JP2010013685A - 溶銑脱りん方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転炉型の精錬容器を用いた溶銑脱りん方法において、簡便な方法で炉内脱りん反応の進行度合いを一定の範囲内に制御し、処理後のP濃度のばらつきの少ない効率的な溶銑脱りん方法を提供する。
【解決手段】転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん処理方法において、排ガスの分析値と排ガス流量から所定の式により計算される脱炭酸素効率の実績値が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする溶銑脱りん方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、転炉型の精錬容器を用いた溶銑予備処理方法に関するものである。
溶銑の脱りん、脱炭を、すべて、同一の転炉内で同時に行う転炉製鋼法にかわり、脱炭に先立って、溶銑の脱りんを、脱炭とは別の容器で行う溶銑予備処理方法が広く用いられるようになった。その方法には、いくつかの形式があるが、最近では、転炉型の精錬容器を用いて脱りんを行う溶銑予備処理が広く用いられるようになってきた。
転炉型では、フリーボードが大きいため、スラグフォーミングの制約も少なくなり、送酸速度を高めることができ、さらに、その特徴である強攪拌とあいまって、脱りん反応を高速で進行させることが可能である。この結果、脱りん処理時間は10分未満となり、4〜7分という短時間処理も可能となってきた。
しかしながら、このように短時間で処理を行うようになると、反応速度が速いため、処理の終了点を判断することが難しくなる。一般に、脱りん処理の制御方法は、処理前の溶銑成分や温度などからあらかじめ設定した条件で処理を行うだけの「静的(スタティック)」なものだけである。
この方法によれば、反応速度の遅い従来の精錬容器での処理では、制御因子(たとえば時間や酸素原単位など)に対するP濃度の変化が小さいため、目標とする処理後りん濃度に対して、実際の処理後りん濃度の誤差は小さいが、転炉型のような反応速度が速い処理の場合は、大きな誤差を生むことになる。
この結果、転炉型での脱りん処理では、処理後りん濃度のばらつきが、他の精錬容器での脱りん処理に比べて大きい。このため、目標りん濃度を満足させるためには、過剰に脱りんする条件での処理とならざるを得ず、フラックス原単位の増加、処理後炭素濃度の低下などを招くなどの課題があった。
このような課題に対し、処理中の情報に基づいて、動的に溶銑脱りん処理を制御する方法として、排ガス情報に基づいて処理を制御する方法が、特許文献1などに開示されている。
この方法は、精錬容器内に保持した溶銑中に、精錬用フラックスを、キャリアガスと共に吹き込み、溶銑から脱りんする溶銑予備処理において、処理中に、排ガスの温度、及び/又は、CO濃度とCO2濃度を逐次測定し、該測定値に基づき、脱炭反応が盛んになる時期を判断する指標を選択あるいは求め、該指標の値に応じて、精錬用フラックス及び/又はキャリアガスの供給速度を変化させることを特徴とする溶銑の脱りん方法である。
この方法が対象とする精錬容器は、特に限定されていないが、「キャリアガスとともに吹き込む」と記述されているように、インジェクション方式が前提となっていることから、トピードカーや鍋が対象とされている。
つまり、この方法は、攪拌の弱い、反応速度の遅い状態での処理が対象であり、その技術思想は、りん濃度の低下によって、りんの酸化速度が低下し、炭素の酸化速度が大きくなる変化点を、排ガス情報を分析することで判定し、フラックスおよびキャリアガスの供給速度を変化させることである。
これに対して、転炉型における高速脱りん処理においては、酸素供給速度が、はるかに大きく、処理の前半から脱Pと脱Cが同時に進行する。したがって、特許文献1に記載の方法では対応することができない。
特開2001−234222号公報
本発明は、転炉型の精錬容器を用いた溶銑脱りん方法において、簡便な方法で、炉内脱りん反応の進行度合いを、一定の範囲内に制御し、処理後のP濃度のばらつきが少ない、効率的な溶銑脱りん方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記を要旨とする。
(1)転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん方法において、排ガスの分析値と排ガス流量から(1)式により計算される脱炭酸素効率の実績値が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする溶銑脱りん方法。
脱炭酸素効率(%)=[(%CO)+(%CO2)]×Q/2qO2 (1)
ただし、(%CO) 排ガス中CO濃度分析値(容積%)
(%CO2) 排ガス中CO2濃度分析値(容積%)
