JP2010038349A - 玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受内部に封入されたグリースの外部への漏れ出しを効果的に防止することができる玉軸受を提供する。
【解決手段】冠型保持器14の内周側又は外周側に、少なくとも冠型保持器14の軸方向端面に開口する肉盗み部21が、円周方向に所定の間隔を存して複数設けられ、肉盗み部21は、一対の保持爪19の背面間にあって互いの保持爪19を連結するように架け渡し形成される底壁部22と、一対の保持爪19の背面間にあって互いの保持爪19を連結するように連続して形成され底壁部22に立設される縦壁部23と、一対の保持爪19の背面に形成される一対の側壁部24と、から構成され、底壁部22が、冠型保持器14の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、玉軸受に関し、特に、軸方向端部にシール部材が設けられる玉軸受に関する。
従来の玉軸受としては、例えば、図12に示すような玉軸受100が知られている。この玉軸受100は、内周面に外輪軌道面101aを有する外輪101と、外周面に内輪軌道面102aを有する内輪102と、外輪軌道面101aと内輪軌道面102aとの間に転動可能に配設される複数の玉103と、複数の玉103を円周方向に略等間隔で保持する合成樹脂製の冠型保持器104と、外輪101と内輪102との間の軸方向両端部に配置されるシール部材105と、を備える。
冠型保持器104は、図13に示すように、円環状のリム部106と、リム部106の軸方向端面に円周方向に所定の間隔を存して複数配置される柱部107と、柱部107間に互いに隣り合うように形成され、複数の玉103を円周方向に略等間隔で転動可能に保持するポケット部108と、ポケット部108の内周面の円周方向両端部に形成される一対の爪部109と、一対の爪部109の各先端間に形成される開口部110と、リム部106の外周側に形成される肉盗み部111と、を備える。そして、この玉軸受100では、上記肉盗み部111によりリム部106側の空間容積を広げて、軸受100内部に封入されるグリースの漏れを抑制している(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−35317号公報
ここで、上記した従来の玉軸受100では、肉盗み部111は、一対の爪部109の背面間にあって互いの爪部109を連結するように架け渡し形成される底壁部112と、一対の爪部109の背面間にあって互いの爪部109を連結するように連続して形成され底壁部112に立設される縦壁部113と、一対の爪部109の背面に形成される一対の側壁部114と、一対の側壁部114の開口側端部から軸方向に沿ってそれぞれ形成される平面壁部115と、から構成される。
そして、このような冠型保持器104が組み込まれた玉軸受100が回転すると、封入されたグリースも回転に伴って玉軸受100内で流動して、外輪軌道面101a及び内輪軌道面102aと玉103との間を潤滑する。この際、肉盗み部111にもグリースが流入して、そのグリースの一部は、底壁部112、一対の側壁部114、及び平面壁部115に案内されて、図12及び図13の矢印X,Yで示すように、シール部材105に対して略直角に流動して、シール部材105を押圧する。このため、シール部材105の外方に弾性変形して、内輪102とシール部材105との間からグリースが外部に漏れ出す可能性があった。
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏れ出しを効果的に防止することができる玉軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面と内輪軌道面との間に転動可能に配設される複数の転動体と、複数の転動体を円周方向に略等間隔で保持する複数の一対の保持爪を有する冠型保持器と、外輪と内輪との間の軸方向両端部に配置されるシール部材と、を備える玉軸受であって、冠型保持器の内周側又は外周側に、少なくとも冠型保持器の軸方向端面に開口する肉盗み部が、円周方向に所定の間隔を存して複数設けられ、肉盗み部は、一対の保持爪の背面間にあって互いの保持爪を連結するように架け渡し形成される底壁部と、一対の保持爪の背面間にあって互いの保持爪を連結するように連続して形成され底壁部に立設される縦壁部と、一対の保持爪の背面に形成される一対の側壁部と、から構成され、底壁部が、冠型保持器の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有することを特徴とする玉軸受。
(2)隣り合う肉盗み部間に、冠型保持器のリム部から径方向外側に突出して、外輪の内周面と摺接する外輪側案内部、又は、冠型保持器のリム部から径方向内側に突出して、内輪の外周面と摺接する内輪側案内部が設けられることを特徴とする(1)に記載の玉軸受。
