリル化セルロースの抄紙に使用できる、上記の条件を満たすワイヤーや濾布は限定される。極めて微細なミクロフィブリル化セルロース繊維に対しても使用できるワイヤーとして、SEFAR社(スイス)製のTETEXMONODLW07−8435−SK010(PET製)、濾布として敷島カンバス社製NT20(PET/ナイロン混紡)を挙げることができるが、これらに限定されない。
抄紙による脱水工程では、エマルジョンの濃縮化と同時に高固形分率化が進行し、脱水工程の濃縮組成物である湿紙を得る。湿紙の固形分率は、抄紙のサクション圧(ウェットサクションやドライサクション)やプレス工程によって脱水の程度を制御し、好ましくは固形分率が6重量%以上25重量%以下、さらに好ましくは固形分率が8重量%以上20重量%以下の範囲に調整する。湿紙の固形分率が6重量%よりも低いと湿紙としての自立性がなく、工程上問題が生じ易くなる。また、湿紙の固形分率が25重量%を超える濃度まで脱水すると水相だけでなく、濃縮したエマルジョンが系外に排出されてしまい、セルロースミクロフィブリル近傍の水層の存在によって、却って油性化合物の濃度が低下してしまうため、有効に高空孔率を有する嵩高性構造体を形成できなくなり、相応しくない。
抄紙工程で得た湿紙は、加熱による乾燥工程でシート状嵩高性構造体となる。乾燥工程は、ドラムドライヤーのような幅を定長とした状態で、水と油性化合物(以下、水と油性化合物を合わせて「分散媒」という。)を乾燥し得るタイプの定長乾燥型の乾燥機を使用すると、より空孔率の高い嵩高性構造体を安定に得ることができるため、より好ましい。
乾燥温度は、条件に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは、45℃以上180℃以下、さらに好ましくは、60℃以上150℃以下の範囲とすれば、好適に高空孔率のシート状嵩高性構造体を製造することができる。乾燥温度が45℃未満では、多くの場合に分散媒の揮発速度が遅いため、生産性が確保できないため好ましくなく、180℃より大きいの乾燥温度とすると、構造体を構成する親水性高分子が熱変性を起こしてしまうケースがあり、また、コストに影響するエネルギー効率も低減するため、やはり好ましくない。場合によっては、100℃以下の低温乾燥で組成調製を行い、次段で100℃以上の温度で乾燥する多段乾燥を実施することも、均一性の高い高空孔率のシート状嵩高性構造体を得るうえでは有効であることもある。
本発明では、上述した範囲で条件を選択することにより、条件によっては、10s/100cc以上4000s/100cc以下の透気抵抗度を有する厚さ5μm以上200μm以下のシート状の嵩高性構造体を得ることができる。
ここで、透気抵抗度の測定には、ガーレー式デンソメータ((株)東洋精機製、型式G−B2C)を用いて100mlの空気の透過時間(単位;s/100ml)の測定を室温で行う。一つのシート状嵩高性構造体サンプルに対して種々の異なる位置について5点の測定を行い、その平均値を透気抵抗度とした。
透気抵抗度は、例えば用いるエマルジョンを形成する油性化合物の種類や組成により制御することができる。例えば、前述した、1−ペンタノールや1−ヘキサノール、1−ヘプタノール等の油性化合物は粒子径が1μm以下の微細な油滴から成るエマルジョンを形成し易く、そのような場合には、微細なネットワークから成る通気性の高い(透気抵抗度の小さな)シート状嵩高性構造体を得ることができる。条件によっては、10s/100cc以上4000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体が得られる。
さらに、本発明では、抄紙機による脱水工程において、抄紙機に通水性を有するシート状の支持体をのせて、水系分散液を構成する水の一部を該支持体上で脱水(抄紙)を行い、該支持体上に高空孔率を有する嵩高性構造体を積層化させ、一体化させることにより、少なくとも2層の積層構造を有するシート状の嵩高性構造体を製造することができる。
こうしたシート状多層構造体の製造に使用する支持体は、高空孔率かつ通水性のある不織布、あるいは多孔質膜であることが好ましい。具体的には、セルロース製、ポリエチレンテレフタレート製、6,6−ナイロン製、6−ナイロン製、ポリビニルアルコール製、各種ポリウレタン製の不織布、あるいはセルロース製、ポリエチレンテレフタレート製、6,6−ナイロン製、6−ナイロン製、ポリビニルアルコール製、各種ポリウレタン製の多孔質膜を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
