JP2010012768A - コーティング組成物又は積層体 - Google Patents

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剛 従野
Takanori Hattori
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Abstract

【課題】ラクトン環含有重合体を含む基材と機能層との密着性を高める。
【解決手段】本発明の製造方法は、機能層6を形成するためのコーティング組成物を基材4に塗布するコーティング工程と、塗布されたコーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含む。基材4は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含む。この製造方法では、コーティング工程及び/又は乾燥工程において、上記コーティング組成物を基材4に含浸させる。本発明の積層体2は、基材4と、この基材4に接している機能層6とを備えている。基材4が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでいる。機能層6は、基材4に含浸している。好ましくは、基材4は、延伸されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラクトン環含有重合体を含む基材に用いられるコーティング組成物に関する。また本発明は、上記コーティング組成物よりなる機能層と上記基材とが積層された積層体に関する。
ラクトン環含有重合体は、汎用されているメタクリル系樹脂と同等の透明性を有すると共に、メタクリル系樹脂に比べて耐熱性が高い。またこのラクトン環含有重合体は、表面光沢や機械的強度に優れる。よって、このラクトン環含有重合体を含むフィルム基材に、何らかの機能を有する機能層を積層することにより、優れた積層体が得られうる。ラクトン環含有重合体は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることにより得られる。
このような積層体では、基材と機能層との密着性が高いのが好ましい。特開2007−140092号公報は、ラクトン環含有(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするフィルムに、このフィルムを膨潤又は溶解し得る溶剤が塗布されてなる偏光子保護フィルムを開示する。このフィルムは、偏光子との接着性に優れる。特開2007−126579号公報は、ラクトン環含有重合体と他の熱可塑性樹脂等とを強固に接着することができる接着剤を開示する。特開2007−126580号公報は、ポリウレタン樹脂もしくはその前駆体及び/又はアミノ基含有ポリマーを含有するラクトン環含有重合体用プライマーを開示する。
特開2007−140092号公報 特開2007−126579号公報 特開2007−126580号公報
本発明者は、ラクトン環含有重合体を含む基材と機能層との密着性を更に向上させうる新たな技術を見いだすに至った。本発明では、プライマー層のような中間層を介することなく、上記密着性を向上させうる技術を見いだした。
本発明の目的は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を含む基材と機能層との密着性を向上させることにある。
本発明に係る積層体の製造方法は、機能層を形成するためのコーティング組成物を基材に塗布するコーティング工程と、塗布された上記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含む。この製造方法では、上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含む。上記コーティング工程及び/又は上記乾燥工程において、上記コーティング組成物を上記基材に含浸させる。
好ましくは、上記基材のガラス転移点(Tg)がTg1(℃)であるとき、上記乾燥工程における乾燥温度が、[Tg1−50]℃以上[Tg1+50]℃以下とされる。
好ましくは、上記コーティング組成物が溶剤を含む。好ましくは、この溶剤が、炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、多価アルコールエステル類、フラン類、酸類、ハロゲン炭化水素類、窒素化合物及びスルホン酸類からなる群から選択される1種又は2種以上である。好ましくは、上記溶剤の沸点が200℃以下である。
本発明に係る他の製造方法は、機能層を形成するためのコーティング組成物を基材に塗布するコーティング工程と、塗布された上記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含む。好ましくは、上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでいる。好ましくは、上記基材のガラス転移点(Tg)がTg1(℃)であるとき、上記乾燥工程における乾燥温度が、[Tg1−50]℃以上[Tg1+50]℃以下である。
本発明に係る積層体は、基材と、この基材に接している機能層とを備えている。上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでいる。好ましくは、上記基材が、延伸されている。好ましくは、上記機能層が、上記基材に含浸している。
本発明に係るコーティング組成物は、基材に塗布されることにより、基材上に機能層を形成することができる。このコーティング組成物は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含む基材に塗布されると、この基材に含浸しうる。
新たな製造方法等により、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を含む基材と機能層との密着性が向上しうる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態には限定されない。
なお、本願においては、他の添加剤との区別を明確とする目的で、コーティング組成物(及び機能層)に含まれうる添加剤であって、コーティング組成物の硬化収縮の低減及び/又はコーティング組成物の基材への含浸に寄与しうる添加剤が、添加剤(A)とも表記される。
1.[ラクトン環含有重合体]
本発明の基材は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでいる。即ち、ラクトン環含有重合体は、上記熱可塑性樹脂(L)の主成分である。このラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1)で示されるラクトン環構造を有する。
Figure 2010012768
ただし、上記式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機基(有機残基)を表す。なお、この炭素数1〜20の有機基は酸素原子を含有していてもよい。
ラクトン環含有重合体におけるラクトン環構造の含有割合RLは、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、ラクトン環構造の含有割合が90質量%を超えると、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。この含有割合RLは、後述される方法により測定される。
ラクトン環含有重合体は、上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸及び下記式(2)で示される単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
Figure 2010012768
ただし、上記式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機基(有機残基)を表す。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造の含有割合Rtは、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。水酸基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、含有割合Rtは、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。また、不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、含有割合Rtは、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。さらに、上記式(2)で示される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、含有割合Rtは、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。なお、この含有割合Rtは、上記含有割合RLを用いて、計算式「Rt=100−RL」により算出される。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、特に限定されず、例えば、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後、得られた重合体(a)にラクトン環化縮合反応を行うことにより得られる。このラクトン環化縮合反応は、加熱処理によりラクトン環構造を重合体に導入する反応である。
