JP2010029742A - 大容量ダイアフラム内蔵フイルタープレス並びにその圧搾ろ過方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイアフラムろ板に圧縮空気を注入し、次に圧力水を供給する技術を応用して、長時間圧搾脱水処理を可能とするフイルタープレスを提供する。
【解決手段】交互に並列したろ板4とダイアフラムろ板5の両端部に大容量ダイアフラムろ板6、6を配設し、ダイアフラムろ板5と大容量ダイアフラムろ板6、6の ダイアフラム室12、13を圧縮空気により0.85MPaまで昇圧し、次に加圧水をダイアフラム室 12、13に圧入して圧縮空気圧を1.6MPaまで昇圧した後、加圧水の圧入を停止すると共に、ダイアフラム室12、13の圧搾圧が1.4MPaまで降下した時、再び加圧水を圧入して圧縮空気圧を1.6MPaまで昇圧させるダイアフラム圧搾工程としたもので、長時間圧搾脱水の圧縮空気圧を加圧水で調整して、大容量のダイアフラム室の空気による圧搾時間を長くすることができ、圧力水ポンプの運転時間が半減してエネルギー費が節約できる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、上水・工水スラッジ処理、及び化学工業、製紙パルプ工業等の各種生産プロセスにおいて、中・長時間圧搾脱水処理を必要とするダイアフラムろ板を有するフイルタープレスの改良に関する。
従来、フイルタープレスでは高圧搾脱水するために原液をろ過室に圧入してろ過脱水後、流体をダイアフラムろ板に圧入して圧搾脱水をしており、中・長時間圧搾脱水処理では、圧搾圧力を維持するために圧搾中は継続して圧力水ポンプを作動している。例えば、ダイアフラム室に圧搾液を供給して圧搾脱水するフイルタープレスは、特許文献1に記載してあるように公知である。また、スラリー注入工程から圧搾工程に移る場合、空気圧縮機から送られた圧縮空気を空気槽に蓄積し、ダイアフラムに供給する圧搾式フイルタープレスも特許文献2に開示してある。そして、汚泥を圧搾するに当たり、ダイアフラム室に3〜5kg/cm2の圧縮空気を注入し、次に圧力水を注入してケーキを圧搾するフイルタープレスも、特許文献3で特許出願人が提案している。
特公平03−26083号公報(請求項1、図1) 特開平08−71313号公報(段落番号0018、図3) 特公平02−12122号公報(請求項1、図2)
ダイアフラム室に加圧水を供給すると高圧搾脱水が可能となるが、特に浄水汚泥では圧搾時間が長く圧搾圧力を一定に維持するため圧搾水をリリーフさせる時間が長くなる。長時間圧搾脱水において、圧力水ポンプの稼動時間を短くするために、圧力タンクを用いて空気圧で圧搾しようとすると第一種圧力容器の適用を受けることになりシステム上面倒である。そして、ダイアフラム室に圧縮空気を注入し、次に圧力水を供給して汚泥を圧搾するフイルタープレスは、ダイアフラム室の圧縮空気で圧力水を強制的に排出でき、雑時間を短縮できる利点がある。この発明は、ダイアフラム室に圧縮空気を注入し、次に圧力水を供給する技術を応用して、中・長時間圧搾脱水処理を可能とする大容量ダイアフラム内フイルタープレス並びにその圧搾ろ過方法を提供する。
この発明に係る大容量ダイアフラム内フイルタープレスの圧搾ろ過方法は、並列したろ板とダイアフラムろ板の両端部に圧縮空気溜りを大きくする大容量ダイアフラムろ板を配設し、ろ板とダイアフラムろ板及び大容量ダイアフラムろ板の間に形成したろ過室に原液を圧入して圧搾脱水するフイルタープレスにおいて、圧入工程でろ過室に原液を圧入してろ過を行った後、ダイアフラムろ板のダイアフラム室と大容量ダイアフラムろ板のダイアフラム室を圧縮空気により0.85MPa程度まで昇圧し、次に加圧水をダイアフラム室に圧入して1.6MPaまで昇圧した後、加圧水の圧入を停止して、アキュームレータ機能によりろ過室の圧搾を維持すると共に、ダイアフラム室の圧搾圧が1.4MPaまで降下した時、再び加圧水を圧入して1.6MPaまで昇圧し、ろ過室の圧搾を継続させるダイアフラム圧搾工程としたもので、長時間圧搾脱水のダイアフラム室の昇圧に空気圧を利用するため、圧力水ポンプの稼動時間が少なくなりエネルギー費が節約できる。