不織布を構成する繊維の数平均繊維径が2μm以下であるマイクロウェッブと呼ばれる不織布や微多孔膜を用いると、それ自体が本発明における、ミクロフィブリル化セルロースの水系分散液から抄紙機で製膜する際の濾布の機能を有するため、抄紙の際に上述したようなワイヤーや濾布を使用することなく、一体化した多層構造を有する高空孔率構造体を製造することができる。3層以上の構造体を製造するためには2層以上の多層構造をもつ支持体を使用すればよい。また、支持体上で2層以上の本発明の多段抄紙を行って3層以上の構造体としてもよい。
本発明では、シート状嵩高性構造体に通気性が求められる場合には、上述した積層構造を有するシート状構造体も含め、透気抵抗度が10s/100cc以上1000s/100cc以下、さらに好ましくは、20s/100cc以上500s/100cc以下のシート状の高空孔率構造体を得ることができる。得られるシート状構造体に下限を設けているのは、本発明で製造される高空孔率の嵩高性構造体中に存在する孔の大きさが比較的小さなものであることに起因する。さらに、特に、シート状に成形しない場合(例えば、不定形の粉末)でも、シート状に成形した際に、10s/100cc以上4000s/100cc以下、好ましくは10s/100cc以上1000s/100cc以下の透気抵抗度を有するような場合には、高空孔率の嵩高性構造体を容易に得ることが可能である。
このような条件下では、例えば嵩高性構造体の窒素ガス吸着に基づく比表面積(BET法比表面積)は著しく大きな値を示し、10m/g以上、好適な場合には60m/g以上、さらには100m/g以上の値を示す成形体を得ることもできる。
以上、本発明により、凍結乾燥、超臨界乾燥あるいは有機溶媒置換後の乾燥といった、従来の嵩高性構造体を製造するために用いてきた製造方法を用いなくても簡便に親水性ポリマーを含有する嵩高性構造体を製造することができる。
本発明の製造方法によって製造された嵩高性構造体は、あらゆる分野で要求されるあらゆる形状の高空孔率の嵩高性構造体として利用することができる。例えば、乾燥品食材、飲料品の乾燥濃縮物、生活製品、各種工業用乾燥原料、各種フィルター、各種機能紙、各種蓄電デバイス用のセパレータ、吸収材料、医療材料用の支持体、機能膜等を挙げることができ、また、エポキシ樹脂等の各種の樹脂と複合化させることにより、半導体デバイスや配線基板用の基板、低線膨張率材料の基材等としても適用できるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
セルロース原料としてアバカパルプ(日本紙パルプ商事(株))を使用し、該パルプを固形分10重量%となるように水中に浸漬させて130℃、4時間のオートクレーブ処理をした後、得られた膨潤パルプを何度も水洗し、水を含浸した状態の膨潤パルプを得た。該膨潤パルプを固形分1.5重量%となるように水中に分散させて水分散体(400L)とし、ディスクレファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lの該水分散体に対して、10分間叩解処理を進めた後、引き続いてクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で叩解処理を続けた。経時的にサンプリングを行い、サンプリングスラリーに対して、JIS P 8121で定義されるパルプのカナダ標準ろ水度試験方法(以下、CSF法)のCSF値を評価したところ、CSF値は経時的に減少していき、一旦、ゼロ近くとなった後、さらに叩解処理を続けると、増大していく傾向が確認された。クリアランスをゼロ近くとしてから10分間、上記条件で叩解処理を続け、CSF値で106ml↑の叩解スラリーを得た。得られた叩解スラリーを、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて操作圧力100MPa下で5回の微細化処理を実施し、ミクロフィブリル化セルロースの水分散体(固形分濃度:1.5重量%)、M1を得た。
次にこのM1を用いて、各種成分を加え、表1に示した実施例1の組成となるように調製し、家庭用ミキサーで4分間、乳化、分散を行い、抄紙用の水系分散液を得た。
該水系分散液に対しミクロフィブリル化セルロースを大気圧下25℃における濾過で99%以上濾別する能力を有するPET/ナイロン混紡製の平織物(敷島カンバス社製、NT20、大気下25℃での水透過量:0.03ml/cm・s)を、以下で使用する角型金属製ワイヤーのサイズ(25cm×25cm)に揃えて裁断したものを濾布として、バッチ式抄紙機(熊谷理機工業社製、自動角型シートマシーン)を用いて抄紙(脱水)を行った。同抄紙機に組み込まれている角形金属製ワイヤー(25cm×25cm,80メッシュ)上に上述したPET製織物を設置し、その上から抄紙用分散液440gを抄紙機へ注入し、サクション(減圧装置)大気圧に対する減圧度を4KPaとして抄紙を実施した。
