JP2010047879A - 工程紙、工程紙用原紙、工程紙の製造方法、および工程紙用原紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工程紙10は、基紙30の少なくとも片面に下塗り層32を介して剥離層22が設けられており、その剥離層22がシリコーンを含有する紙である。この下塗り層32は、カオリンと、第1バインダと、第2バインダとを含有している。第1バインダは、ポリビニルアルコールを含有している。第2バインダは、ポリビニルアルコールによって予め乳化されたアクリル重合体を含有している。第1バインダに含有されるポリビニルアルコールの配合比は、カオリン100重量部に対し0重量部を超え20重量部未満である。第2バインダに含有されるアクリル重合体の配合比は、カオリン100重量部に対し15重量部を超え35重量部以下である。
【選択図】図1
Description
図1に示したように、本実施形態にかかる工程紙10は、工程紙用原紙20と、剥離層22とを備える。工程紙用原紙20は、剥離層22を保持する紙である。剥離層22は、セラミック層40を保持し、かつ、セラミック層40を工程紙用原紙20から剥離する際にそれを容易にする層である。工程紙用原紙20は、基紙30と、下塗り層32とを備える。基紙30と下塗り層32との役割は、一般に広く知られている通りである。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返さない。ちなみに、本発明にかかる工程紙用原紙20は、図1に示すものとは異なる構成を備えていてもよい。たとえば、下塗り層32は、基紙30の表裏双方に形成されていてもよい。
本実施形態にかかる工程紙10の製造方法は、基紙抄造工程と、下塗り塗料調製工程と、下塗り層形成工程と、剥離層形成工程を備える。基紙抄造工程と、下塗り塗料調製工程と、下塗り層形成工程とは、本実施形態にかかる工程紙用原紙20の製造方法にも該当する。以下、その具体的な内容について説明する。
基紙抄造工程は、基紙30を製造する工程である。本実施形態においては、原料調製工程と、抄紙工程とを有する。原料調製工程は、基紙30の原料を調製する工程である。抄紙工程は、基紙30の原料から基紙30を漉く工程である。
下塗り塗料調製工程は、下塗り塗料を調製する工程である。その具体的な内容は実施例ごとに異なる。各実施例の具体的な内容は次の通りである。ちなみに、35重量部を超えるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンが添加する実施例は以下のうちに含まれていない。ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの重量部が35重量部を超えると、下塗り塗料の粘度が上昇しそれを塗工することが困難となるためである。
まず、100重量部のカオリン(商品名:ハイドラスパース/米国ヒューバー社製)を水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGL−03/日本合成化学社製)をその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、pH調整剤(本実施例においては蟻酸)をその水に加えて十分に攪拌する。pH調整剤は、水のpHが4.5になるまで加える。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョン(商品名:ニューコートPV−400改/新中村化学社製)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:SNコート289/サンノプコ社製)とを更に添加して混合する。これにより、下塗り塗料が完成する。なお、カオリンは顔料として用いられている。
ポリビニルアルコールの添加量を2重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、2重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。なお、下塗り塗料の調製に用いた原料のメーカおよび商品名は、実施例1と同様である。特に言及されている場合を除き、以下の説明においても同様である。
ポリビニルアルコールの添加量を10重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、10重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの添加量を25重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、25重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの添加量を35重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、35重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコールの添加量を2重量部とし、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの添加量を25重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、2重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、25重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコールの添加量を10重量部とし、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの添加量を35重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、10重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、35重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代えて別のメーカが製造したポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョン(商品名:サイビノールX−506−628E1/サイデン化学社製)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代えて実施例8にかかるものとは別のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョン(商品名:PV−303/新中村化学社製)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代えて実施例8,9にかかるものとは別のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョン(商品名:PV−400/新中村化学社製)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。なお、実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと本実施例に係るポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンとは、界面活性剤の有無が異なる。本実施例にかかるものには界面活性剤が含まれているが、実施例1にかかるものには界面活性剤が含まれていない。