本発明の玉軸受によれば、冠型保持器の内周側又は外周側に、少なくとも冠型保持器の軸方向端面に開口する肉盗み部が、円周方向に所定の間隔を存して複数設けられ、肉盗み部は、一対の保持爪の背面間にあって互いの保持爪を連結するように架け渡し形成される底壁部と、一対の保持爪の背面間にあって互いの保持爪を連結するように連続して形成され底壁部に立設される縦壁部と、一対の保持爪の背面に形成される一対の側壁部と、から構成され、底壁部が、冠型保持器の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有するため、肉盗み部に流入したグリースは、肉盗み部の各壁部で案内されて、軸方向に対して傾斜する方向に流動、即ち、シール部材に対して斜めの方向から流動する。これにより、シール部材に掛かるグリースの押圧力が弱くなり、シール部材の弾性変形を防止することができるので、グリースの軸受外部への漏れ出しを効果的に防止することができる。
また、本発明の玉軸受によれば、隣り合う肉盗み部間に、冠型保持器のリム部から径方向外側に突出して、外輪の内周面と摺接する外輪側案内部、又は、冠型保持器のリム部から径方向内側に突出して、内輪の外周面と摺接する内輪側案内部が設けられるため、冠型保持器の外周面と外輪の内周面との隙間、又は、冠型保持器の内周面と内輪の外周面との隙間が狭められる。これにより、グリースがシール部材側に流動するのを抑制することができるので、グリースの軸受外部への漏れ出しを更に効果的に防止することができる。
以下、本発明に係る玉軸受の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明に係る玉軸受の第1実施形態について説明する。
本実施形態の玉軸受10は、図1に示すように、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に転動可能に配設される複数の玉(転動体)13と、複数の玉13を円周方向に略等間隔で保持する合成樹脂製の冠型保持器14と、外輪11の内周面の軸方向両端部に取り付けられ、外輪11と内輪12との間を封止するシール部材15と、を備える。
冠型保持器14は、図2に示すように、円環状のリム部16と、リム部16の軸方向端面に円周方向に所定の間隔を存して複数配置され、軸方向に突出する柱部17と、柱部17間に互いに隣り合うように形成され、複数の玉13を円周方向に略等間隔で転動可能に保持するポケット部18と、ポケット部18の内周面の円周方向両端部に形成される一対の爪部(保持爪)19と、一対の爪部19の各先端間に形成される開口部20と、を備える。そして、開口部20から玉13を一対の爪部19を押し広げつつポケット部18に押し込むことによって、ポケット部18内に玉13が微小なすきまを介して転動可能に保持される。なお、ポケット部18の内周面は、球面状でも円筒状であってもよい。
冠形保持器14の合成樹脂材料としては、例えば、46ナイロンや66ナイロン等のポリアミド系樹脂の他に、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルサイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)等が挙げられる。また、これらの樹脂材料に10〜50重量%の繊維状充填材(例えば、ガラス繊維や炭素繊維等)を適宜添加することにより、冠形保持器14の剛性及び寸法精度を向上させることができる。
そして、本実施形態では、冠型保持器14のリム部16及び柱部17の外周側に、冠型保持器14の外周面及び軸方向端面に開口する肉盗み部21がそれぞれ形成されており、この肉盗み部21は、一対の爪部19の背面間にあって互いの爪部19を連結するように架け渡し形成される底壁部22と、一対の爪部19の背面間にあって互いの爪部19を連結するように連続して形成され底壁部22に立設される縦壁部23と、一対の爪部19の背面に形成される一対の側壁部24と、から構成される。また、肉盗み部21は、封入されたグリースが貯留されるグリース溜り部としても機能する。
また、本実施形態では、底壁部22は、図1に示すように、爪部19側から軸方向外側に向かうに従って次第に内周側に傾斜するように形成され、一対の側壁部24は、図2に示すように、ポケット部18の内周面に倣って円弧状に形成される。即ち、底壁部22は、冠型保持器14の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有している。
このように構成された玉軸受10では、玉軸受10が回転すると、封入されたグリースも回転に伴って玉軸受10内で流動して、外輪軌道面11a及び内輪軌道面12aと玉13との間を潤滑する。この際、肉盗み部21にもグリースが流入して、そのグリースの一部は、底壁部22及び一対の側壁部24に案内されて、図1及び図2の矢印A,Bに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。
