JP2010017724A - 金属部材のろう付方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの金属部材の接合面どうしを、接合不良が発生することなく面接合しうる金属部材のろう付方法を提供する。
【解決手段】筒状体18からなるタンク本体11および入口部材8の接合面15どうしを面接合するろう付方法である。入口部材8の接合面15に、フラックスを保持する保持凹部16を形成する。入口部材8の接合面15に、毛細管力により溶融フラックスを流す流れ推進用凹溝17を接合面15の全体にわたって形成する。保持凹部16内にフラックスを配置した状態で、筒状体18からなるタンク本体11および入口部材8接合面15どうしを、筒状体18に設けられたろう材層を用いてろう付する。
【選択図】図3

Description

この発明は、2つの金属部材の接合面どうしを面接合する金属部材のろう付方法に関する。
たとえばエバポレータ、コンデンサ、ヒータコア、オイルクーラなどの熱交換器としては、互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に並列状に配置されかつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたフィンと、ヘッダタンクに接合された入口部材、出口部材およびブラケットなどの付属部品とを備えたものが広く使用されている。
ところで、カーエアコンとして自動車に搭載される冷凍サイクルに用いられるエバポレータやコンデンサやヒータコア、あるいは自動車のエンジンオイルの冷却に用いられるオイルクーラにおいては、自動車の振動に耐えうるように、付属部品のヘッダタンクへの接合強度を高めることが要求されるので、付属部品をヘッダタンクに面接合する必要がある。
従来、2つの金属部材どうしを面接合するろう付方法として、両金属部材の接合面に、それぞれ円環状の溝を形成しておき、両接合面の溝内に跨るようにろう材とフラックスとの混合物からなるリングを配置した状態で、両金属部材の接合面どうしをろう付する方法が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の方法では、溶融ろう材および溶融フラックスを両金属部材の接合面全体に行き渡らせるのが困難であり、接合不良が発生するおそれがある。このようなろう付不良の発生を防止するためには、過剰量のろう材およびフラックスを両金属部材の溝内に配置する必要があるが、過剰のフラックスはろう付欠陥の原因となるので、両金属部材の接合面にフラックス排出用の溝を形成しておく必要ある。ところが、両金属部材の接合面にフラックス排出用の溝を形成しておくと、両金属部材の接合面の接合面積が減少し、ろう付強度が低下するおそれがある。
特開2006−320932号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、2つの金属部材の接合面どうしを、接合不良が発生することなく面接合しうる金属部材のろう付方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)2つの金属部材の接合面どうしを面接合するろう付方法であって、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、フラックスを保持する保持凹部を形成するとともに、両金属部材の接合面のうちいずれか一方の接合面に、毛細管力により溶融フラックスを流す流れ推進用凹溝を当該接合面の全体にわたって形成し、保持凹部内にフラックスを配置した状態で、両金属部材の接合面どうしをろう付する金属部材のろう付方法。
2)両金属部材の接合面どうしのろう付を、流れ推進用凹溝が形成されていない金属部材の接合面に設けられたろう材層を用いて行う上記1)記載の金属部材のろう付方法。
3)2つの金属部材の接合面どうしを面接合するろう付方法であって、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、フラックスおよびろう材を保持する保持凹部を形成するとともに、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、毛細管力により溶融フラックスおよび溶融ろう材を流す流れ推進用凹溝を当該接合面の全体にわたって形成し、保持凹部内にフラックスおよびろう材を配置した状態で、両金属部材の接合面どうしを、保持凹部内のろう材を利用してろう付する金属部材のろう付方法。
