JP2010017632A - リン酸含有水の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FPD製造排水等のリン酸、硝酸及び酢酸などの有機酸を含む排水を、カルシウム化合物を用いるリン酸除去処理と、その後のRO膜分離処理により、スケール析出等のトラブルを引き起こすことなく、また、薬剤使用量を抑えた上で効率的に処理する。
【解決手段】リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整し、析出したリン酸アパタイトを固液分離し、分離水に酸を添加してpH5.5以下にpH調整するか、或いは、脱カルシウム処理した後、RO膜分離処理するリン酸含有水の処理方法。このRO膜濃縮水は更に脱窒処理される。
【選択図】図1
【解決手段】リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整し、析出したリン酸アパタイトを固液分離し、分離水に酸を添加してpH5.5以下にpH調整するか、或いは、脱カルシウム処理した後、RO膜分離処理するリン酸含有水の処理方法。このRO膜濃縮水は更に脱窒処理される。
【選択図】図1
Description
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造排水等の、リン酸及び硝酸と酢酸等の有機酸を含有する水の処理方法及び処理装置に関する。
FPD製造排水には、リン酸、硝酸、酢酸などが含まれており、この排水を排出するには、これらを除去する必要がある。
従来、FPD製造排水の処理法としては、まず排水中のリン酸を除去した後、生物脱窒処理により硝酸、酢酸を除去することが行われている。
排水中のリン酸は、排水に消石灰等のカルシウム化合物を高濃度に添加して、1段目でpH5.5〜8.0.望ましくは6.5〜7.5の条件で凝集処理し、2段目で1段目よりも高pHで、pH11以下、好ましくは8.7以下の条件で凝集処理する2段階での中和凝集処理を行って、リン酸をリン酸アパタイトとして除去することが行われている(特許文献1)。
即ち、排水中のリン酸をカルシウム化合物と反応させて凝集沈殿させる方法で、リン酸を排水基準値まで高度に除去するためには、pHアルカリ領域でリン酸とカルシウム化合物とを反応させてリン酸アパタイト(ヒドロキシアパタイト)の沈殿物を形成させる必要があることから、従来においてはpHアルカリ性の条件での凝集処理が行われている。図2は、リン酸アパタイトの溶解度とpHとの関係を示すグラフであり、このグラフからも明らかなように、リン酸を高度に除去するためには、pH8.5程度とすることが好ましい。
しかし、排水にカルシウム化合物を添加してpHアルカリ性で反応させてリン酸を除去した後、生物脱窒処理して得られる処理水中には、生物の代謝物や多量のカルシウムイオンと少量のリン酸イオンが含まれている。このような生物脱窒処理水から水を回収するに当たり、水回収効率に優れた逆浸透(RO)膜分離装置を適用すると、微生物によるファウリングや、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム系スケールの析出の問題があり、適用困難である。また、カルシウム化合物添加によるリン酸除去工程のpHが高い上に、生物脱窒反応におけるアルカリ生成のために、生物脱窒工程において、中和のための多量の酸添加が必要となる。また、このために、得られる生物脱窒処理水を更に脱塩処理する場合の塩負荷が高いという問題もあった。
なお、リン酸とカルシウム化合物との反応により生成したリン酸アパタイトは、人工歯根や人工骨用原料、吸着剤、各種触媒、湿度センサー等としての用途に適用しうることから、リン酸含有水の処理に当っては、リン酸アパタイトを高純度で回収することが望まれるが、pHアルカリ性の条件下では、水中の炭酸イオンとカルシウムイオンとが結合し易くなり、炭酸カルシウムが生成し、この炭酸カルシウムがリン酸アパタイト中に混入してリン酸アパタイトの純度を低下させるという問題もある。
特開2004−261640号公報
本発明は上記従来の問題点を解決し、FPD製造排水等の、リン酸、硝酸及び酢酸などの有機酸を含む排水を、カルシウム化合物を用いるリン酸除去処理と、その後のRO膜分離処理により、スケール析出等のトラブルを引き起こすことなく、また、薬剤使用量を抑えた上で効率的に処理する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カルシウム化合物を添加するリン酸除去処理を低pH条件で行うことにより、脱水性の良いリン酸アパタイトを生成させると共に、これを固液分離して得られる分離水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整した後、RO膜分離処理することにより、RO膜分離処理におけるスケール障害を防止した上で、水回収効率に優れたRO膜分離装置の適用が可能となること、更に、このRO膜濃縮水を生物脱窒処理することにより中和剤の添加量を削減した