JP2010043257A - 炭化水素ポリマー添加物を添加した、優れた不透過性を有するエラストマ組成物 - Google Patents

炭化水素ポリマー添加物を添加した、優れた不透過性を有するエラストマ組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
ガス透過特性を向上させたエラストマ組成物を提供することである。

【解決手段】
キュアされたエラストマ組成物は、少なくとも一つのC4−C7モノオレフィンエラストマと、炭化水素ポリマー添加物と、クレイとから成り、ある実施例においては、当該キュアされたエラストマ組成物は、40℃における透過流速係数が90 cc*mm/(m2*day)かまたはそれ以下であり、またある実施例においては、当該エラストマ組成物は、実質的にナフテン酸油を含まないことを特徴とする。

【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた不透過性を有するエラストマ組成物に係る。 更に詳細には、本発明は、優れた不透過性を有するキュアしたエラストマ組成物であって、炭化水素ポリマー添加物を添加したエラストマ組成物に係る。
エラストマ組成物は、ホース、ベルト、履物の部品、防振装置、タイヤや、トレッド、内側ライナー、側壁などのタイヤの部品などの、広い応用分野にわたって使用されている。 エラストマ組成物を商業的に組成を処方するために、使用する原材料を選択する際には、必要な特性、適用分野、そしてその適用分野における使用方法を考慮して決定される。
例えば、タイヤ工業の分野においては、タイヤ工場におけるグリーン組成物(キュア前の組成物を意味する)のプロセス時の特性と、キュアされたゴム製タイヤ合成物の使用中の性能とをバランスさせることが特に重要となる。 農業用タイヤ、航空機用タイヤ、土木機械用タイヤ、重作業用トラックのタイヤ,鉱山機械用タイヤ、モータサイクル用タイヤ、通常トラックのタイヤ、そして乗用車用のタイヤなどのように広範囲にわたる環境条件の中で使用されるタイヤの、キュア前のエラストマ組成物のプロセス時の取り扱い性を良くしつつ、耐久性を向上させることも、また特に重要になる。 キュア後のエラストマ組成物の物理的特性の性能を維持、向上させながら、かつキュア前のエラストマ組成物のプロセス時の取り扱い性に影響を与えることなく、空気の不透過性、曲げ疲労特性、およびエラストマ組成物を隣接するタイヤ・コンポーネントに接合する接着性を改良していくことが更に求められている。
従来、組成物のプロセス時の取り扱い性を向上させるために、ナフテン酸オイル、パラフィン系オイル、芳香油等の種々の処理オイルが多くのタイヤ・コンポーネントに添加されてきている。 ナフテン酸オイルは、プロセス時の取り扱い性の良さや、例えば、イソブチレンベースのエラストマとの適合性のような二次的な特性の良さのために、タイヤの内側ライナー用組成物に好んで使用されてきている。 しかし、このような従来から使用されてきている処理オイルは、プロセス時の取り扱い性を向上させるものではあるが、空気の不透過性などのその他の種々の特性において、望ましくない影響を及ぼすものであった。
一般に、タイヤ組成物に使用される原材料や構成物原料は全てのタイヤ性能に影響を与える。 従って、従来の処理オイルに代わる代替物は、ゴムとの適合性が良く、加硫速度を遅らせるものではなく、タイヤ組成物の中に容易に分散し、コスト上有利なものでなければならず、タイヤ性能に悪い影響を及ぼすものであってはならない。 タイヤの内側ライナーや内側チューブの場合、特に懸念されることは、タイヤの性能に関する特性が特定の許容範囲内に維持しなければならないということである。 例えば、タイヤの内側ライナー用組成物の300% 弾性率が少し増加しただけで、耐疲労特性を低下させ、タイヤの耐久性を間接的に低下させるクラックが発生しやすくなる。 更に、空気バリアとして機能するエラストマ組成物にとって、特に重要なことは、エラストマ組成物のプロセス時の取り扱い性の良さが、エラストマ組成物の空気保持能力を阻害するものであってはならないということである。
ゴム用グレードのナフテン酸オイルやパラフィン系オイルのような処理オイルは、エラストマ組成物の空気透過性を増加させる傾向にあるので、空気の保持能力を向上させるためにハロゲン化ブチルゴムがタイヤの内側ライナ用の組成物に使用されている。 更に、「ナノコンポジット(nanocomposite)」を形成させるためにクレイ(粘土)を添加することによって空気の不透過性を向上させることが行われている。 しかしながら、プロセス時の取り扱い性が良く、空気の保持能力の高いエラストマ組成物に対するニーズは依然として高まっている。
特定の性能上の特性を確保するために、多くのタイヤが合成され、そして設計されているため、従来使用している処理オイルを別の処理オイルに変更する場合に、走行抵抗や車輪と走行面との間の静止摩擦、あるいは損耗性能等のタイヤの性能上の特性を維持できるようにすることが求められる。 空気保持性能を高めることによって、タイヤのサービス寿命を通じてタイヤの走行抵抗に関する性能を高く維持し、高い耐久性を確保し、そして運行時のタイヤの温度を低く抑えることができるようになる。 従って、タイヤとタイヤの内側ライナー用の組成物の製造に使用されてきた従来の処理オイルに代わる新しい処理オイルであって、当該組成物のプロセス時の取り扱い性を高め、タイヤの内側ライナーの空気の不透過性を高めることができる新しい処理オイルに対するニーズが依然として高まっている。
本発明は、エラストマ組成物に係るものであって、当該組成物のプロセス時の取り扱い性を損なうことなく、優れたガス不透過性を有するキュアしたエラストマ組成物を提供することを課題とする。
第一の観点によれば、本明細書が開示するものは、エラストマ組成物に関係し、当該エラストマ組成物は、少なくとも1種類のC4−C7モノオレフィンエラストマと、炭化水素ポリマー添加物と、クレイから成る。 別の観点によれば、本明細書が開示するものは、キュアされたエラストマ組成物に関係し、当該キュアされたエラストマ組成物は、少なくとも1種類のC4−C7モノオレフィンエラストマと、炭化水素ポリマー添加物と、クレイから成る。 ある実施例によれば、当該キュアされたエラストマ組成物の、40℃における透過流速係数が90 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、別の実施例によれば40℃における透過流速係数が80 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下である。
更に、別の観点によれば、本明細書が開示するものは、タイヤの内側ライナーや、内側チューブ、あるいはホースのような空気バリア材に関係する。 当該空気バリア材は、少なくとも1種類のC4−C7モノオレフィンベースのエラストマと、少なくとも1種類のフィラーと、少なくとも1種類のクレイと、少なくとも1種類の炭化水素ポリマー添加物と、少なくとも1種類のキュア剤(硬化剤)を組み合わせることによって作られたエラストマ組成物から成る。 この組合された組成物は、混合後にキュア(硬化)される。 ある実施例によれば、この空気バリア材の、40℃における透過流速係数が90 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、別の実施例によれば40℃における透過流速係数が80 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下である。
上述した観点や実施例のいずれかを組み合わせた実施例によれば、炭化水素ポリマー添加物の添加量は10から40重量部(phr)の範囲であれば良い。 炭化水素ポリマー添加物は、好ましくは環状成分から成り、更に好ましくは、ジシクロペンタジエンから成る。 この炭化水素ポリマー添加物の、ASTM E28-99に基き測定した軟化点は約115℃から約130℃の範囲にある。
上述した観点や実施例のいずれかを組み合わせた、好適な実施例によれば、このエラストマ組成物、及び/又は、空気バリアは実質的にナフテン酸オイルを含有しないものである。
上述した観点や実施例のいずれかを組み合わせた、好適な実施例によれば、C4−C7モノオレフィンベースのエラストマとして、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、分岐(星型分岐)したブチルゴム、星型分岐したハロゲン化ブチルゴム、ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、一般用途用ゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、高シス-ポリブタジエン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレンゴム-ジエンゴム、ニトリルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分岐したポリイソブチレンゴム、およびこれらの混合物の中から選択することができる。
上述した観点や実施例のいずれかを組み合わせた、好適な実施例によれば、ここで使用されるクレイとしては、剥離したクレイであれば良く、剥離した天然の、又は合成したモンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、バイデライト(beidellite)、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト(saponite)、サウコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニヤイト(kenyaite)、スティーンサイト(steensite)、バーミキュライト(vermiculite)、ハロイサイト(halloysite)、アルミン酸塩酸化物 (aluminate oxides)、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)、およびこれらの混合物の中から選択することができる。
上述した観点や実施例のいずれかを組み合わせた、更に別の実施例によれば、このエラストマ組成物、又は、空気バリアは、更にフィラーを備えており、フィラーとしては、炭酸カルシウム、マイカ(雲母)、シリカ、ケイ酸塩、タルク(滑石)、二酸化チタン、デンプン、木粉、カーボン・ブラック、およびこれらの混合物の中から選択することができる。
ここで述べた目的、あるいはその他の目的や、技術的特徴点、およびそれらの利点については、以下に説明する詳細な説明、好適な実施例、実験例、および添付する特許請求の範囲の記載を参照することにより、より明確になる。
以下に、多種にわたる特定の実施例、変形例、実験例について説明する。 そしてこれらには、特許請求の範囲に記載した発明をよりよく理解するために記載した例示的な実施例、定義が含まれている。 以下の詳細な説明には、特定の好適な実施例が記載されているが、当該技術の分野における当業者であれば、ここで説明する実施例は単に例示したものに過ぎず、本発明は他の方法によっても実施できるものであることを理解することができる。 侵害を明確に定義できるようにするためには、本発明の範囲は、添付する特許請求の範囲に記載した発明のいずれかを参照すると共に、これと等価な発明、および特許請求の範囲に記載した発明の構成要件や限定事項と同等なものを考慮して判断する必要がある。 ここで、各請求項において定義された発明の中で、「発明」と呼ぶ場合には、一つ以上の発明を指すものであり、また必ずしも全ての発明を包含するものではない。
「(重量部)phr」という用語は、ゴム100部に対する重量部を意味するものであり、エラストマ(ゴム)組成物の全体に対する組成物の成分の配合比を示すものであって、当該技術の分野において共通的に使用されているものである。 与えられたレシピの中に一つ、二つ、三つ、あるいはそれ以上の異なったゴム成分が存在する場合の全てのゴム成分の全「phr」あるいは重量部は、100重量部として定義される。 ゴム以外の全ての成分は、ゴム100重量部に対して割り当てられ、「(重量部)phr」として表わされる。
ここで使用する「エラストマ」とは、ASTM D1566の定義に該当する、いずれかのポリマーあるいはポリマーの組み合せたものを指すものであって、ASTM D1566はここで参照することによって、本明細書の一部として組み入れられものとする。 ここで、使用されている「エラストマ」は、「ゴム」という用語で置き換えて使用することができるものである。
本発明におけるエラストマ組成物は、多様なエラストマ、炭化水素ポリマー添加物(HPAs)、クレイ(粘土)、およびフィラーを含んでいる。 ある実施例においては、多様なエラストマはエラストマ組成物100重量部の中に単独で存在するか、あるいは5から50重量部の炭化水素ポリマー添加物(HPAs)と組合された状態で存在する。
ある実施例では、このエラストマ組成物は、タイヤあるいはタイヤ用内側ライナのようなタイヤ用コンポーネントとして使用されている。 典型的なタイヤ用内側ライナの組成物である、エラストマ組成物は、100重量部のエラストマ、5から50重量部の炭化水素ポリマー添加物(HPAs)、オプションとしてのカーボン・ブラック、及び/又はシリカのような約50から約90重量部のフィラー、オプションとしての約4から約15重量部のクレイ(粘土)、オプションとしての約0.5から約5重量部の酸化亜鉛、オプションとしての約1から約5重量部のステアリン酸、オプションとしての約1から約5重量部の加硫促進剤、オプションとしての約0.25から約1.5重量部の硫黄、およびオプションとしての約5重量部のその他の加工助剤からなる。
ある実施例では、炭化水素ポリマー添加物(HPAs)は、その他の加工助剤と処理オイルに加えて使用される。 また、他の実施例では、その他の加工助剤と処理オイルに代えて炭化水素ポリマー添加物(HPAs)が使用される。 好適な実施例においては、エラストマ組成物は、実質的に芳香油を使用していない。 「実質的に芳香油を使用していない」ということは、エラストマ組成物が0.5重量部以下の芳香油、より好ましくは0.25重量部以下の芳香油、更に好ましくは0.1重量部以下の芳香油を含有していたとしてもエラストマ組成物に芳香油が意図的に添加されていないことを意味するものと定義される。 芳香油は、質量として少なくとも35%の単環または多環の成分を有する組成物である。 一般的に、芳香油は、不飽和多環成分を含んでいる。
ある実施例では、エラストマ組成物はナフテン油を含んでいても良い。 別の好適な実施例では、エラストマ組成物は実質的にナフテン油を含んでいない。 「実質的にナフテン油を使用していない」ということは、エラストマ組成物が0.5重量部以下のナフテン油、より好ましくは0.25重量部以下のナフテン油、更に好ましくは0.1重量部以下のナフテン油を含有していたとしてもエラストマ組成物にナフテン油が意図的に添加されていないことを意味するものと定義される。 一般的に、ナフテン油は、約0.85の粘度比重定数(ASTM D2501に記載されている)、約−60℃のガラス転移温度(Tg)、および約90の公称アニリン点(ASTM D611に記載されている)を有している。