4)流れ推進用凹溝が形成された接合面の中心線平均粗さRaが1〜200μmである上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
5)保持凹部を直線状に形成し、流れ推進用凹溝を保持凹部と直角をなすように形成する上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
6)複数の保持凹部を一直線上に並ぶように間隔をおいて形成し、流れ推進用凹溝を保持凹部が並んだ直線と直角をなすように形成する上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
7)互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に並列状に配置されかつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたフィンと、ヘッダタンクに接合された付属部品とを備えており、ヘッダタンクと付属部品との接合が上記1)〜6)に記載のろう付方法により行われている熱交換器。
上記1)および2)のろう付方法によれば、ろう付時に保持凹部内で溶融したフラックスは、保持凹部から溢れ出て流れ推進用凹溝内に入り、毛細管力により流れ推進用凹溝の長さ方向に流れることによって両金属部材の接合面の全体に行き渡る。また、溶融したろう材は両金属部材の接合面の全体において、流れ推進用凹溝内に保持された状態で凝固する。したがって、溶融フラックスおよび溶融ろう材が両金属部材の接合面の全体に行き渡ることになって、接合不良の発生を防止することができる。しかも、保持凹部内には最小必要限量のフラックスを配置しておくだけでよいので、余剰のフラックスに起因する接合欠陥の発生を防止することができ、特許文献1記載の方法のように、両金属部材の接合面にフラックス排出用の溝を形成する必要はない。その結果、両金属部材の接合面の接合面積の減少、および接合面積の減少に起因するろう付強度の低下を防止することができる。
上記3)のろう付方法によれば、ろう付時に保持凹部内で溶融したフラックスおよび溶融したろう材は、保持凹部から溢れ出て流れ推進用凹溝内に入り、毛細管力により流れ推進用凹溝の長さ方向に流れることによって両金属部材の接合面の全体に行き渡る。また、溶融したろう材は、毛細管力により流れ推進用凹溝の長さ方向に流れることによって両金属部材の接合面の全体に行き渡り、流れ推進用凹溝内に保持された状態で凝固する。したがって、溶融フラックスおよび溶融ろう材が両金属部材の接合面の全体に行き渡ることになって、接合不良の発生を防止することができる。しかも、保持凹部内には最小必要限量のフラックスを配置しておくだけでよいので、余剰のフラックスに起因する接合欠陥の発生を防止することができ、特許文献1記載の方法のように、両金属部材の接合面にフラックス排出用の溝を形成する必要はない。その結果、両金属部材の接合面の接合面積の減少、および接合面積の減少に起因するろう付強度の低下を防止することができる。
上記4)のろう付方法によれば、流れ推進用凹溝により発生する毛細管力が大きくなり、溶融フラックスや、溶融フラックスおよび溶融ろう材を、両金属部材の接合面の全体に確実に行き渡らせることができる。
上記5)のろう付方法によれば、溶融フラックスや、溶融フラックスおよび溶融ろう材を、両金属部材の接合面の全体に効率良く行き渡らせることができる。
上記6)のろう付方法によれば、溶融フラックスや、溶融フラックスおよび溶融ろう材を、両金属部材の接合面の全体に効率良く行き渡らせることができる。
上記7)の熱交換器によれば、付属部品のヘッダタンクへの接合強度が高強度になる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明によるろう付方法を、フロン系冷媒を使用したカーエアコンのコンデンサのヘッダタンクへの入口部材および出口部材の接合に適用したものである。
なお、以下の説明において、図1の上下、左右を上下、左右というものとし、通風方向下流側(図1に矢印Xで示す方向、および図2の上側)を前、これと反対側を後というものとする。また、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。さらに、全図面において、フラックスおよびろう材の図示は省略する。
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1は付属備品である入口部材および出口部材が、この発明の方法によりヘッダタンクに接合されたカーエアコン用コンデンサの全体構成を示し、図2はその要部の構成を示す。また、図3はコンデンサの製造方法を示す。