以上説明したように、本実施形態の玉軸受10によれば、冠型保持器14のリム部16及び柱部17の外周側に、冠型保持器14の外周面及び軸方向端面に開口する肉盗み部21が形成され、肉盗み部21を構成する底壁部22が、冠型保持器14の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有するため、肉盗み部21に流入したグリースは、肉盗み部21の底壁部22及び一対の側壁部24で案内されて、軸方向に対して傾斜する方向に流動、即ち、シール部材15に対して斜めの方向から流動する。これにより、シール部材15に掛かるグリースの押圧力が弱くなり、シール部材15の弾性変形を防止することができるので、グリースの軸受外部への漏れ出しを効果的に防止することができる。
なお、本実施形態の第1変形例として、図3に示すように、肉盗み部21を構成する一対の側壁部24を、爪部19側から軸方向外側に向かうに従って次第に間隔が広がるように直線状に傾斜して形成される一対の側壁部26としてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部22及び一対の側壁部26に案内されて、図1及び図3の矢印A,Cに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。
また、本実施形態の第2変形例として、図4に示すように、肉盗み部21を構成する縦壁部23及び一対の側壁部24を、1つの円弧状の側壁部27で形成するようにしてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部22及び側壁部27に案内されて、図1及び図4の矢印A,Dに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。
また、本実施形態の第3変形例として、図5に示すように、肉盗み部21を構成する底壁部22を、冠型保持器14の外周面から軸方向外側に向かうに従って次第に内周側に傾斜するように形成される底壁部28としてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部28及び一対の側壁部24に案内されて、図5及び図2の矢印E,Bに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。なお、本変形例では、冠型保持器14の外周面から底壁部28を形成するため、縦壁部23は形成されない。
(第2実施形態)
次に、図6〜図10を参照して、本発明に係る玉軸受の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態の玉軸受30の冠型保持器14では、図6及び図7に示すように、隣り合う肉盗み部21間のリム部16の外周面に、リム部16から径方向外側に突出して、外輪11の内周面11bと摺接する外輪側案内部31が円周方向に沿って形成される。これにより、冠型保持器14の外周面と外輪11の内周面11bとの隙間が狭められるので、グリースのシール部材15側への流動が抑制され、グリースの軸受外部への漏れ出しが更に防止される。
なお、本実施形態では、リム部16の外周面に外輪側案内部31を形成したが、これに限定されず、外輪側案内部31の代わりに、隣り合う肉盗み部21間のリム部16の内周面に、リム部16から径方向内側に突出して、内輪12の外周面と摺接する内輪側案内部を円周方向に沿って形成してもよい。
以上説明したように、本実施形態の玉軸受10によれば、隣り合う肉盗み部21間に、リム部16から径方向外側に突出して、外輪11の内周面11bと摺接する外輪側案内部31が形成されるため、冠型保持器14の外周面と外輪11の内周面11bとの隙間が狭められる。これにより、グリースがシール部材15側に流動するのを抑制することができるので、グリースの軸受外部への漏れ出しを更に効果的に防止することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態の第1変形例として、図8に示すように、肉盗み部21を構成する一対の側壁部24を、爪部19側から軸方向外側に向かうに従って次第に間隔が広がるように直線状に傾斜して形成される一対の側壁部26としてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部22及び一対の側壁部26に案内されて、図6及び図8の矢印A,Cに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。