エラストマ
エラストマ組成物は少なくとも1種類のエラストマからなる。 エラストマ組成物に含むことができる典型的なエラストマには、C4−C7モノオレフィンベースのゴムであって、それには以下のものが含まれる。 ブチルゴム(イソプレン-イソブチレンゴム[IIR])、分岐(星型分岐)したブチルゴム、星型分岐したポリイソブチルゴム、ブロモブチルゴム[BIIR]、クロロブチルゴム[CIIR]、イソブチレンとパラ−メチルスチレンのランダムコポリマ(ポリ(イソブチレン-co-p-
メチルスチレン))、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)[BIMSM]、ポリブタジエンゴム[BR]、高シス-ポリブタジエン、ポリイソプレンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム[IBR]、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム[SIBR]、スチレン-ブタジエンゴム[SBR]、溶液-スチレン-ブタジエンゴム[sSBR]、エマルジョン-スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン-プロピレンゴム[EP]、エチレン-プロピレンゴム-ジエンゴム[EPDM]、合成ポリイソプレン、一般用途用ゴム、天然ゴム、これらのエラストマのハロゲン化物、およびこれらの混合物。
好適なエラストマには、IIR、ハロゲン化IIR、およびハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)のようなイソブチレンベースのエラストマが含まれる。 有用なエラストマは、公知の適切な手段によって製造することができ、本発明はエラストマを製造する方法によって限定されるものではない。
ある実施例では、エラストマ組成物は2又はそれ以上のエラストマのブレンドからなる。 エラストマのブレンドは、反応器内ブレンド及び/又は溶融混合であれば良い。 個々のエラストマ成分はどれだけの量であっても良く、エラストマ組成物におけるエラストマの合計含有量は100重量部として表される。
有用なエラストマは、イソブチレンベースのホモポリマー又はコポリマーを含有する。 イソブチレンベースのエラストマとはイソブチレンの少なくとも70モル%の繰り返し単位を有するエラストマ又はポリマーのことを言う。 これらのポリマーは、イソブチレン誘導単位のようなC4−C7イソモノオレフィン誘導単位と、少なくともその他の一つの重合可能な単位とのランダムコポリマーとして説明することができる。 イソブチレンベースのエラストマは、ハロゲン化しても良いし、しなくても良い。
エラストマは、またブチル系のゴム、または分岐したブチル系のゴムであっても良く、これらのエラストマのハロゲン化したものも含まれる。 有用なエラストマは、オレフィン、イソオレフィン、およびマルチオレフィンのホモポリマーやコポリマーのような不飽和ブチルゴムである。 その他の有用なエラストマの非限定的な例として、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、天然ゴム、星型分岐したブチルゴム、およびこれらの混合物が挙げられる。
エラストマは、ハロゲン化していても、ハロゲン化していなくても良い。 好適なハロゲン化エラストマは、ハロゲン化ブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、分岐(星型分岐)したハロゲン化ブチルゴム、イソブチレンとパラ−メチルスチレンのハロゲン化ランダムコポリマからなるグループから選択することができる。 ハロゲン化はどのような手段によって行っても良く、本発明はハロゲン化のプロセスによって限定されるものではない。
ある実施例では、エラストマは、分岐した、あるいは星型分岐したブチルゴム[SBB]であれば良い。 SBBは典型的には、ハロゲン化した、あるいはハロゲン化していないブチルゴムの組成物、およびハロゲン化した、あるいはハロゲン化していないポリジエンまたはブロックコポリマである。 ある実施例においては、SBBまたはハロゲン化したSBBは、ブチルゴムまたはハロゲン化したブチルゴムと、ポリジエンおよび部分的にハロゲン化されたポリジエンの組成物であり、このポリジエンは、スチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンジエンゴム[EPDM]、エチレン-プロピレンゴム[EPDM]、スチレン-ブタジエン-スチレンとスチレン-イソプレン-スチレンとのブロックコポリマーのグループから選択されたものである。 これらのポリジエンは、ある実施例においては、0.3重量%以上のモノマーとしての配合重量%で配合されており、またある別の実施例では、0.3から3重量%の範囲、あるいは0.4から2.7重量%の範囲で配合されている。
エラストマは、イソブチレンと、アルキルスチレンコモノマーのようなC4−C7イソモノオレフィンからなるランダムコポリマーでも良く、アルキルスチレンコモノマーとしては、少なくとも80重量%、あるいは少なくとも90重量%のパラ-異性体を含むパラ-メチルスチレンのようなものがある。 ある実施例においては、ポリマーはエチレン又はC3−C6α-オレフィンとアルキルスチレン コモノマーのランダムエラストマ コポリマーでも良く、アルキルスチレンコモノマーとしては、少なくとも80重量%、あるいは少なくとも90重量%のパラ-異性体を含むパラ-メチルスチレンのようなものがある。
コポリマーは、オプションとして、官能基を有する共重合体を含んでいても良く、スチレンモノマー単位の中に存在する少なくとも1以上のアルキル置換基がハロゲン又はその他の官能基を含んでいても良い。 ある実施例では、ランダムポリマー構造の中に存在する60モル%までのパラ-置換スチレンが官能化されていても良い。 別の実施例では、官能化されたパラ-メチルスチレンの量は、0.1から5モル%の範囲、あるいは0.2から3モル%の範囲にある。 官能基は、他の置換基を有するベンジル型ハロゲンの求核置換反応によって取り込むことができるハロゲン又はその他の官能基であれば良く、他の置換基には、カルボン酸; カルボン酸塩; カルボキシエステル、アミドとイミド、ヒドロキシル基; アルコキシド; フェノール塩; チオール基; チオエーテル; キサントゲン酸塩; シアン化物; シアン酸塩; アミノ、およびこれらの混合物がある。 これらの官能化されたイソモノオレフィンコポリマー、これらを準備する方法、官能化の方法、およびキュアについては、米国特許No. 5,162,445に詳述されており、ここで引用することによって、本明細書に組み入れられるものとする。
更に別の実施例においては、エラストマは、0.5から20モル%の範囲のパラ-メチルスチレンを含むイソブチレンとパラ-メチルスチレンのランダムコポリマーであって、ベンジル環中に存在する60モル%までのメチル置換基は、官能化された酸又はエステルと同様、ブロミン(臭素)又は塩素原子を含んでいる。
ある実施例においては、ランダムコポリマーは、実質的に均一な成分分布を有しており、少なくとも95重量%のポリマーが、ポリマーの平均パラ-アルキルスチレン含有量の10%以内のパラ-アルキルスチレン含有量を有している。 典型的なポリマーは、Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が5以下、あるいは2.5以下であるという狭い分子量分布によって特徴付けられる。 また、典型的には粘度平均分子量は、200,000から2,000,000の範囲にあり、ゲル透過クロマトグラフィーによって計測された数平均分子量は25,000から750,000の範囲にある。
エラストマは、臭化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)[BIMSM]でも良い。 BIMSMポリマーは、一般に、コポリマー中のモノマー誘導単位の全量に対して0.1から5モル%のブロモメチルスチレン基を含んでいる。 ある実施例においては、ブロモメチル基の量は、0.2から3.0モル%の範囲、0.3から2.8モル%の範囲、0.4から2.5モル%の範囲、あるいは0.3から2.0モル%の範囲にあり、好ましい範囲は下限と上限の組合せによって設定される。 別の言い方をすれば、典型的には、コポリマーはポリマーの重量に対し、0.2から10重量%の臭素、0.4から6重量%の臭素、あるいは0.6から5.6重量%の臭素を含んでいる。 別の実施例においては、このコポリマーは、ポリマーの主鎖部分に実質的に環状ハロゲン又はハロゲンを含んでいない。 ある実施例では、ランダムポリマーはC4−C7イソオレフィン誘導単位(又はイソモノオレフィン)、パラ-メチルスチレン誘導単位、パラ-(ハロメチルスチレン)誘導単位のコポリマーであり、パラ-(ハロメチルスチレン)誘導単位は、パラ-メチルスチレンの全量に対してポリマー中に0.4から3.0モル%の範囲存在し、パラ-メチルスチレン誘導単位は、ポリマーの全重量に対して3から15重量%の範囲、あるいは4から10重量%の範囲存在する。 好適な実施例においては、パラ-(ハロメチルスチレン)はパラ-(ブロモメチルスチレン)である。
有用なハロゲン化したイソブチレン-p-メチルスチレンゴムの商業上の実施例には、EXXPRO(登録商標)エラストマがあり、テキサス州ヒューストン市にあるエクソンモービル化学会社から入手することができる。 このエラストマは、30から50の範囲のムーニー粘度(ML 1+8 温度125℃、ASTM D1646)を有し、p-メチルスチレンの含有量はハロゲン化したイソブチレン-p-メチルスチレンゴムの重量に対し4から8.5重量%の範囲にあり、臭素の含有量は同じく0.7から2.2重量%の範囲にある。
更に別の実施例では、エラストマは従来からタイヤ用ゴム組成物に使用されてきたタイプのゴムであって、少なくともイソブチレンを含有しないゴムであっても良い。 そして、ここではこのエラストマのことを、「一般用途用ゴム」と呼ぶ。 一般用途用ゴムとしては、低ヒステリシスであって高い復元力(弾性)に加えて高強度、耐磨耗性を備えたゴムであれば良い。
一般用途用ゴムの例として、天然ゴム[NR]、ポリイソプレンゴム[IR]、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム[SBR]、ポリブタジエンゴム[BR]、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム[IBR]、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム[SIBR]、およびこれらの混合物がある。 エチレン-プロピレンゴム[EP]、エチレン-プロピレン-ジエンゴム[EPDM]、およびこれらの混合物も一般用途用ゴムと呼ばれる。
ある実施例においては、エラストマはポリブタジエンゴム[BR]を含むものであっても良い。 別の実施例において、ポリブタジエンゴムの温度100℃において計測されたムーニー粘度(ML 1+4、ASTM D1646) は、35から70、あるいは40から約65、あるいは45から60の範囲にある。 その他の一般用途用ゴムとして、高シス-ポリブタジエン[cis-BR]がある。 「シス-ポリブタジエン」あるいは「高シス-ポリブタジエン」では1,4-シス-ポリブタジエンが使用されており、シス成分の量は少なくとも90%である。
エラストマは、ポリイソプレンゴム[IR]であっても良い。 ポリイソプレンゴムの温度100℃において計測されたムーニー粘度(ML 1+4、ASTM D1646) は、35から70、あるいは40から約65、あるいは45から60の範囲にある。
エラストマ組成物の適切な2次エラストマとして、EPあるいはEPDMのようなエチレンとプロピレン由来のゴムを使用するものであっても良い。 EPDMを製造する際に、適切なコモノマーの例として、エチリデン・ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、その他のものがある。 ある実施例において、エラストマ組成物は、エチレン/α-オレフィン/ジエン ターポリマーを含んでいても良い。 α-オレフィンは、プロピレン、好ましくはブテンとオクテン、最も好ましいのはプロピレンであるが、これらを含むC3〜C20のα-オレフィンのグループの中から選択することができる。 ジエン成分は、C4〜C20のジエンからなるグループから選択することができる。
ある実施例においては、一つまたはそれ以上のエラストマは天然ゴムであっても良い。 天然ゴムを使用した好ましい実施例においては、マレーシア産のゴムのような技術的に特定されたゴム(technically specified rubber: TSR)の中から選択することができる。 このマレーシア産のゴムには、SMR CV, SMR5, SMR10, SMR20, SMR50,およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。 好適な天然ゴムの、温度100℃において計測されたムーニー粘度(ML 1+4、ASTM D1646) は、30から120、あるいは40から80の範囲にある。
本発明における有用なエラストマは、その他の多様なゴム、またはプラスチック、特に、ナイロンやポリプロピレン又はポリプロピレンのコポリマーのようなポリオレフィンの如き熱可塑性樹脂とブレンドすることができる。 これらの組成物は、空気袋、タイヤの内側チューブ、タイヤの内側ライナー、エアー・スリーブ(空気衝撃吸収材)、ダイヤフラム、その他、高い空気や酸素の保持性が必要となる応用分野のような空気バリヤに特に有用である。
好適な実施例においては、エラストマは、ポリ(イソブチレン-co-アルキルスチレン)、好ましくはポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-アルキルスチレン)、好ましくはハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、星型分岐ブチルゴム、ハロゲン化星型分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物のグループの中から選ばれる。 別の好適な実施例においては、エラストマはブロモブチルゴムまたはクロロブチルゴムからなる。