Q 排ガス流量(Nm3/s)
O2 酸素流量(Nm3/s)
(2)転炉型の精錬容器を用いて処理中に発生する排ガスの回収を行う溶銑の脱りん方法において、(2)式により計算される炉口燃焼率を50%以下に制御し、排ガスの分析値と排ガス流量から(1)式により計算される脱炭酸素効率の実績値、および、排ガスの分析値と排ガス流量から(3)式により計算される二次燃焼率の実績値が、それぞれ、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする溶銑脱りん方法。
脱炭酸素効率(%)=[(%CO)+(%CO2)]×Q/2qO2 (1)
炉口燃焼率(%)=42QA/[Q0(%CO)0] (2)
二次燃焼率(%)=100(%CO20/[(%CO)0+(%CO20] (3)
ただし、(%CO) 排ガス中CO濃度分析値(容量%)
(%CO2) 排ガス中CO2濃度分析値(容量%)
Q 排ガス流量(Nm3/s)
O2 酸素流量(Nm3/s)
(%CO)0 炉内発生ガス中のCO濃度推定値(容積%)
(%CO20 炉内発生ガス中のCO2濃度推定値(容積%)
A 炉口部吸引空気流量(Nm3/s)
0 炉内発生ガス流量(Nm3/s)
(3)脱炭酸素効率、または、脱炭酸素効率と二次燃焼率の両方が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標脱りん率に対応した目標範囲となった時点で、脱りん処理を終了することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の溶銑脱りん方法。
本発明によれば、溶銑予備処理中の反応状況を精度よく推定でき、これに基づいて、処理条件を適正に変えることで、処理後のりん濃度のバラツキを抑制することができ、安定して、目標のりん濃度まで低下させることができる。よって、本発明は、工業上大きな効果が期待できるものである。
本発明によれば、排ガス情報より計算された指標を、あらかじめ脱りん処理の操業条件のパターンごとに設定した曲線に追随するように操業条件を制御することで、複雑な計算や制御を設けることなく、過剰な脱炭を抑制しつつ、処理後のP濃度のバラツキが小さい、効率的な溶銑脱P処理を行うことができる。
一般に、転炉型の精錬容器を用いて脱りんを行う場合は、転炉に装入した溶銑に、脱りん材として石灰系のフラックスを添加し、底吹きガスで攪拌しながら、上吹きランスから酸素を吹き付けて処理を行う。この際、溶銑に含まれる成分のうち、C、Si、Pが酸化除去される。
トピードカーや鍋などを用いた脱りん処理では、送酸速度が低く、酸素供給律速のため、反応は、酸化されやすい元素から順次進行する。具体的には、まず、Siが酸化除去されて、Si濃度が低下した後にPが酸化され、次いで、P濃度が低下した後にCが酸化される。つまり、脱Si→脱P→脱Cの順に反応が変化する。
これに対し、転炉型の場合は、送酸速度が高いため、これらの酸化反応が、同時並行的に進行する。つまり、脱Si、脱P、脱Cが、同時に並行して進行する。そして、生成した酸化物であるSiO2、P25、FeOは、添加したCaOとともにスラグとなり、Cは、COまたはCO2ガスとなって排ガス中に移行する。
ここで、CaO系フラックスによる脱りんは、溶融スラグによって進行し、固体状態の石灰では進行しない。したがって、脱りんを、速やかにかつ効率的に進行させるためには、溶融スラグを生成させる、つまり、固体状態のCaOを溶解させる(滓化という)必要がある。つまり、全体の脱りん反応に対して、CaOの滓化と生成した溶融スラグのもつ脱りん能力が極めて重要である。
また、近年、転炉型脱りん処理において、スラグ中に存在する固相の組成や、固相率が大きな影響を持つことがわかってきた。すなわち、
1)脱りんスラグは、固相と液相に分かれているが、脱りん速度を速めるには、液相率を増やして、りんの移動速度を高くするとともに、液相中の酸素ポテンシャルを上げ、液相中のP25活量を低くする必要がある。
2)一方で、液相率が高いと、メタル中のP濃度が低下した処理後半では、スラグからメタルへPが戻る復りん速度も大きいため、低P濃度まで脱りんする場合には問題となる。
3)珪酸カルシウムは、スラグから晶出するときに、平衡に近い濃度までりん酸を固溶する。一度固溶したりん酸は、その固相体が溶解しない限り、再びメタルに戻ることはないので、スラグからメタルへの復りんを抑制するには、りん酸を固溶する固相を晶出させることが有効である。
したがって、処理前半には、液相率を高めて脱りん速度を確保し、メタル中のりん濃度が低下して、スラグからの複りんが問題になってくる処理後半には、りん酸を固溶する珪酸カルシウムを積極的に活用することにより、復りんを抑制した効率の良い精錬が可能となる。
