JP2010013668A - 金属ジルコニウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属ジルコニウムの製造方法は、ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質からハフニウム酸塩化物を分離することにより、ジルコニウム酸塩化物の含有率が高くなった第2の物質を得る分離工程と、前記第2の物質を仮焼して、ジルコニウム酸塩化物およびジルコニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第3の物質を得る仮焼工程と、前記第3の物質を陰極57に接触させた状態で溶融塩13中に保持し、陽極56との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ジルコニウムを得る直接還元工程と、を有する。
【選択図】図2
Description
本発明に係る金属ジルコニウムの第1の製造方法は、分離工程と、仮焼工程と、直接還元工程と、を有する。
酸塩化物生成工程は、ジルコニウムおよびハフニウムを含む被処理物質1を処理して、ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質2を取り出す工程である。
分離工程は、ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質2からハフニウム酸塩化物5を分離することにより、ジルコニウム酸塩化物の含有率が高くなった第2の物質4を得る工程である。
仮焼工程は、第2の物質4を仮焼して、ジルコニウム酸塩化物およびジルコニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第3の物質11を得る工程である。
直接還元工程は、第3の物質11を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ジルコニウム18を得る工程である。
[化1]
ZrO2+4e− → Zr+2O2− (1)
[化2]
ZrOCl2+2e− → ZrO2−+Cl2 (2)
[化3]
ZrO2− → Zr+O2− (3)
[化4]
2O2− → O2+4e− (4)
[化5]
C+2O2− → CO2+4e− (5)
溶融塩再生工程は、直接還元工程で用いられた溶融塩19中に存在するLi、MgおよびCaの少なくともいずれかの塩化物を電解して、金属Li、金属Mgおよび金属Caの少なくともいずれかを再生する工程である。
本発明に係る金属ジルコニウムの第2の製造方法は、分離工程と、水酸化物沈殿工程と、仮焼工程と、直接還元工程と、を有する。
水酸化物沈殿工程は、第2の物質4に水酸化物6を加えて、水酸化ジルコニウムを含む第4の物質8を得る工程である。
仮焼工程は、第4の物質8を仮焼して、ジルコニウム酸化物を含む第5の物質11Aを得る工程である。
直接還元工程は、第5の物質11Aを陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ジルコニウム18を得る工程である。
本発明に係る金属ジルコニウムの第3の製造方法は、分離工程と、仮焼工程と、電解精製工程と、を有する。
電解精製工程は、第3の物質11を溶融塩中に溶解し、溶融塩中に浸漬した陰極と陽極との間に電圧を印加して電解精製することにより金属ジルコニウム18を得る工程である。
[化6]
Zr4++4e− → Zr (6)
[化7]
Zr → Zr4++4e− (7)
金属ハフニウムの第1の製造方法は、仮焼工程と、直接還元工程と、を有する。
仮焼工程は、金属ジルコニウムの第1の製造方法〜第3の製造方法の分離工程で第1の物質2から分離され、ハフニウム酸塩化物の含有率が高くなった第6の物質5を仮焼して、ハフニウム酸塩化物およびハフニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第7の物質27を得る工程である。
直接還元工程は、第7の物質27を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ハフニウム33を得る工程である。
[化8]
HfO2+4e− → Hf+2O2− (8)
[化9]
HfOCl2+2e− → HfO2−+Cl2 (9)
[化10]
HfO2− → Hf+O2− (10)
金属ハフニウムの第2の製造方法は、水酸化物沈殿工程と、仮焼工程と、直接還元工程と、を有する。
水酸化物沈殿工程は、金属ジルコニウムの第1の製造方法〜第3の製造方法の分離工程で第1の物質2から分離され、ハフニウム酸塩化物の含有率が高くなった第6の物質5に水酸化物を加えて、水酸化ハフニウムを含む第8の物質25を得る工程である。
仮焼工程は、第8の物質25を仮焼して、ハフニウム酸化物を含む第9の物質27Aを得る工程である。
直接還元工程は、第9の物質27Aを陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ハフニウム33を得る工程である。
図1に示す手順で金属ジルコニウムを製造した。
ジルコニウム鉱物(ZrSiO2)1を処理してジルコニウムを多く含んだ酸塩化物(ZrOCl2)2を取り出した。酸塩化物(ZrOCl2)2には不純物としてのハフニウム化合物が含まれていた。
