JP2010023757A - スライドドア用ワイヤハーネスの取付装置 - Google Patents

スライドドア用ワイヤハーネスの取付装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車体とスライドドアとの間に配索されるワイヤハーネスが、開作動時に垂れ下がるのを抑制すると共に、乗降側での足踏みされても損傷が発生しないようにする。
【解決手段】車体からスライドドアとの間に架け渡され、スライドドアの開作動時に乗降位置を回避する回転軌跡を取りながら移動する給電用のワイヤハーネスの取付装置であって、ドア側固定ブラケット11と車体側固定ブラケットの少なくともいずれかに、前記ワイヤハーネスを貫通保持する回転体14を回転自在に軸着すると共に、該回転体と前記ブラケットとの間にバネ材15を介設し、該バネ材により前記回転体および該回転体で保持されたワイヤハーネス10を上方に付勢している。
【選択図】図1

Description

本発明は、スライドドア用ワイヤハーネスの取付装置に関し、詳しくは、車体とスライドドアの間に架け渡されたワイヤハーネスが、ドア開動作時に余長となる部分が垂れ下がるのを抑制し、かつ、乗降する乗員に踏まれた場合には追従して下降し、ワイヤハーネスに損傷が生じないようにするものである。
スライドドア側の電装品に常時給電するために、車体とスライドドアとの間にワイヤハーネスが渡り配索されている。この種の配索構造として、例えば、図10に示すように、車体1およびスライドドア2に回転機構を有する支持装置3、4を設け、該支持装置3、4に、渡り配索するワイヤハーネスW/Hを支持させる構造が知られている。
前記支持装置3、4で支持されたワイヤハーネスは、図中、P1で示すスライドドア2の全開時やP2で示すスライドドア2の開閉の中間地点で、ワイヤハーネスW/Hの渡り部分が車体1の乗降側でUターンする。この状態において、ワイヤハーネスは乗員の足踏み位置と干渉しない位置に配索されるようにしているが、乗員が乗降の際などに誤って踏み付ける場合や乗員が荷物を落下してワイヤハーネスに当たる場合がある。ワイヤハーネスは上下方向の動作自由度が少ないため、ワイヤハーネスが踏まれたりして、上下方向から過度の負荷がかかると、ワイヤハーネスに損傷が発生する恐れもある。
そこで、特開2004−25999号公報(特許文献1)では、支持装置5、6に前記のような回転機構は設けず、図11に示すようなキャタピラ状のケーブルガイド7に挿通したワイヤハーネスW/Hを車体1とスライドドア2との間にS字状に渡り配索する構造が提案されている。
前記キャタピラ状のケーブルガイド7でワイヤハーネスを外装すると、ケーブルガイドは高強度を有するために、ドア開閉時におけるワイヤハーネスの垂れ下がりを抑制できると共に、ワイヤハーネスに上下方向から過度の負荷がかけられてもワイヤハーネスを保護することができる。
しかし、前記ケーブルガイド7を用いてワイヤハーネスを車体とスライドドアとの間に配索した場合、ワイヤハーネスW/Hを挿通したケーブルガイド7で、車体1とスライドドア2との間を最短距離ではなくS字状に接続する必要がある。よって、製品コストが増大すると共に、ケーブルガイドによってワイヤハーネスW/Hの渡り配索部分が小型化できない問題がある。
また、スライドドア2の開閉時には、スライドドア2は車体内側に傾きつつ車体前後方向にも傾斜しながら移動するため、スライドドア2の上下方向の動きにも対応できるように、支持装置5または6には上下方向に首振り可能な上下可動機構を設ける必要がある。しかし、このような機構の追加により構造がさらに複雑化してコストが増大するという問題もある。
また、特開2007−39030号公報(特許文献2)では、図12に示すように、スライドドア2の内部に上下方向に湾曲させた湾曲部保護部材9を配置し、ワイヤハーネスW/Hを湾曲部保護部材9に沿って作動させ、ワイヤハーネスを上方へと湾曲させて上下方向の作動自由度を高めている。よって、足踏みやペットボトル等の落下物の衝撃に対しては上下方向に動作して衝撃を吸収することができるようにされている。