上で水処理することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] リン酸と硝酸及び有機酸を含有するリン酸含有水の処理方法であって、該リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整する反応工程と、該反応工程で析出したリン酸アパタイトを固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程で固液分離した分離水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整する水質調整工程と、該水質調整工程からの水質調整水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離工程とを含むことを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
[2] [1]において、前記水質調整工程が、前記分離水に酸を添加してpH5.5以下に調整するpH水質調整工程であることを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
[3] [1]において、前記水質調整工程が、前記分離水からカルシウムを除去する脱カルシウム工程であることを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記逆浸透膜分離工程で得られる濃縮水を生物脱窒処理する生物脱窒工程を含むことを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記固液分離工程で分離した汚泥の一部を前記反応工程に返送する汚泥返送工程を有することを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
[6] リン酸と硝酸及び有機酸を含有するリン酸含有水の処理装置であって、該リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整する反応手段と、該反応手段で析出したリン酸アパタイトを固液分離する固液分離手段と、該固液分離手段で固液分離した分離水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整する水質調整手段と、該水質調整手段からの水質調整水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離手段とを含むことを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
[7] [6]において、前記水質調整手段が、前記分離水に酸を添加してpH5.5以下に調整するpH水質調整手段であることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
[8] [6]において、前記水質調整手段が、前記分離水からカルシウムを除去する脱カルシウム手段であることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
[9] [6]ないし[8]のいずれかにおいて、前記逆浸透膜分離手段で得られる濃縮水を生物脱窒処理する生物脱窒手段を含むことを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
[10] [6]ないし[9]のいずれかにおいて、前記固液分離手段で分離した汚泥の一部を前記反応手段に返送する汚泥返送手段を有することを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
本発明においては、リン酸含有水にカルシウム化合物を添加してpH6.5以下の低pH条件で反応を行うことにより、リン酸を脱水性の良いリン酸アパタイトとして析出させ、これを固液分離して除去する。
この低pH条件下でのリン酸除去処理では、リン酸が若干量残留するが、残留したリン酸は、その後のRO膜分離処理で除去することができる。
また、この低pH条件下では、炭酸カルシウムの生成が抑えられ、炭酸カルシウムの混入のない高純度のリン酸アパタイトを回収することができる。
また、この低pH条件下では、炭酸カルシウムの生成が抑えられ、炭酸カルシウムの混入のない高純度のリン酸アパタイトを回収することができる。
なお、高濃度のリン酸と水酸化カルシウム等のカルシウム化合物とを混合すると、微細なリン酸アパタイト結晶が生成し、このような微細な結晶では良好な固液分離性が得られないが、分離汚泥(リン酸アパタイト結晶)をこの反応系に返送することにより、この返送汚泥を核としてその表面にリン酸アパタイトが析出し、大きな結晶に成長させることができ、良好な固液分離性を得ることができる(請求項5,10)。
