JP2010031884A - 無段変速機及び無段変速機の組み立て方法 - Google Patents

無段変速機及び無段変速機の組み立て方法 Download PDF

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彬 伊地知
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Abstract

【課題】組み付け作業性を向上することができる無段変速機及び無段変速機の組み立て方法を提供する。
【解決手段】ピストン81は、油圧室82を形成する油圧室形成部材85との間に当該油圧室82からの作動油の漏洩を防止する第1封止手段S2、S3、S4が設けられる小径部81a、81bと、小径部81a、81bより大径に形成され押圧力が作用する大径部81cとを有し、小径部81a、81bと大径部81cとは、軸部回転軸線X3に沿った方向に対して大径部81cより油圧室82の閉塞側に位置する小径部である閉塞側小径部81aと大径部81cとが分割されている。そして、大径部81cは、閉塞側小径部81aが軸部6bに設けられた後にこの軸部6bに設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、無段変速機及び無段変速機の組み立て方法に関し、特に、入力ディスクと出力ディスクとの間に配置されたパワーローラの移動により変速比の変更が行われる、いわゆるトロイダル式の無段変速機及び無段変速機の組み立て方法に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、例えば、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達すると共に、パワーローラを傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機がある。
このトロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクと出力ディスクとの間に、外周面をトロイダル面に対応する曲面としたパワーローラなどの回転手段を挟み込み、これら入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラとの間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。そして、このパワーローラは、トラニオンにより回転自在に支持されており、このトラニオンは、回転軸を中心として回転可能であると共に、例えば、トラニオンに設けられたピストンに対して変速制御油圧室に供給される作動油の油圧により変速制御押圧力を作用させることで、この回転軸に沿った方向に移動可能に構成されている。したがって、トラニオンに支持されるパワーローラがこのトラニオンと共に入力ディスク及び出力ディスクに対する中立位置から変速位置に移動することで、パワーローラとディスクとの間に接線力が作用しサイドスリップが発生し、このパワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して回転軸を中心として回転、すなわち、傾転し、この結果、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比が変更される。そして、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比は、パワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して傾転する角度、すなわち、傾転角に基づいて決まり、この傾転角は、当該パワーローラの中立位置から変速位置側への移動量としてのストローク量(オフセット量)の積分値に基づいて決まる。
このような従来のトロイダル式無段変速機として、例えば、特許文献1に記載されているトロイダル型無段変速機は、油圧ピストン(ピストン)に、トラニオン軸に嵌合する嵌合筒を設けるとともに、この嵌合筒の少なくとも一方の端面に、その周方向に環状切欠部を設け、油圧ピストンをシリンダボデーに組込んだとき、環状切欠部とシリンダボデーとによってシール材が嵌合する環状溝を形成することで、切削加工時間の短縮及びコストダウンを図っている。
特開2005−321072号公報
ところで、上述の特許文献1に記載されているトロイダル型無段変速機では、例えば、ピストンのトラニオンへの組み付け作業性の向上が望まれていた。
そこで本発明は、組み付け作業性を向上することができる無段変速機及び無段変速機の組み立て方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による無段変速機は、駆動力が入力される入力ディスクと、前記駆動力が出力される出力ディスクと、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられるパワーローラと、前記パワーローラを回転自在、かつ、軸部の軸部回転軸線を回転中心として回転することで傾転自在に支持する支持手段と、前記軸部周りに当該軸部が挿入されるようにして設けられ油圧室内の作動油の油圧により前記支持手段と共に前記パワーローラを前記軸部回転軸線に沿って中立位置から変速位置に移動させるための押圧力が作用するピストンとを備え、前記ピストンは、前記油圧室を形成する油圧室形成部材との間に当該油圧室からの前記作動油の漏洩を防止する第1封止手段が設けられる小径部と、前記小径部より大径に形成され前記押圧力が作用する大径部とを有し、前記小径部と前記大径部とは、前記軸部回転軸線に沿った方向に対して前記大径部より前記油圧室の閉塞側に位置する前記小径部である閉塞側小径部と前記大径部とが分割されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明による無段変速機では、前記大径部は、前記閉塞側小径部が前記軸部に設けられた後に当該軸部に設けられることを特徴とする。
請求項3に係る発明による無段変速機では、前記ピストンと前記軸部との間に作動油が通過可能な作動油通路を備え、前記ピストンは、前記閉塞側小径部と前記大径部との分割面に前記油圧室と前記作動油通路との相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段を有することを特徴とする。
請求項4に係る発明による無段変速機では、前記第2封止手段は、前記閉塞側小径部側の小径部側分割面又は前記大径部側の大径部側分割面に形成される環状の溝部と、前記溝部に設けられる環状のシール部材とを有することを特徴とする。
請求項5に係る発明による無段変速機では、前記閉塞側小径部は、前記小径部側分割面に外径が大きくなることで前記大径部側分割面との接触面積を拡大する接触面拡大部を有することを特徴とする。
請求項6に係る発明による無段変速機では、前記大径部は、前記大径部側分割面に前記接触面拡大部を収容する凹部状の収容溝部を有することを特徴とする。
請求項7に係る発明による無段変速機では、前記第2封止手段は、前記閉塞側小径部側の小径部側分割面又は前記大径部側の大径部側分割面の一方に凹部状に形成される嵌合溝部と、前記小径部側分割面又は前記大径部側分割面の他方に凸部状に形成され前記嵌合溝部に嵌合して接触する嵌合突部とを有することを特徴とする。
請求項8に係る発明による無段変速機では、前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、中心軸線が前記軸部回転軸線と平行な筒状に形成されることを特徴とする。
請求項9に係る発明による無段変速機では、前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、テーパ部を有することを特徴とする。
請求項10に係る発明による無段変速機では、前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、前記嵌合溝部が前記大径部側分割面に設けられる一方、前記嵌合突部が前記小径部側分割面に設けられることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項11に係る発明による無段変速機の組み立て方法は、駆動力が入力される入力ディスクと前記駆動力が出力される出力ディスクとの間に設けられるパワーローラを回転自在、かつ、軸部の軸部回転軸線を回転中心として回転することで傾転自在に支持する支持手段と、前記軸部周りに当該軸部が挿入されるようにして設けられ油圧室内の作動油の油圧により前記支持手段と共に前記パワーローラを前記軸部回転軸線に沿って中立位置から変速位置に移動させるための押圧力が作用するピストンとを備え、前記ピストンは、前記油圧室を形成する油圧室形成部材との間に当該油圧室からの前記作動油の漏洩を防止する第1封止手段が設けられる小径部と、前記小径部より大径に形成され前記押圧力が作用する大径部とを有し、前記小径部と前記大径部とは、前記軸部回転軸線に沿った方向に対して前記大径部より前記油圧室の閉塞側に位置する前記小径部である閉塞側小径部と前記大径部とが分割されている無段変速機の組み立て方法において、前記第1封止手段と共に前記閉塞側小径部を前記軸部に設置する小径部設置工程と、前記小径部設置工程の後に前記第1封止手段の設置状態を確認する確認工程と、前記確認工程の後に前記大径部を設置する大径部設置工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る無段変速機によれば、ピストンは、油圧室を形成する油圧室形成部材との間に当該油圧室からの作動油の漏洩を防止する第1封止手段が設けられる小径部と、小径部より大径に形成され押圧力が作用する大径部とを有し、小径部と大径部とは、軸部回転軸線に沿った方向に対して大径部より油圧室の閉塞側に位置する小径部である閉塞側小径部と大径部とが分割されているので、組み付け作業性を向上することができる。
本発明に係る無段変速機の組み立て方法によれば、第1封止手段と共に閉塞側小径部を軸部に設置する小径部設置工程と、小径部設置工程の後に第1封止手段の設置状態を確認する確認工程と、確認工程の後に大径部を設置する大径部設置工程とを備えるので、組み付け作業性を向上することができる。
以下に、本発明に係る無段変速機及び無段変速機の組み立て方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図、図2は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の要部の模式的構成図、図3は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図、図4は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図、図5は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図、図6は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の組み立て方法を説明するフローチャートである。
なお、図2は、無段変速機としてのトロイダル式無段変速機を構成する各パワーローラのうち任意のパワーローラと、このパワーローラに接触する入力ディスクを示す図である。また、図3、図4は、入力ディスクを出力ディスク側から見た図であり、入力ディスクとパワーローラをそれぞれ1つだけ模式的に図示している。
ここで、以下で説明する実施形態では、本発明の無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源として、エンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源としてのエンジン21からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で駆動輪27に伝達するためのものであり、変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。このトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟み込んだパワーローラ4を介して各入力ディスク2と出力ディスク3の間でトルクを伝達すると共に、パワーローラ4を傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機である。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル面2a、3aを有する入力ディスク2と出力ディスク3との間に、外周面をトロイダル面2a、3aに対応する曲面としたパワーローラ4を挟み込み、これら入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。
具体的には、このトロイダル式無段変速機1は、図1、図2に示すように、入力ディスク2と、出力ディスク3と、パワーローラ4と、変速比変更部5とを備える。変速比変更部5は、支持手段としてのトラニオン6と、移動部7を有する。さらに、移動部7は、油圧ピストン部8と、油圧制御装置9とを有する。また、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル式無段変速機1の各部を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)60を備える。このトロイダル式無段変速機1では、入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられるパワーローラ4が移動部7により入力ディスク2及び出力ディスク3に対して中立位置から変速位置に移動することで、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比が変更される。
入力ディスク2は、エンジン21側からの駆動力(トルク)が、例えば、発進機構であり流体伝達装置であるトルクコンバータ22や前後進切換機構23などを介して伝達(入力)されるものである。
