JP2010032024A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気圧や電力などの外部エネルギーの供給を必要とするアクチュエータを用いることなく、複数の異なる周波数域の振動に対して何れも優れた防振効果を発揮し得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】壁部の一部が弾性隔壁68で形成された作用空気室76から外部空間への空気の流出を許容する一方向弁82を設けると共に、中間室112と平衡室110を連通する第二の流体流路46の防振効果が発揮される周波数域の振動入力状態では該作用空気室76から該一方向弁82を通じて排出される空気量を回復させるには不十分な量の空気流入しか許容しない一方、該第二の流体流路46の防振効果が発揮される周波数域の振動の非入力状態では、該作用空気室76の初期容積を回復されるに充分な量の空気流入を許容する微小吸気孔98を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車用エンジンマウント等として用いられる防振装置に係り、特に、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に装着される防振連結体や防振支持体の一種として、流体封入式の防振装置が知られており、例えば自動車用エンジンマウントへの適用が検討されている。このような流体封入式防振装置は、一般に、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室を設けて、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入した構造とされている。そして、第一の取付部材と第二の取付部材の間への振動入力時に受圧室と平衡室の間に惹起される相対的な圧力変動に基づいて、それら受圧室と平衡室を相互に連通するようにして形成されたオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて防振効果を発揮し得るようになっている。
ところで、自動車用エンジンマウントにおいては、車両走行時には、エンジンシェイク等の低周波振動が問題となり易い一方、車両停車時には、アイドリング振動等の高周波振動が問題となり易い等、車両の走行状況等に応じて異なる周波数域の複数の振動が入力されることから、それら異なる周波数域の複数の振動に対してそれぞれ防振性能が要求される場合がある。
しかし、オリフィス通路を備えた流体封入式防振装置においては、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数の振動に対しては、オリフィス通路が実質的に閉塞状態となって著しい高動ばね化を招いてしまい、流体の共振作用に基づく防振効果は、オリフィス通路がチューニングされた狭い周波数域でしか有効に発揮され難いという問題があった。
このような問題に対処するために、例えば特許文献1には、互いに異なる周波数域にチューニングされた複数のオリフィス通路を設けると共に、それら複数のオリフィス通路を負圧式や電磁式等のアクチュエータで入力振動の周波数に応じて切り換えて機能させる構造が提案されている。しかし、特許文献1に記載の構造では、作動に負圧や電力などの外部エネルギーの供給を必要とする特別なアクチュエータを必要とすることから、かかるアクチュエータの負圧源や電源等との接続が必要になると共に、その作動を制御する制御装置も必要となって、部品点数が非常に多くなり、構造や制御が複雑で、製造コストも高くなる等という問題があった。
そこで、特許文献2には、入力振動の振幅の相違を利用して複数のオリフィス通路の切換弁を開閉作動させる構造が提案されている。しかし、かかる流体封入式防振装置についても構造が複雑で、製造が難しい。しかも、大振幅振動入力時における蓄圧機構でプランジャを駆動させてオリフィス通路の切換弁を作動させるも、完全な開状態と完全な閉状態を選択的に発現することが困難であり、入力振動の状態等によって防振特性の切換作動が不安定となり易く、目的とする防振特性を安定して切換発現させることが困難であった。そして、複雑な構造と相俟って、信頼性と耐久性に問題があり、実用化において、難しい面があった。
特開平5−118375号公報 国際公開2004/081408号パンフレット
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、空気圧や電力などの外部エネルギーの供給を必要とするアクチュエータを用いることなく、簡易な構成で少ない部品点数をもって、複数の異なる周波数域の振動に対して何れもオリフィス通路の流体流動作用に基づく優れた防振効果を高い作動信頼性をもって発揮し得ると共に、高い実用性を有する、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の第一の態様の特徴とするところは、(a)防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、(b)防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材と、(c)前記第一の取付部材と前記第二の取付部材を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、(d)該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が惹起されるようになっており非圧縮性流体が充填された受圧室と、(e)壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積可変とされており非圧縮性流体が封入された平衡室と、(f)壁部の一部が弾性隔壁で構成されて非圧縮性流体が封入された中間室と、(g)前記受圧室と前記中間室を連通する第一の流体流路と、(h)前記平衡室と前記中間室を連通する第二の流体流路と、(i)前記弾性隔壁を挟んで該中間室と反対側に形成された作用空気室と、(j)該作用空気室から外部空間への空気排出を許容するが外部空間から該作用空気室への空気流入を阻止する一方向弁と、(k)前記作用空気室を外部空間に対して連通し、前記第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態では該作用空気室から前記一方向弁を通じて排出される空気量を回復させるには不充分な空気流入しか許容せず且つかかるチューニング周波数域の振動の非入力状態では前記弾性隔壁の弾性に基づいて該作用空気室の初期容積を回復させるに充分な空気流入を許容する微小吸気孔とを、含む流体封入式防振装置にある。
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、例えば第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域がエンジンシェイクなどの低周波大振幅振動に設定される。そこにおいて、かかる低周波大振幅振動が入力された場合には、受圧室に生ぜしめられた正圧が、第一の流体流路を通じて中間室延いては弾性隔壁に及ぼされる。これにより、弾性隔壁が作用空気室の対向壁面に接近せしめられて、作用空気室内の空気が一方向弁を通じて外部空間に排出される。
そして、弾性隔壁は、自身の弾性によって振動入力前の初期状態に回復しようとするが、作用空気室内への空気の流入は、一方向弁によって阻止されていると共に、微小吸気孔を通じての空気の流入量は、第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態では、作用空気室から一方向弁を通じて排出された空気量を回復するには不充分な空気量しか許容されていない。従って、作用空気室の振動入力前の初期容積への速やかな回復が制限されており、弾性隔壁には振動入力前の初期状態へ回復する前に、振動による次の正圧が入力される。その結果、弾性隔壁は初期状態への回復が制限された拘束状態に維持されて、壁ばね剛性が増大せしめられる。