圧搾ろ過方法を実施するための大容量ダイアフラム内フイルタープレスは、多数のろ板とダイアフラムろ板を交互に並列し、ろ板とダイアフラムろ板間に形成されたろ過室に原液を圧入してダイアフラムろ板で圧搾脱水するフイルタープレスにおいて、並列したろ板とダイアフラムろ板の両端部に一対の大容量ダイアフラムろ板を配設し、ダイアフラムろ板の全ろ室容積と大容量ダイアフラムろ板の全ろ室容積を同容量程度とすると共に、ダイアフラムろ板のダイアフラム室と大容量ダイアフラムろ板のダイアフラム室に圧搾水供給管と圧縮空気管を接続し、ダイアフラム室の内圧に連動させて、圧搾水供給管に配設した圧力水ポンプの圧力水弁と、圧縮空気管に配設した空気圧縮機の圧縮空気弁を制御して、ダイアフラム室の内圧を操作するもので、大容量のダイアフラム室の空気による圧搾時間を長くすることができ、圧力水ポンプの運転時間が半減して節電となる。また、ダイアフラム内圧力室を圧力タンクに使用するため、第一種圧力容器の適用を受けない。
圧縮空気溜りを大きくする両端部の大容量ダイアフラムろ板は、そのダイアフラム室に支持板を配設して、芯板底部を底上げするもので、ダイアフラムが設定値以上に伸びて損傷することがない。また、ろ過室を形成するろ板とダイアフラムろ板を、両面ダイアフラムろ板で構成すれば、ろ過室でろ過されたケーキの両面からの圧搾が可能となる。
この発明に係る大容量ダイアフラム内フイルタープレス並びにその圧搾ろ過方法は上記のように構成してあり、圧縮空気溜りを大きくする両端部の大容量ダイアフラムろ板のダイアフラム室を圧力室として利用するため、第一種圧力容器が不要となり、省エネ運転が可能となる。
この発明の実施例を図面に基づき詳述すると、先ず、図1はこの発明に係る大容量ダイアフラム内フイルタープレスの側面図であって、フロントフレーム1とリアフレーム2に一対のガイドレール3、3が橋架してあり、ガイドレール3に多数のろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・を交互に支架して、並列したろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・の両端部に圧縮空気溜りを大きくする大容量ダイアフラムろ板6、6を配設してある。リアフレーム2に配設した締付シリンダー7がムーバブルヘッド8に連結してあり、締付シリンダー7で並列したろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・を開閉させる。図2は並列するろ板とダイアフラムろ板の一部縦断斜視図であって、ろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・で形成するろ過室9・・・に一対のろ布11、11が吊設してあり、ろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・を貫通する供給口10からろ布11、11間に原液を圧入する。
図3は大容量ダイアフラムろ板を配設したフイルタープレスの概念図であって、ダイアフラムろ板5は、表面にダイアフラム5aを張設して内部にダイアフラム室12を形成してある。並列したろ板4・・・とダイアフラムろ板5・・・の両端部に大容量ダイアフラムろ板6、6が配設してあり、ダイアフラム6aの内部にダイアフラム室13が形成してある。一対の大容量ダイアフラムろ板6、6のダイアフラム室13、13の全ろ室容積は、多数並列したダイアフラムろ板5・・・のダイアフラム室12・・・の全ろ室容積と同容量程度としてあり、この発明の実施例では、大容量ダイアフラムろ板6に1m3程度のダイアフラム室13が形成してある。大容量ダイアフラムろ板6には、多数の通孔を有する支持板14が配設してあり、ダイアフラム6aが設定値以上に伸びないように、芯板底部を底上げしてある。
