JP2010036541A - 水硬性モルタル(スラリー)の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、リザーバータンクと、スラリーポンプとを備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、リザーバータンク内で複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されることを特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法である。
【選択図】 なし
Description
さらに、本発明は、土木建築分野のグラウト工事に用いられる水硬性モルタル(スラリー)の施工方法および水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体に関する。
1)複合攪拌羽根が内接する円筒の内径(直径)は、150mm〜300mmであり、攪拌軸方向の複合攪拌羽根の長さは、300mm〜1200mmであること。
2)水硬性モルタル(スラリー)は、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送されて打設・施工される水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、前記のスラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであること。
3)水硬性組成物は、水硬性成分及び無機質微粉末を含み、無機質微粉末が、ブレーン比表面積が4000cm2/g〜15000cm2/g、平均粒径が10.0μm以下、平均円形度が0.915〜1.000であり、水硬性成分と無機質微粉末との合計質量100質量%中の無機質微粉末が25〜45質量%であること。
4)水硬性組成物は細骨材を含み、水硬性組成物が、1μm以上〜8μm未満の粒子を20.5〜30.0質量%含み、8μm以上〜32μm未満の粒子を10.0〜25.0質量%含み、32μm以上〜300μm未満の粒子を10.0〜40.0質量%含み、300μm以上〜850μm未満の粒子を15.0〜50.0質量%含み、850μm以上の粒子を0.0〜2.0質量%含むこと。
5)水硬性組成物は、流動化剤及び増粘剤を含むこと。
6)水硬性組成物は、さらに流動化剤及び増粘剤を含み、水硬性組成物と水とを混練して得られる水硬性モルタル(スラリー)は、常温時のフロー値Xと、高温時のフロー値Y、低温時のフロー値Zとの比率が、0.80<Y/X<1.10かつ0.90<Z/X<1.10であること。
7)水硬性組成物は、土木建築用のグラウト材であること。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法では、図1の模式図に示すような水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備11を使用する。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタル(スラリー)19は、該設備に搭載されたスラリーポンプ24によって圧送され、スラリーポンプ24に接続されたスラリーホースを介して施工箇所へ連続的に圧送・供給され打設・施工される。
リザーバータンクが貯留する水硬性モルタル(スラリー)量は、好ましくは30〜200リットル、さらに好ましくは35〜150リットル、特に好ましくは40〜100リットルの範囲が、水硬性モルタル(スラリー)を所定の時間リザーバータンク内で強制攪拌養生できることから好ましい。
水硬性モルタル(スラリー)をポンプ圧送する際の吐出量は、好ましくは、毎分1.5〜130リットル、さらに好ましくは毎分4〜100リットル、特に好ましくは毎分7〜80リットルの範囲が安定した水硬性モルタル(スラリー)を供給できることから好ましい。
スラリーホースの内径および長さは、施工条件に合わせて選択され、好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであること、さらに好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が25mm〜50mmであり、長さが80m〜180mであること、特に好ましくは、スラリーホースの内径(直径)が30mm〜45mmであり、長さが90m〜150mであることが好ましく、スラリーホースの内径(直径)と長さが前記範囲の場合に長距離を安定してポンプ圧送することができる。
