JP2010049116A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真プロセス、静電記録プロセス等において、定着画像の着色性及び隠蔽性に優れ、画像の高画質化を図ることができるトナー粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、結着用樹脂からなる樹脂粒子が分散媒に分散されてなる樹脂分散液と、着色剤が分散媒に分散されてなる着色剤分散液とを混合し、上記結着用樹脂粒子及び上記着色剤の凝集物を得る混合工程と、上記凝集物を、上記結着用樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱し、上記着色剤の複数が、上記樹脂粒子により形成された結着樹脂部を介して接合されてなるトナー粒子を得る加熱工程と、を備えるトナー粒子の製造方法であって、上記着色剤は、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空隙が形成されている顔料複合化中空粒子であることを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置(画像形成装置)等に利用し得るトナー粒子の製造方法に関する。
電子写真プロセス等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、各種の分野で広く利用されている。この電子写真プロセスにおいては、帯電工程、露光工程等を経て、電子写真用感光体(静電潜像担持体、以下、「感光体」という場合がある)表面の静電潜像を、トナー粒子を含む静電潜像現像用トナーにより現像し、更に、転写工程、定着工程等を経ることにより、前記静電潜像が可視化される。
トナー粒子の製造方法としては、混練粉砕法や、樹脂粒子及び着色剤粒子を用いて、トナー粒子の粒径に相当する凝集粒子を形成し、その後、加熱することによって凝集粒子を融合する、乳化重合粒子凝集法等が知られている。特許文献1には、乳化重合粒子凝集法によるトナー粒子の製造方法、即ち、樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する第1工程、この凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程、及び、この付着粒子を加熱し融合する第3工程を含む製造方法が開示されている。
特開平10−26842号公報
混練粉砕法は、得られるトナー粒子の粒度分布が比較的広くなりやすく、また、その形状が不定形であるため、電子写真特性及び静電記録特性が不安定となる場合があった。また、特許文献1に開示された方法においては、着色剤微粒子は、無機顔料や有機顔料からなる粒子をそのまま用いているため、電子写真プロセス、静電記録プロセス等において、定着画像の着色性及び隠蔽性が未だ十分ではない場合があった。
本発明の目的は、電子写真プロセス、静電記録プロセス等において、定着画像の着色性及び隠蔽性に優れ、画像の高画質化を図ることができるトナー粒子の製造方法を提供することである。
本発明は以下の通りである。
1.結着用樹脂からなる樹脂粒子が分散媒に分散されてなる樹脂分散液と、着色剤が分散媒に分散されてなる着色剤分散液とを混合し、上記樹脂粒子及び上記着色剤の凝集物を得る混合工程と、
上記凝集物を、上記結着用樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱し、上記着色剤の複数が、上記樹脂粒子により形成された結着樹脂部を介して接合されてなるトナー粒子を得る加熱工程と、
を備えるトナー粒子の製造方法であって、
上記着色剤は、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空隙が形成されている顔料複合化中空粒子であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
2.上記顔料複合化中空粒子の平均粒子径が20nm〜100μmである上記1に記載のトナー粒子の製造方法。
3.上記顔料複合化中空粒子に含まれる上記顔料粒子の含有量が、上記重合体相を構成する重合体を100質量部とした場合に、3〜80質量部である上記1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
4.上記顔料複合化中空粒子の空隙が占める体積の総量の割合が、該顔料複合化中空粒子全体の体積を100体積%とした場合に、5〜90体積%である上記1乃至3のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
5.上記顔料複合化中空粒子を構成する重合体のガラス転移点が、上記結着用樹脂のガラス転移点よりも高い上記1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
本発明のトナー粒子の製造方法によれば、電子写真プロセス、静電記録プロセス等において、定着画像の着色性及び隠蔽性に優れ、画像の高画質化を図ることができるトナー粒子を効率よく製造することができる。本発明により製造されるトナー粒子は、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の、電子写真プロセスを利用した電子写真装置(画像形成装置)に利用されて、優れた着色性及び隠蔽性を与える。
上記顔料複合化中空粒子を構成する重合体のガラス転移点が、上記結着用樹脂のガラス転移点よりも高い場合には、所望の粒子径を有するトナー粒子を効率よく製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
本発明のトナー粒子の製造方法は、結着用樹脂からなる樹脂粒子が分散媒に分散されてなる樹脂分散液と、着色剤が分散媒に分散されてなる着色剤分散液とを混合し、上記結着用樹脂粒子及び上記着色剤の凝集物を得る混合工程と、上記凝集物を、上記結着用樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱し、上記着色剤の複数が、上記樹脂粒子により形成された結着樹脂部を介して接合されてなるトナー粒子を得る加熱工程と、を備えるトナー粒子の製造方法であって、上記着色剤は、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空隙が形成されている顔料複合化中空粒子であることを特徴とする。
本発明の製造方法において、混合工程は、結着用樹脂からなる樹脂粒子(結着用樹脂粒子)が分散媒に分散されてなる樹脂分散液と、着色剤が分散媒に分散されてなる着色剤分散液とを混合し、上記結着用樹脂粒子及び上記着色剤の凝集物を得る工程である。
上記樹脂分散液は、結着用樹脂粒子が分散媒に分散されてなる液である。この分散媒は、好ましくは水系媒体であり、この水系媒体は、水のみであってよいし、水と有機溶剤との混合媒体であってもよい。後者の場合、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独であってよいし、2つ以上の組み合わせであってもよい。
上記結着用樹脂粒子を構成する結着用樹脂としては、従来、トナー粒子を構成する結着樹脂又はその前駆体として公知の樹脂を用いることができ、例えば、スチレン及びその置換体である芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を含むスチレン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂(以下、単に「アクリル系樹脂」という);ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリオレフィン系樹脂;シリコーン樹脂;フラン樹脂;キシレン樹脂;エポキシ樹脂;エポキシポリオール樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリビニルブチラール;ロジン(変性ロジンを含む);テルペン樹脂;脂肪族炭化水素樹脂;脂環族炭化水素樹脂;芳香族系石油樹脂;パラフィン(塩素化パラフィンを含む)等が挙げられる。これらは、単独で又は組み合わされていてもよい。また、これらの樹脂は、架橋構造を備えてもよい。上記樹脂のうち、電子写真用又は静電記録用トナー粒子として用いる際の、帯電安定性、現像耐久性等の観点から、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。
上記スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を、全構造単位に対して好ましくは50質量%を超えて含む樹脂である。従って、このスチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位のみからなる樹脂であってよいし、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位と、他の単量体に由来する構造単位とからなる樹脂であってもよい。他の単量体としては、シアン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸エステル系単量体;カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物基等の酸性基を含むエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和酸」という)等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位を、全構造単位に対して好ましくは50質量%を超えて含む樹脂である。従って、このアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位のみからなる樹脂であってよいし、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位と、他の単量体に由来する構造単位とからなる樹脂であってもよい。他の単量体としては、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和酸等が挙げられる。