エンジン21は、このエンジン21が搭載された車両を前進あるいは後進させるためのエンジントルク、すなわち、駆動力を出力するものである。また、エンジン21は、ECU60に電気的に接続されており、このECU60によってその駆動が制御され、出力する駆動力が制御されている。エンジン21からの駆動力は、クランクシャフト21aを介してトルクコンバータ22に伝達される。
トルクコンバータ22は、前後進切換機構23を介してエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1に伝達するものである。トルクコンバータ22は、ポンプ(ポンプインペラ)、タービン(タービンランナ)、ステータ、ロックアップクラッチを備える。ポンプは、フロントカバー等を介してエンジン21のクランクシャフト21aに連結されており、クランクシャフト21a、フロントカバーと共に回転可能に設けられている。タービンは、上記ポンプと対向するように配置されている。このタービンは、入力軸22a、前後進切換機構23を介して入力軸10に連結されており、入力軸10と共にクランクシャフト21aと同一の軸線を中心に回転可能に設けられている。ステータは、そのポンプとタービンとの間に配置されている。ロックアップクラッチは、このタービンとフロントカバーとの間に設けられており、タービンに連結されている。
したがって、このトルクコンバータ22は、エンジン21の駆動力(エンジントルク)がクランクシャフト21aからフロントカバーを介してポンプに伝達される。そして、ロックアップクラッチが解放されている場合には、このポンプに伝達された駆動力は、ポンプとタービンとの間に介在する作動流体である作動油を介してタービン、入力軸22a、入力軸10に伝達される。このとき、トルクコンバータ22は、ステータにより、ポンプとタービンとの間を循環する作動油の流れを変化させ所定のトルク特性を得ることができる。そして、トルクコンバータ22は、タービンに連結されているロックアップクラッチがフロントカバーに係合されている場合、フロントカバーを介してポンプに伝達されたエンジン21からの駆動力は、作動油を介さずに直接的に入力軸10に伝達される。ここで、ロックアップクラッチの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油によって行われる。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、ロックアップクラッチのON/OFF制御は、ECU60により行われる。
前後進切換機構23は、トルクコンバータ22を介して伝達されたエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1の入力ディスク2に伝達するものである。前後進切換機構23は、例えば、遊星歯車機構と、フォワードクラッチ(摩擦クラッチ)及びリバースブレーキ(摩擦ブレーキ)などによって構成され、エンジン21の駆動力を直接、あるいは反転して入力ディスク2に伝達するものである。つまり、前後進切換機構23を介したエンジン21の駆動力は、入力ディスク2を正回転させる方向(車両が前進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する正回転駆動力として、あるいは、入力ディスク2を逆回転させる方向(車両が後進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する逆回転駆動力として、入力ディスク2に伝達される。この前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御は、フォワードクラッチ、リバースブレーキの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御を実行することで行われる。前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御、言い換えれば、フォワードクラッチ、リバースブレーキのON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油により行われる。したがって、前後進切換機構23の切換制御は、ECU60により行われている。
入力ディスク2は、エンジン21の回転に基づいて回転される入力軸10に2つが結合されており、この入力軸10により回転自在に設けられている。さらに言えば、各入力ディスク2は、入力軸10と同一の回転をするバリエータ軸11によって回転される。したがって、各入力ディスク2は、ディスク回転軸線としての入力軸10の回転軸線X1を回転中心として回転可能である。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)にフロント側入力ディスク2が設けられ、回転軸線X1に沿った方向にフロント側入力ディスク2に対して所定の間隔をあけてリア側(駆動輪27側)にリア側入力ディスク2が設けられる。
フロント側入力ディスク2は、ボールスプライン11aを介してバリエータ軸11に支持されている。つまり、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、このバリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しない一方、回転軸線X1に沿った方向には相対的に変位可能である。一方、リア側入力ディスク2は、スプライン嵌合部を介してバリエータ軸11に支持されていると共に、バリエータ軸11のリア側端部に設けられたスナップリング11bにより回転軸線X1に沿った方向への移動が制限されている。つまり、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。なお、以下の説明では、フロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2とを特に区別する必要がない場合、単に「入力ディスク2」と略記する。
各々の入力ディスク2は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各入力ディスク2の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各入力ディスク2のトロイダル面2aをなす。2つの入力ディスク2は、トロイダル面2aが互いに対向するように設けられる。
出力ディスク3は、各入力ディスク2に伝達(入力)された駆動力を駆動輪27側に伝達(出力)するものであり、各入力ディスク2に対応して1つずつ、合計2つ設けられる。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)にフロント側出力ディスク3が設けられ、リア側(駆動輪27側)にリア側出力ディスク3が設けられる。フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とは、共に回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2との間に設けられ、さらに言えば、リア側出力ディスク3は、フロント側出力ディスク3とリア側入力ディスク2との間に設けられている。つまり、このトロイダル式無段変速機1は、回転軸線X1に沿った方向に対して、フロント側からフロント側入力ディスク2、フロント側出力ディスク3、リア側出力ディスク3、リア側入力ディスク2の順で設けられている。なお、以下の説明では、フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とを特に区別する必要がない場合、単に「出力ディスク3」と略記する。
各入力ディスク2と各出力ディスク3とは、回転軸線X1に同軸上に入力軸10に対して相対的に回転自在に設けられる。したがって、各出力ディスク3は、回転軸線X1を回転中心として回転可能である。そして、各出力ディスク3は、各入力ディスク2とほぼ同一な形状をなし、すなわち、各々の出力ディスク3は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各出力ディスク3の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各出力ディスク3のトロイダル面3aをなす。そして、各出力ディスク3は、上述のように回転軸線X1に沿った方向に対して2つの入力ディスク2の間に設けられると共に、各トロイダル面3aが各入力ディスク2のトロイダル面2aにそれぞれ対向するように設けられる。すなわち、回転軸線X1に沿った断面内において、一方のフロント側入力ディスク2のトロイダル面2aとフロント側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向してフロント側(エンジン21側)半円キャビティCを形成し、他方のリア側入力ディスク2のトロイダル面2aとリア側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向して別のリア側(駆動輪27側)半円キャビティCを形成している。
また、各出力ディスク3は、ベアリングを介しバリエータ軸11に回転可能に支持されている。この2つの出力ディスク3の間には、出力ギヤ12が連結されており、この出力ギヤ12は、2つの出力ディスク3と共に一体で回転可能である。出力ギヤ12には、カウンターギヤ13が噛み合わされており、このカウンターギヤ13に出力軸14が連結されている。したがって、各出力ディスク3の回転に伴い、出力軸14が回転する。そして、この出力軸14は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25等を介して駆動輪27に接続されており、駆動力は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25等を介して駆動輪27に伝達(出力)される。
動力伝達機構24は、トロイダル式無段変速機1とディファレンシャルギヤ25との間で、駆動力の伝達を行うものである。動力伝達機構24は、出力ディスク3とディファレンシャルギヤ25との間に配置される。ディファレンシャルギヤ25は、動力伝達機構24と駆動輪27との間で、駆動力の伝達を行うものである。ディファレンシャルギヤ25は、動力伝達機構24と駆動輪27との間に配置されている。ディファレンシャルギヤ25には、ドライブシャフト26が連結されている。ドライブシャフト26には、駆動輪27が取り付けられている。
パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間にこの入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられ、入力ディスク2からの駆動力を出力ディスク3に伝達するものである。すなわち、パワーローラ4は、外周面がトロイダル面2a、3aに対応した曲面状の接触面4aとして形成される。そして、パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟持され、接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触可能であり、各パワーローラ4は、それぞれ後述するトラニオン6によってこの接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触しながら、パワーローラ回転軸線としての回転軸線X2を回転中心として回転自在に支持されている。パワーローラ4は、トロイダル式無段変速機1に供給されるトラクションオイルにより入力ディスク2と出力ディスク3のトロイダル面2a、3aとパワーローラ4の接触面4aとの間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力(トルク)を伝達する。
パワーローラ4は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられる。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられる。フロント側半円キャビティC、リア側半円キャビティCに対してそれぞれ一対で設けられるパワーローラ4は、回転軸線X1を挟んで互いに対向して設けられる。
さらに具体的には、パワーローラ4は、パワーローラ本体41と、外輪42とにより構成される。パワーローラ本体41は、外周面に入力ディスク2、出力ディスク3のトロイダル面2a、3aと接触する上述の接触面4aが形成されている。パワーローラ本体41は、外輪42に形成された回転軸42aに対して、軸受部(ラジアルベアリング)43aを介して回転自在に支持されている。また、パワーローラ本体41は、外輪42のパワーローラ本体41と対向する面に対して、軸受部(スラストベアリング)43bを介して回転自在に支持されている。したがって、パワーローラ本体41は、回転軸42aの回転軸線X2を回転中心として回転可能である。
外輪42は、上述の回転軸42aと共に偏心軸42bが形成されている。偏心軸42bは、回転軸線X2’が回転軸42aの回転軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏心軸42bは、後述するトラニオン6のローラ支持部6aに凹部として形成される嵌合部6dに対して、軸受部(ラジアルベアリング)43cを介して回転自在に支持されている。したがって、外輪42は、偏心軸42bの回転軸線X2’を中心として回転可能である。つまり、パワーローラ4は、トラニオン6に対して、回転軸線X2及び回転軸線X2’を中心として回転可能となり、すなわち、回転軸線X2’を中心として公転可能でかつ回転軸線X2を中心として自転可能となる。これにより、パワーローラ4は、回転軸線X1に沿った方向に移動可能な構成となり、例えば、部品変形や部品精度のバラツキを許容することが可能となる。