得られた濾布上に乗った湿潤状態の湿紙上にさらに同じ濾布をかぶせたものを、直ちに熊谷理機工業社製角型シートマシンプレスを用いて0.5MPaの圧力で1分間プレス処理し、湿紙の固形分を約12重量%とした。
次に、後に乗せた濾布を剥がして湿紙/濾布の2層の状態とし、湿紙面をドラム面に接触させるようにし、表面温度が130℃に設定された熊谷理機工業社製ドラムドライヤーに貼り付けて約120秒間乾燥させた。得られた3層体からセルロースのシート状構造物を剥離させて、白色の均一なセルロースからなる嵩高性構造体S1を得た。
S1の物性等は表2に示した通りであった。ここで、ミクロフィブリル化セルロースから成る本サンプルの空孔率の算出に当たって、前述した式(1)におけるセルロースの固体密度(D)として、1.5g/cmを用いた。S1は、75.7%と高い空孔率を保有したシートであった。S1の表面の10000倍の倍率でのSEM画像を図1に示した。
図1を含めたS1の表面に関する2枚のSEM画像の写真の解析により、S1の表面におけるミクロフィブリル化セルロースの数平均繊維径は68nmであった。さらに、図2には、このS1の割断面の10000倍の倍率でのSEM画像を示した。層状シートが多層化し、層間に空孔を有するようなパイ生地のような構造を有する嵩高性構造体であることが確認された。光学顕微鏡と散乱式粒度分布測定による結果から、抄紙用の水系分散液中のエマルジョンの油滴径はおよそ40−50μmであり、油滴を取り囲んだ状態で繊維が構造化し、中央部が空孔化しているものと推定された。
(実施例2および3)
実施例1で使用したミクロフィブリル化セルロースの水分散体M1を用い、表1に示した組成の抄紙用水系分散液を、実施例1と同じ要領で調製した。但し、油性化合物は、予め、表1にある2つの油性化合物を混合溶解しておいたものを配合した。
抄紙用分散液440gを用い、実施例1と同様の条件にて抄紙を行った。抄紙後、得られた湿紙を直ちに、実施例1の要領でプレス処理を行った後、被せた濾布を剥がし、やはり実施例1の要領で湿紙を乾燥させ、均一な白色のシート状サンプルS2を得た(実施例2)。
さらに、実施例2と全く同じ条件で抄紙を行い、得られた濾布上に乗った湿潤状態の湿紙上にさらに同じ濾布をかぶせたものを、そのままの状態で室温(18℃)で2時間、静置した後に、実施例1や実施例2と同じ要領でプレス処理、乾燥処理を行い、均一な白色のシート状サンプルS3を得た(実施例3)。
S2およびS3の物性等を表2に示した。S2はS1よりも若干透気抵抗度の低いシートであった。また、S3はS2よりもさらに透気抵抗度が低くなっており、これらの結果から、油性化合物の組成や抄紙後の経時的な湿紙内部のエマルジョンの構造変化に支配されるエマルジョンの状態がシート状の嵩高性構造体の物性に影響を及ぼしていることが示唆された。
(実施例4)
上述したミクロフィブリル化セルロースの水分散体M1を用い、表1に示した組成の抄紙用分散液を、実施例1と同じ要領で調製した。但し、油性化合物は、予め、表1にある2つの油性化合物を混合溶解しておいたものを配合した。
抄紙用分散液440gを用い、実施例1と同様の条件にて抄紙を行った。抄紙後、得られた湿紙を直ちに、実施例1の要領でプレス処理を行った後、被せた濾布を剥がし、やはり実施例1の要領で湿紙を乾燥させ、均一な白色のシート状サンプルS4を得た(実施例4)。
S4の物性等を表2に示した。S4はS3よりもさらに透気抵抗度が低く空孔率も大幅に増大したシートであった。散乱式粒度分布測定による結果から、抄紙用分散液中のエマルジョンの油滴径はおよそ0.2μmであり、湿紙中のミクロフィブリル化セルロースのネットワークの中に微細に分散した油滴により、乾燥後も微細なネットワーク構造が保たれ、高通気性のシート状嵩高性構造体となっていることが示唆された。
(実施例5)
上述したミクロフィブリル化セルロースの水分散体M1を用い、表1に示した組成の抄紙用水系分散液を調製すべく、まず、表1に示した各3つの成分組成が各々2倍の濃度である組成とし、家庭用ミキサーで4分間、乳化、分散を行い、プレ分散液として調製した。但し、ポリビニルアルコール系樹脂として、末端基をアルキル修飾した、クラレケミカル(株)製MP−203(登録商標)を5wt%の水溶液としてから適量、混合した。次に、該プレ分散液を、各成分が表1の濃度となるように2倍にイオン交換水で希釈し、アズワン(株)製のラボラトリーハイパワーミキサーPM−203を用いて室温、200rpmで10分間分散して抄紙用水系分散液とした。
