JP2010049140A - 静電荷像現像用現像剤および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することができる静電荷像現像用現像剤を提供する。
【解決手段】結晶性樹脂および着色剤を含み、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を表面に有する静電荷像現像用トナーと、芯材粒子と、芯材粒子表面を被覆し、含窒素系硬化樹脂を含む第一樹脂被覆層と、第一樹脂被覆層を被覆し、含窒素系熱可塑性樹脂および導電性粉末を含む第二樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアと、を含有する静電荷像現像用現像剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用現像剤および画像形成装置に関する。
電子写真法など静電潜像(静電荷像)を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に形成される静電潜像が静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある)により現像されて、転写、定着工程を経て可視化される。現像に用いられる現像剤にはトナーと静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」と呼ぶ場合がある)とを含む二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とがあるが、二成分現像剤は、キャリアが現像剤の撹拌、搬送、帯電などの機能を分担し、現像剤として機能分離されているため、制御性がよいなどの特徴があり、現在広く用いられている。
キャリアは、一般に磁性粒子(コア粒子)表面に樹脂被覆層を有する樹脂被覆キャリアと、表面に被覆層を有しない非被覆キャリアとに大別されるが、樹脂被覆キャリアを用いる現像剤は、帯電制御性が優れ、環境依存性、経時安定性の改善が比較的容易である。また、現像方法としては、古くはカスケード法などが用いられていたが、現在は現像剤搬送単体として磁気ロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
トナーの低温定着性を実現するために、結着樹脂として結晶性樹脂を用いる方法がある。しかし、結晶性樹脂を含有させることは低温定着などには有利であるが、トナーとしての基本機能である電荷を十分に保持することができない場合がある。これは結晶性樹脂の電気抵抗の低さに起因する。通常、現像剤担持体に近接する帯電ロールや帯電ブレード、あるいはトナーと混合されて摩擦帯電を引き起こすキャリアなどにより、トナーは電荷を与えられる。一方、感光体の表面には帯電および露光により出力画像に応じた電位差のある静電潜像が形成される。電荷の蓄積したトナーはこの静電潜像に現像バイアスなどにより現像される。このときトナーの電荷が漏洩してしまっていると、必要量のトナーが現像されず所望の濃度の画像が得られない。また、トナーの電荷が漏洩するまでには至らない場合においても、トナー表面に導通路が存在してしまうために現像バイアスの注入によるカブリを引き起こすことがある。さらに、現像されたトナーであっても、転写工程において転写電界の注入や剥離電界の注入などにより、転写ムラや転写効率の低下が引き起こされ、高画質な画像を得ることができない場合がある。
そのため結晶性樹脂を含有するトナーを用いる場合、電荷漏洩を抑制することが望まれる。これまでに結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、トナー表面の外添構造を規定する技術がいくつかある。例えば、特許文献1には外添剤のトナー表面の被覆率を30%以上にすることが提案されている。また、特許文献2および特許文献3には、トナー表面の外添剤被覆率を100%以上300%以下にすることや、さらにトナーから遊離している外添剤の量を0.1重量%以上5重量%以下にすることが提案されている。
さらに近年では、経済性、省資源、環境安全などの観点からクリーニング工程で回収されたトナーを現像機内に戻し、再度、現像用トナーとして再利用する、いわゆるトナーリクレーム方式が注目されてきている。トナーリクレーム方式においては、転写工程で転写できなかったトナーが回収され、現像機内へ搬送される。そのため、トナー表面の外添剤の移動がリクレームのない画像形成プロセスよりも顕著に観察される。そのトナーが現像剤中に混入することで、さらに電荷漏洩が発生することがある。
特開2003−270852号公報 特開2003−107781号公報 特開2004−138920号公報 特開2007−79205号公報 特開2006−85065号公報
本発明は、低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することができる静電荷像現像用現像剤および画像形成装置である。
本発明は、結晶性樹脂および着色剤を含み、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を表面に有する静電荷像現像用トナーと、芯材粒子と、前記芯材粒子表面を被覆し、含窒素系硬化樹脂を含む第一樹脂被覆層と、前記第一樹脂被覆層を被覆し、含窒素系熱可塑性樹脂および導電性粉末を含む第二樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアと、を含有する静電荷像現像用現像剤である。
また、前記静電荷像現像用現像剤において、下記式(1)で示される前記静電荷像現像用トナーの表面電荷密度分布Aが、3.5db以上であることが好ましい。
A=10×Log(m/σ) (1)
(式(1)中、mは、トナーの表面電荷密度平均値、σは、トナーの表面電荷密度標準偏差である。)
また、本発明は、像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含み、前記現像剤は、前記静電荷像現像用現像剤である画像形成装置である。
本発明の請求項1によれば、本構成を有さない場合に比べて、低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することが可能な静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
本発明の請求項2によれば、トナーの表面電荷密度分布Aが、3.5db未満の場合に比べて、低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することが可能な静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
本発明の請求項3によれば、本構成を有さない場合に比べて、低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
トナーの低温定着性を実現するために、結着樹脂として結晶性樹脂を使用することにより、結晶性樹脂の融点以下ではトナーの硬さが保持され、融点を超えたところで結晶の融解とともに粘度が急激に低下することにより低温定着が可能となる。しかし、結晶性樹脂を含有するトナーは、トナーとしての基本機能である電荷の保持を十分に行うことができない場合がある。これは結晶性樹脂の電気抵抗が低く、誘電損失が大きいことに起因している。すなわち、トナー母粒子中に含有する抵抗の低い結晶性樹脂は、トナー中に電荷の導通路を形成していると考えられ、摩擦帯電によりトナーに形成された電荷はその導通路を流れ、トナー表面からキャリアや現像剤担持体などを介在して漏洩してしまう場合がある。逆に、現像工程や転写工程においては現像バイアスや転写電流がトナー表面から内部に向かって流れやすく、電荷の注入が起こりやすくなる。
本発明者らは、これら電荷の漏洩や注入がトナー表面を介在して起こっていることに着目し、その漏洩あるいは注入サイトへの電荷の流れを抑制することで帯電の保持が可能であることを見出した。さらにその電荷の流れを抑制するためには、トナー表面を外添剤で被覆隠蔽することが有効であり、それは特にメタチタン酸などの、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を外添剤として用いることが有効である。これはメタチタン酸などは通常、形状が燐片状を呈するため、トナー表面を少量で被覆可能となり、トナー表面の導通路の隠蔽に効果が高い。
また、トナー表面に保持された電荷はキャリア表面と接触することによっても漏洩してしまう。そのため、キャリア表面を絶縁性にするべく芯材粒子を樹脂被覆層で被覆したキャリアも電荷漏洩には効果があると思われるが、一方で絶縁性のキャリアは現像電界を感光体に近づける効果がほとんどないため、現像性の低下や特定の画像欠陥を生じる場合がある。本発明者らは、現像電界はトナー帯電の電荷に対して非常に大きいため、キャリアの体積抵抗率によって注入しやすいかどうかが決定されるが、それに対して、トナーの電荷は非常に電位としては小さいために、キャリアの表層付近で導通が起こっていることを見出した。そのため、キャリアの芯材粒子表面に絶縁層として、熱硬化樹脂などの硬化性樹脂を第一樹脂被覆層として被覆し、その上層(第二樹脂被覆層)には疎水性の熱可塑性樹脂を用い、現像性、画質を確保するべく、適度な現像電界が注入できるように、カーボンブラックなどの導電性粉末を熱可塑性樹脂に添加することにより、キャリアの体積抵抗率としては適度な抵抗率を示すが、キャリア表面においては、下層(第一樹脂被覆層)の硬化樹脂によりトナー電荷の漏洩が起こりにくくなることを見出した。