スラリーホースの内径(直径)が前記範囲より小さい場合、スラリーを圧送した場合のホース内圧力が高くなってホースが閉塞する可能性が高くなることから好ましくなく、前記範囲よりも大きくなるとスラリーの流速が小さくなり過ぎて圧送過程でスラリーが材料分離を生じることがあるため好ましくない。
また、スラリーホースの長さが前記範囲より短い場合、必ずしも本発明で選択して用いる材料分離抵抗性に優れる水硬性組成物を用いなくともスラリー圧送が可能な場合があり、前記範囲よりも長くなるとホース内圧力が高くなってホースが閉塞する可能性が高くなることから好ましくない。
なお、混練スクリューの軸部材の基端から終端までの長さは、800〜1000mm程度となっている。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法で好適な混練特性が得られる混練スクリュー羽根、混練室および混練条件の一例を表8に示す。
図3は、図1に示すリザーバータンク20に設置された多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根22の模式図である。
複合攪拌羽根は、攪拌軸の周囲にスパイラル状に攪拌羽根が配置され、さらに隣合った螺旋状攪拌板の間には軸対象の位置にプレートが溶接して配置されている。また、螺旋状攪拌板と螺旋状攪拌板との中間の空間には、傾斜角を持ったパドル型攪拌板が軸対象の位置になるように攪拌軸に設置されている。
強制攪拌養生される時間が前記の範囲より短い場合、スラリーの均質性が充分高められないことがあり、前記範囲より長い場合には水硬性成分の水和反応がスラリーの流動性を阻害する傾向が顕著になり始めることから好ましくない。
水硬性組成物37の製造工場において、水硬性成分、特定の粒度構成を有する細骨材、流動化剤及び膨張材などの原材料を混合して水硬性組成物37を製造し、水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31に備えられた水硬性組成物貯蔵タンク33に充填する。
水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31は、水硬性組成物37を積載して水硬性モルタル(スラリー)34を施工する施工現場近傍へ水硬性組成物37を輸送する。
施工現場の近傍に水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31が配置されたのち、水硬性組成物37は貯蔵タンク33下部からスクリューコンベアによって排出されて、スクリューフィーダー38によってホッパー36へ供給され、ホッパー底部から定量的に混練装置(ミキサー)35へ供給される。この時、水硬性組成物37が混練装置(ミキサー)35へ供給されるのに合わせて、水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラック31に搭載されている水タンク39から水供給ポンプ40によって水供給パイプ41を介して混練装置(ミキサー)35に水が定量的に供給されて、水硬性組成物37と水とは混練装置(ミキサー)35で強力に混練されて均質な水硬性モルタル(スラリー)34が調製される。水硬性組成物37と水との供給割合は、現場毎の施工条件や水硬性モルタル(スラリー)の性状に合わせて調整される。
調製された水硬性モルタル(スラリー)34は、該トラックに備えられたリザーバータンク43に一旦収容され、リザーバータンク43に設置された、強力な上下方向の対流攪拌能力を有する多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根42を装着した攪拌機によって強制攪拌養生され、スラリーの流動特性が安定化される。
所定時間攪拌養生された水硬性モルタル(スラリー)34は、該トラックに搭載されたスラリーポンプ44によって圧送され、スラリーホース45を介して施工箇所へ連続的に圧送・供給されて打設・施工される。
本発明で使用できるテーパ管の長さ、内径(直径)及び管の絞り度合いは、狭隘な施工箇所の条件に合わせて適宜選択して用いることができ、図6に示すようなテーパ管のスラリーホース接合部の内径が、好ましくは18mm〜55mmであり、さらに好ましくは20mm〜50mmであり、特に好ましくは22mm〜45mmであり、テーパ管の先端部の内径が、好ましくは5mm〜30mmであり、さらに好ましくは6mm〜28mmであり、特に好ましくは7mm〜26mmであることが、水硬性モルタル(スラリー)を狭隘な施工箇所へ安定して充填できることから好ましい。