本発明では、このリン酸除去処理で得られる処理水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整した後、RO膜分離処理することにより、RO膜分離装置でのスケール障害を防止して長期に亘り安定な処理を行える。この水質調整は、具体的には、リン酸除去処理水に、酸を添加してpH5.5以下に調整する(請求項2,7)、或いはリン酸除去処理水からカルシウムを除去する(請求項3,8)ことにより行われる。
即ち、図2からも明らかなように、pH5.5以下の条件では、リン酸アパタイトの溶解度が飛躍的に大きくなるため、リン酸アパタイトの析出の問題はなく、また、同様に炭酸カルシウム等のカルシウム系スケールの析出も抑制される。
また、脱カルシウム処理によってもカルシウム系スケールの析出を防止することができる。
ところで、通常、本発明で対象とするリン酸含有水中の硝酸、酢酸は、それぞれ硝酸カルシウム、酢酸カルシウムとして存在するため、生物脱窒工程では、以下の反応で、硝酸、酢酸が分解除去され、従って、脱窒反応系のpHが上昇する。
8Ca(NO3)2+5(CH3COO)2Ca
→8N2+13Ca(OH)2+20CO2+2H2O
→8N2+10Ca(HCO3)2+3Ca(OH)2+2H2O
→8N2+6CaCO3(沈殿)+7Ca(HCO3)2+5H2O
→8N2+13Ca(OH)2+20CO2+2H2O
→8N2+10Ca(HCO3)2+3Ca(OH)2+2H2O
→8N2+6CaCO3(沈殿)+7Ca(HCO3)2+5H2O
このため、生物脱窒処理では、このpH上昇分を中和するための酸添加が必要となる。
一方、pH5.5以下の酸性条件でのRO膜分離処理では、酢酸、硝酸とも酸の形でRO膜濃縮水中に濃縮されるため、この濃縮水を生物脱窒処理した場合(請求項4,9)、脱窒反応は以下の反応が主体となり、pHの上昇は殆ど起こらない。このため、中和のための酸添加は不要となり、薬剤使用量を軽減することができる。
8HNO3+5CH3COOH→4N2+10CO2+14H2O
8HNO3+5CH3COOH→4N2+10CO2+14H2O
以下に図面を参照して本発明のリン酸含有水の処理方法及び処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のリン酸含有水の処理装置の実施の形態を示す系統図であり、1は反応槽、2は沈殿槽、3は濾過器、4はpH調整槽、5はRO膜分離装置、6は生物脱窒槽である。
本発明で処理対象とするリン酸含有水(以下「原水)と称す。)は、リン酸と、硝酸と酢酸等の有機酸を含む水であり、例えば、液晶製造排水等のFPD製造排水、半導体製造排水又はアルミ電解コンデンサー製造排水等が挙げられる。その水質としては特に制限はないが、通常、以下のような水質である。
<原水水質>
pH:1.5〜2.5
H3PO4−P:200〜2000mg−P/L
HNO3 :30〜600mg/L
CH3COOH:30〜600mg/L
pH:1.5〜2.5
H3PO4−P:200〜2000mg−P/L
HNO3 :30〜600mg/L
CH3COOH:30〜600mg/L
本発明においては、このような原水に、反応槽1でまずカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整する。
原水に添加するカルシウム化合物としては特に制限はなく、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、塩化カルシウム等を用いることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。ただし、塩化カルシウムは塩素イオンが増えるため、あまり好ましくない。
カルシウム化合物の添加量は、原水中のリン酸濃度に応じて適宜決定され、通常、原水中のリン酸の反応当量の0.9〜0.99倍程度、例えばカルシウム化合物が水酸化カルシウムの場合には、原水中のリン酸のP換算重量に対して1.9〜2.1重量倍程度とすることが好ましい。カルシウム化合物添加量が少な過ぎると、リン酸を十分に除去し得ず、多過ぎると後段の負荷が増大し、好ましくない。
原水にカルシウム化合物を添加して反応させる際の反応系のpHが6.5より高いと、後段の生物脱窒工程でスケール障害が発生する。ただし、このpH値が過度に低く、5.5未満であると、リン酸アパタイトが析出し難くなる。従って、このpH値は5.5〜6.5、特に6.0〜6.5とすることが好ましい。従って、カルシウム化合物の添加と共に、必要に応じて酸又はアルカリを添加することにより、このpH範囲にpH調整する。
このようなpH条件での反応では、高pH条件での反応のように、原水中のリン酸を高度に除去することはできず、8〜90mg−P/L程度のリン酸が残留するが、このリン酸は、後段のRO膜分離処理で除去されるため、問題になることはない。
通常、リン酸、硝酸、酢酸等の有機酸を含む本発明の処理対象原水は、上述の如く強酸性の水であるため、pH調整剤としてはアルカリを添加することになる。従って、カルシウム化合物として、アルカリ剤である水酸化カルシウムを用い、pH調整とカルシウム化合物添加とを兼用することが好ましい。