脱りんスラグの液相率は、スラグ中の酸化鉄濃度に依存するので、処理の前半には、スラグ中の全鉄濃度(一般に、スラグの成分分析に用いられている蛍光X線分析法では、金属鉄、FeO、Fe23などの形態別に分析することができず、それらのFe分の合計値が分析値として得られるため、全鉄濃度という。製鋼スラグの場合、Feは、主にFeOの形で存在しているため、全鉄濃度を用いても大きな誤差はない。以下(T.Fe)と記載する。)を増加させて液相率を高め、脱りん速度を維持するとともに、処理後半には、(T.Fe)を低下させて、りん酸を固溶する珪酸カルシウムを積極的に晶出させて複りんを抑制する。
これによって、少ないフラックス原単位で、効率のよい脱りん処理を行なうことが可能となる。
(T.Fe)を低下させる手段は、上吹き送酸速度を下げ、または、送酸を停止し、酸化鉄生成速度を低下してもよく、また、脱炭による還元を促進させるべく、底吹き撹拌を強めてもよい。この二つの手段を、同時に用いることも可能である。さらに、ランスギャップを変更したり、送酸速度を変更することなどによって、上吹き酸素噴流の強度を強めることにより、上吹酸素による攪拌力を増して、酸化鉄濃度を低減することも可能である。(T.Fe)を増加させる場合は、この逆を行えばよい。
このように、処理の前半では、(T.Fe)の適正な制御によるスラグの滓化が必要であり、処理の後半には、(T.Fe)の低下による珪酸カルシウム相の晶出が重要であるため、その目的で、上底吹条件やフラックス添加方法などの操業条件の処理パターンを、試行錯誤的に設定し、事前に設定された処理パターンに基き、操業を行う。
しかしながら、処理前の条件のみから操業条件の処理パターンを設定する方法では、同一の溶銑を用いて、かつ、同一の処理パターンで操業を行った場合でも、必ずしも同等の脱りん結果を得ることができないという問題があった。これは、同一の処理パターンで操業を行ったとしても、操業条件の設定誤差が不可避的に発生するため、同一の処理パターンの操業を確実に再現することが、現実的には困難であるためである。
したがって、操業条件の処理パターンについて、試行錯誤的に設定を繰り返しても、処理前の条件のみから操業条件の処理パターンを設定する限りは、同等の脱りん結果を得ることができない。
すなわち、同等の脱りん結果を得るためには、処理中の炉内の反応に加え、処理中に必要となるスラグの滓化や液相率の制御、固相の晶出などの制御が必要であるが、処理中の炉内状況を、直接、モニタリングすることが困難なため、処理中の情報を基に、動的に制御を行うことができないということが、処理後のりん濃度の大きなバラツキの原因となっていた。
そこで、本発明者らは、処理中に得られるデータとして、排ガス情報に着目し、同一の処理パターンで操業を行った場合に、脱りんが良好であったチャージと不良だったチャージについて、差異がないか仔細に検討した。その結果、排ガス情報から計算される脱炭酸素効率と二次燃焼率の推移に特徴があることを見出した。
ここで、脱炭酸素効率とは、投入した酸素のうち、脱炭に消費された酸素の比率を示し、(1)式で計算される。また、二次燃焼率は、CO2まで燃焼した比率を示し、(2)式で計算される。
脱炭酸素効率(%)=((%CO)+(%CO2))×Q/2qO2 (1)
二次燃焼率(%)=100(%CO20/[(%CO)0+(%CO20] (2)
ただし、(%CO) 排ガス中CO濃度分析値(容積%)
(%CO2) 排ガス中CO2濃度分析値(容積%)
(%CO)0 炉内発生ガス中のCO濃度推定値(容積%)
(%CO20 炉内発生ガス中のCO2濃度推定値(容積%)
Q 排ガス流量(Nm3/s)
O2 酸素流量(Nm3/s)
(%CO)、(%CO2)は、排ガス処理装置に取り付けられた排ガス濃度計の分析値である。(%CO)0、(%CO20は、炉口部での外気吸引による燃焼(炉口燃焼)を補正した炉内発生ガス中の推定濃度である。
炉口部から吸い込んだ空気量を、Nのバランスから求めれば、吸込んだ酸素量がわかるので、これによって燃焼した分を、(%CO)、(%CO2)に補正することで、推定することができる。
例えば、以下のような計算によって、(%CO)0、(%CO20を推定できる。
A=((%N2)Q/100−QP)/0.79
0=Q−0.79QA−QP
(%CO)0=((%CO)Q/100+0.42QA)/Q0×100
(%CO20=((%CO2)Q/100−0.42QA)/Q0×100
ただし、QA 炉口部吸引空気流量(Nm3/s)
0 炉内発生ガス量(Nm3/s)
P パージ窒素流量(Nm3/s)
(%N) 排ガス中N2濃度(容積%)
このように、二次燃焼率は、外気吸い込みによる炉口部での燃焼分を補正した値であるため、その精度を確保するために、炉口燃焼率は、低いほうが好ましい。ここでいう炉口燃焼率とは、炉内で発生したCOのうち、炉口で燃焼したCOの割合であり、(3)式によって計算される。
炉口燃焼率(%)=42QA/(Q0(%CO)0) (3)