また、本発明者らは現像剤中のトナーの一個一個の表面電荷についても検討した。トナーの表面電荷にバラツキがあると、トナーとトナーとの間でそれぞれの表面電位差が生じることがある。その表面電位差があると、現像剤中で、その表面電位に差をもったトナー同士が接触する。その結果、その表面電位差に応じてトナーとトナーとの間で電荷交換が行われ、通常であれば表面電位の均一化が生じるが、結晶性樹脂を有するトナーにおいてはここで電荷漏洩が発生するため、現像剤の帯電量が低下する場合があることを見出した。そのため、この表面電荷密度の分布を表した上記式(1)で求められるトナーの表面電荷密度分布Aの値を大きくすることが電荷漏洩に有効であり、またそれは表面に、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を付着させたトナーと、芯材粒子表面に硬化樹脂を被覆し、その上層に導電性粉末を分散した熱可塑性樹脂を有したキャリアが非常に有効であり、さらに、キャリアを構成する樹脂を、窒素原子を含む含窒素系の樹脂とすることにより、キャリア構成材料を正極側に帯電させる仕事関数を高くできるため、さらなる改善が図れることも見出した。
したがって、低温定着、定着工程におけるエネルギの大幅低減、またウォームアップタイムの短縮化を図ると同時に、定着後の画像保存性に優れ、さらにカブリや画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制し、高画質な画像を長期にわたってバランスよく達成できる現像剤およびそれを用いた画像形成装置を得ることができる。また、クリーニング工程で回収されたトナーを現像機内に戻し、再度、現像用トナーとして再利用することができる。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態において用いられる静電荷像現像用トナーは、結着樹脂として結晶性樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と外部添加剤とを含む。外部添加剤は、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を含む。これ以外の構成については特に制限はない。
[トナー母粒子]
トナーのトナー母粒子は、結着樹脂と着色剤とを含み、必要に応じて離型剤、シリカおよび帯電制御剤などを含む。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。これらの中では、特にスチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエステル樹脂が好ましい。
結着樹脂の含有量は、トナー重量に対して、70重量%以上99重量%以下の範囲が好ましく、80重量%以上95重量%以下の範囲がより好ましい。
また、トナーに用いられる結着樹脂には、結晶性樹脂を含む。結晶性樹脂の含有量は、全結着樹脂のうち4重量%以上であることが好ましく、8重量%以上であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が4重量%未満であると、十分な低温定着性能が得られない場合がある。
結晶性樹脂としては結晶性を有する樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂などが挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。また、結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマの場合、他成分が50重量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂と呼ぶ。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点およびベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40℃以上50℃以下の幅を有するピークを示す場合がある。
(酸由来構成成分)
酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のカルボン酸が好ましい。直鎖型のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸構成成分の95モル%以上用いることが好ましく、98モル%以上用いることがより好ましい。
その他のモノマとしては、特に限定は無く、例えば、高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されているようなモノマ成分である、従来公知の2価のカルボン酸と、2価のアルコールとがある。これらのモノマ成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。
スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできる点で有効である。また樹脂全体を水に乳化あるいは懸濁して、トナー母粒子を粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化あるいは懸濁が可能である。このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸の含有量は0.1モル%以上2.0モル%以下であることが好ましく、0.2モル%以上1.0モル%以下であることが好ましい。含有量が2.0モル%よりも多いと、帯電性が悪化する場合がある。なお、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)をそれぞれ1単位(モル)としたときの百分率を指す。
(アルコール由来構成成分)
アルコール構成成分としては脂肪族ジアルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられ、中でも炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコールを、アルコール構成成分の95モル%以上用いることが好ましく、98モル%以上用いることがより好ましい。
その他の2価のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールや、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、前記のモノマ成分の中から任意の組合せで、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、または組み合わせて用いることができる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、直接重縮合の場合は通常1/1程度、エステル交換法の場合は、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなど真空下で脱留可能なモノマ過剰に用いる場合が多い。前記ポリエステル樹脂の製造は、通常、重合温度180℃以上250℃以下の間で行われ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコール等を除去しながら反応させる。モノマが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助溶剤として加えて溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマとそのモノマと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、および、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。この中で、帯電性の観点からスズ系触媒、チタン系触媒が好ましく、中でも、ジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上110℃以下である。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、融点が120℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。
なお、本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
本実施形態に係るトナーにおける、着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下の範囲であることが好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤などを用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。なお、本実施形態におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
