JP2010024083A - 水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法 - Google Patents

水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度であり、リチウムイオン電池正極材料の原料として用いたとき安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物が得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】特定の組成を有するニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウム被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽でニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽でニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法に関し、さらに詳しくは、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、かつ高密度であり、リチウムイオン電池正極材料の原料として用いたとき安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物が得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を効率的に製造する方法に関する。なお、本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を原料として用いて、安全性やサイクル特性の良好なリチウムイオン電池正極材料が得られる。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、リチウムイオン二次電池の需要が急激に伸びている。リチウムイオン二次電池の正極材料としては、リチウムコバルト複合酸化物とともにリチウムニッケル複合酸化物が広く用いられている。
リチウムニッケル複合酸化物は、通常、リチウム化合物とニッケル化合物を混合焼成して製造されている。しかしながら、純粋なニッケル化合物から合成した純粋なリチウムニッケル複合酸化物では、安全性、サイクル特性等に問題があり、実用電池として使用することができなかった。
この解決策としては、コバルト、マンガン、鉄等の遷移金属元素又はアルミニウムを添加することで、リチウムイオン電池の正極材料として安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物を得る(例えば、特許文献1〜3参照。)ことが一般的である。
従来、リチウムニッケル複合酸化物へのアルミニウムの添加方法としては、コバルトを含有する水酸化ニッケルにアルミニウム化合物とリチウム化合物を混合し焼成する方法、もしくはコバルトとともにアルミニウムを含有する水酸化ニッケルとリチウム化合物とを混合し焼成する方法が用いられていた。
例えば、アルミニウムを含有する水酸化ニッケルの製造方法としては、以下の方法が開示されているが、それぞれ問題があった。
(1)ニッケル塩とアルミニウム塩の混合水溶液を用いて、錯形成剤の存在下でアルミニウム含有水酸化ニッケルを共沈殿させる方法(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、錯形成剤としてアンモニア化合物を用いた場合、錯形成せずに生成した微細な水酸化アルミニウムが水酸化ニッケル粒子の成長を阻害して、高密度でかつ工業的に固液分離が容易であるといわれる粒径(5μm以上の平均粒径)を有する粒子は得られない。また、アンモニア化合物以外の錯形成剤を用いた場合には、生成水酸化ニッケル粒子中に錯形成剤が取り込まれるため不純物を含む水酸化ニッケルが得られ、リチウムイオン二次電池用正極材料として用いるリチウムニッケル複合酸化物として好ましくない。
(2)ニッケル化合物とアルミニウム化合物とを含有する水溶液から、ハロゲンイオンの存在下にアルミニウム含有水酸化ニッケルを共沈させる方法(例えば、特許文献5参照。)。この方法では、生成した水酸化ニッケル粒子中へのハロゲンの混入が避けられない。したがって、この水酸化ニッケルをリチウムイオン電池正極材料用の原料として用いた場合には、焼成時にハロゲンガスが発生して炉材を痛めるなどの弊害が生じる。
以上のように、アルミニウムを含有する水酸化ニッケルの従来の製造方法では、水酸化ニッケル粒子中への錯形成剤又はハロゲンの混入を避けることができない。しかも、アルミニウムとコバルトを含有する水酸化ニッケル、例えば、アルミニウムを水酸化アルミニウムの形態で固溶させたものでは、アルミニウムが水酸化ニッケル粒子の高密度化を阻害し、生成するアルミニウムとコバルトを固溶する水酸化ニッケルの粒子密度が低下してしまうという問題が発生した。すなわち、リチウムニッケルコバルト複合酸化物へのアルミニウムの添加方法として、アルミニウムとコバルトを固溶する水酸化ニッケルとリチウム化合物とを混合し焼成する方法は、高密度のリチウムイオン電池の正極材料を製造するため、必ずしも望ましい方法でない。
したがって、他の方法として、コバルトを含有する水酸化ニッケルにアルミニウム化合物とリチウム化合物を混合し焼成する方法が用いられる。しかしながら、この方法には、均一にアルミニウムが拡散したリチウムニッケルコバルト複合酸化物を製造することに難点があることが知られている。この解決策として、リチウムイオン電池正極材料用のニッケル、コバルトおよびアルミニウムを含有する混合金属水酸化物粉末として、ニッケル−コバルト水酸化物からなる核を有し、この核の表面が無定形の水酸化アルミニウムで被覆されている混合金属水酸化物粉末と、その製造方法として、コバルト含有水酸化ニッケルの存在で水酸化アルミニウムを沈殿させる際、コバルト含有水酸化ニッケルの水性懸濁液およびアルカリ金属アルミネートの水溶液を連続的に管状反応器に供給し、前記懸濁液と前記溶液とからなる混合物を管状反応器の通過時に中和し、それによってアルカリ金属アルミネートを水酸化アルミニウムに変換する方法(例えば、特許文献6参照。)が提案されている。しかしながら、この方法では、管状反応器の使用により、コバルト含有水酸化ニッケルがほぼ同一量の水酸化アルミニウムで均一に被覆された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物が得られるとしているが、高密度なニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成する工程とそれを水酸化アルミニウムで被覆する工程を一貫して行なう簡便な方法が開示されていない。
