JP2010032160A - 空調システム - Google Patents
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Abstract
【課題】空調機器の各種設定を集中管理で行う空調システムおいて、設定作業を正確に、かつ労力をかけずに設定を行える空調システムを提供する。
【解決手段】操作者が『部屋設定』、『運転モード』、『窓設定』を入力すると制御手段は、『部屋設定』の値を『天井高』に書き込み、室内機能力の値と部屋設定の値と天井高の値とを用いて『計算風量』を算出する。風量を大に設定しても送風量が不足する場合は、『不足風量/温度補正値』で設定温度を補正する。推奨温度を冷房:28℃、暖房:20℃とし、運転モードが操作者によって決定されると、推奨温度に対して窓補正値と不足風量/温度補正値とで補正を行い、設定温度の設定値を算出する。次に『天井高』の設定値を『上下風向板可動範囲』の項目に、また、『風量』の設定値を『フィルタサイン間隔』と『フィルタクリーン間隔』の設定値として、それぞれコピーする。
【選択図】図6
【解決手段】操作者が『部屋設定』、『運転モード』、『窓設定』を入力すると制御手段は、『部屋設定』の値を『天井高』に書き込み、室内機能力の値と部屋設定の値と天井高の値とを用いて『計算風量』を算出する。風量を大に設定しても送風量が不足する場合は、『不足風量/温度補正値』で設定温度を補正する。推奨温度を冷房:28℃、暖房:20℃とし、運転モードが操作者によって決定されると、推奨温度に対して窓補正値と不足風量/温度補正値とで補正を行い、設定温度の設定値を算出する。次に『天井高』の設定値を『上下風向板可動範囲』の項目に、また、『風量』の設定値を『フィルタサイン間隔』と『フィルタクリーン間隔』の設定値として、それぞれコピーする。
【選択図】図6
Description
本発明は、複数の室内機や室外機を一括制御する空調システムに係わり、より詳細には、同一機種や同一の動作設定を行う機器をグループ化し、これらの設定値を自動生成すると共に、設定値を一括設定する手段を備えた空調システムに関する。
従来、空調システムとしては特許文献1に示すように、ビルやオフィス等の建物内に分散設置された複数の室内機と、建物外に設置される1以上の室外機と、中央管理端末とをネットワークに接続したものが知られている。特許文献1に開示されているのは、中央管理端末が各空調機器をシステム情報に基づいて運転動作を制御している空調システムであり、図9のシステム構成図に示すように、この空調システム100はネットワーク101で接続され、それぞれに固有のアドレスが設定された室内機102〜109や室外機110〜115並びにリモートコントローラー116〜124といった空調機器が建物の内外に設置されている。
ネットワーク101には中央管理端末125が設置されており、通信線126でゲートウェイ装置128に接続されている。このゲートウェイ装置128は一般公衆回線127を介して遠隔管理端末129に接続されており、中央管理端末125と遠隔管理端末129はゲートウェイ装置128を介して信号の送受信を行うことができる。
通常、各空調機器の初期設定は、中央管理端末125において行われるが、上述したように中央管理端末125と遠隔管理端末129は信号の送受信を行えるため、遠隔管理端末129から初期設定を行うこともできる。尚、初期設定とは、各空調機器を識別する情報(以下「識別情報」という)や設置場所情報(以下「位置情報」という)あるいはグループ編成する情報(以下「グループ情報」という)といったシステム情報の設定登録を行うことをいう。
次に、各空調機器の初期設定を、グループ情報の設定登録を例にあげて説明する。作業者は、中央管理端末125より空調システムのグループ情報を、例えば室内機102とリモートコントローラー116をグループA、室内機103とリモートコントローラー117をグループB・・・というように設定する。中央管理端末125は、設定されたグループ情報に基づき各空調機器のグループ編成を行い、それに基づいた運転動作の制御を行う。尚、このような初期設定作業は、上述したように遠隔管理端末129から行うことも可能である。
このような空調システムでは、作業者が中央管理端末125や遠隔管理装置129から手作業により各空調機器のシステム情報の設定登録を初期設定として行い、中央管理端末125が設定されたシステム情報に基づいて運転動作を制御していた。また、遠隔管理端末129からシステム情報の設定指示を中央管理端末125に行うことができるため、建物の外部、例えばサービス会社や生産工場から遠隔管理端末129を使用してユーザーの求めに応じたシステム情報の初期設定や変更を行うことがでる。さらには、設置場所に出向かずにシステム情報の誤設定等のリカバリーを行うことができる。
以上説明した特許文献1では、作業者が中央管理端末125や遠隔管理端末129から手作業により各空調機器のシステム情報の設定登録を初期設定として行っていたため、作業が複雑になり設定忘れや誤設定が起こる危険性があった。また、初期設定として各空調機器の設置環境(部屋の広さや天井高等)に対応した細かなパラメータの設定については考慮されていないため、空調機器毎や設定されたグループ毎に個別にパラメータ設定が必要となり、作業量が膨大になるという問題があった。
一方、特許文献2に開示されている空調システムは、一つの建物内に分散設置された各空調機器の位置情報やグループ情報を示すマークを印刷した配置図を用意し、また、各空調機器の識別情報を示すマークを印刷したシールを各空調機器に貼付け、それぞれのマークを読取装置で読み取ることによって、当該機種の識別情報や位置情報、グループ情報といったシステム情報の設定登録を初期設定として中央管理端末に行うというものである。
尚、配置図やシールに印刷されているマークは、例えばバーコードとしておけば、読取装置に備えられたOCR(Optical Character Reader)で読み取ることができる。
また、中央管理端末には一般公衆回線を介して遠隔管理端末と接続されており、作業者は遠隔管理端末より中央管理端末に制御動作を指示することもできる。
この空調システムの初期設定方法は以下の通りである。作業者は読取装置を用いて配置図や各空調機器に貼付られたシールに印刷されているマークを読み取る。尚、配置図は作業者が手元に準備して読み取りを行い、シールの読み取りは各空調機器の設置時に行う。読み込まれたシステム情報は、読取装置からインターフェースを介して中央管理端末に送信され、中央管理端末の記憶部に設けられたテーブルに書き込まれる。テーブル内には各空調機器の識別情報に対応して位置情報やグループ情報を登録するテーブルが用意されており、中央管理端末はこのテーブルを参照することにより、対象となる各空調機器や設定された各グループを特定し運転動作の制御を行うことができる。
以上説明した特許文献2では、識別情報や位置情報、グループ情報といったシステム情報が作業者の手作業により設定登録されるのではなく、配置図やシールを読取装置で読み取って中央管理端末に一括して登録することができるため、作業が簡易になり設定忘れや誤設定を防ぐことができる。