上記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンや、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の他、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シアノ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることができる。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。
シアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。
上記不飽和酸のうち、カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アコニット酸、アトロパ酸、アリルマロン酸、アンゲリカ酸、イソクロトン酸、イタコン酸、10−ウンデセン酸、エライジン酸、エルカ酸、オレイン酸、オルト−カルボキシケイ皮酸、クロトン酸、クロロアクリル酸、クロロイソクロトン酸、クロロクロトン酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、ケイ皮酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シトラコン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ジヒドロキシケイ皮酸、チグリン酸、ニトロケイ皮酸、ビニル酢酸、フェニルケイ皮酸、4−フェニル−3−ブテン酸、フェルラ酸、フマル酸、ブラシジン酸、2−(2−フリル)アクリル酸、ブロモケイ皮酸、ブロモフマル酸、ブロモマレイン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンゾイルアクリル酸、4−ペンテン酸、マレイン酸、メサコン酸、メチルケイ皮酸、メトキシケイ皮酸等が挙げられる。
上記不飽和酸のうち、スルホン酸基を有する不飽和酸としては、ビニルスルホン酸;アリルスルホン酸;メタリルスルホン酸;スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等のビニル芳香族系モノスルホン酸化合物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメタンスルホン酸、メタクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、メタクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−ドデシルスルホン酸、2−メタクリルアミド−ドデシルスルホン酸、2−アクリルアミド−2,6−ジメチル−3−ヘプタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2,6−ジメチル−3−ヘプタンスルホン酸、p−アクリルアミドメチルベンゼンスルホン酸、p−メタクリルアミドメチルベンゼンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミドスルホン酸類;3−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドスルホン酸類;スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホブチルアクリレート、スルホブチルメタクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート類;3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸、ビニルフェニルメタンスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸等が挙げられる。
上記不飽和酸のうち、酸無水物基を有する不飽和酸としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
上記結着用樹脂は、前述のように、架橋構造を有してもよく、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂の場合には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等の、分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能単量体に由来する架橋構造を備えることができる。
上記結着用樹脂が、スチレン系樹脂又はアクリル系樹脂の場合、その重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、更に好ましくは6,000〜200,000である。このMwが上記範囲にある場合には、電子写真特性及び静電記録特性に優れたトナー粒子を得ることができる。
上記ポリエステル系樹脂は、分子の主鎖中にエステル結合を有する樹脂であれば、特に限定されず、飽和ポリエステル樹脂であってよいし、不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。また、これらを組み合わせて用いることもできる。更に、上記ポリエステル系樹脂は、結晶性樹脂であってよいし、非晶性樹脂であってもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、例えば、2以上のカルボキシル基を有するカルボン酸成分と、2以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシ成分との重縮合等により得られた樹脂を用いることができる。
上記カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸等)、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等の炭素数8〜16程度の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体等、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸等の炭素数8〜12程度の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体等、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体等のジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等のトリカルボン酸等が挙げられる。
尚、上記誘導体には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステル等の低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライド等の酸ハライド等が含まれる。
これらカルボン酸成分は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ヒドロキシ成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜12程度のアルキレンジオール等の脂肪族アルキレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環族ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールAに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した付加体(ジエトキシ化ビスフェノールA等)等の芳香族ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレングリコール等のジヒドロキシ成分;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3つ以上のヒドロキシル基を有する成分が挙げられる。
上記ヒドロキシ成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記カルボン酸成分と、上記ヒドロキシ成分との重縮合により得られるポリエステル系樹脂は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を有してもよい。これらの官能基を有する極性型ポリエステル系樹脂を用いると、トナー粒子の製造時に離型剤を併用した場合に、離型剤のトナー粒子内への内包化を促進することができる。
上記結着用樹脂のガラス転移点(以下、「Tg1(℃)」ともいう)は、好ましくは20℃〜100℃、より好ましくは30℃〜90℃であり、更に好ましくは35℃〜85℃である。上記ガラス転移点を有する結着用樹脂からなる樹脂粒子を用いると、トナー粒子の保存性及び印刷定着性に優れる。尚、上記ガラス転移点は、示差走査熱量計により測定することができる。
また、上記結着用樹脂粒子の数平均粒子径は、通常、500nm以下であり、好ましくは20〜400nm、より好ましくは30〜300nmである。この平均粒子径が大きすぎると、最終的に得られるトナー粒子の粒径分布が広くなる不具合、電子写真特性又は静電記録特性の低下等が発生する場合がある。一方、上記数平均粒子径を有する結着用樹脂粒子を用いると、粒径分布の狭いトナー粒子が得られ、電子写真特性又は静電記録特性のバラツキが抑制される。尚、上記数平均粒子径は、光散乱法を適用した粒子径測定装置等により測定することができる。
上記樹脂分散液は、結着用樹脂粒子が分散媒に分散されてなる液であり、上記樹脂分散液における結着用樹脂粒子の含有量は、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは25〜50質量%である。この結着用樹脂粒子が上記含有量で含まれる樹脂分散液を用いると、粒径分布の狭いトナー粒子が得られ、電子写真特性又は静電記録特性のバラツキが抑制される。