以上の状況から、高密度であり、リチウムイオン電池正極材料の原料として用いたとき安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物が得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の効率的な製造方法が求められている。
特開昭62−90863号公報(第1頁) 特開昭63−121258号公報(第1頁) 特開平4−106875号公報(第1頁) 特開平10−97857号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−249320号公報(第1頁、第2頁) 特開2006−83058号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、かつ高密度であり、リチウムイオン電池正極材料の原料として用いたとき安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物が得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を製造する方法について、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のコバルトを含有する高密度のニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを特定量含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する際、反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽に、特定の原料溶液を特定の条件で供給して反応させ、高密度のニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽で、特定の条件で反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆させたところ、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、リチウムイオン電池正極材料の原料として好適な高密度で略球状の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成する工程とそれを水酸化アルミニウムで被覆する工程を一貫して行なう簡便な設備で連続的に製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、次の一般式(1):
Ni(1−x)Co(OH) …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、
反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記1段目及び2段目反応槽として、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、
(a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給し、
(b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出する、ことを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記ニッケル化合物とコバルト化合物は、硫酸塩又は塩化物であることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記アンモニウムイオン供給体は、アンモニア水、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムであることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明において、前記1段目及び2段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5いずれかの発明において、前記1段目の反応槽内の反応液のpHは、液温を25℃にして測定した基準で11.0〜13.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明において、前記1段目の反応槽内に供給する原料溶液の合計流量は、反応槽の容積を1分当たりの該合計流量で割った値が300〜1200の範囲の一定値に保持されるように調整することを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7いずれかの発明において、前記1段目の反応槽内の反応液のアンモニウムイオン濃度は、5〜25g/リットルの範囲内の一定値に保持されることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8いずれかの発明において、前記2段目の反応槽内の反応液のPHは、液温を25℃にして測定した基準で8.5〜10.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9いずれかの発明において、前記2段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法が提供される。
本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法は、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、かつ高密度で略球状であり、リチウムイオン電池正極材料の原料として用いたとき安全性やサイクル特性が良好なリチウムニッケル複合酸化物が得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成する工程とそれを水酸化アルミニウムで被覆する工程を一貫して行なう簡便な設備で連続的に製造することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法を詳細に説明する。
本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法は、次の一般式(1): Ni(1−x)Co(OH) …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、
反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする。