反応時間には特に制限はないが、反応槽1での滞留時間が5〜30分程度となるようにすることが好ましい。
なお、前述の如く、カルシウム化合物の添加のみでは、微細なリン酸アパタイト結晶が生成し、十分な固液分離性が得られないことから、図1の装置では、後段の沈殿槽2の固液分離汚泥の一部を反応槽1に返送する。
このように汚泥返送を行うことにより、リン酸アパタイトの結晶が、返送された汚泥の表面で析出して粗大化するため、良好な固液分離性が得られるようになる。
この汚泥返送量は、少な過ぎると汚泥を返送することによる上記効果を十分に得ることができず、多過ぎると必要とする反応槽容量が大きくなるため好ましくない。通常の場合、汚泥返送量は、その固形分として、原水にカルシウム化合物を添加することにより生成するリン酸アパタイトの量の5〜50倍程度とすることが好ましい。
なお、返送汚泥は、原水に添加するカルシウム化合物の一部又は全部と予め混合して原水に添加しても良い。
反応槽1の反応液は、沈殿槽2に送給され固液分離され、分離汚泥は、その一部が反応槽1に返送され、残部は余剰汚泥として系外へ排出される。この余剰汚泥は比較的純度の高いリン酸アパタイトを含むものであり、各種用途への適用が可能である。
一方、分離水は、濾過器3で更にSS分が除去された後、pH調整槽4に送給される。この濾過器3は、RO膜分離装置5の目詰まりを防止するためのフィルターとしての役割を担うものであり、下向流砂濾過器等を用いることができる。また、濾過器3は、pH調整槽4とRO膜分離装置5との間に設けても良い。
濾過器3からの濾過水は、pH調整槽4内で酸が添加され、pH5.5以下、好ましくはpH4.0〜5.5に調整される。この調整pHが5.5より高いと、後段のRO膜分離装置5でカルシウム系スケールが問題となる。この調整pH値を過度に低くすることは、酸添加量が増加する上に腐食性の増大や後段のRO膜の脱塩率を低下させるので好ましくない。
従って、調整pH値は上記範囲とすることが好ましい。
従って、調整pH値は上記範囲とすることが好ましい。
このpH調整に用いる酸としては酢酸、硝酸などの、カルシウムと難溶性の塩を形成しない酸で、さらに、後段の脱窒処理で分解可能であることが好ましい。酢酸、硝酸のどちらを使うかは、脱窒処理で有効な硝酸性窒素量に対するBOD相当有機物量(C/N比)になるよう適宜選択される。
pH調整槽4でpH調整された水は、次いでRO膜分離装置5でRO膜分離処理される。このRO膜分離装置5のRO膜としては特に制限はなく、平膜、スパイラル膜、中空糸膜等を用いることができる。また、RO膜分離装置5の水回収率は30〜90%程度とすることが水の回収率向上の点で好ましい。
RO膜分離装置5の透過水は、リン酸含有水中のリン酸、硝酸、酢酸、カルシウム分等が除去された比較的水質の良好な水であるため、系外へ排出し、必要に応じて、更にイオン交換装置やRO膜分離装置、連続式電気脱イオン装置等で脱塩処理されて、水回収される。このRO膜透過水をイオン交換装置で脱塩処理する場合、この膜透過水は前段のリン酸除去処理及びRO膜分離処理で、十分に塩類が除去された水であるため、イオン交換樹脂の再生頻度を抑えることができる。このイオン交換装置の再生廃液は、RO膜分離装置5の濃縮水と共に生物脱窒処理することが好ましい。
RO膜分離装置5の濃縮水は、リン酸含有水中の硝酸、酢酸と、リン酸除去工程からの残留カルシウム分及びリン酸が濃縮された酸性の水であり、これをそのまま生物脱窒槽6に送給して生物脱窒処理する。この生物脱窒槽6においては、前述の如く、主に以下の反応式に従って、硝酸及び酢酸が分解除去される。また、リン酸も一部菌体に取り込まれる。この場合、硝酸、酢酸のいずれか一方が反応に不足する場合は、適宜不足分を添加する。
8HNO3+5CH3COOH→4N2+10CO2+14H2O
8HNO3+5CH3COOH→4N2+10CO2+14H2O
前述の如く、この脱窒反応において、pHの上昇はあるが、pHが上昇してもpH6〜8程度であり、また、RO膜濃縮水はpH5.5以下の酸性の水であるため、pH調整のための酸添加は不要である。
なお、図1において、脱窒反応槽6は、図示はしないが、生物反応槽と、生物反応槽からの生物処理液を固液分離する沈殿槽を備えるか、或いは分離膜を浸漬した膜浸漬型反応槽であり、この生物脱窒槽6からの固液分離液は濾過器で濾過された後、放流される。なお、生物処理液の固液分離に当たっては、硫酸バンド等の凝集剤を添加して凝集分離を行っても良い。
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、図1に示す方法に何ら限定されるものではない。例えば、濾過器3からの濾過水(リン酸除去処理水)の水質調整は、pH調整槽の他、カルシウムイオンを除去する手段として、脱カルシウム塔、H形カチオン交換塔等を用いても良い。
このうち、脱カルシウム塔4としては、カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換塔を用いることができ、この脱カルシウム塔において、濾過器の濾過水中のカルシウムイオンを除去することができる。
