JP2010027805A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、発光層にて一次光を発する発光素子に関し、特に、例えばセンサ用途等に用いられる発光素子に関する。
一般に、ダブルヘテロ構造を有する発光素子において、発光層で発生した一次光は、発光素子の表面だけではなく全方位に等方的に向かうこととなる。この発光素子の裏面に向かった一次光は、裏面電極または基板に吸収・散乱されて光出力には直接寄与せず、発光効率の低下を招いていた。
このような現象を抑制するため、基板と発光層との間に、一次光を反射する少なくとも1層からなる反射膜を設ける技術が開発されているが、一次光を完全に反射することは難しく、その一部は反射膜を透過して基板に達し、副次的に基板励起光を発する。この基板励起光は、一次光とは波長が異なるため、例えば、センサ用途に用いる場合、雑音となり、センサ動作の信頼性に対して悪影響を与えるおそれがあるという問題があった。また、基板励起光を吸収して抑制する場合、発光素子内に熱として蓄えられ、発光素子の信頼性に悪影響を与えるという問題があった。
そのため、特許文献1には、赤色発光ダイオードにおいて、基板と活性層との間に、活性層よりもAl組成が高い透過層を形成することにより、基板から発生する励起光の強度を制御する技術が開示されている。
また、特許文献2には、発光層と、発光層とは組成が異なる半導体との間に、反射層を設けることにより、半導体で発生した励起光が表面から取り出されることを抑制する技術が開示されている。
しかしながら、上記技術は、発生した励起光の強度を制御または抑制することを目的として開示されたものであるが、基板から発生する励起光のピーク強度を十分に抑制出来ていなかった。また、励起光の制御方法は、光エネルギーを吸収させて結果的に熱として蓄えるものであった。
本発明の目的は、一次光により基板から発生する励起光のピーク強度を低減することにより、励起光がセンサ動作の信頼性に与える悪影響を低減した発光素子を提供することにある。また、励起光を吸収することなくピーク強度を低減することで発光素子内に熱を発生させることがない、信頼性を向上させた発光素子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)基板と、該基板の上方に配設されて一次光を発する発光層と、前記基板と前記発光層との間に配設され、前記一次光を反射する少なくとも1層からなる反射膜とを具える発光素子であって、該発光素子は、前記基板と前記反射膜との間に配設される、2種以上の光分散層からなる光分散多層膜をさらに具え、該光分散多層膜は、前記反射膜を透過した一次光により励起される二次光を、複数の波長に多重分散させて放出することを特徴とする発光素子。
(1)基板と、該基板の上方に配設されて一次光を発する発光層と、前記基板と前記発光層との間に配設され、前記一次光を反射する少なくとも1層からなる反射膜とを具える発光素子であって、該発光素子は、前記基板と前記反射膜との間に配設される、2種以上の光分散層からなる光分散多層膜をさらに具え、該光分散多層膜は、前記反射膜を透過した一次光により励起される二次光を、複数の波長に多重分散させて放出することを特徴とする発光素子。
(2)前記光分散多層膜はAlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、前記AlxGa(1-x)As材料中のAl組成(x)は、前記基板側から前記反射膜側へ向かう前記光分散多層膜の厚さ方向に、低Al組成と高Al組成との間を複数回往復しながら連続的に変化させ、かつ、前記変化させる低Al組成および高Al組成の少なくとも一方のAl組成(x)および前記光分散層の厚みを、ステップ状に変化させてなる上記(1)に記載の発光素子。
(3)前記低Al組成と高Al組成のAl組成(x)の差は、前記基板側から前記反射膜側へ向かって複数周期ごとに順次小さくし、かつ前記光分散層の厚みは、前記基板側から前記反射膜側へ向かって複数周期ごとに順次大きくする上記(2)に記載の発光素子。
(4)前記光分散多層膜は、該光分散多層膜を透過して基板に達する一次光により励起された基板励起光を反射する上記(1)、(2)または(3)に記載の発光素子。
(5)前記光分散多層膜の厚さは、500〜1500nmである上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の発光素子。
本発明の発光素子は、基板と反射膜との間に配設される、2種以上の光分散層からなる光分散多層膜を具え、この光分散多層膜により、反射膜を透過した一次光により励起される二次光を、複数の波長に多重分散させて放出する、つまり、透過した一次光のエネルギーを複数の波長に分けて少しずつ励起−放出させて基板に届く光エネルギーを抑えることによって基板の励起を抑制し、光のピーク強度を低減させて、センサ動作の信頼性に与える悪影響を低減させ、さらに、励起光を吸収することなくピーク強度を低減することで発光素子内に熱を発生させることがない、信頼性を向上させた発光素子を提供することができる。
次に、本発明の発光素子の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に従う発光素子の断面構造を模式的に示したものである。なお、図中のハッチングは、説明のため、便宜上施したものである。