図1および図2において、カーエアコン用のコンデンサ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のアルミニウム製ヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間において幅方向を通風方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(2)(3)にろう付された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(4)と、隣り合う熱交換管(4)どうしの間、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側に配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)と、左側ヘッダタンク(2)に面接合されたアルミニウムベア材製入口部材(8)と、右側ヘッダタンク(3)に面接合されたアルミニウムベア材製出口部材(9)とを備えている。ここで、入口部材(8)および出口部材(9)が付属部品である。
左側ヘッダタンク(2)は、高さ方向の中央部よりも上方において仕切部材(7)により上下2つのヘッダ部(2a)(2b)に仕切られ、右側ヘッダタンク(3)は、高さ方向の中央部よりも下方において仕切部材(7)により上下2つのヘッダ部(3a)(3b)に仕切られている。左側ヘッダタンク(2)の上ヘッダ部(2a)に流体入口(10)が形成され、右側ヘッダタンク(3)の下ヘッダ部(3b)に流体出口(図示略)が形成されている。
左右のヘッダタンク(2)(3)は、少なくとも外面にろう材層を有するアルミニウム製パイプ、たとえば両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる素板が筒状に成形されるとともに両側縁部が部分的に重ね合わされて相互にろう付されたろう付パイプからなり、かつ前後方向に長い複数の管挿通穴(13)を有するタンク本体(11)と、タンク本体(11)の両端にろう付されてその両端開口を閉鎖するアルミニウム製閉鎖部材(12)とからなる。左側ヘッダタンク(2)のタンク本体(11)における上ヘッダ部(2a)を構成する部分に流体入口(10)が形成され、右側ヘッダタンク(3)のタンク本体(11)における下ヘッダ部(3b)を構成する部分に流体出口(図示略)が形成されている。左側ヘッダタンク(2)のタンク本体(11)における入口部材(8)を面接合する接合面(14)は、タンク本体(11)の外周面の左側部分における流体入口(10)を含んだ位置に設けられており、所定の大きさを有している。また、右側ヘッダタンク(3)のタンク本体(11)における出口部材(9)を面接合する接合面(図示略)は、タンク本体(11)の外周面の右側部分における流体出口を含んだ位置に設けられており、所定の大きさを有している。
熱交換管(4)の左右両端部は、左右両ヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)の管挿通穴(13)に挿入された状態で両ヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)にろう付されている。
入口部材(8)はブロック状であって、左側ヘッダタンク(2)のタンク本体(11)の流体入口(10)に通じる冷媒流入路(8a)を有している。また、入口部材(8)は、左側ヘッダタンク(2)のタンク本体(11)の接合面(14)に面接合される部分円筒面状の接合面(15)を有している。冷媒流入路(8a)の一端は入口部材(8)の後側面に開口し、同他端は入口部材(8)の接合面(15)に、流体入口(10)と合致するように開口している。入口部材(8)の接合面(15)の上下方向の中央部には、前後方向にのびかつ入口部材(8)をタンク本体(11)にろう付する際に用いられるフラックスを保持する保持凹部(16)が形成されている。また、図2での図示は省略したが、入口部材(8)の接合面には、保持凹部(16)と直角をなすように上下方向にのびて接合面(15)の全高にわたり、かつ入口部材(8)をタンク本体(11)にろう付する際に溶融フラックスを流す流れ推進用凹溝が、相互に間隔をおくとともに接合面(15)の全体にわたって形成されている。図示は省略したが、入口部材(8)がタンク本体(11)にろう付された状態においては、流れ推進用凹溝内は凝固したろう材により完全に埋められているが、保持凹部(16)はろう材により完全に埋められていない。