この式で、例えば、(%CO)0を80%とすると、QA≒Q0のとき、すなわち、炉内発生ガス量と同量の外気が吸い込まれた状態で、炉口燃焼率が50%である。このことから、炉口燃焼率の目標を、50%以下とするが、推定精度を高めるためには、この値は低いほうが好ましく、例えば、30%以下などの目標を推奨できる。
図1に、横軸に脱Si外酸素原単位をとり、縦軸に、それぞれ排ガス分析計から演算によって求められる脱炭酸素効率と二次燃焼率の推移を模式的に示した。なお、ここで、脱Si外酸素原単位とは、Siの酸化に消費される酸素原単位を補正したもので、以下の式によって計算する。これは、溶銑中のSi濃度のバラツキが大きいため、Si濃度の影響を除外するために、この様な補正を行っている。
脱Si外酸素原単位(Nm3/T)=酸素原単位−22.4/28*1000/10 0×[mass%Si]
=酸素原単位−8.0×[mass%Si]
以下、図1に基づいて説明する。
まず、脱Pが良好に進行する場合を考える。この場合、脱りん前半には、(T.Fe)の適度な維持により、溶融スラグを早期に生成させることが必要である。このとき、Cの酸化以外に、Si、Fe、Pの酸化にも酸素が消費されるため、(1)式で計算される脱炭酸素効率は100%よりも小さい値になる。
Siは、送酸速度に対してほぼ一定の速度で酸化するが、Pの酸化は溶融スラグの組成と量に依存し、一方、溶融スラグの組成と量は、(T.Fe)に依存する。したがって、適切にスラグの滓化が進行している場合には、FeとPの酸化が同時進行する訳であるから、脱炭酸素効率は、それに対応して推移する。
つまり、「Fe酸化→滓化→脱りんが促進されP酸化」のサイクルを繰り返すことで、スラグの滓化が適切に進行していると、Fe、Pへ、酸素が、一定に消費される、または、増加しながら消費されるため、脱炭酸素効率は、一定または減少傾向の挙動をとる。
これに対して、(T.Fe)が過剰な場合は、Feの酸化に、過剰に酸素が消費されるため、Cの酸化は少なく、脱炭酸素効率は、まずは、低い値となり、また、(T.Fe)が過剰なので、脱りんに必要なCaO濃度が低くなるため、脱Pの進行は遅く、このために、Cの酸化が多くなり、脱炭酸素効率は増加傾向となる。
逆に、(T.Fe)が不足している場合は、Feの酸化だけでなく、Pの酸化も少なくなり、このため、脱炭のみが優勢であるから、脱炭酸素効率は、直線的に、やや増加傾向で推移する。
さらに、処理の後半にかけて、温度の増加に伴い脱炭反応が優勢になるので、外部から供給した酸素による脱炭酸素効率は、単調増加していく。しかし、処理の後半で、(T.Fe)が低下して、珪酸カルシウムを適切に晶出させる場合は、スラグからも酸素が供給されることになるので、外部から供給している酸素量のみを分母にした(1)式の脱炭酸素効率は、スラグからの酸素供給が上乗せされて、みかけ上、一旦、100%を超えてしまう。
その後、さらに処理が進行すると、珪酸カルシウムの晶出量が減少し、スラグからの酸素供給の上乗せ分が減少することから、脱炭酸素効率は、低下に転じる。したがって、脱炭酸素効率は、ピークをつけた後に減少することになる。
したがって、処理を通して脱炭酸素効率をモニタリングすれば、処理の前半には、(T.Fe)の生成によるスラグの滓化を示す指標、後半には、珪酸カルシウムの晶出挙動を示す指標として使えると考えた。
次に、二次燃焼率の推移について説明する。二次燃焼率は、炉内温度、スラグの滓化状況やスラグの高さによって変化するが、まず、温度が高いほど、CO2よりCOの方が安定なため、温度上昇によって減少する。次に、スラグが滓化していない状態では、酸素ジェットが、直接、メタルと接触するため、COが多量に発生し、二次燃焼率は低い値となる。
滓化が良好なスラグでは、二次燃焼率も高い値を示すが、フォーミング等によりスラグ浴面が上昇してくると、燃焼空間が減少するので、また、低下に転ずる。つまり、二次燃焼率は、温度、スラグの滓化とフォーミングを反映して、変動することになる。
ここで、処理の前半に限定して考える。転炉型予備処理においては、溶銑とスクラップが装入されるが、処理の前半には、このスクラップが溶解しながら処理が進行するため、温度は、ほぼ一定で推移するとみなすことができる。このため、スラグの滓化状態が一定の場合、二次燃焼率も一定となる傾向があり、滓化が順調に進行している条件では、二次燃焼率は高い値で推移し、滓化が不十分な場合は低い値で推移する。
したがって、処理前半だけに着目すれば、二次燃焼率は、滓化の指標として使えることになる。
次に、処理の後半について考える。予備処理においては、処理後の温度が目標とする温度となるように、処理前に熱バランス計算を行って配合を定めている(スタティック制御)ため、処理終了時点での温度は、通常、一定の範囲にある。よって、処理後の目標温度が同じ処理パターンでは、処理後半の温度推移も、ほぼ同一となる。
また、滓化については、処理の前半に滓化が完了していない場合、処理の後半でも、脱りんが良好ではないことは明らかであるから、処理の前半で、滓化が完了した前提で、処理後半だけに着目すれば、二次燃焼率は、フォーミングの指標として使えると考えた。