上記樹脂分散液は、結着用樹脂粒子及び分散媒からなる液であってよいし、これらと、更に他の成分とを含む液であってもよい。他の成分としては、分散剤や、従来、トナー粒子の構成成分として公知の帯電制御剤、離型剤等が挙げられる。
分散剤は、好ましくは、分散媒中において結着用樹脂粒子の凝集を抑制し、均一に分散させる作用を有するものである。この分散剤は、特に限定されず、単一物質であってよいし、2種以上の物質からなる混合物であってもよい。後者の場合、例えば、水系媒体に溶解又は分散されてなる液体組成物を用いることができる。
尚、上記結着用樹脂粒子が、乳化重合等により製造されたものである場合には、得られたエマルションをそのまま樹脂分散液として用いることができる。
上記分散剤の構成成分は、有機化合物及び無機化合物のいずれでもよく、これらの組合せであってもよい。
有機化合物としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、常温で固体の水性ポリマー等を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼントリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記非イオン性界面活性剤を用いる場合には、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用することが好ましい。
常温で固体の水性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系化合物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記分散剤が無機化合物を含む場合、この無機化合物としては、難水溶性で親水性の微粉末であることが好ましく、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、チタニア、ハイドロキシアパタイト等からなるものが挙げられる。
尚、無機化合物を含む分散剤を調製する場合、例えば、リン酸ナトリウム水溶液及び塩化カルシウム水溶液を十分に撹拌することにより、リン酸三カルシウムを含む分散剤を調製することができる。
上記分散剤(媒体を除く純分)の使用量は、上記樹脂分散液中におけるその含有量が、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜2質量%となるように選択される。
帯電制御剤としては、トナー粒子を負荷電性にする化合物、及び、トナー粒子を正荷電性にする化合物、のいずれを用いてもよい。
トナー粒子を負荷電性にする化合物としては、通常、有機金属化合物、キレート化合物等が用いられ、例えば、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物又はそのエステル、ビスフェノール等のフェノール誘導体等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー粒子を正荷電性にする化合物としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩並びにこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記帯電制御剤は、上記樹脂分散液に配合せずに、別途、帯電制御剤分散液を調製し、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液の混合の際に併用し、凝集物に含有させることができる。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記離型剤の使用量は、上記樹脂分散液中におけるその含有量が、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%となるように選択される。
尚、上記離型剤は、上記樹脂分散液に配合せずに、別途、離型剤分散液を調製し、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液の混合の際に併用し、凝集物に含有させることができる。この離型剤分散液は、離型剤を、水系媒体中で、離型剤の融点以上に加熱しながら撹拌、又は、強い剪断を付与できるホモジナイザー、圧力吐出型分散機等を用いて調製されたものとすることができる。尚、この離型剤分散液の調製に際しては、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質等を用いてもよい。
一方、上記着色剤分散液は、着色剤が分散媒に分散されてなる液である。この分散媒は、好ましくは水系媒体であり、この水系媒体は、水のみであってよいし、水と有機溶剤との混合媒体であってもよい。後者の場合、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独であってよいし、2つ以上の組み合わせであってもよい。上記着色剤分散液に含まれる分散媒は、上記樹脂分散液に含まれる分散媒と同じであってよいし、異なってもよい。
上記着色剤は、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つその内部に少なくとも1つの空隙が形成されている顔料複合化中空粒子(以下、「中空粒子」という場合がある)である。
上記重合体相を構成する重合体は、好ましくは、重合性を有する架橋性単量体に由来する構造単位(以下、「構造単位(a)」という。)、及び、重合性を有する水溶性単量体に由来する構造単位(以下、「構造単位(b)」という。)を含有する重合体であり、必要に応じて、他の構造単位(以下、「構造単位(c)」という。)を更に含有する重合体であってもよい。構造単位(a)及び(b)を含有することによって、重合体相の強度が向上し、中空粒子の割れや潰れを抑制することができる。
また、上記構造単位(a)を含有することによって、耐擦性がよく、潰れ難く、耐久性に優れる。このように耐久性に優れるため、中空粒子中の空隙が潰れ難くなる。
更に、上記構造単位(b)を含有することによって、中空粒子中における顔料粒子の分散性に優れる。
上記構造単位(a)を形成する、重合性を有する架橋性単量体(以下、「架橋性単量体」ともいう。)は、好ましくは多官能不飽和化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、トリエチレンジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレンジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、ジビルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。ジビルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いて形成された構造単位(a)によって、架橋点間分子量が短くなり、架橋密度が向上する。
上記重合体を構成する構造単位(a)の含有率は、上記重合体中の全構造単位を100質量%とした場合に、好ましくは3〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは7〜50質量%である。上記含有率が上記範囲内にあると、中空粒子の強度が向上するため、割れ又は潰れを抑制することができる。
上記構造単位(b)を形成する、重合性を有する水溶性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等の不飽和酸;ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレンスルホン酸の塩(Na塩)等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合体を構成する構造単位(b)の含有率は、上記重合体中の全構造単位を100質量%とした場合に、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは2〜7質量%である。上記含有率が0.5〜15.0質量%の場合は、重合体相に含まれる顔料粒子の分散性が優れる。
上記のように、上記重合体は、上記構造単位(a)及び上記構造単位(b)以外に、構造単位(c)を更に含有することができる。この構造単位(c)は、通常、重合性を有する架橋性単量体、及び、重合性を有する水溶性単量体に共重合可能な単量体(以下、「他の単量体」という。)に由来する構造単位である。
上記他の単量体は、好ましくはラジカル重合性を有する単量体である。例えば、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、アルコキシル基、シアノ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、非共役ジエン化合物、エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
アルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。
シアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
非共役ジエン化合物としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3−エチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2−ビニルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
その他、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系化合物;スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸;3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−メタクリロキシ−1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルフェニルメタンスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸等が挙げられる。
