JP2010052063A - 超音波浮揚装置及びそれを備えた搬送ロボット - Google Patents

超音波浮揚装置及びそれを備えた搬送ロボット Download PDF

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Abstract

【課題】シリコンウェハなどの物体を非接触浮上させる超音波浮揚装置とロボットを組み合わせた搬送ロボットが提案されているが、この浮揚装置は、縦方向の体積が大きく、作業内での干渉の問題があった。浮揚装置の縦方向の体積が大きくなる原因は、超音波振動子の縦振動を利用している点にあった。
【解決手段】超音波振動子101と、超音波振動子101の音波振動を伝達するホーン105と、ホーン105に接続されて振動し、音波の放射圧によって物体を浮揚させる振動体106と、を備えた超音波浮揚装置において、ホーン105は、音波振動の波の節の位置において波が伝わる方向と直交する方向に延長された部分が形成され、延長された部分の先端に振動体106が接続される超音波浮揚装置とした。
【選択図】図1

Description

本発明は物体(例えばシリコンウェハ)を超音波によって空中に浮揚させ、浮揚した物体をハンドリングする超音波浮揚装置及びそれを備えた搬送ロボットに関する。
従来技術として、音源から発生した音響エネルギを音響共鳴管で増幅させ、音響エネルギを音響放射圧に変換する浮揚エネルギ供給板に供給し、音響放射圧により物体(例えばシリコンウェハや液晶ガラス基板)を浮揚させる装置がある。(例えば、特許文献1参照)。また、ロボットのエンドエフェクタに超音波浮揚装置を備え、音響放射圧によりシリコンウェハを浮揚させ、ロボットを使って浮揚したシリコンウェハをハンドリングする装置もある。(例えば、非特許文献1参照)。
図7は、特許文献1における、音響共鳴管を使った浮揚装置の斜視図である。図7において、音響共鳴管701は中空円筒形状である。スピーカ等により構成されており、音響共鳴管701に音響エネルギを供給する音源702は、音響共鳴管701の側面の所定の位置に設けられる。また音響共鳴管701の一端には、共鳴強調用底板703が設けられる。音響共鳴管701の他端には、共鳴強調用底板703に対向するように、浮揚エネルギ供給板704が設けられる。浮揚エネルギ供給板704上には、たとえばシリコンウェハなどの浮揚体705が配置可能である。ここで、音源702に動電型スピーカを用いた時には、動電型スピーカの膜面の質量mと、その膜面を支持する剛性kにより決定されるf0周波数と呼ばれる共振の基本周波数とを利用した駆動によっても、同様に音響エネルギを有効に音響共鳴管701内に発生させる事ができる。ここで、このf0周波数とは、以下の式(1)により表す事ができる。