この場合、このカルシウム除去は、後段のRO膜分離装置5においてスケール障害が発生しない程度に実施されれば良く、従って、濾過器からの濾過水(リン酸除去処理水)の全量を脱カルシウム処理する必要はない。例えば、濾過水のうちの10〜90%程度を脱カルシウム塔に送給して脱カルシウム処理し、残部は直接後段のRO膜分離装置5に導入しても良い。このように、リン酸除去処理水の一部のみを脱カルシウム処理することにより、脱カルシウム塔の再生頻度を低減することができる。
なお、RO膜分離装置6でカルシウムスケールが生成しないカルシウム濃度とは、硝酸や酢酸の濃度条件によっても異なるが、例えば実施例1での水質でpH5.5〜6.5において、Caイオン濃度120mg/L以下であるので、RO膜分離装置5の流入水のCaイオン濃度が100mg/L以下となるように、脱カルシウム処理する割合を決定すれば良い。
なお、前述のpH調整と脱カルシウム処理とを併用することもできる。
このような脱カルシウム塔を用いた場合、濾過水の通水処理により、イオン交換能が飽和するため、定期的に再生剤(塩酸又は硝酸)で再生する必要がある。この再生廃液は原水に戻しても良い。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において処理した原水は、下記水質の液晶製造排水である。
<原水水質>
pH:2.0
H3PO4−P:1300mg−P/L
HNO3 :138mg/L
CH3COOH:127mg/L
<原水水質>
pH:2.0
H3PO4−P:1300mg−P/L
HNO3 :138mg/L
CH3COOH:127mg/L
[実施例1]
図1に示す装置により、上記原水の処理を行った。
反応槽1にて、原水に槽内の水のpHが6.5となるように水酸化カルシウムを添加して滞留時間15分で反応させた。このときの水酸化カルシウムの添加量は約5600mg/Lであった。この反応槽1には、後段の沈殿槽2の分離汚泥の一部を返送した。汚泥返送量は、固形分として、原水に水酸化カルシウムを添加して生成するリン酸アパタイト量の20重量倍とした。なお、この分離汚泥のリン酸アパタイト純度は高く、約95重量%程度であった。
図1に示す装置により、上記原水の処理を行った。
反応槽1にて、原水に槽内の水のpHが6.5となるように水酸化カルシウムを添加して滞留時間15分で反応させた。このときの水酸化カルシウムの添加量は約5600mg/Lであった。この反応槽1には、後段の沈殿槽2の分離汚泥の一部を返送した。汚泥返送量は、固形分として、原水に水酸化カルシウムを添加して生成するリン酸アパタイト量の20重量倍とした。なお、この分離汚泥のリン酸アパタイト純度は高く、約95重量%程度であった。
沈殿槽2の上澄水を濾過器3で濾過して得られた濾過水の水質は以下の通りであった。
<濾過水水質>
pH :6.5
H3PO4−P:10mg−P/L
HNO3 :138mg/L(2.2meq/L)
CH3COOH:127mg/L(2.1meq/L)
Caイオン :90mg/L(4.5meq/L)
<濾過水水質>
pH :6.5
H3PO4−P:10mg−P/L
HNO3 :138mg/L(2.2meq/L)
CH3COOH:127mg/L(2.1meq/L)
Caイオン :90mg/L(4.5meq/L)
この濾過水に、pH調整槽4で、硝酸を添加してpH5.5に調整し、pH調整水をRO膜分離装置5でRO膜分離処理した。RO膜分離装置5のRO膜としては日東電工(株)製「ES20」を用い、水回収率は80%とした。
このRO膜分離装置5の透過水の水質は表1示す通りであり、低純度純水として回収した。一方、濃縮水の水質は表1に示す通りであり、これをそのままHClによる中和処理を実施しながら生物脱窒槽6で脱窒処理し、脱窒処理水は、硫酸バンド100mg/Lを添加して沈殿分離し、濾過器で濾過後、放流した。この放流水の水質は表1に示す通りであり、本発明により、リン酸含有水を効率的に処理して、放流ないし回収可能な処理水を得ることができることが分かる。
[比較例1]
実施例1において、反応槽1において、原水に、槽内のpHが7.5となるように水酸化カルシウムを添加し(水酸化カルシウム添加量約5900mg/L)、濾過器3の濾過水をそのままRO膜分離装置5に通水したこと以外は同様にして処理を行った。
実施例1において、反応槽1において、原水に、槽内のpHが7.5となるように水酸化カルシウムを添加し(水酸化カルシウム添加量約5900mg/L)、濾過器3の濾過水をそのままRO膜分離装置5に通水したこと以外は同様にして処理を行った。
この結果、沈殿槽2で得られた沈降汚泥は、脱水性、リン酸アパタイト純度が悪い(リン酸アパタイト純度87重量%)ものであった。
また、濾過水の水質は表2に示す通りであった。
また、濾過水の水質は表2に示す通りであった。