上記構造単位(c)の含有率は、上記重合体中の全構造単位を100質量%とした場合に、好ましくは15〜96.5質量%、より好ましくは30〜94質量%、更に好ましくは43〜95質量%である。上記含有率が15〜96.5質量%の場合は、重合反応の安定性に優れる。
上記単量体のうち、本発明における中空粒子の重合体相を形成する単量体のより好ましい組み合わせは、構造単位(a)を形成する単量体はジビニルベンゼンであり、構造単位(b)を形成する単量体は不飽和酸であり、構造単位(c)を形成する単量体は芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物である。これらの組み合わせであると、中空粒子の強度が向上し、トナー粒子中での分散性に優れる。
上記重合体のガラス転移点(以下、「Tg2(℃)」ともいう)は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは70℃〜150℃であり、更に好ましくは80℃〜140℃である。本発明においては、上記重合体のガラス転移点は、上記結着用樹脂粒子のガラス転移点Tg1(℃)よりも高いことが好ましい。両者の差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上である。上記重合体のガラス転移点Tg2(℃)と、上記結着用樹脂粒子のガラス転移点Tg1(℃)との間に上記関係があることにより、トナー粒子を重合する際の粒子径制御に優れる。
上記顔料粒子は、水及び有機溶剤に溶解しない有色化合物からなる粒子である。この有色化合物は、有機化合物(有機顔料)及び無機化合物(無機顔料)のいずれでもよい。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等が挙げられる。これらのうち、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料が好ましい。また、無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、カドミウムレッド、モリブデンオレンジ、黄色酸化鉄、黄鉛、チタンイエロー、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトブルー、マンガンバイオレット等が挙げられる。
上記顔料粒子の数平均粒子径は、好ましくは1nm〜1μm、より好ましくは1nm〜500nm、更に好ましくは5nm〜50nmである。上記顔料粒子の数平均粒子径が上記範囲にあると、上記重合体相における分散性に優れる。
上記中空粒子における上記顔料粒子の含有率は、上記重合体相を構成する重合体を100質量部とした場合に、好ましくは3〜80質量部、より好ましくは4〜75質量部、更に好ましくは5〜70質量部である。上記顔料粒子の含有率が上記範囲にある場合には、着色剤としての発色性に優れる。
上記中空粒子は、上記重合体及び上記顔料粒子を含む外壁(殻)を有し、その内部に少なくとも1つの空隙を有する複合粒子である。上記顔料粒子は、重合体相に均一に分散されており、この複合粒子自身で顔料粒子の色が反映された粒状体である。
上記中空粒子における空隙の形状は、特に限定されず、球体、楕円球体、多面体、直線体、曲線体、あるいは、これらの組み合わせ又は変形体等とすることができる。従って、上記空隙に面する内壁面も、種々の形態とすることができ、平滑な平面、曲面、凹凸面等とすることができる。
上記中空粒子における空隙の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。更に、複数の空隙が形成されている場合、連続していてもよい。
上記中空粒子の形態は、以下に例示される。
(1)1つの空隙のみを有する中空粒子。
(2)複数の空隙を有し、互いに孤立している中空粒子。
(3)複数の空隙を有し、互いに線状空間等で連通している中空粒子。
この態様(3)としては、内部に3次元網目状等の連通孔を有する中空粒子等が挙げられる。
上記着色剤(顔料複合化中空粒子)において、全ての空隙の体積の総量の割合、即ち、空隙率は、中空粒子全体(中空粒子の外形)の体積を100体積%とした場合に、好ましくは5〜90体積%、より好ましくは5〜70体積%、更に好ましくは7〜60体積%である。空隙率が上記範囲にあると、着色剤の機械的強度が優れる。
上記空隙率は、透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノジー社製)によって観察される粒子を任意に10個選択し、これらの粒子について、各長さの平均値を用いて、下記式(1)によって算出した値である。
[(空隙の総体積)/{4π(中空粒子の外径/2)/3}]×100 (1)
尚、上記空隙が1つのみであり、且つ、形状が球状体である場合には、上記空隙率は、下記式(2)により算出することができる。
{(空隙の内径)/(中空粒子の外径)}×100 (2)
上記中空粒子の外形形状は、特に限定されず、球体、楕円球体、多面体、あるいは、それらの変形体等とすることができる。また、上記着色剤の表面は、特に限定されず、平滑な曲面及び凹凸面等とすることができる。
上記中空粒子の平均粒子径は、好ましくは20nm〜100μmであり、より好ましくは30nm〜50μmであり、更に好ましくは50nm〜10μmである。尚、この平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により得られる観察視野中の100個の測定対象粒子における長径の平均値をいう。
上記中空粒子の外壁の表層部は、構造単位(a)を有することが好ましく、更に、構造単位(c)を有することが好ましい。これらの構造単位を表層部に有することにより、耐久性、及び、重合体相における分散性に優れる。
上記着色剤は、上記顔料粒子を含む重合体相を有すると共に、気体で満たされている空間が少なくとも1つ形成されている。この空間が形成されていることにより、中空粒子に入射した光は、中空粒子の表面及び空間を形成している内壁で散乱する。そのため、上記着色剤は、定着画像の隠蔽性に優れる。
上記着色剤分散液は、着色剤が分散媒に分散されてなる液であり、上記着色剤分散液における着色剤の含有量は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜45質量%である。この着色剤が上記含有量で含まれる樹脂分散液を用いると、粒径分布の狭いトナー粒子が得られ、電子写真特性又は静電記録特性のバラツキが抑制される。
また、上記樹脂分散液に含まれる結着用樹脂粒子、及び、上記着色剤分散液に含まれる着色剤の使用割合については、結着用樹脂粒子100質量部に対して、着色剤が、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは30〜100質量部である。上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液を上記割合で用いると、粒径分布の狭いトナー粒子が得られ、電子写真特性又は静電記録特性のバラツキが抑制される。
上記着色剤分散液は、着色剤及び分散媒からなる液であってよいし、他の成分を含む液であってもよい。他の成分としては、分散剤や、従来、トナー粒子の構成成分として公知の帯電制御剤、離型剤等が挙げられ、使用可能な成分は、上記樹脂分散液の場合と同様である。
上記分散剤(媒体を除く純分)の使用量は、上記着色剤分散液中におけるその含有量が、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%となるように選択される。
また、上記離型剤の使用量は、上記着色剤分散液中におけるその含有量が、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%となるように選択される。尚、上記離型剤が、上記樹脂分散液及び/又は上記着色剤分散液に配合される場合には、最終的に得られるトナー粒子に対する含有量が、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%となるように選択される。
上記着色剤の製造方法は、後述するが、上記着色剤、即ち、顔料複合化中空粒子が、乳化重合等により製造されたものである場合には、得られたエマルションをそのまま着色剤分散液として用いることができる。
本発明に係る混合工程は、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液を混合し、上記樹脂分散液に含まれた結着用樹脂粒子と、上記着色剤分散液に含まれた着色剤とを凝集させる工程である。尚、上記のように、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液は、帯電制御剤分散液、離型剤分散液等とともに混合することができる。
上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液の混合方法は、特に限定されず、公知の攪拌装置、例えば、ホモジナイザー、ミキサー等を用い、全量を一括で混合する方法、一方の攪拌下、他方を連続的、間欠的又は分割して供給して混合する方法等とすることができる。尚、混合は、通常、上記樹脂分散液に含まれた結着用樹脂粒子のガラス転移点Tg1(℃)より低い温度で行われる。
上記混合工程において、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液を混合する場合、別途、pHの変化等を利用した凝集剤を用いてもよい。
凝集剤としては、1価以上の電荷を有する化合物が好ましく、水溶性界面活性剤;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸;塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の有機酸の金属塩;ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩;トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。