重合工程においては、例えば、下記式(3)で示される単量体を配合した単量体成分の重合反応を行う。この重合反応により、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体が得られる。
Figure 2010012768
ただし、上記式(3)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機基(有機残基)を表す。
上記式(3)で示される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。これらの単量体のうち、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性を向上させる効果が高いことから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。
重合工程に供される単量体成分中における上記式(3)で示される単量体の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。上記式(3)で示される単量体の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、上記式(3)で示される単量体の含有割合が90質量%を超えると、重合工程やラクトン環化縮合工程におけるゲル化や、得られた重合体の成形加工性の低下が起こりうる。
重合工程に供される単量体成分には、上記式(3)で示される単量体以外の単量体を配合してもよい。このような単量体は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸及び上記式(2)で示される単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのうち、得られた重合体の耐熱性や透明性が優れる観点から、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供される単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。
上記式(3)で示される単量体以外の水酸基含有単量体は特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられる。これらの水酸基含有単量体は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。
上記式(3)で示される単量体以外の水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。これらの不飽和カルボン酸を用いる場合は、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。これらの単量体を用いる場合は、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
上記式(2)で示される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を使用する重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を使用する重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤が添加されてもよい。重合開始剤は特に限定されず、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
重合工程により、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)が得られる。この重合体(a)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。なお、重量平均分子量は、後述される方法により、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求めた値である。上記したように、重合工程で得られた重合体(a)は、ラクトン環化縮合工程において加熱処理されることにより、ラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)を加熱処理する方法は特に限定されず、従来公知の方法が用いられうる。例えば、重合工程によって得られた溶剤含有混合物を、そのまま加熱処理してもよい。あるいは、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いた加熱処理がなされてもよい。あるいは、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理がなされてもよい。
環化縮合反応は、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させつつなされてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒が用いられてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類が触媒として用いられてもよい。あるいは、環化縮合反応の触媒として有機リン化合物が用いられてもよい。使用可能な有機リン酸化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸などのアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの有機リン化合物は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、かつ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。脱揮工程とは、溶剤、残存単量体などの揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。脱揮工程により、縮合環化反応で副生するアルコールが強制的に除去されるので、反応の平衡が生成側に有利となる。この除去処理が不充分である場合、得られた重合体中の残存揮発分が増加しやすい。この残存揮発分は、成形時の着色、成形不良等を招来しうる。
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。なお、重量平均分子量は、後述される方法により、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求められる。
ラクトン環含有重合体の、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。この質量減少率の測定方法は、後述の通りである。
濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合におけるラクトン環含有重合体の着色度(YI)は、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を超えると、着色により透明性が損なわれ、用途が限定される場合がある。
ラクトン環含有重合体のガラス転移点(Tg)は、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃以上である。このガラス転移点(Tg)の測定方法は、後述の通りである。
透明性を要求される用途で用いられる場合、ラクトン環含有重合体の全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、透明性を要求される用途に使用できないことがある。この全光線透過率は、成形された基材において測定され、ASTM−D−1003に準拠した方法で測定される。
2.[熱可塑性樹脂(L)]
熱可塑性樹脂(L)は、ラクトン環含有重合体を主成分とする。熱可塑性樹脂(L)におけるラクトン環含有重合体の含有割合は、少なくとも50質量%、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。熱可塑性樹脂層におけるラクトン環含有重合体の含有割合が50質量%未満であると、本発明の効果を充分に発揮できない場合がある。本願において、「ラクトン環含有重合体を主成分とする」とは、ラクトン環含有重合体の含有割合が50質量%以上であることを意味する。
熱可塑性樹脂(L)には、ラクトン環含有重合体以外の重合体(以下「その他の重合体」ともいう。)を含有していてもよい。その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(L)におけるその他の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