しかしながら、各空調機器の識別情報を示すマークを印刷したシールを各空調機器に貼付ける手間が必要であり、また、各空調機器の位置情報やグループ情報を示すマークを印刷した配置図を作成する手間が必要となる。この作業は手作業で各部屋毎の条件、例えば天井の高さや部屋の広さ、設置される機器の仕様に合わせた設定、空調される部屋の窓の有無、風向板の可動範囲などを考慮し、1台毎にシールを作成しており、非常に面倒であると共に、誤った設定を行うおそれがあった。また、設定の変更はシールを再度作成しなければならず、シール印刷プリンタを準備するなど、機器の準備や手間がかかってしまうという問題があった。
一方、設定作業において、配置図は建物の各フロアーや部屋毎に用意されているので、フロアー数や部屋数が多い建物になるほど設定作業が煩わしいものとなる。また、各空調機器に貼付られているシールの読み取り作業は、実際に各空調機器の設置場所に作業者が出向いて行うこととなり、多大な労力が必要という問題があった。
さらには、特許文献2でも初期設定として各空調機器の設置環境(部屋の広さや天井高等)に対応した細かなパラメータの設定については考慮されていないため、特許文献1同様、空調機器毎や設定されたグループ毎に個別にパラメータ設定が必要となり、作業量が膨大になるという問題があった。
特開2003−185222号公報(第2〜3頁、第1図)
特開2007−40584号公報(第6〜10頁、第1図、第3図)
本発明は以上述べた問題点を解決し、空調機器の各種設定を集中管理で行う空調システムおいて、設定作業を正確に、かつ労力をかけずに設定を行える空調システムを提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決するため、複数の室内機や室外機や周辺機器などからなる被制御機器と、同被制御機器とネットワークを介して接続され、前記被制御機器の動作設定や運転制御を行う管理端末とを備え、同管理端末は、前記被制御機器より受信した前記被制御機器を識別する識別データと、前記被制御機器の動作設定項目を予め定義した機器別設定の定義データとをもとに、前記管理端末を操作する操作者が入力した前記被制御機器の設置状態や運転情報などからなる基本設定情報を加味して、前記動作設定に関する設定値を自動生成する。
また、前記基本設定情報は前記室内機が設置される室屋の広さと、冷房/暖房などの運転モードとを含み、
前記管理端末は、前記定義データから抽出した前記識別データと対応する前記室内機の空調能力と、前記運転モードと、前記室屋の広さとを勘案して、前記動作設定に関する設定値の内、風量設定や温度設定の各設定値を自動生成する。
前記管理端末は、前記定義データから抽出した前記識別データと対応する前記室内機の空調能力と、前記運転モードと、前記室屋の広さとを勘案して、前記動作設定に関する設定値の内、風量設定や温度設定の各設定値を自動生成する。
また、前記管理端末は、前記動作設定のひとつであり前記室内機が設置された室屋の天井高の値をさらに勘案し、前記定義データから抽出した前記識別データと対応する前記室内機の空調能力と、前記室屋の広さと前記天井高から算出した室屋の容積とから、前記室内を空調するために必要な風量である計算風量を算出し、同計算風量が前記室内機の最大設定風量と等しいか小さい時、前記計算風量を前記風量設定値として自動生成する。
また、前記管理端末は、前記計算風量を算出した時、同計算風量が前記最大設定風量より大きい場合、前記計算風量から前記最大設定風量を減算して不足風量/温度補正値を算出し、同不足風量/温度補正値を用いて、前記運転モード毎に予め定められた推奨温度を補正して前記温度設定の設定値を自動生成する。
一方、前記基本設定情報は前記室内機が設置される室屋の窓の有無を含み、前記管理端末は、前記窓の有無により、前記温度設定の設定値を補正する。
以上の手段を用いることにより、本発明による空調システムによれば、
請求項1に係わる発明は、室内機が設置される部屋ごとに異なる設置条件に対応して各室内機の動作の設定値が自動的に生成されるため、人手で行っていた設定値の決定、設定値の入力作業を簡略化できると共に、この決定作業者の経験値に関わらず正確な設定作業を行うことができる。
請求項1に係わる発明は、室内機が設置される部屋ごとに異なる設置条件に対応して各室内機の動作の設定値が自動的に生成されるため、人手で行っていた設定値の決定、設定値の入力作業を簡略化できると共に、この決定作業者の経験値に関わらず正確な設定作業を行うことができる。
請求項2に係わる発明は、風量や温度の各設定値をネットワークに接続された室内機の空調能力と室屋の広さとで自動生成するため、正確な空調設定を行うことがでる。
請求項3に係わる発明は、室内機が設置される部屋の広さから天井高を推測し、さらに、部屋の広さに加えて天井高を加味して風量の設定値を算出しているため、部屋の広さだけから風量を算出する場合に比べて、より正確な風量を算出できる。
請求項4に係わる発明は、移動可能な仕切壁などを移動させた結果、部屋の広さが室内機の設置時よりも大幅に広くなり、室内機の最大風量が不足する場合でも、風量の不足分を補うように設定温度を調節し、できるだけ快適な空調を維持するように設定値を決定することができる。
請求項5に係わる発明は、空調温度に大きな影響を与える窓の有無を、設定温度の補正条件としているため、窓の有無に関わらず快適な空調設定を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図1は空調システム全体を示すブロック図である。この空調システムは、ビル内に設置された複数の空調機が制御されるビル空調システム1と、このビル空調システム1をネットワーク回線2を介して制御する遠隔管理端末3とを備えている。
遠隔管理端末3は例えばパソコンなどで構成されており、このパソコンで空調機の遠隔管理用アプリケーションソフトを実行させることで、ビル空調システム1を遠方から制御するようになっている。なお、遠隔管理端末3はネットワーク回線2を介して通信する通信手段3cと、遠隔管理用アプリケーションソフトやデータを記憶する記憶手段3bと、操作者に対して表示やキー入力処理を行う入出力端末3dと、これらを制御する制御手段3aとを備えている。
この実施例においてビル空調システム1を備えた建物は中規模なホテルであり、1階はロビーとフロント、及び事務所、2〜3階はレストランや宴会場、4階〜7階は同一間取りの宿泊部屋、7階の上は屋上(8階)となっている。各部屋番号は3桁で表しており、最上位桁はフロア階を、下2桁は各フロアでの連番を示している。
なお、宿泊部屋は各フロア毎に8部屋あり、廊下を挟んで左右の各階に4部屋ずつ配置されている、例えば図1の4階右側は部屋番号401〜404、左側は部屋番号405〜408となっている。なお、説明を分かり易くするため、各部屋番号と、後述するシステム内の機器に割り振られた機器のアドレス番号とを同じ番号としている。従って、以降の説明では、アドレス:×××の部屋とは、部屋番号:×××の部屋を示すことになる。