トナー母粒子の製造は、例えば結着樹脂と、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等とを混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と着色剤、および必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに樹脂粒子などを付着、加熱融合してコアシェル構造を持たせる製造方法を行ってもよい。
以上のようにして製造したトナー母粒子の粒径は、体積平均粒径で2μm以上12μm以下の範囲であることが好ましく、3μm以上9μm以下の範囲であることがより好ましい。
トナー母粒子は、現像性、転写効率の向上、高画質化の観点から擬似球形であることが好ましい。トナー母粒子の球形化度は、下記式の形状係数SF1を用いて表すことができる。本実施形態おいて用いられるトナー母粒子の係数係数SF1の平均値は、140以下であることが好ましく、115以上140以下の範囲であることがより好ましく、120以上140以下の範囲であることがさらに好ましい。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式において、MLは各々のトナー母粒子の最大長(μm)を表し、Aは各々のトナー母粒子の投影面積(μm)を表す。
形状係数SF1の平均値が、140より大きくなると、転写効率が低下する場合があり、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できることがある。
なお、形状係数SF1の平均値は、250倍に拡大した1,000個のトナー像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)に取り込み、その最大長および投影面積から、個々の粒子についてSF1の値を求めて平均したものである。
本実施形態におけるチタン化合物は、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物であればよく特に制限はない。このチタン化合物をトナー表面に付着させることにより、帯電維持性、アドミックス性などの効果が大きくなる。さらに球形やポテト形状のトナーに外添したとき、通常のチタニアは、ある程度のアドミックス性改善等の効果があるが、ホットオフセットの発生温度が低下する場合があるが、本チタン化合物を球形、もしくはポテト形状のトナーに外添すると、ホットオフセット温度の低下を発生させることがほとんどなく、アドミックス性の改善、帯電維持性を得ることができる。
TiO(OH)は、一般的には以下に示すイルメナイト鉱石を用いた硫酸法(湿式)により製造することができる。
FeTiO +2HSO → FeSO + TiSO + 2H
TiOSO + 2HO → TiO(OH) + HSO
本実施形態におけるチタン化合物としては、水分散状態のTiO(OH)にシラン化合物を加え、OH基の一部、もしくは全部を処理し、これをろ過、洗浄、乾燥、粉砕することにより得られるものが好ましい。TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物は、TiO(OH)を焼成することにより得られる従来の結晶性酸化チタンに比べ、チタニアとシリカの双方の特性を兼ね備え、比重の小さいチタン化合物である。
また、TiO(OH)とシラン化合物とを反応させることにより、従来の方法に比べて、TiO(OH)から生じる酸化チタンが一次粒子の状態でシラン化合物で処理されることになり、凝集のほとんどない一次粒子状態のチタン化合物を得ることが可能となり、良好な帯電性、環境安定性、流動性、特にアドミックス性に優れたトナーを提供することが可能となる。さらに本実施形態におけるチタン化合物を、混錬粉砕法以外の化学製法などにより製造したトナーに付着させた場合、他のチタニア外添剤を使用した場合に発生する高温域での定着オフセット温度の低下がほとんどないトナーを得ることができる。
シラン化合物としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化材等、公知のシラン化合物を使用することができる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルトリクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ターシャルブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、更に、シリコーンオイルとして、ストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルなどを用いることができる。具体的にはジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどを代表的なものとして例示することができるが、これらに何ら限定されるものではない。これらの中でもイソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが、トナーの帯電速度やアドミックス性などの観点で特に好ましい。これらシラン化合物は、1種単独以上で用いても、2種以上のシラン化合物を併用して用いてもよい。
また、シラン化合物の処理量は、100重量部のTiO(OH)に対して、1重量部以上250重量部以下の範囲であることが好ましく、50重量部以上200重量部以下の範囲であることがより好ましい。シラン化合物の処理量が1重量部未満であると、シラン化合物の電気抵抗が低すぎることによる現像剤への電荷注入によるカブリが発生する場合があり、250重量部を超えると、逆に絶縁性が高すぎて低温低湿下での帯電量が高くなりすぎ、結果として帯電量の環境依存性が大きくなる場合がある。
さらに、乾燥後に、シラン化合物以外の他の化合物を用いて複合処理を施してもよい。
チタン化合物の体積平均一次粒子径は、流動性、アドミックス性などを向上させる点で、5nm以上100nm以下の範囲であることが好ましく、15nm以上50nm以下の範囲であることがより好ましい。チタン化合物の体積平均一次粒子径が、5nm未満であると、現像機での撹拌によりトナー母粒子表面に埋没しやすくなり結果としてトナーの流動性が低下する場合があり、100nmを超えると、トナー母粒子表面に付着しづらく、現像機での撹拌によりトナー母粒子表面より剥れ、キャリア表面に移行し、結果としてキャリアの帯電能力を低下させる場合がある。
トナーに対するチタン化合物の付着量は、トナーの粒径、形状分布などにより調整されるが、トナー母粒子に対して0.1重量%以上5重量%以下の範囲であることが好ましく、0.3重量%以上3重量%以下の範囲であることがより好ましい。トナーに対するチタン化合物の付着量が0.1重量%未満であると、十分な帯電付与能力がなかったりトナー流動性が良好でない場合があり、5重量%を超えると、現像機の撹拌によりトナー母粒子表面より剥れ、やはりキャリア表面へ移行してしまう場合がある。
トナーの外部添加剤として、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物以外に他の外部添加剤を併用してもよい。他の外部添加剤としては、粉体流動性、帯電制御等の機能を担う、1次粒径が体積平均粒径で7nm以上40nm以下の範囲の小径無機酸化物を用いてもよい。小径無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタン酸化物(酸化チタン、メタチタン酸等)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カーボンブラック等を挙げることができる。
特に、体積平均粒径が15nm以上40nm以下の範囲の酸化チタンを用いることが、フルカラー画像においても透明性に影響をほとんど与えず、良好な帯電性、環境安定性、流動性、耐ケーキング性、安定した負帯電性、画質維持性などが得られる点で好ましい。
また、外部添加剤については、表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。表面処理としては公知のものが使用できるが、具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
小径無機酸化物の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.5重量部以上2.0重量部以下の範囲であることが好ましい。
さらにトナーの形状係数SF1が140以下のトナー母粒子を用いる場合などは、60nm以上の大径外添剤を単独使用あるいは併用することが転写効率、クリーニング工程の安定性などから好ましい。この大径外添剤としては、体積平均粒径が60nm以上300nm以下の範囲の大径無機酸化物であることが好ましく、80nm以上300nm以下の範囲の大径無機酸化物であることがより好ましい。