また、本実施形態の第2変形例として、図9に示すように、肉盗み部21を構成する縦壁部23及び一対の側壁部24を、1つの円弧状の側壁部27で形成するようにしてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部22及び側壁部27に案内されて、図6及び図9の矢印A,Dに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。
また、本実施形態の第3変形例として、図10に示すように、肉盗み部21を構成する底壁部22を、冠型保持器14の外周面から軸方向外側に向かうに従って次第に内周側に傾斜するように形成される底壁部28としてもよい。この場合、肉盗み部21に流入したグリースは、底壁部28及び一対の側壁部24に案内されて、図10及び図7の矢印E,Bに示すように、シール部材15に対して斜め方向に流動する。なお、本変形例では、冠型保持器14の外周面から底壁部28を形成するため、縦壁部23は形成されない。
なお、本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記各実施形態において、肉盗み部21を構成する底壁部22、縦壁部23、側壁部24、側壁部26、側壁部27、及び底壁部28の組み合わせは自由である。
また、上記各実施形態では、冠型保持器14の外周側に、冠型保持器14の外周面及び軸方向端面に開口する肉盗み部21を形成したが、これに限定されず、例えば、第1実施形態(図1参照)を例に説明すると、図11に示すように、冠型保持器14の内周側に、冠型保持器14の内周面及び軸方向端面に開口する肉盗み部21を形成してもよい。この場合、底壁部22は、爪部19側から軸方向外側に向かうに従って次第に外周側に傾斜するように形成される。なお、肉盗み部21は、冠型保持器14の軸方向端面にのみ開口するものであってもよい。
また、本発明は、外輪側案内部又は内輪側案内部を、従来技術とした図12に示す玉軸受の冠型保持器と組み合わせたものも含む。
本発明に係る玉軸受の第1実施形態を説明するための図であり、(a)は玉軸受の要部断面図、(b)は冠型保持器の要部斜視図である。 図1に示す冠型保持器の部分展開図である。 第1実施形態の冠型保持器の第1変形例を説明するための部分展開図である。 第1実施形態の冠型保持器の第2変形例を説明するための部分展開図である。 第1実施形態の冠型保持器の第3変形例を説明するための要部断面図である。 本発明に係る玉軸受の第2実施形態を説明するための要部断面図である。 図6に示す冠型保持器の部分展開図である。 第2実施形態の冠型保持器の第1変形例を説明するための部分展開図である。 第2実施形態の冠型保持器の第2変形例を説明するための部分展開図である。 第2実施形態の冠型保持器の第3変形例を説明するための要部断面図である。 第1及び第2実施形態の冠型保持器の更なる変形例を説明するための要部断面図である。 従来の玉軸受を説明するための要部断面図である。 図12に示す冠型保持器の部分展開図である。
符号の説明
10 玉軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
12 内輪
12a 内輪軌道面
13 玉(転動体)
14 冠型保持器
15 シール部材
16 リム部
17 柱部
18 ポケット部
19 爪部
20 開口部
21 肉盗み部
22 底壁部
23 縦壁部
24 側壁部
26 側壁部
27 側壁部
28 底壁部
30 玉軸受
31 外輪側案内部

Claims (2)

  1. 内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動可能に配設される複数の転動体と、前記複数の転動体を円周方向に略等間隔で保持する複数の一対の保持爪を有する冠型保持器と、前記外輪と前記内輪との間の軸方向両端部に配置されるシール部材と、を備える玉軸受であって、
    前記冠型保持器の内周側又は外周側に、少なくとも前記冠型保持器の軸方向端面に開口する肉盗み部が、円周方向に所定の間隔を存して複数設けられ、
    前記肉盗み部は、前記一対の保持爪の背面間にあって互いの前記保持爪を連結するように架け渡し形成される底壁部と、前記一対の保持爪の背面間にあって互いの前記保持爪を連結するように連続して形成され前記底壁部に立設される縦壁部と、前記一対の保持爪の背面に形成される一対の側壁部と、から構成され、
    前記底壁部が、前記冠型保持器の軸方向に対してこれに交わる傾斜面を有することを特徴とする玉軸受。
  2. 隣り合う前記肉盗み部間に、前記冠型保持器のリム部から径方向外側に突出して、前記外輪の内周面と摺接する外輪側案内部、又は、前記冠型保持器のリム部から径方向内側に突出して、前記内輪の外周面と摺接する内輪側案内部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
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