出口部材(9)はブロック状であって、右側ヘッダタンク(3)のタンク本体(11)の流体出口に通じる流体流出路(9a)を有している。また、図示は省略したが、出口部材(9)は、右側ヘッダタンク(3)のタンク本体(11)の接合面に面接合される部分円筒面状の接合面を有している。冷媒流出路(9a)の一端は出口部材(9)の後側面に開口し、同他端は出口部材(9)の接合面に、流体出口と合致するように開口している。出口部材(9)の接合面の上下方向の中央部には、入口部材(8)の接合面(15)と同様に、前後方向にのびかつ出口部材(9)をタンク本体(11)にろう付する際に用いられるフラックスを保持する保持凹部が形成されている。また、出口部材の接合面には、入口部材(8)の接合面(15)と同様に、保持凹部と直角をなすように上下方向にのびて接合面の全高にわたり、かつ出口部材(9)をタンク本体(11)にろう付する際に溶融フラックスを流す流れ推進用凹溝が、相互に間隔をおくとともに接合面の全体にわたって形成されている。出口部材(9)がタンク本体(11)にろう付された状態においては、流れ推進用凹溝内は凝固したろう材により完全に埋められているが、保持凹部はろう材により完全に埋められていない。
以下、コンデンサ(1)の製造方法について、図3を参照して説明する。
まず、ヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)形成用の1対のアルミニウム製筒状体(18)、閉鎖部材(12)、複数のアルミニウム製熱交換管(4)、複数のアルミニウム製コルゲートフィン(5)、1対のアルミニウム製サイドプレート(6)、アルミニウムベア材製入口部材(8)、およびアルミニウムベア材製出口部材(9)を用意する。
各筒状体(18)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる素板(19)が筒状に成形されるとともに両側縁部が部分的に重ね合わされたものである。筒状体(18)における素板(19)の両側縁部どうしの重ね合わせ部に流体入口(10)が形成されている。また、筒状体(18)における素板(19)の両側縁部どうしの重ね合わせ部とは反対側の部分に、複数の管挿通穴(13)が形成されている。
入口部材(8)は冷媒流入路(8a)および接合面(15)を有している。入口部材(8)の接合面(15)の上下方向の中央部に、前後方向にのびる直線状で、かつフラックスを保持する保持凹部(16)を形成する。また、入口部材(8)の接合面(15)に、保持凹部(16)と直角をなすように上下方向にのびて接合面(15)の全高にわたり、かつ入口部材(8)を筒状体(18)からなるタンク本体(11)にろう付する際に溶融フラックスを流す複数の流れ推進用凹溝(17)とを形成しておく。保持凹部(16)の開口部の寸法および深さは、入口部材(8)と筒状体(18)からなるタンク本体(11)とのろう付の際に必要とされるフラックスが入るような大きさとしておく。また、流れ推進用凹溝(17)の深さは、流れ推進用凹溝(17)が形成されることにより粗面となされた接合面(15)の表面粗さが、平均粗さで1〜200μmとなるような大きさにしておくことが好ましい。接合面の平均粗さが1μm未満であると毛細管力による溶融フラックスの流れを促進する効果が不十分の場合があり、200μmを超えるとろう材により流れ推進用凹溝(17)を完全に埋めることができない場合があり、接合強度が低下するおそれがある。
図示は省略したが、出口部材(9)は冷媒流出路(9a)および接合面を有している。出口部材(9)の接合面にも、入口部材(8)と同様に、前後方向にのびる直線状であり、かつフラックスを保持する保持凹部と、保持凹部と直角をなすように上下方向にのびて接合面の全高にわたり、かつ出口部材(9)を筒状体(18)からなるタンク本体(11)にろう付する際に溶融フラックスを流す複数の流れ推進用凹溝とを形成しておく。保持凹部の開口部の寸法および深さは、出口部材(9)と筒状体(18)からなるタンク本体(11)とのろう付の際に必要とされるフラックスが入るような大きさとしておく。また、流れ推進用凹溝の深さは、流れ推進用凹溝が形成されることにより粗面となされた接合面の表面粗さが、入口部材(8)の場合と同様な理由により、平均粗さで1〜200μmとなるような大きさにしておくことが好ましい。
ついで、入口部材(8)および出口部材(9)の保持凹部(16)内にフラックスを配置する。フラックスの配置は、フラックス粉末70〜90重量部とバインダ30〜10重量部との混練物を充填すること(なお、両者は合計で100重量部となる)、フラックス粉末の懸濁液を保持凹部(16)内に塗布した後乾燥させること、フラックス粉末を充填して圧粉することなどにより行われる。