炭化水素ポリマー添加物
エラストマ組成物は、更に炭化水素ポリマー添加物[hydrocarbon polymer additive: HPA]を含んでいる。 HPAsは一般に石油製品(petroleum stream)から由来し、水素添加した樹脂あるいは水素添加していない樹脂とすることができる。 限定するものではないが、有用なHPAsには、脂肪族化合物のHPAs、芳香族で改質された脂肪族化合物のHPAs、脂肪族/芳香族樹脂、多環樹脂、水素化した多環樹脂、水素化した多環芳香族樹脂、水素化した芳香族樹脂であってベンゼン環の大部分がシクロヘキサン環に変換された樹脂、ガムロジン[gum rosins]、ガムロジンエステル[gum rosin esters]、ウッドロジン[wood rosins]、ウッドロジンエステル[wood rosin esters]、トールオイルロジン[tall oil rosins]、トールオイルロジンエステル[tall oil rosin esters]、ポリテルペン[polyterpenes]、芳香族で改質されたポリテルペン[aromatic modified polyterpenes]、テルペンフェノール[terpene phenolics]、およびこれらの組合せが含まれる。
HPAは、エラストマ組成物の原材料として使用することができる。 HPAがどのような組成物であるかということに依存して、ゴムおよびタイヤとしての耐久性、摩擦性能、耐磨耗性といったゴムの特性を最適化することができる。 例えば、タイヤの生産工場においては、組成物の処理工程における取り扱い性を適切なものにするために、通常ナフテン酸油がタイヤ用内側ライナー組成物の調合剤の中に添加される。 しかし、ナフテン酸油は、タイヤの内側ライナーの空気透過性を増大させてしまうという弊害をもたらしてしまう。 ナフテン酸油の代わりに、炭化水素ポリマー添加物[HPAs]を使用することによって、内側ライナーの空気透過性を高めると同時に、ムーニー粘度のような組成物の処理工程における取り扱い特性を維持することができる。 ナフテン酸処理油をHPAで置き換えることによって、タイヤの内側ライナ組成物の生産工場における処理品質を維持することができ、耐疲労特性、耐久性、及び/又は、空気透過性(これらに限定されるものではないが)のようなその他の特性をも向上させることができる。
HPAの特性(分子量、分子量分布、ガラス化点温度、分岐状態等)はHPAを作りだす原材料を変えることによって操作することができる。 HPAは、種々の原材料から生産することができる。 例えば、ある実施例においては、原料の主成分がピペリレンであっても良いし、別の実施例では、シクロペンタジエンが原料の主成分であっても良い。 更に別の実施例では、ビニルトルエンとインデンを含む石油留出物も原材料の主成分とすることができる。
HPAの特性は、樹脂、即ち、モノマー成分のタイプおよびその量のようなミクロな構造によっても影響を受ける。 樹脂の鎖構造におけるモノマーの配置はランダムであって、ポリマーのミクロな構造を更に複雑なものとしている。 例えば、ある樹脂では、ピペリレン、イソプレン、モノ−オレフィンおよび重合不能なパラフィン系の成分をいろいろな量含んだC4-C6の比で形成された炭化水素鎖を有する脂肪族の炭化水素成分を含んでいる。 かかるHPAsは、ペンテン、ブタン、イソプレン、ピペリレン、および低量のシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンを含んだ組成物に基いている。 HPAは、スチレン、キシレン、α-メチルスチレン、ビニールトルエン、及びインデン等の芳香族の単位で形成されたポリマー鎖を有する芳香族系炭化水素構造を含んでいても良い。 その他のHPAとして、主にシクロペンタジエン及び/又はジシクロペンタジエンから構成それるものであっても良い。
HPAは、「脂肪族」及び/又は「芳香族」の成分を含有していても良い。 好適な脂肪族オレフィンは、C4-C20、好ましくはC4-C7、更に好ましくはC5-C6の直鎖の、分岐した、あるいは脂環式のオレフィン、あるいは非共役ジオレフィンである。 好適な芳香族オレフィンには、一または二以上のスチレン、インデン、スチレンの誘導体、およびインデンの誘導体が含まれる。 特に好適な芳香族オレフィンには、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、インデンとメチルインデン、およびビニールトルエンがある。 好適な実施例では、HPAは、ピペリレン、イソプレン、アミレン、サイクリックス(cyclics)、スチレン、インデン、及びこれらの組合せである。
ピペリレンは、一般的に、留出したものか、C5ジオレフィンの合成混合物であり、C5ジオレフィンにはシス-1,3-ペンタジエン、トランス-1,3-ペンタジエン、および混合された1,3-ペンタジエン(これに限定されるものではないが)が含まれる。 一般に、ピペリレンはイソプレンのような分岐したC5ジオレフィンは含まない。
サイクリックス(cyclics)は、留出したものか、C5 およびC6環状オレフィン、ジオレフィン、およびそれらの二量体の合成混合物である。 サイクリックスには、シクロペンテン、シクロペンタジエン[CPD]、ジシクロペンタジエン[DCPD]、 シクロヘキセン、1,3-シクロヘキサジエン、および1,4-シクロヘキサジエンが含まれるが、これに限定されるものではない。 ジシクロペンタジエンという用語は、エンド型およびエクソ型のDCPDの両方を含むものとして定義される。 好適なサイクリックは、シクロペンタジエンである。 サイクリックは、置換しても良く、好適な置換サイクリックには、C1-C40の直鎖の、分岐した、あるいは環状のアルキル基で、好ましくは一又は二以上のメチル基で置換されたCDPsとDCDPsがある。 メチルシクロペンタジエンは、好適な置換されたシクロペンタジエンである。
HPAは、スチレン、スチレン誘導体、および置換されたスチレンのような一又は二以上のスチレン成分を含むものであっても良い。 一般に、スチレン成分は、インデンのような縮合環を含むものではない。
HPAは、インデン、およびインデン誘導体のような一つ又は二つ以上のインデン成分を含むものであっても良い。
ある実施例においては、スチレン成分はHPAの軟化点を下げるように作用する。 他の芳香族(特にインデン系)はHPAの軟化点を上げるように作用する。 他の実施例においては、HPAは、分子量分布を広げように作用し、HPAの軟化点を下げるように作用するCDPとDCDPを含んでも良い。
HPAは、炭化水素樹脂の製造する方法として既に公知となっている方法によって製造することができる。 例えば、ある実施例では、HPAは熱重合反応によって製造される。 また、別の実施例においては、HPAは触媒重合反応によって製造される。 所望の樹脂を製造するための重合反応およびストリッピング(stripping)反応の条件は、供給される原料の特性によって調整される。
ある実施例においては、HPAは熱重合反応によって準備される。 例えば、その樹脂は、ベンゼン又はトルエン溶剤の中にシクロペンタジエンを含む供給原料から温度220℃から280℃、圧力14バール(1.4MPa)の条件下で、2.0から4.0時間かけて熱重合される。 そして、得られる樹脂の分子量と軟化点をコントロールするために、これらの条件は調整される。 供給原料には、アルキルシクロペンタジエン、シクロペンタジエンとメチルシクロペンタジエンの二量体および共二量体、および1,3-ピペリレンとイソプレンのような非環式のジエンが更に含まれていても良い。 スチレン、α-メチルスチレン、インデン、およびビニールトルエンのようなビニール芳香族のごとき重合可能なその他の不飽和モノマーもある。
別の実施例においては、HPAは、触媒反応により重合される。 当該樹脂を製造する好適な方法としては、重合反応器の中で、0℃から200℃の範囲の温度環境下、好ましくは20℃から80℃の範囲の温度環境下で、原料の流れとフリーデル-クラフツ触媒またはルイス酸触媒を結びつける方法がある。 フリーデル-クラフツ反応による重合は、一般に、重合反応溶剤の中に公知の触媒を入れておいて重合反応させ、その後、洗浄と蒸留によって溶剤と触媒を取り除くことによって行われる。 重合反応のプロセスはバッチ処理で行っても良いし、連続処理によって行っても良く、連続重合反応は、単一の工程または多段階の工程によって行われる。 この工程に使用することができるフリーデル-クラフツ触媒は、三フッ化ホウ素(BF3)、三フッ化ホウ素の複合体、塩化アルミニュウム(AlCl3)、アルキルアルミニュウムのハロゲン化物、特に塩化物のようなルイス酸を含んでいるが、これに限定されるものではない。 ある実施例においては、触媒に使われるルイス酸の量は、供給原料のブレンドしたものに対して、0.3から3.0重量%の範囲にあり、好ましくは、0.5から1.0重量%の範囲にある。 塩化アルミニュウム触媒は、好ましくは粉末状で使用される。
好適な実施例においては、当該樹脂はハロゲン化される。 触媒反応により水素添加された樹脂を製造する既知のプロセスが、ここでの樹脂に水素添加するために使用することができる。 炭化水素樹脂への水素添加は、溶融による処理または溶剤を利用した処理によって行われ、この処理はバッチ処理か、連続処理で行われ、より一般的には連続処理で行われる。 HPAsの水素添加に使用される触媒には、単一金属系または2種類の金属系の触媒システムがある。 ここで使用される触媒には、ニッケル、パラジュウム、ルテニウム、ロジュウム、コバルト、およびプラチナのような第VIII属の金属、タングステン、クロム、およびモリブデンのような第VI属の金属、レニュウム、マンガン、および銅などの第VII属の金属と、第9, 10, 11エレメントベースのその他の触媒を含むものである。 これらの金属は、金属としての形態で、あるいは活性化された状態で、単体で使用することもできるし、あるいは二つまたはそれ以上の金属を組合せて使用することもできる。 更に、これらは直接に使用することもできるし、アルミナ、またはシリカ-アルミナのような固体担体に担持させて使用することもできる。 担体の材料には、シリカ、酸化マグネシウム、シリカ-酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、シリカ-酸化ジルコニウム、酸化チタン、シリカ-酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ-酸化アルミニウム、アルミノ-シリケート、等のポーラスな無機耐火性酸化物が使用される。 この担体には、基本的に結晶質の分子篩材料が含まれていないものが望ましい。 それが可能な限り均一な状態になっているようであれば、前述した酸化物の混合物もまた担体材料として考えることができる。 好適な担体には、酸化アルミニュウム、シリカ、炭素、MgO、TiO2、ZrO2、FeO3、及びこれらの混合物が含まれる。
HPAは、極性を有していても良いし、非極性であっても良い。 ここで、非極性とは、HPAが実質的に極性基を有するモノマーを含んでいないことを意味する。 好ましくは、極性基が存在しない方が良く、例え極性基が存在したとしても、5重量%を越えることがないことが望ましく、2重量%を越えることがないことが更に望ましく、0.5重量%を越えることがないことがより望ましい。
商業的に利用することができるHPAsの例として、OPPERRA(登録商標) 373, 394, 103があり、これらは全てエクソン・モービル化学会社より入手することができる。
一つの実施例において、HPAの160℃における溶融した状態での粘度の範囲は、300〜800センチポアズ(cPs)の範囲にあり、また160℃における溶融した状態での粘度の範囲は350〜650センチポアズ(cPs)の範囲にあることが更に望ましい。 ある実施例においては、HPAの160℃における溶融した状態での粘度の範囲は、375〜615センチポアズ(cPs)の範囲にあり、あるいは160℃における溶融した状態での粘度の範囲は475〜600センチポアズ(cPs)の範囲にある。 溶融した状態での粘度は、「Brookfield viscometer」(タイプJのスピンドルを使用)を使用し、ASTM D6267に基いて計測することができる。
別の実施例では、HPAsは、約600g/モル以上、又は約1000g/モル以上の重量平均分子量(Mw)を有している。 少なくとも一つの実施例では、1650〜1950 g/モルの範囲、又は1700〜1900 g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有している。 好ましくは、HPAsは、1725〜1890 g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有している。 HPAは、450〜700g/モルの範囲、又は500〜675g/モルの範囲、更に好ましくは、520〜650g/モルの範囲の数平均分子量(Mw)を有している。 HPAは、5850〜8150 g/モル、更に好ましくは6000〜8000g/モルの範囲のZ平均分子量(Mz)を有している。 ここで、Mw, Mn, Mzはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
ある実施例においては、HPAは、4以下の多分散度指数(polydispersion Index:PDI; PDI=Mw/Mn)を有している。 好適な実施例にあっては、HPAのPDIは、2.6〜3.1の範囲にある。
ある実施例においては、HPAsのガラス転移点温度(Tg)は、約−30℃〜約100℃
の範囲、あるいは約0℃〜約80℃の範囲、あるいは約40℃〜約60℃の範囲、あるいは約45℃〜約55℃の範囲、あるいは更に好ましくは約48℃〜約53℃の範囲にある。 HPAのTgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。
示差走査熱量測定(DSC)の手順について、以下に説明する。
加熱プレス装置の中へポリマーを入れ、約200℃〜約230℃の温度下でこのポリマーをプレスする。 そしてこのプレスしたシート状のポリマーを、周辺環境条件下の下で冷却するために当該樹脂シートを吊るして置く。 ポンチ型を使って、当該樹脂シートから約6mg〜10mgのサンプルを切り出す。 この6mg〜10mgのサンプルは、室温において80〜100時間の間アニールする。 このアニール期間が終了するときに、このサンプルを示差走査熱量測定(DSC)装置(Perkin Elmer Pyris One Thermal Analysis System製)の中へ入れ、約-50℃〜-70℃まで冷却する。 このサンプルは、約200℃の最終温度になるまで、10℃/分の加熱速度で加熱される。 このサンプルは200℃の温度で5分間保持され、その後2番目の冷却サイクルが行われる。 これらのサイクルの過程で得られるイベントが記録される。 サンプルの溶融ピークより下の温度領域において熱出力が記録される。 そしてこの熱出力は通常、0℃から200℃の間において生じる。 試験(計測)作業中におけるサンプルの吸収エネルギまたは放出エネルギは、ΔHとして表され、ポリマー1g当たりのジュールとして表される。 融点は、サンプルが溶融する範囲内におけるベースラインに対して、最も大きな熱吸収が生じる温度として記録される。
一つまたは二以上の実施例において、HPAsは少なくとも400のMnを有し、少なくとも500のMwを有し、少なくとも700のZ平均分子量(Mz)を有し、少なくとも1.5の多分散度(Mw/Mn)を有している。 そしてこのMn, Mw, Mzはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。 同様に、この樹脂は、2000までのMn、3500までのMw、15000までのMzを有し、4までの多分散度(Mw/Mn)を有している。
一つの実施例では、この樹脂は、10℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃の「Ring and Ball」法による軟化点(ASTM E28-99に基き計測)を有している。 別の実施例においては、この樹脂は、4000 g/モル以下の重量平均分子量(Mw)を有しており、好ましくは500〜4000 g/モルの範囲の重量平均分子量、更に好ましくは500〜2500 g/モルの範囲の重量平均分子量を有している。 更に別の実施例においては、この樹脂は3以下のMw/Mn、好ましくは1〜2.4の範囲のMw/Mn、更に好ましくは1〜2の範囲のMw/Mnを有している。
このHPAは、ピペリレン、サイクリックス、イソプレン、アミレン、インデン成分、及び/又はスチレン成分の内の一つまたは二つ以上の物質を可変量含有している。
一つの実施例においては、このHPAは、40〜90重量%のピペリレン、あるいは50〜90重量%のピペリレン、60〜90重量%のピペリレンを含んでいる。 別の実施例においては、70〜90重量%のピペリレンを含んでいる。
ある実施例においては、このHPAは、実質的にイソプレンを含有していない。 別の実施例においては、このHPAは、5重量%までのイソプレンを含有しており、好ましくは10重量%までのイソプレンを含有している。 更に別の実施例においては、このHPAは、15重量%までのイソプレンを含有している。
ある実施例においては、このHPAは、実質的にアミレンを含有していない。 別の実施例においては、このHPAは、10重量%までのアミレンを含有しており、あるいは30重量%までのアミレンを含有している。 更に別の実施例においては、このHPAは、40重量%までのアミレンを含有している。
ある実施例においては、芳香族オレフィンはこのHPA内に、5〜45重量%含まれており、好ましくは、5〜30重量%含まれている。 好適な実施例においては、このHPA内は、10〜20重量%の芳香族オレフィンを含有している。
ある実施例においては、このHPAは、60重量%までのスチレン成分あるいは50重量%までのスチレン成分を含有している。 一つの実施例においては、このHPAは、5〜30重量%のスチレン成分、あるいは5〜20重量%のスチレン成分を含んでいる。 別の実施例においては、このHPAは、10〜15重量%のスチレン成分物を含んでいる。
ある実施例においては、このHPAは、15重量%までのインデン成分あるいは10重量%までのインデン成分を含有している。 ここで、インデン成分とは、インデンとインデン誘導体を含むものと定義する。 一つの実施例においては、このHPAは、5重量%までのインデン成分を含んでいる。 別の実施例においては、このHPAは、インデン成分を実質的に含んでいない。
ある実施例においては、このHPAは、60重量%までのサイクリックスあるいは50重量%までのサイクリックスを含有している。 一つの実施例においては、このHPAは、約0.1〜50重量%の範囲のサイクリックス、あるいは約0.5〜30重量%の範囲のサイクリックスを含んでいる。 また、このHPAは、約1.0〜20重量%の範囲のサイクリックスを含んでいる。 別の実施例においては、このHPAは、約5〜15重量%のサイクリックスを含んでいる。
別の好適な実施例では、このHPAは、75重量%以上のサイクリックス、あるいは80重量%以上のサイクリックス、あるいは90重量%以上のサイクリックス、を含むものであっても良い。 ある実施例においては、このHPAは、実質的にサイクリックスから成るものであっても良い。
別の実施例においては、このHPAには、ジクロペンタジエン[DCPD]およびメチル置換されたDCPD異性体が含まれる。 このDCPD異性体は、不飽和2重結合を取り除くために、熱重合され、その後水素化されている。 このHPAは、炭素-炭素分岐を備えたコンパクトで剛な「階段状」の構造を有する。 このHPAの軟化点は約120℃であり、Tgは約70℃である。
特に好適な実施例においては、このHPAは、ジクロペンタジエン置換されたジクロペンタジエンが含まれている。 好適なHPAは、約410のMn、約630のMw、そして約1020のMzを有している。 この樹脂は、ASTM E28-99に基く測定方法を使用した場合、約115℃〜約130℃の範囲の軟化点を有している。
ある実施例では、このHPAは、50〜90重量%のピペリレン、0〜5重量%のイソプレン、10〜30重量%のアミレン、0〜5重量%のサイリックス、0〜10重量%のスチレン成分、および0〜10重量%のインデン成分から成る。 この樹脂の160℃における溶融した状態での粘度の範囲は、375〜515センチポアズ(cPs)の範囲にあり、700〜900 g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)、1400〜1800 g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)、3000〜5000 g/モルの範囲のZ平均分子量(Mz)、及び45℃〜50℃の範囲のTgを有している。
別の実施例においては、60〜90重量%のピペリレン、0〜5重量%のイソプレン、0〜10重量%のアミレン、5〜15重量%のサイリックス、5〜20重量%のスチレン成分、および0〜5重量%のインデン成分から成る。 この樹脂の160℃における溶融した状態での粘度の範囲は、375〜615センチポアズ(cPs)の範囲にあり、520〜650 g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)、1725〜1890 g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)、6000〜8200 g/モルの範囲のZ平均分子量(Mz)、及び48℃〜53℃の範囲のTgを有している。
更に別の実施例においては、このHPAには、ジクロペンタジエンおよびメチル置換されたジクロペンタジエンが含まれる。 この樹脂は、110℃〜150℃の範囲の軟化点温度、あるいは115℃〜130℃の範囲の軟化点温度を有しており、この軟化点温度は、ASTM E28-99に基き測定されたものである。 この樹脂は、60℃〜80℃の範囲のTg温度、あるいは65℃〜75℃の範囲のTg温度、あるいは67℃〜73℃の範囲のTg温度を有している。 この樹脂の数平均分子量(Mn)は350〜450 g/モルの範囲、あるいは370〜430 g/モルの範囲、あるいは390〜420 g/モルの範囲、あるいは400〜415 g/モルの範囲にある。 この樹脂の重量平均分子量(Mw)は500〜700 g/モルの範囲、あるいは550〜675 g/モルの範囲、あるいは600〜650 g/モルの範囲にある。 この樹脂のZ平均分子量(Mz)は950〜1100 g/モルの範囲、あるいは980〜1050 g/モルの範囲、あるいは1000〜1030 g/モルの範囲にある。
更に別の実施例においては、このHPAは、ジクロペンタジエンおよび置換されたジクロペンタジエンのようなサイクリックスから構成されるものであっても良い。 この樹脂は、約115℃〜130℃の範囲のASTM E28-99に基き測定された軟化点温度を有している。 更にこの樹脂は、約70℃のTg温度、約410 g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)、約630 g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)、約1020 g/モルの範囲のZ平均分子量(Mz)を有している。