なお、テーパ管とスラリーホースの接続方法は、特に限定されるものではなく、接続用アダプターを用いて接続することができ、またテーパ管とスラリーホースとを直接接続することもできる。
本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法で用いる、水硬性成分と無機質微粉末とを含む水硬性組成物は、特に限定されるものではなく、良好な材料分離抵抗性を有する水硬性モルタル(スラリー)が安定して得られるものを適宜選択して用いることができる。
特に、本発明の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法では、水硬性成分と無機質微粉末とを必須成分とする、土木建築工事に使用されるグラウト用の水硬性組成物であって、水との混練操作によって短時間に優れた流動特性が得られると共に、良好な材料分離抵抗性を有し、流動特性の温度依存性が小さい水硬性モルタル(スラリー)を安定して調製することができる水硬性組成物を好ましく用いることができる。
本発明では、分散媒には分散助剤を0.001%加えた水を用い、300秒間超音波およびスターラー撹拌により無機質微粉末を分散し、粒度・形状分布測定器(PITA−1、セイシン企業)を用いて粒子の円形度を測定して、観測粒子3000個の平均を求めて平均円形度とする。なお、平均円形度は観測粒子の投影面積Aとし、周囲長Pとした際の4πA/P2の値とする。
さらに好ましくは、1μm以上〜8μm未満の粒子を21.0〜29.0質量%含み、8μm以上〜32μm未満の粒子を12.0〜24.0質量%含み、32μm以上〜300μm未満の粒子を11.0〜39.0質量%含み、300μm以上〜850μm未満の粒子を16.0〜48.0質量%含み、850μm以上の粒子を0.0〜1.0質量%含むものを好適に使用できる。
より好ましくは、1μm以上〜8μm未満の粒子を22.0〜27.0質量%含み、8μm以上〜32μm未満の粒子を15.0〜22.0質量%含み、32μm以上〜300μm未満の粒子を12.0〜38.0質量%含み、300μm以上〜850μm未満の粒子を17.0〜46.0質量%含み、850μm以上の粒子を0.0〜0.5質量%含むものを好適に使用できる。
特に好ましくは、
1μm以上〜8μm未満の粒子を22.0〜27.0質量%含み、8μm以上〜32μm未満の粒子を15.0〜20.0質量%含み、32μm以上〜300μm未満の粒子を25.0〜38.0質量%含み、300μm以上〜850μm未満の粒子を18.0〜30.0質量%含み、850μm以上の粒子を0.0〜0.2質量%含むものを好適に使用できる。
増粘剤は、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを用いることができ、特にセルロース系などを用いることができる。
無機系膨張材としては、例えば遊離生石灰を膨張成分として含むものや、カルシウムサルホアルミネート等のエトリンガイト形成物質を膨張成分とする市販品を使用することができる。好ましくは、収縮補償効果とともに反応時の水和発熱によって低温環境下の強度増強効果を有する生石灰を有効成分として含む膨張材が特に好ましく、この場合膨張材中の生石灰含有量は特に限定されないが、生石灰含有量が高いもの(100重量%を含む)では水和反応が急激に進行することがあるので80重量%以下の含有量が好ましい。
混練条件Aとは、所定温度、湿度65%の恒温室において、恒温室と同温度に養生した水硬性組成物と水を用い、2Lポリ容器に表1から6に示す所定水比の水を入れ、図5に示す形状のタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物1500gを全量投入後、780rpmで2分間混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製するものである。
水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温20度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値を常温時のフロー値(X)とし、水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温30度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値(Y)を高温時のフロー値とし、水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温5度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値(Z)を低温時のフロー値とした場合に、XとYとの比率が、好ましくはY/X=0.80〜1.10の範囲であり、さらに好ましくはY/X=0.82〜1.07の範囲であり、より好ましくはY/X=0.84〜1.05の範囲であり、特に好ましくはY/X=0.85〜1.03の範囲であることが好ましい。