下塗り層形成工程は、下塗り塗料調製工程において得られた下塗り塗料を基紙30に塗工し、それを乾燥させる工程である。これにより、下塗り層32が形成される。上述した説明や図1から明らかなように、本実施形態においては、基紙30の一方の面にその下塗り塗料を塗工する。本実施形態において、その下塗り塗料は、エアナイフコーターにて塗工される。本実施形態において、塗工量は、固形分に換算した量が15g/m2となる。もちろん、下塗り層形成工程の具体的内容は、これに限定されない。下塗り塗料が乾燥すると、工程紙用原紙20が完成する。
剥離層形成工程は、下塗り層形成工程において形成された下塗り層32の上にシリコーン溶液を塗工し、それを乾燥させる工程である。これにより、剥離層22が形成される。本実施形態において、剥離層形成工程は、次の工程を有する。まず第1の工程は、シリコーン溶液を調製する工程(シリコーン溶液調製工程)である。本実施形態において、シリコーン溶液は、5.8重量部の付加反応型シリコーンと、0.2重量部の白金触媒と、94重量部のトルエンとからなる。もちろん、シリコーン溶液の組成は、これに限定されない。また、シリコーン溶液の調製の具体的な方法は周知なのでここではその説明を繰り返さない。シリコーン溶液が調製されると、下塗り層32の上にそのシリコーン溶液を塗工する。シリコーン溶液は、メイヤーバーによって塗工される。本実施形態において、塗工量は、固形分に換算した量が1.0g/m2となる。もちろん、シリコーン溶液の塗工の具体的内容は、これに限定されない。シリコーン溶液の塗工が完了し、シリコーン溶液が乾燥すると、工程紙紙10が完成する。
比較のため、以下に説明する下塗り塗料を調製し、それらの下塗り塗料を用いて工程紙用原紙20を製造した。それらの下塗り塗料を用いたことを除けば、工程紙用原紙20の製造方法は上述したものと同様である。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコールの添加量を20重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、20重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
ポリビニルアルコールの添加量を10重量部とし、ポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンの添加量を15重量部とした以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、10重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、15重量部のポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代えスチレンブタジエンラテックス(商品名:L−7063/旭化成社製)を用いた以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のスチレンブタジエンラテックスと、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代え界面活性剤のみを乳化剤として使用したアクリル重合体エマルジョン(商品名:サイビノールX−504−311−E1/サイデン化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のアクリル重合体エマルジョン(上述したもの)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
次に述べる点以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。その点とは、実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代え、比較例5とは別のタイプの、界面活性剤のみを乳化剤として使用したアクリル重合体エマルジョン(商品名:サイビノールEK−81/サイデン化学社製)を用いた点である。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のアクリル重合体エマルジョン(上述したもの)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
次に述べる点以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。その点とは、実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代え、比較例5および6とは別のタイプの、界面活性剤のみを乳化剤として使用したアクリル重合体エマルジョン(商品名:サイビノールEK−55/サイデン化学社製)を用いた点である。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のアクリル重合体エマルジョン(上述したもの)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
次に述べる点以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。その点とは、実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代え、比較例5〜7とは別のタイプの、界面活性剤のみを乳化剤として使用したアクリル重合体エマルジョン(商品名:ボンコート5462K/大日本インキ化学工業社製)を用いた点である。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のアクリル重合体エマルジョン(上述したもの)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