図3に示すように、ダイアフラムろ板5のダイアフラム室12と大容量ダイアフラムろ板6のダイアフラム室13に連結した圧搾水供給管15に圧縮空気管16が接続してある。図1に示すように、圧搾水供給管15に給水槽19の加圧水を圧送する圧力水ポンプ20と加圧水を入切する圧力水弁21が配設してある。圧縮空気管16に連結した空気槽に圧縮空気を供給する空気圧縮機22と、圧縮空気管16に供給する圧縮空気を入切する圧縮空気弁23が配設してある。圧力水ポンプ20の圧力水弁21と空気圧縮機22の圧縮空気弁23を制御盤24で制御してダイアフラム室12、13の圧縮空気圧を操作するようにしてある。図1及び図2に示すように、原液圧入ポンプ17を配設した原液供給管18がろ板4・・・とダイアフラムろ板5及び大容量ダイアフラムろ板6の間のろ過室9・・・に連通させてある。なお、図3に示すろ過室9を形成するろ板4とダイアフラムろ板5を、ダイアフラムろ板5だけを並列し、ろ過室9の両面をダイアフラムろ板5・・・で構成すれば、ろ過室9でろ過されたケーキの両面からの圧搾が可能となる。
本願発明の大容量ダイアフラム内フイルタープレスは上記のように構成してあり、その圧搾ろ過方法は、
A.圧入工程
ろ過室9・・・に原液を圧入してろ過を行った後、
B.圧搾工程
1)空気圧縮機22を駆動して、圧縮空気弁23を操作し、ダイアフラムろ板5のダイアフラム室12と大容量ダイアフラムろ板6のダイアフラム室13に圧縮空気を注気して、0.85MPaまで昇圧する。
2)圧縮空気弁23を閉じ、圧力水ポンプ20を駆動し、圧力水弁21を開放して加圧水をダイアフラム室12、13に圧入する。ダイアフラム室12、13の内圧を1.6MPaまで昇圧して、圧力水弁21を閉じ、圧力水ポンプ20を停止する。
3)圧搾の進行に伴い、ダイアフラム室12、13の内圧が1.4MPaに低下した時に、圧力水ポンプ20を駆動させ、圧力水弁21を開け、ダイアフラム室12、13の内圧を1.6MPaまで昇圧する。
4)ダイアフラム室12、13の内圧の変化に応じて、圧力水ポンプ20のON/OFF操作を繰返した後、圧力水弁21を閉じ、圧力水ポンプ20を停止する。ダイアフラム室の内圧を一定幅以内になるように調整し、長時間圧搾脱水時の圧力水ポンプ20の運転時間を短縮する。
C.残液戻し・ブロー
ダイアフラム室12、13の圧縮空気を利用して残液戻しをする。
D.排水/ダイアフラム室を大気開放して常圧にする。
本願発明はダイアフラム室12、13の内圧が1.6MPaに達した後、ダイアフラム室12、13の内圧の降圧に応じて空気圧縮機22を停止し、圧力水ポンプ20のON/OFFにより、ダイアフラム室12、13の内圧を一定値に維持するため、ポンプ運転時間が大幅に減少して節電になる。両端部の大容量ダイアフラムろ板6のダイアフラム室13を大きくすることにより、圧力水ポンプ20のON/OFF頻度を減少させることができ、圧力水ポンプ20のモーターの起動頻度が定格値以下になるようにすることができる
フイルタープレスの1500□×50C(ろ過面積180m2)を使用して、試算した。大容量ダイアフラムろ板は、圧力水ポンプのON/OFF頻度を考慮して、多数並列したダイアフラムろ板のダイアフラム室の全ろ室容積と同容量程度とし、一対の大容量ダイアフラム室の容積を1m3程度に設定した。
1.試算条件
濃度3%、ろ過速度1kg/m2h、使用フイルタープレス1500□×5 0C(180m2)として試算した。
2.サイクルタイム(50分)
・原液圧入―10分
・圧搾―30分
・雑―10分
3.ろ室容積(4.3m3
・ダイアフラム室―2.3m3
・大容量ダイアフラム室―2m3
4.圧搾時の圧搾流体容積
4−1)圧搾初期(圧搾空気8.5K
圧搾空気(8.5K)によりろ室容積の1/4のろ液が排出されるとす ると、8.5K/(2.3m3×1/4+2m3)=3.3m3(8.5 K時の空気量)
4−2)圧搾終期(圧搾16K
・空気容積3.3m3×8.5/16=1.75m3(16K時の空気量)
・脱水ケーキ容積 ろ室厚30mmに対しケーキ厚3mmとすると、
2.3m3×3/30=0.23m3(16K時のケーキ量)
・圧力水容積 (2.3+2)−(1.75+0.23)=2.32m3(16K時の圧力水量)
5.圧力水ポンプ運転時間
・ポンプ容量を0.2m3/分とすると,
2.32m3×1/0.2=11.6分/バッチ
即ち、圧力水ポンプの運転時間は、30分から11.6分に短縮できる。試 算結果を表1に示す。
6.脱水設備の使用電力試算