図1に示す発光素子1は、基板2と、基板2の上方に配設されて一次光を発する発光層3と、基板2と発光層3との間に配設され、一次光を反射する少なくとも1層からなる反射膜4とを具え、さらに、基板2と反射膜4との間に配設される、2種以上の光分散層からなる光分散多層膜5を具え、このような構成を採用することにより、反射膜4では完全に反射しきれずに反射膜4を透過した一次光により励起される二次光を、光分散多層膜5によって、複数の波長に多重分散させて放出することを可能にしたものである。
上記発光素子1は、基板2上に、少なくとも、光分散多層膜5、反射膜4および発光層3を、MOCVD法を用いてエピタキシャル成長させて形成される。図1は、GaAs基板2の上方に形成したInyGa(1-y)P量子井戸発光層3を、AlGaInPクラッド層6,7で挟んだダブルヘテロ構造の発光素子1を示したものである。MOCVD法による成膜方法は、化合物半導体を成膜する公知の方法を使用することができる。基板2には、面方位が(100)からのoff角が2°以上であるGaAs基板2を使用することができる。
また、図1には示されないが、発光層3付近に電流狭窄層を形成してもよい。この場合、電流狭窄層の電極面積は任意であり、必要に応じて、メサ形状にしたり、保護膜を付けたりすることもできる。また、電流狭窄層は、第一の導電型層またはドーピングを行わない層として成長させることができ、イオン注入法により高抵抗化すること、Zn拡散により所望の構造にすること、または、酸化層・酸化膜・窒化膜を形成することによっても得ることができる。
光分散多層膜5はAlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなるのが好ましい。AlGaAs系材料は、Al組成とGa組成を制御するのが容易であり、また、GaAs基板2との格子不整合度が小さく、屈折率、バンドギャップを幅広く選択することができるためである。さらに、屈折率はAl組成が高くなると小さくなるため、光学設計をするのが容易となり、再現性よく、設計通りに所望の構造を得ることができる。
また、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成(x)は、図2に一例として示されるように、基板2側から反射膜4側へ向かう光分散多層膜5の厚さ方向に、低Al組成と高Al組成との間を複数回往復しながら連続的に変化させ、かつ、変化させる低Al組成および高Al組成の少なくとも一方のAl組成および光分散層の厚みを、ステップ状に変化させてなるのが好ましい。なお、光分散層の厚みとは、図2において、例えば高Al組成−低Al組成−高Al組成で表される1サイクルの幅のことをいう。なお、図2中、縦軸は、AlxGa(1-x)As材料におけるAl組成(x)の割合(x=1を100%とし、x=0を0%とする。)を示し、横軸は、光分散多層膜5の、基板2側からの厚さを示す。
AlGaAs系材料は、Al組成(x)を高くすることで、間接遷移領域に近づき、発光効率を低下させることができる。一方、低Al組成部分は二次光を発生させるため、二次光の波長を決定する低Al組成の設計は特に重要となる。また、高Al組成は、低Al組成の領域で十分にキャリアを閉じ込め、効率よく二次光を起こすことができるよう設計することが重要となる。したがって、高Al組成の設計は、例えばx=0.9〜1.0の範囲で固定するのが好ましい。この時例えば、量子井戸のように低Al組成と高Al組成を繰り返すと、量子井戸の閉じ込めが強く、発光効率が高くなるため、層数が少なくても強い二次発光が発生してしまう。したがって、低Al組成の閉じ込め構造には、若干発光効率が落ちた構造を用いるのが好ましい。例えば、低Al組成と高Al組成との間を連続的に変化させた閉じ込め構造を用いると、量子井戸よりは発光効率が落ちるが、二次発光を発生させるには十分な発光効率が得られる。
さらに、低Al組成と高Al組成のAl組成(x)の差は、図2に示されるように、基板2側から反射膜4側へ向かって複数周期ごとに順次小さくし、かつ光分散層の厚みは、基板2側から反射膜4側へ向かって複数周期ごとに順次大きくするのが好ましい。Al組成の高い層は、間接遷移領域に近づき発光効率が落ちるが、発光層に近づけることで、効率的に、吸収、励起、二次光を発生させることができ、その積層数を適宜調整することで、二次光強度を調節することができるためである。また、発光層から遠ざかるにつれ、透過する光の強度が落ち、すなわち二次光の励起強度は落ちるが、二次光を起こす部分のAl組成を下げることで直接遷移領域に近づき、発光効率は上がり、また、積層数を調整することで、二次光強度を調節することができる。したがって、活性層の発光波長に対して、波長を順次長くしていくことで、二次励起領域を複数設定できることが可能となるとともに、二次励起に伴う発熱を抑え、光エネルギーの状態で放出できる。これにより、二次励起光を、問題にならない弱い強度で、複数の波長に分けて発散させることができる。なお、Al組成(x)の差を小さくする方法として、高Al組成のみを順次小さくしていく場合、高Al組成を順次小さくし、かつ低Al組成を順次大きくしていく場合、低Al組成のみを順次大きくしていく場合の3通りが挙げられる。高Al組成のみを順次小さくしていく場合は、二次発光を起こす低Al組成が一つに決まり、二次発光を十分に弱くすることができない。また、高Al組成を順次小さくし、かつ低Al組成を順次大きくしていく場合、低Al組成が大きくなっていき発光効率の落ちていく時に、高Al組成が小さくなってくると、閉じ込め効果が弱くなり、効果的に二次発光を起こすことが難しくなる。したがって、低Al組成のみを順次大きくしていくのが好ましい。