ナノコンポジット(nanocomposite)
ナノコンポジットとは、少なくともナノメータレベルの寸法を有する無機質粒状体を含むポリマーシステムのことを言う。 このナノコンポジットに使用される無機質粒状体は、フィロケイ酸塩であり、「ナノ-クレイ」または「クレイ」と呼ばれている一般的なクラスの無機質な物質である。 ナノコンポジットが存在すると、種々のエラストマ組成物の空気バリアー特性が強化されるため、エラストマとクレイからなるナノコンポジットから構成されるエラストマ組成物が要望されている。
無機質粒状体(例えば、クレイ)は、エラストマ組成物を透過する酸素に対しては、板状のバリアとして機能する。 しかし、その有効性を高めるために、無機質粒状体はエラストマ組成物の全体にわたって十分に分散させる必要がある。 一般に非極性のゴムの中に、極性のクレイを分散させることが必要になるので、このように十分に分散させることは困難であった。
理想的には、ナノコンポジットの中でインターカレーション(層間挿入)が生じる必要があり、ポリマーはクレイの表面間に生じた空間または通路の中へ入っていくものである。 究極的には、完全に剥離した状態になることが望まれ、ポリマーは個々のナノメーターサイズのクレイの板状片の間に十分に分散されるか、インターカレーション(層間挿入)される。
ナノコンポジットに有用な無機質粒状体には、天然又は合成されたフィロケイ酸塩のような膨潤性の無機質クレイ材料の他、特に、バーミキュライト(vermiculite)、ハロイサイト(halloysite)、アルミン酸塩酸化物(aluminate oxides)、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)、およびこれらに類するものと同様に、モンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、バイデライト(beidellite)、ボルコンスコアイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト(saponite)、ソーコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニアイト(kenyaite)、スチーブンサイト(stevensite)、およびこれらに類するスメクティック(smectic: スメクタイト族の)クレイがある。 これらの層状クレイは一般に、8〜12Åの厚みを有し、4Åかそれ以下の空間をなす層間で堅固に結合した複数のケイ酸塩の板状片を含む粒状体からなっており、層間表面に存在するNa+, Ca+2, K+, Mg+2のような、交換可能な陽イオン(カチオン)を含んでいる。
ある実施例においては、クレイは、クレイを分散させるために使用する有機液体と一緒に混合することができる。 クレイは、無機質のクレイとすることもできるし、あるいは有機質の改質したクレイとすることもできる。 有機液体は、水に混和できるものであっても、水に混和できないものであっても良い。 ある実施例では、クレイを分散させることによって、クレイの濃度を0.1〜5.0重量%の範囲、あるいは0.1〜3.0重量%の範囲にすることができる。
膨潤剤、または剥離剤、又は膨潤添加剤、または剥離添加剤として一般に知られている有機分子で処理することにより、この層状クレイの層間を膨潤させたり、剥離させたりすることができる。 膨潤剤/剥離剤は、層状クレイの層間表面に存在する陽イオン(カチオン)とイオン交換反応が行われるようにする能力を持っている。 例えば、層間挿入され又は剥離されたクレイは、溶剤ベースのイオン交換反応を通じて製造することができる。 そして、このイオン交換反応は、ナトリウムモンモリロナイトクレイの表面に存在するナトリウムイオンをアルキル、またはアルキルアンモニウム組成物のような有機分子(膨潤剤/剥離剤)で置き換えるものである。
適切な剥離剤には、アンモニウムイオン、アルキルアミン又はアルキルアンモニウムイオン(第一級、第二級、第三級、及び第四級の)、脂肪族化合物のホスホニウム又はスルホニウム誘導体、芳香族又はアリール脂肪族アミン、ホスフィン及び硫化物のような、陽イオンの表面活性剤が含まれる。 望ましいアミン組成物(あるいは対応するアンモニウムイオン)には、R1R2R3Nの構造式を持つものがある。 ここで、R1、R2、R3、は、ある実施例では、C1〜C30までのアルキル、又はC2〜C30までのアルキル又はアルケン(別の実施例)であり、これらは同一又は別のものである。 ある実施例では、剥離剤は長鎖を有する第三級アミンと呼ばれ、少なくともR1は、C14〜C20までのアルキル又はアルケンである。
剥離剤は、ジアミノアルケン、N-アルキル-ジアミノアルケン、N, N-ジアルキル-ジアミノアルキル、N, N, N’-トリアルキル-ジアミノアルケン、N, N, N’,N’-テトラアルキル-ジアミノアルケン等のようなジアミン組成物(または対応するアンモニウム又はジアンモニウムイオン)であっても良い。
望ましいジアミンには、R4R5N-R6-NR7R8の構造式を持つものがある。 ここで、R4,R5,R6,R7,およびR8は等しいか異なり、C1〜C30までのアルキル、又はC2〜C30までのアルキル又はアルケンである。 長鎖のジアミンが必要なときには、少なくとも一つのN-アルキル基またはN-アルケン基が8〜30までの炭素原子を有し、好ましくは、14〜20までの炭素原子を有する。 特に非限定的な例示として、N-coco-1,3-ジアミノプロパン、N-oleyl-1,3-ジアミノプロパン、N-tallow-1,3-ジアミノプロパン、N, N, N’-トリメチル- N’- tallow-1,3-ジアミノプロパンが挙げられる。
別のクラスの剥離剤には、層間表面との間で共有結合できるものが挙げられる。 これには、-Si(R15)2R16の構造式を有するポリシランがある。 ここで、R15は一つの物質において等しいか異なり、アルキル、アルコキシ、又はオキシシランの中から選択される。 また、R16は有機基(ラジカル)であって、当該コンポジットのマトリックスポリマーと互換性がある。
その他の適切な剥離剤として、12-アミノドデカン酸、イプシロン-カプロラクタムおよびそれに類したもののような、プロトン化した2〜30の炭素原子を含むアミノ酸と、その塩がある。 適切な膨潤剤と層状クレイのシリケート層に層間挿入するためのプロセスについては、US 4,472,538、US 4,810,734、US 4,889,885に開示されており、ここでこれらを参照することにより、本明細書に組み入れられる。
好適な実施例においては、剥離剤は、クレイの剥離を助ける錯体を形成するために、共重合体上のハロゲンサイトと反応することができる能力を有している。 ある実施例では、この剥離剤は、第一級、第二級、および第三級の全てのアミンとホスフィン、アルキル硫化物とアリル硫化物およびアルキルチオールとアリルチオール、およびこれらの多官能性のバージョンが含まれる。 望ましい剥離剤としては、N,N−ジメチル−オクタデシアルアミンのような長鎖の第三級アミン、N,N−ジオクタデシアル−メチルアミン、2水素化牛脂アルキル-メチルアミンと呼ばれているもの、およびこれに類するもの、およびアミン末端ポリテトラヒドロフランが含まれ、更に、ヘキサメチレンチオ硫酸ナトリウムのような長鎖のチオールとチオ硫酸塩の組成物が含まれる。
一つの実施例において、剥離剤は、0.1〜20重量部の範囲、あるいは0.2〜15重量部の範囲、あるいは0.3〜10重量部の範囲(別の実施例)、で存在しても良い。 この剥離剤は、組成物の中へどの段階で添加しても良く、例えば、クレイを添加した後に共重合体に剥離剤を添加しても良いし、あるいは、共重合体とクレイの混合物に剥離剤を添加しても良いし、あるいは、別の実施例では、共重合体とクレイをブレンドした後に剥離剤を添加することもできる。
別の実施例では、少なくとも一つの多官能性の硬化剤を存在させることによって、ガス透過性を向上させることができる。 かかる多官能性の硬化剤に関する実施例としては、構造式Z-R17-Z’で表されるものがある。 ここで、R17は、C1〜C15のアルキル、C2〜C15のアルケニル、およびC6〜C12の環状芳香族モイエティ(cyclic aromatic moiety)、であって置換または未置換のものの中のいずれか一つであり、Z、Z’は、同じか異なったものであって、チオ硫酸塩基、メルカプト基、アルデヒド基、カルボン酸基、過酸化物基、アルキニル基、あるいはその他の類似の基であって、不飽和状態のように反応基を有するポリマーの一又は二以上のストランドを架橋(分子間での架橋または分子内での架橋の内のいずれか一方を架橋)する能力を有する基の内の一つである。 多官能性の硬化剤がもし存在するならば、多官能性の硬化剤は、組成物の中に、0.1〜8重量部の範囲、あるいは0.2〜5重量部の範囲(別の実施例)で存在するようにしても良い。
エラストマ組成物は、復帰抵抗物質(reversion resistors)を更に含むものであっても良い。 この復帰抵抗物質(reversion resistors)の非限定的な例には、ヘキサメチレン ビス(チオ硫酸ナトリウム)のような、ビス-チオ硫酸塩組成物
が含まれる。 ゴム組成物の技術分野において良く知られているその他の復帰抵抗物質(reversion resistors)としては、ヘキサメチレン ビス(桂皮アルデヒド)がある。
膨潤剤によって処理することによって、層状クレイの板状片を一緒にして保持しているイオンの力が低下し、クレイの層が4Å以上、好ましくは9Å以上の距離隔てられた空間を有する層の間に分子を導入する結果、層状クレイの板状片の層間挿入または剥離が生じる。 この剥離は、層状クレイであるケイ酸塩が、重合可能なモノマー材料とポリマー材料を層間により容易に吸収できるようにするものであり、ポリマー材のマトリックスの中で、剥離したクレイの層が均一に分散するようにするために、この剥離したクレイをポリマー材のマトリックスと混合する際に、更にクレイの層をデラミネートしやすくするものである。
エラストマ組成物に取り入れられるクレイまたは剥離したクレイの量は、ナノコンポジットの組織が形成される程度のものであれば、エラストマ組成物の機械的性質または空気透過バリア特性を向上させるのに十分なものである。 エラストマ組成物の中に入れられるクレイの量は、エラストマ組成物の中のポリマーの含有量に対し、一般に、0.5〜10重量%の範囲、または1〜8重量%の範囲、または1〜5重量%の範囲(別の実施例)である。 重量部として表せば、クレイまたは剥離したクレイは、1〜30重量部(phr)の範囲、あるいは2〜20重量部(phr)の範囲で存在する。
エラストマ−クレイのナノコンポジットは、溶液混合(solution blending)、融解混合(melt blending)、あるいはエマルジョン法などの当該技術の分野において公知のプロセスによって形成することができる。 例えば、米国特許出願公報2007/015853(ここで引用することにより、本明細書の一部をなすものである)には、ゴム溶液と分散させた水性クレイ(aqueous clay)のエマルジョンから、クレイ-ブチルゴムのナノコンポジットを準備する方法が開示されている。 そして、この水性クレイは無機質のクレイである。 ナノコンポジットのその他のプロセスとして、米国特許出願番号 11/183,361(ここで引用することにより、本明細書の一部をなすものである)があり、これはクレイ-ブチルゴムのナノコンポジットを準備する方法を開示している。 この方法では、ナノコンポジットは、ゴムのスリップストリーム(a slipstream of the rubber)から高濃度のナノコンポジットを準備し、そしてこの高濃度のナノコンポジットをメインのゴムのストリーム(a main rubber stream)と混合することによって作られる。
一つの実施例においては、エラストマ組成物はポリマーの融解混合(melt blending)プロセスによって形成されたナノコンポジットを含むものであっても良い。 例えば、エラストマとクレイの成分は、Bandbury(登録商標)ミキサー、Brabender(登録商標)ミキサー、あるいは、好ましくはミキサー/押出機(extruder)のような適切な混合装置によって層間挿入状態が形成されるよう混合する。 そして、混合は120℃〜300℃の温度範囲において、クレイが層間挿入され剥離すると共に、ナノコンポジットを形成するために、クレイがポリマーの中に均一に分散するように十分なせん断状態の下で行われる。
別の実施例においては、ナノコンポジットはエマルジョン法によって形成されるものであっても良い。 例えば、この場合のエマルジョンは、従来技術であるエマルジョン技術を使って形成するものであっても良い。 即ち、十分にせん断するために、炭化水素と水と界面活性剤(界面活性剤が使用される場合)の混合物を準備する。 混合は、商業用のブレンダーまたはこれに類するものを使用し、エマルジョンを形成するのに十分な時間、例えば、通常は少なくとも数秒間行われる。 このエマルジョンは、連続的にまたは間欠的に混合したり攪拌したりするかどうかにかかわらず、またこれを加熱したり、温度を制御したりするかどうかにかかわらず、クレイの剥離を促進するのに十分な間、エマルジョンの状態を維持する。 例えば、ある実施例では、0.1〜100時間またはそれ以上の時間、また別の実施例では2〜20時間の間、エマルジョンの状態を維持する。
有用な陽イオンの界面活性剤には、第四アンモニウム組成物と同様、第三級アミン、ジアミン、ポリアミン、アミン塩が含まれる。 有用な非イオン界面活性剤には、アルキルエトキシレート、線状アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アミドエトキシレート、アミンエトキシレート(例えば、coco-, tallow-, oleyl-アミンエトキシレート)、フェノールエトキシレート、およびノニルフェノールエトキシレートが含まれる。 界面活性剤の濃度は、一般的には、相対的に安定なエマルジョンを形成できる程度であって、好適な実施例にあっては、使用される界面活性剤の量は、少なくともエマルジョン全体に対して0.001重量%であり、より好ましくは、0.001〜約3重量%の範囲であり、更に好ましくは、0.01〜2重量%の範囲である。
別の実施例においては、ナノコンポジットは、溶液混合(solution blending)によって形成することができる。 例えば、炭化水素と少なくとも一つの層状フィラーまたはクレイを含む溶剤からなる溶液Aを、溶剤と少なくとも一つのエラストマからなる溶液Bに接触させ、溶液Aと溶液Bの接触生成物から溶剤を除去することによってナノコンポジットを生成することができる。 層状クレイは、膨潤/剥離剤で処理しても良い。 更に別の実施例においては、少なくとも一つのエラストマと少なくとも一つの層状フィラーとを少なくとも一またはそれ以上の溶剤の中で接触させ、しかる後にその接触生成物から溶剤を除去するというプロセスによってナノコンポジットを、生成することができる。 更に別の実施例においては、少なくとも一つの層状フィラーを分散させ、これを溶剤または少なくともに2種類の溶剤からなる混合溶剤の中に少なくとも一つのエラストマを溶解させた溶液に接触させ、得られた接触生成物から溶剤または混合溶剤を除去することによって、ナノコンポジットを生成することができる。
溶剤を混合するプロセスにおいて、溶剤は、組成物の全重量に対して、30〜99重量%の範囲、または40〜99重量%の範囲、または60〜99重量%の範囲、または80〜99重量%の範囲、または90〜99重量%の範囲、または95〜99重量%の範囲となるようにすることができる。