本発明の製造方法において、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成する工程とそれを水酸化アルミニウムで被覆する工程を一貫して行なう簡便な設備を用いて、まず、予め高密度のニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いでその表面上を水酸化アルミニウムで被覆して、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を製造することが重要である。これによって、それを用いて、その後のリチウムニッケルコバルト複合酸化物を合成するときに、水酸化アルミニウム中のアルミニウムをニッケルコバルト複合水酸化物粒子中に拡散させることにより、アルミニウムが均一に拡散したリチウムニッケルコバルト複合酸化物を得ることができる。
しかも、反応槽を2段カスケードに接続した製造設備を用いて、各反応槽で次のように反応を行なうことにより、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成する工程とそれを水酸化アルミニウムで被覆する工程を一貫して行なうことにより、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造することができる。
すなわち、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆して水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を生成する。
上記製造設備によって、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、かつ高密度の略球状の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物が工業的に効率的に得られる。また、前記水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を正極材料の原料として用いたところ、電池として高容量のリチウムイオン電池正極材料が得られた。
上記製造方法で得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物としては、その構造が、次の一般式(1)で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつその組成が、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する。
Ni(1−x)Co(OH) …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
ここで、前記ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の組成を表す一般式(1)において、コバルトの含有量を表す、式中のxは、0.01〜0.3であり、0.05〜0.2が好ましい。すなわち、xが、0.01未満では、元素添加による安全性やサイクル特性の改善の効果が認められない。一方、xが、0.3を超えると、得られた水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を原料として用いて製造したリチウムイオン正極材料の電池としての容量が低くなりすぎる。
上記水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物中のアルミニウム含有量としては、その全量に対し0.1〜5質量%であり、アルミニウム含有量が0.1質量%未満では、アルミニウム添加による安全性の改善の効果が認められない。一方、アルミニウム含有量が5質量%を超えると、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を原料として用いて製造したリチウムイオン正極材料の電池としての容量が低くなりすぎる。
上記製造方法の具体的な方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、次の方法を用いることができる。
すなわち、前記1段目及び2段目の反応槽としては、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、次の(a)と(b)の要件を満足するものである。
(a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給する。
(b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出する。
以下に、各反応槽での反応条件を詳細に説明する。
(1)1段目の反応槽
上記1段目の反応槽では、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液を、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液を、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給する。一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーを、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給する。
上記ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液としては、特に限定されるものではなく、所望の濃度のものが用いられる。ここで、上記ニッケル化合物とコバルト化合物としては、特に限定されるものではないが、硫酸塩又は塩化物であることが好ましく、ハロゲンによる汚染のない硫酸塩がより好ましい。
上記アンモニウムイオン供給体を含む水溶液としては、特に限定されるものではなく、所望の濃度のものが用いられる。なお、アンモニウムイオン供給体は、錯形成剤として、生成するニッケルコバルト複合水酸化物粒子の粒径と形状を制御する役割を担う。しかも、アンモニウムイオンは、生成するニッケルコバルト複合水酸化物粒子内に取り込まれないので、不純物のないニッケルコバルト複合水酸化物粒子を得るために好ましい錯形成剤である。ここで、上記アンモニウムイオン供給体としては、特に限定されるものではないが、アンモニア水、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムであることが好ましい。
上記1段目の反応槽内の反応液のアンモニウムイオン濃度としては、特に限定されるものではないが、5〜25g/リットルの範囲の一定値に保持されることが好ましい。すなわち、アンモニウムイオン濃度が5g/リットル未満では、所望の平均粒径までニッケルコバルト複合水酸化物粒子を成長させることができない。一方、アンモニウムイオン濃度が25g/リットルを超えると、濃度を維持するために添加するアンモニウムイオン供給体の必要量が多くなるとともに反応槽からのアンモニウムイオンの揮発量も増える。