ここで、入力軸10は、油圧押圧(エンドロード)機構15に接続される。油圧押圧機構15は、入力ディスク2及び出力ディスク3とパワーローラ4とを接触させ、この入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力を作用させるものである。この油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15aと、挟圧押圧力ピストン15bとを有する。油圧押圧機構15は、この挟圧力発生油圧室15aに供給される作動媒体としての作動油の圧力、すなわち、油圧を入力ディスク2の回転に伴って回転する圧力作用面としてのフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用させることで入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用可能のものである。
具体的には、挟圧力発生油圧室15aは、2つの入力ディスク2に対して回転軸線X1に沿った方向の一方側に設けられる。ここでは、挟圧力発生油圧室15aは、回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2側に設けられ、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間に配置される。挟圧力発生油圧室15aは、運転状態に応じて油圧制御装置9から内部に作動油が供給される。
挟圧押圧力ピストン15bは、円板状に形成され、その中心が回転軸線X1とほぼ一致するようにバリエータ軸11の一端部に設けられる。挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11のリア側入力ディスク2が設けられている端部とは反対側の端部、すなわち、フロント側(エンジン21側)に設けられている。挟圧押圧力ピストン15bは、回転軸線X1に沿った方向に対して、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間にフロント側入力ディスク2と間隔をあけて配置される。上述の挟圧力発生油圧室15aは、この挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間に設けられている。
また、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対してこのバリエータ軸11と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、回転軸線X1に沿った方向に移動可能に設けられる。つまり、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。したがって、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、一体となって回転軸線X1を中心として回転可能であり回転軸線X1に沿った方向に移動可能である。また、フロント側入力ディスク2は、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bと共に一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、ボールスプライン11aによって、このリア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bに対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。
さらに、挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10にも連結されており、この入力軸10と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、また、回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能に設けられる。つまり、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10と一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、この入力軸10に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。入力軸10からの駆動力は、バリエータ軸11に伝達され、バリエータ軸11からフロント側入力ディスク2、リア側入力ディスク2に伝達される。
また、フロント側入力ディスク2は、上述のフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28を有する一方、挟圧押圧力ピストン15bは、上述のリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29を有する。フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28は、フロント側入力ディスク2にて、パワーローラ4との接触面であるトロイダル面2aの背面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、挟圧押圧力ピストン15bにて、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と回転軸線X1に沿った方向に対向する面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、上述の挟圧力発生油圧室15aを挟んでフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と対向するように設けられる。挟圧力発生油圧室15aは、挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間でフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とによって回転軸線X1に沿った方向に対して区画されている。つまり、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とは、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28がリア側で挟圧力発生油圧室15aに対向し、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29がフロント側で挟圧力発生油圧室15aに対向する。
したがって、油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15a内に供給される作動油の油圧によりフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に挟圧押圧力を作用させることで、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に離間する方向へ移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にリア側から油圧押圧機構15側に接近する方向へ移動させる。このとき、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動する。そして、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にフロント側に接近する方向へ移動させることで、フロント側入力ディスク2をフロント側出力ディスク3側に接近させると共にリア側入力ディスク2をリア側出力ディスク3側に接近させ、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させる。これにより、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させることから、各パワーローラ4をそれぞれ所定の挟圧力でフロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間、リア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟み込むことができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のスリップを防ぎ、適正なトラクション状態を維持することができる。
ここで油圧押圧機構15による挟圧押圧力、言い換えれば挟圧力は、後述する油圧制御装置9により、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の量が制御されることで、トロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の大きさに制御される。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、油圧押圧機構15による挟圧押圧力の大きさの制御は、ECU60により行われる。
変速比変更部5は、上述したように、トラニオン6と、移動部7を有し、移動部7によって、入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して、トラニオン6と共にパワーローラ4を移動し、パワーローラ4をこの入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更するものである。ここで、変速比とは、入力ディスク2と出力ディスク3との回転速度比、言い換えれば、回転数比であり、典型的には、[変速比=出力側接触半径(パワーローラ4と出力ディスク3とが接触する接触半径(接触点と回転軸線X1との距離))/入力側接触半径(入力ディスク2とパワーローラ4とが接触する接触半径)]で表すことができる。
具体的には、各トラニオン6は、パワーローラ4をそれぞれ回転自在に支持すると共に、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して移動させ入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在に支持するものである。トラニオン6は、ローラ支持部6aと、軸部としての回転軸6bとを有する。
ローラ支持部6aは、パワーローラ4が配置される空間部6cが形成され、この空間部6cに凹部状の嵌合部6dが形成されている。そして、トラニオン6は、この空間部6cにて、上述のようにパワーローラ4の偏心軸42bが嵌合部6dに挿入されることで、パワーローラ4を回転自在に支持している。また、ローラ支持部6aは、回転軸6bと一体で移動可能に設けられる。回転軸6bは、ローラ支持部6aの肩部6eから突出するよう形成される。
ここで、ローラ支持部6aの肩部6eは、ローラ支持部6aにおいて嵌合部6dが設けられる壁面部に対して立設するようにして設けられる壁面部である。肩部6eは、ローラ支持部6aにおいて嵌合部6dが設けられる壁面部に対して一対で設けられており、この一対の肩部6eは、互いに対向するように設けられる。そして、ローラ支持部6aは、この一対の肩部6eが互いに対向することで上述の空間部6cが形成される。ここでは、ローラ支持部6aは、嵌合部6dが設けられる壁面部及び一対の肩部6eが一体に形成されている。
そして、回転軸6bは、上述のようにローラ支持部6aの一対の肩部6eからそれぞれ突出するよう形成される。各回転軸6bは、柱状に形成され、互いに同軸の回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる。トラニオン6は、ローラ支持部6aがこの回転軸6bと共に回転軸線X3を回転中心として回転自在に、後述のロアリンク16aやアッパリンク17a、シリンダボデー86等を介してケーシング1aに支持されている。また、トラニオン6は、ローラ支持部6aがこの回転軸6bと共に回転軸線X3に沿った方向に移動自在に、ロアリンク16aやアッパリンク17a、シリンダボデー86等を介してケーシング1aに支持され、後述する移動部7によって、回転軸線X3に沿った方向に移動可能に構成される。
なお、このロアリンク16a及びアッパリンク17aについては、後で詳細に説明する。
トラニオン6は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられ、4つのパワーローラ4をそれぞれ1つずつ支持する。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられる。
ここで、トラニオン6は、パワーローラ4の回転軸線X2が回転軸6bの回転軸線X3と垂直な平面と平行になるようにパワーローラ4を支持している。また、トラニオン6は、回転軸6bの回転軸線X3が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1と垂直な平面と平行になるように配置される。すなわち、トラニオン6は、回転軸線X1と垂直な平面内で回転軸線X3に沿って移動することで、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して回転軸線X3に沿って移動させることができる。また、トラニオン6は、回転軸線X3を回転中心として回転することで、パワーローラ4を回転軸線X3と垂直な平面内でこの回転軸線X3を中心として入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在とすることができる。なお、言い換えれば、トラニオン6は、パワーローラ4に後述する傾転力が作用することでこのパワーローラ4を傾転可能に支持していることになる。
移動部7は、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った方向に移動させるものであり、上述したように、油圧ピストン部8と、油圧制御装置9とを有する。
油圧ピストン部8は、ピストンとしての変速制御ピストン81と、油圧室としての変速制御油圧室82とを含んで構成され、変速制御油圧室82に導入される作動油の油圧を変速制御ピストン81のフランジ部84により受圧することで、トラニオン6を回転軸線X3に沿った2方向(A1方向及びA2方向)に移動させるものである。すなわち、油圧ピストン部8は、変速制御油圧室82に供給される作動油の油圧によりトラニオン6に設けられたフランジ部84に変速制御押圧力を作用させる。