さらに、XとZとの比率が、好ましくはZ/X=0.90〜1.10の範囲であり、さらに好ましくはY/X=0.92〜1.07の範囲であり、より好ましくはY/X=0.94〜1.06の範囲であり、特に好ましくはZ/X=0.95〜1.05の範囲であることが、年間を通じて優れたフロー性を有する水硬性モルタル(スラリー)を安定して得られ、作業性が向上することから好ましい。
Y/X、および/または、Z/Xが上記範囲から外れた場合、高温時期もしくは低温時期に流動性が損なわれ、水硬性モルタル(スラリー)の性状を微調整しなければならない等、作業性が低下するため好ましくない。
1)圧縮強度(材齢28日)が、好ましくは40N/mm2以上、より好ましくは41N/mm2以上、さらに好ましくは41.5N/mm2以上、特に好ましくは42N/mm2以上である。
2)長さ変化率(材齢7日)が、好ましくは−30×10−4以上、より好ましくは−25×10−4以上、特に好ましくは−24×10−4以上である。
3)簡易断熱養生温度の最高温度が、好ましくは93℃以下、より好ましくは90℃以下、特に好ましくは85℃以下である。
特に、大規模な現場で大量のグラウチングを行うような場合に、連続的に水硬性モルタル(スラリー)を調製して、連続的に施工箇所へ供給・打設施工する場合に、その性能を大いに発揮するものである。
1)J14ロート流下値(秒):
土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993)に準拠して、グラウトスラリーのJ14ロート法による流下値を示す。
2)フロー試験:
混練条件Aで混練した水硬性モルタル(スラリー)を用い、建築改修工事管理指針に準拠して評価を行う。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ100mmの塩化ビニル製パイプを置き、スラリーを充填した後、パイプを引き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。
3)分離:ブリージング袋法(JSCE・F522−1999)に準拠して、ブリージング2%以下を有:分離あり、無:分離なしとする。
4)圧縮強度(N/mm2):
温度20℃、湿度65%の条件で混練した水硬性モルタル(スラリー)を用い、温度20℃、湿度95%の条件で硬化させ、翌日脱型後、20℃の水中で所定期間養生した試験体φ5×10cmを用い、JIS・A−1108に準拠して評価を行う。
5)ポンプ圧送性:
ミキサー装置の排出ポンプ出口に、内径32cmで長さ10m、50m又は100mのスラリーホースを接続して評価を行う。
吐出量はスラリーポンプに接続されたホース長さ100mの筒先での水硬性モルタル(スラリー)を10リットル容器に充填し、充填開始から終了までに要した時間で10リットル容器の容積を除した値とする。
水硬性モルタル(スラリー)の筒先にテーパー管を有する圧送試験の評価指標は、○:閉塞無し、×:閉塞ありとする。
水硬性モルタル(スラリー)の筒先にテーパー管を有する圧送試験:ホース100m筒先に図6に示すテーパー管を設置して圧送する。
6)長さ変化率:
長さ変化率の測定は、図7に示す装置を用いる。長さ変化率の測定は、混練直後の水硬性モルタル(スラリー)を型内部の型枠の高さまで打設し、打設直後より長さ変化の測定を開始し、測定間隔は10分毎で行い、材齢7日まで測定する。測定条件は、20℃、RH65%の気中で行う。
7)簡易断熱養生温度:
簡易断熱養生温度の測定は、図10に示す装置を用いる。簡易断熱養生温度の測定は、混練直後の水硬性モルタル(スラリー)を断熱材中の型枠に打設し、打設直後より簡易断熱養生温度の測定を開始し、測定間隔は5分毎で行う。測定条件は、20℃、RH65%の恒温室内で行う。
8)混練条件A:
所定温度、湿度65%の恒温室において、恒温室と同温度に養生した水硬性組成物と水を用い、2Lポリ容器に表1から6に示す所定水比の水を入れ、図5に示すタービン羽根を取り付けた0.15KW攪拌機(新東科学社製、品番:スリーワンモータBL600)を使用し、300rpmで攪拌しながら水硬性組成物1500gを全量投入後、780rpmで2分間混練して、水硬性モルタル(スラリー)を調製することを混練条件Aとする。