この濾過水をRO膜分離装置5に直接通水してRO膜分離処理したところ、処理開始から50時間で膜フラックスが処理開始初期の50%以下となり、処理を継続し得なくなった。このRO膜モジュールを硝酸で洗浄したところ、カルシウム、リン酸などが溶出してきたため、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム系スケールが析出し、膜の目詰まりで膜フラックスが低下したことが判明した。
[実施例2]
実施例1において、反応槽1におけるpHが6.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5200mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
各工程での処理水水質を表3に示す。表3の通り、実施例1とほぼ同様の結果となった。
実施例1において、反応槽1におけるpHが6.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5200mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
各工程での処理水水質を表3に示す。表3の通り、実施例1とほぼ同様の結果となった。
[実施例3]
実施例1において、反応槽1におけるpHが5.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5200mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
なお、濾過水の残留カルシウム濃度が高いため、RO処理でのスケール生成を防止する目的で、RO供給水のpHを硝酸で4.0に調整して処理した。また、脱窒処理では、槽内にリン酸アパタイトの析出が観察され、更にNOの残留防止のためにメタノールの添加が必要となった。各工程での処理水水質を表4に示す。
実施例1において、反応槽1におけるpHが5.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5200mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
なお、濾過水の残留カルシウム濃度が高いため、RO処理でのスケール生成を防止する目的で、RO供給水のpHを硝酸で4.0に調整して処理した。また、脱窒処理では、槽内にリン酸アパタイトの析出が観察され、更にNOの残留防止のためにメタノールの添加が必要となった。各工程での処理水水質を表4に示す。
[比較例2]
実施例1において、反応槽1におけるpHが7.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5700mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
回収したリン酸アパタイトの純度は92%(実施例1,2,3では約95%)と低く、またpH調整槽4で用いるHCl使用量が増加した。各工程での処理水水質を表5に示す。
実施例1において、反応槽1におけるpHが7.0となるように水酸化カルシウムを添加した(水酸化カルシウム添加量5700mg/L)こと以外は同様にして処理を行った。
回収したリン酸アパタイトの純度は92%(実施例1,2,3では約95%)と低く、またpH調整槽4で用いるHCl使用量が増加した。各工程での処理水水質を表5に示す。
[比較例3]
実施例1において、pH調整槽4において、pH調整を行わず、そのままRO膜分離装置5に導入したこと以外は同様に処理を行った。
その結果、処理開始から100時間で膜フラックスが処理開始初期の50%以下となり、処理を継続し得なくなった。このRO膜モジュールを硝酸で洗浄したところ、カルシウム、リン酸などが溶出してきたため、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム系スケールが析出し、膜の目詰まりで膜フラックスが低下したことが判明した。
実施例1において、pH調整槽4において、pH調整を行わず、そのままRO膜分離装置5に導入したこと以外は同様に処理を行った。
その結果、処理開始から100時間で膜フラックスが処理開始初期の50%以下となり、処理を継続し得なくなった。このRO膜モジュールを硝酸で洗浄したところ、カルシウム、リン酸などが溶出してきたため、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム系スケールが析出し、膜の目詰まりで膜フラックスが低下したことが判明した。
1 反応槽
2 沈殿槽
3 濾過器
4 pH調整槽
5 RO膜分離装置
6 生物脱窒槽
2 沈殿槽
3 濾過器
4 pH調整槽
5 RO膜分離装置
6 生物脱窒槽
Claims (10)
- リン酸と硝酸及び有機酸を含有するリン酸含有水の処理方法であって、
該リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整する反応工程と、
該反応工程で析出したリン酸アパタイトを固液分離する固液分離工程と、
該固液分離工程で固液分離した分離水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整する水質調整工程と、