具体的には、変速制御ピストン81は、ピストンベース83とフランジ部84とにより構成されている。ピストンベース83は、円筒形状に形成され回転軸6bの一端部が挿入され、回転軸線X3方向及び回転軸線X3周り方向に対して固定されている。
フランジ部84は、ピストンベース83からピストンベース83の径方向、言い換えれば、回転軸6bの径方向に突出するように固定的に設けられており、ピストンベース83及びトラニオン6の回転軸6bと共に回転軸線X3に沿った方向に移動可能である。フランジ部84は、回転軸6bの回転軸線X3周りに円環板状に形成されている。
変速制御油圧室82は、油圧室形成部材85により形成される。この油圧室形成部材85は、第1形成部材としてのシリンダボデー86及び第2形成部材としてのロアカバー87により構成される。すなわち、油圧室形成部材85は、変速制御油圧室82の壁面をなすと共に、トラニオン6の移動方向(ストローク方向)である回転軸線X3に沿った方向に対してシリンダボデー86とロアカバー87とに分割されている。シリンダボデー86は、変速制御油圧室82の空間部となる凹部が形成されている。ロアカバー87は、シリンダボデー86の凹部の開口を塞ぐようにこのシリンダボデー86に固定され、これにより、変速制御油圧室82は、シリンダボデー86とロアカバー87とにより回転軸線X3を中心とした円筒状(シリンダ状)に区画される。このシリンダボデー86及びロアカバー87は、シリンダボデー86のロアカバー87側とは反対側においてケーシング1aに固定されている。なお、シリンダボデー86とロアカバー87との間には、変速制御油圧室82内の作動油の外部への漏洩を防止するガスケット88が設けられている。
そして、フランジ部84は、作動油が導入される変速制御油圧室82内に収容されると共に、この変速制御油圧室82内を回転軸線X3に沿った方向に2つの油圧室、すなわち、第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とに仕切り区画する。第1油圧室OP1は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させる一方、第2油圧室OP2は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を第1方向の逆方向である第2方向A2に移動させる。
フランジ部84の径方向外側の先端部には、環状のシール部材S1が設けられており、したがって、このフランジ部84によって区画される変速制御油圧室82の第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とは、それぞれこのシール部材S1により互いに作動油が漏れないようにシールされている。また、ピストンベース83の外周部には、変速制御油圧室82を形成する油圧室形成部材85であるシリンダボデー86、ロアカバー87との間に環状のシール部材S2、S3、S4が設けられており、したがって、ピストンベース83の外周部とシリンダボデー86、ロアカバー87との間は、このシール部材S2、S3、S4により変速制御油圧室82内の作動油が外部に漏れないようにシールされている。
なお、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにパワーローラ4、トラニオン6が2つずつ設けられることから、この第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにそれぞれ2つずつ設けられることになる。ここで、この一対のトラニオン6では、第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2の位置関係がトラニオン6ごとに入れ替わっている。つまり、一方のトラニオン6の第1油圧室OP1とした油圧室が他方のトラニオン6の第2油圧室OP2となり、一方のトラニオン6の第2油圧室OP2とした油圧室が他方のトラニオン6の第1油圧室OP1となる。したがって、図2に示すトロイダル式無段変速機1では、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる2つのパワーローラ4は、第1油圧室OP1又は第2油圧室OP2内の油圧により、回転軸線X3に沿って互いに逆方向に移動することになる。
油圧制御装置9は、トランスミッションの各部、例えば、油圧押圧機構15、トルクコンバータ22、前後進切換機構23等に作動油を供給するものであり、さらに、変速制御油圧室82内の作動油の油圧を制御するものである。油圧制御装置9は、オイルタンクに貯留されトランスミッションの各部に供給される作動油をオイルポンプにより吸引、加圧し、吐出する。そして、油圧制御装置9は、オイルポンプにより加圧された作動油がプレッシャーレギュレータバルブを介して、流量制御弁などに供給される。流量制御弁は、スプール弁子、電磁ソレノイドなどを含んで構成され、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2へ作動油の供給、あるいは、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2からの作動油の排出を制御するものである。油圧制御装置9の流量制御弁は、ECU60から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する電磁ソレノイドがスプール弁子の位置を変位させることで、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2に供給、排出される作動油の流量を制御するものである。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置9の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンクに戻して所定のライン圧に調圧するものである。
例えば、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁を制御し、オイルポンプにより加圧された作動油を第1油圧室OP1に供給し、第2油圧室OP2内の作動油を排出すると、第1油圧室OP1の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧>第2油圧室OP2の油圧]となる。これにより、油圧ピストン部8のフランジ部84は、回転軸線X3に沿った第1方向A1に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動する。同様に、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁を制御し、オイルポンプにより加圧された作動油を第1油圧室OP1から排出し、第2油圧室OP2内に供給すると、第2油圧室OP2の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧<第2油圧室OP2の油圧]となる。これにより、油圧ピストン部8のフランジ部84が回転軸線X3に沿った第2方向A2に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動する。このとき、流量制御弁のスプール弁子の移動量に応じて、パワーローラ4の第1方向A1、あるいは、第2方向A2のへの移動が調整される。
したがって、この移動部7は、ECU60により油圧制御装置9が駆動され油圧ピストン部8の各変速制御油圧室82内の油圧が制御されることで、変速制御ピストン81のフランジ部84に所定の変速制御押圧力を作用させ、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った2方向、すなわち、第1方向A1と第2方向A2とに移動させることができる。このとき、上述したように、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる一対のトラニオン6及び一対のパワーローラ4は、回転軸線X3に沿って互いに逆方向に移動する。そして、変速比変更部5は、この移動部7によって、一対のトラニオン6と共に一対のパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置(図3参照)から変速比に応じた変速位置(図4参照)に互いに逆方向に移動させ、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更することができる。
ここで、図3に示すように、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置は、変速比が固定される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用不能な位置である。すなわち、パワーローラ4が中立位置にあり、変速比が固定されている状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の中立位置(変速比固定時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る(直交する)位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向(転がる方向)と入力ディスク2の回転方向とが一致しており、この結果、パワーローラ4に傾転力が作用せず、したがって、パワーローラ4は、この中立位置にとどまりながら入力ディスク2とともに回転をつづけ、この間の変速比は固定されている。
このとき、入力ディスク2からパワーローラ4に作用する力は駆動力(トルク)だけであるので、移動部7の油圧ピストン部8と油圧制御装置9とは、油圧によりこの駆動力に抗するだけの力をトラニオン6に作用させている。すなわち、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6が中立位置にある場合、上述したように、入力トルクに応じて入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触点に作用する接線力F1(図3参照)に抗する大きさの変速制御押圧力F2(図3参照)をフランジ部84に作用させ、パワーローラ4に作用する接線力F1と変速制御押圧力F2とをつりあわせることで、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6の位置を中立位置に固定し、変速比を固定している。
一方、図4に示すように、パワーローラ4の変速位置は、変速比が変更される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用する位置である。すなわち、パワーローラ4が変速位置にあり、変速比が変更される状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内から回転軸線X3に沿った第1方向A1あるいは第2方向A2に移動した位置に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の変速位置(変速時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る位置、すなわち、中立位置からオフセットされた位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向と入力ディスク2の回転方向とがずれ、これにより、パワーローラ4に傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4に作用する傾転力によりパワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との間にサイドスリップが発生し、パワーローラ4は、入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転し、パワーローラ4と入力ディスク2との入力側接触半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との出力側接触半径とが変更され、したがって、変速比が変更される。
例えば、本図4に示すように、入力ディスク2が図4中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第2方向A2(パワーローラ4と入力ディスク2との接触点における入力ディスク2の移動方向とは反対方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に逆らう方向(出力ディスク3の回転方向に沿う方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の周辺側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1から離間させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向外方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向内方側に移動するように傾転し、変速比が減少側に変更され、アップシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
逆に、ダウンシフトする場合は、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第1方向A1(パワーローラ4と入力ディスク2との接触点における入力ディスク2の移動方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に沿う方向(出力ディスク3の回転方向に逆らう方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の中心側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1に近接させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向内方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向外方側に移動するように傾転し、変速比が増加側に変更され、ダウンシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