ついで、各筒状体(18)内の適当な位置に仕切部材(7)を配置した後、1対の筒状体(18)を間隔をおいて配置するとともに、両筒状体(18)の両端に閉鎖部材(12)を配置する。また、熱交換管(4)とコルゲートフィン(5)とを交互に配置し、熱交換管(4)の両端部を筒状体(18)の管挿通穴(13)に挿入する。また、両端のコルゲートフィン(5)の外側にサイドプレート(6)を配置し、さらに入口部材(8)および出口部材(9)を配置する。また、筒状体(18)からなるタンク本体(11)と閉鎖部材(12)とのろう付予定部、筒状体(18)からなるタンク本体(11)と熱交換管(4)とのろう付予定部、熱交換管(4)とコルゲートフィン(5)とのろう付予定部、およびコルゲートフィン(5)とサイドプレート(6)とのろう付予定部にも適当な方法によってフラックスを付着させる。
その後、これらを所定温度に加熱し、筒状体(18)における素板(19)の両側縁部どうしをろう付してタンク本体(11)を製造するとともに、タンク本体(11)と閉鎖部材(12)とをろう付してヘッダタンク(2)(3)を製造し、熱交換管(4)とヘッダタンク(2)(3)、熱交換管(4)とコルゲートフィン(5)、およびコルゲートフィン(5)とサイドプレート(6)とを一括してろう付し、これと同時にヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)の接合面(14)と入口部材(8)および出口部材(9)の接合面(15)とを面ろう付する。こうして、コンデンサ(1)が製造される。
上述したコンデンサ(1)の製造の際の全部品の一括ろう付時には、入口部材(8)および出口部材(9)の保持凹部(16)内で溶融したフラックスは、保持凹部(16)から溢れ出て流れ推進用凹溝(17)内に入り、毛細管力により流れ推進用凹溝(17)の長さ方向に流れることによって入口部材(8)および出口部材(9)の接合面(15)と筒状体(18)からなるタンク本体(11)の接合面(14)の全体に行き渡る。また、筒状体(18)を形成する素板(19)から溶融したろう材は入口部材(8)および出口部材(9)の接合面(15)と筒状体(18)からなるタンク本体(11)の接合面(14)の全体において、流れ推進用凹溝(17)内に保持された状態で凝固する。したがって、溶融フラックスおよび溶融ろう材が入口部材(8)および出口部材(9)の接合面(15)と筒状体(18)からなるタンク本体(11)の接合面(14)との全体に行き渡ることになって、接合不良の発生を防止することができる。
図4〜図6は入口部材のフラックスを充填する保持凹部の変形例を示す。
図4に示す入口部材(8)の保持凹部(20)は、接合面(15)の上下両端寄りの部分にそれぞれ形成されており、前後方向にのびる直線状となっている。各保持凹部(20)の開口部の寸法および深さは、両保持凹部(20)内に入れられるフラックスの量が、入口部材(8)とパイプ本体(11)とのろう付の際に必要とされる量となるような大きさとしておく。
図5に示す入口部材(8)の保持凹部(25)は、接合面(15)の上下両端寄りの部分にそれぞれ形成されており、前後方向にのびるように形成された直線部(26)と、直線部(26)の前後両端部に形成されかつ直線部(26)の幅よりも大きな直径を有する2つの円形部(27)とからなる。各保持凹部(25)の開口部の寸法および深さは、両保持凹部(25)内に入れられるフラックスの量が、入口部材(8)とパイプ本体(11)とのろう付の際に必要とされる量となるような大きさとしておく。
図6に示す入口部材(8)の保持凹部(30)は、接合面(15)の上下両端寄りの部分において、それぞれ前後方向にのびる一直線上に並ぶように複数形成されている。各保持凹部(30)の開口部の寸法および深さは、全保持凹部(30)内に入れられるフラックスの量が、入口部材(8)とパイプ本体(11)とのろう付の際に必要とされる量となるような大きさとしておく。
なお、出口部材も、図4〜図6に示す入口部材(8)と同様な構成な保持凹部が形成されることがある。