フィラーと添加物
エラストマ組成物は、その他の成分や通常ゴム組成物に使用されている添加物を含むようにしても良い。 添加物の例としては、たとえば、その他の適切な量の処理補助剤、顔料、促進剤、架橋剤と硬化剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、及び/又はフィラーがある。 HPAの他に、エラストマ組成物はオプションとして、例えば、プラストマ、ポリブテン、およびこれらの混合物のような、その他の有用な処理補助材を含むようにしても良い。
エラストマ組成物は、オプションとして、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、デンプン、木粉、カーボンブラック、マイカ、シリカ、タルク(滑石)、またはこれらの混合物のような、少なくとも一つのフィラーを含むようにしても良い。 このフィラーはどんなサイスであっても良いが、典型的な例として、タイヤ工業の分野では、約0.0001μmから約100μmの範囲のものが使われている。
ある実施例においては、エラストマ組成物はナノサイズのタルクを含むようにしても良い。 ナノサイズのタルクは、通常サイズのタルクの板状片に比べて表面積が非常に大きいという特徴を有している。 このナノサイズのタルクは、典型的には、最大寸法が100〜200ナノメータの範囲にある。
ここで使用されるシリカは、シリカ、ケイ酸誘導体、ケイ酸のどのようなタイプ、またはどのようなサイズであっても良く、溶液、焼成、またはこれに類した方法で処理されたものであっても良い。 また、未処理のもの、沈殿処理したシリカ、結晶シリカ、コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウムやケイ酸カルシウム、ヒュームドシリカ、およびこれらに類するものであっても良い。 沈殿処理したシリカは、通常のシリカ、中程度の分散性を有するシリカ、あるいは高度な分散性を有するシリカとすることができる。
ある実施例においては、一つまたはそれ以上のシランカップリング剤が、エラストマ組成物に使用される。 カップリング剤は、シリカが主たるフィラーである場合や、シリカが他のフィラーとの組合せで使用されている場合には特に必要となるものであり、カップリング剤はシリカとエラストマの結合を助けるように作用する。 カップリング剤は、二官能基の有機シランの架橋剤であっても良い。 「有機シランの架橋剤」は、当業者に良く知られたフィラーと結合したシラン、架橋活性化剤のシラン、及び/又はシラン強化剤のいずれかであって、非限定的な例として、ビニルトリエトキシシラン(vinyl triethoxysilane)、ビニル-トリス-(ベータ-メトキシエトキシ)シラン(vinyl-tris-[beta-methoxyethoxy]silane)、メタアクリロイルプロピルトリメトキシシラン(methacryloylpropyltrimethoxysilane)、ガンマ-アミノ−プロピルトリエトキシシラン(gamma-amino-propyl triethoxysilane)、ガンマメルカプトプロピルトリメトキシシラン(gammamercaptopropyltrimethoxysilane)およびこれに類するもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
フィラーは、カーボンブラックまたは改質したカーボンブラックであっても良い。 またフィラーは、カーボンブラックとシリカをブレンドしたものであっても良い。 一つの実施例においては、エラストマ組成物は混合物全体に対して、10〜100重量部の範囲、別の実施例では好ましくは30〜80重量部の範囲、更に別の実施例では好ましくは50〜80重量部の範囲、のレベルの強化グレードのカーボンブラックを含んでいる。 カーボンブラックの有用なグレードには、N110〜N990の範囲のグレードのもの、更にこのましくはN660のグレードのものがある。