ジルコニムの酸塩化物(ZrOCl2)2を塩酸に溶解し、溶媒抽出法を用いた分離工程3により、ジルコニウム化合物(ZrOCl2)4とハフニウム化合物(HfOCl2)5を分離した。分離したジルコニウム化合物(ZrOCl2)4およびハフニウム化合物(HfOCl2)5は、それぞれ回収した。
精製されたジルコニウム酸塩化物(ZrOCl2)4を、仮焼工程10において、アルゴンガス雰囲気下、所定温度、時間で仮焼したところ、水分が除去され、ZrOCl2−ZrO2混合物11が生成された。
図2に示す装置を用い、アルゴンガス雰囲気の下、電解槽51内に、溶融した塩化マグネシウムMgCl2に、酸化マグネシウムMgOを溶解してなる溶融塩13を満たした。溶融塩13は、アルゴンガスのバブルで撹拌した。
直接還元工程後、MgCl2とMgOをする溶融塩19中に図示しない白金製棒状陰極を浸漬し、陽極17との間に電圧を印加した。電圧の印加は、白金製棒状陰極の電位および電流密度を所定値になるように調整した。
図8に示す手順で金属ジルコニウムを製造した。
ジルコニムの酸塩化物(ZrOCl2)2を塩酸に溶解し、溶媒抽出法を用いた分離工程3により、ジルコニウム化合物(ZrOCl2)4とハフニウム化合物を分離した。分離したジルコニウム化合物(ZrOCl2)4およびハフニウム化合物は、それぞれ回収した。
アンモニウム水(NH4OH)中にジルコニウム化合物(ZrOCl2)4を溶解させたところ、Zr(OH)2が沈殿した。この工程で副生した塩化アンモニウム(NH4Cl)9は、廃棄物となった。
Zr(OH)2を乾燥させた後、仮焼工程において、アルゴンガス雰囲気下、所定温度、時間で仮焼したところ、水分が除去され、ジルコニウム酸化物(ZrO2)が生成された。
Cl2を流しながらZrO2と黒鉛との混合物を炭素熱還元したところ、塩化ジルコニウム(ZrCl4)が生成された。
クロール法により、アルゴンガス中で、金属Mgと塩化ジルコニウム(ZrCl4)とを反応させたところ、金属ジルコニウムが得られた。
図4に示す手順で金属ジルコニウムを製造した。
アルゴンガス雰囲気の下、電解槽51内に、塩化カリウムと塩化ナトリウムとが溶解してなる溶融塩20を満たした。溶融塩20は、アルゴンガスのバブルで撹拌した。
電解精製工程後、MgCl2とMgOがする溶融塩13中に図示しない白金製棒状陰極を浸漬し、陽極17との間に電圧を印加した。電圧の印加は、白金製棒状陰極の電位および電流密度が所定値になるように調整した。
図6に示す手順で金属ハフニウムを製造した。
精製されたハフニウム化合物(HfOCl2)5を、仮焼工程26において、アルゴンガス雰囲気下、仮焼したところ、水分が除去され、HfOCl2−HfO2混合物27が生成された。
図2に示す装置を用い、アルゴンガス雰囲気の下、電解槽51内に、溶融した塩化マグネシウムMgCl2に、酸化マグネシウムMgOを溶解してなる850℃の溶融塩29を満たした。溶融塩29は、アルゴンガスのバブルで撹拌した。
2 ジルコニウムの酸塩化物(第1の物質)
3 ジルコニウムとハフニウムの分離工程
4 精製されたジルコニウム酸塩化物(第2の物質)
5 分離されたハフニウム酸塩化物(ハフニウム化合物、第6の物質)
6 水酸化アンモニウム(水酸化物)
7、24 水酸化物沈殿工程
8 ジルコニウム水酸化物(水酸化ジルコニウム、第4の物質)
9 塩化アンモニウム
10、26 仮焼工程
11 ジルコニウム酸塩化物およびジルコニウム酸化物の少なくともいずれかを含む物質(第3の物質)
11A ジルコニウム酸化物を含む物質(第5の物質)
12 硫酸ナトリウム
13、20、20A 溶融塩
14、28 電解還元工程(直接還元工程)
18 金属ジルコニウム
19 使用後の溶融塩
21 電解精製工程
25 ハフニウム水酸化物(水酸化ハフニウム、第8の物質)
27 ハフニウム酸塩化物およびハフニウム酸化物の少なくともいずれかを含む物質(第7の物質)
27A ハフニウム酸化物を含む物質(第9の物質)
33 金属ハフニウム
51 電解槽
55 陰極バスケット
56 陽極
57 陰極
Claims (17)
- ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質からハフニウム酸塩化物を分離することにより、ジルコニウム酸塩化物の含有率が高くなった第2の物質を得る分離工程と、
前記第2の物質を仮焼して、ジルコニウム酸塩化物およびジルコニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第3の物質を得る仮焼工程と、
前記第3の物質を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ジルコニウムを得る直接還元工程と、