廊下を除くこのホテル内の各部屋には、大型、中型、小型の室内機が設置されており、1階の屋上(2階)には室外機51が、7階の屋上(8階)には室外機52、室外機53が設置されている。一方、部屋番号:101、201、301の各部屋には大型室内機21、22、23が、また、部屋番号:102、202、302の各部屋には中型室内機31、32、33が、それぞれ設置されている。なお、これらの室内機は天井埋込型の室内機であり、下部中央から吸い込んだ空気を空調し、下部4辺の各吹出口から4方向に吹き出す構造になっている。
ただし、室内機の設置場所によっては、予め1つまたは2つの吹出口が閉鎖される場合があり、これも初期設定に含まれる。ここでは、部屋番号:102の中型室内機31、及び部屋番号:302の中型室内機33が壁際に設置されているため、3方向の吹き出しになる。また、部屋番号:202の中型室内機32は左右を構造物が塞いでいるため、前後の2方向吹出になる。一方、4階以上の宿泊部屋には、全て同じ小型室内機41が備えられている。
各室外機は設置された室内機を分担して駆動するようになっている。図1の各室外機と各室内機とを結ぶ実線は冷媒管の接続を表している。室外機51は1階〜3階までの6台の室内機と接続されており、この冷媒管の長さは短い。一方、室外機52、及び室外機53は4階〜7階までの小型室内機41が各16台ずつ接続されており、これらの冷媒管は長くなっている。この配管長も初期設定に含まれる。
このホテル内の各部屋は、天井の高さが各階で異なっており、1階は天井が高く、2階と3階は標準の高さ、4階〜7階は天井が低くなっている。この天井の高さも初期設定に含まれる。また、一方、部屋番号:101、301の部屋の広さは広くなっており、部屋番号:102、201、202、302の部屋は中間位の広さであり、4階〜7階の各部屋は狭い部屋となっている。このような部屋の広さを考慮して、初期設定の各設定値を決定する必要がある。
また、部屋番号:101、201、301の各部屋と、4階〜7階の各部屋には窓が設置されており、夏季には日差しにより冷房が効きにくいと予想されるため、初期設定での設定温度は窓の有無で補正する必要がある。なお、各室内機には図示しないリモコンが備えられており、これからも設定温度や各種の設定は可能であるが、本発明と直接的な関係がないため、図示と説明を省略する。
以上、説明した室内機と室外機とを集中制御するため、中央管理端末11と集中リモコン12とが設けられている。中央管理端末11と集中リモコン12とはホテル内の各空調機器に通信線で接続されており、温度設定、各機器の動作状態、各機器の動作制御を指示することができる。なお、各機器に接続された通信線を点線で示す。
また、中央管理端末11はネットワーク回線2を介して遠隔管理端末3と接続されており、遠隔管理端末3からの指示により、ホテル内の各空調機器を設定したり、動作状態を確認したりすることもできる。また、中央管理端末11と遠隔管理端末3はシステム内の各機器の設定も行うことが可能であるため、これらを除く空調システム内の室内機、室外機、集中リモコンなどを被制御機器と呼称する。
図2はビル空調システム1内の室内機と室外機と周辺機器とに動作設定する項目を示す機種別設定内容一覧表である。この内容は定義データ(テーブルデータ)として遠隔管理端末3の記憶手段3bに予め記憶されている。なお、該当機器に設定可能な項目がない場合は『−』と表記している。
機種別設定内容一覧表の項目は左から右に向かって設定項目が区分けされているが、『機器』、『機種名』、『室内機能力』については設定項目でなく、各機器毎に決定されている名称や能力を示している。また、この3項目を除く機種別設定内容一覧表の縦方向の項目は、各機器で設定可能な設定値を示している。
なお、設定される内容自体は数値化されて遠隔管理端末3の記憶手段3bに格納されており、機種別設定内容一覧表では『数値:設定内容』の形式で記載する。例えば『フィルタクリーン間隔』の項目で『1:長め』とは、標準的に決められた室内機エアフィルタの自動清掃実施間隔よりも長いフィルタクリーンの実施間隔に設定することを示しており、データとしては『1』が記憶される。
図2の表において、項目の『配管長』、『ポンプダウン』、『強制油回収』、『低騒音動作』は室外機である機種名:ZZA,ZZBで設定される項目であり、『集中リモコン設定』は周辺機器である機種名:YYYで設定される項目である。なお、室外機と周辺機器とは、ビル空調システム1内に設置される台数が少なく、設定項目も少ないため、詳細な説明を省略する。
図2の表において室内機は、空調能力である『室内機能力』で区分けされた大型、中型、小型の機器が存在し、それぞれ、機種名:AAA、BBB、CCCである。これらの機種毎に設定可能な項目と内容が異なっている。次に各設定項目の内容を説明する。
『フィルタクリーン間隔』の項目は機種名:BBBのみに設定される項目であり、室内機内部に備えられているエアフィルターを自動清掃する間隔を指定するものである。標準時間(100時間)、長め(150時間)、短め(80時間)の他、非動作(エアフィルターの自動清掃禁止)を設定することができる。
『フィルタサイン間隔』の項目は機種名:AAAのみに設定される項目であり、室内機内部に備えられているエアフィルターの清掃を使用者に促すアラームの表示間隔を指定するものである。標準時間(100時間)、長め(150時間)、短め(80時間)の他、非動作(アラーム表示の禁止)を設定することができる。
『天井高』の項目は全ての室内機に設定される項目である。室内機が設置される部屋の天井高が高くなるに従って室温の検出値に誤差が発生するため、この値による室内機での検出値補正に用いられる。標準(3〜5メートル)、低め(3メートル以下)、高め(5メートル以上)を設定することができる。
『吹出口方向』の項目は天井埋込型の室内機に設定される項目である。室内機が設置される部屋の構造によっては4方向に吹出できない場合があるため、標準(4方向)、3方向、2方向を設定することができる。
『上下風向板可動範囲』の項目は室内機の水平風向板の可動範囲を指示するものであり、水平から斜め下を『上半分』、斜め下から真下を『下半分』、水平から真下までを『上下』と表現し、それぞれ回動する範囲を設定することができる。この設定は室内機が設置された室屋内の家具の配置や、部屋の広さ、天井の高さなどの影響を低減させるものである。
『風量』の項目は全ての室内機に設定される項目である。最終的には室内の操作者の要望で設定されるが、一般的には広い部屋、天井の高い部屋では風量を大きくしないと充分な空調ができにくい。風量は大、中、小を設定することができる。
『運転モード』の項目は全ての室内機に設定される項目である。最終的には室内の操作者の要望で設定されるが、一般的にはビル空調システム1の管理者が天候や温度、季節を考慮して決定する。運転モードは冷房、または、暖房を設定することができる。
『設定温度』の項目は全ての室内機に設定される項目である。最終的には室内の操作者の要望で設定されるが、一般的にはビル空調システム1の管理者が天候や温度を考慮して決定する。冷房では20〜35℃、暖房では15〜30℃を設定することができる。