架橋剤、硬化剤、キュアパッケージ、キュアプロセス
エラストマ組成物とこれから作られる物品は、一般的に、少なくとも一つのキュアパッケージ(cure package)、少なくとも一つの硬化剤、少なくとも一つの架橋剤、の助けを受け、そして/又はエラストマ組成物をキュアするためのプロセスを経て製造される。 ここで使用される少なくとも一つのキュアパッケージとは、当該産業の分野において一般的に理解されるものであって、キュア後のゴム特性に影響を与えることができる材料、または方法を指すものである。
一般に、ポリマーのブレンドは、ポリマーの機械的特性を向上させるために架橋している。 加硫したゴム組成物の物理的な特性、ゴム特有の性能、および耐久性は、加硫反応中に形成される架橋の数(架橋密度)およびそのタイプに関係することが知られている。 ポリマーのブレンドは、硬化剤を添加することによって架橋させることができる。 この硬化剤には、例えば、硫黄、酸化亜鉛のような金属酸化物、過酸化物、有機金属組成物、ラジカル開始剤、脂肪酸、その他の当該技術分野で使用されている硬化剤がある。 ポリマーのブレンドをキュアする方法として、過酸化物によるキュアシステム、レジンによるキュアシステム、およびポリマーを加熱または放射線誘導することによって架橋するシステムがよく知られている。 架橋促進剤、架橋開始剤、および架橋抑制剤もまたキュアプロセスにおいて使用される。
エラストマ組成物は、従来から行われている加硫プロセスに従い、対象物を加熱するかまたは放射線に晒すといった適切な方法によって加硫(キュア)することができる。 必要となる付加すべき加熱または放射線の量は、当該組成物のキュアの状態に影響を与えるように設定する必要があるが、本発明においては、当該組成物をキュアするための方法、および必要な加熱または放射線の量によって限定されるものではない。 一般的に、加硫は、ある実施例においては、約100℃〜約250℃の範囲において行なわれ、別の実施例においては、約150℃〜約190℃の範囲において行なわれ、加硫時間は、約1〜150分の範囲である。
ハロゲン含有エラストマの場合、金属酸化物との反応によって架橋させることができる。 この金属酸化物は、単独で、あるいはその金属酸化物に関連する金属脂肪酸の錯体(例えば、ステアリン酸亜鉛など)、あるいはステアリン酸のような有機脂肪酸と一緒に使用することができる。 そして、オプションとして、硫黄や硫黄組成物、アルキルペルオキシド組成物、ジアミンまたはそれらの誘導体のようなその他の硬化剤を添加するようにしてもよい。
硫黄は、ジエンを含有するエラストマの加硫に使用される最も一般的な化学加硫剤である。 硫黄は、ひし形の8-メンバーリングの形態またはアモルファスポリマーの形態で存在する。 硫黄を使用した加硫システムには、加硫速度の制御を行なうために、硫黄をアクチベイトする開始剤や、加硫促進剤、および加硫抑制剤を添加するようにしても良い。 架橋開始剤は、溶解性ゴム(rubber-soluble)の錯体を形成するために最初に架橋促進剤と反応することによって加硫速度を増大させる化学物質である。 そして、この溶解性ゴム(rubber-soluble)の錯体は硫化剤を形成するために、硫黄と反応する。 一般的なクラスの架橋促進剤には、アミン、ジアミン、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカーバメイト、キサントゲン酸塩、およびこれらに類するものが含まれる。 架橋促進剤は、加硫の開始点および加硫速度、および形成される架橋の数および架橋のタイプを制御するのに役立つ。 架橋抑制剤は、未架橋のゴムを処理するのに必要な時間を確保するために、キュアの初期の開始時期を遅らせるために使用することができる。
加硫プロセスを促進することは、反応促進剤(通常有機コンパウンドが使用される)の量を調節することによってコントロールすることができる。 天然ゴム、BR、およびSBRの加硫を促進するメカニズムには、硬化剤、促進剤、開始剤、およびポリマーの間の複雑な相互作用が関係する。 理想的には、利用可能な硬化剤のすべてが、二つのポリマー鎖を一緒に結合し、ポリマーマトリックスの全体的な強度を向上させるという、適切な架橋を行なう間に消費されてしまうことである。 この分野では、多くの架橋促進剤が知られており、非限定的な例として、以下のようなものがある。 すなわち、ステアリン酸、ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、N-第三級ブチル-ベンゾチアゾルサルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾル-サルフェンアミド(CBS)、およびチオ尿素である。
一つの実施例においては、少なくとも一つのキュア剤(硬化剤)が、0.2〜10重量部の範囲、または0.5〜5重量部の範囲の量添加され、また別の実施例では、0.75〜2重量部の範囲の量添加される。