一般的に、f0周波数は、音響共鳴管701の最低次の共鳴周波数に比べて低い50〜100Hzの帯域に設定されることが多い。そして、このような低い帯域で、式(1)で決定される最低次の共鳴周波数よりも更に低い周波数で音響共鳴管701に音響加振を加えると、音響共鳴管701内の媒体があたかも一体となった大きな呼吸運動が発生する。従って、大きな振幅を音響エネルギ供給板704に与える事ができる。
図8は従来の超音波を利用した浮揚装置の側断面図である。図8において、超音波振動子801は、振動発生源となる圧電素子802と超音波振動子を把持するための節プレート803と振動を外部に伝える金属円柱804からなる。超音波振動子801内部で発生した振動は縦波として、ホーン805と呼ばれる振動振幅拡大器に伝えられ、浮揚体807とホーン805の間に音響放射圧が発生し、浮揚体807を浮揚させる。また、ホーン805中に配管806を設け、ポンプで浮揚体807とホーン805の間の空気を引く事により、負圧が発生し、図8に記載した超音波浮揚装置を上下反転させても、浮揚体を非接触で浮揚させる事ができる。
このように、従来の浮揚装置は音響共鳴管を使うか、超音波振動子を使って音響放射圧を発生させ、シリコンウェハ等の部品を浮揚させるのである。
特開平11−301832号公報(図1) Zimmerman&schilp社,Product and Technology Contactless Handling,Fig2
従来の浮揚装置は、音響共鳴管と動電型スピーカを使って、音響共鳴管の内部に100Hz以下の呼吸運動を発生させ、さらに音響エネルギは浮揚エネルギ供給板を介して浮揚物体を浮上させているが、100Hz程度の周波数で呼吸運動した場合、浮揚物体は重力落下により約490μm程度上下動するという問題があった。
また、従来のように超音波を利用してウェハを浮揚させる場合、超音波振動子の縦振動を利用していたため、浮揚装置の縦方向の体積が大きくなり、作業空間内での干渉の問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、超音波振動を利用することにより、浮揚物体の上下変動を抑制するとともに、超音波振動の横波を利用する事により、浮揚装置の縦方向の体積を小さくし、搬送ロボットのエンドエフェクタに適用してもロボットの作業空間内の干渉を低減することができる超音波浮揚装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、超音波振動子と、前記超音波振動子の音波振動を伝達するホーンと、前記ホーンに接続されて振動し、音波の放射圧によって物体を浮揚させる振動体と、を備えた超音波浮揚装置において、前記ホーンは、前記音波振動の波の節の位置において前記波が伝わる方向と直交する方向に延長された部分が形成され、前記延長された部分の先端に前記振動体が接続されたことを特徴とする超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記ホーンが、L字形状またはT字形状であることを特徴とする請求項1記載の超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記ホーンは、ポアソン比が0.3以上の金属で形成され、前記延長された部分が、前記振動体に向かって先細り形状であることを特徴とする請求項1または2記載の超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記振動体は、H形状の薄板であることを特徴とする請求項1記載の超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1記載の超音波浮揚装置において、前記超音波振動子の節プレートを保持して該超音波振動子と前記ホーンとを格納するケースを備え、前記ケースに、前記延長された部分が貫通して突出する貫通穴を設けたことを特徴とする超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5記載の超音波浮揚装置において、前記ケースに前記物体を把持可能な可動ガイドを備えたことを特徴とする超音波浮揚装置とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1記載の超音波浮揚装置が、ロボットアームの先端に取り付けられたことを特徴とする搬送ロボットとするものである。
請求項1に記載の発明によると、振動の出力方向を変換できるので、超音波浮揚装置の縦方向の体積を小さくでき、作業領域における干渉問題を回避できる。
また、請求項2に記載の発明によると、ホーンをL字形状にした場合、装置がよりコンパクトになり、ホーンをT字形状にした場合、浮揚させる物体として例えば2枚のシリコンウェハを非接触浮揚させる装置とすることができる。
また、請求項3に記載の発明によると、振動の横波成分を大きくできるので、振動体の振動振幅を大きくできる。
また、請求項4に記載の発明によると、浮揚させる物体がシリコンウェハであるとき、シリコンウェハが複数枚格納されたカセットなどからシリコンウェハの取り出しを容易にし、振動体を点対称に励起できるので、振動体を確実に浮揚させることができる。
また、請求項5に記載の発明によると、ケースによってホーン及び超音波振動子を保護すると共に、ケース末端をロボットなどのエンドエフェクタに取り付ける事ができる。
また、請求項6に記載の発明によると、可動ガイドにより、浮揚物体の位置ずれを補正できる。
また、請求項7に記載の発明によると、ロボットの作業領域における干渉問題が発生しにくい搬送ロボットにすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の超音波浮揚装置の側断面図である。図において、超音波振動子101は、圧電素子102と金属円柱104と節フランジ103から構成されており、一般にボルト締めランジュバン振動子という名称で知られている。圧電素子102に超音波振動子101の固有振動数に相当する高周波電圧(例えば28kHz、±70V程度)を印加すると、超音波振動子101が振動し、縦波がホーン105に伝達される。ホーン105は、十字、T字もしくはL字状のジュラルミン等で形成されたポアソン比が0.3以上の金属棒である。図1ではL字のホーンで説明する。ホーン105の先に振動体106を取り付け、超音波振動子101で発生した振動がホーン105を介して振動体106に伝達される。振動体106が高周波で振動する事により、浮揚体107との間に音響放射圧が発生し、浮揚体107が浮揚する。ここで、浮揚体107は、シリコンウェハや液晶ガラス板などを表す。また、超音波振動子101やホーン105をケース108で保護する。ケース108は節フランジ103とケース108で締結されているものとする。ケース108には、浮揚体107を位置決めするためのガイド109を接合している。また、ケース108の末端にネジ110を備える事により、ロボットのエンドエフェクタに取り付ける事ができる。
本発明が従来技術と異なる部分は、ホーン105を直棒ではなく十字、T字もしくはL字状の棒材にした部分である。
図2は、本発明の超音波浮揚装置の動作原理を示す側断面図である。超音波振動子201で発生した縦波203はホーン202に伝わる。さらに、縦波203の1/4波長に相当するホーン位置で縦波203の節となる。この縦波203の節で縦波が伝わる方向と直交するようにホーンをL字とすることで、横波204が伝達される。ホーンの断面積がホーンのどの箇所でも同じ場合、縦波203の節位置から超音波振動子201までのホーンの長さと縦波の節位置から振動体までのホーンの長さは等しくなる。例えば、ホーンの断面積を一様でL字状、ホーンの材質をジュラルミン、超音波振動子から伝わる振動を28kHzとすると、式(2)を使ってホーンの長さを決定する事ができる。λは金属中の波長、Eは金属のヤング率、ρは金属の密度、fは振動周波数である。