大径無機酸化物としては、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化クロム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの中では、精密な帯電制御を行う観点から、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸から選ばれるものを用いることが好ましい。
また、フルカラー画像などの高転写効率が要求される画像においては、外部添加剤としてシリカを用いることが好ましく、真比重が1.3以上1.9以下の範囲であり、体積平均粒径が60nm以上300nm以下の範囲である単分散球形シリカを用いることがより好ましい。単分散球形シリカの体積平均粒径は80nm以上200nm以下の範囲がさらに好ましい。真比重を1.9以下に制御することにより、トナー母粒子からの剥がれを抑制することができる。また、真比重を1.3以上に制御することにより、凝集分散を抑制することができる。単分散球形シリカの真比重は、1.4以上1.8以下の範囲であることがさらに好ましい。
単分散球形シリカの体積平均粒径が60nm未満であると、トナーと感光体との非静電的付着力低減に有効に働かなくなりやすい。特に、現像装置内のストレスにより、単分散球形シリカがトナー母粒子に埋没しやすくなり、現像性、転写性向上効果が著しく低減しやすい。一方、300nmを超えると、トナー母粒子から離脱しやすくなり、非静電的付着力低減に有効に働かないと同時に、接触部材に移行しやすくなり、帯電阻害、画質欠陥等の二次障害を引き起こしやすくなる。
単分散球形シリカは、単分散かつ球形であるため、トナー母粒子表面に実質的に均一に分散し、安定したスペーサ効果を得ることができる。単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが好ましい。また、球形の定義としては、Wadellの球形化度で議論することができ、球形化度が0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
なお、Wadellの球形化度は下記式より求めることができる。
球形化度=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
上記式において、分子=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)は、体積平均粒径から計算により求めることができる。また、分母=(実際の粒子の表面積)は、島津粉体比表面積測定装置SS−100型を用いて測定したBET比表面積により代用させることができる。
シリカが好ましい理由としては、屈折率が1.5前後であり、粒径を大きくしても光散乱による透明度の低下、特にカラー画像におけるOHPなどの表面への画像採取時のPE値(光透過性の指標)等に影響を及ぼさないことなどが挙げられる。
大径無機酸化物の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、1.0重量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましい。
さらに外部添加剤として、滑剤粒子を含んでもよい。滑剤粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、高級アルコール、脂肪族アルコール、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;およびそれらの変性物を併用してもよいが、これら滑剤粒子の形状係数SF1はクリーニング性を得るために140以上であることが好ましい。
さらに研磨剤として公知の無機酸化物材料を併用してもよい。無機酸化物材料としては、例えば、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、アルミナ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、窒化ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、これらの複合材料を用いてもよい。
本実施形態に用いられるトナー母粒子は擬似球形であることが好ましいため、無機酸化物を添加した効果も、不定形のトナー母粒子の場合より優れたものとなる。すなわち、トナー母粒子に同一量の無機酸化物を添加した場合、不定形のトナー母粒子の場合に比べ、擬似球形トナー母粒子のトナーの粉体流動性は高いものとなり、その結果、トナー帯電量として同程度であっても、擬似球形トナー母粒子のトナーは高い現像性、転写性を示すこととなる。
トナー母粒子と外部添加剤の混合は、どのような方法で行ってもよい。例えば、ヘンシェルミキサあるいはVブレンダ等で混合することによって製造することができる。また、ハイブリダイゼーションシステム、ナノキュラなどのメカノフュージョンシステムやI式ミル、クリプトロンなどの粉砕機などのように機械的衝撃力を有する設備にて外添混合することや、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
<静電荷像現像用キャリア>
本実施形態に係るキャリアとしては、芯材粒子と、芯材粒子表面を被覆し、含窒素系硬化樹脂を含む第一樹脂被覆層と、第一樹脂被覆層を被覆し、含窒素系熱可塑性樹脂および導電性粉末を含む第二樹脂被覆層と、を有する。
芯材粒子としては特に制限はなく、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどの金属あるいは金属酸化物粒子を用いてもよいし、マトリックス樹脂に磁性粉末などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。また、芯材粒子に空隙を有するような多孔質コアに樹脂を含侵被覆する樹脂含侵型キャリアでもよい。
本実施形態に係るキャリアに用いられる芯材粒子としては特に制限はないが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、キャリアが磁性キャリアであることが好ましいため、芯材粒子も磁性を有することが好ましい。芯材粒子を構成する材料としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルトなどの磁性金属;これらの磁性金属とマンガン、クロム、希土類などとの合金;およびフェライト、マグネタイトなどの磁性酸化物、ガラスビーズなどが挙げられる。
また、マトリックス樹脂に磁性粉末などが分散された樹脂分散型芯材粒子を用いてもよい。その場合、使用されるマトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芯材粒子の体積平均粒径は、10μm以上100μm以下の範囲が好ましく、25μm以上50μm以下の範囲がより好ましい。
芯材粒子表面を被覆する第一樹脂被覆層に用いられる含窒素系硬化樹脂としては、樹脂中に窒素原子を有する熱硬化樹脂などの硬化樹脂であれば特に制限はなく、フェノール樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂などのように、主骨格中に窒素原子を有してもよく、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂などに含窒素官能基を導入したものを用いてもよい。これらのうち、成膜性や帯電付与能力などの点からウレタン樹脂やウレア樹脂が好ましい。窒素原子を有さない硬化樹脂を併用してもよい。
含窒素系硬化樹脂の含有量は、キャリアの全重量に対して0.1重量%以上5重量%以下の範囲であることが好ましく、0.5重量%以上2重量%以下の範囲であることがより好ましい。含窒素系硬化樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、充分にキャリア芯材へ成膜できない場合があり、5重量%を超えると、逆に樹脂が過剰なことによる成膜不良の場合がある。
また、第一樹脂被覆層を被覆する第二樹脂被覆層に用いられる含窒素系熱可塑性樹脂としては、樹脂中に窒素原子を有する熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、シクロアルキル(メタ)アクリレート重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂などに、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルメタアクリレートなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリレート、ビニルピロリドンなどの含窒素基を導入したものなどを例示することができる。これらのうち、シクロヘキシルメタクリレート−ジメチルアミノメタクリレート共重合体などのシクロアルキル(メタ)アクリレート重合体にジアルキルアミノ(メタ)アクリレートを導入した共重合体が環境比などの観点で好ましい。窒素原子を有さない熱可塑性樹脂を併用してもよい。
含窒素系熱可塑性樹脂の含有量は、キャリアの全重量に対して0.1重量%以上5重量%以下の範囲であることが好ましく、0.5重量%以上2重量%以下の範囲であることがより好ましい。含窒素系熱可塑性樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、第一樹脂被覆層同様に成膜性が悪化する場合があり、5重量%を超えると、やはり過剰なため成膜性が劣る場合がある。