該抄紙用水系分散液350gを用いて、実施例1と同様の抄紙、プレス処理、乾燥の各工程を経て、白色の均一性の高いシート状サンプルS5を得た。S5の物性等を表2に示した。S5は高空孔率であり、かつ通気性にも優れたシート状構造体であることが確認された。図3には、10000倍の倍率で撮影したS5の表面のSEM写真を示した。乳化安定化剤を用いることで、乳化安定化剤未使用で作製したS1−S4のサンプルに対し、著しく透気抵抗度を低減でき、通気性に富み、微細かつ均一な孔が空いた嵩高性のシートとなっていることが図1と図3の表面のSEM画像の比較からも判明した。
(実施例6)
セルロース原料としてコットンリンターパルプ(日本紙パルプ商事(株))を使用し、該パルプを固形分10重量%となるように水中に浸漬させて130℃、4時間のオートクレーブ処理をした後、得られた膨潤パルプを何度も水洗し、水を含浸した状態の膨潤パルプを得た。該膨潤パルプを固形分1.5重量%となるように水中に分散させて実施例1の水分散体M1を調製したのと同じ条件で、新たに水分散体M2を調製した。但し、ディスクレファイナーによる叩解時の条件は、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lのスラリーに対して、20分間叩解処理を進めた後、引き続いてクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下でさらに叩解処理を続け、経時的にサンプリングを行い、上述のCSF値が160ml↑のスラリーとして、次工程である高圧ホモジナイザーによる微細化処理(条件は、実施例1と同様)を行い、ミクロフィブリル化セルロースの水分散体(固形分濃度:1.5重量%)、M2を得た。
水分散体M2を用いて、表1に示した組成の抄紙用水系分散液を調製すべく、まず、表1に示した各3つの成分組成が各々2倍の濃度である組成とし、家庭用ミキサーで4分間、乳化、分散を行い、プレ分散液として調製した。但し、ポリビニルアルコール系樹脂として、クラレケミカル(株)製PVA−224C(登録商標)を5wt%の水溶液としてから適量、混合した。次に、該プレ分散液を、各成分が表1の濃度となるように2倍にイオン交換水で希釈し、アズワン(株)製のラボラトリーハイパワーミキサーPM−203を用いて室温、200rpmで10分間分散して抄紙用水系分散液とした。
該抄紙用水系分散液350gを用いて、実施例1と同様の抄紙、プレス処理、乾燥の各工程を経て、白色の均一性の高いシート状サンプルS6を得た。S6の物性等を表2に示した。図4に示したS6の表面SEM画像を含む画像の解析から、S6を構成するミクロフィブリル化セルロースの数平均繊維径は128nmであった。S6はS5同様、高空孔率で均一な微多孔構造で、かつ通気性にも優れたシート状嵩高性構造体であることが確認され、ミクロフィブリル化セルロースの原料を変えても本発明の製造条件によって高空孔率かつ通気性のシート状嵩高性構造体が作製できることが明らかになった。
(比較例1および2)
水系分散液M1から抄紙法によりミクロフィブリル化セルロースの湿紙を製膜し、そのまま(比較例1)および有機溶媒へ置換後(比較例2)、定長乾燥させてシート状構造体を作製し、その物性を実施例と比較した。水分散体M1を、セルロース濃度が0.2重量%となるように水(イオン交換水)で希釈して440gとし、家庭用ミキサーで4分間分散して抄紙用の分散液を得た。該抄紙用分散液を用いて、実施例1と同じ条件で抄紙を行った。得られた濾布上に乗った湿潤状態の湿紙上にさらに同じ濾布をかぶせたものを、上述のシートマシンプレスを用いて0.5MPaの圧力で1分間プレス処理し、湿紙の固形分を約14重量%とした。
得られた、濾布/湿紙/濾布の3層の状態の湿紙をそのまま、表面温度が105℃に設定されたドラムドライヤーに貼り付けて約120秒間乾燥させた後、得られた3層体から濾布を剥離し、半透明のシート状サンプルR1を得た。R1の物性等を表2に示した。R1は通気性が極めて低く、空孔率も60%以下のシートであった(比較例1)。
一方、比較例1における濾布/湿紙/濾布の3層の状態の湿紙を、そのままバット内に1Kgのイソブチルアルコールが混入された置換浴中に15分間浸漬(置換処理)し、一旦、上述のシートマシーンプレスで0.5MPaの圧力で1分間プレス処理を行った。さらにもう一度、新たにイソブチルアルコール1Kgをバット内に混入した置換浴中に浸漬させ、15分間静置した。