熱可塑性樹脂(L)は、種々の添加剤を含有していてもよい。この添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(L)における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
この熱可塑性樹脂(L)は、後述される基材に含まれる。熱可塑性樹脂(L)を含む熱可塑性樹脂組成物を製造する方法として、例えば、オムニミキサーなど、従来公知の混合機で原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法が挙げられる。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混合機が用いられうる。
3.[基材]
基材は、上記熱可塑性樹脂(L)を含む熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。この基材は、フィルムやシートなどの形態に成形されるのが好ましい。基材の成形方法は、特に限定されず、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知の成形方法が採用されうる。これらの成形方法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いられてもよいし2種以上が併用されてもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
Tダイ法で成形する場合は、例えば、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状やシート状に押出されたフィルムやシートを巻取り、ロール状のフィルムやシートを得る。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムやシートを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
基材は、未延伸であってもよいし、延伸されていてもよいが、延伸されているのが好ましい。延伸により、基材の表面付近に脆弱層が形成されやすい。この脆弱層に起因する凝集破壊により、基材と機能層との密着性が低下しやすい。後述するように、機能層は、この脆弱層に含浸しうる。機能層は、基材に入り込みうる。よって、機能層は、基材を補強しうる。機能層は、特に基材の脆弱層を補強しうる。機能層により、凝集破壊が抑制され、密着性が向上しうる。また、脆弱層は、多数の微細なクラックを有していると考えられ、機能層は、このクラックに入り込みうる。この入り込みにより、アンカー効果が生じ、機能層と基材との間の密着性が向上しうる。一軸延伸よりも、二軸延伸のほうが、脆弱層が形成されやすい。脆弱層が形成されやすく、本発明の効果が顕在化しやすい観点から、基材は、二軸延伸されているのがより好ましい。
後述する実施例が示すように、本発明の機能層は、基材との密着性に優れる。この密着性向上効果から、機能層が、基材の凝集破壊を抑制していることが判る。よって、機能層は、何らかの作用により、基材の表面の強度を高めていると考えられる。本願では、この機能層による効果を、「補強」という文言を用いて表現する。即ち本願では、基材表面の強度が向上していることを、「基材表面が補強されている」と表現する。ただし、機能層が、いかにして基材表面を補強しているかについての詳細は不明である。
機能層による上記補強効果は、機能層が、基材に対して何らかの影響を与えている証拠である。即ち、機能層による上記補強効果は、機能層が、基材の表層を変質させていることを示している。この補強効果は、機能層(の一部)が、基材に含浸することにより生じていると考えられる。たとえば、基材の上記脆弱層に存在するクラックに機能層が入り込むことにより、脆弱層が補強されていると考えられる。また、機能層又はコーティング組成物が溶剤を含んでいる場合、この溶剤により、コーティング組成物が基材に入り込みやすくなり、この入り込みにより、基材表面の強度が向上していると考えられる。
延伸は、1軸延伸でもよいし、2軸延伸でもよい。2軸延伸は、同時2軸延伸であってもよいし、逐次2軸延伸であってもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルムやシートの性能が向上する。
延伸温度は、原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度に近いのが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)以上(ガラス転移温度+100℃)以下、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)以上〜(ガラス転移温度+80℃)以下の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えなくなることがある。
面積比で定義される延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。逆に、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。
延伸速度は、一つの延伸方向において、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましく100〜10,000%/minの範囲内である。延伸速度が10%/min未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなることがある。逆に、延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムやシートの破断などが起こることがある。
なお、基材としてのフィルムやシートには、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)がなされてもよい。
基材の厚さは特に限定されず、例えば5μm以上5mm以下である。
基材表面の濡れ張力は、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が40mN/m以上であると、基材と機能層との密着性がさらに向上しやすい。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、等の表面処理を施すことができる。
4−1.[機能層及び機能層を形成するコーティング組成物]
機能層は、上記基材に接して設けられる。通常、機能層は、後述されるコーティング組成物を上記基材に塗布することにより形成される。機能層は、基材の表面付近に形成されうる脆弱層を効果的に補強しうる。この脆弱層の補強により、凝集破壊が抑制されうる。
機能層は、何らかの機能を有する層である。この機能は限定されない。機能層として、ハードコート層、防眩層(アンチグレア層)、反射防止層、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、電磁波遮蔽層、光拡散層、偏光層、色調整層等が例示される。機能層は、単層であってもよいし、複数の層からなっていてもよい。機能層は、複数の機能を有していてもよい。
機能層のうち、例えばハードコート層は、ハードコート樹脂成分を有している。このハードコート樹脂成分は、活性エネルギー硬化性を有するのが好ましい。即ちこのハードコート樹脂成分は、活性エネルギー線の照射によって硬化されるのが好ましい。なお、活性エネルギー線は特に限定されず、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等が例示される。エネルギー量が高く樹脂を硬化させやすい観点から、好ましい活性エネルギー線は紫外線又は電子線であり、より好ましくは紫外線である。活性エネルギー線硬化性の観点から、好ましいハードコート樹脂成分は、ラジカル重合性樹脂である。このラジカル重合性樹脂は特に限定されず、分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する単量体を重合して得られるラジカル重合性樹脂が好ましい。より好ましいハードコート樹脂成分は、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体を重合して得られるラジカル重合性樹脂である。このようなラジカル重合性樹脂用の単量体として、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、多価アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル等が例示されうる。この機能層用樹脂組成物は、重合開始剤を含むのが好ましい。この重合開始剤としては、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤が好ましく、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などのケトン系化合物が好適なものとして例示される。ハードコート層以外の機能層においても、上記ハードコート樹脂成分が好適に用いられうる。
