JP2004304049A - 発光ダイオード - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードの提供。
【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオード。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオード。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードに関するもので、特に、高い反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、AlGaInP系エピタキシャルウエハを用いて製造される高輝度の赤色から緑色の発光ダイオードの需要が大幅に伸びている。主な需要は、携帯電話の液晶用バックライト、表示灯、交通用信号灯、自動車のブレーキランプ等である。
【0003】
AlGaInPは、窒化物を除くIII/V族化合物半導体の中で最大のバンドギャップを有する直接遷移型半導体であり、従来のGaPやAlGaAs等の間接遷移型半導体を用いた発光ダイオードと比較して、赤色から緑色に相当する可視波長域において高輝度の発光が可能である。
【0004】
現在一般に製造販売されている高輝度発光ダイオードの内部量子効率(電気を光に変換する効率)は極めて高い値にあり、これまで以上の高輝度化を求めるには、内部量子効率よりも外部量子効率(発光した光を発光ダイオードチップから外部へ取り出す効率)の向上が効果的である。
【0005】
AlGaInP系発光ダイオードにおいて、基板と活性層との間に、光取り出し効率を上げるため屈折率の異なる2半導体材料を組み合わせた光反射層を備えるものがある(例えば、特許文献1、2)。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−114277号公報
【特許文献2】
特開平7−86638号公報
【0007】
従来から知られている赤色帯のAlGaInP系発光ダイオードの代表的な構造を図5に示す。n型GaAs基板51の上にn型GaAsバッファ層52を成長させ、その上にn型光反射層53が積層されている。n型光反射層53は、活性層55からn型GaAs基板51側に向かう光を反対方向へ反射する役割を担い、これにより、光がn型GaAs基板51に吸収されることなく外部に放出され、外部量子効率を高めることができる。なお、図5において、54はn型AlGaInPクラッド層、56はp型AlGaInPクラッド層、57はp型GaP電流分散層、58はp側電極、59はn側電極である。また、n型バッファ層52からp型電流分散層57までは、有機金属気相成長法(MOVPE法)によりエピタキシャル成長させて形成されている。
【0008】
ここで、n型光反射層53としては、屈折率の異なる材料を一層ずつ組み合わせ、これを1ペアとして複数ペア積層することにより、光反射率を向上させることができる。例えば、屈折率の異なる二つの半導体材料AとBの屈折率をそれぞれnA、nBとすると、A層およびB層の膜厚は、発光波長λに対して、λ/4nA 、λ/4nBと表わされる。そして、半導体材料AおよびBの屈折率nA、nBの差が大きい程高い反射率を得ることができる。このような高い屈折率差を実現できる材料として、AlInPおよびGaAsをあげることができる。Al0.5In0.5Pの屈折率は約3.11であり、GaAsの屈折率は約3.85であるので、その差は0.74である。従来、光反射層として一般的に使用されてきたAl0.5In0.5P層(屈折率約3.11)と(Al0.4Ga0.6)0.5In0.5P層(屈折率約3.38)をペアとする層の屈折率差は、0.27であり、Al0.5In0.5P層とGaAs層をペアとする光反射層の屈折率差は極めて大きいことが理解できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、AlInP層とGaAs層をペアとする光反射層、特に、GaAs層をペアの一方に用いた光反射層においては、次のような問題があることがわかった。すなわち、活性層55から放射された光(以下、「第一放射光」という)は、n型GaAs基板51およびn型光反射層53側へ向かい、その殆どはn型反射層53によって反射される。このうち、n型反射層53を構成するAlInP層とGaAs層のペア層におけるGaAs層が第一放射光によって光励起され、GaAs層のバンドギャップに相当する光(以下、「第二放射光」という)を放出する。このように、光反射層を形成するペアの一方にGaAs層を用いた発光ダイオードでは、活性層のバンドギャップに相当する波長域の光に加え、GaAsのバンドギャップに相当する波長域の光、つまり、赤外光を同時に放出することになる。したがって、このような発光ダイオードの周囲に存在する一般的な半導体フォトダイオードにおいては、発光ダイオードから放射させる赤外光に反応し、誤動作を招く可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、上記した問題を解決し、高い光反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオードを提供する。
【0012】