これにより、中間室は低周波大振幅振動の入力時には容積変化が制限される。従って、受圧室と平衡室との間で相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられて、第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動量が有効に確保され得る。その結果、例えばエンジンシェイクの如き低周波大振幅振動に対して第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が有効に発揮される。
一方、第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の非入力状態、例えば、前記エンジンシェイクの非入力状態で、アイドリング振動などの高周波小振幅振動が入力された場合には、微小吸気孔を通じて流入せしめられる空気の流入量が、弾性隔壁の弾性に基づいて作用空気室の初期容積を回復させるに充分な空気量に許容されている。これにより、弾性隔壁の弾性に基づく回復、即ち中間室の容積変化が許容されており、受圧室と中間室の間での相対的な圧力変動が有効に惹起されて、これら受圧室と中間室を連通する第一の流体流路を流れる流体の流動量が有効に確保される。その結果、例えばアイドリング振動などの高周波小振幅振動に対して、第一の流体流路を流れる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される。
なお、本発明において、第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体とは、流動経路上に少なくとも第二の流体流路を含むものであれば良いのであって、例えば第二の流体流路のみを流動せしめられて中間室と平衡室の間で流動せしめられる流体のみならず、第一の流体流路と第二の流体流路を通じて流動せしめられて中間室を経由して受圧室と平衡室の間で流動せしめられる流体等でも良い。要するに、本発明においては、第一の流体流路のみで高周波用オリフィス通路を構成すると共に、第二の流体流路のみで低周波用オリフィス通路を構成する等しても良いし、或いは、第一の流体流路のみで高周波用オリフィス通路を構成すると共に、第一の流体流路と第二の流体流路で協働して低周波用オリフィス通路を構成する等しても良い。更に、例えば第一の流体流路が走行こもり音などの大口径で短流路長の場合等では、弾性隔壁が拘束される受圧室と中間室が全体として一つの受圧室(拡張受圧室)として機能して、当該拡張受圧室と平衡室との間での第二の流体流路を通じての流体の共振作用で低周波オリフィス通路が構成されていると把握することも出来る。
これにより、本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、空気圧や電力等の外部エネルギーの供給を必要とするアクチュエータ等を設けること無しに、簡易な構成と少ない部品点数をもって、複数の異なる周波数領域の振動に対して何れもオリフィス通路の流体流動作用に基づく優れた防振効果を発揮することが出来る。
そして、特に本態様によれば、構成が簡易であることから、異なる周波数領域の入力振動に応じた防振特性の切換作動を高い信頼性と耐久性をもって実現することが可能となり、優れた実用性を有する流体封入式防振装置を提供することが出来る。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置において、前記作用空気室において、前記弾性隔壁に対向する内面が、前記第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動入力で、前記一方向弁を通じて該作用空気室から空気が排出されることによる該作用空気室の容積減少に伴って該弾性隔壁の少なくとも一部が当接される当接面とされていることを、特徴とする。
本態様によれば、弾性隔壁を当接面に当接せしめることによって、弾性隔壁の拘束状態をより強固に維持することが出来る。これにより、中間室の容積変化をより強固に制限して、第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動量をより安定して確保することが出来る。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記作用空気室を画成する前記弾性隔壁が前記中間室内に向かって略ドーム状に膨らんだ湾曲凸形状とされていると共に、該弾性隔壁に対向する該作用空気室の対向内面が、該弾性隔壁と反対側に向かって凹んだ湾曲凹形状とされていることを、特徴とする。
本態様によれば、例えばエンジンシェイクの如き低周波大振幅振動の入力時には、弾性隔壁を作用空気室側の対向内面に向けて凸となる形状に変形せしめることが出来る。これにより、弾性隔壁の形状を、作用空気室内に空気が充填されて作用空気室が存在する状態下での中間室への凸形状と、作用空気室内の空気が排出されて作用空気室が消失せしめられた状態下での中間室への凹形状とに明確に異ならせることが出来る。それと共に、弾性隔壁が作用空気室の対向面に向けて突出せしめられた場合に、作用空気室の対向面を弾性隔壁に略対応する湾曲凹形状としたことによって、弾性隔壁を作用空気室の対向面に対して容易に且つ広い範囲で密着させて拘束し易くなる。一方、作用空気室内に空気が流入せしめられて、弾性隔壁が初期状態に回復する際には、弾性隔壁の復元力を積極的に用いて、弾性隔壁を中間室内に凸となる形状に速やかに復元せしめることが出来る。これにより、作用空気室が消失せしめられた状態下での第二の流体流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振状態への切り換え作動を、より確実に高い信頼性の下で実現することが出来る。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係る流体封入式防振装置において、前記微小吸気孔が、前記第一の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態において前記作用空気室から前記一方向弁を通じて排出される空気量を回復させるに充分な空気流入を許容するものであることを、特徴とする。
本態様によれば、例えば第一の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域がアイドリング振動などの高周波小振幅振動に設定される。そこにおいて、微小吸気孔がかかる高周波小振幅振動の入力によって作用空気室から一方向弁を通じて排出された空気量を回復させるに充分な空気流入が許容されていることから、弾性隔壁は中間室に次の正圧が生ぜしめられる前に静圧状態下での初期状態乃至はそれに近い状態への回復が許容され得る。これにより、第一の流体流路のチューニング周波数域の振動が入力された場合には、中間室の容積変化が安定して生ぜしめられて、受圧室と中間室の相対的な圧力変動が有効に惹起されることから、これら受圧室と中間室を連通する第一の流体流路を流れる流体の流動量が有効に確保され得る。その結果、第一の流体流路を流れる流体の流動作用に基づく防振効果がより安定して有効に発揮され得る。要するに、本態様によれば、第二の流体流路のチューニング周波数の振動の非入力状態において、特に第一の流体流路のチューニング周波数域の振動入力時に弾性隔壁の速やかな回復が許容されることによって、第二の流体流路による防振効果と共に、第一の流体流路による防振効果もより有効に発揮することが出来る。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る流体封入式防振装置において、前記一方向弁において、前記作用空気室からの正圧が所定値になるまで閉鎖状態を保持する予圧が設定されていることを、特徴とする。