機能層は、その機能に応じて、適切な添加剤を含有してもよい。添加剤の例として、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、顔料、顔料分散剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強材、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱型剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、すべり付与剤、密着性付与剤、防汚剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、光増感剤、表面改良剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
機能層は、任意の適切な有機微粒子又は無機微粒子を含有してもよい。これらの有機微粒子又は無機微粒子により、防眩性、屈折率調整、導電性等の機能が付与されうる。高屈折率化や導電性付与に有用な微粒子の具体例として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。低屈折率化に有用な微粒子の具体例として、フッ化マグネシウム、シリカ、中空シリカ等が挙げられる。防眩性付与に有用な微粒子の具体例としては、上記の微粒子に加え、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の無機粒子;シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びこれらの共重合樹脂等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、単独で用いられても良く、2種以上が組み合わされても良い。なお、上記有機微粒子又は無機微粒子は、コーティング組成物の硬化収縮を低減する効果をも発揮しうる。
基材への入り込みやすさの観点から、上記機能層は、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂(L))を含んでいてもよい。機能層と基材とのいずれもが熱可塑性樹脂(L)を含むことにより、機能層と基材との親和性が向上しうる。
機能層を形成するためのコーティング組成物は、基材上に塗布される。コーティング組成物は、基材に直接塗布される。このコーティング組成物が、機能層となる。好ましくは、このコーティング組成物からなる層は、乾燥工程を経て、機能層となる。好ましくは、この乾燥工程では、加熱がなされる。通常、この乾燥工程では、溶剤の少なくとも一部が蒸発する。乾燥工程中において、化学反応が起こっていてもよい。この乾燥工程の後に、硬化工程がなされてもよい。好ましくは、この硬化工程では、分子間架橋が形成される。好ましい硬化工程として、活性エネルギー線による硬化工程及び熱硬化工程が例示される。好ましい活性エネルギー線は前述した通りである。好ましくは、塗布されてから乾燥工程までの間に、コーティング組成物は、基材に侵入しうる。コーティング組成物は、特に基材の脆弱層に侵入しうる。後述するように、コーティング組成物が溶剤を含む場合、この溶剤により、基材への侵入が容易とされうる。また、溶剤の存在により、コーティング組成物の粘度が塗工に適した粘度に調整されうる。溶剤の存在により、コーティング組成物の塗工が容易とされうる。
基材にコーティング組成物を塗布する際には公知の塗工機が使用されうる。塗工機として、例えば、バーコーター、コンマコーター等のナイフコーター、スロットダイコーター、リップコーター等のファウンテンコーター、マイクログラビアコーター等のキスコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター等のロールコーター、フローコーター及びスプレーコーターが挙げられる。塗布前にコロナ放電処理、プラズマ処理等の公知の方法で基材の表面処理を行ってもよい。硬化方法としては、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、UV硬化等公知の方法が使用できる。
塗布されたコーティング組成物の乾燥方法は特に限定されないが、熱風乾燥や遠赤外線乾燥を用いることができる。1ラインに複数の乾燥機がある場合は、それぞれの乾燥機を異なる温度、風速に設定してもよい。塗工外観の良好な塗膜を得るためには、入り口側の乾燥条件をマイルドにするのが好ましい。
4−2.[添加剤(A)]
本発明のコーティング組成物及び機能層は、硬化収縮の低減及び/又は基材への含浸に寄与しうる添加剤(A)を含むのが好ましい。添加剤(A)は、硬化収縮低減効果のみを有していてもよい。添加剤(A)は、コーティング組成物を基材に含浸させる効果(以下、含浸効果ともいう)のみを有していてもよい。添加剤(A)は、上記硬化収縮低減効果及び上記含浸効果の両方を有していてもよい。
コーティング組成物を硬化させる硬化工程において、硬化収縮が発生しうる。この硬化収縮は、基材に悪影響を与えうる。この硬化収縮は、特に基材の脆弱層にダメージを与えうる。この硬化収縮により、凝集破壊が生じやすい。この硬化収縮により、基材と機能層との密着性が低下しやすい。添加剤(A)の硬化収縮低減効果により、基材と機能層との密着性が向上しうる。
また、上記含浸効果を有する添加剤(A)により、基材が効果的に補強されうる。特に、この添加剤(A)により、基材の脆弱層が効果的に補強されうる。
含侵効果及び硬化収縮低減効果を有しうる添加剤(A)として、アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有アクリル酸エステル;メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有メタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド類;スチレン;酢酸ビニルなどのビニル化合物;アクリロニトリル;などが挙げられる。
更に、含浸効果及び硬化収縮低減効果を有しうる添加剤(A)として、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、多官能チオール、(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基を含有する2官能の異種重合性モノマー等が例示される。この添加剤(A)の具体例として、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
ポリエチレングリコールジアクリレートの市販品として、新中村化学工業(株)製の商品名「A−200」、「A−400」及び「A−600」が挙げられる。トリメチロールプロパントリメタアクリレートの市販品として、共栄社化学(株)製の商品名「ライトエステルTMP」が挙げられる。エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートの市販品として、共栄社化学(株)製の商品名「ライトアクリレートTMP−6EO−3A」が挙げられる。1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンの市販品として、昭和電工(株)製の商品名「カレンズMT BD1」が挙げられる。ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)の市販品として、昭和電工(株)製の商品名「カレンズMT PE1」が挙げられる。アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの市販品として、(株)日本触媒製の商品名「VEEA」が挙げられる。メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの市販品として、(株)日本触媒製の商品名「VEEM」)が挙げられる。
このように、添加剤(A)として、反応性化合物が用いられうる。積層体の機能層において、上記添加剤(A)は、単量体(未反応)のまま存在していてもよいし、反応生成物を形成していてもよい。この反応生成物として、添加剤(A)同士の反応により生成した化合物、上記ハードコート樹脂成分と添加剤(A)との反応により生成した化合物、及び、添加剤(A)と熱可塑性樹脂(L)との反応により生成した化合物が例示される。この添加剤(A)の反応は、硬化工程又は乾燥工程において起こりうる。この反応は、例えば、紫外線等の活性エネルギー線や熱によって起こりうる。また上記添加剤(A)は、乾燥工程等において蒸発してもよい。
また、前述したように、上記有機微粒子又は上記無機微粒子も、硬化収縮低減効果を奏しうる。即ち、上記有機微粒子又は上記無機微粒子は、添加剤(A)となりうる。
添加剤(A)は、熱可塑性樹脂であってもよい。前述した熱可塑性樹脂(L)と区別する目的で、本願において、機能層(コーティング組成物)に含まれうる熱可塑性樹脂が、熱可塑性樹脂(F)とも表記される。添加剤(A)としての熱可塑性樹脂(F)は特に限定されず、例えば、前述した熱可塑性樹脂(L)として用いられうる樹脂の全てが、熱可塑性樹脂(F)に用いられうる。機能層又はコーティング組成物を基材へと容易に含浸させる観点から、熱可塑性樹脂(F)は、下記の重合性単量体を重合して得られる重合体が好ましい。この重合性単量体として、例えば、アクリル酸;メタクリル酸;メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有メタクリル酸エステル;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有アクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド類;スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物;アクリロニトリル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