しかしながら、特許文献2の構成とすると、図12(B)の実線100で囲んで示すように、スライドドア内部に湾曲部保護部材9を配置するための大きなスペースXを必要とする。スライドドア内部には、スピーカー、モータ、強度保持部品等が比較的高密度に配置されており、これらの部品と湾曲部保護部材9とが干渉しやすく、スペース的に配置しにくい場合が多い。
特開2004−25999号公報 特開2007−39030号公報
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、特許文献1のキャタピラ状のケーブルガイドを用いずに車体とドアとの間に渡り配索するワイヤハーネスを外装保護すると共に、特許文献2のようにスライドドア内部に上下方向に大きなスペースをとる保護部材を配置することなく、ドア開放時にワイヤハーネスが垂れ下がるのを防止すると共に、乗降側での足踏みがなされた場合には追従して垂れ下がってワイヤハーネスの損傷発生を防止できるようにすることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、車体からスライドドアとの間に架け渡される給電用のワイヤハーネスの取付装置であって、
ドア側固定ブラケットと車体側固定ブラケットの少なくともいずれかに、前記ワイヤハーネスを貫通保持する回転体を回転自在に軸着すると共に、該回転体と前記ブラケットとの間にバネ材を介設し、該バネ材により前記回転体および該回転体で保持されたワイヤハーネスを上方に付勢していることを特徴とするスライドドア用ワイヤハーネスの取付装置を提供している。
車体とスライドドアとの間に架け渡されるワイヤハーネスは、芯線を絶縁被覆で被覆した丸電線の集束体としてもよいし、帯形状のフラットハーネスでもよい。
本発明のワイヤハーネスは、特許文献1と同様に、スライドドアの開閉作動時に乗降位置を回避するように左右方向の回転軌跡を取りながら移動するようにしているが、乗降する乗員によりワイヤハーネスは足踏みされる恐れや、落下物がワイヤハーネスに当たる恐れはある。
本発明では、前記のように、ドアと車体とに固定するブラケットの少なくとも一方と、
該固定ブラケットに回転自在に連結する回転体との間にワイヤハーネスを上向きに付勢するバネ材を介在させ、ワイヤハーネスを常時上向き引っ張る力を負荷しながら、上方から荷重が負荷されると下方へ伸びて荷重を吸収できるように、上下方向の作動自由度を高めている。よって、バネ材により回転体を介してワイヤハーネスが垂れ下がるのを抑制でき、かつ、乗員により足踏みされた場合等には、ワイヤハーネスを下向きに伸長して、足踏みによるワイヤハーネスの切断等の損傷発生を防止することができる。さらに、足踏みが解除された後はバネ材が収縮してワイヤハーネスを引っ張りあげて元の位置に戻すことができる。
このように、本発明では、特許文献2に記載の大型の上下方向の湾曲部保護部材を設けることなく、バネ材を用いてワイヤハーネスの上下方向の移動自由度を高め、ワイヤハーネスの垂れ下がりや、足踏みによる損傷発生を防止している。
本発明では、前記固定ブラケットに回転自在に連結した回転体から引き出して、ドアと車体との間に渡り配索するワイヤハーネスを、コルゲートチューブで外装することができる。
特許文献1ではワイヤハーネスの外装材としてキャタピラ状のケーブルガイドを用いて強度を高め、足踏みに対してワイヤハーネスを保護しているが、本発明では、ワイヤハーネスが足踏みされた時には、バネ材によりワイヤハーネスが垂れ下がれるようにしているため、キャタピラ状のケーブルガイドよりは強度が低いコルゲートチューブでワイヤハーネスを外装することができる。
コルゲートチューブはポリプロピレン、ナイロン、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリアセタール(POM)等の樹脂成型品からなり、環状の山部と谷部とを軸線方向に交互に設けた形状としている。該コルゲートチューブは、所要方向に容易に屈曲させることができ、ドア開閉時に屈曲作動するワイヤハーネスの外装材として適したものとなり、特に、外装材として小型化できると共に安価である利点を有する。