を有することを特徴とする金属ジルコニウムの製造方法。 - 前記直接還元工程で、前記第3の物質は、前記陰極に接続されたバスケット中に固体の状態で保持され、固体の状態のまま直接還元されることを特徴とする請求項1に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のいずれかの塩化物と、この塩化物を構成する金属元素と同じ金属元素の酸化物とを含むことを特徴とする請求項1に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、LiCl、MgCl2およびCaCl2のいずれかの塩化物の溶融塩中に、この塩化物を構成する金属元素と同じ金属元素の酸化物を溶融させたものであることを特徴とする請求項3に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記直接還元工程で用いられた溶融塩中に存在するLi、MgおよびCaの少なくともいずれかの塩化物を電解して、金属Li、金属Mgおよび金属Caの少なくともいずれかを再生する溶融塩再生工程を、さらに有することを特徴とする請求項4に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質からハフニウム酸塩化物を分離することにより、ジルコニウム酸塩化物の含有率が高くなった第2の物質を得る分離工程と、
前記第2の物質に水酸化物を加えて、水酸化ジルコニウムを含む第4の物質を得る水酸化物沈殿工程と、
前記第4の物質を仮焼して、ジルコニウム酸化物を含む第5の物質を得る仮焼工程と、
前記第5の物質を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ジルコニウムを得る直接還元工程と、
を有することを特徴とする金属ジルコニウムの製造方法。 - 前記直接還元工程で、前記第5の物質は、前記陰極に接続されたバスケット中に固体の状態で保持され、固体の状態のまま直接還元されることを特徴とする請求項6に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくともいずれかの塩化物と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくともいずれかの酸化物とを含むことを特徴とする請求項6に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、LiCl、MgCl2およびCaCl2の少なくとも1種の溶融塩中に、Li2O、MgOおよびCaOの少なくとも1種を溶融させたものであることを特徴とする請求項8に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- ジルコニウム酸塩化物およびハフニウム酸塩化物を含む第1の物質からハフニウム酸塩化物を分離することにより、ジルコニウム酸塩化物の含有率が高くなった第2の物質を得る分離工程と、
前記第2の物質を仮焼して、ジルコニウム酸塩化物およびジルコニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第3の物質を得る仮焼工程と、
前記第3の物質を溶融塩中に溶解し、溶融塩中に浸漬した陰極と陽極との間に電圧を印加して電解精製することにより金属ジルコニウムを得る電解精製工程と、
を有することを特徴とする金属ジルコニウムの製造方法。 - 前記溶融塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のいずれかの塩化物を含むことを特徴とする請求項10に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、フッ化物をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記分離工程で第1の物質から分離され、ハフニウム酸塩化物の含有率が高くなった第6の物質を仮焼して、ハフニウム酸塩化物およびハフニウム酸化物の少なくともいずれかを含む第7の物質を得る仮焼工程と、
前記第7の物質を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ハフニウムを得る直接還元工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1、請求項6または請求項10に記載の金属ジルコニウムの製造方法。 - 前記直接還元工程で、前記第7の物質は、前記陰極に接続されたバスケット中に固体の状態で保持され、固体の状態のまま直接還元されることを特徴とする請求項13に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のいずれかの塩化物と、この塩化物を構成する金属元素と同じ金属元素の酸化物とを含むことを特徴とする請求項13に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記溶融塩は、LiCl、MgCl2およびCaCl2の少なくとも1種の溶融塩中に、Li2O、MgOおよびCaOの少なくとも1種を溶融させたものであることを特徴とする請求項15に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
- 前記分離工程で第1の物質から分離され、ハフニウム酸塩化物の含有率が高くなった第6の物質に水酸化物を加えて、水酸化ハフニウムを含む第8の物質を得る水酸化物沈殿工程と、
前記第8の物質を仮焼して、ハフニウム酸化物を含む第9の物質を得る仮焼工程と、
前記第9の物質を陰極に接触させた状態で溶融塩中に保持し、陽極との間に電圧を印加して直接還元することにより金属ハフニウムを得る直接還元工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1、請求項6または請求項10に記載の金属ジルコニウムの製造方法。
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