基材と機能層との親和性の観点から、熱可塑性樹脂(F)の少なくとも一部が上記熱可塑性樹脂(L)であるのが好ましい。更には、基材と機能層との親和性の観点から、熱可塑性樹脂(F)の少なくとも一部が、基材に含まれる熱可塑性樹脂(L)と同じ化合物であるのが好ましい。
ラクトン環構造に対する親和性の観点から、熱可塑性樹脂(F)は、極性基又は極性結合を有するのが好ましい。好ましい極性基として、水酸基、アミノ基、カルボニル基及びエステル基が挙げられる。
基材への入り込み(含浸)を容易とする観点から、熱可塑性樹脂(F)のガラス転移点(Tg)は、150℃以下が好ましい。熱可塑性樹脂(F)の硬度を高くして、基材に対する補強効果を高める観点から、熱可塑性樹脂(F)のガラス転移点(Tg)は、30℃以上が好ましい。熱可塑性樹脂(F)のガラス転移点は、後述されるように、Foxの式を用いて計算される。
熱可塑性樹脂(F)の重量平均分子量は、基材への入り込みやすさに影響しうる。熱可塑性樹脂(F)の重量平均分子量が小さいほど、コーティング組成物が基材に入り込みやすい。熱可塑性樹脂(F)の重量平均分子量が小さいほど、基材の表層部が補強されやすい。この観点から、熱可塑性樹脂(F)の重量平均分子量は、1,000,000以下が好ましい。熱可塑性樹脂(F)の硬度を上げ、機能層による補強効果を向上させる観点から、熱可塑性樹脂(F)の重量平均分子量は、1,000以上が好ましい。重量平均分子量は、後述される方法により、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算により求められる。
なお、コーティング組成物のハードコート樹脂成分が活性エネルギー線硬化性を有している場合、添加剤(A)も活性エネルギー硬化性を有しているのが好ましい。この場合、添加剤(A)は、活性エネルギーにより、コーティング組成物の基材樹脂と共重合しうるものが好ましい。この共重合により、硬化収縮を抑制しつつ、機能層の強度を高めることが可能となる。エネルギー量が高く樹脂を硬化させやすい観点から、好ましい活性エネルギー線は紫外線又は電子線であり、より好ましくは紫外線である。
4−3.[溶剤]
機能層を形成する上記コーティング組成物は、溶剤を含んでいてもよい。乾燥された後の機能層において、この溶剤は残留していてもよいし、蒸発により消滅していてもよい。
この溶剤は限定されない。この溶剤により、コーティング組成物が、基材の脆弱層に入り込みやすくなる。この入り込みにより、脆弱層が補強されうる。上記脆弱層への補強効果の観点から、この溶剤は、上記熱可塑性樹脂(L)を溶解させうるものが好ましい。上記溶剤として、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、安息香酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステル類;ジオキソラン、ジオキサン、メチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル類;メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート等の多価アルコールエステル類;テトラヒドロフラン、フルフラール等のフラン類;氷酢酸等の酸類;メチレンクロライド、エチレンジクロライド、テトラクロロエタン等のハロゲン炭化水素類;ニトロメタン、ニトロエタン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼン等の窒素化合物;ジメチルスルホキサイド等のスルホン酸類等が好適に用いられる。塗布後の乾燥を考慮すると、揮発し易い溶剤が好ましく、具体的には、沸点が200℃以下のものが好ましい。
溶剤が基材を溶解する度合いが、以下において溶剤の基材溶解性とも称される。溶剤の基材溶解性が高い場合、コーティング組成物が基材に入り込みやすい。基材を補強する効果を高める観点から、溶解性パラメータ(SP値)が考慮されるのが好ましい。即ち、上記コーティング組成物に含まれる上記溶剤の溶解性パラメータSP1と、上記熱可塑性樹脂(L)の溶解性パラメータSP2との差(SP1−SP2)の絶対値は、5以下が好ましい。
基材への入り込みを容易とし、基材を補強する効果を高める観点から、熱可塑性樹脂(L)の溶解性パラメータと熱可塑性樹脂(F)の溶解性パラメータとは、近いほうが好ましい。即ち、上記熱可塑性樹脂(F)の溶解性パラメータSP3と、上記熱可塑性樹脂(L)の溶解性パラメータSP2との差(SP3−SP2)の絶対値は、4以下が好ましい。
上記溶解性パラメータ(SP値)は、単位体積当たりの極性の大きさを示す値であり、公知の方法によって求められうる。
溶剤の溶解性パラメータは、液体のモル蒸発熱をΔH、モル体積をVとするとき、δ=(ΔH/V)1/2で定義される。この式は、J.H.Hildebrandによって提唱されたものである。
上記溶解性パラメータδは、Hildebrandらが、その著書「TheSolubility of Nonelectrolytes」(J.H.Hildebrandand及びR.L.Scott著、Reinhold Publishing Corp.出版、1950年発行)において提唱したもので、下記式1のように表される。
δ[MPa1/2]=(ΔE/V)1/2(式1)
式1において、ΔEは分子凝集エネルギー[J/mol]であり、Vは分子容[ml/mol]である。すなわち、溶解性パラメータは凝集エネルギー密度の平方根に相当する。溶解性パラメータの値が近いものほど凝集エネルギー密度が小さく、親和性が高いといえる。しかし、初期の溶解性パラメータは、分子間力の分散力が主体で、双極子間力や水素結合力については、あまり考慮されていなかった。のちに、Hansenら(C.M.Hansen著、J.PaintTechnol.39巻505号104〜117ページ1967年発行や、C.M.Hansen著、J.PaintTechnol.39巻511号505〜510ページ1967年発行やC.M.Hansenand、K.Skaarup著、J.PaintTechnol.39巻511号511〜514ページ、1967年発行)やHoy(K.L.Hoy著、J.PaintTechnol.42巻541号76〜118ページ1970年発行)によって、これらを定量化したいわゆる三次元溶解性パラメータが提唱された。三次元溶解性パラメータδは、上記式1と下記式2より、下記式3のように表される。
ΔE=ΔE+ΔE+ΔE(式2)
δ=δ +δ +δ (式3)
ここで、ΔEは分散力[J/mol]、ΔEは双極子間力[J/mol]、ΔEは水素結合力[J/mol]、δは溶解性パラメータの分散力項[ml/mol]、δは溶解性パラメータの双極子間力項[ml/mol]、δは溶解性パラメータの水素結合力[ml/mol]である。本願においては、この三次元溶解性パラメータが、溶剤の溶解性パラメータとして採用される。溶剤の溶解性パラメータは、「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹 著、情報機構、第82頁及び第83頁)に記載されている方法により計算される。主な溶剤の溶解性パラメータが下記の表1で示される。なお、「溶解性パラメータ」は、「溶解度パラメータ」とも称される。上記「SP値 基礎・応用と計算方法」では、「溶解度パラメータ」という用語が採用されているが、この「溶解度パラメータ」は、「溶解性パラメータ」と同義である。
Figure 2010012768
樹脂の溶解性パラメータ(SP値)は、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No.2)の147ページから154ページ記載の方法によって計算される。以下にその方法を概説する。
単独重合体の溶解性パラメータ(δ)は、該重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)に基づいて、下式の計算法により算出される。
δ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
Δei: i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi: i成分の原子または原子団のモル体積
共重合体の溶解性パラメータは、上記式により、その共重合体を構成する各構成単量体のそれぞれの単独重合体の溶解性パラメータを算出し、それらの溶解性パラメータに各構成単量体のモル分率を乗じたものを合算し、その平方根で算出される。
5.[積層体]
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体2の断面図である。この積層体2は、基材4と、機能層6とを有する。基材4は、機能層6に接している。基材4と機能層6との間に、他の層は介在していない。