なお、スライドドアと車体との渡り部分のワイヤハーネスの外装材は前記コルゲートチューブに限定されず、所要の強度を有すると共に、屈曲および湾曲がスムーズにできるものであれば特に限定されず、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)等のゴムや各種エラストマー等からなるチューブでもよく、かつ、ゴムやエラストマーからなるチューブに凹凸を設けて蛇腹状のチューブとすることが好ましい。
前記バネ材は、ドア側固定ブラケットと前記回転体との間、車体側固定ブラケットと回転体との間のいずれか一方、または、両方に設けてもよいが、ドア側固定ブラケットは車体側固定ブラケットよりも上方に配置されるため、ワイヤハーネスを上向きに付勢するバネ材はドア側固定ブラケットと回転体との間に設ける事が好ましい。
具体的には、ドア側固定ブラケットと回転体のいずれか一方に筒状の軸部を突設すると共に、該軸部を回転自在に嵌合する軸受部を他方に設け、前記軸部と前記軸受部の外周部との間にねじりコイルバネを張架し、該ねじりコイルバネにより前記回転体を上向きに付勢し、該回転体を貫通するワイヤハーネスを上向きに付勢し、垂れ下がりを防止している。かつ、ドアの開作動時に乗降する乗員により足踏みされた場合やペットボトル等の落下物がワイヤハーネスに当たった場合には、ねじりコイルバネが伸長して垂れ下がり、衝撃を吸収することによりワイヤハーネスの損傷発生を防止できる。また、衝撃の負荷が解除された後はねじりコイルバネの収縮により垂れ下がったワイヤハーネスを引っ張りあげて元の位置に戻すことができる。
詳細には、前記固定ブラケットは左右一対とし、その間の回転体を一端側を回転自在に挟持し、回転体の一端側の前後両面に設けた軸部を固定ブラケットに設けた軸受部に回転自在に支承した状態で、前記固定ブラケットをドアに固定している。なお、回転体の軸部は所要角度範囲(例えば90〜120度)で回転できるようにすることが好ましい。
前記ねじりコイルバネは一端を軸部に係止し、他端を一方の固定ブラケットの軸受部の周縁に設けたバネ係止部に係止して張架している。
前記一対の固定ブラケットと回転体とを組み合わせた状態で、スライドドア内部に配索しているワイヤハーネスを貫通させる挿通部を設け、該固定ブラケットの挿通部からワイヤハーネスを回転体に設けた挿通部に引き出し、該回転体の他端開口からワイヤハーネスを引き出している。引き出されたワイヤハーネスをコルゲートチューブで外装して、車体側固定ブラケットへと渡り配索している。
なお、バネ材はねじりコイルバネに限定されず、固定ブラケットと、該固定ブラケットに回転自在に取り付ける回転体との間に介在させ、回転体に上向きの付勢力を付与するバネ材であればよく、例えば、コイルバネに変えて板バネを用いてもよい。
上述したように、本発明では、スライドドアと車体との間に渡り配索するワイヤハーネスを、スライドドア側固定ブラケットと車体側固定ブラケットの少なくとも一方と、該固定ブラケットに回転自在に軸着するワイヤハーネスの回転体との間にバネ材を介在させているため、ワイヤハーネスに簡単に上下方向の移動自由度を与えることができる。よって、ドア開放時に足踏みされたり、落下物が当たった場合に、バネ材が伸長してワイヤハーネスを下向きに垂れ下げて衝撃を吸収でき、ワイヤハーネスの損傷発生を防止できる。このように、外部負荷に対する衝撃吸収機構をバネ材を介在させることで達成しているため、特許文献1で用いる高強度のキャタピラ状のケーブルガイドで外装保護する必要はない。また、常時、バネ材によりワイヤハーネスを引っ張りあげる反力を負荷しているため、ドア開放時にワイヤハーネスの余長となる部分が垂れ下がるのを抑制することができる。このため、特許文献2のようにスライドドア内部に上下方向に大きなスペースをとる湾曲部保護部材を配置する必要がない。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図9に本発明の第1実施形態を示す。
