JP2010013296A - 炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法を提供する。
【解決手段】原料用炭化珪素6が充填された原料収納部20を有する原料収納容器2と、原料用炭化珪素6の上方に配置された種結晶4と、を備え、原料用炭化珪素6を昇華させて種結晶4に炭化珪素単結晶5を成長させる際に用いられる炭化珪素単結晶成長用容器構造であって、前記昇華の際に、昇華ガスを放出する昇華放出領域61を露出させる昇華開口部70を備えた昇華放出調整部材7が原料用炭化珪素6の上に配置されており、昇華放出領域61と種結晶4とが対向して配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法に関するものであり、特に、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長することができる炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法に関するものである。
炭化珪素からなる半導体素子(炭化珪素半導体)は、絶縁破壊電圧が大きく、エネルギーバンドギャップが広く、また、熱伝導度が高いなどの優れた性能を有する。そのため、大電力パワーデバイス、耐高温半導体素子、耐放射線半導体素子、高周波半導体素子などとして使用することが可能である。また、シリコン半導体の有する性能を超える優れた性能が期待されている。
上記の炭化珪素半導体は、たとえば、以下のプロセスで形成する。まず、炭化珪素単結晶(インゴット)を結晶成長により作製する。次に、その炭化珪素単結晶をウエーハ状に切断した後、その表面を超平滑な鏡面に研磨する。更に、その超平滑な鏡面上に炭化珪素をエピタキシャル成長させる。最後に、エピタキシャル成長させた炭化珪素上に金属膜や酸化膜を形成して半導体素子(半導体デバイス)とする。
上記の炭化珪素半導体を広く普及させるためには、結晶欠陥の少ない高品質の炭化珪素単結晶(インゴット)を安定的に、かつ、低い製造コストで製造することが必要である。結晶欠陥の少ない高品質の炭化珪素単結晶(インゴット)を安定的に、かつ、低い製造コストで製造する方法や装置については、たとえば、特許文献1〜5に記載の昇華法によるものがある。
たとえば、特許文献1には単結晶製造装置用坩堝が開示されており、容器内の温度分布を均一化して、原料用炭化珪素粉末を安定的に昇華させて、成長させる炭化珪素単結晶の結晶品質を向上させる方法が記載されている。また、特許文献2には、単結晶の成長装置および成長方法が開示されており、炭化珪素単結晶の口径を拡大するとともに、品質を向上させる炭化珪素単結晶製造装置が記載されている。
さらに、特許文献3には単結晶の製造方法および製造装置が開示されており、径の大きな炭化珪素単結晶を効率よく成長させるとともに、製造コストを低減した炭化珪素単結晶成長方法が記載されている。さらにまた、特許文献4には、炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶インゴットが開示されており、容器内の昇華ガス組成を均一に保つ方法が記載されている。また、特許文献5には、単結晶炭化珪素の製造方法が開示されており、混成ガス(昇華ガス)の珪素(Si)と炭素(C)の組成の変化が、成長させる炭化珪素単結晶の品質に大きな影響を及ぼすことが記載されている。
炭化珪素単結晶インゴットを昇華法により形成する場合には、炭化珪素は2000℃以上で昇華する物質であるので、結晶成長用容器の内部を2000℃以上の高温にする必要がある。このような高温の環境においては、炭化珪素自体がその構成元素である珪素と炭素に分解される。そして、これにより形成された珪素は炭素より気散しやすいことが経験的に知られている。
そのため、結晶成長を開始した時点で原料用炭化珪素の中に珪素が潤沢に存在するが、結晶成長が進むにつれて原料用炭化珪素の中の珪素の割合が減少する。つまり、結晶成長の初期に比べて後期では、昇華ガスにおける珪素の割合は減少し、炭素の割合は増加する。相対的な割合が増加した炭素に起因して微小パーティクル(不純物)が発生し、これが種結晶の成長面に運ばれて付着すると、炭化珪素単結晶インゴットの内部にインクルージョンと呼ばれる結晶欠陥を発生させる場合があった。
特に、結晶成長用容器に充填した原料用炭化珪素をすべて用いるように結晶成長をさせると、この結晶成長工程の最初と最後において昇華ガスの珪素と炭素の成分比率が異なったものとなり、珪素と炭素の成分比率を一定にした炭化珪素単結晶インゴットを結晶成長させることができなかった。
図5は、従来の炭化珪素単成長用容器構造の一例を説明する図であって、所定の厚さの炭化珪素単結晶(インゴット)を形成した時点の概略図である。
図5に示すように、従来の炭化珪素単結晶の結晶成長用容器200は、原料収納容器202と、原料収納容器蓋203とから概略構成されており、インダクターコイル201の間に配置されている。
原料収納容器202の内部には、原料用炭化珪素206が充填されている。また、原料収納容器蓋203の原料用炭化珪素206側には、突出部231が設けられており、前記突出部231の下面231aには、種結晶204が貼り付けられている。さらに、種結晶204の一面(成長面)204aには、結晶成長された炭化珪素単結晶(インゴット)205が形成されている。結晶成長用容器200の周囲には、電流を流して高周波誘導させることにより発熱させることができるインダクターコイル201が配置されている。このインダクターコイル201を発熱させることにより、結晶成長用容器200を加熱することができる。
結晶成長用容器200の内部が2000℃以上に加熱されると、結晶成長用容器200の内部に収納した原料用炭化珪素206が昇華され、原料用炭化珪素206の各所からSiC、SiC、SiCなどの混成ガス(昇華ガス)を発生する。この昇華ガスは、結晶成長用容器200の内部下部に充填された原料用炭化珪素206と平衡を保っている。
このとき、昇華ガスは、原料用炭化珪素206の表面から空間に排出されるまでに、固体状態の原料用炭化珪素206の中に形成された不定の流路を移動する。この流路は、特に規定されたものではなく、原料用炭化珪素206の中で発生した昇華ガスが空間に排出されるのに最適な経路であって、結晶成長用容器200の内部の不均一な温度分布または前記原料用炭化珪素の結晶状態など様々な要因によって変化する。
昇華ガスを、結晶成長用容器200の内部上部の原料用炭化珪素206と対向する位置に設置した炭化珪素単結晶からなる種結晶204の成長面204a上に均一に供給していくことにより、種結晶204の成長面204a上で炭化珪素単結晶(インゴット)205が結晶成長される。
図6は、図5に示した従来の炭化珪素単成長用容器構造における昇華ガスの流れを説明する概略図である。
図6に示すように、原料用炭化珪素206の中央部261からだけでなく、周辺部262からも昇華ガスが発生して空間221へ排出される。特に、加熱を開始した時点では、結晶成長用容器200を取り囲むようにインダクターコイル201を配置されているので、結晶成長用容器200の内部の壁面近傍が中心部よりも早く温度が上がり始め、壁面近傍の原料用炭化珪素206からより早く昇華(気化)が開始する。周辺部262から発生した昇華ガスは、種結晶204の他面(成長面)204aの中央部241よりも周辺部242に集まりやすい。これにより、種結晶204の成長面204aの中央部241よりも周辺部242で炭化珪素の分子密度が高くなり、より活発に結晶成長が始まる。