ジュラルミンの場合には、ヤング率は197*109(N/m2)、金属の密度は8*103(kg/m3)である。この式から、縦波の節位置から超音波振動子までのホーンの長さ及び縦波の節位置から振動体までの長さは、44.3mmとなる。
図3は、本発明のホーン形状の一例を示す側断面図である。ホーン302の節位置から振動板までの金属棒を一様ではなく先細り形状(コニカル)にした場合には、振動体304の振動振幅を増幅させることができ、浮揚体の浮上量を大きくすることが可能である。図2と同様にジュラルミンを使用した場合を想定して、コニカル部303の長さを求める。ジュラルミンの金属中を伝わる音速は、4.964*105(cm/s)であり、ホーンの断面積比を断面積(ホーン側)/断面積(振動体側)=2.6とした時の周波数で表したホーン長さ(kl)は、超音波技術便覧(実吉他著、日刊工業新聞、昭和58年発行、p1646の図25・15)を参照すると2.275(rad/s)となる。これらの値を式(3)に代入するとコニカル部303の長さを求める事ができる。 ωは振動周波数(rad/s)、cは音速(cm/s)、l(エル)はホーンの長さである。


式(3)より、コニカル部303のホーンの縦振動の節から振動板までの長さは、約64mmとなる。
図4は、本発明の超音波浮揚装置の上面図(a)と側断面図(b)である。ケース401の内部にL字型ホーンと超音波振動子が格納されており、ケース401で超音波振動子の節プレート402を挟むように締結する。ホーン404は、ホーン404がケース401に接触しない程度の大きさの穴から貫通しており、H型の振動体403とネジなどで締結されている。振動体403の形状は、振動体403から浮揚体(例えばシリコンウェハ)までの浮揚距離を大きくするには、円形が良い。これは、振動源を中心として円形状の定在波が発生しやすいからであり、定在波を発生させる事により強力な音響放射圧が発生するからである。一方、振動体403の形状は、シリコンウェハの一般的な載置部やカセットからの取り出しと挿入時を考慮すると、フォーク形状が好ましい。この二つの条件を満足する形状として本実施例ではH型とした。ケース401端面の取り付けネジ405でロボットアーム406の先端に結合し、超音波浮揚装置をロボットのエンドエフェクタとする事ができる。このようにロボットアームから延長するように超音波浮揚装置を配置できるので、ロボットの作業領域内での干渉の問題を回避できる。
図5は、本発明の超音波浮揚装置のガイド500の底面図を表す。アーム501は、アーム501の端に取り付けられた第一プーリー502と連動して動く。第一プーリー502は、ワイヤー504を介して第二プーリー506に連動して動く。第二プーリー506は、ワイヤー507を介して第三プーリー508に連動して動く。第三プーリー508は、ワイヤー509を介して、電動機511に直結された第四プーリー510に連動して動く。電動機511に取り付けられた第四プーリー510が、紙面に向かって反時計回りに回転すると太矢印方向に各アームが回転し、浮揚体514を把持する。また、電動機511に取り付けられた第四プーリー510が、紙面に向かって時計回りに回転すると一点鎖線方向に各アームが回転する。すなわち本実施例の場合、浮揚体514に対して放射状に配置した4本のアーム501を1台の電動機511によって同時に回転させることによって浮揚体514の周囲に各アーム501を当接させて浮揚体514を掴んだり、また、浮揚体514の周囲から各アーム501を離反させて浮揚体514を開放するよう構成している。なお、ワイヤー504とワイヤー507の巻き方を変える事により、各アームの回転方向を変えて、例えば各アームが全て同じ方向に同時に回転するようにして浮揚体514を掴んだり、放したりするようにしてもよい。本実施例では、4本のアーム501のうち、2本のアームと連動して動く第一プーリー502と第二プーリー506とに巻きかけられたワイヤー504がクロスして巻きかけられているので、この2本のアームが、これら以外の2本のアームと反対方向に回転するよう構成されている。音響放射圧では、浮揚体の横滑りを拘束する力が弱いので、ガイド500により位置ずれを補償できる。