本態様によれば、例えば第一の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域をアイドリング振動等の高周波小振幅振動に設定して、かかる高周波小振幅振動の入力時には、作用空気室からの一方向弁を通じた空気の排出を阻止することが出来る。これにより、かかる高周波小振幅振動の入力時には作用空気室は実質的な密閉状態とされることから、作用空気室の圧縮性に基づいて中間室の容積変化延いては弾性隔壁の膨出変形が許容される。その結果、受圧室の圧力変動が弾性隔壁の弾性変形によって作用空気室により吸収低減される。これにより、第一の流体流路によって構成される高周波オリフィス通路による低動ばね効果が発揮される。
なお、本態様における予圧の設定は、例えばチェックバルブによって行うことが可能であるし、一方向に開放する弁をコイルスプリングやゴム等の付勢手段で閉方向に付勢する構造等が採用され得る。
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係る流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部側に前記第一の取付部材が配設されてそれら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体によって該筒状部の一方の開口部側が閉塞されている一方、該筒状部の他方の開口部が前記可撓性膜で閉塞されており、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜との対向面間に非圧縮性流体の封入領域が形成されていると共に、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間に仕切部材が配設されて該筒状部で支持されており、該仕切部材と該本体ゴム弾性体との間に前記受圧室が形成されていると共に、該仕切部材と該可撓性膜との間に前記平衡室が形成されており、更に、該仕切部材の内部に前記中間室と前記空気室が形成されていることを、特徴とする。
本態様によれば、受圧室と平衡室、および作用空気室と中間室を筒状部内でコンパクトに構成することが出来る。なお、本態様において、より好適には、前記仕切部材の外周面が外部空間に露出せしめられており、前記作用空気室と外部空間を連通する給排気通路が該仕切部材の外周面から外部空間に取り出されている態様が採用され得る。このようにすれば、作用空気室の外部空間との連通構造をより容易に実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1に、本発明における流体封入式防振装置の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10を示す。エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が車両ボデー側に取り付けられることによって、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。
なお、図1では、エンジンマウント10の自動車への非装着状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力される。従って、マウント装着状態下では、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されて、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位せしめられることとなる。なお、以下の説明中において、特に断りのない限り、上下方向とは、図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、小径の略円柱形状とされたナット部17を有しており、ナット部17の中央部分には、上方に開口するネジ孔18が形成されている。そして、かかるネジ孔18に、固定用ボルト20が上方に突出した状態で螺着されている。更に、ナット部17の下端部には、径方向外方に突出する当接部22が一体形成されている。
また、第一の取付金具12のナット部17には、バウンドストッパゴム23が設けられている。バウンドストッパゴム23は、下方に開口する略有底円筒形状とされている。更に、バウンドストッパゴム23上底部の中央には開口方向に延び出す略筒形状の挿通部25が一体形成されており、挿通部25によってバウンドストッパゴム23は軸方向に貫通されている。そして、かかる挿通部25が第一の取付金具12のナット部17に対して上方から外挿されることによって、バウンドストッパゴム23が下方に開口して第一の取付金具12に取り付けられている。
一方、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部24を挟んで、上方が大径筒部26とされている一方、下方が大径筒部26よりも径寸法が小さな小径筒部28とされている。そして、これら大径筒部26と小径筒部28によって第二の取付金具14の筒状部が構成されている。また、第一の取付金具12が第二の取付金具14の一方(図1中、上方)の開口部側に離隔配置されて、両金具12,14の中心軸が略同一線上に位置せしめられていると共に、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、本体ゴム弾性体16が配設されている。
本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、その小径側端面が、第一の取付金具12の当接部22の略全体を埋設して、ナット部17を上方に突出せしめた状態で、第一の取付金具12の外周面に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面が、第二の取付金具14の大径筒部26および段差部24の内周面に加硫接着されている。これにより、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。そして、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって相互に弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14の大径筒部26側における一方(図1中、上方)の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、下方に開口する略すり鉢形状の大径凹所30が形成されている。更に、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12の当接部22を回り込まされており、本体ゴム弾性体16と一体形成されたストッパゴム31が、当接部22の外周部分から上方に延び出して形成されている。更にまた、第二の取付金具14の小径筒部28の内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層32が、略一定の厚さ寸法で、全体に亘って被着形成されている。なお、シールゴム層32の上端部分には、径方向内方に僅かに突出する位置決め段差部33が形成されている。
そして、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14の他方(図1中、下方)の開口部側から仕切部材34が組み付けられている。仕切部材34は、複数の部材を組み合わせてなる分割構造体とされており、特に本実施形態においては、上側仕切部材36と下側仕切部材38を含んで構成されている。