前述したように、機能層6は、上記コーティング組成物を塗布することにより形成される。機能層6は、塗布(及び硬化)によって形成される。
図1では図示されないが、前述したように、機能層6は、基材4の表層部分に含浸していると解される。即ち、基材4の表層部分(機能層6との界面近傍)に、機能層6の一部が含浸していると解される。よって、機能層6により、基材4が補強され、基材4の凝集破壊が抑制される。凝集破壊の抑制により、基材4と機能層6との密着性が高まる。即ち、機能層6と基材4とが分離しにくい。
積層体2の用途は限定されない。用途によっては、積層体2に透明性が要求される。例えば、積層体2が、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)等の画像処理装置に用いられる場合、透明性を有する積層体2が用いられる。この場合、基材4及び機能層6は透明性を有する。
6.[積層体の製造方法]
上記積層体を製造する方法は限定されない。好ましい製造方法は、機能層を形成するためのコーティング組成物を上記基材に塗布するコーティング工程と、塗布された上記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含む。この製造方法では、上記コーティング工程及び/又は上記乾燥工程において、上記コーティング組成物を上記基材に含浸させる。更に、この製造方法は、化学結合を伴う硬化工程を含んでいてもよい。この硬化工程として、前述した活性エネルギー線による硬化が例示される。好ましくは、この活性エネルギー線硬化工程は、乾燥工程の後になされる。
コーティング組成物は、流動性を有している。塗布された直後のコーティング組成物は、流動性を有している。この流動性に起因して、コーティング組成物は基材に入り込みやすい。この流動性に起因して、上記コーティング工程及び/又は上記乾燥工程において、上記コーティング組成物が上記基材に含浸しうる。前述したように、上記添加剤(A)の存在により、コーティング組成物が基材へと入り込みやすくなりうる。また前述したように、上記溶剤の存在により、コーティング組成物が基材へと入り込みやすくなる。
上記乾燥工程の後に上記硬化工程がなされた場合、乾燥工程までの間に基材に入り込んだコーティング組成物が硬化する。基材内に入り込んだコーティング組成物が硬化することにより、基材に対する補強効果が一層向上しうる。特に、基材内に入り込んだコーティング組成物を活性エネルギー線により硬化させた場合、基材に対する補強効果がより一層向上しうる。
本発明者は、上記乾燥工程における乾燥温度が、密着性に影響しうることを見いだした。コーティング組成物を基材へと含浸させやすくする観点から、基材のガラス転移点(Tg)がTg1(℃)であるとき、上記乾燥工程における乾燥温度は、[Tg1−50]℃以上であるのが好ましい。基材の熱収縮による外観不良を抑制する観点から、上記乾燥工程における乾燥温度は、[Tg1+50]℃以下であるのが好ましい。この乾燥温度は、乾燥工程中におけるコーティング組成物又は基材の温度である。この基材のガラス転移点Tg1は、後述されるように、実測により求められる。
<ガラス転移点>
後述される実施例でのデータも含めて、本願におけるガラス転移点は、次の方法により測定又は計算される。ラクトン環含有重合体及び上記熱可塑性樹脂(L)に関しては、実測によりガラス転移点が測定される。これらのラクトン環含有重合体及び上記熱可塑性樹脂(L)を除き、ガラス転移点は、Foxの式を用いて計算される。ラクトン環含有重合体は、その環化率によってガラス転移点が変化する。このため、ラクトン環含有重合体及び熱可塑性樹脂(L)のガラス転移点を計算により求めようとする場合、下記のFoxの式に代入されるTgiが、環化率によって変動する。よって、ラクトン環含有重合体及び熱可塑性樹脂(L)に関しては、Foxの式を用いた計算よりも、実測によるほうが、より適切なTg値が得られうる。この観点から、本願では、2通りの方法が使い分けられる。各測定方法は次の通りである。
<実測によるガラス転移点の測定>
実測によるガラス転移点の測定は、示差走査熱量計(DSC−8230、(株)リガク製)を用いて、試料約10mg、昇温速度10℃/min及び窒素フロー50mL/minの測定条件で、ASTM−D−3418に準拠して、中点法で求めた。
<計算によるガラス転移点の測定>
以下のFoxの式を用いて、ガラス転移点Tgが計算される。
1/(Tg+273)=Σ[Wi/(Tgi+273)] :Foxの式
ただし、このFoxの式において、Tg(℃)は求められるガラス転移点であり、Wiは各単量体(単量体i)の質量分率であり、Tgi(℃)は各単量体成分(単量体i)の単独重合体のガラス転移点である。なお、単量体iの単独重合体のガラス転移点(上記Tgi)は、上記の実測による測定により求められる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。なお、以下の成分比率に関し、特に説明した場合を除き、「部」は重量部を意味し、「%」は重量%を意味し、「L」はリットルを意味する。また本願において、「IPA」はイソプロピルアルコールを意味し、「MIBK」はメチルイソブチルケトンを意味し、「MEK」はメチルエチルケトンを意味する。また本願において、ガラス転移点は単に「Tg」とも表記される。
まず、評価方法について以下に説明する。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフ(GC17A、(株)島津製作所製)を用いて測定することにより求めた。
<ダイナミックTG>
重合体、重合体溶液又は重合体のペレットを、一旦テトラヒドロフランにより溶解または希釈し、過剰のヘキサンまたはメタノールに投入して再沈殿を行った。この沈殿物を取り出し、真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去して、固形状の樹脂を得た。この固形状の樹脂は、白色であった。得られたこの固形状の樹脂を以下の測定条件(ダイナミックTG法)で分析した。このダイナミックTG法により、150℃から300℃までの質量減少率を求めた。
測定装置:差動型示差熱天秤(Thermo Plus2 TG−8120 ダイナミックTG、(株)リガク製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 100mL/min
方法:階段状等温制御法(60℃から500℃までの範囲における質量減少速度値を0.005%/sec以下に制御)
<ラクトン環構造の含有割合>
まず、得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる質量減少量を基準とし、上記ダイナミックTG法により、質量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による質量減少率を測定し、この質量減少率から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ダイナミックTG法により、ラクトン環構造を有する重合体における150℃から300℃までの間の質量減少率の測定を行い、得られた実測値を実測質量減少率(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の質量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した質量減少率)を理論質量減少率(Y)とする。なお、理論質量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中における脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値を脱アルコール計算式:
1−(実測質量減少率(X)/理論質量減少率(Y))
に代入してその値を求め、百分率(%)で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
一例として、後述の製造例1で得られたペレットにおいてラクトン環構造の含有割合を計算する。メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、重合体中における2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有率(質量比)は組成上20.0質量%であるから、この重合体の理論質量減少率(Y)は、[(32/116)×20.0]で計算され、5.52質量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測質量減少率(X)は0.34質量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.34/5.52)=0.938となるので、脱アルコール反応率は93.8%である。