次に、置換浴から取り出した濾布/湿紙/濾布の3層体をシートマシンプレスで0.5MPaの圧力で1分間プレス処理した後、3層体から抄紙直後に被せた濾布のみ剥がし、湿紙面をそのまま表面温度が105℃に設定されたドラムドライヤーに貼り付けて約120秒間乾燥させた。得られた2層体からシート状構造体を剥離させて、白色の均一なシート状サンプルR2を得た。R2の物性等を表2に示した。
R2は、空孔率が80%を超え、通気性のあるシートであった。同じM1を原液として用いている実施例5のS5とR2を比較することにより、本発明のエマルジョン水系分散液からの抄紙によって、より高空孔率で通気性に優れるシートが得られることが明らかになった(比較例2)。
(比較例3)
次に、ミクロフィブリル化セルロースを有機溶媒中に分散させた分散液からの抄紙結果との比較を行った。水分散体M1を水と完全相溶する疎水性溶媒の一つである、エチルセロソルブ中に加え、さらにイオン交換水で表1に示した組成物を調製し、家庭用ミキサーで4分間分散して抄紙用の分散液を得た。該抄紙用分散液を用いて、実施例1と同じ条件で抄紙を行った。得られた濾布上に乗った湿潤状態の湿紙上にさらに同じ濾布をかぶせたものを、上述のシートマシンプレスを用いて0.5MPaの圧力で1分間プレス処理した。湿紙の固形分を約16重量%であった。3層体から抄紙直後に被せた濾布のみ剥がし、湿紙面をそのまま表面温度が105℃に設定されたドラムドライヤーに貼り付けて約120秒間乾燥させた。得られた2層体からシート状嵩高性構造体を剥離させて、白色でやや透明性のあるシート状サンプルR3を得た。
R3の物性等を表2に示した。R3は通気性があるものの、比較例2のR2や実施例5のS5と比べるとその程度は低く、空孔率もR2やS5と比べて低いことが判明した。すなわち、有機溶媒中へミクロフィブリル化セルロースを分散させ、抄紙、製膜する方法は、大量に有機溶媒を使用する割に、高空孔率かつ高い通気性のシート状嵩高性構造体を得る方法としては効率的でないことが示された。
本発明は、食材のような食品類、シート状成形体等として産業上広範囲に利用されている、水不溶性の親水性高分子を含有する高空孔率構造体製造の分野で利用できる。
実施例1にてアバカパルプから得たミクロフィブリル化セルロースにより作製したシート状サンプル(S1)の表面SEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。 実施例1にてアバカパルプから得たミクロフィブリル化セルロースにより作製したシート状サンプル(S1)の断面SEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。 実施例5にてアバカパルプから得たミクロフィブリル化セルロースにより作製したシート状サンプル(S5)の表面SEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。 実施例6にてコットンリンターパルプから得たミクロフィブリル化セルロースにより作製したシート状サンプル(S6)の表面SEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。

Claims (17)

  1. (1)水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上20重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.2重量%以上20重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液を得る工程であって、該油性化合物が水相に分散したエマルジョンであって該親水性高分子を含有する水系分散液を調整する調製工程、
    (2)水系分散液を構成する水の一部を脱水することによって、油性化合物の濃度を該水系分散液より増加させた濃縮組成物を得る脱水工程、
    (3)濃縮組成物を加熱することによって、該濃縮組成物から油性化合物および水の一部を蒸発させて除去する乾燥工程、
    の3つの工程を含む親水性高分子からなる嵩高性構造体の製造方法。