上側仕切部材36は、全体として下方に開口する略カップ形状を有しており、全体の外径寸法が、第二の取付金具14の小径筒部28の内径寸法よりも小さくされている。なお、上側仕切部材36は、本実施形態においては、硬質の合成樹脂材を用いて形成されている。かかる上側仕切部材36には、凹所としての下面中央に開口する大径の中央凹所40が形成されており、中央凹所40の周壁部の内周面には、軸方向(深さ方向)の中間部分に位置して、軸直角方向外方に広がる円環形状の段差部42が形成されている。これにより、中央凹所40は、段差部42を挟んだ上底部側(図1中、上側)の内径寸法が、段差部42を挟んだ開口部側(図1中、下側)の内径寸法よりも小さくされている。更に、上側仕切部材36の周壁部上端の外周面には、軸直角方向に広がる係止段差部43が形成されている。なお、上側仕切部材36における中央凹所40の開口部周りの外周部分の下端面は、軸直角方向に広がる平坦面とされている。
また、上側仕切部材36における上底部の中央部分には、上底部を厚さ方向(図1中、上下方向)に貫通する第一の流体流路としての第一連通路44が形成されている。第一連通路44は、一方の端部が上側仕切部材36の上端面に開口せしめられていると共に、他方の端部が、上側仕切部材36の中央凹所40に開口せしめられている。特に本実施形態においては、第一連通路44の中央凹所40への開口部が、後述する可動ゴム膜68の中央部分と軸方向で対向位置せしめられている。なお、後述するように、第一連通路44はオリフィス通路として用いられる流体流路であり、図1はあくまでもモデル図であって、第一連通路44の通路長さや断面積は、要求される防振特性等を考慮して適宜に設定され得る。
さらに、上側仕切部材36の周壁部内には、上側仕切部材36の厚さ方向(図1中、上下方向)に延びる第二の流体流路としての第二連通路46が形成されている。第二連通路46は、一方の端部が上側仕切部材36の中央凹所40の周壁部内面において段差部42よりも上方に開口せしめられていると共に、他方の端部が、上側仕切部材36の下端面に開口せしめられている。なお、後述するように、第二連通路46はオリフィス通路として用いられる流体流路であり、図1はあくまでもモデル図であって、第二連通路46の通路長さや断面積は、要求される防振特性等を考慮して適宜に設定され得る。例えば、第二連通路46を、上側仕切部材36の周方向に2周弱など所定の長さで延びる連通孔とする等しても良い。
そして、かかる上側仕切部材36に対して、軸方向下方から下側仕切部材38が重ね合わされている。下側仕切部材38は、上側仕切部材36と略等しい外形寸法を有する厚肉の略円板形状を有していると共に、硬質の合成樹脂材を用いて形成されている。かかる下側仕切部材38には、下面中央に開口する下側凹所48が形成されている。また、下側仕切部材38の上端部分の中央には、浅底皿状の中央突部50が一体形成されている。
中央突部50の基端部側の外周面には、周方向に全周に亘って延びる嵌着溝52が刻設されている。また、下側仕切部材38の外周部分には、上側仕切部材36に重ね合わされた際に上側仕切部材36の第二連通路46の開口部に対応する位置において、軸方向に貫通する連通孔54が形成されている。かかる連通孔54は、軸方向両側において、下側仕切部材38の上端面と、下側凹所48の内面とに、それぞれ開口せしめられている。
さらに、下側仕切部材38の外周面における軸方向上端部には、周方向の略全周に亘って連続して延びる凹溝状の上側嵌着溝56が形成されている。一方、下側仕切部材34の外周面における軸方向下端部には、周方向の全周に亘って連続して延びる凹溝状の下側嵌着溝58が形成されている。
また、中央突部50の上端面には、下側仕切部材38の軸方向上方に向けて凹となる湾曲面形状とされた当接面60が形成されている。当接面60は、上面視において略円形状とされており、特に本実施形態においては、全面に亘って略一定の曲率の湾曲面とされている。
そして、当接面60の外周部分における周上の一箇所には、空気通路62が開口せしめられている。空気通路62は、当接面60の外周部分において、下側仕切部材38の内部を略軸方向に延びて形成されており、一方の端部が当接面60に開口せしめられる一方、他方の端部が、下側仕切部材38の外周面に開口せしめられたポート部64と連通せしめられている。かかるポート部64は、下側仕切部材38の軸方向下端部において、外周面に開口する円形の凹所内に円筒形状をもって突出形成されている。
そして、下側仕切部材38の上方には、中央突部50を覆うようにして、隔壁部材66が配設されている。隔壁部材66は、弾性隔壁としての可動ゴム膜68の外周縁部に、嵌着リング70が加硫接着されて構成されている。
可動ゴム膜68は、全体として略円板形状とされており、僅かではあるが径方向中央側に向かって次第に軸方向上方に位置するようにされたテーパ状とされている。そして、かかる可動ゴム膜68の外周縁部が、略円環形状とされた嵌着リング70の内周面に対して被着せしめられている。かかる可動ゴム膜68の具体的な形状としては、例えば特開2008−32055号公報に開示の如き形状が好適に採用され得る。
そして、このような形状とされた可動ゴム膜68の外周縁部に、嵌着リング70の内周面が被着せしめられている。嵌着リング70は、薄肉の略円筒形状を有しており、鉄やアルミニウム合金等の金属材料によって形成されている。かかる嵌着リング70の軸方向一方(本実施形態においては、下方)の端部には、全周に亘って径方向内方に広がる係止突部72が一体形成されている。
さらに、嵌着リング70の軸方向上端部には、軸方向上方に向かって突出するシールリップ74が被着形成されている。シールリップ74は、可動ゴム膜68と一体的に形成されており、全周に亘って略一定の山形断面形状をもって周方向に連続して形成されている。
このような構造とされた隔壁部材66における嵌着リング70の軸方向下端部が下側仕切部材38の中央突部50に外挿されると共に、嵌着リング70の軸方向中間部分から下側部分に対して八方絞り等の縮径加工が施されることによって、係止突部72が中央突部50の嵌着溝52に係止固定されている。これにより、中央突部50の開口上方部分が可動ゴム膜68で流体密に覆われて、当接面60の全面が可動ゴム膜68に対向せしめられており、中央突部50の底部である当接面60と可動ゴム膜68の間に、作用空気室76が形成されている。ここにおいて、作用空気室76は、壁部の一部が可動ゴム膜68で構成されていることから、可動ゴム膜68の弾性で所定容積が設定されており、可動ゴム膜68がその弾性で作用空気室76の当接面60から離隔した状態に保持されていることで静圧下で所定容積が確保されるようになっている。
さらに、下側仕切部材38の上面に上側仕切部材36が重ね合わされることにより、嵌着リング70は、上側仕切部材36の中央凹所40に対して嵌め入れられている。また、嵌着リング70の上端部がシールリップ74を中央凹所40の段差部42に対して軸方向に押し付けている。これにより、嵌着リング70と上側仕切部材36の間は、全周に亘って、シールリップ74により、軸方向で流体密にシールされている。なお、図面からは明らかではないが、上側仕切部材36と下側仕切部材38は、互いの対向面上に形成された係合片と係合溝を係合せしめることによって互いに組み付けられるようになっている。
而して、このように軸方向で重ね合わされた上側仕切部材36と下側仕切部材38を含んで構成された仕切部材34が、第二の取付金具14の小径筒部28に下方から挿し入れられる。そして、上側仕切部材36の外周面に形成された係止段差部43がシールゴム層32に形成された位置決め段差部33に重ね合わされることによって、これら上側仕切部材36および下側仕切部材38が、第二の取付金具14に対して軸方向に位置決めされる。かかる位置決め状態において、下側仕切部材38は、中央突部50から上方の部位だけが第二の取付金具14に嵌め入れられた状態とされており、ポート部64が形成された凹所は、第二の取付金具14から軸直角方向の外方に突出するようにして外部空間に露出せしめられている。