上記1段目の反応槽内の反応液の温度としては、特に限定されるものではないが、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることが好ましい。すなわち、温度が40℃未満では、生成するニッケルコバルト複合水酸化物粒子中への陰イオンの残留量が多くなる。一方、温度が60℃を超えると、反応槽内のアンモニウムイオンの揮発が激しくなりアンモニウムイオン供給体の使用量が大幅に増加する。
上記1段目の反応槽内の反応液のpHとしては、特に限定されるものではないが、反応槽内の反応液を定期的に抜き取り、この液温を25℃にして測定する方法で、11.0〜13.5の範囲の一定値に保持することが好ましい。すなわち、pHが11.0未満では、錯形成剤であるべきアンモニアのイオン乖離がはじまり液中からのアンモニアガスの気散の度合いや供給薬品の添加量のばらつきにより、反応槽内のpH変動が大きくなり実質的に反応槽内のpHを一定に保つことが困難となる。一方、pHが13.5を超えると、水酸化ナトリウムの使用量が増大し実用的でなくなる。
ここで、反応液のpHは、ガラス電極法を用いたpHコントローラーで連続測定され、pHが一定になるように水酸化ナトリウム水溶液の流量が連続的にpHコントローラーによりフィードバック制御される。しかしながら、一般に、ガラス電極法を用いる場合、高濃度のアルカリ溶液中に長時間浸漬されることによって、アルカリ誤差と呼ばれる誤差が徐々に発生する。そのため、アルカリ誤差を取り除くために、反応槽内の反応液を採取し、サンプリング液を25℃に一定に保った恒温水槽に浸漬しサンプリング液の液温が25℃となったところでpHを測定し、所定値に維持されているかをチェックする。なお、アルカリ誤差が発生して所定のpHに維持されていない場合には、反応液のpHを制御しているpHコントローラーの設定値を変更して25℃で測定した値が所定のpHになるようにする。
上記1段目の反応槽内へ供給する原料溶液の合計流量としては、特に限定されるものではないが、反応槽の容積を1分当たりの該合計流量で割った値が300〜1200の範囲の一定値に保持されるように調整することが好ましい。すなわち、反応槽の容積を1分当たりの合計流量で割った値が300未満では、反応時間が十分でないので所望の平均粒径にまでニッケルコバルト複合水酸化物粒子を成長させることができない。一方、この値が1200を超えると、供給速度が遅いため生産性が悪化し好ましくない。
(2)2段目の反応槽
上記2段目の反応槽内では、1段目からのニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーを連続的に受け入れ、さらに、アルミン酸ナトリウム水溶液を該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ硫酸水溶液を2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給する。一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を、オーバーフロー口を経て連続的に排出する。
上記アルミン酸ナトリウム水溶液としては、その濃度は、特に限定されるものではなく、1段目の反応槽で生成するニッケルコバルト複合水酸化物の単位時間当たりの生成量を基準にして、所定のアルミニウム含有量になるような流量で連続的にかつ定量的に添加することが好ましい。
上記硫酸水溶液としては、その濃度は、特に限定されるものではなく、二段目の反応槽内の反応液のpHが、液温を25℃にして測定した基準で8.5〜10.5の範囲内の一定値に維持されるように、流量を調整しつつ添加する。ここで、ガラス電極法を用いたpHコントローラーでpHが一定になるようにフィードバック制御で制御を行う。すなわち、pHが8.5未満では、アルミン酸ナトリウムの中和により生成した水酸化アルミニウムの再溶解が発生し、所定のアルミニウム含有量とならないとともに、ニッケル及びコバルトの溶解も発生する。一方、pHが10.5を超えると、アルミン酸ナトリウムの中和反応が不十分となり、所定のアルミニウム含有量とならない。
上記1段目の反応槽内の反応液の温度としては、特に限定されるものではないが、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることが好ましい。すなわち、温度が40℃未満では、生成するニッケルコバルト複合水酸化物粒子中への陰イオンの残留量が多くなる。一方、温度が60℃を超えると、1槽目以上の温度に加温する必要が生じエネルギーロスが大きくなる。
上記製造方法により、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、リチウムイオン電池正極材料の原料として好適な、高密度で、平均粒径が5〜15μmの略球状の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物が得られる。
上記水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子としては、下記の一般式(1)で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有するものである。
Ni(1−x)Co(OH) …(1)
(式中、xは、0.01〜0.3である。)
ここで、上記水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子において、5〜15μmの平均粒径を有する略球状粒子であることが重要である。これによって、これを用いて得られる正極材料の充填性が向上し、電池として高容量化が得られる。また、水酸化ニッケルの製造においても5μm以下では、固液分離が困難となり生産性が極度に悪化するため好ましくない。
すなわち、リチウム化合物と混合して焼成した際に、得られるリチウムニッケル複合酸化物(正極材料)の殻構造は水酸化ニッケル粒子のそれに大きく依存するので、原料として用いるアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物粒子が高密度の略球状粒子であることは、リチウムニッケル複合酸化物の高密度化に不可欠である。また、粒子の平均粒径が5μm未満では、得られる正極材料の充填性が極度に悪化して電池の容量が低下する。一方、粒子の平均粒径が15μmを超えると、粉末の粒径が粗いので電極を成形する際に成形性が悪化する。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析、アンモニウムイオン濃度の分析及び平均粒径の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)アンモニウムイオン濃度の分析:JIS標準による蒸留法によって測定した。