その結果、従来の結晶成長用容器200では、種結晶204の成長面204a上で、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができなかった。
特開2007−230846号公報 特開2002−60297号公報 特開平11−268990号公報 特開2006−96578号公報 特開平3−37195号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、種結晶上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法を提供することを目的とする。
発明者らは鋭意研究を重ねて、炭化珪素単結晶を均一にかつ安定的に成長させるために必要な条件が、以下の3つの条件であることが見出した。
<1> 昇華ガスの流路を十分に大きく取ること。
<2> 原料用炭化珪素の表面から排出される昇華ガスがショートカットされて排出されないこと。
<3> 原料用炭化珪素の表面(ガス排出面)と種結晶の成長面がほぼ等しい面積であり、対向した位置に配置されていること。
昇華ガスの流路は長ければ長いほど昇華ガスを固体状態の原料用炭化珪素と十分に反応させることができ、昇華ガスの珪素と炭素の成分比率を平衡とすることができる。
また、昇華ガスの流路がショートカットして原料用炭化珪素の表面から直に流出する流路が形成されなければ、昇華ガスを固体状態の原料用炭化珪素と十分に反応させることができ、昇華ガスの珪素と炭素の成分比率を平衡とすることができる。
さらにまた、原料用炭化珪素の表面(ガス排出面)の面積と種結晶の成長面の面積とがほぼ等しく、原料用炭化珪素の表面と種結晶の成長面とが対向するように配置されていれば、原料用炭化珪素の表面から空間に排出させる昇華ガスを、種結晶の成長面に垂直な方向と均一なガス密度を有する層状の流れ(層流状態)となるようにして排出させることができ、昇華ガスを種結晶の成長面上に均一にかつ安定的に流すことができる。
そのため、この3つの条件を具備するように炭化珪素単結晶成長用容器構造を形成することにより、原料用炭化珪素を昇華させて発生させた混成ガス(昇華ガス)をその成分比率を安定させて種結晶の成長面に垂直な方向から供給することができ、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一にかつ安定的に成長させることができることが見出した。
つまり、上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
(1) 原料用炭化珪素が充填された原料収納部を有する原料収納容器と、前記原料用炭化珪素の上方に配置された種結晶と、を備え、前記原料用炭化珪素を昇華させて前記種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる際に用いられる炭化珪素単結晶成長用容器構造であって、前記昇華の際に、昇華ガスを放出する昇華放出領域を露出させる昇華開口部を備えた昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素の上に配置されており、前記昇華放出領域と前記種結晶とが対向して配置されていることを特徴とする炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(2) 前記種結晶の炭化珪素単結晶を成長させる面の形状が、平面視したときに、前記昇華開口部の形状と相似していることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(3) 前記種結晶が円盤状であり、前記昇華開口部が円状であることを特徴とする(1)または(2)に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(4) 前記昇華開口部の径が前記種結晶の径の0.7倍以上1.3倍以下とされていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(5) 前記原料収納部が円柱状に刳り貫かれており、前記昇華放出調整部材が円環状であり、前記昇華放出調整部材の外径が前記原料収納部の径と略同一の長さであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(6) 前記原料収納部の径が前記種結晶の径の1.3倍以上2.0倍以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(7) 前記昇華開口部および前記種結晶が、平面視したときに、前記原料収納部の中心に位置するように配置されていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(8) 前記昇華放出調整部材の厚さが前記原料収納部の深さの3%以上50%以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(9) 前記昇華放出調整部材が外周側に向けて厚さが厚くなるように形成されていることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(10) 前記昇華放出調整部材が高融点金属もしくはその炭化物、グラッシーカーボンまたは黒鉛のいずれかからなることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(11) 前記原料収納容器が黒鉛からなることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(12) 前記原料収納部の深さの40%以上70%未満の充填深さで前記原料用炭化珪素が充填されていることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(13) 前記昇華放出領域の種結晶側の面と前記昇華放出調整部材の種結晶側の面とが同一面上となるように、前記昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素に埋め込んで配置されていることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(14) 前記昇華放出領域の種結晶側の面と前記昇華放出調整部材の種結晶と反対側の面とが隙間なく接面するように、前記昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素上に配置されていることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
(15) (1)〜(14)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造を用いた炭化珪素単結晶の作製方法であって、原料収納容器の原料収納部に原料用炭化珪素を充填する充填工程と、前記原料用炭化珪素上に昇華放出調整部材を配置する昇華放出調整部材配置工程と、原料収納容器の上方に種結晶を配置する種結晶配置工程と、前記原料収納部に充填された原料用炭化珪素を昇華させて、前記種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる単結晶成長工程と、を有することを特徴とする炭化珪素単結晶の作製方法。
上記の構成によれば、種結晶上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる炭化珪素単結晶成長用容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法を提供することができる。