次に述べる点以外は実施例1と同様にして下塗り塗料を得た。その点とは、実施例1におけるポリビニルアルコール保護コロイド型アクリル重合体エマルジョンに代え、比較例5〜8とは別のタイプの、界面活性剤のみを乳化剤として使用したアクリル重合体エマルジョン(商品名:ボンコートU−40/大日本インキ化学工業社製)を用いた点である。すなわち、まず、100重量部のカオリンを水に添加する。カオリンが添加されると、5重量部のポリビニルアルコールをその水に加える。ポリビニルアルコールが水に加えられると、水のpHが4.5になるまでその水に蟻酸を加えて十分に攪拌した。pHが調製された後、30重量部のアクリル重合体エマルジョン(上述したもの)と、0.5重量部のポリエチレンワックスエマルジョンとを更に添加して混合し、下塗り塗料を得た。
本実施形態においては、上述した実施例および比較例に基づいて製造された工程紙10を、密着性、剥離性、および繰り返し使用適性の観点から評価した。各評価の具体的な手順を以下に説明する。
剥離層22と下塗り層32との密着性について評価した。評価の方法は、剥離層22の表面にトルエンを2ml滴下し、10秒経過後にガーゼで拭き取った後に滴下部分を指で擦り、擦った箇所の剥離層22表面の状態を感応評価した。なお、剥離層22が脱落しているか否かは、剥離層22の光沢の度合いを目視により確認することにより容易に判別することができる。
アルミナ90重量部、アクリル酸エステル系接着剤10重量部、トルエン100重量部を組成とするセラミックシート形成用の塗料を調製した。このセラミックシート形成用の塗料を、上述した実施例および比較例に基づいて製造された工程紙10それぞれの剥離面に、乾燥後の厚みが400μmとなるようブレードナイフ方式にて塗工し、120℃にて乾燥させた。これにより、工程紙10それぞれの表面にセラミックシートが形成された。セラミックシートが形成された後、そのセラミックシートと工程紙10とを剥離し、その剥離性を感応評価した。剥離が軽く綺麗に剥離できたものを丸印とした。剥離が重く、綺麗に剥離できず、実用上問題のあるものをバツ印とした。
セラミックシートの剥離性を評価した後、評価が完了した工程紙10を、前述と同じ方法によるセラミックシートの形成に再度用いた。これを繰り返すことにより、工程紙10の繰り返し使用適性の評価を行った。この繰り返しは、工程紙10の剥離層22が崩れたり、欠落するなどして、セラミックシートの形成が困難になるまで実施した。なお、ここで説明する評価においては、繰り返し使用可能回数が10回を超えた合格レベルであると判断する。もちろん、繰り返し使用可能回数が何回であれば合格かということは任意に定め得ることである。ただし、上述したように、工程紙10は多くの場合において10回程度繰り返して用いられるものなので、10回以上繰り返して使用できる工程紙10は、セラミックシートの製造に利用できる程度の耐溶剤性を有すると判断できる。ちなみに、剥離層22と下塗り層32との密着性の評価及びセラミックシートの剥離性の評価の何れかが悪いものは、実用に供しえないと判断できるため、繰り返し使用適性の評価を行っていない。
上述した実施例および比較例に基づいて製造された工程紙10を、上述した手順に従って評価した。表1は、その評価結果の一覧表である。表1に基づいて、評価結果を具体的に説明する。なお、表1における「繰り返し使用適性」欄に記載された数字は、繰り返し使用可能回数を示す。
20 工程紙用原紙
22 剥離層
30 基紙
32 下塗り層
40 セラミック層
42 電極
Claims (5)
- 基紙の少なくとも片面に下塗り層を介して剥離層が設けられており、前記剥離層がシリコーンを含有し、
前記下塗り層が、
カオリンと、
第1バインダと、
第2バインダとを含有し、
前記第1バインダは、ポリビニルアルコールを含有し、
前記第2バインダは、ポリビニルアルコールによって予め乳化されたアクリル重合体を含有する工程紙において、
前記第1バインダに含有されるポリビニルアルコールの配合比は、前記カオリン100重量部に対し0重量部を超え20重量部未満であり、
前記第2バインダに含有される前記アクリル重合体の配合比は、前記カオリン100重量部に対し15重量部を超え35重量部以下であることを特徴とする、工程紙。 - 前記第1バインダの配合比は、前記カオリン100重量部に対し5重量部以上10重量部以下であり、
前記第2バインダの配合比は、前記カオリン100重量部に対し30重量部以上35重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の工程紙。 - 基紙の少なくとも片面に下塗り層が設けられ、
前記下塗り層が、
カオリンと、
第1バインダと、
第2バインダとを含有しており、
前記第1バインダは、ポリビニルアルコールを含有し、
前記第2バインダは、ポリビニルアルコールによって予め乳化されたアクリル重合体を含有し、
シリコーンを含有する剥離層を前記下塗り層の上に設けて工程紙とするための工程紙用原紙において、
前記第1バインダに含有されるポリビニルアルコールの配合比は、前記カオリン100重量部に対し0重量部を超え20重量部未満であり、
前記第2バインダに含有される前記アクリル重合体の配合比は、前記カオリン100重量部に対し15重量部を超え35重量部以下であることを特徴とする、工程紙用原紙。 - 下塗り塗料を調製する下塗り塗料調製工程と、
前記下塗り塗料を基紙に塗ることで下塗り層を形成する下塗り層形成工程と、
前記下塗り層の上にシリコーン溶液を塗ることで剥離層を形成する剥離層形成工程とを備える工程紙の製造方法において、
前記下塗り塗料調製工程は、
カオリンと第1バインダとを水に添加する第1添加工程と、
前記水に第2バインダを添加する第2添加工程とを有しており、
前記第1バインダは、ポリビニルアルコールを含有し、
前記第2バインダは、ポリビニルアルコールによって予め乳化されたアクリル重合体を含有し、
前記第1バインダに含有されるポリビニルアルコールの配合比は、前記カオリン100重量部に対し0重量部を超え20重量部未満までであり、
前記第2バインダに含有される前記アクリル重合体の配合比は、前記カオリン100重量部に対し15重量部を超え35重量部以下である、工程紙の製造方法。 - 下塗り塗料を調製する下塗り塗料調製工程と、
前記下塗り塗料を基紙に塗ることで下塗り層を形成する下塗り層形成工程とを備える工程紙用原紙の製造方法において、
前記下塗り塗料調製工程は、
カオリンと第1バインダとを水に添加する第1添加工程と、
前記水に第2バインダを添加する第2添加工程とを有しており、
前記第1バインダは、ポリビニルアルコールを含有し、
前記第2バインダは、ポリビニルアルコールによって予め乳化されたアクリル重合体を含有し、
前記第1バインダに含有されるポリビニルアルコールの配合比は、前記カオリン100重量部に対し0重量部を超え20重量部未満であり、
前記第2バインダに含有される前記アクリル重合体の配合比は、前記カオリン100重量部に対し15重量部を超え35重量部以下である、工程紙用原紙の製造方法。
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