図3は機器別設定一覧表であり、遠隔管理端末3の記憶手段3bに格納される。機器別設定一覧表は、図2の機種別設定内容一覧表と、ホテルの部屋条件と、ホテルの管理者の要求に従って、全ての機器に設定すべき内容を示す。システムの運用開始前の初期設定時には各項目の内容欄は全て空白である。なお、この機器別設定一覧表で空白は『−』で表現する。
『アドレス』と『機種名』の項目は、通信線を介して中央管理端末11が問い合わせた内容に応じて各機器が返送した内容であり、各機器自身のアドレスと機器の機種名とを示している。このデータはネットワーク回線2を介して遠隔管理端末3に送られる。
遠隔管理端末3の通信手段3cはこの『アドレス』と『機種名』とのデータを受信し、制御手段3aに引き渡す。制御手段3aはこのデータを図3の機器別設定一覧表の該当する欄に書き込む。従来の初期設定方法では、アドレスを指定しながら『フィルタクリーン間隔』から右の項目を、図2の機種別設定内容一覧表と、ホテルの部屋条件と、ホテルの管理者の要求に従って図3の機器別設定一覧表の各設定項目を手入力で書き込みを行っていた。
本実施例ではこの手入力で書き込み作業をできるだけ低減し、正確な設定を行うため次の処理を行う。
ここで、ホテルの部屋条件とは、部屋の広さと部屋の天井高と窓の有無とであり、ホテルの管理者の要求とは、運転モードと設定温度とである。一般的に運転モード、つまり、冷房か暖房かはホテルの管理者が決定し、また、省エネを考慮すると冷房は設定温度:28℃、暖房は設定温度:20℃を基準として考えるが、部屋に窓がある場合、冷房運転では日差しの影響で冷えにくくなり、設定温度を低めに設定しなければならない。
一方、ホテルの部屋条件では、一般的に部屋が広くなる、もしくは、天井高が高くなるほど風量を大きくしないと、部屋全体を空調できない。また、風量が大きくなると、部屋で循環する空気が多くなり、これに従ってフィルターにゴミが溜まり易くなり、頻繁なフィルター清掃が必要になる。このため、フィルタクリーン間隔やフィルタサイン間隔を設定風量に合わせて設定しなければならない。
さらに、天井高が低い場合は冷風/温風が直接人に当たらないように、上下風向板可動範囲は上半分とする。また、天井高が高い場合は、冷風/温風が床まで届くように、上下風向板可動範囲は下半分とする。また、天井高が中間の場合は、上下風向板可動範囲は上下とする。
一般的に部屋の広さに合わせて適正な冷暖房能力を備えた室内機が設置されるが、ホテルなどのように、部屋の間仕切りが移動された結果、部屋の広さと予め設定した空気調和機の能力のバランスが取れずに運転する場合がある。このような場合、風量や設定温度を最適に再設定しなければならない。
このように多様な設定を行うため、本実施例ではできるだけ設定操作を簡略化したマンマシンインターフェースを構成している。遠隔管理端末3におけるこの設定画面を説明する図が図4の項目毎設定画面と、図5の機器毎設定画面である。
まず、図5の機器毎設定画面について説明する。この設定は機器のアドレスを指定して、機器ごとに各設定値を指定するものである。アドレスの情報により、このアドレスを持つ機器の機種名が特定できるため、機器で設定できない項目については、項目をグレー表示し、項目入力ができないようにしている。
図5において、左上が基本選択エリアであり、『項目毎設定』、『機器毎設定』のいずれかの選択、また、『室内機』、『室外機』、『周辺機器』の各機器のいずれかのボタン式表示の選択を行うようになっており、図示しないマウスやタッチパネル等で選択されたボタン式表示がハイライト表示され、選択された項目が有効であることを示している。なお、各機器の選択により、選択された機器のアドレス番号が若い順に画面表示される。
まず、『機器毎設定』を選択し、次に『室内機』を選択する。次に、図5右上の機器選択エリア内で、アドレスを遠隔管理端末3の入出力端末3dからキー入力、もしくは、マウスやタッチパネル等でプルダウンメニューから選択すると、図5の左下に表示されている設定項目に対応する該当アドレス、及びそのアドレスの前後のアドレスの現在の設定値が表示される。
なお、設定項目の名称表示の隣にはプルダウンメニュー(点線枠)が表示され、各設定項目毎に設定値を選択、設定することができる。なお、機器選択エリア内の『登録』ボタン選択で現在の設定が遠隔管理端末3から中央管理端末11を介して各機器に送信される。『取消』は現在選択されているアドレスで示される機器の設定値をクリア(空白)する。
選択された機器や入力されたアドレスに関する表示処理は、遠隔管理端末3の制御手段3aが、記憶手段3bに格納された機器別設定一覧表のテーブルデータ内を入出力端末3dから入力されたアドレス値をキーにして検索し、対応する設定値を読み出して表示する。また、設定項目でのプルダウンメニューによる設定は、設定項目と対応する機種別設定内容一覧表のテーブルデータの内容を読み出して表示し、指定された設定値を機器別設定一覧表のテーブルデータの指定されたアドレスでの指定された設定項目の対応場所に書き込むことで実現される。
次に図4の項目毎設定画面について説明する。基本選択エリアのボタン式表示については、図5と同じため説明を省略する。まず、『項目毎設定』を選択し、次に『室内機』を選択する。すると、システムに接続されている全ての室内機のアドレスが101〜708の番号として表示される。このアドレス番号の先頭には『□』の選択チェックマーク欄が表示されており、ここをマウスやタッチパネルでクリックすることで、次の操作以降で指定される設定内容を反映させる室内機を指定することができる。この画面表示の例では部屋番号401〜708の設定を行うため、これらと対応するアドレス番号にチェックマークを入れる。
図4において、基本選択エリアの右には自動設定条件エリアがある。ここには、窓設定の項目に『有り』、『無し』のプルダウンメニューが表示されるようになっている。また、部屋設定の項目に『狭い』、『中』、『広い』のプルダウンメニューが表示されるようになっている。これらを設定することで複数の設定項目の設定値を自動算出することができる。
この自動設定条件の対象として、部屋番号401〜708を例として操作を説明する。これらの部屋は宿泊部屋であるため室内が狭く、また、窓を備えているため、窓設定の項目に『有り』、部屋設定の項目に『狭い』をそれぞれ指定する。
一方、自動設定条件エリアの右には個別設定エリアがある。ここにでは、設定項目と設定内容とをそれぞれのプルダウンメニューから選択するようになっている。また、設定された値を各機器に登録する『登録』、設定内容をクリア(空白)する『取消』、さらに、各設定項目に最適な値を自動で行う設定値自動算出処理を開始させる『自動設定』の各ボタン式表示がある。