9)粒度分布の測定方法(測定条件A):
分散媒にはエチルアルコールを用い、60秒間超音波およびスターラー撹拌により無機質微粉末を分散し、屈折率を1.330に設定したレーザー粒度分析装置(LMS−30、セイシン企業)を使用して測定する。
10)平均円形度の測定方法(測定条件B):
分散媒には分散助剤を0.001%加えた水を用い、300秒間超音波およびスターラー撹拌により無機質微粉末を分散し、粒度・形状分布測定器(PITA−1、セイシン企業)を用いて測定して、観測粒子3000個の平均を求め、平均円形度とする。なお、平均円形度は観測粒子の投影面積Aとし、周囲長Pとした際の4πA/P2の値とする。
1)水硬性成分:
・ポルトランドセメント(宇部早強セメント、ブレーン比表面積4500cm2/g)。
2)無機質微粉末
・無機質微粉末a:ファイナッシュ(四電ビジネス社製、ブレーン比表面積=5800cm2/g、平均円形度=0.921、平均粒径=4.7μm)
・無機質微粉末b:フライアッシュJIS・II種(四電ビジネス社製、ブレーン比表面積=3510cm2/g、平均円形度=0.904、平均粒径=13.2μm)
・無機質微粉末c:フライアッシュJIS・IV種(四電ビジネス社製、ブレーン比表面積=2320cm2/g、平均円形度=0.876、平均粒径=22.7μm)
・無機質微粉末d:炭酸カルシウム(宇部マテリアルズ社製、ブレーン比表面積=5820cm2/g、平均円形度=0.905、平均粒径=7.6μm)
・無機質微粉末e:神鋼パワーメント(神戸製鋼社製、ブレーン比表面積=4630cm2/g、平均円形度=0.895、平均粒径=10.8μm)
無機質微粉末a〜eのブレーン比比表面積は、JIS・R−5201に規定されているブレーン空気透過装置を用いて測定されたものである。
無機質微粉末a〜eの平均円形度は、測定条件Bにて測定した。
無機質微粉末a〜eの平均粒径および表7に示す無機質微粉末aの粒度構成は、測定条件Aにて測定した。
3)細骨材:
・珪砂A : SS5A、宇部サンド工業社製。
・珪砂B : S6、宇部サンド工業社製。
・珪砂C : S7、宇部サンド工業社製。
・珪砂D : 5号荒、瓢屋社製。
・珪砂E : SC6、山川産業社製。
・珪砂F : S8、山川産業社製。
4)膨張材:
・無機系膨張材:アサノジブカル(太平洋マテリアル社製)。
・金属系膨張材:アルミニウム粉(粒度44μm以下60%以上、大和金属粉工業社製)。
5)減水剤:
・流動化剤a:ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラクスAP101F(BASFポゾリス社製)。
・流動化剤b:ポリカルボン酸系流動化剤、メルフラクス2651F(BASFポゾリス社製)。
6)増粘剤:セルロース系増粘剤、ハイユーローズ(宇部興産社製)。
室温20℃の条件下、表1に示す配合割合で水硬性組成物と水とを混練条件Aにしたがって混練して水硬性モルタル(スラリー)を調製し、同恒温室にてフロー値(混練直後、練置10分後)、J14ロート流下値(秒)および材料分離状況を測定した。水硬性組成物を混練条件Aで混練して調整したスラリーを硬化させた水硬性モルタル(スラリー)硬化体について圧縮強度を測定した。フロー値、J14ロート流下値(秒)、分離状況及び圧縮強度の測定結果を表1に示す。また、使用した無機質微粉末a〜eの特性を表1に示す。
室温20℃の条件下、表2に示す配合割合で水硬性組成物と水とを混練条件Aにしたがって混練して水硬性モルタル(スラリー)を調製し、同恒温室にてフロー値(混練直後、練置10分後)、J14ロート流下値(秒)および材料分離状況を測定した。水硬性組成物を混練条件Aで混練して調整したスラリーを硬化させた水硬性モルタル(スラリー)硬化体について圧縮強度を測定した。フロー値、J14ロート流下値(秒)、分離状況及び圧縮強度の測定結果を表2に示す。また、使用した無機質微粉末aの特性、および、水硬性組成物の粒度構成を表2に示す。
室温5℃、20℃、30℃の条件下、表3に示す配合割合で水硬性組成物と水とを混練条件Aにしたがって混練して水硬性モルタル(スラリー)を調製し、同恒温室にてフロー値(混練直後)及びJ14ロート流下値(秒)の経時変化を測定した。フロー値、J14及びロート流下値(秒)の測定結果を表3に示す。また、使用した無機質微粉末aの特性、および、水硬性組成物の粒度構成を表3に示す。