本発明の炭化珪素単結晶成長用容器構造は、前記昇華の際に、昇華ガスを放出する昇華放出領域を露出させる昇華開口部を備えた昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素の上に配置されており、前記昇華放出領域と前記種結晶とが対向して配置されている構成なので、種結晶の成長面に垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶の成長面のいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素から発生させた昇華ガスを種結晶の成長面に噴射することができる。これにより、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華開口部の径が種結晶の外径の0.7倍以上1.3倍以下とされている構成なので、周辺部側から昇華ガスを排出させることがなく、種結晶の成長面に垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶の成長面のいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素から発生させた昇華ガスを種結晶の成長面に噴射することができる。これにより、種結晶上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納部が円柱状に刳り貫かれており、昇華放出調整部材7が円環状であり、昇華放出調整部材の外径が原料収納部の内径と略同一の長さである構成なので、昇華放出調整部材の側面が原料収納部の内壁面と接して昇華放出調整部材の周辺部と原料収納部の内壁面との間にガス流が流れる流路が生じないようにすることができ、周辺部側から空間へ排出される昇華ガスを低減することができる。これにより、周辺部側から種結晶の成長面へ噴射される昇華ガスを低減して、種結晶の成長面へ噴射される昇華ガスの方向を均一化することができ、種結晶上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納部の内径が種結晶の外径の1.3倍以上2.0倍以下である構成なので、中心部の昇華開口部から昇華ガスを均一の成分比率で、安定して排出させて種結晶の成長面へ噴射することができ、種結晶上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の炭化珪素単結晶の作製方法は、先に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造を用いた炭化珪素単結晶の作製方法であって、原料用炭化珪素上に昇華放出調整部材を配置する昇華放出調整部材配置工程を有する構成なので、種結晶の成長面に垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶の成長面のいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素から発生させた昇華ガスを種結晶の他面に噴射することができる。これにより、種結晶の成長面上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を均一かつ安定的に成長させることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造の一例を説明する図であって、所定の厚さの炭化珪素単結晶を作製した後の断面模式図である。
図1に示すように、炭化珪素単結晶成長用容器100は、原料収納容器2と、原料収納容器蓋3と、昇華放出調整部材7とから概略構成されている。
<原料収納容器>
原料収納容器2は、一端側が閉じられた円筒形状の容器であって、他端側に開口部20aが設けられている。開口部20aは、内径Rcの円柱状に刳り貫かれた原料収納部20に連通されており、原料収納部20の内底面20b側に原料用炭化珪素を充填することができる構成とされている。
原料収納容器2の材料としては、黒鉛が好ましい。熱伝導率が高く、原料収納容器2全体を均一に加熱することができるためである。
原料収納容器2は、円筒形状とすることが好ましい。原料収納容器2を円筒形状とすることにより、昇華法を用いて、種結晶上に二次元等方的に単結晶を成長させることができる。なお、原料収納容器2の底厚または側壁厚は、原料収納容器2の発熱特性にあわせて設計する。
<原料収納部>
原料収納部20の内底面20b側に炭化珪素粉末からなる原料用炭化珪素6が充填されている。また、原料収納部20の開口部20a側は、原料用炭化珪素6から排出させたSiC、SiC、SiCなどの混成ガス(昇華ガス)を種結晶4上で反応させて、炭化珪素単結晶5を成長させる空間21とされている。この空間21を設けることにより、高品質で長尺な炭化珪素単結晶5を安定して均一に、かつ十分作製することが出来る。
原料収納部20の内径Rcは、種結晶4の外径Rsの1.3倍以上2.0倍以下であることが好ましい。原料収納部20の内径Rcが種結晶4の外径Rsの1.3倍未満の場合には、昇華ガスの流路長を昇華ガスの成分比率を安定化できるだけ長くできないので好ましくない。逆に、原料収納部20の内径Rcが種結晶4の外径Rsの2.0倍を超える場合には、空間の周辺部方向が広くなり、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から均一に昇華ガスを当てることができなくなるので好ましくない。
原料収納部20の内径Rcが前記範囲である場合には、昇華開口部70で露出された昇華放出領域(中心部)61から昇華ガスを均一の成分比率で、安定して排出させて種結晶4の成長面4aへ噴射することができる。
なお、本発明の実施形態においては、50mm〜160mmの外径(口径)Rsを持つ種結晶4から炭化珪素単結晶5を成長させることを想定している。そのため、50mmの外径Rsを持つ種結晶4を用いる場合には、原料収納部20の内径Rcは75mmから100mmが適当である。また、160mmの外径Rsを持つ種結晶4を用いる場合には、原料収納部20の内径Rcは208mmから320mmが適当である。
<原料収納容器蓋>
原料収納容器蓋3は、原料収納容器2の原料収納部20の開口部20aの蓋をする。原料収納容器2と原料収納容器蓋3とを互いに密着させて配置することにより、昇華ガスが炭化珪素単結晶成長用容器100の外側に漏れないようにすることができる。これにより、原料収納部20の開口部20a側の空間を炭化珪素単結晶(インゴット)5を成長させる空間21とすることができる。
原料収納容器蓋3は、原料収納容器2の外径と略同一の大きさの円盤状の蓋である。原料収納容器蓋3の材料としては、原料収納容器2と同じ材料とすることが好ましい。これにより、炭化珪素単結晶成長用容器100を均一に加熱して、炭化珪素単結晶成長用容器100の内部の温度を均一にすることが容易となる。なお、原料収納容器蓋3の底厚または側壁厚は、原料収納容器蓋3の発熱特性にあわせて設計する。
<突出部31>
原料収納容器蓋3の一面には、突出部31が設けられている。原料収納容器2が原料収納容器蓋3により蓋をされたとき、突出部31は、原料収納容器蓋3の一面から内底面20b側へ向けて突出された外径Rsの円柱状の突出部分とされている。また、突出部31は、内底面20b側に種結晶4を配置するための一面31aを有している。
突出部31の突出高さ、突出部31の一面31aの形状及び大きさは、炭化珪素単結晶成長用容器100の大きさおよび作製する炭化珪素単結晶5の大きさなどを考慮して、一面31a上に配置する種結晶4の成長面4a上に、最も均一に昇華ガスを噴射させることができる形状及び大きさとすればよい。これにより、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