(3)平均粒径の測定:レーザー回折式粒度分布計(商品名マイクロトラック、日機装製)を用いて行った。
(実施例1)
まず、下記の方法でニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液(ニッケル水溶液(A))、アルミン酸ナトリウム水溶液、及び水酸化ナトリウム水溶液を作製した。
(イ)ニッケル水溶液(A):工業用硫酸ニッケル6水和物21.8kgと工業用硫酸コバルト7水和物4.0kgを水に溶解した後、全量を60Lに調整して、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液を得た。
(ロ)アルミン酸ナトリウム水溶液:工業用アルミン酸ナトリウム356gを水に溶解した後、全量を15Lに調整した。
(ハ)水酸化ナトリウム水溶液:工業用水酸化ナトリウム12.5kgを水に溶解した後、全量を50Lに調整した。
(二)硫酸水溶液:工業用70%硫酸を水と1:1の容量比で混合希釈し調整した。
次いで、オーバーフロー口までの容量が34Lである1段目の反応槽とオーバーフロー口までの容量が3.4Lである2段目の反応槽を、1段目の反応槽のオーバーフロー口が2段目の反応槽に入るようにカスケード接続した。前記カスケード接続した2つの反応槽に水を張った後、50℃に調整した恒温水槽の中に反応槽を入れ保温した。
続いて、2つの反応槽を攪拌しながら、1段目の反応槽にニッケル水溶液(A)及び工業用アンモニア水(濃度25質量%)を連続的に供給した。ここで、供給流量は、ニッケル水溶液(A)が32mL/min及びアンモニア水が3.2mL/minであった。また、上記水酸化ナトリウム水溶液を供給した。ここで、反応槽内の反応液のpHは、反応槽内に設置したpH電極でpHを測定し、pHコントローラーを用いて、上記水酸化ナトリウム水溶液の供給流量を調整して所定のpHに制御した。
また、2段目の反応槽には、アルミン酸ナトリウム水溶液を9.6mL/minの流量で連続的に供給した。また、上記硫酸水溶液を供給した。ここで、反応槽内の反応液のpHは、反応槽内に設置したpH電極でpHを測定し、pHコントローラーを用いて上記硫酸水溶液の流量を調整して所定のpHに制御を行った。
この後、反応槽内の反応液のpH、温度、アンモニウムイオン濃度及びスラリー濃度が一定値になるまで、この状態で48時間運転した。なお、反応槽内のpHは、12時間ごとに反応槽内の液をサンプリングし、25℃で測定した際のpHが、1段目で12.4、及び2段目で9.0となるように調整した。さらに、その後、48時間後から72時間後まで、2段目の反応槽からの排液を回収した。この間、1段目の反応槽に添加した水酸化ナトリウム水溶液の平均流量は、8.1mL/minであり、2段目の反応槽に添加した硫酸水溶液の平均流量は、2.8ml/minであった。また、1段目の反応槽の容積を、ニッケル水溶液(A)、アンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の合計流量で割った値は、785であり、48時間後の1段目の反応槽内の液のアンモニウムイオン濃度は、10.1g/Lであった。
なお、この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、湿潤状態で10.8kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
得られた乾燥後のアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の平均粒径及び化学組成を求めた。その結果、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、平均粒径が11μmの高密度の球状粒子であり、その核となるニッケルコバルトル複合水酸化物の組成式は、Ni0.85Co0.15(OH)で表され、その表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層が均一に形成されていた。なお、アルミニウムの含有量は、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の全量に対し1.02質量%であった。
(実施例2)
1段目の反応槽で、供給流量は、ニッケル水溶液(A)が53mL/min及びアンモニア水が4.5mL/minであったこと、2段目の反応槽で、アルミン酸ナトリウム水溶液の流量が15.0mL/minであったこと、2段目の反応槽のpHを9.5となるように調整したこと、2段目の反応槽に添加した硫酸水溶液の平均流量は4.2ml/minであったこと、1段目の反応槽の容積をニッケル水溶液(A)、アンモニア水及び水酸化ナトリウム水溶液の合計流量で割った値は518であったこと、及び48時間後の1段目の反応槽内の液のアンモニウムイオン濃度は10.5g/Lであったこと以外は、実施例1と同様に行い、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物を製造した。
この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、湿潤状態で16.2kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
得られた乾燥後のアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の平均粒径及び化学組成を求めた。その結果、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、平均粒径が9μmの高密度の球状粒子であり、その核となるニッケルコバルトル複合水酸化物の組成式は、Ni0.85Co0.15(OH)で表され、その表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層が均一に形成されていた。なお、アルミニウムの含有量は、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の全量に対し1.04質量%であった。
(実施例3)
2段目の反応槽のpHを10.0となるように調整したこと、2段目の反応槽に添加した硫酸水溶液の平均流量は2.6ml/minであったこと、及び48時間後の1段目の反応槽内の液のアンモニウムイオン濃度は9.8g/Lであったこと以外は、実施例1と同様に行い、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物を製造した。