ここで、前述した設定値自動算出を行うためには、設定項目を『運転モード』、設定内容を『冷房』または『暖房』に指定し、次に『自動設定』を選択する。すると指定されたアドレスの室内機に対して、指定された条件を基に、各設定項目の設定値が自動的に算出され、機器別設定一覧表に書き込まれる。なお、この実施例の場合、自動設定される項目は、フィルタクリーン間隔、フィルタサイン間隔、天井高、上下風向板可動範囲、風量、設定温度である。ただし、図4で示されるように、現在指定されているアドレス:401〜708は、フィルタクリーン間隔指定とフィルタサイン間隔指定の機能がないため、設定値を指定することができない。
また、設定項目の『吹出口方向』に関しては自動設定できないので、設定内容のプルダウンメニューで個別の室内機毎に設定する。ただし、図4の画面例では部屋番号401〜708は小型室内機であり、設定項目の『吹出口方向』の選択がない仕様であるため、この設定値を手動入力する必要がない。
設定項目と設定内容はチェックマークをつけたアドレスと対応する機器に対して有効である。従って同じ設定項目と設定内容とを異なる複数の機器に設定可能である。ただし、指定された設定項目や設定内容での機能自体が無い仕様の機器に関しては設定が無視される。
例えば、部屋番号:301と302とは同じ室内機であるが、機種名が一方はAAA、他方はBBBと異なっており、フィルタクリーン間隔の設定に関しては、機種名:BBBのみがその機能を備えているため、設定が選択できる仕様になっている。従って、図4の画面で、アドレス:301と302とにチェックマークをつけ、設定項目:フィルタクリーン間隔で設定内容:標準で『登録』を選択しても、アドレス:302のみに設定が行われる。一方、例えば、設定項目:天井高で設定内容:中で『登録』を選択すれば、どちらもこの設定仕様を備えているため、両方の室内機に同じ設定が行われる。
このような項目別の個別設定の機能は、機種別設定一覧表の中から指定されたアドレスの機器を選択し、この各機器の機種名と対応する設定項目を、機種別設定内容一覧表から選択してプルダウンメニューとして表示し、指定された設定値を機種別設定一覧表の指定されたアドレスの機器と対応する設定項目に書き込むことで実現される。
次に前述した設定値自動算出処理について説明する。図6は設定値自動算出のプロセスを説明する説明図である。縦の点線から左が自動算出に必要なデータであり、縦の点線から右が自動算出される設定値である。ただし、設定項目の『吹出口方向』については自動設定の対象外とし、遠隔管理端末3を操作する操作者によって入力された設定値をそのまま出力する。
自動算出に必要なデータの内、機種名は中央管理端末11を介して各機器から収集したものであり、この機種名を機種別設定内容一覧表内で検索し、対応する室内機の能力である『2:小』、『4:中』、『6:大』を抽出する。ここで、数値は実際に記憶手段3bに格納されている値であり、文字はその意味を表す。これは、図6において共通である。
遠隔管理端末3を操作する操作者が基本設定情報、つまり、『部屋設定』、『運転モード』、『窓設定』を入力し、図4で示す『自動設定』ボタン表示を選択すると制御手段3aは、指定されたアドレスの機器と対応する室内機の能力を機種別設定内容一覧表の中から抽出し、一時的に保持しておく。
なお、このように、被制御機器、つまり、室内機の識別データ(アドレス)と、機器別設定の定義データとをもとに、操作者が入力した被制御機器、つまり、室内機の設置状態(部屋設定)や運転情報(運転モード)などからなる基本設定情報を加味することで設定値を自動生成する。
次に操作者が入力した『部屋設定』の値を機種別設定一覧表の該当アドレス機器の『天井高』の項目と対応する位置に書き込む。なお、すでに値が書き込まれていた場合は、値の書き込みを行わない。この場合は操作者がすでに設定済みであるため、その設定値を優先させるためである。一方、自動設定で書き込む場合は、天井高を予想値として用いている。
『部屋設定』での設定値は1:狭い、2:中、3:広いと定義されており、一般的に部屋が広いほど天井高が高くなる傾向があるため、この値と対応して、『天井高』での設定値を1:低、2:中、3:高を定義している。建物により、この定義と極端に異なる場合は、前述のように操作者によって予め『天井高』の項目を設定しておくと、より正確な自動設定ができる。
次に室内機能力の値と部屋設定の値と天井高の値とを用いて風量を計算する。一般的に室内機は部屋が広いほど、また、部屋の天井高が高いほど、その空調能力が大きい機種が設置される。従って、室内機能力よりも相対的に広い部屋、または天井高が高い部屋の場合は、送風量をより大きくしないと、快適な空調ができない。また、逆に室内機能力よりも相対的に狭い部屋、または天井高が低い部屋の場合は、送風量をより小さくしないと、快適な空調ができない。
このようにして計算された風量が『計算風量』である。この値は風量の項目の設定値と対応しているが、この『計算風量』は論理的な値であり、実際の『風量』の設定値よりも広い範囲を含んでいる。従って送風量をより大きくしたくても、現実的には風量の項目は1:小、2:中、3:大の3つの値しか設定できない。
このため、風量を3:大に設定しても送風量が不足する場合は、さらに設定温度で調節する。例えば、冷房の場合は設定温度を標準の値、例えば28℃から2℃程度だけ低下させ、また、暖房の場合は標準の値、例えば20℃から2℃程度だけ上昇させる。このようにして、能力が不足する場合でも快適な空調に近づくように設定値を決定する。この不足風量に対応して補正する温度値が『不足風量/温度補正値』であり、この値で設定温度を補正する。
このように、例えば移動可能な仕切壁などを移動させた結果、室内の広さが室内機の設置時よりも大幅に広くなった場合でも、風量や設定温度を調節し、できるだけ快適な空調を維持するように設定値を自動的に決定することができる。つまり、空調能力と、運転モードと、室屋の広さとを勘案して、動作設定に関する設定値の内、風量設定や温度設定の各設定値を自動生成することができる
一方、『窓設定』の設定値は制御手段3aによって窓補正値に変換される。一般的に窓がある部屋は太陽の日差しを受け、夏季において冷房の設定温度を低めに設定する必要がある。従ってこの実施例では、窓設定の項目で1:有りの場合、窓補正値を−1℃:有りとしている。窓がない場合は補正も行わないため、窓補正値を0℃:無しとしている。
一方、『窓設定』の設定値は制御手段3aによって窓補正値に変換される。一般的に窓がある部屋は太陽の日差しを受け、夏季において冷房の設定温度を低めに設定する必要がある。従ってこの実施例では、窓設定の項目で1:有りの場合、窓補正値を−1℃:有りとしている。窓がない場合は補正も行わないため、窓補正値を0℃:無しとしている。
この実施例の場合、推奨温度を冷房:28℃、暖房:20℃としている。従って、運転モードの項目(冷房/暖房)が操作者によって決定されると、この運転モード毎の推奨温度に対して、窓補正値と不足風量/温度補正値とで補正を行い、最終的な設定温度の項目の設定値を算出する。
このように空調温度に大きな影響を与える窓の有無を、設定温度の補正条件としているため、窓の有無に関わらず快適な空調設定を行うことができる。