<種結晶4>
突出部31の一面31a上に種結晶4が配置されている。種結晶4は、たとえば、円盤状のウエーハからなり、その一面が公知の接合手段を用いて突出部31の一面31aに取り付けられている。
種結晶4としてウエーハを用いることにより、内底面20b側へ向けられた種結晶4の他面(成長面)4a上で二次元等方的に炭化珪素単結晶(インゴット)5を結晶成長させることができるので、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
種結晶4として用いる円盤状のウエーハは、あらかじめ形成しておいた円柱状の炭化珪素単結晶(インゴット)を短手方向にスライスすることにより得ることができる。この種結晶4の厚さは、目的とする炭化珪素単結晶5の成長条件などに応じて適宜設定する。
<炭化珪素単結晶(インゴット)5>
図1に示すように、種結晶4の成長面4aには、炭化珪素単結晶(インゴット)5が作製されている。
原料用炭化珪素6から排出された昇華ガスを種結晶4の他面4aに均一に噴きつけると、前記昇華ガスは種結晶4の成長面4aでゆっくりと冷却されて固体化する。炭化珪素単結晶成長用容器100の加熱温度を正確に制御して、この固体化速度を制御することにより、種結晶4の成長面4aの任意の軸に配向させて昇華ガスを固体化することができ、これにより、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に作製することができる。
なお、主に、炭化珪素単結晶5の結晶成長は、種結晶4の他面4aの垂直方向に膜厚を増加させるように進行する。
<原料用炭化珪素>
炭化珪素粉末からなる原料用炭化珪素6が、原料収納部20の内底面20b側に充填されている。
原料用炭化珪素6の充填深さDは、原料収納部20の深さRgの40%以上70%未満とすることが好ましく、45%から65%とすることがより好ましい。原料用炭化珪素6の充填深さDが原料収納部20の深さRgの40%未満の場合には、昇華ガスの流路長を昇華ガスの成分比率を安定化できるだけ長くできないので好ましくない。逆に、原料用炭化珪素6の充填深さDが原料収納部20の深さRgの70%を超える場合には、空間が狭くなり、昇華ガスを均一に種結晶4の成長面4aに当てることができなくない好ましくない。
充填深さDが前記範囲である場合には、発生した昇華ガスを空間21へ排出するまでに移動する原料用炭化珪素6の内部の流路長を十分な長さ確保することができ、昇華ガスの成分の化学平衡を安定させて、成分比率を安定化することができる。これにより、高品質で長尺な炭化珪素単結晶5を安定して均一に、かつ十分な量を作製することが出来る。
原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bは、原料収納容器蓋3で原料収納部20の開口部20aの蓋をしたときに種結晶4の成長面4aに対向するように水平とすることが好ましい。これにより、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bから昇華ガスを種結晶4の成長面4aに向けて排出するとともに、そのガス密度を均一にすることができるので、高品質で長尺な炭化珪素単結晶5を安定して均一に作製することが出来る。
<昇華放出調整部材>
原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bには、昇華放出調整部材7が埋め込まれて配置されている。昇華放出調整部材7は、種結晶4の成長面4aの平面形状と相似する昇華開口部70を有している。これにより、昇華放出調整部材7は、昇華開口部70から露出される昇華放出領域61、すなわち、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bであって昇華ガスが排出される昇華面70bと種結晶4の成長面4aとを対向させている。昇華開口部70は、平面視したときに、原料収納部20の中心に位置するように配置されている。
昇華放出調整部材7は、ガス非透過性材料からなる。昇華放出調整部材7の材料としては、高融点金属もしくはその炭化物、グラッシーカーボンまたは黒鉛のいずれかが好ましく、黒鉛がより好ましく、特に、等方性高純度黒鉛が好ましい。これにより、薄くても効果的に、原料用炭化珪素6から発生する昇華ガスを遮蔽するガス非透過性を確保することができる。また、昇華放出調整部材7に起因する不純物を発生させることがない。
昇華放出調整部材7は、円状の昇華開口部70が設けられたリング状(円環状)の部材である。これにより、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bの一部を遮蔽して昇華面70bを形成することができ、昇華ガスの方向およびガス密度を制御することができる。
図2は、図1の炭化珪素単結晶成長用容器100を加熱して原料用炭化珪素6を昇華させた際の混成ガス(昇華ガス)の流れを説明する概略図である。矢印が昇華ガスの流れを示す。また、図1で用いた部材の符号を利用して以下の説明をする。
炭化珪素単結晶成長用容器100を加熱したときに、原料用炭化珪素6は原料収納容器2の内底面20a側および側壁面20c側から徐々に加熱され、原料用炭化珪素6の内部で昇華ガスを発生する。
図2に示すように、原料用炭化珪素6の内底面20a側および側壁面20c側は原料収納容器2があり、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bの周辺部62は昇華放出調整部材7が配置されているので、昇華ガスは昇華放出調整部材7の中心部(昇華放出領域)61へ向かい、昇華開口部70からのみ空間21へ排出される。すなわち、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bの周辺部62側からは昇華ガスが排出されず、中心部61側の昇華面70bからのみから昇華ガスが排出される。また、昇華面70bに垂直な方向に均一なガス密度で昇華面70bから空間21へ昇華ガスが排出される。
昇華放出調整部材7の昇華開口部70は、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bであって、種結晶4の成長面4aと対向するように配置されているので、昇華開口部70と対向する位置の種結晶4の成長面4aに垂直な方向から均一なガス密度で原料用炭化珪素6の中心部(昇華放出領域)61から排出された昇華ガスが噴射される。種結晶4の成長面4aに到達した昇華ガスのガス密度は種結晶4の成長面4aのいずれの場所において均一とされるとともに、同一方向から昇華ガスが噴射されるので、高品質で長尺な炭化珪素単結晶5を安定して均一に作製することが出来る。
さらに、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bと昇華放出調整部材7の種結晶側の面7bとが同一面上となるように、昇華放出調整部材7は原料用炭化珪素6に埋め込んで配置されている。
これにより、前記昇華ガスの方向や勢いなどをより正確に制御することができる。具体的には、炭化珪素単結晶5の結晶成長過程で、原料用炭化珪素6から噴出された昇華ガスが種結晶4の成長面4aに到達した際に、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においても昇華ガスのガス密度がほぼ同じになるようにすることができる。これにより、高品質で長尺な炭化珪素単結晶5を安定して均一に作製することが出来る。