また、上記混合工程において、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液を混合する場合、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液が、いずれもイオン性界面活性剤を含む分散液としておき、且つ、互いに反対極性のイオン性界面活性剤であるものとすれば、効率よく凝集物を形成することができる。
上記混合工程において得られる凝集物の数平均粒子径は、好ましくは100〜800nm、より好ましくは200〜700nmである。
また、上記凝集物の含有割合は、上記樹脂分散液及び上記着色剤分散液等の混合物全体に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
本発明のトナー粒子の製造方法では、上記混合工程において凝集物を得た後、加熱工程において、上記結着用樹脂のガラス転移点Tg1(℃)以上の温度に加熱する。加熱方法は、特に限定されないが、通常、上記凝集物を含む混合物を撹拌しながら加熱される。
加熱温度は、好ましくは、Tg1(℃)以上、上記結着用樹脂の分解温度以下であり、より好ましくは、Tg1(℃)以上100℃未満、更に好ましくはTg1(℃)以上(Tg1+20)℃未満である。上記範囲の温度であれば、一定温度であってよいし、昇温及び降温等を組み合わせてもよい。尚、常温から上記加熱温度までの昇温速度は、特に限定されない。
加熱の際の雰囲気は、好ましくは、窒素雰囲気である。
また、上記加熱温度における加熱時間は、上記凝集物を含む混合物の量及び構成に応じて、適宜、選択され、通常、0.2〜10時間である。
上記加熱温度における加熱が終了した後、混合物の温度をTg1(℃)未満の温度にまで降温し、上記凝集物に含まれた着色剤の複数が、上記凝集物に含まれた樹脂粒子の軟化又は融解により形成された結着樹脂部を介して接合されてなるトナー粒子が得られる。
尚、トナー粒子の形状は、通常、加熱後の降温速度によって変化する。例えば、降温速度が低速である場合には、粒子形状が不定形化し、粒子表面に凹凸が生じやすく、高速であれば、球形化、及び、表面を平滑化させることができる。従って、上記降温速度としては、0.5℃/分以上とすることが好ましい。
本発明においては、上記加熱工程の後、トナー粒子を単離、回収等するために、固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程等を備えることができる。
固液分離工程における具体的方法は、特に限定されないが、生産性の点から、吸引濾過法、加圧濾過法等が好ましい。
洗浄工程における具体的方法は、トナー粒子の帯電性の点から、イオン交換水を用いた置換洗浄を施すことが好ましい。
また、乾燥工程における具体的方法は、特に限定されないが、生産性の点から、凍結乾燥法、フラッシュジェット乾燥法、流動乾燥法、振動型流動乾燥法等が好ましい。
本発明により製造されたトナー粒子は、通常、結着樹脂からなる重合体相に、上記着色剤の複数が分散した構造を備える。上記トナー粒子に含まれる着色剤の含有量は、重合体の全量100質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部である。
また、上記トナー粒子中の着色剤は、上記加熱工程により、大きく変形することなく、通常、着色剤分散液に含まれたものと、ほぼ同じ形状及び大きさを有する。
本発明により製造されたトナー粒子の数平均粒子径は、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは3〜8μmである。上記数平均粒子径が上記範囲内にあると、トナー粒子の帯電性に優れ、画像の解像性に優れる。また、上記トナー粒子の粒径分布は狭く、シャープである。このように、本発明においては、粒子径が制御されたトナー粒子を製造することができる。
また、本発明により製造されたトナー粒子のBET比表面積は、好ましくは1.1〜3.5m/gであり、より好ましくは1.1〜3m/gであり、更に好ましくは1.1〜2.5m/gである。このBET比表面積が上記範囲内にあると、表面摩擦性が向上し、帯電立ち上がり性及び帯電性に優れる。
本発明により製造されたトナー粒子は、その流動性等を改良する目的で、外添剤とともに混合され、トナーを形成することができる。
外添剤としては、無機化合物からなるもの、及び、有機化合物からなるもの、のいずれでもよい。流動性を改良するための外添剤としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。これらは、通常、粒子の形態で用いられる。また、この粒子を構成する成分は、単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
上記外添剤の数平均粒子径は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは10〜500nmである。
また、上記外添剤の使用量としては、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
上記トナーは、一成分現像用トナーとして、又は、キャリアが混合されてなる二成分現像剤として用いることができる。
以下、着色剤分散液に含まれる着色剤の製造方法について、説明する。
上記着色剤の製造方法は、特に限定されないが、重合体相を構成している重合体が、重合性を有する架橋性単量体に由来する構造単位(a)と、重合性を有する水溶性単量体に由来する構造単位(b)とを含むことから、少なくともこれらの単量体を用いて製造される。
上記着色剤の好ましい製造方法は、顔料粒子と、非架橋性の疎水性単量体を主として含む単量体成分(i)と、水を含む水系媒体とを含有する水系分散体を調製する工程(以下、「第1工程」という)、重合開始剤の存在下、この水系分散体に含まれる単量体成分(i)を重合し、シード重合粒子を含むエマルションを製造する工程(以下、「第2工程」という)、及び、このエマルションに、重合性を有する架橋性単量体と、重合性を有する水溶性単量体とを含む単量体成分(ii)を添加し、その後、重合開始剤の存在下、単量体成分(ii)を重合する工程(以下、「第3工程」という)を、順次、備える方法である。この方法によれば、第3工程において、架橋性単量体がシード重合粒子に吸収された状態で単量体成分(ii)の重合が進行し、シード重合粒子の表面に、単量体成分(ii)に由来する構造単位を含む重合体層が形成され、その際、架橋性単量体の重合に伴って、シード重合粒子が収縮し、内部に空隙が形成される。
第1工程においては、顔料粒子と、単量体成分(i)と、水を含む水系媒体と、必要に応じて他の原料成分と、が用いられる。
上記水系媒体は、水を含む媒体であり、水のみであってよいし、水を含む混合物であってもよい。後者の場合、水の含有量の下限は、通常、80質量%であり、他の成分としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶剤等が挙げられる。
第1工程において用いられる単量体成分(i)は、非架橋性の疎水性単量体を主として、即ち、好ましくは50質量%以上含む。この疎水性単量体は、通常、上記重合体相を構成する他の構造単位(c)を形成する「他の単量体」が適用され、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、アルコキシル基、シアノ基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、非共役ジエン化合物、エポキシ基含有不飽和化合物等を用いることができる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記単量体成分(i)は、必要に応じて、重合性を有する架橋性単量体、重合性を有する水溶性単量体等を含んでもよい。
上記架橋性単量体及び上記水溶性単量体としては、上記重合体相を構成する構造単位(a)及び(b)を形成する「架橋性単量体」及び「水溶性単量体」を、それぞれ、適用することができる。
上記架橋性単量体の含有量は、上記単量体成分(i)を100質量%とした場合に、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
また、上記水溶性単量体の含有量は、上記単量体成分(i)を100質量%とした場合に、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、6質量%以下である。
上記第1工程において用いられる単量体成分(i)が上記構成であると、中空粒子を効率よく形成することができる。
上記単量体成分(i)の使用量は、上記水系媒体を100質量部とした場合に、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは8〜40質量部、更に好ましくは10〜35質量部である。上記使用量であると、重合反応の安定性に優れる。
上記第1工程においては、分散剤、乳化剤等を用いることができる。
分散剤としては、高級脂肪酸塩、ポリカルボン酸、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記分散剤の使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは3〜20質量部である。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を用いることができる。これらは、単独であるいは組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩又はリン酸エステル塩を、カチオン部分として、アミン塩又は第4級アンモニウム塩を有する化合物、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン型化合物;ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン等のアミノ酸型化合物等が挙げられる。