車体1とスライドドア2(以下、ドア2と略称する)との間に架け渡されるワイヤハーネス10として複数の丸電線(芯線を絶縁被覆した電線)を集束した電線群を用いている。なお、複数のフラットハーネスの積層体からワイヤハーネスを構成してもよい。
ドア2と車体1にはそれぞれ固定ブラケット11、12を取り付け、ドア2に取り付ける固定ブラケット11にワイヤハーネスを貫通保持してガイドする回転体14を所要角度範囲内(本実施形態では120度)で回転自在に軸着し、かつ、該軸着部分にねじりコイルバネ15を取り付けている。
ドア2の内部に配索するワイヤハーネス10を固定ブラケット11、回転体14の内部を通して引き出し、引き出したワイヤハーネス10をコルゲートチューブ16で外装し、車体1に取り付けた固定ブラケット12の内部を通して車体1の内部へと配索している。
前記ドア2に取り付ける固定ブラケット11、回転体14、該固定ブラケット11と回転体14との間に介在するねじりコイルバネ15は、図2〜図6に示す構成としている。
固定ブラケット11は左右両側部材20、21とからなり、その間に回転体14の一側部の基端を回転自在に挟持して、ドア2に固定している。
固定ブラケット11の左右両側部材20、21は図2および図3(A)(B)に示すように、略対称形状とした基板部20a、21aを備え、基板部20aの1つの隅部にドア固定穴20bを設けると共に基板部21aの対向位置にドア固定穴21bを突出枠21mの先端に設けている。さらに、該隅部と略対角位置の隅部にも互いに連通させるドア固定穴20c、21cを設けている。
また、基板部20aに上端から中央部へと断面凹形状としたワイヤハーネス挿通枠部20eを突設して、ワイヤハーネス挿通部20kを形成し、前記ワイヤハーネス挿通枠部20eの下端に円弧形状とした軸受部20fを設けている。かつ、該軸受部20fに後述する回転体14の軸部を120度の範囲で回転を規制する回転止め部20iを設けている。
他方の基板部21aに前記ワイヤハーネス挿通部20kの側面開口を閉鎖する蓋部21eを設けると共に、該蓋部21eの下部を円弧形状として軸受部21fを設けている。かつ、該軸受部21fに連通したバネ係止部21gを設けている。
前記回転体14は、図4(A)(B)に示す下側部材30と図5(C)(D)に示す上側部材31とからなり、これら部材30、31の間にワイヤハーネス10を通した状態で、下側部材30に設けたロック爪30aを上側部材31に設けたロック枠31aを係止してロック結合している。
下側部材30と上側部材31は、いずれも固定ブラケット11との連結側に断面凹部形状とした細長い枠部30b、31bを設け、該枠部30bと31bを上下組み合わせてワイヤハーネス挿通部32を形成している。下側部材30の枠部30bの先端側には、側面視で扇状に突出する部分30b−1を設け、該部分30b−1は上側部材31の枠部31bの先端開口に連通させ、下側部材30の先端の部分30b−1に設けた矩形状の開口30b−2からワイヤハーネス10を引き出している。
前記枠部30b、31bの基端側の左右両側にそれぞれ半円環形状とした軸部30cと30d、31cと31dを突設し、該軸部30cと31c、30dと31dを上下組み合わせて、図2に示すように、左右両側に筒状軸部33、34を形成している。
固定ブラケット11の図中の左側部材20側に突出する筒状軸部33は、固定ブラケット11の軸受部20fに回転自在に内嵌し、他方側の右側部材21側に突出する筒状軸部34は、他方側の部材21の軸受部21fに回転自在に内嵌している。
前記筒状軸部33は筒状軸部34より長寸とし、該筒状軸部33の外周に図5に示すねじりコイルバネ15を巻き付けている。該ねじりコイルバネ15の一端の内周に突出した係止部15aは筒状軸部33に設けた係止穴(図示せず)に係止する一方、他端の外周より突出させた係止部15bは固定ブラケット11の右側部材21に設けたバネ係止部21gに係止している。
下側部材30および上側部材31の内面の対向位置には、コルゲートチューブ係止用の凹凸部30e、31eを設けている。前記のように、ワイヤハーネス10は回転体14から車体側の固定ブラケット12へと延在する渡り配索部分にコルゲートチューブ16を外装しており、該コルゲートチューブ16の一端部を回転体14内に位置させ、前記凹凸部30eと31eに係止している。