次に『天井高』の設定値を『上下風向板可動範囲』の項目にコピーする。一般的に天井が低い場合は送風が人に直接いかないように上下風向板を上半分の範囲で回動させ、天井が高い場合は送風が床近くまで届くようにし下半分の範囲で回動させる。天井高が中間の場合は、上から下までの範囲で回動させる。『天井高』の設定値を『上下風向板可動範囲』の設定値は、このような関係になるように設定値が1〜3の値に決定されている。
次に『風量』の設定値を『フィルタサイン間隔』と『フィルタクリーン間隔』の設定値としてコピーする。フィルタ関連の設定はフィルタの清掃が必要な期間を指定するものである。フィルタの汚れは一般的に運転時間と風量に比例するため、風量の値が大きいほどフィルタ関連の設定時間を短くしている。『風量』の設定値と『フィルタサイン間隔』、及び『フィルタクリーン間隔』の設定値は、このような関係になるように設定値が1〜3の値に決定されている。
以上説明したように、室内機が設置される部屋ごとに異なる設置条件に対応して各室内機の動作の設定値が自動的に生成されるため、人手で行っていた設定値の決定、設定値の入力作業を簡略化できると共に、この決定作業者の経験値に関わらず正確な設定作業を行うことができる。
また、風量と温度との各設定値をネットワークに接続された室内機の空調能力と室屋の広さとで自動生成するため、正確な空調設定を行うことがでる。
また、室内機が設置される部屋の広さから天井高を推測し、さらに、部屋の広さに加えて天井高を加味して風量の設定値を算出しているため、部屋の広さだけから風量を算出する場合に比べて、より正確な風量を算出できる。
また、ホテルの宴会場などで、移動可能な仕切壁などを移動させた結果、部屋の広さが室内機の設置時よりも大幅に広くなり、室内機の最大風量が不足する場合でも、風量の不足分を補うように設定温度を調節し、できるだけ快適な空調を維持するように設定値を決定することができる。
以上が設定値自動算出のプロセスの説明である。次に図6において具体的な例を用いて設定値の自動算出の過程を説明する。ここでは部屋の広さが同じで、かつ、窓がない部屋である部屋番号:102、202、302における自動設定の説明を行う。
図4で説明したように、『項目別設定』と『室内機』とを選択した後、部屋番号と対応するアドレス:102、202、302に選択チェックマークを入れる。そして、窓設定を『無し』に、また、部屋設定を『中』にし、例えば冷房運転を行うために設定項目を『運転モード』に、また、設定内容を『冷房』に選択し、『自動設定』を選択する。
この条件を入力した制御手段3aは、中央管理端末11を介して指定したアドレスの機器から機種名を受信する。ここでは、たまたま、全て同じ機種名:BBBであるため、このデータを受信する。制御手段3aは機種別設定内容一覧表のテーブルを機種名:BBBをキーにして、この機種に関する設定可能な項目と、設定値の内容と、室内機の能力とを参照することができる。
図6に示すように、このテーブルを参照した結果、機種名:BBBの室内機能力は『4:中』である。また、操作者の入力データは部屋設定:『2:中』、運転モード:『1:冷房』、窓設定:『0:無し』である。
制御手段3aは部屋設定の設定値を天井高にコピーし、天井高:『2:中』とする。そして以下の式を用いて、必要とする計算風量を算出する。
なお、室内機能力に対応して標準的な風量、つまり、標準風量が規定されているため、室内機能力:2、4、6に対応して、標準風量: 1、2、3と規定する。
計算風量=標準風量−(室内機能力−(部屋設定+天井高))・・・式1
アドレス:102、202、302の室内機の例では、
機種名:BBBの室内機能力:『4:中』、部屋設定:『2:中』、天井高:『2:中』、標準風量: 『2:中』であるため、これらを式1に代入すると、
計算風量= 2−(4−(2+2))=2であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『2:中』とする。
なお、室内機能力に対応して標準的な風量、つまり、標準風量が規定されているため、室内機能力:2、4、6に対応して、標準風量: 1、2、3と規定する。
計算風量=標準風量−(室内機能力−(部屋設定+天井高))・・・式1
アドレス:102、202、302の室内機の例では、
機種名:BBBの室内機能力:『4:中』、部屋設定:『2:中』、天井高:『2:中』、標準風量: 『2:中』であるため、これらを式1に代入すると、
計算風量= 2−(4−(2+2))=2であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『2:中』とする。
従って、設定可能な風量の範囲>計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は『0』となる。
一方、入力データの窓設定:『0:無し』であるため、窓補正値:『0℃:なし』になり、窓補正値:『0』となる。
制御手段3aは、入力データの運転モード:『1:冷房』であるため、推奨温度の冷房:28℃に対して不足風量/温度補正値:『0』と窓補正値:『0』とを加算し、設定温度:28℃を求める。ここで、もし、窓設定:『1:有り』であれば、窓補正値:『−1』となり、設定温度:27℃となる。
前述したように、上下風向板可動範囲=天井高=『2:上下』、フィルタクリーン間隔=風量=『2:標準』、吹出口方向は、操作者が入力したそのままの値を吹出口方向の項目設定値とする。図1によれば、アドレス:202の室内機が『3:2方向』、アドレス:102、302の室内機が『2:3方向』となるように、操作者が設定を行う。このようにして決定された値が、機器別設定一覧表の該当アドレスの行に書き込まれる。
なお、機器別設定一覧表のデータはアドレスの機器毎、もしくは、一括して中央管理端末11へ送信され、中央管理端末11から各機器へ再送信されることで設定処理が完了する。また、設定値自動算出処理の過程で、すでに、操作者により設定値が設定されている場合は、計算結果や設定値のコピーが行われず、すでに設定されている値が用いられる。
例えば、計算風量=『2』であっても、風量=『1:小』であれば、計算風量=『2』は無視され、風量=『1:小』が次の計算に使用される。これは風量を大きくできない事情などがある場合、手入力された設定値を優先させるためである。このような場合、この具体例で算出した計算風量=『2:中』に対して『1』だけ不足するので、不足風量/温度補正値の値は『1』となり、結果的に推奨温度の28℃に対して冷房での補正が−1℃だけ行われ、設定温度は27℃になる。
次に部屋の間仕切りが変更となり、結果的に室内機の能力と部屋の広さとのバランスが極端にアンバランスとなった場合の具体例を説明する。
図1において、例えば3階の部屋番号:301と302との間の仕切壁1aが左側に移動され、結果的に部屋番号:302が天井高:『中』、部屋:『狭』となったとする。
この結果、前述した図6の部屋設定が『1:狭』となり、前述の具体的な説明によると、天井高:『2:中』が設定済みであるため、これを式1に当てはめると、