プロセス
エラストマ組成物は、当該技術の分野で従来から知られている方法によって混合される。 混合は、単一のステップまたは複数のステップを経て行われる。 例えば、組成物を構成する材料は、典型的には、少なくとも2つのステップを経て混合される。 すなわち、少なくとも一つの非生産的な混合段階の後に生産的な混合段階が続く。 典型的には、最後の混合段階において、硬化剤が混合される。 そしてこの最後の混合段階が、従来より「生産的な混合段階」と呼ばれている。 この生産的な混合段階においては、混合は、非生産的な混合段階を実行する時の混合温度よりも低い温度において、行われる。 エラストマ、ポリマー添加物、シリカおよびシリカ結合剤、および(もし必要であるならば)カーボンブラックが、一つ又はそれ以上の非生産的混合段階を経て混合される。 この「非生産的な混合段階」、「生産的な混合段階」という用語はゴムを混合する技術の分野においては、よく知られたものである。
一つの実施例においては、酸化亜鉛およびその他のキュア開始剤、促進剤を添加する混合段階とは別の混合段階においてカーボンブラックが、添加される。 別の実施例においては、カーボンブラックがエラストマと一緒に処理された後の混合段階において、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、および処理材料(processing material)が添加される。 そして、酸化亜鉛が組成物の弾性を最大化するために最後の混合段階で添加される。 別の実施例においては、一つまたはそれ以上のフィラーを追加的に添加する混合段階が追加される。
別の実施例によれば、組成物の混合は、適切なミキサーにエラストマ成分、フィラーとクレイを一緒に投入することによって、当該技術分野における周知の技術を使って行われる。 このミキサーには、例えば、2ロール方式のオープン型ミル、Brabender(登録商標)インターナルミキサー、接線式ロータを有するBanbury(登録商標) インターナルミキサー、噛み合い式ロータを有するKrupp(登録商標) インターナルミキサー、あるいは好ましくは、ミキサー/押出機がある。 ある実施例においては、組成物の中に使用されているエラストマの融点までの温度範囲において、混合が行われる。 また別の実施例では、40〜250℃の温度範囲で混合が行われ、更に別の実施例では、100〜200℃の温度範囲で混合が行われる。 この混合は、一般に、ナノコンポジットを形成するために、クレイが十分に剥離し、エラストマの中にクレイが均一に分散するのに十分なせん断力が作用するようにして行われる。
典型的には、20秒から90秒の間、または温度が40〜75℃に到達するまでの間、70%から100%までの一種類または複数のエラストマが最初に混合される。 それから、約75%のフィラーと、もしあれば残ったエラストマをミキサーに加え、温度が90〜150℃に到達するまで混合を続ける。 そして処理補助剤と一緒に残りのフィラーを加え、使用しているポリマーに依存するが、温度が130〜190℃に到達するまで混合を続ける。 そしてマスターバッチの混合は、オープンミル上でシーティングすることによって終了し、例えば、硬化剤が添加される時には、60〜100℃まで冷却される。
クレイとの混合は、この技術分野において良く知られた技術をつかって行われる。 ある実施例においては、クレイはカーボンブラックと同時に、ポリマーの中へ添加される。 HPA処理補助剤は、典型的には、カーボンブラックとクレイがエラストマのマトリックス中に適切に分散された後の、混合サイクルの後の段階において添加される。
キュアされた組成物には、HPA処理補助剤が添加された種々のエラストマとフィラーが含まれている。 ある実施例においては、このエラストマ組成物は、典型的には、5〜50重量部の範囲で存在するHPAと共に、イソブチレンベースのエラストマ、好ましくは、ハロゲン化したポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)のようなC〜Cのモノオレフィンエラストマを含んでいる。 また、別の実施例では、このHPAは、10〜30重量部の範囲で存在している。
本発明において有用なイソブチレンベースのエラストマは、ここで開示するように、種々のその他のゴムまたはプラスチック、特に、ナイロンやポリプロピレンまたはポリプロピレンのコポリマーのような熱可塑性樹脂と、ブレンドすることができる。 これらの組成物は、空気袋、タイヤの内側チューブ、タイヤの内側ライナー、エアー・スリーブ(空気衝撃吸収材)、ダイヤフラム、その他、高い空気や酸素の保持性が必要となる応用分野のような空気バリヤに特に有用である。 ある実施例においては、キュアされた組成物の、40℃における透過流速係数は220 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または200 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または160 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または140 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または120 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または100 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下である。 また別の好適な実施例においては、キュアされた組成物の、40℃における透過流速係数は90 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または80 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または75 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下であり、または70 cc*mm/(m2*day)に等しいかそれ以下である。
一つの実施例においては、空気バリアは、C〜Cのイソモノオレフィン由来のユニット、少なくとも一つのフィラー、少なくともひとつのHPA、クレイ、および少なくとも一つのキュア剤(硬化剤)、からなるランダムコポリマーを組合せ、そしてこの組合せた組成物をキュアすることによって作り出すことができる。
上述したエラストマ組成物は、タイヤの生産において使われる内側チューブや内側ライナーのような空気膜を製造する際に使用される。 内側ライナーとタイヤを製造するために使用される方法および設備は、当該技術の分野ては良く知られたものである。 本発明では、内側ライナーやタイヤなどのものを製造するために使用する方法を特定のものに限定するものではない。

産業上の応用
このエラストマ組成物は、繊維、フィルム、積層材、レイヤー、自動車用部品、電化製品のハウジング、消費財、包装材、およびこれらに類するもののような種々の形状をした物に成形するために、押出成形、加圧成形、ブロー成形、射出成形、積層成形を適用することができる。
特に、このエラストマ組成物は、トラックのタイヤ、バスのタイヤ、自動車のタイヤ、自転車のタイヤ、オフロード用のタイヤ、航空機のタイヤ、およびこれらに類したものなどの種々のタイヤの部品に有用である。 かかるタイヤは、当該技術の分野で公知な種々の方法を使って、組立、整形、成形、キュアが行われる。 エラストマ組成物は、最終的な製品として製造されるか、あるいは、タイヤの内側ライナーのような最終製品の部品として製造される。 かかる物(製品、部品)は、空気バリア、空気膜、フィルム、レイヤー(マイクロレイヤー及び/又はマルチレイヤー)、内側ライナー、内側チューブ、空気スリーブ、タイヤ硬化用の空気袋、およびこれらに類したものの中から選択することができる。
本発明に係るエラストマ組成物は、種々の応用分野、特に、空気タイヤの部品、ホース、コンベアベルトや自動車用ベルトのようなベルト類、ソリッドタイヤ、靴の部品、グラフイックアート用のローラ、防振用デバイス、薬剤用デバイス、接着剤、コーキング剤、シーリング剤、ツヤだし用コンパウンド、保護コーティング剤、エアークッション、空気バネ、空気ベローズ、アキュムレータバッグ、流体保持用およびキュアプロセスにおいて使用する空気袋、において有用である。
このエラストマ組成物は、成形ゴム部品においても有用であり、自動車のサスペンションバンパー、自動車の排気系ハンガー、およびボティのマウンターの幅広い分野においても有用であることが見出されている。 更に、別の応用分野として、本発明のエラストマまたはエラストマ組成物は、薬剤のストッパーや医療デバイスのクロージャやコーティング剤としても有用である。
本発明に係るエラストマ組成物は、タイヤの内側ライナーと内側チューブ、更には良好な空気保持特性を必要とするその他のものに適している。 良好な空気非透過性を有するタイヤの内側ライナーは、内圧維持のために行うメインテナンス性の向上、タイヤの回転抵抗の低減すなわち適切に内圧を維持することよる燃料消費量の低減、良好なタイヤトレッドパターンと均一な磨耗特性によるタイヤの長寿命化、および適切な内圧の維持によるスムースなステアリングのレスポンスを実現することを可能ならしめる。
エラストマ、HPA、クレイからなるエラストマ組成物について、以下の非限定的な実施例により更に詳細に説明する。
可能な場合、キュアした組成物の物理的特性を特定するために標準的なASTMのテスト法を使用した。 応力/歪み特性(例えば、引張強度、破断点伸び、弾性率、破断エネルギ)は、インストロン試験機を使い、ASTM D412に準拠し、「Die-C」を使用して室温にて測定した。 引張強度の測定は、室温で行い、試験片(ドッグボーン形のもの)は幅6mmとし、両タブ間の長さを33mmとした。試験片の厚さは、ノミナルで2.00mmであるが、この試験片の厚さは変化し、システムコンピュータに接続されたミツトヨのデジタル測定器を使用し、マニュアルで測定を行った。 この試験片はヘッドスピード500 mm/minの速度で引張り、応力/歪み特性のデータを記録した。 平均の応力/歪みデータは、少なくとも3つの試験片のデータに基づくものである。 引張強度の測定値における標準偏差(2σ)は、±0.47 MPaであった。 100%伸び弾性率の測定値における標準偏差(2σ)は、±0.11 MPa、伸びの測定値における標準偏差(2σ)は、±13 %であった。
キュア特性は、Alpha Technologies Inc.製のMDR 2000を使用し、ASTM D5289に基き、0.5度の円弧角で、表示された温度で測定した。 ここで使用する「MH」と「ML」の値は、「最大トルク」、「最小トルク」をそれぞれ示すものである。 「MS」の値は、ムーニースコーチ試験の値であり、「ML(1+8)」の値は、ポリマーのムーニー粘度の値であり、「ML(1+4)」の値は、組成物のムーニー粘度の値である。 ムーニー粘度の測定値における標準偏差(2σ)は、±0.65である。 「Tc」、「Ts」の値は、それぞれキュア時間(分)、スコーチ時間(分)である。
透過性の測定は、Mocon OxTran Model 2/61 酸素透過率測定装置を使用して実施した。 酸素透過率は、酸素が薄いフィルムを通って通過するという原理に基き、動的な測定値によって測定される。 組成物のサンプルをディフュージョン・セルの中でクランプ固定する。 このサンプルは、約5.0cmの直径と0.5mmの板厚を有している。 次に、セルは、高純度の窒素キャリアガスを使用して残っている酸素を追い出す。 窒素ガスは、センサーの値が安定的にゼロになるまで、送り続けられる。 この測定は、典型的には、40℃にて行われる。 純粋な酸素が、ディフュージョン・セルのチャンバーの外側に導入される。 サンプルを通過して酸素が内側のチャンバーに拡散することによって、酸素の拡散速度が計測される。 酸素の拡散速度は、透過流束係数として表現される。 透過流速係数は、サンプルの厚さによってノーマライズされた透過流束であり、ある時間単位(例えば、24時間)当たりにかつ、サンプルの単位面積(m2)当たりに、ガスの透過する体積(cc)として表され、cc*mm/(m2*day)の単位を有する。 透過係数は、圧力差を考慮したものであり、cc*mm/(m2*day*mmHg)の単位で表される。
炭化水素ポリマー添加物の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィによって決定される。 分子量(Mn, Mw, Mz)と分子量分布(MWD)を決定するためのテクニックは、一般的に、米国特許No.4,540,753に説明されており、この米国特許は、ここで参照することにより、本明細書に取り入れられるものとする。 多分散性指数(PDI)は、Mw/Mnとして計算される。 炭化水素ポリマー添加物の溶融粘度は、「Brookfield viscometerのJ型スピンドル」を使用し、ASTM D-6267に準拠して決定される。
ここで使用される各種試験方法のリストを表1に示す。 また、実施例で使用している種々のコンポーネントのリストを表2に示す。

Figure 2010043257
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実施例では、バンバリミキサーを使用して、モデルとしてのタイヤの内側ライナーの組成物を準備した。 ミキサーのローターの回転速度を70rpmとし、ラム圧を60psiとし、チャンバーの温度を70℃として、非生産的な混合サイクル(最初の混合段階)を行った。 非生産的な混合段階において、エラストマ、クレイ(A2, B7, およびB9のみの組成物)、又はクレイ/トリエチルアミン(TEA)のペースト(A3-A7, B8, 及びC10のみの組成物)、およびHPAを添加した。 TEAを含有する組成物では、クレイ/TEAのペーストを形成するために混合する前に、TEAは乾燥したナトリウムクレイの中に直接添加される。 ラム圧を下げ、そして120秒後に最初の混合段階におけるその他の構成成分を添加した。 組成物の温度を160℃まで上げ、その組成物を300秒の間混合した。
2番目の混合段階(生産的な混合段階)では、ローターの回転速度を30-40rpmとし、ラム圧を50psiとし、チャンバーの温度を60℃となるように、バンバリミキサーを設定した。 最初の混合段階における組成物の半分を、2番目の混合段階において混合すべき構成成分と一緒に混合した。 そして、その後ラム圧を低下させる前に、最初の混合段階における残りの組成物を添加した。 その後、その組成物を90秒間混合した。 その組成物を、冷めた状態に維持されたミルへ導入することによって、2ロールのミルでシート状に成形した。 非生産的な混合段階、および生産的な混合段階において、バンバリミキサーで混合され取り出される組成物の温度は、それぞれ160℃と105℃であった。

実施例1
実施例1における、モデルとしてのタイヤの内側ライナーの組成物の処方を表3に示す。 ここで、表3に示す量は、すべて重量部で示してある。 組成物A1は、比較例としての組成物の処方を示したものである。 組成物A2では、比較例であるA1にナトリウムクレイを添加したものである。 組成物A3, A4, A5では、クレイ/TEAのペーストを、量を変えて添加したものである。 これらの組成物に対して、プロセス特性、硬化特性、および物理的特性にわたって特性を評価した。 その結果を表4に示す。