本発明において、第一光反射層は、活性層から半導体基板側に向かって放射された第一放射光を反射するもので、これによって、高輝度発光ダイオードを実現できるようになる。また、第二光反射層は、半導体基板および第一光反射層から放射される第二放射光(赤外光)を半導体基板側に反射するもので、これによって、赤外光が外部に放出されるのを抑止することができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の発光ダイオードの一実施の形態を図1に示す。n型GaAs基板1上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層2、n型第一光反射層3、n型第二光反射層4、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層6、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層7、p型GaP電流分散層8を順次成長させたエピタキシャル層が形成されている。n型GaAs基板1の裏面にはn側電極10が、p型GaP電流分散層8の表面側にはp側電極9がそれぞれ形成されて発光ダイオードが構成されている。
【0014】
n型第一反射層3は、活性層6からGaAs基板1側に向かって放射された第一反射光を反射するもので、高出力(高輝度)の発光ダイオードを得るには、第一反射光に対して高い光反射率を示すことが要求される。n型第一光反射層3をAlInP層とGaAs層をペアとした積層構造としたした場合、ペア数と第一放射光反射率の関係は図3に示す通りである。充分な光反射効果を達成するためには、n型第一光反射層3は、5ペア以上の積層構造とすることが好ましい。
【0015】
n型第二光反射層4は、GaAs基板1およびGaAs層を含むn型第一光反射層3から放射される第二放射光(赤外光)をGaAs基板側に反射するものである。n型第二光反射層4をAlInP層とAlGaInP層をペアとした積層構造とした場合、ペア数と第一放射光/第二放射光の強度比の関係は図4に示す通りである。1ペア積層以上であれば、第一放射光/第二放射光の強度比を約半分(約50%)以上にできる。なお、第二放射光の光反射率はn型第二光反射層4のペア数が増加すると共に増加するので、第二放射光を抑止するには、ペア数を増加すれば良い。しかし、製造コストとの関係から15ペア以下とするのが好ましい。
【0016】
(従来例)
図5に示した構造の発光波長630nm付近の赤色帯発光ダイオードを製作した。n型GaAs基板51上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層52、n型光反射層53、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層54、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層55、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層56、p型GaP電流分散層57を順次成長させた。なお、n型光反射層53は、n型AlInP層(厚さ約50nm)とn型GaAs層(厚さ約40nm)をペアとして10ペア積層した構造とした。
【0017】
このエピタキシャルウエハの上面には直径125μmの円形のp側電極58をマトリックス状に蒸着で形成した。p側電極58は、金・亜鉛、ニッケル、金の順にそれぞれ厚さ60nm、10nm、1000nmに蒸着した。さらに、エピタキシャルウエハの底面には全面にn側電極59を形成した。n側電極59は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を順次それぞれ厚さ60nm、10nm、500nmに蒸着した。その後、電極の合金化(アロイ)を窒素ガス雰囲気中、温度400℃で5分間行った。その後、この電極付きエピタキシャルウエハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状加工し、さらに、ダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードを製作した。
【0018】
この発光ダイオードの発光スペクトルを測定した結果、630nmと870nm近傍に発光を観測した。発光スペクトルの測定結果は、図6に示す通りであり、強度比は、630nm:870nm=14:1であり、非常に強い赤外発光が起きていることが確認された。さらに、発光ダイオードのLED特性を調べた結果、発光出力は2.6mW、順方向動作電圧(20mA通電時)は、1.95Vであった。
【0019】
(実施例)
図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色帯発光ダイオードを製作した。n型GaAs基板1上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層2、n型第一光反射層3、n型第二光反射層4、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層6、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層7、p型GaP電流分散層8を順次成長させた。なお、n型第一光反射層3は、n型AlInP層(厚さ約50nm)とn型GaAs層(厚さ約40nm)をペアとして10ペア積層した構造とした。また、n型第二光反射層4は、n型AlInP層(厚さ約70nm)とn型AlGaInP層(厚さ約54nm)をペアとして5ペア積層した構造とした。
【0020】
このエピタキシャルウエハの上面には直径125μmの円形のp側電極9をマトリックス状に蒸着で形成した。p側電極9は、金・亜鉛、ニッケル、金の順にそれぞれ厚さ60nm、10nm、1000nmに蒸着した。さらに、エピタキシャルウエハの底面には全面にn側電極10を形成した。n側電極10は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を順次それぞれ厚さ60nm、10nm、500nmに蒸着した。その後、電極の合金化(アロイ)を窒素ガス雰囲気中、温度400℃で5分間行った。その後、この電極付きエピタキシャルウエハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状加工し、さらに、ダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードを製作した。