計算風量=2−(4−(1+2))=1であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『1:小』となる。また、設定可能な風量の範囲>計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は『0』となる。この結果、設定温度は温度の補正を受けずに28℃となる。
計算風量=2−(4−(1+2))=1であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『1:小』となる。また、設定可能な風量の範囲>計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は『0』となる。この結果、設定温度は温度の補正を受けずに28℃となる。
別な例として、部屋番号:401の部屋を拡張し、廊下のエリアを含めるようにした場合、部屋設定が『3:広い』になる。また、部屋番号:401は天井高:『1:低い』であるため、これを式1に当てはめると、
計算風量=1−(2−(3+1))=3であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『3:大』となる。また、設定可能な風量の範囲>計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は『0』となる。なお、この部屋では窓補正値:『−1℃:有り』になり、この結果、設定温度は温度の補正を受けて27℃となる。
計算風量=1−(2−(3+1))=3であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3以内であるため、計算風量=風量=『3:大』となる。また、設定可能な風量の範囲>計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は『0』となる。なお、この部屋では窓補正値:『−1℃:有り』になり、この結果、設定温度は温度の補正を受けて27℃となる。
なお、さらに、この部屋の天井高が高くなるように改造した場合、部屋設定が『3:広い』に、また、天井高:『3:高く』になる。これを式1に当てはめると、
計算風量=1−(2−(3+3))=5であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3を越えるため、計算風量=風量=『3:大』となる。また、設定可能な風量の範囲<計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は計算風量から設定可能な風量の最大値、つまり、『3』を減算し、『2』となる。なお、この部屋では窓補正値:『−1℃:有り』になり、この結果、設定温度は温度の補正を受けて25℃となる。
計算風量=1−(2−(3+3))=5であり、計算結果の風量は、設定可能な風量の範囲:1〜3を越えるため、計算風量=風量=『3:大』となる。また、設定可能な風量の範囲<計算風量であるため、不足風量/温度補正値の値は計算風量から設定可能な風量の最大値、つまり、『3』を減算し、『2』となる。なお、この部屋では窓補正値:『−1℃:有り』になり、この結果、設定温度は温度の補正を受けて25℃となる。
このように、室内機の能力が不足する場合は風量を増加させ、それでも不足する場合は設定温度を調節する。また、逆に室内機の能力が大きすぎる場合は風量を減少させるように自動設定する。なお、計算風量が『1』以下になった場合は、風量:『1:小』とし、不足風量/温度補正値:『0』として計算する。しかしながら、仕様として室内機の能力が大きすぎる場合でも不足風量/温度補正値を求めて温度補正するようにしてもよい。
次に図7の設定画面処理、及び図8の設定値自動算出のフローチャートを用いて、遠隔管理端末3の制御手段3aの処理を説明する。なお、図7、図8においてSTはステップを表し、これに続く番号はステップ番号を示す。また、YはYesを、NはNoを表している。
図7において制御手段3aは、まず、ビル空調システム1内に接続された機器のデータ、つまり、個々の機器のアドレスと機種名と現在の機器に設定されている各種設定値とを中央管理端末11を介して受信する(ST1)。なお、このとき機器別設定一覧表のテーブルが作成されるが、この場合、『室内機能力』の項目は空白である。次に、受信した機種名を機種別設定内容一覧表のテーブル内で検索し、該当する機種の室内機の能力を抽出する(ST2)。そして、項目毎設定の画面を入出力端末3dに表示する(ST3)。
次に『機器毎設定』、又は『項目毎設定』のボタン選択を確認する(ST4)。いずれかのボタンが選択されたら(ST4−Y)、選択されたボタンの種類により、機器毎設定画面、又は、項目毎設定画面を表示する(ST13)。そしてST4へジャンプする。
『機器毎設定』、又は『項目毎設定』のいずれのボタンも選択されない場合(ST4−N)、次に『室内機』、『室外機』、『周辺機器』のいずれかのボタン選択を確認する(ST5)。いずれかのボタンが選択されたら(ST5−Y)、選択されたボタンの種類により次の処理を行う。項目毎設定画面であれば、該当するアドレスの値を表示し、機器毎設定画面であればアドレス順に設定内容を表示する(ST14)。そしてST4へジャンプする。
『室内機』、『室外機』、『周辺機器』のいずれのボタンも選択されない場合(ST5−N)、次に『登録』のボタン選択を確認する(ST6)。『登録』のボタンが選択されたら(ST6−Y)、現在の画面で選択、設定された設定値を中央管理端末11経由で該当するアドレスの機器に送信する(ST15)。そしてST4へジャンプする。
『登録』のボタンが選択されない場合(ST6−N)、次に『取消』のボタン選択を確認する(ST7)。『取消』のボタンが選択されたら(ST7−Y)、現在の画面で指定した設定値の取消処理を行う(ST16)。そしてST4へジャンプする。なお、この処理では該当するアドレスの設置値をクリア(空白)にすることができる。この操作は『自動設定』の実行前に既に設定されている設定値をクリアする時に用いられる。
『取消』のボタンが選択されない場合(ST7−N)、次に『アドレス』のボタン選択を確認する(ST8)。なお、『アドレス』のボタン表示は機器毎設定画面にのみ表示される項目である。『アドレス』のボタンが選択されたら(ST8−Y)、指定されたアドレス、及びそのアドレスの前後のアドレス値を持つ機器の設定値を表示する(ST17)。そしてST4へジャンプする。
『アドレス』のボタンが選択されない場合(ST8−N)、次に『自動設定』のボタン選択を確認する(ST9)。『自動設定』のボタンが選択されない場合(ST9−N)、次に、その他の入力処理かを確認する(ST18)。その他の入力処理でない場合(ST18−N)、ST4へジャンプする。その他の入力処理である場合(ST18−Y)、その他の画面/入力処理を行う。ここでは、プルダウンメニューによる設定項目の選択や、設定内容の選択、さらに選択チェックマークの処理など、画面入力の一般処理を行う(ST19)。そしてST4へジャンプする。