光分散多層膜5は、この光分散多層膜5を透過して基板2に達する一次光により励起された基板励起光を反射するのが好ましい。屈折率の平均値(=(低Al側屈折率+高Al側屈折率)/2)をとり、膜厚による光学設計をする(ブラッグの反射式d=λ/4nを用いる)ことで、基板励起光を反射する反射層として機能させることが可能になる。例えば、GaAs基板の場合は、基板励起光の波長870nmに対して反射層として機能するように、AlGaAsのAl組成x=1→0→1の1周期を例に取ると、1周期の厚みを65.9nmとすることで、870nmに対する反射効果が期待できる。これは、GaAsの屈折率が3.6、AlAsの屈折率が3.0、平均屈折率が3.3であり、d=870/(4*3.3)=65.9nmとなることによる。これにより、信号光への雑音をさらに減少させることができる。
光分散多層膜5の厚さは、500〜1500nmとすることができる。この厚さは、光分散層の積層数と関係し、この積層数は、高Al組成−低Al組成−高Al組成の繰り返し積層数が2〜5周期となるのが好ましい。1周期では、特に低Al組成の中でも、Al組成が高く、発光効率が低下する組成となると、励起強度が落ち、十分に分散出来るレベルの二次発光強度を得られないためである。また、6周期以上では、その積層した低Al組成に対応する波長での二次発光強度が大きくなりすぎるためである。
なお、図1および図2は、代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
(実施例1)
MOCVD法により、GaAs基板(Siドープ、面方位:(100)15°off、厚さ:350μm)上に光分散多層膜(831.5nm、ドーパントSe)、n−反射膜(厚さ:1.8μm、Al0.45Ga0.55As(42.3nm)/AlAs(47.3nm)の20回繰り返し層、ドーパントSe)、n−クラッド層(厚さ:90nm、Al0.5In0.5P、ドーパントSe)、発光層(厚さ:84nm、InyGa(1-y)P(y=0.53)、アンドープ)、p−クラッド層(厚さ:180nm、Al0.5In0.5P、ドーパントMg)、p−反射層(厚さ:0.9μm、Al0.45Ga0.55As(42.3nm)/AlAs(47.3nm)の10回繰り返し層、ドーパントC)を順次成長させて本発明に従う発光素子(総厚(基板除く):3.9μm)を形成した。p−反射層は、n−反射層と垂直共振器を形成し、発光スペクトルを狭く、よりセンサ用途に好適にするために挿入している。
MOCVD法により、GaAs基板(Siドープ、面方位:(100)15°off、厚さ:350μm)上に光分散多層膜(831.5nm、ドーパントSe)、n−反射膜(厚さ:1.8μm、Al0.45Ga0.55As(42.3nm)/AlAs(47.3nm)の20回繰り返し層、ドーパントSe)、n−クラッド層(厚さ:90nm、Al0.5In0.5P、ドーパントSe)、発光層(厚さ:84nm、InyGa(1-y)P(y=0.53)、アンドープ)、p−クラッド層(厚さ:180nm、Al0.5In0.5P、ドーパントMg)、p−反射層(厚さ:0.9μm、Al0.45Ga0.55As(42.3nm)/AlAs(47.3nm)の10回繰り返し層、ドーパントC)を順次成長させて本発明に従う発光素子(総厚(基板除く):3.9μm)を形成した。p−反射層は、n−反射層と垂直共振器を形成し、発光スペクトルを狭く、よりセンサ用途に好適にするために挿入している。
光分散多層膜は、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図3に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成が、基板側から反射膜側へ向かう光分散多層膜の厚さ方向に、低Al組成と高Al組成との間を複数回往復しながら連続的に変化し、かつ、変化させる低Al組成および高Al組成の少なくとも一方のAl組成および光分散層の厚みを、ステップ状に変化するよう形成し、さらに、低Al組成と高Al組成の差は、基板側から反射膜側へ向かって、図3に示すように順次小さく、かつ光分散層の厚みは、基板側から反射膜側へ向かって、図3に示すように順次大きくなるよう形成した。この組成パターンは、MOCVD装置における原料ガス流量を制御するマスフローメーターの流量設定を連続的に変化させて形成することができる。また、光分散多層膜は、この光分散多層膜を透過して基板に達する一次光により励起された基板励起光の強度が大きい波長域を反射するよう形成した。なお、図3中、縦軸は、AlxGa(1-x)As材料におけるAl組成の割合(x=1を100%とし、x=0を0%とする。)を示し、横軸は、光分散多層膜5の、基板2側からの厚さを示す。
図3において、Al組成は、低Al組成が、0%×2、10%×3、20%×3、30%×4サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、65.9nm、67.8nm、69.8nm、71.7nmとした。なお、左端の低Al組成0%→高Al組成100%(32.9nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成30%(35.9nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。