ここで、このパワーローラ4の位置は、ストローク量と入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角により決定される。パワーローラ4のストローク量は、パワーローラ4の回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1を通る中立位置を基準位置として、この中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2への移動量としてのストローク量、さらに言えば、中立位置からのストローク量(オフセット量)に応じた量である。パワーローラ4の傾転角は、パワーローラ4の回転中心である回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転中心である回転軸線X1と直交する位置を基準位置として、この基準位置からの入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾斜角度(鋭角側の傾斜角度)であり、言い換えれば、回転軸線X3周りの回転角度である。そして、このトロイダル式無段変速機1の変速比は、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角によって定まり、この傾転角は、パワーローラ4の中立位置からのストローク量(オフセット量)の積分値により定まる。
ここで、このトロイダル式無段変速機1は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる一対のパワーローラ4及びトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向の移動を同期させるための機構として、ロアリンク機構16及びアッパリンク機構17を備えている。
ロアリンク機構16は、リンク部材としてのロアリンク16aを有する一方、アッパリンク機構17は、リンク部材としてのアッパリンク17aを有する。ロアリンク16aは、トラニオン6の回転軸6bにおいて変速制御ピストン81が設けられている一端部側(シリンダボデー86とローラ支持部6aの一方の肩部6eとの間)にて球面軸受である軸受部(ラジアルベアリング)6fを介して一対のトラニオン6を連結する。アッパリンク17aは、トラニオン6の回転軸6bにおいて他端部側(ローラ支持部6aの他方の肩部6e側)にて球面軸受である軸受部(ラジアルベアリング)6fを介して一対のトラニオン6を連結する。
そして、ロアリンク16a、アッパリンク17aは、それぞれシリンダボデー86を介してケーシング1aに固定されるロアポスト16bのロア支持軸16c、ケーシング1aに固定されるアッパポスト17bのアッパ支持軸17cに支持されている。ロア支持軸16c、アッパ支持軸17cは、ともに円柱状に形成され、その中心軸線が回転軸線X1と平行な方向となるようにケーシング1aに対して相対移動しないように固定的に設けられる。そして、ロアリンク16a、アッパリンク17aは、それぞれこのロア支持軸16c、アッパ支持軸17cに支持されることで、このロア支持軸16c、アッパ支持軸17cを支点として、すなわち、ロア支持軸16c、アッパ支持軸17cの中心軸線を揺動軸線X4として、シーソー状に揺動可能に構成されている。
したがって、ロアリンク機構16、アッパリンク機構17は、ロアリンク16a、アッパリンク17aがロア支持軸16c、アッパ支持軸17cの中心軸線である揺動軸線X4を中心として揺動することで一対のトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向への移動を同期させることができる。なお、アッパポスト17bにはノズル17dが取り付けられており、そのノズル17dには噴射孔17eが設けられており、この噴射孔17eから上述のトラクションオイルが噴射される。
また、トロイダル式無段変速機1は、複数のトラニオン6の回転軸線X3を回転中心とした回転の同期を促進する機構として、同期機構18を備える。同期機構18は、同期ワイヤ19と、複数の固定プーリ20とを有する。同期機構18は、各トラニオン6の回転軸6bに固定して設けられる固定プーリ20と、回転軸線X1方向又は回転軸線X2方向に隣り合う固定プーリ20間で一回交差するように反転して張架される同期ワイヤ19との摩擦力により、一方のトラニオン6の回転トルクを他方のトラニオン6に伝達することで、複数のトラニオン6の回転軸線X3を回転中心とした回転の同期を促進することができる。
この結果、各パワーローラ4、各トラニオン6の傾転動作(変速動作)において、複数のパワーローラ4の支持構造であるトラニオン6の部材精度や組付精度のバラツキ等により複数のパワーローラ4に油圧押圧機構15の挟圧力が均等に作用しない場合や油圧制御装置9の油路抵抗の差などに起因して変速応答性に微小なずれが発生しそうになった場合でも、この同期機構18が複数のトラニオン6の回転を相互に連動させ同期させ複数のパワーローラ4の傾転動作が相互に同期させることができるので、トロイダル式無段変速機1の変速制御精度を向上することができる。
ECU60は、トロイダル式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比γを制御するものであり、ここでは、エンジン21が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号や各種マップとに基づいてエンジン21の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、エンジン21の吸入空気量を制御する図示しないスロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御なども行うものである。そして、ECU60は、トロイダル式無段変速機1の運転状態に応じてトロイダル式無段変速機1の各部の駆動を制御しトロイダル式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御する。すなわち、ECU60は、例えば、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態や傾転角、ストローク量などに基づいて、目標の変速比である目標変速比を決定すると共に変速比変更部5を駆動してパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて、所定の傾転角まで傾転させることで変速比の変更を実行する。さらに言えば、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、油圧ピストン部8の第1油圧室OP1、第2油圧室OP2の油圧を制御して、トラニオン6と共にパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて所定の傾転角まで傾転させることで、実変速比が目標変速比となるように制御する。
上記のようなトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2に駆動力(トルク)が入力されると、その入力ディスク2にトラクションオイルを介して接触しているパワーローラ4に駆動力が伝達され、さらにそのパワーローラ4から出力ディスク3にトラクションオイルを介して駆動力が伝達される。この間、トラクションオイルは加圧されることによりガラス転移化し、それに伴う大きいせん断力によって駆動力を伝達するので、各入力ディスク2、出力ディスク3は、入力トルクに応じた挟圧力がパワーローラ4との間に生じるように、油圧押圧機構15により押圧される。また、パワーローラ4の周速と各入力ディスク2、出力ディスク3のトルク伝達点(パワーローラ4がトラクションオイルを介して接触している接触点)の周速とが実質的に同じであるから、入力ディスク2とパワーローラ4との接触点の回転軸線X1からの半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との接触点の回転軸線X1からの半径とに応じて、各入力ディスク2、出力ディスク3の回転数(回転速度)が異なることとなり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
そして、ECU60は、変速比を設定した目標変速比に変更する場合、すなわち、変速比の変速の場合は、入力ディスク2(あるいは出力ディスク3)の回転方向に基づいて、油圧制御装置9の流量制御弁に駆動電流を供給し、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2の油圧を制御することで、パワーローラ4が目標変速比に応じた傾転角になるまで、トラニオン6を中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。例えば、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第1油圧室OP1の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させると、上述したように変速比が増加しダウンシフトが行われる。一方、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第2油圧室OP2の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動させると、上述したように変速比が減少しアップシフトが行われる。また、設定された変速比を固定する場合は、パワーローラ4が再び中立位置となるまで、トラニオン6を第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。
なお、このECU60は、傾転角センサ(不図示)によって検出されるパワーローラ4の傾転角とストロークセンサ(不図示)によって検出されるストローク量に基づいて、実変速比(実際の変速比)が目標変速比(変速後の目標の変速比)となるようにカスケード式のフィードバック制御を行っている。すなわち、このECU60は、アクセル開度及び車速に基づいて目標変速比に対応した目標の傾転角である目標傾転角を決定し、この目標傾転角と傾転角センサによって検出した実際の傾転角である実傾転角との偏差に基づいて、目標変速比、目標傾転角に対応した目標のストローク量である目標ストローク量を決定し、ストロークセンサが検出したストローク量がこの目標ストローク量となるように移動部7の油圧制御装置9を制御している。
すなわち、ECU60は、アクセル開度と車速などから目標の変速比である目標変速比を決定する。ここで、例えば、アクセル開度などで表される要求駆動量と車速とに基づいて要求駆動力が算出され、その要求駆動力と車速とから目標出力が求められ、その目標出力を最小の燃費で達成するエンジンの回転数が求められ、トロイダル式無段変速機1への入力回転数がそのエンジンの回転数に相当する目標の回転数、すなわち目標入力回転数となるように目標変速比が求められる。そして、パワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との接触点がわかれば、変速比と傾転角との関係は幾何学形状だけで定まるため、目標変速比から目標傾転角を求めることができる。
なお、このようなトロイダル式無段変速機1の変速制御では、基本的には、傾転角センサによって検出される傾転角(言い換えれば、変速比)のみをフィードバック制御すればよいが、ストローク量が傾転角の微分に相当することから、ストロークセンサによって検出されるストローク量のフィードバック制御もあわせて行うことで、傾転制御における振動を抑制するダンピング効果を得ることができる。また、このECU60は、変速比の応答性を向上するために、このフィードバック制御と共にフィードフォワード制御をあわせて行ってもよい。
ところで、本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、図2、図5に示すように、変速制御ピストン81が軸部回転軸線としての回転軸線X3に沿った方向に対して小径部である閉塞側小径部81aと大径部81cとに分割されていることで、変速制御ピストン81をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性の向上を図っている。
具体的には、変速制御ピストン81は、上述したようにピストンベース83とフランジ部84とにより構成されており、ピストンベース83は、円筒形状に形成されている一方、フランジ部84は、ピストンベース83からピストンベース83の径方向、言い換えれば、回転軸6bの径方向に突出するように円環板状に形成されている。
そして、変速制御ピストン81は、このピストンベース83とフランジ部84とにおいて、回転軸線X3に沿った方向に対して小径部としての閉塞側小径部81a及び開放側小径部81bと、大径部81cとを有する。小径部としての閉塞側小径部81a及び開放側小径部81bは、変速制御ピストン81において大径部81cより小径に形成される部分である。言い換えれば、大径部81cは、変速制御ピストン81において小径部としての閉塞側小径部81a及び開放側小径部81bより大径に形成される部分である。
すなわち、閉塞側小径部81a及び開放側小径部81bは、変速制御ピストン81においてピストンベース83にフランジ部84が設けられていない部分である一方、大径部81cは、変速制御ピストン81においてピストンベース83にフランジ部84が設けられている部分である。