そこで、同じ処理パターンの操業条件の下で、脱りんが良好なチャージと脱りんが不良だったチャージの脱炭酸素効率の挙動を比較した。
図2に代表例を示す。図2(a)は、脱りんが良好だったチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率の挙動を示しているが、脱炭酸素効率は、図1に例示したとおりの動きを示している。具体的には、前半50−60%で一定で推移した後に、やや減少傾向になり、処理中期(脱Si外酸素原単位5Nm3/T付近)以降は、単調に増加して、一旦、100%を超え、その後、減少に転じている。
これは、(i)処理前半には、脱炭酸素効率が低いことから、滓化に必要なFeOが生成していること、及び、(ii)脱炭酸素効率が一定(やや減少傾向)にあることから、脱りんが加速していること、が反映していると考えられる。
さらに、処理後半においては、脱炭酸素効率が増加し、100%以上となった後、減少に転じていることから、FeOの還元が進行し、珪酸カルシウムが良好に晶出した後に、晶出量が減少していることが反映していると考えられる。このチャージでは、処理後のりん濃度は、0.015質量%と、十分に低い値が得られた。
これに対して、図2(b)は、脱りんが不良だったチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率を示しているが、脱炭酸素効率が、前半から単純増加し、末期には100%を超えるなど、図2(a)に示す挙動とは異なる挙動をとっている。したがって、このチャージでは、Feが過剰に酸化されて、脱りんに必要なCaO濃度が低くなって、脱Pの進行が遅くなり、Cの酸化が単純増加したことが反映していると考えられる。
このことは、後述する二次燃焼率が急減する挙動にも現れており、脱Si外酸素原単位10Nm3/Hの時点で、フォーミングしたスラグが、炉口からあふれ出すスロッピング現象が生じ、処理を終了した。この例では、処理後のりん濃度は、0.063質量%と、非常に高かった。
また、図2(c)は、脱りん不良の別のチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率を示している。脱炭酸素効率が、50%あたりで、処理の前半から直線的に、やや増加傾向で推移していることから、滓化が不十分であることが反映していると考えられる。
また、処理の後半に、脱炭酸素効率が、一旦、増加した後に減少するという挙動も見られないことから、FeO還元が起きていないことが反映していると考えられる。言い換えると、滓化が不十分であったために、FeOの還元も起きなかった可能性があると考えられる。
なお、処理開始点は、脱Si外酸素原単位(横軸)が負の領域にあるのに、図2(a)、(b)、及び、(c)において、プロットが0以上の領域になされているのは、処理の最前半は、炉口燃焼率が50%以上と高いため、炉内成分の推定計算の精度が低く、濃度が負になるなど、不合理な結果が出ているためである。
このように、処理中の脱炭酸素効率の推移から、脱りんにとって重要な前半のスラグ滓化、後半の固相晶出の挙動が推察可能であることが判明した。したがって、同一の処理パターンで脱りんが良好であったチャージの脱炭酸素効率の推移を目標として、この推移と同じ挙動をとるように操作することで、脱りん反応を安定させ、処理後のりん濃度のバラツキを減らすことができると考えた。
その結果、後述の実施例に示す通り、同一の処理パターンで脱りんが良好であったチャージと、脱炭酸素効率が同じ挙動をとるように操作することにより、処理後のりん濃度のバラツキを減らすことができ、安定して脱リン処理を行うことが可能であることを、新たに見出した。
具体的な操作としては、処理前半において、スラグの滓化の程度が一定となるように、脱炭酸素効率が脱りんが良好だったチャージと同じ挙動を示すように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を制御する。
例えば、目標とする脱炭酸素効率に対して、実際の脱炭酸素効率が高く、滓化不良が予想される場合には、ランス高さを上げる、送酸速度を増加する、底吹きガス流量を下げる、などの操作をおこない、逆に、目標とする脱炭酸素効率に対して、実際の脱炭酸素効率が低く、滓化過剰が予想される場合は、それぞれ逆の操作を行って、目標とする曲線に近づくようにする。
一方、処理後半においては、FeOの還元にともなう珪酸カルシウムの晶出を生じさせるように操作する。具体的には、目標とする脱炭酸素効率に対して、実際の脱炭酸素効率が低く、還元不足が想定される場合は、ランス高さを下げる、送酸速度を減少する、底吹きガス流量を上げる、などの操作をおこない、逆に、還元過剰が予想される場合は、それぞれ逆の操作を行って、目標とする曲線に近づくようにすればよい。