そして、第二の取付金具14の小径筒部28に対して八方絞り等の縮径加工が施されることによって、上下側仕切部材36,38の各外周面が小径筒部28の内周面に被着されたシールゴム層32を介して小径筒部28の内周面に流体密に重ね合わせられると共に、小径筒部28の下端縁部において径方向内方にフランジ状に延びる嵌着突部78が下側仕切部材38の上側嵌着溝56に嵌め入れられて係止固定される。これにより、仕切部材34が、第二の取付金具14における小径筒部28で支持されて、第二の取付金具14に対して嵌着固定されている。
さらに、第二の取付金具14の外部空間に露出せしめられたポート部64には、合成樹脂材を用いて形成された空気管路80の一方の端部が外挿状態で接続されており、かかる空気管路80が、仕切部材34から外部空間に延び出されている。
そして、空気管路80においてポート部64と接続された端部と反対側の端部には、一方向弁82が設けられている。一方向弁82としては、従来公知の構造が適宜に採用可能である。図2に、本実施形態における一方向弁82をモデル的に例示する。本実施形態においては、空気管路80におけるポート部64と反対側の端部の内径が、段差面84を挟んだ開口端面86側において拡径せしめられている。更に、空気管路80におけるポート部64と反対側の開口部は、開口端面86に蓋部材88が重ね合わされることによって覆蓋されており、蓋部材88に貫設された複数の通気孔90を通じて、空気管路80の管内部が外部空間と連通せしめられている。
そして、段差面84と蓋部材88の間に形成された収容空間内に、例えば金属球等から形成された封止体92が収容状態で配設されていると共に、封止体92と蓋部材88の間に、コイルスプリング94が圧縮状態で介在せしめられている。これにより、封止体92はコイルスプリング94で段差面84に向けて付勢されて、段差面84に開口せしめられた中間開口部96を閉鎖状態に保持するようになっている。従って、一方向弁82を通じての作用空気室76から外部空間への空気の排出は許容される一方、一方向弁82を通じての外部空間から作用空気室76内への空気の流入は阻止されている。そして、特に本実施形態における一方向弁82にはコイルスプリング94によって予圧が設定されており、空気管路80が接続された作用空気室76からの正圧が所定値になるまで閉鎖状態が保持されるようになっている。
さらに、空気管路80における一方向弁82とポート部64との間には、微小吸気孔98が形成されている。微小吸気孔98は、空気管路80に貫設されて、空気管路80の内部空間と外部空間を連通する連通孔とされている。これにより、作用空気室76は、微小吸気孔98を通じてエンジンマウント10の外部空間に連通されている。
ここにおいて、微小吸気孔98によって許容される空気の流入量は、第二連通路46を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態では作用空気室76から一方向弁82を通じて排出される空気量を回復させるには不十分な空気流入しか許容せず、かかるチューニング周波数域の振動の非入力状態では、可動ゴム膜68の弾性に基づいて作用空気室76の初期容積を回復させるに充分な空気流入を許容するように設定される。特に本実施形態においては、第一連通路44を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数の振動の入力状態で、作用空気室76の初期容積を回復させるに充分な空気流入を許容するように設定されている。
すなわち、特に本実施形態においては、後述するように、第二連通路46を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域がエンジンシェイクの如き低周波大振幅振動に設定されていると共に、第一連通路44を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域がアイドリング振動の如き高周波大振幅振動に設定されている。したがって、本実施形態における一方向弁82と微小吸気孔98とは、エンジンシェイクの入力状態下では一方向弁82からの排気量が微小吸気孔98からの流入量を上回り、アイドリング振動の入力状態下では、微小吸気孔98からの流入量が、一方向弁82からの排気量を上回るように、一方向弁82の予圧や排気量と微小吸気孔98の空気流入量が調節されている。
要するに、本実施形態における微小吸気孔98は、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動の入力時には、一方向弁82の排出流通抵抗よりも大きな流入抵抗を呈するものであり、かかる低周波大振幅振動の入力時には、内圧プラス側で一方向弁82より排出された空気量が、圧力マイナス側で吸入されるには不十分な程に抵抗が大きいことが要求される。一方、アイドリング振動等の高周波小振幅振動の入力時には、一方向弁82の排出流通抵抗よりも小さな流入抵抗を呈することとなり、かかる高周波小振幅振動の入力時には、内圧プラス側で一方向弁82より排出された空気量を、圧力マイナス側で吸入して作用空気室76の容積を回復させるに充分な低流入抵抗を呈することになる。
なお、そのような一方向弁82の排出流通抵抗や微小吸気孔98の流入抵抗は、例えば一方向弁82におけるコイルスプリング94の付勢力や中間開口部96の開口面積などを調節したり、微小吸気孔98の長さや形状、開口面積などを調節することによって可能である。また、微小吸気孔98は、長さを大きくしたり屈曲等させて損失を大きくすることで、比較的大きな開口面積を採用して目詰まりを防ぐことも可能であるし、微小吸気孔98の長さが充分に確保出来ない場合には、それに対応して開口面積を小さくすれば良い。
一方、第二の取付金具14から露出せしめられた下側仕切部材38の下端部には、可撓性膜としてのダイヤフラム100が組み付けられている。ダイヤフラム100は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした薄肉の略円板形状のゴム弾性膜によって構成されている。
ダイヤフラム100の外周縁部(本実施形態では、外周面)には、大径の円筒形状の固定金具102が加硫接着されている。固定金具102の上端開口部には、全周に亘って径方向内方にフランジ状に延びる嵌着突部104が一体形成されている。また、固定金具102の内周面には、ダイヤフラム100と一体形成された薄肉のシールゴム層が被着形成されており、ダイヤフラム100は、固定金具102から下方に向かって延び出している。
そして、固定金具102が軸方向下方から下側仕切部材38に外挿されて、その後、固定金具102に縮径加工が施される。これにより、固定金具102の上端部分の内周面が、シールゴム層を介して、第二の取付金具14から軸方向外方に突出せしめられた下側仕切部材38の軸方向他方(図1中、下方)の端部の外周面に対して、固定的に外嵌固定されている。そして、固定金具102の嵌着突部104が、下側仕切部材38の下側嵌着溝58に嵌め入れられて係止固定されている。
これにより、下側仕切部材38の下側凹所48の開口がダイヤフラム100で流体密に覆蓋されると共に、第二の取付金具14の小径筒部28側における他方(図1中、下方)の開口部が、ダイヤフラム100で流体密に閉塞される。更に、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム100の軸方向の対向面間に、仕切部材34が配設されることとなる。
ここにおいて、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム100の対向面間には、外部空間に対して密閉された、非圧縮性流体の封入領域としての流体室106が形成されており、かかる流体室106内に、非圧縮性流体が封入される。なお、流体室106に封入される非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