該水質調整工程からの水質調整水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離工程とを含むことを特徴とするリン酸含有水の処理方法。 - 請求項1において、前記水質調整工程が、前記分離水に酸を添加してpH5.5以下に調整するpH水質調整工程であることを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
- 請求項1において、前記水質調整工程が、前記分離水からカルシウムを除去する脱カルシウム工程であることを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記逆浸透膜分離工程で得られる濃縮水を生物脱窒処理する生物脱窒工程を含むことを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記固液分離工程で分離した汚泥の一部を前記反応工程に返送する汚泥返送工程を有することを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
- リン酸と硝酸及び有機酸を含有するリン酸含有水の処理装置であって、
該リン酸含有水にカルシウム化合物を添加すると共にpH6.5以下に調整する反応手段と、
該反応手段で析出したリン酸アパタイトを固液分離する固液分離手段と、
該固液分離手段で固液分離した分離水を、カルシウム系スケールが析出しない水質に調整する水質調整手段と、
該水質調整手段からの水質調整水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離手段とを含むことを特徴とするリン酸含有水の処理装置。 - 請求項6において、前記水質調整手段が、前記分離水に酸を添加してpH5.5以下に調整するpH水質調整手段であることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
- 請求項6において、前記水質調整手段が、前記分離水からカルシウムを除去する脱カルシウム手段であることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
- 請求項6ないし8のいずれか1項において、前記逆浸透膜分離手段で得られる濃縮水を生物脱窒処理する生物脱窒手段を含むことを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
- 請求項6ないし9のいずれか1項において、前記固液分離手段で分離した汚泥の一部を前記反応手段に返送する汚泥返送手段を有することを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008179149A JP2010017632A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | リン酸含有水の処理方法及び処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008179149A JP2010017632A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | リン酸含有水の処理方法及び処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010017632A true JP2010017632A (ja) | 2010-01-28 |
Family
ID=41703037
Family Applications (1)
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JP2008179149A Pending JP2010017632A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | リン酸含有水の処理方法及び処理装置 |
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JP (1) | JP2010017632A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109569888A (zh) * | 2018-11-30 | 2019-04-05 | 广东省资源综合利用研究所 | 一种含稀有金属磷灰石的浮选废水回用方法 |
JP2019141801A (ja) * | 2018-02-22 | 2019-08-29 | オルガノ株式会社 | 水処理方法および水処理装置 |
-
2008
- 2008-07-09 JP JP2008179149A patent/JP2010017632A/ja active Pending
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