上記乳化剤の使用量は、上記単量体成分(i)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部、更に好ましくは0.3〜2.5質量部である。
上記水系分散体は、更に、重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒等を含有してもよい。
重合開始剤は、好ましくは油溶性重合開始剤であり、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、パーオキシ炭酸ジイソプロピル、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ハイドロパーオキサイド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸tert−ブチル、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド等の過酸化物;2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロへキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分(i)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは2.5〜20質量部である。
連鎖移動剤としては、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン化合物;臭化エチレン等のハロゲン系化合物等が挙げられる。この連鎖移動剤を用いると、第2工程により得られるシード重合粒子の分子量を小さくすることができ、第3工程において用いられる単量体成分(iii)を、シード重合粒子に吸収させやすくすることができる。
上記連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、上記単量体成分(i)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは2.5〜20質量部である。
尚、上記重合開始剤及び上記連鎖移動剤は、上記水系分散体の調製用原料として用いてよいし、第2工程において、単量体成分(i)の重合時に用いてもよい。
また、有機溶剤は、好ましくは疎水性化合物であり、トルエン、キシレン、メチルクロルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等が挙げられる。
上記有機溶剤を用いる場合、その使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、更に好ましくは3〜30質量部である。
上記水系分散体の調製方法は、特に限定されないが、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等)等の混合装置を用いることが好ましい。これらの装置のうち、強い剪断力を与えて顔料粒子の凝集単位を小さくし、分散性に優れた分散体を調製できることから、高圧ホモジナイザーが好ましい。この高圧ホモジナイザーを用いる場合、好ましい剪断力は、10MPa以上であり、より好ましくは30MPa以上である。
尚、水系分散体の調製に際しては、水系媒体と、他の全ての原料成分を一括して混合してよいし、水系媒体以外の原料成分を分割し、複数の水系分散体を調製する方法において、水系媒体の一部と、他の原料成分の一部とを混合して、複数の水系分散体を調製し、これらの水系分散体をまとめて混合してもよい。
上記により得られた水系分散体において、顔料粒子及び単量体成分(i)は、接触状態にあり、微細な液滴となって分散していることが好ましい。また、原料成分に、油溶性の重合開始剤、疎水性の有機溶剤が使用された場合、これらも、顔料粒子及び単量体成分(i)とともに、接触状態にあり、微細な液滴となって分散していることが好ましい。
第2工程は、重合開始剤の存在下、上記水系分散体に含まれる単量体成分(i)を重合し、シード重合粒子を含むエマルションを製造する工程である。
上記第2工程においては、通常、水系分散体を撹拌しながら、単量体成分(i)が重合される。これにより、水を含む水系媒体に、単量体成分(i)により形成された重合体の中に顔料粒子が分散されてなる複合粒子、即ち、シード重合粒子を含むエマルションを得る。重合温度は、重合開始剤の種類により選択されるが、通常、20℃〜90℃、好ましくは30℃〜85℃である。また、重合時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。
上記シード重合粒子は、球体、楕円球体等の形状を有する粒状体であり、その数平均粒子径は、好ましくは10nm〜99μm、より好ましくは30nm〜50μm、更に好ましくは50nm〜10μmである。上記数平均粒子径が大きすぎると、最終的に得られるトナー用着色剤における中空(空間部)が安定して形成されない場合がある。
また、上記シード重合粒子に含まれる重合体の重量平均分子量は、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは10,000以下である。この重量平均分子量が大きすぎると、最終的に得られるトナー用着色剤における中空(空間部)が安定して形成されない場合がある。
次に、第3工程は、上記第2工程により得られたエマルションに、重合性を有する架橋性単量体と、重合性を有する水溶性単量体とを含む単量体成分(ii)を添加し、その後、重合開始剤の存在下、単量体成分(ii)を重合する工程である。
第3工程において用いられる単量体成分(ii)は、重合性を有する架橋性単量体と、重合性を有する水溶性単量体とを含み、必要に応じて、更に、これらの単量体と共重合可能な単量体(通常、非架橋性の疎水性単量体である)を含んでもよい。上記の各単量体は、上記着色剤に含まれる上記重合体相を構成する構造単位(a)、(b)及び(c)を形成する各化合物を適用することができる。
上記架橋性単量体を用いることで、上記エマルションに含まれるシード重合粒子を膨潤させることができ、第3工程における重合の進行に伴って形状を収縮させ、内部に空隙を形成させやすくすることができる。
上記架橋性単量体の含有量は、上記単量体成分(ii)を100質量%とした場合に、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。上記範囲で架橋性単量体を用いると、安定した重合を進めつつ、中空粒子を効率よく形成することができる。
また、上記水溶性単量体の含有量は、上記単量体成分(ii)を100質量%とした場合に、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。上記範囲で水溶性単量体を用いると、反応系の粘度を異常上昇させることなく、安定した重合を進めつつ、中空粒子を効率よく形成することができる。
上記単量体成分(ii)の使用量は、上記エマルションに含まれるシード重合粒子を100質量部とした場合に、好ましくは100〜10,000質量部、より好ましくは200〜8,000質量部、更に好ましくは30〜5,000質量部である。上記範囲で単量体成分(ii)を用いると、安定した重合を進めつつ、中空粒子を効率よく形成することができる。
上記第3工程においては、通常、重合開始剤が用いられ、この重合開始剤は、油溶性重合開始剤及び水溶性重合開始剤のいずれでもよい。また、これらを併用してもよいが、空隙率の高い空間部(中空)を有する中空粒子を製造できることから、水溶性重合開始剤を用いることが好ましい。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、ビスコハク酸パーオキサイド、ビスグルタル酸パーオキサイド等が挙げられる。また、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等からなる酸化剤、及び、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の二価の鉄塩;N,N−ジメチルアニリン、フェニルモルホリン等のアミン化合物;ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅等のナフテン酸金属塩等からなる還元剤の組み合わせであるレドックス系重合開始剤を用いることもできる。
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分(ii)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.07〜5質量部、更に好ましくは0.1〜4質量部である。
上記第3工程における反応系は、連鎖移動剤(分子量調節剤)を含有してもよい。
上記第3工程においては、通常、重合開始剤を含む反応系を、撹拌しながら、単量体成分(ii)が重合される。重合が進行するにつれて、単量体成分(ii)により膨潤したシード重合粒子が収縮し、その内部に空間部(中空)を形成し、同時に、シード重合粒子の表面に単量体成分(ii)による重合体が包囲形成され、重合体及び顔料粒子を含む外壁と、その内部に少なくとも1つの空間部とを有する、上記着色剤を含むエマルションを得ることができる。重合温度は、重合開始剤の種類により選択されるが、通常、20℃〜90℃、好ましくは30℃〜85℃である。また、重合時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。
また、上記着色剤の好ましい他の製造方法は、顔料粒子と、重合性を有する架橋性単量体を含む単量体成分(iii)とを含む水系分散体を調製する工程(以下、「調製工程」という)、及び、この水系分散体において、水溶性重合開始剤の存在下、単量体成分(iii)を重合する工程(以下、「単量体成分重合工程」という)を、順次、備える方法である。この方法によれば、重合を、単量体成分重合工程における1回のみとして、上記着色剤が分散されて含まれるエマルションを得ることができる。