各層をエピタキシャル成長した後、基板裏面にN電極(AuGeNi合金、厚さ0.2μm)を形成し、エピタキシャル成長表面に、φ130μmのP丸電極(AuZn合金+Ti/Au合金、厚さ:0.8μm+1μm)を形成した。そして、チップを□300μmサイズにダイシングし、LEDチップを形成した。このLEDチップの発光スペクトルを後述する方法で評価した。また、これとは別に、基板上に光分散多層膜のみを成長し、PL測定を行った。
(実施例2)
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図4に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、0%×2、10%×2、15%×2、20%×2、25%×3、30%×4、35%×5サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、65.9nm、67.8nm、68.8nm、69.8nm、70.7nm、71.7nm、72.7nmとしたこと以外は、実施例1と同様の発光素子を作成した。なお、左端の低Al組成0%→高Al組成100%(32.9nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成35%(36.4nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。また、これとは別に、基板上に光分散多層膜のみを成長し、PL測定を行った。
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図4に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、0%×2、10%×2、15%×2、20%×2、25%×3、30%×4、35%×5サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、65.9nm、67.8nm、68.8nm、69.8nm、70.7nm、71.7nm、72.7nmとしたこと以外は、実施例1と同様の発光素子を作成した。なお、左端の低Al組成0%→高Al組成100%(32.9nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成35%(36.4nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。また、これとは別に、基板上に光分散多層膜のみを成長し、PL測定を行った。
(比較例1)
光分散多層膜を形成しないこと以外は、実施例1と同様の発光素子(総厚:(基板除く)4.5μm)を形成した。
光分散多層膜を形成しないこと以外は、実施例1と同様の発光素子(総厚:(基板除く)4.5μm)を形成した。
(比較例2)
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図5に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、0%×1、10%×1、15%×1、20%×1、25%×1、30%×1、35×1サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、65.9nm、67.8nm、68.8nm、69.8nm、70.7nm、71.7nm、72.7nmとした光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVD法を用いて成長し、PL測定を行った。なお、左端の低Al組成0%→高Al組成100%(32.9nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成35%(36.4nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図5に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、0%×1、10%×1、15%×1、20%×1、25%×1、30%×1、35×1サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、65.9nm、67.8nm、68.8nm、69.8nm、70.7nm、71.7nm、72.7nmとした光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVD法を用いて成長し、PL測定を行った。なお、左端の低Al組成0%→高Al組成100%(32.9nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成35%(36.4nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。
(比較例3)