この間に2段目の反応槽のオーバーフロー口から得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、湿潤状態で10.8kgであった。得られたアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物を、20Lの水を用いた水洗−ろ過の操作を3回繰り返した後、100℃に設定した大気乾燥機を用いて24時間乾燥した。
得られた乾燥後のアルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の平均粒径及び化学組成を求めた。その結果、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物は、平均粒径が11μmの高密度の球状粒子であり、その核となるニッケルコバルトル複合水酸化物の組成式は、Ni0.85Co0.15(OH)で表され、その表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層が均一に形成されていた。なお、アルミニウムの含有量は、アルミニウム被覆ニッケルコバルトル複合水酸化物の全量に対し0.98質量%であった。
以上より、実施例1〜3では、本発明の製造方法にしたがって行われたので、錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、リチウムイオン電池正極材料の原料として好適な組成と平均粒径を有する、高密度の球状のアルミニウム含有水酸化ニッケル粒子が得られることが分る。
以上より明らかなように、本発明の製造方法で得られる水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物は、リチウムイオン二次電池の正極材料として利用されるリチウムニッケル複合酸化物の原料として好適である。また、本発明の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法は、特に錯形成剤やハロゲンなどの混入がなく、かつ高密度の球状の粒子を工業的に効率的に製造する方法として、有用である。

Claims (10)

  1. 次の一般式(1): Ni(1−x)Co(OH) …(1)
    (式中、xは、0.01〜0.3である。)
    で表されるニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を有し、かつ全量に対しアルミニウムを0.1〜5質量%含有する水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物を連続的に製造する方法であって、
    反応槽を2段カスケードに接続し、まず、1段目の反応槽に、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液からなる原料溶液を、それぞれ個別にかつ同時に供給して反応させ、ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を生成し、次いで、2段目の反応槽に、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子を供給しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸水溶液とを供給して反応させ、該ニッケルコバルト複合水酸化物粒子の表面を水酸化アルミニウムで被覆することを特徴とする、水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  2. 前記1段目及び2段目反応槽として、攪拌機、オーバーフロー口及び温度制御手段を備えた容器を用いるとともに、
    (a)前記1段目の反応槽内での反応に際し、ニッケル化合物とコバルト化合物を含む水溶液及びアンモニウムイオン供給体を含む水溶液は、それぞれ該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ水酸化ナトリウム水溶液は、該反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成されたニッケルコバルト複合水酸化物粒子を含むスラリーは、オーバーフロー口を経て2段目の反応槽に供給し、
    (b)前記2段目の反応槽内での反応に際し、アルミン酸ナトリウム水溶液は、該反応槽内に定量的に連続供給し、かつ、硫酸水溶液は、2段目の反応槽内の反応液を所定のpHに保持するために添加量を調整して供給し、一方、生成された水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物粒子は、オーバーフロー口を経て連続的に排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  3. 前記ニッケル化合物とコバルト化合物は、硫酸塩又は塩化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  4. 前記アンモニウムイオン供給体は、アンモニア水、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  5. 前記1段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  6. 前記1段目の反応槽内の反応液のpHは、液温を25℃にして測定した基準で11.0〜13.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  7. 前記1段目の反応槽内に供給する原料溶液の合計流量は、反応槽の容積を1分当たりの該合計流量で割った値が300〜1200の範囲の一定値に保持されるように調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  8. 前記1段目の反応槽内の反応液のアンモニウムイオン濃度は、5〜25g/リットルの範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  9. 前記2段目の反応槽内の反応液のPHは、液温を25℃にして測定した基準で8.5〜10.5の範囲内の一定値に保持されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
  10. 前記2段目の反応槽内の反応液の温度は、40〜60℃で、かつ±1℃の温度範囲に制御されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水酸化アルミニウム被覆ニッケルコバルト複合水酸化物の製造方法。
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