また、キャリア上層である第二樹脂被覆層に使用される導電性粉末としては、金、銀、銅といった金属や、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラックなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。これら導電性粉末は、1種単独以上で用いても、2種以上の導電性粉末を併用して用いてもよい。
導電性粉末の含有量は、キャリアの全重量に対して0.05重量%以上1重量%以下の範囲が好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下の範囲がより好ましい。導電性粉末の含有量が0.05重量%未満であると、キャリア抵抗が高すぎ、電荷交換不足によるカブリやトナースペントが発生する場合があり、1重量%を超えると、逆にキャリア抵抗が低すぎ、現像電界の注入によるトナーカブリやキャリアスペントが発生する場合がある。
第二樹脂被覆層は、他に樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子としては、窒素原子を有する樹脂粒子が好ましく、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、メラミン−ベンゾグアナミン樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリアニリン樹脂粒子などが挙げられる。これらの樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。窒素原子を有さない樹脂粒子を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば、0.1μm以上2μm以下の範囲が好ましく、0.2μm以上1μm以下の範囲がより好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径が0.1μm未満であると、被膜における樹脂粒子の分散性が悪くなる可能性があり、一方、2μmを超えると、被膜から樹脂粒子の脱落が生じ易く、本来の効果を発揮しなくなることがある。
樹脂粒子の含有量は、キャリアの全重量に対して0.01重量%以上2重量%以下の範囲が好ましく、0.05重量%以上1重量%以下の範囲がより好ましい。樹脂粒子の含有量が0.01重量%未満であると、帯電付与性能が悪い場合があり、2重量%を超えると、成膜性が悪く被覆層が剥れやすくなる場合がある。
キャリアの体積固有抵抗は、6.0Ω・cm以上15.0Ω・cm以下の範囲であることが好ましく、7.0Ω・cm以上13.0Ω・cm以下の範囲であることがより好ましい。キャリアの体積固有抵抗が15.0Ω・cmを超えると、トナーの電荷交換性能が悪く、カブリが発生する場合があり、6.0Ω・cm未満であると、現像電界のキャリアやトナーへの注入による感光体へのキャリアスペントやトナーの注入カブリが発生する場合がある。
キャリアの芯材粒子の表面に樹脂被覆層を形成するには、被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を、適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法などが挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性などを勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆層の形成方法としては、キャリアの芯材粒子の粉末を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材粒子表面に噴霧するスプレ法、キャリアの芯材粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダコータ中でキャリアの芯材粒子と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダコータ法などが挙げられる。
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態に係る現像剤は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であり、以上説明したトナーとキャリアとを混合することにより製造される。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(重量比)は、トナー:キャリア=1:99以上20:80以下程度の範囲であることが好ましく、3:97以上12:88以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る現像剤において、下記式(1)で示されるトナー、あるいはトナーおよび必要に応じて添加される助剤の表面電荷密度分布Aが、3.5db以上であることが好ましく、4.0db以上であることがより好ましい。
A=10×Log(m/σ) (1)
(式(1)中、mは、トナーの表面電荷密度平均値、σは、トナーの表面電荷密度標準偏差である。)
ここで、必要に応じて添加される助剤とは、前記研磨剤や滑剤のうちトナー表面に固定化されずに遊離して存在するものを指す。
トナーおよび必要に応じて添加される助剤の表面電荷密度分布Aが3.5db未満であると、トナーの一個一個の表面の電荷のばらつきが大きく、表面電荷密度の大きいトナーと表面電荷密度の小さいトナーの混在量が多くなってしまう場合がある。その結果、表面電荷密度の大きいトナーは転写不良となり、逆に小さいトナーはカブリとなってしまう場合がある。トナーの表面電荷密度分布Aの上限には特に制限はないが、通常は20db以下である。
本実施形態に係る上記トナーと上記キャリアとを含む二成分現像剤により、上記式(1)で示されるトナーおよび必要に応じて添加される助剤の表面電荷密度分布Aを、3.5db以上とすることができる。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、現像剤担持体に担持された現像剤を用いて、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、現像されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含み、現像剤として、前記静電荷像現像用現像剤が用いられる。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記した手段以外の手段、例えば、像保持体を帯電する帯電手段、被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段、像保持体表面に残存したトナー、キャリア等の残存物を除去するクリーニング手段等を含むものであってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。画像形成装置1は、帯電部10と、露光部12と、像保持体である電子写真感光体14と、現像部16と、転写部18と、クリーニング部20と、定着部22とを備える。
画像形成装置1において、電子写真感光体14の周囲には、電子写真感光体14の表面を帯電する帯電手段である帯電部10と、帯電された電子写真感光体14を露光し画像情報に応じて静電潜像を形成する潜像形成手段である露光部12と、静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段である現像部16と、電子写真感光体14の表面に形成されたトナー画像を被転写体24の表面に転写する転写手段である転写部18と、転写後の電子写真感光体14表面上に残存したトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング部20とがこの順で配置されている。また、被転写体24に転写されたトナー画像を定着する定着手段である定着部22が転写部18の左側に配置されている。
本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。まず、帯電部10により電子写真感光体14の表面が均一に帯電される(帯電工程)。次に、露光部12により電子写真感光体14の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像(静電潜像)が形成される(潜像形成工程)。その後、静電荷像が現像部16により現像され、電子写真感光体14の表面にトナー画像が形成される(現像工程)。例えば、電子写真感光体14として有機感光体を用い、露光部12としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体14の表面は、帯電部10により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部16でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部16にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部18で、用紙等の被転写体24がこのトナー画像に重ねられ、被転写体24の裏側からトナーとは逆極性の電荷が被転写体24に与えられ、静電気力によりトナー画像が被転写体24に転写される(転写工程)。転写されたトナー画像は、定着部22において定着部材により熱および圧力が加えられ、被転写体24に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに電子写真感光体14の表面に残存したトナーはクリーニング部20で除去される(クリーニング工程)。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写部18で用紙等の被転写体24に直接トナー画像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されても良い。