調製工程においては、顔料粒子と、単量体成分(iii)と、水を含む水系媒体と、必要に応じて他の原料成分と、が用いられる。
上記水系媒体は、水を含む媒体であり、水のみであってよいし、水を含む混合物であってもよい。後者の場合、水の含有量の下限は、通常、80質量%であり、他の成分としては、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶剤等が挙げられる。
上記単量体成分(iii)に含まれる架橋性単量体の含有量は、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。上記範囲で架橋性単量体を用いると、安定した重合を進めつつ、中空粒子を効率よく形成することができる。
上記単量体成分(iii)に含まれる他の単量体としては、上記における疎水性単量体及び水溶性単量体が挙げられる。水溶性単量体を用いる場合には、その使用量は、上記単量体成分(iii)に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。従って、残部は、疎水性単量体である。
上記調製工程においては、分散剤、乳化剤、水溶性重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶剤等を用いることができる。有機溶剤を用いると、空隙率の高い空間部(中空)を有する中空粒子の製造が容易となる。
上記分散剤の使用量は、上記顔料粒子100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは8〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。
また、上記乳化剤の使用量は、上記単量体成分(iii)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部、更に好ましくは0.25〜2.5質量部である。
尚、上記重合開始剤及び上記連鎖移動剤は、上記水系分散体の調製用原料として用いてよいし、単量体成分重合工程において、単量体成分(iii)の重合時に用いてもよい。
上記水系分散体の調製方法は、上記と同様とすることができる。
次に、単量体成分重合工程は、上記調製工程により得られた水系分散体において、水溶性重合開始剤の存在下、単量体成分(iii)を重合する工程である。
水溶性重合開始剤の使用量は、上記単量体成分(iii)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜4質量部である。
上記単量体成分重合工程における反応系は、連鎖移動剤(分子量調節剤)を含有してもよい。
上記単量体成分重合工程においては、反応系を撹拌しながら、単量体成分(iii)の重合を行い、上記着色剤を含むエマルションを得ることができる。重合温度は、重合開始剤の種類により選択されるが、通常、20℃〜90℃、好ましくは30℃〜85℃である。また、重合時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、合成例、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、合成例、実施例、比較例中の各種の測定は、下記の方法により行う。
[平均粒子径]
透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察される粒子の径のうち最も長い値を粒子径として測定し、観察視野中に存在する100個の粒子の上記粒子径の平均値を算出した。
[空隙が占める体積の総量の割合]
透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察される粒子を任意に10個選択し、これらの粒子における各長さの平均値を用いて、下記の式(1)によって「空隙が占める体積の総量の割合」を算出した。
式(1):[(空隙の総体積)/{4π(粒子の外径/2)/3}]×100
(ここで、例えば、粒子内部の空隙が1つの場合、{(空隙の内径)/(粒子の外径)}×100により算出した。)
[体積平均粒子径]
粒度分布測定装置「コールターカウンター・マルチサイザーII」(ベックマン−コールター社製)により測定した。(1)電解液として、「ISOTPN−II」(ベックマン−コールター社製)を使用し、(2)分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加え、これを上記電解液100ml中に添加し、分析した。
1.結着用樹脂粒子分散液の調製
スチレン296部と、アクリル酸n−ブチル104部と、アクリル酸6部と、ドデカンチオール10部と、アジピン酸ジビニル1.6部とを混合して得られた混合物を、非イオン性界面活性剤(商品名「ノニポール400」、三洋化成工業社製)12部及びアニオン性界面活性剤(商品名「ネオゲンSC」、第一工業製薬社製)8部をイオン交換水550部に溶解させてなる水溶液に加えて、フラスコ中で分散、乳化させ、10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬工業社製)8部をイオン交換水61部に溶解させてなる水溶液を投入し、フラスコ内の窒素置換を0.1リットル/分で20分行った。その後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、乳化重合を5時間行った。これにより、数平均粒子径が200nm、固形分濃度が41%となる結着用樹脂粒子分散液を調製した。その分散液の一部を100℃のオーブン内に放置して、媒体を除去して結着用樹脂粒子を回収し、DSC(示差走査型熱量)測定を実施したところ、ガラス転移点は53℃であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は30,000であった。
2.着色剤分散液の調製
調製例1(黒色着色剤分散液1の調製)
スチレン30部及びn−ブチルアクリレート10部からなる単量体成分(i)と、tert−ドデシルメルカプタン3部と、顔料としてカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学社製)50部とを攪拌機で混合した後、10%ポリビニルアルコール水溶液(「ゴーセノールGL03」、日本合成化学社製)100部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10%水溶液10部と、蒸留水280部とを添加し、攪拌機としてホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて混合分散して第1エマルジョンを得た。その後、得られた第1エマルジョンを高圧ホモジナイザー(「マイクロフルイダイザーM110Y」、みづほ工業社製)を用いて70MPaの圧力で乳化分散して乳化分散液を得た。この乳化分散液をセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら窒素置換した後、油溶性開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)5部を加え、75℃で4時間重合を行い、シード粒子を含有する第2エマルジョンを得た(重合転化率98.4%)。得られた第2エマルジョンの固形分濃度は、20%に調整した。
得られた第2エマルジョン中のシード粒子を透過型電子顕微鏡(「H−7650」、日立ハイテクノロジーズ社製)にて観察したところ、平均粒子径が160nmであった。また、得られたシード粒子は、内部に空隙が形成されていない、いわゆる密実の粒子であった。
上記により得られたシード粒子を含む第2エマルジョン200部と、メチルメタクレート42部、ジビニルベンゼン30部、n−ブチルアクリレート6部及びアクリル酸2部からなる単量体成分(ii)と、蒸留水300部とを混合し、攪拌機で混合分散して分散液を得た。その後、高圧ホモジナイザー(「マイクロフルイダイザーM110Y」、みづほ工業社製)を用いて、70MPaの圧力で乳化分散して乳化分散液を得た。この乳化分散液をセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら窒素置換した。次いで、水溶性開始剤として過硫酸カリウム3%水溶液20部を加え、75℃で4時間重合を行い、粒子が分散した分散体を得た。
得られた分散体中の粒子を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径が235nmであり、内径が130nmの1つの空隙を有する顔料複合化中空粒子であることを確認した。また、顔料複合化中空粒子の空隙が占める体積の総量の割合は16.9%であった。その後、上記により得られた顔料複合化中空粒子の分散体をろ過、洗浄及び乾燥して顔料複合化中空粒子(黒色着色剤)を単離した。
次に、黒色着色剤100部と、アニオン性界面活性剤(商品名「ネオゲンSC」、第一工業製薬社製)10部と、イオン交換水390部とを、ホモジナイザー(「ウルトラタラックス」、IKA社製)を用いて10分間分散し、黒色着色剤分散液1を調製した。
調製例2(黄色着色剤分散液2の調製)
カーボンブラックに代えて、ジスアゾ縮合系顔料であるC.I.ピグメントイエロー93(商品名「クロモファインイエロー 5930」、大日精化社製)を用いた以外は、調製例1と同様にして、黄色着色剤分散液2を調製した。
調製例3(赤色着色剤分散液3の調製)
カーボンブラックに代えて、ペリレン系顔料であるC.I.ピグメントレッド178(商品名「Paliogen Red K4180」、BASF社製)を用いた以外は、調製例1と同様にして、赤色着色剤分散液3を調製した。
調製例4(青色着色剤分散液4の調製)
カーボンブラックに代えて、フタロシアニン系顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(商品名「Blue 4GNP」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は、調製例1と同様にして、青色着色剤分散液4を調製した。
調製例5(黒色着色剤分散液5の調製)