昇華放出調整部材7の外径Rrは、原料収納部20の内径Rcと略同一の長さとされている。そのため、昇華放出調整部材7の周辺部62は、その側面で原料収納部20の内壁面20cと接している。
これにより、昇華放出調整部材7の周辺部62と原料収納部20の内壁面20cとの間にガス流が流れる流路が生じないようにすることができ、周辺部62側から空間21へ排出される昇華ガスを低減することができる。これにより、周辺部62側から種結晶4の成長面4aへ噴射される昇華ガスを低減することができ、種結晶4の成長面4aへ噴射される昇華ガスの方向を均一化することができる。
また、昇華放出調整部材7は、中心部(昇華放出領域)61に種結晶4の成長面4aの形状と相似する昇華開口部70が形成されている。
これにより、中心部(昇華放出領域)61の昇華開口部70からのみ昇華ガスを均一の成分比率で安定して種結晶4の成長面4aへ噴射することができる。
昇華放出調整部材7の昇華開口部70の内径Rdは、種結晶4の外径Rsの0.7倍以上1.3倍以下とされることが好ましい。
昇華放出調整部材7の昇華開口部70の内径Rdが種結晶4の外径Rsの0.7倍未満である場合には、昇華ガスが種結晶4の中心部分に集中して均一な膜厚で炭化珪素単結晶を結晶成長させることができないので好ましくない。逆に、昇華放出調整部材7の昇華開口部70の内径Rdが種結晶4の外径Rsの1.3倍を超える場合には、周縁側から種結晶4の成長面4aへ流れ込む昇華ガスが増えるため、種結晶4の成長面4a上で均一なガス密度とすることができず好ましくない。
上記範囲とすることで、種結晶4の成長面4aへ昇華ガスを均一の成分比率で安定して噴射することができる。
昇華放出調整部材7の厚さは、原料収納部20の深さRgの3%以上50%以下であることが好ましい。昇華放出調整部材7の厚さが前記範囲であれば、原料用炭化珪素6の充填量および昇華ガスの遮蔽性を十分確保することができ、原料用炭化珪素6の内部の温度分布を不均一とするおそれも低減できる。
昇華放出調整部材7の厚さが原料収納部20の深さRgの3%以下である場合には、昇華ガスの遮蔽性が不十分となる。また、昇華ガスとの反応により昇華放出調整部材7が消失する場合があるので好ましくない。逆に、昇華放出調整部材7の厚さが原料収納部20の深さRgの50%以上の場合には、原料用炭化珪素6の充填量が少なくなり、必要な量の炭化珪素単結晶5を作製できないので好ましくない。さらにまた、原料用炭化珪素6の内部の温度分布を不均一とするおそれが発生するので好ましくない。
なお、図1に示すように、炭化珪素単結晶成長用容器100はインダクターコイル1の間に配置されている。インダクターコイル1の高周波誘導により発熱させることができ、この発熱により炭化珪素単結晶成長容器100を加熱することができる。炭化珪素単結晶成長用容器100を加熱することにより、原料収納部20の内底面側に充填した原料用炭化珪素6を昇華させて昇華ガスを発生させる。たとえば、結晶成長においては、炭化珪素単結晶成長用容器100を2000℃以上で50時間保持する。
次に、炭化珪素単結晶の作製方法について炭化珪素単結晶成長用容器100を用いて説明する。なお、炭化珪素単結晶成長用容器100で示した部材と同じ部材については同じ符号を付して説明する。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶の作製方法は、原料収納容器の原料収納部に原料用炭化珪素を充填する充填工程と、前記原料用炭化珪素上に昇華放出調整部材を配置する昇華放出調整部材配置工程と、原料収納容器の上方に種結晶を配置する種結晶配置工程と、前記原料収納部に充填された原料用炭化珪素を昇華させて、前記種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる単結晶成長工程と、を有する。
<充填工程>
所定の内径および深さの原料収納部20を備えた黒鉛製の炭化珪素単結晶成長用容器100を用意し、原料収納容器2の原料収納部20に所定の深さDで炭化珪素粉末からなる原料用炭化珪素6を充填する。その後、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bを水平にかつなだらかになるように整える。たとえば、原料収納部20の内径は75mm、深さは100mmとし、原料用炭化珪素6の充填深さDは、60mmとする。
<昇華放出調整部材配置工程>
次に、この原料用炭化珪素6の開口部側の面6aに所定の内径、外径、厚さの黒鉛製の円環状の昇華放出調整部材7を直接載せた後、これを原料用炭化珪素6に押し込んで、昇華放出調整部材7の種結晶側の面7bが、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bと同一面上になるようにする。たとえば、昇華放出調整部材7の内径は50mm、外径は75mm、厚さは5mmとする。
<種結晶配置工程>
次に、原料収納容器蓋3の突出部31に円盤状の種結晶4を取り付けて配置する。たとえば、種結晶4は、その口径(外径)が50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hであるものを用いる。
<結晶成長工程>
次に、インダクターコイル1の高周波誘導により炭化珪素単結晶成長容器100を2000℃以上に加熱した後50時間保持する。これにより、炭化珪素単結晶成長用容器100の原料収納部20の内底面20b側に充填した原料用炭化珪素6を昇華させて発生させた昇華ガスを、種結晶4の成長面4a上に結晶成長させて、炭化珪素単結晶5を作製する。その後、冷却して、種結晶4の成長面4a上で均一かつ安定的に成長させた高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を取り出すことができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華の際に、昇華ガスを放出する昇華放出領域61を露出させる昇華開口部70を備えた昇華放出調整部材7が原料用炭化珪素6の上に配置されており、昇華放出領域61と種結晶4とが対向して配置されている構成なので、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、種結晶4の炭化珪素単結晶5を成長させる面4aの形状が、平面視したときに、昇華開口部70の形状と相似している構成なので、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、種結晶4が円盤状であり、昇華放出調整部材7の昇華開口部70が円状である構成なので、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華開口部70の径が種結晶4の外径の0.7倍以上1.3倍以下とされている構成なので、周辺部62側から昇華ガスを排出させることがなく、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納部20が円柱状に刳り貫かれており、昇華放出調整部材7が円環状であり、昇華放出調整部材7の外径が原料収納部20の内径と略同一の長さである構成なので、昇華放出調整部材7の側面が原料収納部20の内壁面20cと接して昇華放出調整部材7の周辺部62と原料収納部20の内壁面20cとの間にガス流が流れる流路が生じないようにすることができ、周辺部62側から空間21へ排出される昇華ガスを低減することができる。