前記車体側に取り付ける固定ブラケット12は、図7に示すように、略対称形状の上下部材40、41とを組み合わせてワイヤハーネス挿通部42を形成し、該上下部材40と41とに設けたロック結合部43で結合している。
結合状態で、互いに連通する一側部側に設けたボルト穴44A、44Bを車体1に固定し、他側部側に扇状に拡大するワイヤハーネス挿入部分45を位置させ、渡り配索するワイヤハーネス10を引き込むようにしている。
上下部材40、41のワイヤハーネス挿通部42を囲む内周面にはコルゲートチューブ16の山谷に嵌合する凹凸部46を設けている。
前記のように、ドア2の内部に配索するワイヤハーネス10を、図2(B)に示すように、上記ドア2側に固定した固定ブラケット11のワイヤハーネス挿通部20kを通した後、回転体14の筒状軸部に通してワイヤハーネス挿通部32に通している。その際、固定ブラケット11は左右両側部材20と21、回転体14は上下両側部材30と31とを組み合わせて形成しているため、ワイヤハーネス10を挿通後に組み合わせてロック結合して、ワイヤハーネス10を容易に固定ブラケット11および回転体14の内部に通すことができる。
ワイヤハーネス10に外装するコルゲートチューブ16は回転体14の内部で一端を係止して、車体側の固定ブラケット12へとワイヤハーネス10に外装して延在させ、車体1側に固定した固定ブラケット12の内部に挿入して凹凸部46で他端を係止している。
前記構成としたワイヤハーネス10の取付装置は、ドア2に固定した固定ブラケット11に回転自在に軸着した回転体14を、ねじりコイルバネ15により引っ張り上げる方向に付勢し、図2(B)に示すように、ドア全閉位置(P3)で、車両前後方向と略平行となるように上向きに引き上げる反力を負荷している。該反力は数N〜10N程度としている。
ドア2を全閉位置P3から全開位置P1へ開作動すると、ワイヤハーネス10は図8(A)(B)に示す回転軌跡で動作し、ドア2側の固定ブラケット11に対して回転体14は図2(B)に示すように回転する。
その際、回転体14には固定ブラケット11との間に介在させたねじりコイルバネ15により常時上向きの反力が負荷されており、よって、ドア2の開き動作に応じてねじりコイルバネ15の反力に抗して、図8(B)の中間位置P2では下向きに傾斜しながら内側(車室内側)へと湾曲しながら動作する。
全開位置P1に達した状態で、ワイヤハーネス10による引っ張り力とねじりコイルバネ15による上方へ引き上げる反力がバランスされた状態では保持され、必要以上に回転せず、ワイヤハーネス10の垂れ下がりを抑制できる。
全開位置P1での回転体14の姿勢は、回転可能な角度範囲(120度)の半分程度の60度程度の回転状態となっている。
よって、図9(A)に示すように、ドア2の全開位置P1で、渡り部分のワイヤハーネス10が足踏みされた場合、あるいは乗員が保持するペットボトルや荷物等が落下してワイヤハーネス10に当たった場合など上方から下向き荷重が負荷されると、図9(B)に示すように、回転体14はねじりコイルバネ15の反力に抗して固定ブラケット11に対して下向きに回転でき、ワイヤハーネス10を下向きに伸ばして、負荷された荷重を吸収することができる。
このように、足踏み等に対してワイヤハーネスが追従して下方に伸びるようにしているため、ワイヤハーネス10の外装保護材は高強度を要求されず、よって、特許文献1のキャタピラ状のケーブルガイドよりも強度は低いコルゲートチューブ16で外装しても、ワイヤハーネス10に損傷が発生するのを防止することができる。
また、負荷が解除されると、ねじりコイルバネ15の反力により下方に伸びたワイヤハーネス10は上方に引き上げられ、ワイヤハーネス10の垂れ下がりを防止できる。
さらに、全開位置P1から全閉位置P3へ閉動作する際は、ワイヤハーネス10は逆方向に動作し、その際、ねじりコイルバネ15により上向きの付勢力が常時作用しているため、ドア2の作動力をねじりコイルバネ15にバネ力により軽減することもできる。
前記実施形態では、ねじりコイルバネ15を用いて、ドア2と車体1との間に渡り配索