室温20℃の条件下、表4に示す配合割合で水硬性組成物と水とを混練条件Aにしたがって混練して水硬性モルタル(スラリー)を調製し、同恒温室にてフロー値(混練直後、練置10分後、練置20分後、練置30分後)を測定した。フロー値の測定結果、使用した無機質微粉末aの特性、および、水硬性組成物の粒度構成を表4に示す。
室温5℃、20℃、30℃の条件下、表5に示す配合割合で水硬性組成物を調製した。
水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温20度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値を常温時のフロー値(X)、水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温30度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値(Y)を高温時のフロー値、水硬性組成物を混練条件Aの条件で、室温5度の恒温室にて調製し、同恒温室にて測定した水硬性モルタル(スラリー)のフロー値(Z)を低温時のフロー値を測定した。測定結果を表5に示す。
また、使用した無機質微粉末aの特性、および、水硬性組成物の粒度構成を表5に示す。
実施例18及び参考例2〜3の水硬性組成物を用いて、水硬性組成物と所定量の水とをミキサー装置を備えたスラリー製造・供給装置(図1(実施例18、参考例2)、図2(参考例3))に供給して連続的に混練し、水硬性モルタル(スラリー)を連続製造してスラリーを一旦リザーバータンクに収容した。
参考例3の場合、水硬性モルタル(スラリー)は、図2に示すリザーバータンク中で約3分間、緩やかな攪拌状態で保持した後、スラリー製造設備の吐出ポンプ(スラリーポンプ)を用いて吐出した。
また、実施例18と参考例2の場合、水硬性モルタル(スラリー)は、それぞれ図1に示すリザーバータンク中で約3分間、多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって強制攪拌条件下に保持した後、スラリー製造設備の吐出ポンプ(スラリーポンプ)を用いて吐出した。
スラリー中に含まれる水分量は、リザーバに収容したスラリーを一部取り出して電子レンジ法により測定した。
ポンプ圧送性、フロー値およびJ14ロート流下値の測定結果を表7に示す。
さらにポリカルボン酸系の粉末流動化剤、増粘剤を含み、平均円形度が0.921の無機質微粉末と水硬性成分および細骨材を含む水硬性組成物であって、水硬性組成物が特定の粒度構成を持つ実施例3〜8は、さらにフロー性が向上し、高い材料分離抵抗性を示している。
また、平均円形度が0.921の無機質微粉末を用い、特定の粒度構成を有する水硬性組成物を用いた場合、実施例9及び10に示すように、低温(5℃)、常温(20℃)、高温(30℃)のフロー値およびJ14ロート流下時間に差異が少なく、さらに実施例11及び12に示すように、練り置き時間の経過(練直〜練置30分)に対して、フロー値の安定性が高い(フローロスが小さい)。
さらに、平均円形度が0.921の無機質微粉末を用い、特定の粒度構成を有する水硬性組成物を用いた場合、実施例13〜17に示すように、温度変化及び水比(混練水量/水硬性組成物)が変化しても、Z/Xは0.97〜1.02の間の値を示し、Y/Xは0.91〜0.98の間の値を示し、安定したフロー値が得られている。
また、実施例18の水硬性組成物を用いた水硬性モルタル(スラリー)の硬化体は、図8に示すように長さ変化率が大幅に低減されるとともに、図9に示すように断熱温度上昇も小さい値を示し、高耐久な硬化体を得ることができる。
11 : スラリー製造・供給装置
12 : 水硬性組成物
13 : ホッパー
14 : ホッパースクリュー
15 : 給水口
16 : 混練装置(ミキサー)
17 : 水
18 : モルタル(スラリー)排出口
19 : 水硬性モルタル(スラリー)
20 : リザーバータンク
21 : 水硬性モルタル(スラリー)
22 : スターラースクリュー(多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根)
23 : 移送スクリュー
24 : スネークポンプ(スラリーポンプ)
25 : 水硬性モルタル(スラリー)
26、27 : モーター
28 : 動力伝達ベルト
30 : スターラースクリュー(スネッキ攪拌羽根)
31 : 水硬性モルタル・スラリー調製・施工用トラック
32 : 水硬性組成物の供給口
33 : 水硬性組成物タンク