また、流体室106への非圧縮性流体の封入は、例えば、上側仕切部材36と下側仕切部材38を大気中で組み付けて、仕切部材34のポート部64を栓で封止した状態で、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品とダイヤフラム100の一体加硫成形品および仕切部材34の組み付けを非圧縮性流体中で行った後に、ポート部64の栓を外すこと等によって、有利に実現される。
さらに、流体室106は、その内部に仕切部材34が軸直角方向に拡がるように配設されていることによって軸方向で上下に二分されている。そして、仕切部材34と本体ゴム弾性体16の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室108が形成されている。一方、仕切部材34とダイヤフラム100の間には、壁部の一部がダイヤフラム100で構成されて、ダイヤフラム100の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室110が形成されている。そして、これら受圧室108および平衡室110に、非圧縮性流体が充填されている。
さらに、仕切部材34の内部には、上側仕切部材36と下側仕切部材38との間に形成された内部空所が可動ゴム膜68で仕切られることによって2つの内部空所が形成されており、上側仕切部材36と可動ゴム膜68の間に形成された内部空所が、壁部の一部が可動ゴム膜68で形成された中間室112とされている一方、下側仕切部材38と可動ゴム膜68の間に形成された内部空所が、壁部の一部が可動ゴム膜68で形成された作用空気室76とされている。これにより、仕切部材34の内部には、可動ゴム膜68を挟んだ上方に中間室112が形成される一方、下方に作用空気室76が形成される。
このように、本実施形態におけるエンジンマウント10においては、中間室112を挟んで受圧室108と反対側に、平衡室110が形成されていると共に、作用空気室76が中間室112と平衡室110の間に形成されている。そして、中間室112には、受圧室108や平衡室110と同じく、非圧縮性流体が充填されている。
そこにおいて、受圧室108と中間室112は、上側仕切部材36に形成された第一連通路44を通じて互いに連通せしめられている一方、中間室112と平衡室110は、上側仕切部材36に形成された第二連通路46と下側仕切部材38に形成された連通孔54を通じて互いに連通せしめられている。そして、特に本実施形態においては、第一連通路44によって第一のオリフィス通路114が形成されており、受圧室108と中間室112の間で、第一のオリフィス通路114を通じての流体流動が許容されるようになっている一方、第一連通路44と第二連通路46が協働して第二のオリフィス通路116が形成されており、受圧室108と平衡室110の間で、中間室112を経由する第二のオリフィス通路116を通じての流体流動が許容されるようになっている。
そして、本実施形態では、第一連通路44によって形成された第一のオリフィス通路114を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてアイドリング振動等に相当する20〜40Hz程度の高周波数域の振動に対して有効な防振効果(低動ばねによる振動絶縁効果)が発揮されるようにチューニングされている。また、第一連通路44と第二連通路46が協働して形成された第二のオリフィス通路116を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。
なお、第一及び第二のオリフィス通路114,116のチューニングは、例えば、受圧室108や平衡室110,中間室112の各壁ばね剛性、即ちそれらの流体室を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム100、可動ゴム膜68の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、それぞれのオリフィス通路114,116の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路114,116を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路114,116のチューニング周波数として把握することが出来る。
このような構造とされたエンジンマウント10は、第一の取付金具12のナット部17が固定用ボルト20を用いてパワーユニット側の取付部材に螺着固定されると共に、第二の取付金具14の大径筒部26がアウタブラケット118に固着される。
アウタブラケット118は、略段付円筒形状を有しており、軸直角方向に円環形状をもって広がる段部120を挟んだ上方が小径筒部122とされていると共に、下方が小径筒部122よりも大径の大径筒部124とされている。また、小径筒部122の開口部分には、内フランジ状のストッパ部125が一体形成されている。更に、大径筒部124の外周面には、下方に延びる複数の脚部126が固着されており、かかる脚部126の底部には、ボルト挿通孔128が貫設されている。
そして、アウタブラケット118の下方から第二の取付金具14が挿し入れられて、アウタブラケット118の段部120が第二の取付金具14の大径筒部26の上端面に重ね合わされることによって、第二の取付金具14がアウタブラケット118に対して位置決めされるとともに、第二の取付金具14の大径筒部26がアウタブラケット118の大径筒部124に圧入固定される。かかる固定状態において、アウタブラケット118のストッパ部125と本体ゴム弾性体16に一体形成されたストッパゴム31が、軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられる。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が互いに離隔するリバウンド方向の振動が両金具12,14の間に入力された際に、第一の取付金具12とストッパ部125がストッパゴム31を介して当接することによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14のリバウンド方向の変位が緩衝的に制限されるようになっている。
なお、第一の取付金具12に設けられるバウンドストッパゴム23は、第二の取付金具14がアウタブラケット118に圧入固定された後に、アウタブラケット118から突出せしめられた第一の取付金具12のナット部17に対して上方から外挿されて取り付けられることとなる。また、アウタブラケット118の組み付け状態下、仕切部材34のポート部64は、アウタブラケット118の下端縁部よりも下方に位置せしめられるようになっており、ポート部64に接続された空気管路80のエンジンマウント10の外部への延び出しが、アウタブラケット118で阻害されないようになっている。
そして、第二の取付金具14に固定されたアウタブラケット118の脚部126が、ボルト挿通孔128を用いて図示しない車両ボデー側の取付部材にボルト等で固定される。これにより、エンジンマウント10が、パワーユニットと車両ボデーの間に装着されて、パワーユニットを車両ボデーに防振支持せしめるようになっている。
このような構造とされたエンジンマウント10は、例えばエンジンシェイクの如き低周波大振幅振動が入力された場合には、受圧室108に対して大きな振幅の圧力変動が惹起される。そして、かかる大きな振幅の圧力変動が第一連通路44を通じて中間室112に及ぼされる。なお、本実施形態においては、第一連通路44によって第一のオリフィス通路114が形成されているが、前述のように、第一のオリフィス通路114のチューニング周波数はアイドリング振動の如き高周波数域に設定されており、エンジンシェイクの如き低周波数域から外されていることから、低周波振動入力時には第一のオリフィス通路114による防振効果は発揮されない。