これにより、周辺部62側から種結晶4の成長面4aへ噴射される昇華ガスを低減して、種結晶4の成長面4aへ噴射される昇華ガスの方向を均一化することができ、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納部20の内径が種結晶4の外径の1.3倍以上2.0倍以下である構成なので、中心部61の昇華開口部70から昇華ガスを均一の成分比率で、安定して排出させて種結晶4の成長面4aへ噴射することができ、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華開口部70および種結晶4が、平面視したときに、原料収納部70の中心に位置するように配置されている構成なので、中心部61の昇華開口部70から昇華ガスを均一の成分比率で、安定して排出させて種結晶4の成長面4aへ噴射することができ、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華放出調整部材7の厚さが原料収納部21の深さの3%以上50%以下である構成なので、原料用炭化珪素6の充填量および昇華ガスの遮蔽性を十分確保することができ、原料用炭化珪素6の内部の温度分布を不均一とするおそれも低減できる。これにより、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華放出調整部材7が、高融点金属もしくはその炭化物、グラッシーカーボンまたは黒鉛のいずれかからなる構成なので、薄くても効果的に、原料用炭化珪素6から発生する昇華ガスを遮蔽するガス非透過性を確保することができる。また、昇華放出調整部材7に起因する不純物を発生させることがない。これにより、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納容器2および原料収納容器蓋3が黒鉛からなる構成なので、熱伝導率が高く、原料収納容器2および原料収納容器蓋3を均一に加熱することができるためである。これにより、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料収納部20の深さの40%以上70%未満の充填深さで原料用炭化珪素6が充填されている構成なので、発生した昇華ガスを空間21へ排出するまでに移動する原料用炭化珪素6の内部の流路長を十分な長さ確保することができ、昇華ガスの成分の化学平衡を安定させて、成分比率を安定化することができる。これにより、種結晶4の成長面4a上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華放出領域61の種結晶側の面70bと昇華放出調整部材7の種結晶側の面7bとが同一面上となるように、昇華放出調整部材7が原料用炭化珪素6に埋め込んで配置されている構成なので、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、種結晶4の成長面4a上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶の作製方法は、先に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造を用いた炭化珪素単結晶の作製方法であって、原料用炭化珪素6上に昇華放出調整部材7を配置する昇華放出調整部材配置工程を有する構成なので、種結晶4の成長面4aに垂直な方向から、ガスの成分比率を均一として、種結晶4の成長面4aのいずれの場所においてもガス密度が同程度となるように、原料用炭化珪素6から発生させた昇華ガスを種結晶4の成長面4aに噴射することができる。これにより、種結晶4の成長面4a上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造の別の一例を説明する図であって、所定の厚さの炭化珪素単結晶の作製を行った後の断面模式図である。
図3に示すように、炭化珪素単結晶成長用容器101は、昇華放出調整部材7が原料用炭化珪素の上に配置されているほかは、実施形態1と同様に構成されている。
実施形態1では、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bに昇華放出調整部材7を埋め込んで配置したが、このように、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bと昇華放出調整部材7の種結晶と反対側の面7aとが隙間なく接面するように、原料用炭化珪素6上に昇華放出調整部材7を配置しても良い。
この場合でも、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bと昇華放出調整部材7の種結晶と反対側の面7aとが隙間なく接面されているので、原料用炭化珪素6の周辺部62側から昇華ガスが排出されず、また、昇華放出調整部材7と原料用炭化珪素6との間でショートカットして昇華ガスを排出させる流路などが形成されることはなく、種結晶4の他面4aに均一に噴射される昇華ガスを阻害するようなガス流が生じない。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、原料用炭化珪素6の種結晶側の面6bと昇華放出調整部材7の種結晶と反対側の面7aとが隙間なく接面するように、昇華放出調整部材7が原料用炭化珪素6の上に配置されている構成なので、種結晶4の成長面4aに均一に噴射される昇華ガスを阻害するようなガス流が生じないようにすることができ、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造のさらに別の一例を説明する図であって、所定の厚さの炭化珪素単結晶の作製を行った後の断面模式図である。
図4に示すように、炭化珪素単結晶成長用容器102は、昇華放出調整部材7が外周側に向けて厚さが厚くなるように形成されているほかは、実施形態1と同様に構成されている。
実施形態1では、昇華放出調整部材7の厚さを均一にして形成したが、このように昇華放出調整部材7は外周側に向けて厚さが厚くなるように形成されていてもよい。これにより、昇華放出調整部材7の周辺部62の側面と原料収納部20の内壁面20cとの間をより密着させて、昇華放出調整部材7の周辺部62と原料収納部20の内壁面20cとの間から昇華ガスが空間21へ排出されるおそれをより低減することができ、種結晶4の成長面4aへ噴射される昇華ガスの方向をより均一化することができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶成長用容器構造は、昇華放出調整部材7が外周側に向けて厚さが厚くなるように形成されている構成なので、昇華放出調整部材7の周辺部62の側面と原料収納部20の内壁面20cとの間をより密着させて、昇華放出調整部材7の周辺部62の側面と原料収納部20の内壁面20cとの間から昇華ガスが空間21へ排出されるおそれをより低減することができ、種結晶4上で高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶5を均一かつ安定的に成長させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
内径75mm、深さ100mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ60mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に 内径50mm、外径75mm、厚さ5mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を直接載せた。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は54mm径で高さが10.3mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.8個E+03/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例2)