して、ワイヤハーネス10の上下方向の動作の自由度を高めると共に、ワイヤハーネス10を常時上向き引き上げる付勢力を負荷しているため、渡り配索部分のワイヤハーネス10の垂れ下がりを抑制できる。かつ、該ワイヤハーネス10の上下方向の作動範囲は前記従来例の図12(B)中に一点鎖線で示すように約100mm〜120mm程度であり、回転体14の前後方向の可動寸法は220mm程度となり、前記特許文献2の上下作動範囲の半分以下である。よって、ドア内部でワイヤハーネスの作動スペースをとらず、ドア内部に配置する部品と干渉しないように配置できる利点がある。
なお、本発明は前記実施形態に限定されず、車体側の固定ブラケットに回転体を回転自在に取り付けると共にバネを開示させて、渡り配索部分のワイヤハーネスを上向きに引き上がる力を常時負荷してもよい。さらに、ドア側と車体側の固定ブラケットの両方にバネ材を介在した回転体を連結してもよい。
また、固定ブラケットと回転体との間に介在させるバネ材は前記ねじりコイルバネに限定されず、板バネを介在させて、回転体およびワイヤハーネスを上向きに引き上げる反力を負荷してもよい。
本発明の実施形態のスライドドアと車体との間に配索するワイヤハーネスを示し、(A)は概略側面図、(B)は作動状態を示す斜視図である。 ドア側のワイヤハーネス取付装置の分解斜視図である。 (A)(B)はドア側固定ブラケットを示す正面図である。 回転体の上側部材を示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。 回転体の下側部材を示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。 ねじりコイルバネを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 車体側の固定ブラケットを示す斜視図である。 ドアの開閉作動時の回転軌跡を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。 (A)(B)は全開位置でワイヤハーネスが足踏みされる状態を示す側面図である。 従来例を示す図面である。 他の従来例を示す図面である。 (A)(B)はさらに他の従来例を示す図面である。
符号の説明
1 車体
2 ドア(スライドドア)
10 ワイヤハーネス
11 ドア側の固定ブラケット
12 車体側の固定ブラケット
14 回転体
15 ねじりコイルバネ
16 コルゲートチューブ
20、21 ドア側固定ブラケットの左右両側部材
20k ワイヤハーネス挿通部
20f、21f 軸受部
30、31 回転体の上下両側部材
32 ワイヤハーネス挿通部
33、34 軸部
P1 スライドドア全開位置
P2 中間位置
P3 スライドドア全閉位置

Claims (3)

  1. 車体からスライドドアとの間に架け渡され、スライドドアの開作動時に乗降位置を回避する回転軌跡を取りながら移動する給電用のワイヤハーネスの取付装置であって、
    ドア側固定ブラケットと車体側固定ブラケットの少なくともいずれかに、前記ワイヤハーネスを貫通保持する回転体を回転自在に軸着すると共に、該回転体と前記ブラケットとの間にバネ材を介設し、該バネ材により前記回転体および該回転体で保持されたワイヤハーネスを上方に付勢していることを特徴とするスライドドア用ワイヤハーネスの取付装置。
  2. 前記回転体から引き出してドアと車体との間に渡り配索するワイヤハーネスは、コルゲートチューブで外装している請求項1に記載のスライドドア用ワイヤハーネスの取付装置。
  3. 前記ドア側固定ブラケットと前記回転体との間にねじりコイルバネを介設し、前記ドア側固定ブラケットと回転体のいずれか一方に軸部を突設すると共に、該軸部を回転自在に嵌合する軸受部を他方に設け、前記軸部と前記軸受部の外周部との間に前記ねじりコイルバネを張架している請求項1または請求項2に記載のスライドドア用ワイヤハーネスの取付装置。
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