そして、大きな振幅の正圧が中間室112に惹起されることによって、可動ゴム膜68が、当接面60に接近せしめられる。特に本実施形態においては、第一連通路44の開口部が可動ゴム膜68の中心軸上に位置せしめられていることから、可動ゴム膜68に対して受圧室108の圧力変動をより有効に及ぼすことが可能とされている。これにより、作用空気室76内の空気が空気管路80および一方向弁82を通じて外部空間に排出されて、作用空気室76の容積が減少せしめられる。ここにおいて、可動ゴム膜68は、振動入力によって中間室112に惹起される負圧や自身の弾性によって初期状態に回復しようと(当接面60から離隔しようと)するが、作用空気室76内への空気の流入は、空気管路80の端部に設けられた一方向弁82によって阻止されると共に、微小吸気孔98を通じての空気の流入量は、第一連通路44と第二連通路46が協働して形成された第二のオリフィス通路116による防振効果が発揮されるエンジンシェイクの如き低周波大振幅振動の入力状態下では、作用空気室76から一方向弁82を通じて排出された空気量を回復するには不十分な量しか許容されていない。
それ故、可動ゴム膜68には、かかる低周波大振幅振動の入力状態下では、初期状態に復帰する前に振動入力によって次の正圧が及ぼされて、可動ゴム膜68は、当接面60に接近せしめられた状態で拘束される。特に本実施形態においては、大きな正圧が可動ゴム膜68に及ぼされた場合には、作用空気室76の容積減少に伴って、可動ゴム膜68が当接面60に対して当接状態で拘束されるようになっている。更に、特に本実施形態においては、可動ゴム膜68が当接面60に向けて凸となる湾曲形状に反転せしめられると共に、当接面60が可動ゴム膜68と反対側に凹んだ湾曲凹形状とされていることから、反転せしめられた可動ゴム膜68を当接面60に対して容易に且つ広い範囲で密着せしめることが出来て、より強固に拘束することが出来る。これにより、低周波大振幅振動の入力時には、作用空気室76が実質的に消失せしめられるようになっている。
その結果、中間室112は可動ゴム膜68の壁ばね剛性が増大せしめられることによって容積変化が制限されており、受圧室108の圧力変動が中間室112で吸収されることが抑えられ、受圧室108と平衡室110の間での相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられる。これにより、第二のオリフィス通路116を通じて流動せしめられる流体の流動量が有効に確保され得て、エンジンシェイクの如き低周波大振幅振動に対して第二のオリフィス通路116を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果(高減衰効果)が有効に発揮される。
一方、アイドリング振動の如き高周波小振幅振動が入力された場合には、受圧室108の圧力変動に基づいて可動ゴム膜68が変形せしめられて、作用空気室76内の空気が一方向弁82を通じて外部に排出されるが、入力振動の振幅が小さいことから、可動ゴム膜68の振幅も小さい。それ故、作用空気室76内から排出される空気量も比較的少なく、微小吸気孔98を通じての空気の流入量として、作用空気室76の初期容積を回復させるに充分な量が許容される。その結果、振動入力時において可動ゴム膜68の弾性変形が許容されており、受圧室108と中間室112の間での相対的な圧力変動が有効に惹起される。これにより、第一のオリフィス通路114を通じて流動せしめられる流体の流動量が有効に確保され得て、アイドリング振動の如き高周波小振幅振動に対して第一のオリフィス通路114を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果(低動ばね効果)が有効に発揮される。
このように、本実施形態によれば、空気圧や電力などの外部エネルギーの供給を必要とするアクチュエータを設けること無しに、簡易な構成をもって、複数の異なる周波数域の振動に対して、何れも有効な防振効果を発揮することが出来る。
そして、特に本実施形態においては、可動ゴム膜68が静圧下で中間室112に向けて凸となる略ドーム形状とされていることから、作用空気室76が存在する状態下での凸形状と作用空気室76が消失せしめられた状態下での凹形状とに明確に形状変化させることが出来て、第一のオリフィス通路114による防振効果と、第二のオリフィス通路116による防振効果とを、より確実に高い信頼性の下で切換作動することが出来る。
なお、図3に、前記第一の実施形態に従う構造とされたエンジンマウントを実施例、特許文献1に記載の従来構造に従い負圧源を用いてオリフィス通路の切換作動を行なうエンジンマウントを比較例として、振幅±1mmの振動を周波数を異ならせて入力した場合の減衰係数を測定した結果を、実施例について図3(a)に、比較例について図3(b)に、それぞれ示す。図3から明らかなように、本実施例によれば、エンジンシェイクに相当する10Hz前後の周波数域において、従来構造の比較例と略同程度の高減衰効果が得られることが確認された。
また、図4に、前記第一の実施形態に従う構造とされたエンジンマウントを実施例、特許文献1に記載の従来構造に従い負圧源を用いてオリフィス通路の切換作動を行なうエンジンマウントを比較例として、振幅±0.05mmの振動を周波数を異ならせて入力した場合の動的ばね定数を測定した結果を、実施例について図4(a)に、比較例について図4(b)に、それぞれ示す。図4から明らかなように、本実施例によれば、アイドリング振動に相当する20Hz〜40Hz程度の周波数域において、従来構造の比較例と略同程度の低動ばね効果が得られることが確認された。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前述のように、第一の流体流路と第二の流体流路の具体的な形状は、要求される防振性能に応じて当業者において適宜に設定可能であるが、例えば、前記第一の実施形態において、第二連通路46を、上側仕切部材36の外周面に開口して周方向に所定の長さで延びる周溝を形成して、かかる周溝の開口部をシールゴム層32で覆蓋することによって形成する等しても良い。
そして、前記実施形態においては、第一連通路44を用いて高周波用の第一のオリフィス通路114が形成されると共に、第一連通路44と第二連通路46を用いて低周波用の第二のオリフィス通路116が形成されていたが、例えば、低周波用の第二のオリフィス通路116を、第二連通路46のみを用いてを形成しても良い。そのような場合には、例えば第一連通路44の開口寸法をより大きくして、走行こもり音などのより高周波の振動に対する防振効果が発揮されるようにチューニングする等しても良く、可動ゴム膜68が拘束されると受圧室108と中間室112が全体として一つの受圧室(拡張受圧室)として機能して、かかる拡張受圧室と平衡室110との間で第二連通路46を通じての流体の流動作用で低周波オリフィス通路が構成されるようにしても良い。このことから明らかなように、第一の流体流路と第二の流体流路のそれぞれ或いはそれらの組み合わせによって構成される複数のオリフィス通路のチューニング周波数は限定されるものではなく、例えばエンジンシェイク、アイドリング振動、走行こもり音等の車両によって要求される振動に適合するようにチューニングされる。
また、前記実施形態においては、アイドリング振動の如き高周波小振幅振動の入力時においても、作用空気室内からの一方向弁を通じての空気の排出が行なわれるようになっていたが、例えば、一方向弁の予圧を調節することによって、アイドリング振動の如き小振幅振動の入力時には、作用空気室からの空気の排出が行なわれないようにしても良い。このような場合には、作用空気室の圧縮性に基づいて中間室の容積変化延いては弾性隔壁の膨出変形が許容されることになり、受圧室の圧力変動が弾性隔壁の弾性変形によって作用空気室により吸収低減されることとなる。これにより、第一の流体流路で構成されるオリフィス通路による低動ばね効果が発揮され得る。