  2. 水系分散液が、水不溶性の親水性高分子0.02重量%以上5.0重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下の油性化合物0.4重量%以上10重量%以下、及び水70重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液である請求項1に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  3. 水系分散液が、界面活性剤および水溶性高分子からなる群から選択される少なくとも一種を0.001重量%以上1重量%以下含む水系分散液である請求項1または2のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  4. 水不溶性の親水性高分子が、水不溶性の多糖類である請求項1〜3のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  5. 水不溶性の多糖類がセルロースである請求項4に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  6. セルロースがミクロフィブリル化セルロースである請求項5に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  7. 脱水工程において、水系分散液を構成する水の一部を回転式脱水機で脱水する請求項1〜6のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  8. 脱水工程において、水系分散液を構成する水の一部を抄紙機で脱水する請求項1〜6のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  9. 水系分散液が、ミクロフィブリル化セルロース0.05重量%以上1.0重量%以下、大気圧下での沸点範囲が50℃以上200℃以下である油性化合物0.5重量%以上5重量%以下、及び水80重量%以上99.5重量%以下を含む水系分散液であって、脱水工程において、該水系分散液を構成する水の一部を抄紙機で脱水してシート状構造体を形成させる請求項8に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  10. 油性化合物が炭素数6〜炭素数14の範囲の炭化水素の中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  11. 油性化合物が炭素数5〜炭素数9の範囲であり一価かつ一級のアルコールの中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  12. 油性化合物が、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノールの中から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む、請求項11に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  13. ミクロフィブリル化セルロースの数平均繊維径が2nm以上300nm以下の範囲にある請求項6〜12のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  14. ミクロフィブリル化セルロースの原料が、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ,及び竹由来パルプからなる群から選択された少なくとも一種のパルプである請求項6〜13のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  15. 脱水工程において、抄紙機に通水性のあるシート状の支持体をのせて、水系分散液を構成する水の一部を該支持体上で脱水することによって、該支持体上に親水性高分子からなる嵩高性構造体を積層一体化させる工程を含み、少なくとも2層以上の積層構造を有するシート状の嵩高性構造体を製造する請求項8〜14のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  16. 得られる嵩高性構造体が10s/100cc以上4000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体である請求項8〜15のいずれか1項に記載の嵩高性構造体の製造方法。
  17. 得られる嵩高性構造体が20s/100cc以上1000s/100cc以下の透気抵抗度を有するシート状の高空孔率構造体である請求項16に記載の嵩高性構造体の製造方法。
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