フランジ部84をなす大径部81cは、上述したように、変速制御油圧室82内の作動油の油圧によりトラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿って中立位置から変速位置に移動させるための変速制御押圧力が作用する部分である。フランジ部84をなす大径部81cの径方向外側の先端部には、環状の溝部が形成され上述のように環状のシール部材S1が設けられており、変速制御油圧室82の第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とがこのシール部材S1により互いに作動油が漏れないようにシールされている。なお、ここでは、シール部材S1は、例えば、OリングS11とシールリングS12とにより構成されている。シール部材S1は、OリングS11が大径部81cの先端部の溝部底部とシールリングS12とに接触し、シールリングS12がOリングS11と変速制御油圧室82の壁面とに接触するように設けられている。
開放側小径部81bは、ピストンベース83の一部、ここでは回転軸線X3に沿った方向に対してロアカバー87側の部分をなし、ロアカバー87に形成されたカバー側軸部挿入部壁面87aとの間に変速制御油圧室82からの作動油の漏洩を防止する環状のシール部材S3、シール部材S4が設けられる部分である。ここで、カバー側軸部挿入部壁面87aは、回転軸線X3を中心とした円筒状の中空空洞部を形成するようにロアカバー87に形成され、開放側小径部81bを介してトラニオン6の回転軸6bが挿入される部分である。シール部材S3、シール部材S4は、それぞれこのカバー側軸部挿入部壁面87aと開放側小径部81bの外周面に設けられた溝部壁面とに接触するように設けられている。
そして、この開放側小径部81bは、回転軸線X3に沿った方向に対して大径部81cより変速制御油圧室82の開放側に位置する。ここで、変速制御油圧室82は、上述したように、この変速制御油圧室82の空間部となる凹部が形成されているシリンダボデー86に対して、ロアカバー87がシリンダボデー86の凹部の開口を塞ぐように設けられることで形成される。変速制御油圧室82は、ロアカバー87がシリンダボデー86に設けられていない状態では、シリンダボデー86において変速制御油圧室82の空間部となる凹部開口側が開放した状態となる。つまり、変速制御油圧室82は、回転軸線X3に沿った方向に対してロアカバー87側が開放側となる。変速制御ピストン81をトラニオン6の回転軸6bへ組み付ける際には、変速制御ピストン81は、ロアカバー87がシリンダボデー86に設けられていない状態でこの変速制御油圧室82の開放側から回転軸6bに挿入されるようにして組み付けられる。そして、開放側小径部81bは、大径部81cよりこの変速制御油圧室82の開放側に位置すると共にこの大径部81cと一体に形成される。
一方、閉塞側小径部81aは、ピストンベース83の一部、ここでは回転軸線X3に沿った方向に対してシリンダボデー86側の部分をなし、シリンダボデー86に形成されたボデー側軸部挿入部壁面86aとの間に変速制御油圧室82からの作動油の漏洩を防止する第1封止手段としての環状のシール部材S2が設けられる部分である。ここで、ボデー側軸部挿入部壁面86aは、回転軸線X3を中心とした円筒状の中空空洞部を形成するようにシリンダボデー86に形成され、閉塞側小径部81aを介してトラニオン6の回転軸6bが挿入される部分である。シール部材S2は、このボデー側軸部挿入部壁面86aと閉塞側小径部81aの外周面に設けられた溝部壁面とに接触するように設けられている。
そして、この閉塞側小径部81aは、回転軸線X3に沿った方向に対して大径部81cより変速制御油圧室82の閉塞側に位置する。ここで、変速制御油圧室82は、ロアカバー87がシリンダボデー86に設けられていない状態では、シリンダボデー86において変速制御油圧室82の空間部となる凹部底部側が閉塞した状態となる。つまり、変速制御油圧室82は、回転軸線X3に沿った方向に対してシリンダボデー86側が閉塞側となる。そして、閉塞側小径部81aは、大径部81cよりこの変速制御油圧室82の閉塞側に位置すると共に、回転軸線X3に沿った方向に対して大径部81cと別体に分割されて形成される。
すなわち、この変速制御ピストン81は、大径部81cと開放側小径部81bとが一体となってロアピストン81eをなす一方、閉塞側小径部81aが大径部81cと分割されてアッパピストン81dをなす。
そして、変速制御ピストン81は、ロアカバー87がシリンダボデー86に設けられていない状態で変速制御油圧室82の開放側から閉塞側小径部81aをなすアッパピストン81dが回転軸6bに設置された後に、大径部81c及び開放側小径部81bをなすロアピストン81eが回転軸6bに設置される。
これにより、まず、閉塞側小径部81aをなすアッパピストン81dを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態、言い換えれば、シール部材S2のボデー側軸部挿入部壁面86aと閉塞側小径部81aとの接触状態やシール部材S2の潰れ等の有無を目視により確認することができる。そして、シール部材S2の設置状態を確認した後に、大径部81c及び開放側小径部81bをなすロアピストン81eを回転軸6bに設置することで変速制御ピストン81の全体を回転軸6bに組み付けることができる。つまり、ボデー側軸部挿入部壁面86aと閉塞側小径部81aの外周面との間がシール部材S2により確実にシール(封止)されていることを、大径部81cにより視界が遮られることなく目視により容易に確認することができるので、組み付けミスを抑制することができ、変速制御ピストン81をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができ、この結果、製造効率を向上することができる。また、トロイダル式無段変速機1を全て組み上げた後にシール部材S2の設置状態が適正でなかったがために適正な変速ができず、再びトロイダル式無段変速機1を解体してシール部材S2を設置しなおすなどの煩わしい作業が発生することを確実に防止することができる。言い換えれば、目視によりシール部材S2の設置状態の確認を容易に行うことができることから、ボデー側軸部挿入部壁面86aと閉塞側小径部81aの外周面との間をシール部材S2により確実にシール(封止)することができ、この結果、変速制御油圧室82からの作動油の漏洩を確実に防止することができ、適正な変速制御精度を確保することができる。
また、上記のように変速制御ピストン81は、比較的に形状が単純なアッパピストン81dとロアピストン81eとに分割して別個に形成、製造することができるので、比較的低コストである鍛造加工やプレス加工により変速制御ピストン81のアッパピストン81d、ロアピストン81eを加工することができることから、製造コストを低下させることができる。
次に、図6を参照して本実施形態に係るトロイダル式無段変速機1の組み立て方法について説明する。ここでは、トロイダル式無段変速機1の組み立て方法において、特に油圧ピストン部8の組み付けを主に説明する。
本実施形態のトロイダル式無段変速機1の組み立て方法においては、まず、シリンダボデー設置工程として、ボデー側軸部挿入部壁面86aにトラニオン6の回転軸6bを挿入するようにしてシリンダボデー86を設置し、このシリンダボデー86をケーシング1aにボルトなどにより固定する(S100)。このとき、シリンダボデー86と軸受部6fとの間にスペーサ(ワッシャ)6g(図5参照)を介在させている。
次に、小径部設置工程としてのアッパピストン設置工程として、閉塞側小径部81aをなすアッパピストン81dの内周側にトラニオン6の回転軸6bを挿入するようにして、シール部材S2と共にアッパピストン81dを回転軸6bに設置する(S102)。アッパピストン81dは、シリンダボデー86において変速制御油圧室82の空間部となる凹部の開口側(変速制御油圧室82の開放側)からボデー側軸部挿入部壁面86aの内側まで回転軸線X3に沿った方向に移動され、これにより、アッパピストン81dの外周面とボデー側軸部挿入部壁面86aとの間にシール部材S2が位置する。このとき、アッパピストン81dと軸受部6fとの間にスペーサ6gが介在される。
次に、確認工程としての第1確認工程として、シリンダボデー86において変速制御油圧室82の空間部となる凹部の開口側(変速制御油圧室82の開放側)から、シール部材S2の設置状態、すなわち、シール部材S2のボデー側軸部挿入部壁面86a、閉塞側小径部81aとの接触状態やシール部材S2の潰れ等の有無を目視により確認する(S104)。
そして、第1確認工程(S104)でシール部材S2の設置状態が適正であることが確認できたら、次に、大径部設置工程としてのロアピストン設置工程として、大径部81c及び開放側小径部81bをなすロアピストン81eの内周側にトラニオン6の回転軸6bを挿入するようにして、シール部材S1、シール部材S3、シール部材S4と共にロアピストン81eを回転軸6bに設置する(S106)。ロアピストン81eは、シリンダボデー86において変速制御油圧室82の空間部となる凹部の開口側(変速制御油圧室82の開放側)から大径部81cが閉塞側小径部81aに当接するまで回転軸線X3に沿った方向に移動され、これにより、大径部81cの外周面と変速制御油圧室82の壁面との間にシール部材S1が位置する。
次に、ロアカバー設置工程として、カバー側軸部挿入部壁面87aに開放側小径部81b、シール部材S3、シール部材S4を介してトラニオン6の回転軸6bを挿入するようにして、また、シリンダボデー86との間にガスケット88を挟むようにしてロアカバー87を設置し、このロアカバー87をシリンダボデー86にボルトなどにより固定する(S108)。これにより、ロアピストン81eの開放側小径部81bとカバー側軸部挿入部壁面87aとの間にシール部材S3、シール部材S4が位置する。
次に、第2確認工程として、シール部材S3、シール部材S4の設置状態、すなわち、シール部材S3、シール部材S4のカバー側軸部挿入部壁面87a、開放側小径部81bとの接触状態やシール部材S3、シール部材S4の潰れ等の有無を目視により確認する(S110)。
そして、第2確認工程(S110)でシール部材S3、シール部材S4の設置状態が適正であることが確認できたら、次に、プーリ設置工程として、同期機構18の固定プーリ20をトラニオン6の回転軸6bに設置し(S112)、その後、ナット締め付け工程として、トラニオン6の回転軸6bにナット6h(図5参照)を締め付け固定して(S114)、終了する。ナット6hの締め付け固定により、トラニオン6の回転軸6bに対して、軸受部6f、スペーサ6g、変速制御ピストン81のアッパピストン81d及びロアピストン81e、固定プーリ20が、回転軸線X3に沿った方向に位置決め固定される。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1によれば、駆動力が入力される入力ディスク2と、駆動力が出力される出力ディスク3と、入力ディスク2と出力ディスク3との間に設けられるパワーローラ4と、パワーローラ4を回転自在、かつ、回転軸6bの回転軸線X3を回転中心として回転することで傾転自在に支持するトラニオン6と、回転軸6b周りにこの回転軸6bが挿入されるようにして設けられ変速制御油圧室82内の作動油の油圧によりトラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿って中立位置から変速位置に移動させるための変速制御押圧力が作用する変速制御ピストン81とを備え、変速制御ピストン81は、変速制御油圧室82を形成する油圧室形成部材85との間にこの変速制御油圧室82からの作動油の漏洩を防止するシール部材S2、シール部材S3、シール部材S4が設けられる閉塞側小径部81a、開放側小径部81bと、閉塞側小径部81a、開放側小径部81bより大径に形成され変速制御押圧力が作用する大径部81cとを有し、閉塞側小径部81a、開放側小径部81bと大径部81cとは、回転軸線X3に沿った方向に対して大径部81cより変速制御油圧室82の閉塞側に位置する小径部である閉塞側小径部81aと大径部81cとが分割されている。
したがって、変速制御ピストン81の閉塞側小径部81aと大径部81cとが回転軸線X3に沿った方向に対して分割されていることから、閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を目視により確認することができる。この結果、変速制御ピストン81をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。また、変速制御ピストン81を比較的に形状が単純なアッパピストン81dとロアピストン81eとに分割して別個に形成、製造することができるので、製造コストを低下させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1によれば、大径部81cは、閉塞側小径部81aが回転軸6bに設けられた後に回転軸6bに設けられる。
つまり、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1の組み立て方法によれば、シール部材S2と共に閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置するアッパピストン設置工程(S102)と、アッパピストン設置工程(S102)の後にシール部材S2の設置状態を確認する第1確認工程(S104)と、第1確認工程(S104)の後に大径部81cを設置するロアピストン設置工程(S106)とを備える。
したがって、アッパピストン設置工程(S102)として閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した後に、第1確認工程(S104)として大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を確認することができ、その後に、ロアピストン設置工程(S106)として大径部81c及び開放側小径部81bを回転軸6bに設置することで変速制御ピストン81の全体を回転軸6bに組み付けることができる。
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。実施形態2に係る無段変速機は、実施形態1に係る無段変速機と略同様の構成であるが、第2封止手段を備える点で実施形態1に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1乃至図4を参照する。