また、アーム501の先端には緩衝材503が備えられており、この緩衝材503で浮揚体514の端面を把持する。
図6は、本発明の超音波浮揚装置において、ホーン形状をT字型にした場合の超音波浮揚装置の側面図である。
図6において、アーム601からケース取り付け冶具612までは、図5のアーム501からケース取り付け冶具512と同じ構成である。ケース取り付け冶具612にて、ガイド600を支持している。ケース613からは、T型のホーン614が貫通しており、ホーン614は振動体615とネジなどで締結されている。振動体615から放出される音響放射圧により、浮揚体616は浮揚する。T型のホーン614にすることで、下側にもガイド600、振動体615を配置でき、浮揚体を上と下で非接触把持することができる。ただし、この場合には、ホーンの内部に配管617を通し、図示しない真空ポンプ618で振動体615と浮揚体616の間に負圧を発生させ、浮揚体616を吸引すると共に、振動体615の音響放射圧により斥力を発生させる。これにより、上下で浮揚体616を非接触浮揚させることが可能である。ケース613の末端の取り付けネジ619により、ロボットのエンドエフェクタに取り付けることができる。
本発明の第1実施例を示す超音波浮揚装置の側断面図 本発明の超音波浮揚装置の動作を示す断面図 本発明のホーン形状の側面図 本発明の超音波浮揚装置の上面図と側断面図 本発明のガイドの底面図 本発明のホーン形状をT字型にした場合の超音波浮揚装置の側面図 従来の浮揚装置の斜視図 従来の超音波浮揚装置の側断面図
符号の説明
101、201、801 超音波振動子
102、802 圧電素子
103、402、803 節プレート
104、804 金属円柱
105、202、301、404、614、805 ホーン
106、304、403、615 振動板
107、514、616、705、807 浮揚体
108、613 ケース
109、500、600 ガイド
110、405、619 取り付けネジ
203 縦波
204 横波
302 一様ホーン
303 コニカルホーン
401 ケース
406 ロボットアーム
501、601 アーム
502、602 第一プーリー
503、603 緩衝材
504、505、507、509、604、605、607、609 ワイヤー
506、606 第二プーリー
508、608 第三プーリー
510、610 第四プーリー
511、611 電動機
512、612 ケース取り付け冶具
513 ホーン貫通穴
617 配管
618 真空ポンプ
701 音響共鳴管
702 音源
703 共鳴強調用底板
704 浮揚エネルギ供給板
802 圧電素子
804 金属円柱
806 配管

Claims (7)

  1. 超音波振動子と、前記超音波振動子の音波振動を伝達するホーンと、前記ホーンに接続されて振動し、音波の放射圧によって物体を浮揚させる振動体と、を備えた超音波浮揚装置において、
    前記ホーンは、前記音波振動の波の節の位置において前記波が伝わる方向と直交する方向に延長された部分が形成され、前記延長された部分の先端に前記振動体が接続されたことを特徴とする超音波浮揚装置。
  2. 前記ホーンが、L字形状またはT字形状であることを特徴とする請求項1記載の超音波浮揚装置。
  3. 前記ホーンは、ポアソン比が0.3以上の金属で形成され、前記延長された部分が、前記振動体に向かって先細り形状であることを特徴とする請求項1または2記載の超音波浮揚装置。
  4. 前記振動体は、H形状の薄板であることを特徴とする請求項1記載の超音波浮揚装置。
  5. 請求項1記載の超音波浮揚装置において、前記超音波振動子の節プレートを保持して該超音波振動子と前記ホーンとを格納するケースを備え、前記ケースに、前記延長された部分が貫通して突出する貫通穴を設けたことを特徴とする超音波浮揚装置。
  6. 請求項5記載の超音波浮揚装置において、前記ケースに前記物体を把持可能な可動ガイドを備えたことを特徴とする超音波浮揚装置。
  7. 請求項1記載の超音波浮揚装置が、ロボットアームの先端に取り付けられたことを特徴とする搬送ロボット。
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