以上のことから、本発明の第一の発明は、転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん処理方法において、排ガスの分析値と排ガス流量から計算される脱炭酸素効率の実績値が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする。
目標とする曲線は、あらかじめ同一の処理パターン(ランス高さ、送酸速度、底吹きガスの種類と流量、副原料投入条件などを送酸量あるいは時間に対して設定したもの)毎に、数チャージの処理を行って、脱りんが良好であったチャージの実績に基づいて設定する。
ここで、処理パターンごとに設定するのは、処理パターンが異なれば、脱炭酸素効率の絶対値が異なるためである。また、目標曲線を得るためのチャージ数としては、10チャージ以上が望ましく、20チャージ以上あれば好適である。
目標曲線の設定方法は、実績の脱炭酸素効率の挙動に基づいて設定するが、瞬時の変動よりも、処理を通しての変化の挙動が重要なので、瞬時変動を含む実績値そのものを用いてもかまわないが、データを平滑化して用いる方が望ましい。
例えば、図3に示したように、実績のプロットから、処理前半では、単調減少で推移し、処理の中盤以降は、単調増加してピークを示した後、処理の末期に減少するように、直線で結んでもよく、また、移動平均を求めるなどして、平滑化して求めてもよい。
一方、排ガスの分析値と排ガス流量から計算される脱炭酸素効率の実績値については、排ガスの分析値を連続的に測定し、脱炭酸素効率の実績値の推移を連続的に把握することが最も好ましいが、操業管理が可能な範囲で間欠的でもよい。
また、処理中の操業条件の調整は、目標変化曲線との差異に基づき、操作因子の制御ロジックを決定して、例えば、追値制御などの手法により自動化してもよいし、オペレータが手動で調整してもかまわない。
次に、同じく、図2を用いて、本発明の第二の発明について説明する。
図2(a)は、脱りんが良好だったチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率の挙動を示しているが、脱炭酸素効率は、上述の通り、図1に例示したとおりの動きを示している。さらに、二次燃焼率は、処理前半から中期まで35%以上の高値にあり、処理中盤から単調減少している。
このように、処理前半には、脱炭酸素効率の推移が一定あるいはやや減少していることに加え、二次燃焼率が高い値で推移していることから、FeOの生成に伴う滓化が、順調に進行していることが反映していると考えられる。また、処理後半においては、脱炭酸素効率が増加し100%以上となった後、減少に転じていることから、FeOの還元が進行していることが解るのは、前述のとおりであるが、このときの二次燃焼率の減少がゆるやかである。
これは、処理後半において、スラグ固相率の増加に従って、スラグのフォーミング状態が沈静されてゆき、スラグ高さが減少し、スラグフォーミングの悪影響を受けることなく、処理後半の温度上昇の影響により、二次燃焼率がゆるやかに減少していることが反映していると考えられる。
これに対して、図2(b)は、脱りんが不良だったチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率を示しているが、脱炭酸素効率が、前半から単純増加しているのに加え、処理前半では、二次燃焼率も30%程度と低いことから、前半のスラグの滓化が不十分であったと考えられる。さらに、処理後半では、脱炭酸素効率が100%を超えている部分で、図中に示す通り、二次燃焼率が急減しており、ここで、スラグが、かなりフォーミングしていることが解る。
これを裏付けるように、この例では、脱Si外酸素原単位10Nm3/Hの時点で、フォーミングしたスラグが炉口からあふれ出すスロッピング現象が生じ、処理を終了した。
また、図2(c)は、脱りん不良の別のチャージの脱炭酸素効率と二次燃焼率を示しているが、こちらは、図2(b)と違い、二次燃焼率は、ずっと、20%程度と低値のまま推移している。脱炭酸素効率の挙動とあわせて考えると、前半のスラグの滓化が不十分であるばかりか、後半まで、十分な滓化ができていないと考えられ、後半のFeO還元も生じていないことが反映していることが、より明確に裏付けられていると考えられる。
なお、処理開始点は、脱Si外酸素原単位(横軸)が負の領域にあるのに、図2(a)、(b)、及び、(c)において、プロットが0以上の領域になされているのは、処理の最前半は、炉口燃焼率が50%以上と高いため、炉内成分の推定計算の精度が低く、濃度が負になるなど、不合理な結果が出ているためである。
以上、みてきたように、脱炭酸素効率の挙動に加え、二次燃焼率の推移を補完的に採用することにより、処理前半のスラグ滓化挙動の推定の確度が増えるとともに、処理後半の固相晶出の挙動の推察に加え、スラグのフォーミング状態が推察可能となることが判明した。