内径75mm、深さ100mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ60mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に 内径50mm、外径75mm、厚さ15mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を直接載せた。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は54mm径で高さが10.0mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.6E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例3)
内径75mm、深さ100mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ60mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に内径40mm、外径75mm、厚さ15mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を原料面と同じ高さとなるように配置した。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は50mm径で高さが10.5mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.0E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例4)
内径80mm、深さ110mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ65mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に内径60mm、外径80mm、厚さ35mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を原料面と同じ高さとなるように配置した。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は56mm径で高さが9.5mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は3.6E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例5)
内径100mm、深さ125mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ75mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に 内径75mm、外径100mm、厚さ5mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を直接載せた。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径75mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は80mm径で高さが10.5mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.8E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例6)
内径100mm、深さ125mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ75mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に内径75mm、外径100mm、厚さ15mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を直接載せた。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径75mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は80mm径で高さが10.1mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.7E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(実施例7)
内径120mm、深さ180mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ120mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料面に内径80mm、外径100mm、厚さ20mmの黒鉛製円環状の昇華放出調整部材を直接載せた。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径80mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は85mm径で高さが11.9mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、インクルージョンは皆無であった。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.3E+03個/cmであり、成長初期から後期にかけての欠陥増はなかった。
(比較例1)
内径75mm、深さ100mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ60mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は53mm径で高さが9.2mmの円柱状であった。この炭化珪素単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、外周部成長後期においてインクルージョンが散見された。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は2.5個E+04/cmであり、成長初期及び後期において欠陥が増加していた。
(比較例2)
内径80mm、深さ110mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ65mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径50mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は54mm径で高さが8.8mmであった。こうして得られた単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、外周部成長後期においてインクルージョンが散見された。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は3.6E+04個/cmであり、成長初期及び後期において欠陥が増加していた。