以下、図1の画像形成装置1における帯電手段、像保持体、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、定着手段について説明する。
(帯電手段)
帯電手段である帯電部10としては、例えば、図1に示すようなコロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いても良い。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体14に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電部10により、電子写真感光体14との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体14表面を帯電させる。なお、通常は、−300V以上−1000V以下に帯電される。また前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でも良い。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
(像保持体)
像保持体は、少なくとも潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。像保持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられる。電子写真感光体14は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層、および、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
(露光手段)
露光手段である露光部12としては、特に制限はなく、例えば、像保持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
(現像手段)
現像手段である現像部16は、像保持体表面に、トナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像剤担持体を接触若しくは近接させて、像保持体上に形成された静電潜像にトナーの粒子を付着させ、トナー画像を形成する機能を有する。静電荷像現像用現像剤を収容する現像機内に、現像剤を撹拌するための撹拌部材の摺動部を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体14に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。電子写真感光体14には、通常直流電圧が使用されるが、さらに交流電圧を重畳させて使用してもよい。
(転写手段)
転写手段である転写部18としては、例えば、図1に示すような被転写体24の裏側からトナーとは逆極性の電荷を被転写体24に与え、静電気力によりトナー画像を被転写体24に転写するもの、あるいは被転写体24の表面に被転写体24を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いることができる。転写ロールには、像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、紙等の被転写体24に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写体24に転写する方式でもよい。
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いることができる。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
(クリーニング手段)
クリーニング手段であるクリーニング部20については、像保持体上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でも弾性を有するクリーニングブレードを用いることが好ましい。
クリーニングブレードの材質としては、特にその制限はなく、様々な弾性体を用いることができる。具体的な弾性体としては、ポリウレタン弾性体、シリコーンゴム、クロロプレンゴム等の弾性体が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、ポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。
ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオールおよび各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられる。これは、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、イソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート等を用いてウレタンプレポリマを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造される。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。
(定着手段)
定着手段(画像定着装置)である定着部22としては、被転写体24に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、定着部材を具備する。
(被転写体)
トナー画像を転写する被転写体(用紙)24としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
なお、フルカラー画像を作製する場合には、複数の像保持体がそれぞれ各色の現像剤担持体を有しており、その複数の像保持体および現像剤担持体それぞれによる潜像形成工程、現像工程、転写工程およびクリーニング工程を含む一連の工程により、同一の被転写体表面に前記工程ごとの各色トナー画像が順次積層形成され、その積層されたフルカラーのトナー画像を、定着工程で定着する画像形成方法が好ましく用いられる。そして、上記静電荷像現像用現像剤を、上記画像形成方法に用いることにより、例えば、小型、カラー高速化に適したタンデム方式においても、安定した現像、転写、定着性能を得ることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<物性の測定方法>
[キャリア体積固有抵抗]
キャリアの試料をセル(直径100mm、厚み1.0mm)の下部電極上に充填し、上部電極をセットし、その上から3.43kgの荷重を加え、ダイヤルゲージで厚みを測定した。次に、電圧を印加し、電流値を読み取ることにより、体積固有抵抗を求めた。
<結晶性ポリエステル樹脂(1)の調製>
撹拌機、温度計、コンデンサ、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、1,8−オクタンジカルボン酸を4.9モル、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチルを0.1モル、1,6−ヘキサンジオールを4.8モル、エチレングリコールを0.22モル入れた後、容器内を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、ジブチルスズオキシドを0.04モル投入し、窒素ガス気流下、約180℃で約5時間撹拌反応させた後、チタンテトラブトキサイドを0.02モル加えて、温度220℃、反応容器内圧力10.1mmHgの減圧下で、4時間追加反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点は、64℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、重量平均分子量(Mw)が15,100、数平均分子量(Mn)が7,100、JIS−K0070に従ってアセトン−トルエン混合溶液を用いて測定した酸価が8mgKOH/gであった。
<非晶性ポリエステル樹脂(1)の調整>