実施形態2に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機201は、作動油通路206iを備えている。作動油通路206iは、少なくともピストンとしての変速制御ピストン281とトラニオン6の回転軸6bとの間に設けられている。ここでは、作動油通路206iは、回転軸6bの外周面に溝部として設けられている。すなわち、この作動油通路206iは、変速制御ピストン281の内周面と回転軸6bの外周面とによって形成されている。そして、この作動油通路206iは、例えば、供給対象部分に供給される作動油が通過可能である。なお、ここで供給対象部分は、例えば、作動油が潤滑油として供給される軸受部43a、43b、43cや軸受部(ラジアルベアリング)6f、作動油がトラクションオイルとして供給されるトロイダル面2a、3aや接触面4aなどである。
そして、本実施形態の変速制御ピストン281は、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面281fに変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段としての分割面シール部281gを有する。
ここで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面281fは、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面281hと大径部81c側の大径部側分割面281iとが接触する面である。ここでは、小径部側分割面281hと大径部側分割面281iとは、ともに回転軸線X3とほぼ垂直な平面として形成されている。
そして、本実施形態の分割面シール部281gは、溝部281jと、シール部材281kとを有する。溝部281jは、小径部側分割面281hに回転軸6bの周りに環状に形成され、シール部材281kは、回転軸6bの周りに環状に形成されこの溝部281jに設けられる。このシール部材281kは、溝部281jの底部に接触すると共に大径部側分割面281iにも接触している。なお、ここでは、溝部281j及びシール部材281kは、分割面281fにおける小径部側分割面281hに設けるものとして説明したが、大径部側分割面281iに設けるようにしてもよい。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、変速制御ピストン281の閉塞側小径部81aと大径部81cとが回転軸線X3に沿った方向に対して分割されていることから、閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を目視により確認することができる。この結果、変速制御ピストン281をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、変速制御ピストン281と回転軸6bとの間に作動油が通過可能な作動油通路206iを備え、変速制御ピストン281は、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面281fに変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を防止する分割面シール部281gを有する。したがって、変速制御ピストン281が閉塞側小径部81aと大径部81cとで分割されていると共に変速制御ピストン281とトラニオン6の回転軸6bとの間に作動油通路206iが設けられている場合であっても、この閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面281fに分割面シール部281gが設けられていることから、変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。この結果、適正な変速制御精度を確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、分割面シール部281gは、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面281hに形成される環状の溝部281jと、溝部281jに設けられる環状のシール部材281kとを有する。したがって、シール部材281kが溝部281jの底部と大径部側分割面281iとに接触することで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面281fにて変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。実施形態3に係る無段変速機は、実施形態2に係る無段変速機と略同様の構成であるが、接触面拡大部及び収容溝部を備える点で実施形態2に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1乃至図4を参照する。
実施形態3に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機301は、作動油通路206iを備えている。
そして、本実施形態の変速制御ピストン381は、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面381fに変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段としての分割面シール部381gを有する。
ここで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面381fは、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面381hと大径部81c側の大径部側分割面381iとが接触する面である。ここでは、小径部側分割面381hと大径部側分割面381iとは、ともに回転軸線X3とほぼ垂直な平面として形成されている。
そして、本実施形態の分割面シール部381gは、溝部381jと、シール部材381kとを有する。溝部381jは、小径部側分割面381hに回転軸6bの周りに環状に形成され、シール部材381kは、回転軸6bの周りに環状に形成されこの溝部381jに設けられる。このシール部材381kは、溝部381jの底部に接触すると共に大径部側分割面381iにも接触している。
ここで、本実施形態では、閉塞側小径部81aは、小径部側分割面381hに外径が大きくなることで大径部側分割面381iとの接触面積を拡大する接触面拡大部381lを有している。これにより、溝部381j及びシール部材381kを配置するための閉塞側小径部81aと大径部81cとの接触面積を広く確保することができ、よって分割面シール部381gによるシール性能を十分に確保することができる。
また、本実施形態の大径部81cは、大径部側分割面381iにこの接触面拡大部381lを収容する凹部状の収容溝部381mを有する。つまり、閉塞側小径部81aと大径部81cとは、閉塞側小径部81aの接触面拡大部381lが大径部81cの収容溝部381mに嵌合し収容されるような形状で小径部側分割面381hと大径部側分割面381iとが当接し、シール部材381kは、この収容溝部381mの底部と溝部381jの底部とに接触するように設けられている。これにより、接触面拡大部381lが変速制御油圧室82内に突出したような形状になることを防止することができ、変速制御油圧室82の形状がいびつになることを防止することができる。この結果、例えば、変速制御油圧室82の回転軸線X3に沿った方向の長さが長くなることを防止することができる。なお、本実施形態では、接触面拡大部381lと共に収容溝部381mを設けるものとして説明したが、この収容溝部381mを備えない構成であってもよい。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機301によれば、変速制御ピストン381の閉塞側小径部81aと大径部81cとが回転軸線X3に沿った方向に対して分割されていることから、閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を目視により確認することができる。この結果、変速制御ピストン381をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機301によれば、変速制御ピストン381が閉塞側小径部81aと大径部81cとで分割されていると共に変速制御ピストン381とトラニオン6の回転軸6bとの間に作動油通路206iが設けられている場合であっても、この閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面381fに分割面シール部381gが設けられていることから、変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。この結果、適正な変速制御精度を確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機301によれば、シール部材381kが溝部381jの底部と大径部側分割面381iとに接触することで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面381fにて変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機301によれば、閉塞側小径部81aは、小径部側分割面381hに外径が大きくなることで大径部側分割面381iとの接触面積を拡大する接触面拡大部381lを有する。したがって、溝部381j及びシール部材381kを配置するための閉塞側小径部81aと大径部81cとの接触面積を広く確保することができ、よって分割面シール部381gによるシール性能を十分に確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機301によれば、大径部81cは、大径部側分割面381iに接触面拡大部381lを収容する凹部状の収容溝部381mを有する。したがって、接触面拡大部381lが変速制御油圧室82内に突出したような形状になることを防止することができ、変速制御油圧室82の形状がいびつになることを防止することができる。
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態4に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。実施形態4に係る無段変速機は、実施形態2に係る無段変速機と略同様の構成であるが、第2封止手段の構成が実施形態2に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1乃至図4を参照する。
実施形態4に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機401は、作動油通路206iを備えている。
そして、本実施形態の変速制御ピストン481は、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面481fに変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段としての分割面シール部481gを有する。
ここで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面481fは、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面481hと大径部81c側の大径部側分割面481iとが接触する面である。
そして、本実施形態の分割面シール部481gは、嵌合溝部481nと嵌合突部481oとを有する。本実施形態では、嵌合溝部481n及び嵌合突部481oは、嵌合溝部481nが大径部側分割面481iに設けられる一方、嵌合突部481oが小径部側分割面481hに設けられる。
嵌合溝部481nは、大径部側分割面481iに凹部状の溝部として形成される。嵌合突部481oは、小径部側分割面481hに凸部状の突起部として形成される。嵌合溝部481nと嵌合突部481oとは、ともに中心軸線が回転軸線X3と平行な円筒状に形成される。ここでは、嵌合溝部481n、嵌合突部481oの円筒中心軸線は、回転軸線X3と一致している。
そして、閉塞側小径部81aと大径部81cとは、嵌合突部481oが嵌合溝部481nに嵌合して接触するような形状で小径部側分割面481hと大径部側分割面481iとが当接し、この嵌合溝部481nと嵌合突部481oとが分割面シール部481gを構成する。
なお、本実施形態では、嵌合溝部481n及び嵌合突部481oは、嵌合溝部481nが大径部側分割面481iに設けられる一方、嵌合突部481oが小径部側分割面481hに設けられるものとして説明したが、これに限らず、嵌合溝部481nを小径部側分割面481hに設ける一方、嵌合突部481oを大径部側分割面481iに設けるようにしてもよい。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機401によれば、変速制御ピストン481の閉塞側小径部81aと大径部81cとが回転軸線X3に沿った方向に対して分割されていることから、閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を目視により確認することができる。この結果、変速制御ピストン481をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機401によれば、変速制御ピストン481が閉塞側小径部81aと大径部81cとで分割されていると共に変速制御ピストン481とトラニオン6の回転軸6bとの間に作動油通路206iが設けられている場合であっても、この閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面481fに分割面シール部481gが設けられていることから、変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。この結果、適正な変速制御精度を確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機401によれば、分割面シール部481gは、大径部81c側の大径部側分割面481iに凹部状に形成される嵌合溝部481nと、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面481hに凸部状に形成され嵌合溝部481nに嵌合して接触する嵌合突部481oとを有する。したがって、嵌合突部481oが嵌合溝部481nに嵌合して接触することで分割面シール部481gを構成することから、小径部側分割面481hと大径部側分割面481iとの接触面積を十分に広く確保することができ、例えば、別個にシール部材を設けることなく分割面シール部481gによるシール性能を十分に確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機401によれば、嵌合溝部481n及び嵌合突部481oは、中心軸線が回転軸線X3と平行な筒状に形成される。したがって、嵌合溝部481nと嵌合突部481oとの回転軸線X3に沿った方向に対する接触面長さを長く確保することができるので、小径部側分割面481hと大径部側分割面481iとの接触面積を十分に広く確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機401によれば、嵌合溝部481n及び嵌合突部481oは、嵌合溝部481nが大径部側分割面481iに設けられる一方、嵌合突部481oが小径部側分割面481hに設けられる。したがって、嵌合溝部481nを大径部81c側に設けることができることから、嵌合溝部481nにおける変速制御ピストン481の肉厚(壁面の厚み)を十分に確保することができるので、この変速制御ピストン481の強度の低下を抑制することができる。