そして、この脱アルコール反応率分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該共重合体組成における含有量(質量比)に、脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環構造の含有率(質量比)に換算することにより、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合を算出することができる。後述の製造例1の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が20.0質量%、算出した脱アルコール反応率が93.8%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環構造の式量が170であることから、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合は、[20.0×0.938×170/116]で計算され、27.5質量%となる。
<重量平均分子量、数平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフィー(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)により、カラムを用いて、ポリスチレン換算で測定した。カラムは、TSKgelG−5000HXL[東ソー(株)製]及びTSKgelGMHXL−L[東ソー(株)製]を直列に連結して用いた。溶離液はテトラヒドロフランとされ、流量は1ml/分とされ、検出器は示差屈折計とされた。
<塗膜(機能層)の密着性>
JIS K5400に基づき、密着性を評価した。具体的には、先ず、塗膜を縦横それぞれ1mm間隔でクロスカットを行うことにより、100マスカットを行った。即ち、このクロスカットにより、1mm四方のマス目が100個形成された。次に、このクロスカット部分に、粘着テープを貼り付けて剥離した。粘着テープとして、ニチバン(株)社製のテープが用いられた。この貼り付け及び剥離を3回繰り返し、残っているマス目の数により、密着性が評価された。この残っているマス目の数が、下記の表2及び表3の「密着性」の欄に示される。
<積層体の外観評価>
基材フィルムにコーティング液を塗布後、乾燥及び硬化を行い得られたフィルムの外観を、見た目により評価した。評価基準は以下の通りである。「○」は、フィルムの収縮が観られず、良好である。
[評価基準]
フィルムの収縮が観られない ○
フィルムの収縮が観られる ×
[製造例1]
(ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の製造例)
まず、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた容量30Lの反応容器に、メタクリル酸メチル8kg、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル2kg、メチルイソブチルケトン10kg及びn−ドデシルメルカプタン5gを仕込んだ。
この反応容器に窒素ガスを導入しながら、反応容器内の温度を105℃まで昇温し、還流を開始した。この還流を開始するとともに、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−75、化薬アクゾ(株)製)5gを添加し、更に、メチルイソブチルケトン230gにt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−75、化薬アクゾ(株)製)10gを溶解した溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜120℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行い、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A−18、堺化学工業(株)製)30gを添加し、還流下、約90〜120℃で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/hの処理速度で導入し、この押出機内で、さらに環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂の透明なペレット(P−1)を得た。
得られたペレット(P−1)について、上記したダイナミックTG法による測定を行ったところ、0.34質量%の質量減少が検知された。また、このペレット(P−1)の重量平均分子量は144,000であり、このペレット(P−1)のガラス転移温度は131℃であった。
このペレット(P−1)を、20mmφのスクリューを有する二軸押出機を用いて、幅150mmのコートハンガータイプTダイから溶融押出しを行った後、2軸延伸を行い、厚さ約60μmのラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)を調製した。なお、延伸倍率は、縦方向が1.5倍とされ、横方向が1.5倍とされた。
[製造例2]
(紫外線吸収能を付与したラクトン環含有樹脂フィルム(F−2)の製造例)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、41.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、6部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、商品名:RUVA−93)、50部のトルエン、0.025部のアデカスタブ2112(旭電化工業(株)製)及び0.025部のn−ドデシルメルカプタンを仕込んだ。次に、この反応釜に窒素を通しつつ、反応釜内の温度を105℃まで昇温させ、還流を開始した。次に、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを3時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行った。次に4時間かけて熟成を行い、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業(株)製、商品名:Phoslex A−8)を加え、還流下(約90〜110℃)で2時間、環化縮合反応を行った。引き続きオートクレーブにより240℃で30分間加熱処理を行い、環化縮合反応を完全に行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度240℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、脱揮を行った。そのとき、別途準備しておいた酸化防止剤・失活剤混合溶液を、第1ベントの後から高圧ポンプを用いて0.03kg/時間の投入速度で注入した。また、第2ベントの後より別途準備しておいた紫外線吸収剤溶液を0.05kg/時間の投入速度で注入した。更に第3ベントの後から高圧ポンプを用いてイオン交換水を0.01kg/時間の投入速度で注入した。酸化防止剤・失活剤混合溶液は、スミライザーGS(住友化学(株)製)50部と、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチクス亜鉛3.6% 日本化学産業(株)製)35部とをトルエン200部に溶解したものである。紫外線吸収剤溶液は、CGL777MPA(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 有効成分80%)19部をトルエン31部に溶解したものである。このCGL777MPAは、分子量771の紫外線吸収剤、分子量954の紫外線吸収剤及び分子量1138の紫外線吸収剤の混合物であり、分子量が954の紫外線吸収剤が主成分である。このCGL777MPAは、ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する
上記脱揮操作により、紫外線吸収性単量体単位を有する熱可塑性樹脂組成物の透明なペレット(P−2)を得た。GPCによる樹脂部の標準ポリスチレン換算により測定されたペレット(P−2)の重量平均分子量は145000であり、このペレット(P−2)のガラス転移温度(Tg)は122℃であった。
上記ペレット(P−2)を用い、270℃の押出温度でシリンダー径が20mmの単軸押出機を用いて押出成形後、2軸延伸を行い、厚みが60μmであるラクトン環含有樹脂フィルム(F−2)を得た。なお、延伸倍率は、縦方向が1.5倍とされ、横方向が1.5倍とされた。
[コーティング組成物(C−1)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能アクリレートモノマー DPHA(日本化薬社製)9gと光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更にIPAを加えて、不揮発分が30%とされたコーティング組成物(C−1)を調製した。
[コーティング組成物(C−2)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能ウレタンアクリレートモノマー U−15HA(新中村化学社製)9gと、光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更にIPAを加えて、不揮発分が30%とされたコーティング組成物(C−2)を調製した。