撹拌機、温度計、コンデンサ、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を1.5モルと、ビスフェノールAトリメチレンオキサイド2モル付加物を1.8モルと、シクロヘキサンジメタノールを1.1モルと、エチレングリコールを0.62モルと、テレフタル酸を4.0モルと、イソフタル酸を1.0モル投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジブチルスズオキサイドを0.04モル投入して、窒素ガス気流下、約197℃で約5.5時間撹拌反応させ、さらに温度を約230℃に上げて、約6.5時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間撹拌反応させて、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。DSC法によるガラス転移温度Tgが57℃、スチレン換算GPC法による、Mwが11,000、Mnが4,410、Mw/Mnが2.5、JIS−K0070に従ってアセトン−トルエン混合溶液を用いて測定した酸価が12mgKOH/g、粘弾性測定によるG’’が10,000Paになる温度が約100℃であった。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整>
非晶性ポリエステル樹脂(1)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水が79重量%、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK)が1重量%(有効成分として)、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20重量%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が6.0Kg/cm、熱交換器による加熱138℃の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径285nmの非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製>
結晶性ポリエステル樹脂(1)200重量部を蒸留水800重量部中に入れ、85℃に加熱後、アンモニアにてpH9.0に調整し、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK)0.4重量部(有効成分として)を加え、88℃に加熱しながら、ホモジナイザ(IKAジャパン社製、ウルトラタラックスT50)にて、7,500rpmで10分間分散し、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。体積平均粒径は252nmであった。
<追加粒子(1)の調整>
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)150重量部(非晶性ポリエステル樹脂濃度20重量%)、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、有効成分量60重量%)1.5重量部(有効成分として0.9重量部)を混合した後、1.0重量%硝酸水溶液を添加し、pHを4.0にして、追加粒子(1)を調整した。
<着色剤分散液(1)の調製>
カーボンブラック20重量部(キャボット社製、リーガル330)、アニオン系界面活性剤2重量部(第一工業製薬社製、ネオゲンSC、有効成分として、着色剤に対して10重量%)、イオン交換水78重量部を用い、上記成分をすべて投入した時に液面の高さが容器の高さの1/3程度になるような大きさのステンレス容器に投入し、ホモジナイザ(LKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000回転で5分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザ((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力25MPaで分散した。分散は、総仕込み量と装置の処理能力から換算して29パス相当行った。その後、イオン交換水を加えて、固形分濃度を16.5重量%に調整した。得られた着色剤分散液の体積平均粒径をマイクロトラックUPAにて測定したところ、D50vは108nmであった。
<トナー母粒子K1の作製>
イオン交換水 430重量部
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 150重量部(結晶性ポリエステル樹脂濃度20重量%)
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 350重量部(非晶性ポリエステル樹脂濃度20重量%)
アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、有効成分量60重量%) 2.5重量部(有効成分として1.5重量部)
以上の成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒータで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、35分間保持した。その後、着色剤分散液(1)40重量部(着色剤濃度15重量%)を投入し、8分間保持した。そのまま、1.0重量%硝酸水溶液を添加し、pHを2.8に調整した。撹拌機、マントルヒータをはずし、ホモジナイザ(IKAジャパン社製、ウルトラタラックスT50)にて、3,000rpmで分散しながら、ポリ塩化アルミニウム0.33重量部、0.1重量%硝酸水溶液37.5重量部の混合溶液を、そのうちの1/2を添加した後、分散回転数を5,000rpmにして、残りの1/2を1分間かけて添加し、分散回転数を6,500rpmにして、10分間分散した。
反応容器に、撹拌機、マントルヒータを設置し、スラリが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を適宜調整しながら、45℃まで、0.5℃/分で昇温し、45℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら、10分ごとに、粒径を測定し、体積平均粒径が5.3μmとなったところで、追加粒子(1)200重量部を4分間かけて投入した。投入後25分間保持した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状および表面性を観察したところ、2時間目でほぼ球形化したので、1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させた。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ上になった粒子を取り出し、粒子重量の10倍量のイオン交換水中に投入し、スリーワンモータで撹拌して充分に粒子がほぐれたところで、1.0重量%硝酸水溶液でpHを3.8に調整して9分間保持した。その後、再度ろ過、通水洗浄し、ろ液の伝導度が10mS以下となったところで、通水を停止し、固液分離した。得られたケーキ状になった粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で7時間真空乾燥して、トナー母粒子K1を得た。得られたトナー母粒子K1は、体積平均粒径が6.0μm、GSD(vol)1.22で、形状係数SF1は135であった。
<トナーの調整>
トナー母粒子K1(重量平均粒径6.0μm、真比重=1.2)100重量部に、メタチタン酸化合物(体積平均粒径20nm、イソブチルトリメトキシシラン処理、真比重=3.2)を0.9重量部加え、5リットルヘンシェルミキサを用い、周速30m/sで10分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーAを作製した。
トナー母粒子K1(重量平均粒径6.0μm、真比重=1.2)100重量部に、シリカ粒子(R972、日本アエロジル製、体積平均粒径12nm、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理、真比重=2.2)を0.5重量部加え、5リットルヘンシェルミキサを用い、周速30m/sで10分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーBを作製した。
<キャリアAの製造>
Mn−Mg−フェライト粒子(ρ=4.6、体積平均粒径35.3μm、芯材電気抵抗10) 100重量部
酢酸エチル 15重量部
コロネート2222(硬化性樹脂:ウレタン−ウレア樹脂、日本ポリウレタン工業製) 0.6重量部
コロネート2222を酢酸エチルで希釈した樹脂溶液と、Mn−Mg−フェライト粒子とを真空脱気型ニーダに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧して酢酸エチルを除去した後、さらに150℃の恒温槽に17時間放置して、該フェライト粒子表面上に第一樹脂被覆層を形成して、下層コートキャリアAを得た。
下層コートキャリアA 100重量部
トルエン 20重量部
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ビニルピロリドン(VPy)共重合樹脂(共重合モル比97/3、Mw=150,000、Tg=108℃) 2.0重量部
カーボンブラック(VXC−72、キャボット社製) 0.3重量部
メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子(エポスターS、日本触媒製)0.2重量部
シクロヘキシルメタクリレート/ビニルピロリドン共重合樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザで5分間撹拌し、樹脂溶液を作製した。本樹脂溶液とMn−Mg−フェライト粒子とを真空脱気型ニーダに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧してトルエンを除去してキャリアAを得た。キャリアAの体積固有抵抗は11.5Ω・cmであった。
<キャリアBの製造>
Mn−Mg−フェライト粒子(ρ=4.6、体積平均粒径35.1μm、芯材電気抵抗10) 100重量部
トルエン 20重量部
ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂(Mw=120,000、Tg=102℃) 2.0重量部
カーボンブラック(VXC−7、キャボット社製) 0.3重量部
メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子(エポスターS、日本触媒製)0.2重量部
ポリメチルメタアクリレート樹脂をトルエンにて希釈したのち、カーボンブラックを加え、ホモジナイザで5分間撹拌し、樹脂溶液を作製した。本樹脂溶液とMn−Mg−フェライト粒子とを真空脱気型ニーダに入れ、80℃で30分間撹拌した後、減圧してトルエンを除去して、該フェライト粒子表面上に被膜を形成して、キャリアBを得た。キャリアBの体積固有抵抗は11.1Ω・cmであった。
<キャリアCの製造>
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ビニルピロリドン(VPy)共重合樹脂の代わりに、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)共重合樹脂(共重合モル比99.9/0.1、Mw=9.9×10、Tg=98℃)2.0重量部を用いた以外は、キャリアAの製造と同様にして、キャリアCを得た。キャリアCの体積固有抵抗は12.1Ω・cmであった。
<キャリアDの製造>
コロネート2222(硬化性樹脂:ウレタン−ウレア樹脂、日本ポリウレタン工業製)の代わりにHC1000(硬化性樹脂:シリコーン樹脂、東レダウコーニング製)0.85重量部を用いた以外は、キャリアAの製造と同様にして、キャリアDを得た。キャリアDの体積固有抵抗は8.8Ω・cmであった。
<キャリアEの製造>
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ビニルピロリドン(VPy)共重合樹脂の代わりにポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂(Mw=120,000、Tg=102℃)を2.0重量部用いた以外は、キャリアAの製造と同様にして、キャリアEを得た。キャリアEの体積固有抵抗は11.8Ω・cmであった。
<キャリアFの製造>
コロネート2222の代わりに、タケネートD120N(硬化性樹脂:ウレア樹脂、三井化学ポリウレタン製)0.2重量部を、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ビニルピロリドン(VPy)共重合樹脂の代わりに、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)/ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)共重合樹脂(共重合モル比99.9/0.1、Mw=9.9×10、Tg=98℃)2.0重量部を用いた以外は、キャリアAの製造と同様にして、キャリアFを得た。キャリアFの体積固有抵抗は10.8Ω・cmであった。
<実施例1>
キャリアA 93重量部とトナーA 7重量部とをV型ブレンダー装置(徳寿工作所製)により、混合して現像剤Aを得た。
<実施例2>
実施例1と同様にして、キャリアC 93重量部とトナーA 7重量部とを混合して現像剤Bを得た。
<実施例3>
実施例1と同様にして、キャリアF 93重量部とトナーA 7重量部とを混合して現像剤Cを得た。
<比較例1>
実施例1と同様にして、キャリアB 93重量部とトナーB 7重量部とを混合して現像剤Dを得た。
<比較例2>
実施例1と同様にして、キャリアB 93重量部とトナーA 7重量部とを混合して現像剤Eを得た。
<比較例3>
実施例1と同様にして、キャリアC 93重量部とトナーB 7重量部とを混合して現像剤Fを得た。
<比較例4>
実施例1と同様にして、キャリアD 93重量部とトナーA 7重量部とを混合して現像剤Gを得た。
<比較例5>
実施例1と同様にして、キャリアE 93重量部とトナーA 7重量部とを混合して現像剤Hを得た。
[評価]
(トナーの表面電荷密度分布の測定)
これらの現像剤A〜Hを用いて、電子写真プリンタ(DocuCentreColor a450、富士ゼロックス(株)製)にて、画像密度1%での複写試験と、画像密度20%での複写試験を行った。まず、22℃/50%RH環境下でそれぞれ10枚ずつ複写を行った後にスリーブ上から現像剤を採取し、E−Spart Analyzer(ホソカワミクロン製)の標準条件で2,000個のトナーの粒径と帯電量を測定し、上記式(1)で示す表面電荷密度分布Aを算出した結果を表1に示す。
それぞれの複写試験において、初期的な時期(1〜10枚目)と、帯電量のピークを迎える時期(3,000枚目)と、維持性の確認のための長期使用の時期(100,000枚目)とについて、以下の方法、基準で画質評価を行った。その結果を表1に示す。
(現像性の評価方法)
W1を、以下の基準で評価した。なお、許容できるのは△までである。
○:W1が4.5g/m以上6.5g/m未満
△:W1が4.0g/m以上4.5g/m未満
×:W1が4.0g/m未満または6.5g/m以上
(背景部カブリの評価方法)
G1(ほとんど目視できない)、G2(目視は可能だが背景部汚れとしては認識できないレベル)、G3(背景部汚れとして認識できるレベル)、G4(著しい背景部汚れとして認識できるレベル)として、背景部のカブリを目視により評価した。なお、許容できるのはG2までである。
(機内汚染の評価方法)
現像機上部にOHPシートを貼り付け、そこに堆積したトナーの濃度を画像濃度計(X−Rite404A、X−Rite社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:OHP上トナーの濃度0.02未満
×:OHP上トナーの濃度0.02以上
(30℃/80%RH環境下60時間放置後のトナーの表面電荷密度分布の測定)
また、現像剤を30℃/80%RHの環境室に24時間放置後、その環境で同様に上記のテストを行った。最初に10枚ずつ複写を行った後にスリーブ上から現像剤を採取したものを60時間その環境室に放置した後に、E−Spart Analyzerにて粒径と帯電量を測定し、上記式(1)で示す表面電荷密度分布A’を算出した結果を表1に示す。
Figure 2010049140
表1の結果から、実施例1〜3の現像剤によって、低温定着が可能であり、電荷漏洩などに起因するカブリ、画像ムラなどの画像欠陥に関する問題を抑制することができた。また、機内汚染や転写ムラのほとんどない安定した高画質画像を長期にわたって得ることができた。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 画像形成装置、10 帯電部、12 露光部、14 電子写真感光体、16 現像部、18 転写部、20 クリーニング部、22 定着部、24 被転写体。

Claims (3)

  1. 結晶性樹脂および着色剤を含み、TiO(OH)とシラン化合物との反応によって得られるチタン化合物を表面に有する静電荷像現像用トナーと、
    芯材粒子と、前記芯材粒子表面を被覆し、含窒素系硬化樹脂を含む第一樹脂被覆層と、前記第一樹脂被覆層を被覆し、含窒素系熱可塑性樹脂および導電性粉末を含む第二樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアと、
    を含有することを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  2. 請求項1に記載の静電荷像現像用現像剤であって、
    下記式(1)で示される前記静電荷像現像用トナーの表面電荷密度分布Aが、3.5db以上であることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
    A=10×Log(m/σ) (1)
    (式(1)中、mは、トナーの表面電荷密度平均値、σは、トナーの表面電荷密度標準偏差である。)
  3. 像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含み、
    前記現像剤は、請求項1または2に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
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