表1に示すように、補機を含めた設備の使用電力は、圧力水ポンプの運転時 間分だけ低減し、従来法に比べて74%の使用電力量となる。
この発明に係る大容量ダイアフラム内フイルタープレス並びにその圧搾ろ過方法は、並列したろ板とダイアフラムろ板の両端部に大容量ダイアフラムろ板を配設し、圧力水ポンプと空気圧縮機に連動させて圧力水弁と圧縮空気弁を制御してダイアフラム室の圧縮空気圧を操作するもので、長時間圧搾脱水の圧縮空気圧を加圧水で調整し、大容量のダイアフラム室の空気による圧搾時間を長くすることができ、圧力水ポンプの運転時間が半減してエネルギー費が節約できるもので、上水・工水スラッジ処理、及び化学工業、製紙パルプ工業等の各種生産プロセス等の中・長時間圧搾脱水処理を必要とするフイルタープレスに最適となる。
この発明に係る大容量ダイアフラム内フイルタープレスの側面図である。 同じく、並列するろ板とダイアフラムろ板の一部縦断斜視図である。 同じく、大容量ダイアフラムろ板を配設したフイルタープレスの概念図である。
符号の説明
4 ろ板
5 ダイアフラムろ板
6 大容量ダイアフラムろ板
6a ダイアフラム板
9 ろ過室
12、13 ダイアフラム室
14 支持板
15 圧搾水供給管
16 圧縮空気管
20 圧力水ポンプ
21 圧力水弁
23 圧縮空気弁
24 圧力制御器

Claims (4)

  1. 並列したろ板(4・・・)とダイアフラムろ板(5・・・)の両端部に圧縮空気溜りを大きくする大容量ダイアフラムろ板(6、6)を配設し、ろ板(4・・・)とダイアフラムろ板(5・・・)及び大容量ダイアフラムろ板(6、6)の間に形成したろ過室(9・・・)に原液を圧入して圧搾脱水するフイルタープレスにおいて、圧入工程でろ過室(9・・・)に原液を圧入してろ過を行った後、ダイアフラムろ板(5・・・)のダイアフラム室(12・・・)と大容量ダイアフラムろ板(6、6)のダイアフラム室(13、13)を圧縮空気により0.85MPa程度まで昇圧し、次に加圧水をダイアフラム室 (12、13・・・)に圧入して1.6MPaまで昇圧した後、加圧水の圧入を停止して、アキュームレータ機能によりろ過室(9・・・)の圧搾を維持すると共に、ダイアフラム室(12、13・・・)の圧搾圧が1.4MPaまで降下した時、再び加圧水を圧入して1.6MPaまで昇圧し、ろ過室(9・・・)の圧搾を継続させるダイアフラム圧搾工程としたことを特徴とする大容量ダイアフラム内臓フイルタープレスの圧搾ろ過方法。
  2. 多数のろ板(4・・・)とダイアフラムろ板(5・・・)を交互に並列し、ろ板(4)とダイアフラムろ板(5)間に形成されたろ過室(9)に原液を圧入してダイアフラムろ板(5)で圧搾脱水するフイルタープレスにおいて、並列したろ板(4・・・)とダイアフラムろ板(5・・・)の両端部に一対の大容量ダイアフラムろ板(6,6)を配設し、ダイアフラムろ板(5・・・)の全ろ室容積と大容量ダイアフラムろ板(6、6)の全ろ室容積を同容量程度とすると共に、ダイアフラムろ板(5)のダイアフラム室(12)と大容量ダイアフラムろ板(6)のダイアフラム室(13)に圧搾水供給管(15)と圧縮空気管(16)を接続し、ダイアフラム室(12、13)の内圧に連動させて、圧搾水供給管(15)に配設した圧力水ポンプ(20)の圧力水弁(21)と、圧縮空気管(16)に配設した空気圧縮機(22)の圧縮空気弁(23)を制御して、ダイアフラム室(12、13)の内圧を操作することを特徴とする大容量ダイアフラム内臓フイルタープレス。
  3. 上記大容量ダイアフラムろ板(6)のダイアフラム室(13)に支持板(14)を配設して、ダイアフラム(6a)が設定値以上に伸びないように芯板底部を底上げすることを特徴とする請求項2に記載の大容量ダイアフラム内臓フイルタープレス。
  4. 上記ろ過室(9)を形成するろ板(4)とダイアフラムろ板(5)を、両面ダイアフラムろ板で構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の大容量ダイアフラム内臓フイルタープレス。
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