[コーティング組成物(C−3)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能アクリレートモノマー DPHA(日本化薬社製)8gと、2官能アクリレート A−600(新中村化学社製)1gと、光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更にIPAを加えて、不揮発分が30%とされたコーティング組成物(C−3)を調製した。なお、上記「A−600」は、コーティング組成物の硬化収縮を抑制する効果を有する。
[コーティング組成物(C−4)の調製]
不揮発分を30%とするための希釈溶剤をIPAからトルエンに変更した他はコーティング組成物(C−1)と同様にして、コーティング組成物(C−4)を調製した。
[コーティング組成物(C−5)の調製]
不揮発分を30%とするための希釈溶剤をIPAからMIBKに変更した他はコーティング組成物(C−1)と同様にして、コーティング組成物(C−5)を調製した。
[コーティング組成物(C−6)の調製]
不揮発分を30%とするための希釈溶剤をIPAからMEKに変更した他はコーティング組成物(C−1)と同様にして、コーティング組成物(C−6)を調製した。
[コーティング組成物(C−7)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能アクリレートモノマー DPHA(日本化薬社製)7.2gと、アクリル微粒子(粒子径 3.0μm、屈折率 1.54)1.8gと、光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更に、トルエンとシクロヘキサノンとが7:3(質量比)の割合とされた希釈溶剤を加えて、不揮発分が30%とされ防眩層用コーティング組成物(C−7)を調製した。
[コーティング組成物(C−8)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能アクリレートモノマー DPHA(日本化薬社製)7.2gと、上記製造例1で得られた熱可塑性ポリマー(P−1)1.8gと光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更に、トルエンを加えて、不揮発分が30%とされたコーティング組成物(C−8)を調製した。
[コーティング組成物(C−9)の調製]
紫外線硬化型樹脂である多官能アクリレートモノマー DPHA(日本化薬社製)7.2gと、上記製造例2で得られた熱可塑性ポリマー(P−2)1.8gと、光重合開始剤であるイルガキュア184(チバ・チバスペシャルティケミカルズ社製)0.18gとを混合し、更に、トルエンを加えて、不揮発分が30%とされたコーティング組成物(C−9)を調製した。
[実施例1]
上記コーティング組成物(C−1)をラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)に、バーコーターを用いて塗布した。塗布層を140℃で3分乾燥したのち、高圧水銀灯で500mJ/cmの紫外線を照射することにより硬化させ、乾燥後の膜厚が5μmであるコーティング層(機能層)を有する積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例2]
ラクトン環含有樹脂フィルムをF−2に変更した他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例3]
乾燥温度が160℃とされ、乾燥時間が1分とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例4]
乾燥温度が100℃とされ、乾燥時間が5分とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例5]
コーティング組成物が(C−1)から(C−2)に変更され、乾燥温度が130℃とされ、乾燥時間が2分とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例6]
コーティング組成物が(C−1)から(C−3)に変更され、乾燥温度が135℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例7]
コーティング組成物が(C−1)から(C−4)に変更され、乾燥温度が135℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例8]
コーティング組成物が(C−1)から(C−5)に変更され、乾燥温度が130℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例9]
コーティング組成物が(C−1)から(C−6)に変更され、乾燥温度が125℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例10]
コーティング組成物が(C−1)から(C−7)に変更され、乾燥温度が140℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(防眩層付きフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例11]
コーティング組成物が(C−1)から(C−8)に変更され、乾燥温度が140℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例12]
コーティング組成物が(C−1)から(C−9)に変更され、乾燥温度が130℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表2で示される。
[実施例13]
乾燥温度が90℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表3で示される。
[実施例14]
乾燥温度が170℃とされた他は実施例1と同様にして、積層体(ハードコートフィルム)を得た。得られた積層体について、密着性試験及び外観評価を行った。この実施例の仕様と評価結果が下記の表3で示される。
Figure 2010012768
Figure 2010012768
表3に示された実施例13及び14は、他の実施例と比較して評価が低い。これは、乾燥温度による上記効果を示している。
本発明は、ラクトン環含有重合体を含む基材を備えたあらゆる積層体に適用されうる。また本発明は、ラクトン環含有重合体を含む基材に直接塗布されて機能層を形成するコーティング組成物に適用されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の断面図である。
符号の説明
2・・・積層体
4・・・基材
6・・・機能層

Claims (7)

  1. 機能層を形成するためのコーティング組成物を基材に塗布するコーティング工程と、
    塗布された上記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含み、
    上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでおり、
    上記コーティング工程及び/又は上記乾燥工程において、上記コーティング組成物を上記基材に含浸させる積層体の製造方法。
  2. 上記基材のガラス転移点(Tg)がTg1(℃)であるとき、上記乾燥工程における乾燥温度が、[Tg1−50]℃以上[Tg1+50]℃以下である請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記コーティング組成物が溶剤を含み、
    この溶剤が、炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、多価アルコールエステル類、フラン類、酸類、ハロゲン炭化水素類、窒素化合物及びスルホン酸類からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
    上記溶剤の沸点が200℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 機能層を形成するためのコーティング組成物を基材に塗布するコーティング工程と、
    塗布された上記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程とを含み、
    上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでおり、
    上記基材のガラス転移点(Tg)がTg1(℃)であるとき、上記乾燥工程における乾燥温度が、[Tg1−50]℃以上[Tg1+50]℃以下である積層体の製造方法。
  5. 基材と、この基材に接している機能層とを備えており、
    上記基材が、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含んでおり、
    上記基材が、延伸されている積層体。
  6. 上記機能層が、上記基材に含浸している請求項5に記載の積層体。
  7. 基材に塗布されることにより、基材上に機能層を形成することができ、
    ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂(L)を含む基材に塗布されると、この基材に含浸しうるコーティング組成物。
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