(比較例3)
内径100mm、深さ125mmの黒鉛製の原料収納容器を用意し、この原料収納容器に深さ75mmとなるよう炭化珪素原料粉を充填した。この原料収納容器に取り付ける原料収納容器蓋の上部内面には、口径75mm、(0001)面、ポリタイプが4Hである種結晶を取り付け、2000℃以上で50時間保持して、種結晶の他面上に炭化珪素単結晶を成長させた。
このようにして得られた炭化珪素単結晶は80mm径で高さが8.5mmであった。こうして得られた単結晶をスライス切断してウエーハとした後、これを研磨して、その断面の顕微鏡観察を行った結果、外周部成長後期においてインクルージョンが散見された。
また、このウエーハをKOH融液に浸漬して500℃で10分間エッチングした。この後、光学顕微鏡にてピットをカウントし、結晶品質を確認した。炭化珪素単結晶の欠陥(エッチピット密度)は5.2E+04個/cmであり、成長初期及び後期において欠陥が増加していた。
以上の作製条件および検査結果を表1および表2にまとめた。
Figure 2010013296
Figure 2010013296
本発明は、高品質かつ長尺の炭化珪素単結晶を安定的に成長させることができる炭化珪素単結晶成長容器構造および炭化珪素単結晶の作製方法に関するものであって、高品質の炭化珪素単結晶を低コストで製造することができ、炭化珪素デバイスの量産実用化に大きく寄与するものである。そのため、本発明は、炭化珪素単結晶を用いた大電力パワーデバイス、耐高温素子材料、耐放射線素子材料、高周波素子材料等の製造産業およびこれ利用する産業において利用可能性がある。
本発明の炭化珪素単結晶成長容器構造の一例を示す断面模式図である。 本発明の炭化珪素単結晶成長容器構造におけるガスの流れを説明する断面模式図である。 本発明の炭化珪素単結晶成長容器構造の別の一例を示す断面模式図である。 本発明の炭化珪素単結晶成長容器構造のさらに別の一例を示す断面模式図である。 従来の炭化珪素単結晶成長容器構造を示す断面模式図である。 従来の炭化珪素単結晶成長容器構造におけるガスの流れを説明する断面模式図である。
符号の説明
1…インダクターコイル、2…原料収納容器、3…原料収納容器蓋、4…種結晶、4a…他面(成長面)、5…炭化珪素単結晶(インゴット)、6…原料用炭化珪素、6b…種結晶側の面、7…昇華放出調整部材、7a…種結晶と反対側の面、7b…種結晶側の面、31…突起部、31a…一面、41…中央部、42…周辺部、61…昇華放出領域(中央部)、62…周辺部、20…原料収納部、20a…開口部、20b…内底面、20c…内壁面、21…空間、70…昇華開口部、70b…種結晶側の面(昇華面)、100、101、102…炭化珪素単結晶成長容器、200…炭化珪素単結晶成長容器、201…インダクターコイル、202…原料収納容器、203…原料収納容器蓋、204…種結晶、204a…他面(成長面)205…炭化珪素単結晶(インゴット)、206…原料用炭化珪素、231…突起部、231a…一面、241…中央部、242…周辺部、221…空間。

Claims (15)

  1. 原料用炭化珪素が充填された原料収納部を有する原料収納容器と、前記原料用炭化珪素の上方に配置された種結晶と、を備え、前記原料用炭化珪素を昇華させて前記種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる際に用いられる炭化珪素単結晶成長用容器構造であって、
    前記昇華の際に、昇華ガスを放出する昇華放出領域を露出させる昇華開口部を備えた昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素の上に配置されており、前記昇華放出領域と前記種結晶とが対向して配置されていることを特徴とする炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  2. 前記種結晶の炭化珪素単結晶を成長させる面の形状が、平面視したときに、前記昇華開口部の形状と相似していることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  3. 前記種結晶が円盤状であり、前記昇華開口部が円状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  4. 前記昇華開口部の径が前記種結晶の径の0.7倍以上1.3倍以下とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  5. 前記原料収納部が円柱状に刳り貫かれており、前記昇華放出調整部材が円環状であり、前記昇華放出調整部材の外径が前記原料収納部の径と略同一の長さであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  6. 前記原料収納部の径が前記種結晶の径の1.3倍以上2.0倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  7. 前記昇華開口部および前記種結晶が、平面視したときに、前記原料収納部の中心に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  8. 前記昇華放出調整部材の厚さが前記原料収納部の深さの3%以上50%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  9. 前記昇華放出調整部材が外周側に向けて厚さが厚くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  10. 前記昇華放出調整部材が高融点金属もしくはその炭化物、グラッシーカーボンまたは黒鉛のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  11. 前記原料収納容器が黒鉛からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  12. 前記原料収納部の深さの40%以上70%未満の充填深さで前記原料用炭化珪素が充填されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  13. 前記昇華放出領域の種結晶側の面と前記昇華放出調整部材の種結晶側の面とが同一面上となるように、前記昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素に埋め込んで配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  14. 前記昇華放出領域の種結晶側の面と前記昇華放出調整部材の種結晶と反対側の面とが隙間なく接面するように、前記昇華放出調整部材が前記原料用炭化珪素上に配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の炭化珪素単結晶成長用容器構造を用いた炭化珪素単結晶の作製方法であって、
    原料収納容器の原料収納部に原料用炭化珪素を充填する充填工程と、
    前記原料用炭化珪素上に昇華放出調整部材を配置する昇華放出調整部材配置工程と、
    原料収納容器の上方に種結晶を配置する種結晶配置工程と、
    前記原料収納部に充填された原料用炭化珪素を昇華させて、前記種結晶に炭化珪素単結晶を成長させる単結晶成長工程と、を有することを特徴とする炭化珪素単結晶の作製方法。
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