顔料としてカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学社製)5部、ポリビニアルコール10%水溶液(商品名「ゴーセノールGL03」、日本合成化学社製)10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10%水溶液1部及び蒸留水150部を、攪拌機としてホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散して、顔料を水に分散させた黒色着色剤分散液5を調製した。
調製例6(黄色着色剤分散液6の調製)
カーボンブラックに代えて、上記C.I.ピグメントイエロー93(商品名「クロモファインイエロー 5930」、大日精化社製)を用いた以外は、調製例5と同様にして、黄色着色剤分散液6を調製した。
調製例7(赤色着色剤分散液7の調製)
カーボンブラックに代えて、上記C.I.ピグメントレッド178(商品名「Paliogen Red K4180」、BASF社製)を用いた以外は、調製例5と同様にして、赤色着色剤分散液7を調製した。
調製例8(青色着色剤分散液8の調製)
カーボンブラックに代えて、上記C.I.ピグメントブルー15:3(商品名「Blue 4GNP」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は、調製例5と同様にして、青色着色剤分散液8を調製した。
3.離型剤分散液の調製
パラフィンワックス(商品名「HNP−9」、日本精蝋社製)100部と、アニオン界面活性剤(商品名「リパール860K」、ライオン社製)10部と、イオン交換水290部とを混合した後、ホモジナイザー(商品名「ウルトラタラックス」、IKA社製)を用いて分散した。次いで、圧力吐出型ホモジナイザーにより分散処理して、平均粒子径が200nmである離型剤粒子(パラフィンワックス)が分散されてなる離型剤分散液を得た。
4.トナー粒子の製造
実施例1
結着樹脂粒子分散液320部と、黒色着色剤分散液1を80部と、離型剤分散液96部と、硫酸アルミニウム1.5部と、イオン交換水1,270部とを温度調節用ジャケット付き丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(商品名「ウルトラタラックスT50」、IKA社製)を用いて、5,000rpmで5分間分散させた。その後、フラスコに移動し、4枚パドルを有する撹拌機を用いて、25℃で20分間撹拌した。次いで、マントルヒーターを用いて、昇温速度1℃/分で液温が48℃になるまで撹拌しながら加熱し、48℃で20分間保持した。そして、追加分の結着樹脂粒子分散液80部を緩やかに添加し、48℃で30分間保持し、結着樹脂粒子及び着色剤を含む凝集物を含有する分散体を得た(混合工程)。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを6.5に調整した。
次に、上記分散体を、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、30分間保持した(加熱工程)。その後、0.1N硝酸水溶液を用いて、pHを4.8に調整し、95℃で2時間放置した。そして、更に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを6.5に調整し95℃で5時間放置した。次いで、降温速度5℃/分で30℃まで冷却し、含水粒子を含む分散液を得た。
その後、この含水粒子分散液をろ過し、(A)含水粒子に35℃のイオン交換水2,000部を添加し、(B)20分撹拌放置し、(C)その後ろ過した。(A)から(C)までの操作を5回繰り返した後、ろ紙上の含水粒子を真空乾燥機に移し、45℃、1,000Pa以下で10時間乾燥した。尚、1,000Pa以下としたのは、前述の粒子は含水状態であるため、乾燥初期においては、45℃でおいても水分が凍結し、その後、該水分が昇華し、減圧時の乾燥機の内部圧力が一定にならないためである。ただし、乾燥終了時には、100Paで安定した。そして、乾燥機の内部圧力を常圧に戻し、数平均粒子径が5.8μmの黒色トナー粒子を得た。この黒色トナー粒子100部に対してシリカ外添剤(商品名「R972」、日本アエロシル社製)1.0部を添加して、ヘンシェルミキサーにて3,000rpm、5分間で混合し、黒色トナーを得た。
得られたトナーについて、以下に示す評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)発色性
トナーを充填した富士ゼロックス社製プリンタ「DocuPrint C3250」改造機を用いて、富士ゼロックス社製塗工紙「Ncolor157」(微塗工マット)に画像を出力し、画像濃度を測定した。画像の出力条件は、送り速度160mm/秒、定着温度180℃とした。画像濃度については、マクベス濃度計(型式「RD−19I」、サカタインクス社製)を用いて、画像のベタ部の光学濃度(OD値)を測定した。
発色性は、下記基準で判定した。
◎:OD値が2以上
○:OD値が1.5〜2
△:OD値が1〜1.5
×:OD値が1未満
(2)隠蔽性
トナーを充填した富士ゼロックス社製プリンタ「DocuPrint C3250」改造機を用いて、王子製紙社製「青色上質紙」及び「赤色上質紙」に画像を出力し、画像濃度を測定した。画像の出力条件は、送り速度160mm/秒、定着温度180℃とした。そして、画像のベタ部の色相を目視観察し、隠蔽性を下記基準で判定した。
○:「青色上質紙」又は「赤色上質紙」の色が見えなかった
△:「青色上質紙」又は「赤色上質紙」の色が僅かに確認できた
×:「青色上質紙」又は「赤色上質紙」の色が明確に確認できた
実施例2
黒色着色剤分散液1に代えて、黄色着色剤分散液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、数平均粒子径が6μmの黄色トナー粒子を得、その後、黄色トナーを得た。この黄色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
黒色着色剤分散液1に代えて、赤色着色剤分散液3を用いた以外は、実施例1と同様にして、数平均粒子径が5.9μmの赤色トナー粒子を得、その後、赤色トナーを得た。この赤色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
実施例4
黒色着色剤分散液1に代えて、青色着色剤分散液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、数平均粒子径が6.1μmの青色トナー粒子を得、その後、青色トナーを得た。この青色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
黒色着色剤分散液1に代えて、黒色着色剤分散液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、数平均粒子径が5.7μmの黒色トナー粒子を得、その後、黒色トナーを得た。この黒色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例2
黒色着色剤分散液5に代えて、黄色着色剤分散液6を用いた以外は、比較例1と同様にして、数平均粒子径が5.8μmの黄色トナー粒子を得、その後、黄色トナーを得た。この黄色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例3
黒色着色剤分散液5に代えて、赤色着色剤分散液7を用いた以外は、比較例1と同様にして、数平均粒子径が6μmの赤色トナー粒子を得、その後、赤色トナーを得た。この赤色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例4
黒色着色剤分散液5に代えて、青色着色剤分散液8を用いた以外は、比較例1と同様にして、数平均粒子径が5.8μmの青色トナー粒子を得、その後、青色トナーを得た。この青色トナーについて、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2010049116
本発明により製造されたトナー粒子は、電子写真法、静電記録法等において得られるフルカラー画像を形成する静電潜像現像用トナー等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 結着用樹脂からなる樹脂粒子が分散媒に分散されてなる樹脂分散液と、着色剤が分散媒に分散されてなる着色剤分散液とを混合し、上記樹脂粒子及び上記着色剤の凝集物を得る混合工程と、
    上記凝集物を、上記結着用樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱し、上記着色剤の複数が、上記樹脂粒子により形成された結着樹脂部を介して接合されてなるトナー粒子を得る加熱工程と、
    を備えるトナー粒子の製造方法であって、
    上記着色剤は、顔料粒子が重合体相に分散されてなり、且つ、その内部に少なくとも1つの空隙が形成されている顔料複合化中空粒子であることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 上記顔料複合化中空粒子の平均粒子径が20nm〜100μmである請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 上記顔料複合化中空粒子に含まれる上記顔料粒子の含有量が、上記重合体相を構成する重合体を100質量部とした場合に、3〜80質量部である請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 上記顔料複合化中空粒子の空隙が占める体積の総量の割合が、該顔料複合化中空粒子全体の体積を100体積%とした場合に、5〜90体積%である請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 上記顔料複合化中空粒子を構成する重合体のガラス転移点が、上記結着用樹脂のガラス転移点よりも高い請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
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