Figure 2010043257
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組成物A1の組成をコントロールするために組成物A2にナトリウムクレイを添加することによって、その組成物の他の諸特性にわずかな影響を与えるのみで、組成物A2のガス不透過性が向上した。 これは、非極性のエラストマポリマーの中にナトリウムクレイイオンの配分や分散が十分でなかったために、組成物の特性にほんのわずかな変化が生じたものと考えられる。 更に、エラストマポリマーの中にナトリウムクレイイオンの配分や分散がもっと十分に行われた場合には、クレイを含有することによる組成物の特性にもっと大きな影響を与えるものと考えられる。
TEA(トリエチルアミン)を少量含む場合(組成物A3、TEAを0.05重量部含有)、組成物のガス不透過性は、ナトリウムクレイを含有する配合成分(組成物A2)のガス不透過性とほぼ同じであった。 しかし、TEA(トリエチルアミン)の含有量が多くなった場合(組成物A4およびA5)、組成物のガス不透過性は、比較例である配合成分(組成物A1)のガス不透過性よりも劣化する(すなわち、組成物A4とA5はより高い透過性を示している)。
組成物A3, A4, およびA5にTEA(トリエチルアミン)を添加することによって、組成物の特性に何かしらの影響があった。 更に、その影響の大きさは、TEAの含有量に対応したものとなっている。 組成物の中に含有するTEAの量を多くするとムーニー粘度が高くなった。 TEAの量を多くするとムーニー粘度が高くなることは、エラストマポリマーの中にアンモニウムの部位の数が増加したことによるものと考えられる。
更に、TEAが存在することによって、特にTEAが高い含有量で存在する場合に、ムーニースコーチの値が顕著に低下している。 このことは、TEAは、組成物の硬化を早めるという望ましくない現象を引き起こしているものと考えられる。

実施例2
実施例2では、比較例としての配合成分(組成物A)のナフテン酸プロセス油(すなわちCalsol[登録商標] 810)をHPAで置き換えた。 組成物B1では、8重量部のナフテン酸プロセス油の代わりに25重量部のHPAを使用した。 組成物B2では、ナトリウムクレイを添加し、組成物B3では、ナトリウムクレイ/TEAのペーストを添加した。 これらの組成物の配合成分を表5に示す。 表中の数値は全て重量部として表したものである。 これらの組成物の諸特性についてテストを行い、表6に示すようなデータを得た。
Figure 2010043257
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ナフテン酸プロセス油をHPAに置き換えることによっては、モデルとしてのタイヤ内側ライナー用組成物の硬度、引張特性、および引裂特性にはあまり変化は見られない。 実施例2における組成物のMDR値は、実施例1におけるMDR値よりも低い。 このことは、実施例2の方が、キュア速度が遅いことを意味している。 しかし、このキュア速度は、例えば、別のキュア促進剤を使用するなどして、キュアパッケージを修正することによって調整することができる。
HPAを含有する組成物のムーニー粘度は、実施例1におけるモデルとしての組成物のムーニー粘度に比べて低くなっている。 しかし、このムーニー粘度は、プロセス性の観点からは、まだ望ましい範囲、それは50−60MUであるが、の中に留まっている。 更に、実施例2における組成物のムーニースコーチの値は少し高くなっており、このことはHPAを含有する組成物はキュアの安定性が良いことを意味している。
ナフテン酸プロセス油をHPAで置き換えることによって、組成物のガス透過性が大幅に低減した。 組成物A1と比べてみると、組成物A1の透過流速係数が150 cc*mm/(m2*day)であるのに対して、組成物B1の透過流速係数は87 cc*mm/(m2*day)となっており、ナフテン酸プロセス油をHPAで置き換えることによって組成物の透過流速係数を42%向上させることができたことを示している。 更に、組成物B2においてナトリウムクレイを添加することによって、組成物の透過流速係数は更に向上しており、組成物B1の透過流速係数87 cc*mm/(m2*day)が透過流速係数67 cc*mm/(m2*day)(組成物B2)まで向上している。 これを、組成物A1と比べると、透過流速係数が55%向上したことになる。
ナフテン酸プロセス油をHPAで置き換えることによって、組成物A1の機械的、物理的特性に対して、良くなるという訳ではないにしても、ほぼ同じ値を維持しつつ、組成物のガス透過性が40−50%向上させることができた。 また、ナトリウムクレイを、HPAを含有する内側ライナー用組成物の配合成分に加えることによって、組成物の機械的、物理的な特性を許容範囲内に維持しつつ、更にガス透過性を向上させることができた。

実施例3
実施例3では、実施例1のモデルとしてのタイヤ内側ライナー用組成物の配合成分のナフテン酸プロセス油(すなわちCalsol[登録商標] 810)とタキネス向上剤としてのフェノール樹脂(すなわち、SP1068)をHPA(すなわちOppera[登録商標]103J)に置き換えることによって試験を行った。 実施例3において使用されているタイヤ組成物の配合成分を表7に示す。表中の数値は全て重量部として表したものである。 実施例1の組成物A1をタイヤ内側ライナ用組成物の配合成分の典型的な比較例として示してある。 組成物C1においては、組成物A1の12重量部のナフテン酸プロセス油(Calsol[登録商標] 810)とフェノール樹脂(SP1068)を29重量部のHPA(Oppera[登録商標]103J)で置き換えて使用している。 組成物C2は基本的には組成物C1と同じであるが、0.1重量部のTEA(トリエチルアミン)を含んでいる点において異なる。 これらの組成物のプロセス特性、キュア特性、および物理的特性についてテストを行い、表8に示すようなデータを得た。
Figure 2010043257
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ナフテン酸プロセス油とタキネス向上剤としてのフェノール樹脂をHPAに置き換えることによって、比較例である組成物A1と類似の特性を持った組成物をが出来上がり、実施例2でナフテン酸プロセス油だけをHPAで置き換えたときに得られた組成物と類似している。 組成物A1、C1、およびC2の機械的な特性、すなわち引張強度や硬度は、タイヤの内側ライナーとして製造ターゲットとして必要な数値範囲に全て入っている。 タイヤの内側ライナー用組成物としての典型的な特性としては、9〜11 MPa の引張強度、約700〜900 % の破断伸び、約50〜70 MUのムーニー粘度(ML 1+4)となっている。(「Advances in Tire Innerliner Technologies」Rubber World, Volume 234, No. 3, 36−41頁[2006年6月]; Brendan Rodgers 他著 参照のこと; なお、本文献はここで参照することにより、本明細書に取り入れられるものとする。)
しかしながら、組成物C1とC2においては、ナフテン酸プロセス油とタキネス向上剤としてのフェノール樹脂はHPAに置き換えられていることから、ムーニースコーチの値が低すぎて測定不能であった。 このことは、これらの組成物は早期キュアを起こしている可能性を示している。 従って、フェノール樹脂が存在しないとキュアの安定性が極端に低下するため、フェノール樹脂をHPAで置き換えることは不適切であることが分かる。
そうではあっても、組成物C1において、ナフテン酸プロセス油とタキネス向上剤としてのフェノール樹脂はHPAに置き換えることによって、酸素透過性試験による透過流速係数は、72 cc*mm/(m2*day)まで低減することができた。 これは、組成物A1の透過流速係数を50%まで低減したことになる。 また、これは、典型的なブロモブチルゴム製のタイヤの内側ライナー用組成物に比べ、60 % 近くのガス透過特性が向上したことになる。 ここで、このブロモブチルゴム製のタイヤの内側ライナー用組成物は220 cc*mm/(m2*day)までの透過流速係数を有している。 (「Advances in Tire Innerliner Technologies」Rubber World, Volume 234, No. 3, 36−41頁[2006年6月]; Brendan Rodgers 他著 参照のこと。)
組成物C2においては、TEA(トリエチルアミン)を配合成分の中に加えているので、同様に低い透過流速係数を有している。 TEAは、モンミリロナイトクレイの分散を容易にする働きがあると考えられている。 HPAを含有したタイヤの内側ライナー用組成物は、TEAの有無に関わらず、その他の必要な機械的な特性を維持しつつ、特に優れたガス透過特性(すなわち、低い透過流速係数)を有している。
本明細書において引用した全ての特許および特許出願、試験手順(ASTM規格、UL規格等)、その他の文書は、本明細書において参照することによって本明細書に組み入れられるものとする。 そしてそこで開示されているものは本発明と矛盾するものではなく、この明細書に組み入れることは法的にも許されるべきものである。
本明細書において、数値の上限と下限が示されている場合、これらの数値の上限と下限で与えられる範囲は、十分検討したうえで設定されたものである。 本発明の例示的な実施例について詳細に説明しているが、当業者であれば、本発明の技術的思想および本発明の技術的範囲から離れることなく、これらの実施例を改良することは容易なことであるということを理解しておく必要がある。 従って、本明細書に添付する特許請求の範囲に記載された発明の範囲を、これらの実施例および明細書に記載された事項に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載された請求項は、本発明に属する新規な特許性のあるすべての技術的な特徴を包含するものである。 そして、特許請求の範囲に記載された請求項は、本発明が属する技術分野の当業者にとって均等なものと考えられる全ての技術的特徴を包含しているものであると理解する必要がある。

Claims (15)

  1. キュアされたエラストマ組成物であって、
    (a) 少なくとも一つのC4−C7モノオレフィンエラストマと、
    (b) 炭化水素ポリマー添加物であって、環状成分を備えた炭化水素ポリマー添加物と、
    (c) クレイと、
    から成り、当該エラストマ組成物が、40℃における透過流速係数が90 cc*mm/(m2*day)かまたはそれ以下であることを特徴とするエラストマ組成物。
  2. 請求項1に記載のエラストマ組成物であって、前記炭化水素ポリマー添加物が10〜40重量部の範囲で含有されていることを特徴とするエラストマ組成物。
  3. 請求項1または2に記載のエラストマ組成物であって、当該エラストマ組成物は、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、デンプン、木粉、カーボン・ブラック、およびこれらの混合物の中から選択される一つまたは複数のフィラーを更に含んでいることを特徴とするエラストマ組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、前記クレイは、剥離したクレイであって、剥離した天然の、又は合成したモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、サウコナイト、マガダイト、ケニヤイト、スティーンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミン酸塩酸化物、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物からなる群の中から選択されたものであることを特徴とするエラストマ組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、当該エラストマ組成物は、実質的にナフテン酸油を含まないことを特徴とするエラストマ組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、前記炭化水素ポリマー添加物が、少なくとも75重量%の環状成分を含有することを特徴とするエラストマ組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、前記炭化水素ポリマー添加物がジシクロペンタジエンから成ることを特徴とするエラストマ組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、前記炭化水素ポリマー添加物が115〜130 ℃の範囲の軟化点温度を有することを特徴とするエラストマ組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、前記炭化水素ポリマー添加物が、500〜700 g/moleの範囲のMwと、65〜75 ℃の範囲のTgを有することを特徴とするエラストマ組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のエラストマ組成物であって、当該エラストマ組成物が、空気バリア材、タイヤの内側ライナー、内側チューブ、あるいはホースであることを特徴とするエラストマ組成物。
  11. エラストマ組成物からなる空気バリア材であって、当該エラストマ組成物は、
    (a) 少なくとも一つのC4−C7モノオレフィンべースのエラストマと、少なくとも一つのフィラーと、少なくとも一つのクレイと、少なくとも一つの環状成分を備えた炭化水素ポリマー添加物とからなるコンポーネントを混合するステップと、
    (b) 前記混合されたコンポーネントをキュアするステップと、
    からなる方法によって製造されることを特徴とする空気バリア材。
  12. 請求項11に記載の空気バリア材であって、当該空気バリアがタイヤの内側ライナー、内側チューブ、あるいはホースであることを特徴とする空気バリア材。
  13. 請求項11または12に記載の空気バリア材であって、前記クレイは、剥離したクレイであって、剥離した天然の、又は合成したモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、サウコナイト、マガダイト、ケニヤイト、スティーンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミン酸塩酸化物、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物からなる群の中から選択されたものであることを特徴とする空気バリア材。
  14. 請求項11乃至13のいずれかに記載した空気バリア材であって、前記炭化水素ポリマー添加物が、少なくとも75重量%の環状成分を含有することを特徴とする空気バリア材。
  15. 請求項11乃至14のいずれかに記載した空気バリア材であって、前記炭化水素ポリマー添加物が115〜130 ℃の範囲の軟化点温度を有することを特徴とするエラストマ組成物。
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