上記実施形態においては、ヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)を形成する筒状体(18)が、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる素板(19)により形成されているので、入口部材(8)および出口部材(9)の保持凹部(16)内にはフラックスのみを配置しているが、ヘッダタンク(2)(3)のタンク本体(11)を形成する筒状体(18)の外周面にろう材層が存在しない場合には、入口部材(8)および出口部材(9)の保持凹部(16)内にはフラックスとアルミニウムろう材との混合物を配置する。混合物の配置は、フラックス粉末とろう材粉末とからなる混合物粉末70〜90重量部とバインダ30〜10重量部との混練物を充填すること、フラックス粉末とろう材粉末とからなる混合物粉末の懸濁液を保持凹部(16)内に塗布した後乾燥させること、フラックス粉末とろう材粉末とからなる混合物粉末を充填して圧粉することなどにより行われる。上記混合物粉末は、フラックス粉末50〜70重量部と、ろう材粉末50〜30重量部とからなることが好ましい(なお、両者は合計で100重量部となる)。
上記実施形態は、この発明による金属部材のろう付方法を、コンデンサのヘッダタンクのタンク本体への入口部材(8)および出口部材の接合に適用したものであるが、これに限定されるものではない。
この発明によるろう付方法によって入口部材および出口部材をヘッダタンクのタンク本体に面接合したカーエアコンのコンデンサの全体構成を示す斜視図である。 図1のコンデンサの入口部材の部分の水平拡大断面図である。 この発明のろう付方法を含む図1に示すコンデンサの製造方法の一部の工程を示す部分分解斜視図である。 入口部材に形成する保持凹部の変形例を示す斜視図である。 入口部材に形成する保持凹部の他の変形例を示す斜視図である。 入口部材に形成する保持凹部のさらに他の変形例を示す斜視図である。
符号の説明
(1):コンデンサ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(5):コルゲートフィン
(8):入口部材(付属部品)
(9):出口部材(付属部品)
(14):接合面
(15):接合面
(16)(20)(25)(30):保持凹部
(17):流れ推進用溝

Claims (7)

  1. 2つの金属部材の接合面どうしを面接合するろう付方法であって、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、フラックスを保持する保持凹部を形成するとともに、両金属部材の接合面のうちいずれか一方の接合面に、毛細管力により溶融フラックスを流す流れ推進用凹溝を当該接合面の全体にわたって形成し、保持凹部内にフラックスを配置した状態で、両金属部材の接合面どうしをろう付する金属部材のろう付方法。
  2. 両金属部材の接合面どうしのろう付を、流れ推進用凹溝が形成されていない金属部材の接合面に設けられたろう材層を用いて行う請求項1記載の金属部材のろう付方法。
  3. 2つの金属部材の接合面どうしを面接合するろう付方法であって、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、フラックスおよびろう材を保持する保持凹部を形成するとともに、両金属部材の接合面のうち少なくともいずれか一方の接合面に、毛細管力により溶融フラックスおよび溶融ろう材を流す流れ推進用凹溝を当該接合面の全体にわたって形成し、保持凹部内にフラックスおよびろう材を配置した状態で、両金属部材の接合面どうしを、保持凹部内のろう材を利用してろう付する金属部材のろう付方法。
  4. 流れ推進用凹溝が形成された接合面の中心線平均粗さRaが1〜200μmである請求項1〜3のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
  5. 保持凹部を直線状に形成し、流れ推進用凹溝を保持凹部と直角をなすように形成する請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
  6. 複数の保持凹部を一直線上に並ぶように間隔をおいて形成し、流れ推進用凹溝を保持凹部が並んだ直線と直角をなすように形成する請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属部材のろう付方法。
  7. 互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に並列状に配置されかつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたフィンと、ヘッダタンクに接合された付属部品とを備えており、ヘッダタンクと付属部品との接合が請求項1〜6に記載のろう付方法により行われている熱交換器。
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