更にまた、一方向弁としては従来公知の各種の構造が適宜に採用可能である。例えば、図5および図6に、異なる態様の一方向弁130,132をそれぞれモデル的に示す。一方向弁130は、中間開口部96の開口寸法よりも大きな面積を有する板形状の封止ゴム板134が、一方の端部が段差面84に固定された板ばね136で付勢されて中間開口部96に押し付けられることによって、中間開口部96を閉鎖状態に保持するようになっており、かかる板ばね136の付勢力によって予圧が及ぼされるようになっている。このように、一方向弁に予圧を設定する付勢手段は、コイルスプリングに限定されない。更に、より簡易には、例えば図6にモデル的に示す一方向弁132のように、板形状の封止ゴム板138の外周部分の一部を段差面84に接着等で固定して、封止ゴム板138自身の弾性力によって中間開口部96を閉鎖状態に保持する等しても良い。
さらに、本発明は、従来から流体封入式防振装置において採用されている公知の構造が適宜に採用可能であって、例えば、特開2008−32055号公報等に記載されているように、上側仕切部材36において受圧室108と中間室112を仕切る隔壁部分に可動板や可動膜を設けて、走行こもり音等のより高周波数域の振動に対する高動ばね化を抑えて更なる防振性能の向上を図る等しても良い。
また、第一の取付部材、第二の取付部材やそれらを連結する本体ゴム弾性体などの具体的な形状が何等限定されるものではないことは言うまでも無く、例えば特開2005−23972号公報等に記載されているように、第二の取付部材に対して当接金具を軸方向で離隔配置してこれら第二の取付部材と当接金具を本体ゴム弾性体で連結すると共に、かかる当接金具に第一の取付部材を当接せしめることによって、本体ゴム弾性体に対して、第一の取付部材をリバウンド方向で離隔可能とする等しても良い。
さらに、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウント等の他、自動車以外の各種振動体の防振マウントに対して、何れも、適用可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施形態としてのエンジンマウントの縦断面説明図。 同エンジンマウントに設けられる一方向弁を説明するための縦断面説明図。 本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置と従来構造に従う流体封入式防振装置の減衰特性を示すグラフ。 本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置と従来構造に従う流体封入式防振装置の動ばね特性を示すグラフ。 一方向弁の異なる態様を説明するための縦断面説明図。 一方向弁の更に異なる態様を説明するための縦断面説明図。
符号の説明
10:エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、34:仕切部材、44:第一連通路、46:第二連通路、68:可動ゴム膜、76:作用空気室、82:一方向弁、98:微小吸気孔、100:ダイヤフラム、106:流体室、108:受圧室、110:平衡室、112:中間室、114:第一のオリフィス通路、116:第二のオリフィス通路

Claims (6)

  1. 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、
    防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材と、
    前記第一の取付部材と前記第二の取付部材を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が惹起されるようになっており非圧縮性流体が充填された受圧室と、
    壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積可変とされており非圧縮性流体が封入された平衡室と、
    壁部の一部が弾性隔壁で構成されて非圧縮性流体が封入された中間室と、
    前記受圧室と前記中間室を連通する第一の流体流路と、
    前記平衡室と前記中間室を連通する第二の流体流路と、
    前記弾性隔壁を挟んで該中間室と反対側に形成された作用空気室と、
    該作用空気室から外部空間への空気排出を許容するが外部空間から該作用空気室への空気流入を阻止する一方向弁と、
    前記作用空気室を外部空間に対して連通し、前記第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態では該作用空気室から前記一方向弁を通じて排出される空気量を回復させるには不充分な空気流入しか許容せず且つかかるチューニング周波数域の振動の非入力状態では前記弾性隔壁の弾性に基づいて該作用空気室の初期容積を回復させるに充分な空気流入を許容する微小吸気孔と
    を、含むことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記作用空気室において、前記弾性隔壁に対向する内面が、前記第二の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動入力で、前記一方向弁を通じて該作用空気室から空気が排出されることによる該作用空気室の容積減少に伴って該弾性隔壁の少なくとも一部が当接される当接面とされている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記作用空気室を画成する前記弾性隔壁が前記中間室内に向かって略ドーム状に膨らんだ湾曲凸形状とされていると共に、該弾性隔壁に対向する該作用空気室の対向内面が、該弾性隔壁と反対側に向かって凹んだ湾曲凹形状とされている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記微小吸気孔が、前記第一の流体流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用による防振効果が発揮されるチューニング周波数域の振動の入力状態において前記作用空気室から前記一方向弁を通じて排出される空気量を回復させるに充分な空気流入を許容するものである請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記一方向弁において、前記作用空気室からの正圧が所定値になるまで閉鎖状態を保持する予圧が設定されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二の取付部材が筒状部を備えており、該筒状部の一方の開口部側に前記第一の取付部材が配設されてそれら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体によって該筒状部の一方の開口部側が閉塞されている一方、該筒状部の他方の開口部が前記可撓性膜で閉塞されており、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜との対向面間に非圧縮性流体の封入領域が形成されていると共に、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面間に仕切部材が配設されて該筒状部で支持されており、該仕切部材と該本体ゴム弾性体との間に前記受圧室が形成されていると共に、該仕切部材と該可撓性膜との間に前記平衡室が形成されており、更に、該仕切部材の内部に前記中間室と前記空気室が形成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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