34 : 水硬性スラリー
35 : 混練装置(ミキサー)
36 : ホッパー
37 : 水硬性組成物
38 : スクリューフィーダー
39 : 水タンク
40 : 水供給ポンプ
41 : 水供給パイプ
42 : 多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根
43 : 水硬性スラリータンク(リザーバータンク)
44 : スラリーポンプ
45 : スラリーホース
Claims (9)
- 水硬性成分及び無機質微粉末を含む水硬性組成物と、水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、
該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、
リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを
備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用設備を用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること
を特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性成分及び無機質微粉末を含む水硬性組成物を貯蔵するタンクと、
該水硬性組成物と水とを混練して水硬性モルタル(スラリー)を連続的に調製する混練装置と、
該水硬性モルタル(スラリー)を収容するリザーバータンクと、
リザーバータンク内の水硬性モルタル(スラリー)を連続的に圧送するスラリーポンプとを
備えた水硬性モルタル(スラリー)調製・施工用トラックを用いた水硬性モルタル(スラリー)の施工方法であって、
水硬性モルタル(スラリー)は、リザーバータンク内で攪拌軸が水平方向に配置され、攪拌軸に多重螺旋状攪拌板とパドル型攪拌板とを配置した複合攪拌羽根を有する攪拌機によって1.5分間〜20分間連続的に強制攪拌養生されること
を特徴とする水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 複合攪拌羽根が内接する円筒の内径(直径)は、150mm〜300mmであり、攪拌軸方向の複合攪拌羽根の長さは、300mm〜1200mmであること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性モルタル(スラリー)は、スラリーポンプに接続されたスラリーホースを通じて施工場所に圧送されて打設・施工され、前記のスラリーホースの内径(直径)が20mm〜55mmであり、長さが75m〜200mであること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性組成物は水硬性成分及び無機質微粉末を含み、
無機質微粉末が、ブレーン比表面積が4000cm2/g〜15000cm2/g、平均粒径が10.0μm以下、平均円形度が0.915〜1.000であり、
水硬性成分と無機質微粉末との合計質量100質量%中の無機質微粉末が25〜45質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性組成物は細骨材を含み、水硬性組成物が、
1μm以上〜8μm未満の粒子を20〜30質量%含み、
8μm以上〜32μm未満の粒子を10〜25質量%含み、
32μm以上〜300μm未満の粒子を10〜40質量%含み、
300μm以上〜850μm未満の粒子を15〜50質量%含み、
850μm以上の粒子を0〜2質量%含むこと
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性組成物は、さらに流動化剤及び増粘剤を含み、
水硬性組成物と水とを混練して得られる水硬性モルタル(スラリー)は、
常温時のフロー値Xと、高温時のフロー値Y、低温時のフロー値Zとの比率が、
0.80<Y/X<1.10かつ0.90<Z/X<1.10である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 水硬性組成物は、土木建築用のグラウト材であること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の水硬性モルタル(スラリー)の施工方法によって得られる水硬性モルタル(スラリー)が充填・硬化した構造体。
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