したがって、同一の処理パターンで脱りんが良好であったチャージの脱炭酸素効率の推移に加えて、二次燃焼率の推移も目標として、これら推移と同じ挙動をとるように操作することで、脱りん反応を安定させ、処理後のりん濃度のバラツキを減らすことができると考えた。
その結果、後述の実施例に示す通り、同一の処理パターンで脱りんが良好であったチャージと、脱炭酸素効率と二次燃焼率の双方ともに、同じ挙動をとるように操作することにより、処理後のりん濃度のバラツキをより減らすことができ、安定して脱リン処理を行うことが可能であることを、新たに見出した。
したがって、二次燃焼率の推移を補完的に活用することにより、さらに脱りんを安定させ、処理後のりん濃度のバラツキを減らすことができる。
具体的な操作としては、処理前半においては、スラグの滓化の情報として用いることができ、目標とする二次燃焼率に対して、実際の二次燃焼率が高い場合には、滓化不良が予想されるため、ランス高さを上げる、送酸速度を増加する、底吹きガス流量を下げる、などの操作を行い、目標とする曲線に近づくようにする。
逆に、処理後半においては、フォーミング指標として用いることができ、二次燃焼率の急減があった場合は、フォーミングによるスロッピングの危険があるため、送酸速度を低下させるなどの操作を行う。
以上のことから、本発明の第二の発明においては、第一の発明に加え、二次燃焼率を補完的に活用することにより、さらに脱りんを安定させることとした。
すなわち、転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん処理方法において、炉口燃焼率を50%以下に制御し、排ガスの分析値と排ガス流量から計算される二次燃焼率の実績値が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする。
ここで、炉口燃焼率を50%以下としたのは、二次燃焼率の推定精度を維持するためであり、より好ましくは30%以下に制御する。
また、目標とする曲線は、第一の発明と同様に、同一処理パターンごとに設定する。処理パターンごとに設定するのは、処理パターンが異なれば、二次燃焼率の絶対値が異なるためである。
目標曲線の設定方法は、実績に基づいて設定するが、データを平滑化して用いる方が望ましく、例えば、図4に示したように実績のプロットから、処理前半は一定値で、処理後半は単調減少するように直線で結んでもよく、また、移動平均を求めるなどして平滑化して求めてもよい。
次に、本発明の第三の発明について説明する。本発明法においては、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整する。
この結果、処理実績は目標変化曲線に追従した動きをとることになる。したがって、炉内の反応もそれに対応した動きをとり、結果、P濃度の変化も、目標変化曲線に追従した対応した動きになることがわかった。
具体的には、処理前半に、適正な滓化が生じ、脱りん反応が促進していると、P濃度は、直線的に減少していき、後半のFeO還元に伴う珪酸カルシウム晶出直前まで継続する。晶出が生じた後は、脱りん速度は低下し、一方、温度は増加していくため、処理を継続していくと、珪酸カルシウムの再溶解が生じ、ついには、復りんが始まる。
この一連の挙動が、二次燃焼率と脱炭酸素効率の変化パターンに対応して起こるため、これらの目標変化曲線の推移を示したチャージで、目標変化曲線に対応する脱りん率をあらかじめ求めておけば、目標P濃度が設定された場合には、目標変化曲線のどのタイミングで処理を終了すればよいかが、簡単に解ることになる。
以上のことから、本発明の第三の発明については、目標変化曲線を脱炭酸素効率のみとする場合、あるいは、脱炭酸素効率と二次燃焼率の両方とする場合において、あらかじめ、処理パターンごとに設定した目標脱りん率に対応した目標範囲となったところで脱りん処理を終了する溶銑予備処理方法とした。
目標P濃度に対して、バラツキが小さく、精度の高い脱リん処理を行うことができるため、安定して目標のりん濃度まで低下させることができるとともに、過剰な脱りんを行うこともないため、効率の良い脱りんを実施することができる。
300T転炉を用いて高炉溶銑の脱りん処理を実施した。脱りん処理では、上吹きランスより酸素を吹き付けるととも、炉底に設けた羽口からも、酸素と窒素の混合ガスとLPGを吹き込み、塊石灰を上方より添加した。脱りん時間は、いずれも7〜9分であった。また、脱りん処理前の溶銑温度とスクラップ量から、鉄鉱石の添加量を調整して、脱りん処理後の温度を調整した。
処理は、表1に示す2種類の処理パターンで実施した。処理パターン1は、汎用鋼向けで、処理後Pよりも生産性を重視した高速吹酸パターンであり、処理パターン2は、低P鋼向けの低送酸速度パターンである。
Figure 2010013685
まず、それぞれのパターンについて脱りん処理を20チャージずつ行い、その中で、最も脱りん率が高かったチャージを、脱りんが良好であったチャージとして選択した。