一方、『自動設定』のボタンが選択された場合(ST9−Y)、選択チェックマークで指定された自動設定の対象となるアドレスを順に指定する(ST10)。そして、該当するアドレスの機器に設定する設定値を自動算出する(ST11)。そして、選択された全部のアドレスが終了したか確認し(ST12)、未終了の場合はST10へジャンプし、全て終了した場合はST4へジャンプする。
次に指定されたアドレスの機器に設定する設定値を自動算出するステップ(ST11)について、図8を用いて説明する。このステップでは、図7で説明した設定画面処理を用いて操作者が入力する『部屋設定』、『運転モード』、『窓設定』、及びシステムから得られたアドレス情報から抽出した室内機能力を用いて、該当アドレスの機器に必要な各種の設定値を自動算出する。なお、以降の説明において『』で示す項目は設定値、又は、計算途中の値を識別する名称であり、その名称に対応した値が記憶手段3bに格納されている。
図8において制御手段3aは、まず、『天井高』のデータが設定済みか確認する(ST20)。これは、機器別設定一覧表のテーブルの『天井高』の設定値が空白でない場合を確認することで行われる。天井高のデータが未設定の場合(ST20−N)、『部屋設定』で入力された設定値を『天井高』の設定値としてコピーする(ST21)。そして計算風量を算出する(ST22)。一方、天井高のデータが設定済みの場合(ST20−Y)、ST22へジャンプする。
ST22の処理は、該当アドレスの機器の『室内機能力』、『部屋設定』の各設定値を式1に代入して『計算風量』を求めるものである。次に『風量』が設定済みか確認する(ST23)。『風量』が設定済みでない場合(ST23−N)、『計算風量』が『標準風量』の最大値よりも大きいか確認する(ST24)。『計算風量』が『標準風量』の最大値と等しいか、小さい場合(ST24−N)、『計算風量』の値を『風量』の設定値として格納する(ST25)。
次に、『推奨温度』、つまり、冷房:28℃、又は暖房:20℃に対して『不足風量/温度補正値』の値で補正し、補正結果を『設定温度』に格納する(ST26)。なお、『不足風量/温度補正値』の値が空白の場合は、補正を行わない。
次に『運転モード』の設定値が冷房であるか確認する(ST27)。『運転モード』の設定値が冷房である場合(ST27−Y)、『設定温度』を『窓補正値』の値で補正する。そして、補正した結果を『設定温度』の値として格納する(ST28)。具体的には『設定温度』に『窓補正値』の値を加算する。なお、『窓補正値』は補正の計算前に『窓設定』:有りで−1、『窓設定』:無しで0の値に変換する。
次に『天井高』の設定値を『上下風向板可動範囲』の設置値として格納する(ST29)。ただし、『上下風向板可動範囲』の項目がすでに設定済みの場合と、該当アドレスの機器に機能が備わっていない場合は何も格納しない。一方、『運転モード』の設定値が冷房でない場合(ST27−N)、ST29へジャンプする。
次に『風量』の設置値を『フィルタクリーン間隔』と『フィルタサイン間隔』とに格納する(ST30)。ただし、それぞれの項目がすでに設定済みの場合と、該当アドレスの機器に、対応する機能が備わっていない場合は何も格納しない。そしてこのルーチンを抜ける。
一方、『計算風量』が『標準風量』よりも大きい場合(ST24−Y)、『計算風量』から『標準風量』の値を減算し、この結果を『不足風量/温度補正値』の値として格納する(ST31)。そしてST26へジャンプする。
また、『風量』が設定済みの場合(ST23−Y)、『計算風量』が『風量』の値よりも大きいか確認する(ST32)。『計算風量』が『風量』の値よりも小さいか等しい場合(ST32−N)、ST26へジャンプする。『計算風量』が『風量』の値よりも大きい場合(ST32−Y)、『計算風量』から『風量』の値を減算し、この結果を『不足風量/温度補正値』の値として格納する(ST33)。そしてST26へジャンプする。
本実施例では室内機の自動設定を主として説明しているが、これに限るものでなく、室外機や周辺機器の設定項目において一定の関係がある項目について設定値を自動算出するようにしてもよい。
また、この実施例では遠隔管理端末3での処理として説明しているが、これに限るものでなく、システム内の各機器を制御できる機能を備えた端末、例えば中央管理端末11の処理としてしてもよい。
1 ビル空調システム
1a 仕切壁
2 ネットワーク回線
3 遠隔管理端末
3a 制御手段
3b 記憶手段
3c 通信手段
3d 入出力端末
11 中央管理端末
12 集中リモコン
21、22、23 大型室内機
31、32、33 中型室内機
41 小型室内機
51、52、53 室外機
1a 仕切壁
2 ネットワーク回線
3 遠隔管理端末
3a 制御手段
3b 記憶手段
3c 通信手段
3d 入出力端末
11 中央管理端末
12 集中リモコン
21、22、23 大型室内機
31、32、33 中型室内機
41 小型室内機
51、52、53 室外機
Claims (5)
- 複数の室内機や室外機や周辺機器などからなる被制御機器と、同被制御機器とネットワークを介して接続され、前記被制御機器の動作設定や運転制御を行う管理端末とを備え、 同管理端末は、前記被制御機器より受信した前記被制御機器を識別する識別データと、前記被制御機器の動作設定項目を予め定義した機器別設定の定義データとをもとに、前記管理端末を操作する操作者が入力した前記被制御機器の設置状態や運転情報などからなる基本設定情報を加味して、前記動作設定に関する設定値を自動生成することを特徴とする空調システム。
- 前記基本設定情報は前記室内機が設置される室屋の広さと、冷房/暖房などの運転モードとを含み、
前記管理端末は、前記定義データから抽出した前記識別データと対応する前記室内機の空調能力と、前記運転モードと、前記室屋の広さとを勘案して、前記動作設定に関する設定値の内、風量設定や温度設定の各設定値を自動生成することを特徴とする請求項1記載の空調システム。 - 前記管理端末は、前記動作設定のひとつであり前記室内機が設置された室屋の天井高の値をさらに勘案し、前記定義データから抽出した前記識別データと対応する前記室内機の空調能力と、前記室屋の広さと前記天井高から算出した室屋の容積とから、前記室内を空調するために必要な風量である計算風量を算出し、同計算風量が前記室内機の最大設定風量と等しいか小さい時、前記計算風量を前記風量設定値として自動生成することを特徴とする請求項2記載の空調システム。
- 前記管理端末は、前記計算風量を算出した時、同計算風量が前記最大設定風量より大きい場合、前記計算風量から前記最大設定風量を減算して不足風量/温度補正値を算出し、同不足風量/温度補正値を用いて、前記運転モード毎に予め定められた推奨温度を補正して前記温度設定の設定値を自動生成することを特徴とする請求項3記載の空調システム。
- 前記基本設定情報は前記室内機が設置される室屋の窓の有無を含み、前記管理端末は、前記窓の有無により、前記温度設定の設定値を補正することを特徴とする請求項2または請求項4記載の空調システム。
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