【0021】
この発光ダイオードの発光スペクトルを測定した結果、630nm近傍に強い発光を、870nm近傍に極めて微弱な発光を観測した。発光スペクトルの測定結果は、図2に示す通りであり、強度比は、630nm:870nm=96:1であり、GaAs基板および第一光反射層中のGaAs層による赤外発光が抑制されていることが確認された。さらに、発光ダイオードのLED特性を調べた結果、発光出力は2.43mW、順方向動作電圧(20mA通電時)は、1.96Vであった。従来例と比較して発光出力が若干低下しているが、これは、外部に放出される赤外光が減少したためである。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたとおり、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオードを提供するものであり、高い光反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオードの一実施の形態の説明図。
【図2】実施例で製作した発光ダイオードの発光スペクトルの測定結果。
【図3】630nm帯赤色発光ダイオードにおける第一光反射層のペア数と第一放射光反射率の関係を表わすグラフ。
【図4】第二光反射層のペア数と第一放射光/第二放射光の強度比の関係を表わすグラフ。
【図5】従来の発光ダイオードの説明図。
【図6】従来例で製作した発光ダイオードの発光スペクトルの測定結果。
【符号の説明】
1:n型GaAs基板
2:n型GaAsバッファ層
3:n型第一光反射層
4:n型第二光反射層
5:n型AlGaInPクラッド層
6:アンドープAlGaInP活性層
7:p型AlGaInPクラッド層
8:p型GaP電流分散層
9:p側電極
10:n側電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードに関するもので、特に、高い反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、AlGaInP系エピタキシャルウエハを用いて製造される高輝度の赤色から緑色の発光ダイオードの需要が大幅に伸びている。主な需要は、携帯電話の液晶用バックライト、表示灯、交通用信号灯、自動車のブレーキランプ等である。
【0003】
AlGaInPは、窒化物を除くIII/V族化合物半導体の中で最大のバンドギャップを有する直接遷移型半導体であり、従来のGaPやAlGaAs等の間接遷移型半導体を用いた発光ダイオードと比較して、赤色から緑色に相当する可視波長域において高輝度の発光が可能である。
【0004】
現在一般に製造販売されている高輝度発光ダイオードの内部量子効率(電気を光に変換する効率)は極めて高い値にあり、これまで以上の高輝度化を求めるには、内部量子効率よりも外部量子効率(発光した光を発光ダイオードチップから外部へ取り出す効率)の向上が効果的である。
【0005】
AlGaInP系発光ダイオードにおいて、基板と活性層との間に、光取り出し効率を上げるため屈折率の異なる2半導体材料を組み合わせた光反射層を備えるものがある(例えば、特許文献1、2)。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−114277号公報
【特許文献2】
特開平7−86638号公報
【0007】
従来から知られている赤色帯のAlGaInP系発光ダイオードの代表的な構造を図5に示す。n型GaAs基板51の上にn型GaAsバッファ層52を成長させ、その上にn型光反射層53が積層されている。n型光反射層53は、活性層55からn型GaAs基板51側に向かう光を反対方向へ反射する役割を担い、これにより、光がn型GaAs基板51に吸収されることなく外部に放出され、外部量子効率を高めることができる。なお、図5において、54はn型AlGaInPクラッド層、56はp型AlGaInPクラッド層、57はp型GaP電流分散層、58はp側電極、59はn側電極である。また、n型バッファ層52からp型電流分散層57までは、有機金属気相成長法(MOVPE法)によりエピタキシャル成長させて形成されている。
【0008】
ここで、n型光反射層53としては、屈折率の異なる材料を一層ずつ組み合わせ、これを1ペアとして複数ペア積層することにより、光反射率を向上させることができる。例えば、屈折率の異なる二つの半導体材料AとBの屈折率をそれぞれnA、nBとすると、A層およびB層の膜厚は、発光波長λに対して、λ/4nA 、λ/4nBと表わされる。そして、半導体材料AおよびBの屈折率nA、nBの差が大きい程高い反射率を得ることができる。このような高い屈折率差を実現できる材料として、AlInPおよびGaAsをあげることができる。Al0.5In0.5Pの屈折率は約3.11であり、GaAsの屈折率は約3.85であるので、その差は0.74である。従来、光反射層として一般的に使用されてきたAl0.5In0.5P層(屈折率約3.11)と(Al0.4Ga0.6)0.5In0.5P層(屈折率約3.38)をペアとする層の屈折率差は、0.27であり、Al0.5In0.5P層とGaAs層をペアとする光反射層の屈折率差は極めて大きいことが理解できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、AlInP層とGaAs層をペアとする光反射層、特に、GaAs層をペアの一方に用いた光反射層においては、次のような問題があることがわかった。