(実施形態5)
図10は、本発明の実施形態5に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。実施形態5に係る無段変速機は、実施形態4に係る無段変速機と略同様の構成であるが、第2封止手段の構成が実施形態4に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1乃至図4を参照する。
実施形態5に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機501は、作動油通路206iを備えている。
そして、本実施形態の変速制御ピストン581は、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面581fに変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段としての分割面シール部581gを有する。
ここで、閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面581fは、閉塞側小径部81a側の小径部側分割面581hと大径部81c側の大径部側分割面581iとが接触する面である。
そして、本実施形態の分割面シール部581gは、嵌合溝部581nと嵌合突部581oとを有する。本実施形態では、嵌合溝部581n及び嵌合突部581oは、嵌合溝部581nが大径部側分割面581iに設けられる一方、嵌合突部581oが小径部側分割面581hに設けられる。
嵌合溝部581nは、大径部側分割面581iに凹部状の溝部として形成される。嵌合突部581oは、小径部側分割面581hに凸部状の突起部として形成される。そして、本実施形態の嵌合溝部581nと嵌合突部581oとは、その接触面に回転軸線X3に対して斜めに傾斜した部分としてテーパ部を有する。
そして、閉塞側小径部81aと大径部81cとは、嵌合突部581oが嵌合溝部581nに嵌合して接触するような形状で小径部側分割面581hと大径部側分割面581iとが当接し、この嵌合溝部581nと嵌合突部581oとが分割面シール部581gを構成する。なお、嵌合溝部581nと嵌合突部581oとの接触面は、曲面状に湾曲した形状であってもよい。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機501によれば、変速制御ピストン581の閉塞側小径部81aと大径部81cとが回転軸線X3に沿った方向に対して分割されていることから、閉塞側小径部81aを回転軸6bに設置した際に、大径部81cにより視界が遮られることなく、シール部材S2の設置状態を目視により確認することができる。この結果、変速制御ピストン581をトラニオン6へ組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機501によれば、変速制御ピストン581が閉塞側小径部81aと大径部81cとで分割されていると共に変速制御ピストン581とトラニオン6の回転軸6bとの間に作動油通路206iが設けられている場合であっても、この閉塞側小径部81aと大径部81cとの分割面581fに分割面シール部581gが設けられていることから、変速制御油圧室82と作動油通路206iとの相互の作動油の漏洩を確実に防止することができる。この結果、適正な変速制御精度を確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機501によれば、嵌合突部581oが嵌合溝部581nに嵌合して接触することで分割面シール部581gを構成することから、小径部側分割面581hと大径部側分割面581iとの接触面積を十分に広く確保することができ、例えば、別個シール部材を設けることなく分割面シール部581gによるシール性能を十分に確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機501によれば、嵌合溝部581n及び嵌合突部581oは、テーパ部を有する。したがって、嵌合溝部581nと嵌合突部581oとの接触面長さを長く確保することができるので、小径部側分割面581hと大径部側分割面581iとの接触面積を十分に広く確保することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機501によれば、嵌合溝部581nを大径部81c側に設けることができることから、嵌合溝部581nにおける変速制御ピストン581の肉厚(壁面の厚み)を十分に確保することができるので、この変速制御ピストン581の強度の低下を抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機及び無段変速機の組み立て方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、無段変速機はダブルキャビティ型のトロイダル式無段変速機であるものとして説明したが、これに限らず、シングルキャビティ型のトロイダル式無段変速機であってもよい。
以上のように、本発明に係る無段変速機及び無段変速機の組み立て方法は、組み付け作業性を向上することができるものであり、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力を車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達する無段変速機及び無段変速機の組み立て方法に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の要部の模式的構成図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の組み立て方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。 本発明の実施形態3に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。 本発明の実施形態4に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。 本発明の実施形態5に係るトロイダル式無段変速機の変速制御ピストンを含む部分断面図である。
符号の説明
1、201、301、401、501 トロイダル式無段変速機(無段変速機)
2 入力ディスク
3 出力ディスク
4 パワーローラ
5 変速比変更部
6 トラニオン(支持手段)
6b 回転軸(軸部)
7 移動部
8 油圧ピストン部
9 油圧制御装置
10 入力軸
11 バリエータ軸
81、281、381、481、581 変速制御ピストン(ピストン)
81a 閉塞側小径部(小径部)
81b 開放側小径部(小径部)
81c 大径部
81d アッパピストン
81e ロアピストン
82 変速制御油圧室(油圧室)
83 ピストンベース
84 フランジ部
85 油圧室形成部材
86 シリンダボデー(油圧室形成部材)
87 ロアカバー(油圧室形成部材)
88 ガスケット
206i 作動油通路
281f、381f、481f、581f 分割面
281g、381g、481g、581g 分割面シール部(第2封止手段)
281h、381h、481h、581h 小径部側分割面
281i、381i、481i、581i 大径部側分割面
281j、381j 溝部
281k、381k シール部材
381l 接触面拡大部
381m 収容溝部
481n、581n 嵌合溝部
481o、581o 嵌合突部
OP1 第1油圧室
OP2 第2油圧室
S1 シール部材
S2、S3、S4 シール部材(第1封止手段)
X3 回転軸線(軸部回転軸線)

Claims (11)

  1. 駆動力が入力される入力ディスクと、
    前記駆動力が出力される出力ディスクと、
    前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられるパワーローラと、
    前記パワーローラを回転自在、かつ、軸部の軸部回転軸線を回転中心として回転することで傾転自在に支持する支持手段と、
    前記軸部周りに当該軸部が挿入されるようにして設けられ油圧室内の作動油の油圧により前記支持手段と共に前記パワーローラを前記軸部回転軸線に沿って中立位置から変速位置に移動させるための押圧力が作用するピストンとを備え、
    前記ピストンは、前記油圧室を形成する油圧室形成部材との間に当該油圧室からの前記作動油の漏洩を防止する第1封止手段が設けられる小径部と、前記小径部より大径に形成され前記押圧力が作用する大径部とを有し、前記小径部と前記大径部とは、前記軸部回転軸線に沿った方向に対して前記大径部より前記油圧室の閉塞側に位置する前記小径部である閉塞側小径部と前記大径部とが分割されていることを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記大径部は、前記閉塞側小径部が前記軸部に設けられた後に当該軸部に設けられることを特徴とする、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記ピストンと前記軸部との間に作動油が通過可能な作動油通路を備え、
    前記ピストンは、前記閉塞側小径部と前記大径部との分割面に前記油圧室と前記作動油通路との相互の作動油の漏洩を防止する第2封止手段を有することを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記第2封止手段は、前記閉塞側小径部側の小径部側分割面又は前記大径部側の大径部側分割面に形成される環状の溝部と、前記溝部に設けられる環状のシール部材とを有することを特徴とする、
    請求項3に記載の無段変速機。
  5. 前記閉塞側小径部は、前記小径部側分割面に外径が大きくなることで前記大径部側分割面との接触面積を拡大する接触面拡大部を有することを特徴とする、
    請求項4に記載の無段変速機。
  6. 前記大径部は、前記大径部側分割面に前記接触面拡大部を収容する凹部状の収容溝部を有することを特徴とする、
    請求項5に記載の無段変速機。
  7. 前記第2封止手段は、前記閉塞側小径部側の小径部側分割面又は前記大径部側の大径部側分割面の一方に凹部状に形成される嵌合溝部と、前記小径部側分割面又は前記大径部側分割面の他方に凸部状に形成され前記嵌合溝部に嵌合して接触する嵌合突部とを有することを特徴とする、
    請求項3に記載の無段変速機。
  8. 前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、中心軸線が前記軸部回転軸線と平行な筒状に形成されることを特徴とする、
    請求項7に記載の無段変速機。
  9. 前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、テーパ部を有することを特徴とする、
    請求項7に記載の無段変速機。
  10. 前記嵌合溝部及び前記嵌合突部は、前記嵌合溝部が前記大径部側分割面に設けられる一方、前記嵌合突部が前記小径部側分割面に設けられることを特徴とする、
    請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の無段変速機。
  11. 駆動力が入力される入力ディスクと前記駆動力が出力される出力ディスクとの間に設けられるパワーローラを回転自在、かつ、軸部の軸部回転軸線を回転中心として回転することで傾転自在に支持する支持手段と、前記軸部周りに当該軸部が挿入されるようにして設けられ油圧室内の作動油の油圧により前記支持手段と共に前記パワーローラを前記軸部回転軸線に沿って中立位置から変速位置に移動させるための押圧力が作用するピストンとを備え、前記ピストンは、前記油圧室を形成する油圧室形成部材との間に当該油圧室からの前記作動油の漏洩を防止する第1封止手段が設けられる小径部と、前記小径部より大径に形成され前記押圧力が作用する大径部とを有し、前記小径部と前記大径部とは、前記軸部回転軸線に沿った方向に対して前記大径部より前記油圧室の閉塞側に位置する前記小径部である閉塞側小径部と前記大径部とが分割されている無段変速機の組み立て方法において、
    前記第1封止手段と共に前記閉塞側小径部を前記軸部に設置する小径部設置工程と、
    前記小径部設置工程の後に前記第1封止手段の設置状態を確認する確認工程と、
    前記確認工程の後に前記大径部を設置する大径部設置工程とを備えることを特徴とする、
    無段変速機の組み立て方法。
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