次に、それらの排ガス情報実績から、脱炭酸素効率を求め、図1に示したように、前半部分と中盤以降増加し、ピークを示した後減少する挙動を、直線で結ぶことで、脱炭酸素効率の目標変化曲線を得た。また、二次燃焼率についても同様に、前半部分一定、中盤以降直線的に減少するとして、目標変化曲線を設定した。
次に、それぞれのパターンについて目標変化曲線に追随するよう、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量の調整を行った。表2に、結果を示す。表2中の「n」は、各実施例および比較例のチャージ数を意味している。
Figure 2010013685
実施例1は、パターン1で処理を行った結果であり、脱炭酸素効率が目標変化曲線に追随するように調整した結果、処理後P濃度の平均値は0.031質量%、σは0.008%と良好な結果が得られた。実施例2は、低P向けのパターン2における結果であり、脱炭酸素効率と二次燃焼率の両方が目標変化曲線に追随するように処理を制御した結果、平均P濃度は0.022質量%、σは0.003%と、より良好な結果が得られた。
実施例1〜2では、終点判定は特に行わず、予定酸素原単位到達時点で処理終了としたが、実施例3では、目標処理後P濃度0.035質量%とするために、事前調査により確認されている脱炭酸素効率と二次燃焼率の目標値として、脱炭酸素効率≧100%、二次燃焼率≦40%の両方を目標範囲として設定し、実績値が、これらの範囲となったところで、脱りん処理を終了させた。
この結果、目標処理後P濃度0.035質量%に対して、平均P濃度は0.036質量%、σは0.004%と、目標P濃度に対して精度よく処理を終了させることができた。
これに対して、比較例1、比較例2は、排ガス情報による制御を行わなかった結果であり、いずれも、りん濃度のバラツキが大きく、また、平均値も増加している。
このように、本発明を適用することにより、転炉型の溶銑予備処理法の弱点である処理後りん濃度のバラツキが低減し、効率的な脱りん処理が可能となった。
脱炭酸素効率と二次燃焼率の推移を模式的に示す図である。 脱炭酸素効率と二次燃焼率の推移を示す図である。(a)は、脱りんが良好なチャージの場合を示し、(b)及び(c)は、脱りんが不良なチャージの場合を示す。 脱炭酸素効率の目標変化曲線の設定方法を示す図である。 二次燃焼率の目標変化曲線の設定方法を示す図である。

Claims (3)

  1. 転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん方法において、排ガスの分析値と排ガス流量から(1)式により計算される脱炭酸素効率の実績値が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする溶銑脱りん方法。
    脱炭酸素効率(%)=[(%CO)+(%CO2)]×Q/2qO2 (1)
    ただし、(%CO) 排ガス中CO濃度分析値(容積%)
    (%CO2) 排ガス中CO2濃度分析値(容積%)
    Q 排ガス流量(Nm3/s)
    O2 酸素流量(Nm3/s)
  2. 転炉型の精錬容器を用いた溶銑の脱りん方法において、(2)式により計算される炉口燃焼率を50%以下に制御し、排ガスの分析値と排ガス流量から(1)式により計算される脱炭酸素効率の実績値、および、排ガスの分析値と排ガス流量から(3)式により計算される二次燃焼率の実績値が、それぞれ、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標変化曲線に追従するように、ランス高さ、送酸速度、底吹ガス種類と量のうちのいずれか1つもしくは2以上を調整することを特徴とする溶銑脱りん方法。
    脱炭酸素効率(%)=[(%CO)+(%CO2)]×Q/2qO2 (1)
    炉口燃焼率(%)=42QA/[Q0(%CO)0] (2)
    二次燃焼率(%)=100(%CO20/[(%CO)0+(%CO20] (3)
    ただし、(%CO) 排ガス中CO濃度分析値(容量%)
    (%CO2) 排ガス中CO2濃度分析値(容量%)
    Q 排ガス流量(Nm3/s)
    O2 酸素流量(Nm3/s)
    (%CO)0 炉内発生ガス中のCO濃度推定値(容積%)
    (%CO20 炉内発生ガス中のCO2濃度推定値(容積%)
    A 炉口部吸引空気流量(Nm3/s)
    0 炉内発生ガス流量(Nm3/s)
  3. 脱炭酸素効率、または、脱炭酸素効率と二次燃焼率の両方が、あらかじめ処理パターンごとに設定した目標脱りん率に対応した目標範囲となった時点で、脱りん処理を終了することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑脱りん方法。
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