すなわち、活性層55から放射された光(以下、「第一放射光」という)は、n型GaAs基板51およびn型光反射層53側へ向かい、その殆どはn型反射層53によって反射される。このうち、n型反射層53を構成するAlInP層とGaAs層のペア層におけるGaAs層が第一放射光によって光励起され、GaAs層のバンドギャップに相当する光(以下、「第二放射光」という)を放出する。このように、光反射層を形成するペアの一方にGaAs層を用いた発光ダイオードでは、活性層のバンドギャップに相当する波長域の光に加え、GaAsのバンドギャップに相当する波長域の光、つまり、赤外光を同時に放出することになる。したがって、このような発光ダイオードの周囲に存在する一般的な半導体フォトダイオードにおいては、発光ダイオードから放射させる赤外光に反応し、誤動作を招く可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、上記した問題を解決し、高い光反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオードを提供する。
【0012】
本発明において、第一光反射層は、活性層から半導体基板側に向かって放射された第一放射光を反射するもので、これによって、高輝度発光ダイオードを実現できるようになる。また、第二光反射層は、半導体基板および第一光反射層から放射される第二放射光(赤外光)を半導体基板側に反射するもので、これによって、赤外光が外部に放出されるのを抑止することができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の発光ダイオードの一実施の形態を図1に示す。n型GaAs基板1上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層2、n型第一光反射層3、n型第二光反射層4、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層6、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層7、p型GaP電流分散層8を順次成長させたエピタキシャル層が形成されている。n型GaAs基板1の裏面にはn側電極10が、p型GaP電流分散層8の表面側にはp側電極9がそれぞれ形成されて発光ダイオードが構成されている。
【0014】
n型第一反射層3は、活性層6からGaAs基板1側に向かって放射された第一反射光を反射するもので、高出力(高輝度)の発光ダイオードを得るには、第一反射光に対して高い光反射率を示すことが要求される。n型第一光反射層3をAlInP層とGaAs層をペアとした積層構造としたした場合、ペア数と第一放射光反射率の関係は図3に示す通りである。充分な光反射効果を達成するためには、n型第一光反射層3は、5ペア以上の積層構造とすることが好ましい。
【0015】
n型第二光反射層4は、GaAs基板1およびGaAs層を含むn型第一光反射層3から放射される第二放射光(赤外光)をGaAs基板側に反射するものである。n型第二光反射層4をAlInP層とAlGaInP層をペアとした積層構造とした場合、ペア数と第一放射光/第二放射光の強度比の関係は図4に示す通りである。1ペア積層以上であれば、第一放射光/第二放射光の強度比を約半分(約50%)以上にできる。なお、第二放射光の光反射率はn型第二光反射層4のペア数が増加すると共に増加するので、第二放射光を抑止するには、ペア数を増加すれば良い。しかし、製造コストとの関係から15ペア以下とするのが好ましい。
【0016】
(従来例)
図5に示した構造の発光波長630nm付近の赤色帯発光ダイオードを製作した。n型GaAs基板51上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層52、n型光反射層53、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層54、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層55、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層56、p型GaP電流分散層57を順次成長させた。なお、n型光反射層53は、n型AlInP層(厚さ約50nm)とn型GaAs層(厚さ約40nm)をペアとして10ペア積層した構造とした。
【0017】
このエピタキシャルウエハの上面には直径125μmの円形のp側電極58をマトリックス状に蒸着で形成した。p側電極58は、金・亜鉛、ニッケル、金の順にそれぞれ厚さ60nm、10nm、1000nmに蒸着した。さらに、エピタキシャルウエハの底面には全面にn側電極59を形成した。n側電極59は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を順次それぞれ厚さ60nm、10nm、500nmに蒸着した。その後、電極の合金化(アロイ)を窒素ガス雰囲気中、温度400℃で5分間行った。その後、この電極付きエピタキシャルウエハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状加工し、さらに、ダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードを製作した。
【0018】
この発光ダイオードの発光スペクトルを測定した結果、630nmと870nm近傍に発光を観測した。発光スペクトルの測定結果は、図6に示す通りであり、強度比は、630nm:870nm=14:1であり、非常に強い赤外発光が起きていることが確認された。さらに、発光ダイオードのLED特性を調べた結果、発光出力は2.6mW、順方向動作電圧(20mA通電時)は、1.95Vであった。