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図6に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、35%×5、30%×4、25%×3、20%×2、15%×2、10%×2、0%×2サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、72.7nm、71.7nm、70.7nm、69.8nm、68.8nm、67.8nm、65.9nmとした光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVD法を用いて成長し、PL測定を行った。なお、左端の低Al組成35%→高Al組成100%(36.4nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成0%(32.9nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、図6に示すように、AlxGa(1-x)As材料中のAl組成は、低Al組成が、35%×5、30%×4、25%×3、20%×2、15%×2、10%×2、0%×2サイクルとなるよう設計し、各サイクルの厚さは、基板励起光の波長870nmに対し反射するよう、72.7nm、71.7nm、70.7nm、69.8nm、68.8nm、67.8nm、65.9nmとした光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVD法を用いて成長し、PL測定を行った。なお、左端の低Al組成35%→高Al組成100%(36.4nm)と、右端の高Al組成100%→低Al組成0%(32.9nm)は、閉じ込めの効果がないためペア数にカウントしないものとする。
(比較例4)
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、このAlxGa(1-x)As材料中のAl組成を、図7に示すよう、高Al組成および低Al組成いずれも変化しないよう設定した光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVDを用いて成長し、PL測定を行った。
光分散多層膜が、AlxGa(1-x)As材料(0≦x≦1)からなり、このAlxGa(1-x)As材料中のAl組成を、図7に示すよう、高Al組成および低Al組成いずれも変化しないよう設定した光分散多層膜を実施例1と同様の基板上にMOCVDを用いて成長し、PL測定を行った。
(評価1)
上記実施例1〜2および比較例1の発光素子について、発光スペクトル測定を行った。この測定は、スペクトルアナライザ(大塚電子社製 MCPD-3000)を用いて行ったものである。
上記実施例1〜2および比較例1の発光素子について、発光スペクトル測定を行った。この測定は、スペクトルアナライザ(大塚電子社製 MCPD-3000)を用いて行ったものである。
図8および図9に、それぞれ、実施例1および比較例1、実施例2および比較例1の測定結果のグラフを示す。図中、横軸は波長(nm)であり、縦軸は、発光ピーク値を1としたときの、光の強度(arbitrary unit)を表す。また、図8(b)および図9(b)は、それぞれ図8(a)および図9(a)の波長範囲:650〜1000nmを拡大し、縦軸を対数表示したものである。
また、表1に、実施例1〜2および比較例1の、積分球による全出力:Po(mW)、順方向電圧:Vf(V)、発光スペクトル測定による一次光の中心波長:λp(nm)および一次光に対する二次光の強度の割合((二次光のピーク強度)/(一次光のピーク強度)):IR(%)を示す。これらは、LEDチップをTO-18にマウントし、PoとVfは直流20mA、λpとIRは直流5mAを通電したときの値である。測定は、スペクトルアナライザ(大塚電子社製 MCPD-3000)を用いて行った。
図8、図9および表1の結果より、比較例1では波長850nm付近の位置にピークが見られるのに対し、実施例1および実施例2ではピークの高さが低く、ブロード状で、二次光を効果的に分散できていることがわかる。また、実施例1および実施例2では、比較例1と比較して、二次光強度の割合も非常に小さくなっていることがわかる。
(評価2)
上記実施例1、2および比較例1〜4の光分散多層膜のみを成長したサンプルについて、PLスペクトル測定(PHILIPS社製PLM-100)を行った。光源には、D-YAG(YAGの2倍波:Double YAG)レーザー(波長532nm)を用い、サンプルに垂直に入射させた。
上記実施例1、2および比較例1〜4の光分散多層膜のみを成長したサンプルについて、PLスペクトル測定(PHILIPS社製PLM-100)を行った。光源には、D-YAG(YAGの2倍波:Double YAG)レーザー(波長532nm)を用い、サンプルに垂直に入射させた。
図10〜図15に、それぞれ、上記実施例1〜2および比較例1〜4の測定結果のグラフを示す。図中、横軸は波長(nm)であり、縦軸は強度を表す。これら結果より、実施例1〜2のPLスペクトルの強度は、比較例1〜4のPLスペクトルの強度と比較して、10倍以上も小さく、また、発光ピーク波長も複数に分散できていることがわかる。この結果より、比較例2〜4の光分散多層膜を用いた発光素子では、十分に二次光を抑制かつ分散させることができないことが容易に予想される。
本発明の発光素子は、基板と反射膜との間に配設される、2種以上の光分散層からなる光分散多層膜を具え、この光分散多層膜により、反射膜を透過した一次光により励起される二次光を、複数の波長に多重分散させて放出することによって、一次光による基板の励起を抑制し、信号光への雑音を減少させることができる。
1 発光素子
2 基板
3 発光層
4 反射膜
5 光分散多層膜
6 クラッド層
7 クラッド層
2 基板
3 発光層
4 反射膜
5 光分散多層膜
6 クラッド層
7 クラッド層
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