【0019】
(実施例)
図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色帯発光ダイオードを製作した。n型GaAs基板1上に、MOVPE法でn型GaAsバッファ層2、n型第一光反射層3、n型第二光反射層4、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層6、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層7、p型GaP電流分散層8を順次成長させた。なお、n型第一光反射層3は、n型AlInP層(厚さ約50nm)とn型GaAs層(厚さ約40nm)をペアとして10ペア積層した構造とした。また、n型第二光反射層4は、n型AlInP層(厚さ約70nm)とn型AlGaInP層(厚さ約54nm)をペアとして5ペア積層した構造とした。
【0020】
このエピタキシャルウエハの上面には直径125μmの円形のp側電極9をマトリックス状に蒸着で形成した。p側電極9は、金・亜鉛、ニッケル、金の順にそれぞれ厚さ60nm、10nm、1000nmに蒸着した。さらに、エピタキシャルウエハの底面には全面にn側電極10を形成した。n側電極10は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を順次それぞれ厚さ60nm、10nm、500nmに蒸着した。その後、電極の合金化(アロイ)を窒素ガス雰囲気中、温度400℃で5分間行った。その後、この電極付きエピタキシャルウエハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状加工し、さらに、ダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードを製作した。
【0021】
この発光ダイオードの発光スペクトルを測定した結果、630nm近傍に強い発光を、870nm近傍に極めて微弱な発光を観測した。発光スペクトルの測定結果は、図2に示す通りであり、強度比は、630nm:870nm=96:1であり、GaAs基板および第一光反射層中のGaAs層による赤外発光が抑制されていることが確認された。さらに、発光ダイオードのLED特性を調べた結果、発光出力は2.43mW、順方向動作電圧(20mA通電時)は、1.96Vであった。従来例と比較して発光出力が若干低下しているが、これは、外部に放出される赤外光が減少したためである。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたとおり、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えた発光ダイオードを提供するものであり、高い光反射率を有する光反射層を備え、かつ光反射層から発光される光が外部に放出されるのを抑止することで、発光ダイオードの周囲で使用されるフォトダイオードなどの光センサ類の誤動作を防止できる高輝度発光ダイオードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオードの一実施の形態の説明図。
【図2】実施例で製作した発光ダイオードの発光スペクトルの測定結果。
【図3】630nm帯赤色発光ダイオードにおける第一光反射層のペア数と第一放射光反射率の関係を表わすグラフ。
【図4】第二光反射層のペア数と第一放射光/第二放射光の強度比の関係を表わすグラフ。
【図5】従来の発光ダイオードの説明図。
【図6】従来例で製作した発光ダイオードの発光スペクトルの測定結果。
【符号の説明】
1:n型GaAs基板
2:n型GaAsバッファ層
3:n型第一光反射層
4:n型第二光反射層
5:n型AlGaInPクラッド層
6:アンドープAlGaInP活性層
7:p型AlGaInPクラッド層
8:p型GaP電流分散層
9:p側電極
10:n側電極
Claims (4)
- 半導体基板と、前記半導体基板の主面上に設けられた光反射層と、前記光反射層の上に成長されたpn接合を有する活性層を含む発光部と、前記発光部の上に形成された表面電極と、前記半導体基板の裏面に形成された電極とを有する発光ダイオードにおいて、前記光反射層は、前記発光部から放射される波長の光を反射する第一光反射層と、前記発光部から放射される波長以外の光を反射する第二光反射層を備えたことを特徴とする発光ダイオード。
- 前記半導体基板がGaAsであり、前記発光部を構成する主たる材料が、(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)であり、前記第一光反射層はGaAs層を含み、前記第二光反射層は(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)層を含んでいる請求項1記載の発光ダイオード。
- 前記第二光反射層の膜厚は、前記半導体基板または前記第一光反射層に含まれるGaAsのバンドギャップに相当する赤外光を反射する厚さである請求項1記載の発光ダイオード。
- 前記第一光反射層は、AlXIn1−XP(0≦X≦1)層とGaAs層を1ペアとして少なくとも5ペア以上積層して構成され、前記第二光反射層は、AlXIn1−XP(0≦X≦1)層と(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)層を1ペアとして少なくとも1ペア以上積層して構成されていている請求項2記載の発光ダイオード。
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