JP2009180845A - 防眩性積層体 - Google Patents

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剛 従野
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Abstract

【課題】
優れた防眩性に加えて、高い耐候性および表面硬度を有し、かつ、防眩フィルム製造時の作業性および安全性の向上させた防眩フィルムを提供すること。
【解決手段】
本発明の防眩フィルムは、基材フィルムにラクトン環含有樹脂フィルムを用い、基材フィルム上に防眩層を設けた防眩フィルムにおいて、防眩層が、少なくともマトリックス樹脂及びポリマー領域Aを含み、このポリマー領域が防眩層の表面近傍に位置し、表面凹凸構造を構成している。加えて、防眩層中の下部にポリマー領域Aに比べ平均径が小さい領域Bを含有していることにより、優れた防眩性に加えて、高い耐候性、高表面硬度およびフィルム製造・加工時の作業性・安全性を向上させた防眩フィルムが得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種ディスプレイに用いられる防眩フィルム、その製造方法、及びこの防眩フィルムを備えた表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)などの各種ディスプレイの開発が進んでいる。これらのディスプレイにおいて、画質を重視するテレビやモニタなどの用途、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラなどの用途では、外光の映り込みを防止する処理が表面に施されるのが通例である。その手法の一つに防眩処理があり、例えば、通常、液晶ディスプレイの表面には防眩処理がなされている。防眩処理は、表面に微細な凹凸構造を形成することにより、表面反射光を散乱し、映り込み像をぼかす効果を有する。
例えば、特許文献1に開示されているように、通常、微粒子とバインダー樹脂又は硬化性樹脂との混合物を基材に塗布し防眩層を形成させ、表面に微細な凹凸を形成することにより正反射を防ぎ、防眩性を発現させている。また、例えば、特許文献2および3には、防眩層上に、平均粒径0.001〜0.2μmの無機微粒子、光硬化性オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物、並びに含フッ素ポリマーを含有し、かつ屈折率が1.35〜1.49の低屈折率層を形成した防眩性反射防止フィルムが開示されている。
特許文献4では、防眩層にマトリックス樹脂及びポリマー領域(A)を含み、このポリマー領域(A)が防眩層の表面近傍に位置し、表面に微細な凹凸を形成している。加えて、防眩層中の下部にポリマー領域Aに比べ平均径が小さい領域(B)を含有していることにより、防眩層内部の光散乱の制御を行い、表面の微細な凹凸と合わせて防眩性能を向上させている。
さらに、近年、表示装置が屋外で使用されるケースが多くなってきており、この場合は、高い耐候性が要求されている。
また、表示装置表面で使用される場合には、高い表面硬度が要求されている。
特許文献5では、基材フィルムにラクトン環含有樹脂を使用し、防眩フィルムの耐候性と表面硬度を向上させている。しかし、防眩性については不十分であった。
さらには、フィルム取り扱いの作業性、安全性を考慮すると、防眩フィルム製造・加工の際に発生する静電気を発生しにくくするために、フィルム自身の表面電位を小さく抑え、帯電させにくくすることが要求される。
しかし、上記のすべての特性を十分に満足するものは、従来の防眩フィルムになかった。
特開2001−215307号公報 特開2001−264508号公報 特開2001−281411号公報 特開2005−195820号公報 特開2007−293272号公報
本発明者は、優れた防眩性、高い耐候性および表面硬度を有し、かつ、防眩フィルム製造時の作業性および安全性の向上を目指し、検討を行った。この検討の結果、既存の基材フィルムを用いて、優れた防眩性は実現できるものの、高い耐候性および表面硬度を有し、かつ、防眩フィルム製造時の作業性および安全性の確保を同時に満たすことはできなかった。
本発明の目的は、優れた防眩性に加えて、高い耐候性および表面硬度を有し、かつ、防眩フィルム製造・加工時の作業性および安全性の向上した防眩フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、透明基材フィルムにラクトン環含有樹脂フィルムを用い、この基材フィルム上に、表面に適度なうねりを有する扁平なポリマー領域を防眩層の表面の近傍に存在させると、防眩効果が発現するとともに、耐擦傷性も向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の防眩フィルムは、透明基材フィルムにラクトン環含有樹脂フィルムを用い、この基材フィルム上に、少なくともマトリックス樹脂及び平均径2〜100μmのポリマー領域(A)を含む防眩層で構成されたフィルムであって、前記ポリマー領域(A)が、防眩層の表面近傍に位置するとともに、表面側が非平坦面として形成されている。前記ポリマー領域(A)の非平坦面は、平均高さ0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは0.03〜0.1μm程度の凹凸構造を有していてもよい。前記ポリマー領域(A)は、防眩層表面から突出した凸部を形成するとともに、この凸部の平均高さが0.03〜20μm程度であり、かつフィルム表面における前記凸部の面積割合が、表面全体に対して10〜95%程度であってもよい。前記ポリマー領域(A)の平均径は、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μm程度であってもよい。前記防眩層は、さらに、平均径が0.1〜10μm(例えば、0.2〜5μm)程度であり、かつポリマー領域(A)よりも平均径が小さい領域(B)を含んでいてもよい。前記領域(A)と前記領域(B)との平均径の比は、領域(A)/領域(B)=2/1〜100/1(例えば、3/1〜50/1)程度であってもよい。前記防眩層において、マトリックス樹脂中に、表面近傍のポリマー領域(A)と、前記領域(A)の下部に位置する領域(B)とが分散していてもよい。前記マトリックス樹脂及びポリマー領域(A)は、同一又は異なって、脂環式オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、エポキシ(メタ)アクリレートなどの透明樹脂で構成されていてもよい。
本発明には、共通の溶媒によって複数の非相溶性ポリマーを相溶した均一な溶液を塗布し、乾燥に伴って相分離させて前記防眩フィルムを製造する方法も含まれる。さらに、本発明には、前記フィルムを備えている表示装置も含まれる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明の防眩フィルムは、透明基材フィルムにラクトン環含有樹脂フィルムを用い、この基材フィルム上に、防眩層で構成されており、この防眩層は、少なくともマトリックス樹脂及びポリマー領域(A)で構成されている。さらに、このフィルムは、ポリマー領域(A)よりも平均径が小さい領域(B)を含んでいてもよい。
[フィルムの構造]
本発明の防眩フィルムにおける防眩層において、防眩層は、マトリックス樹脂、ポリマー領域(A)、及び領域(B)で構成され、マトリックス樹脂中に、表面近傍にポリマー領域(A)を有し、前記ポリマー領域(A)の下部に位置する領域(B)とが分散している。
前記ポリマー領域(A)は、防眩層表面の近傍に位置し、防眩層表面に埋設していてもよく、防眩層表面から少なくとも部分的に突出して凸部を形成していてもよい。前記ポリマー領域(A)が凸部を形成している場合、防眩層表面からのポリマー領域(A)の平均高さは、例えば、0.03〜20μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μm(特に0.1〜1μm)程度である。凸部の平均高さがこの範囲にあると、光散乱特性と耐擦傷性とのバランスが良い。
ポリマー領域(A)の平均径は、フィルム表面に適度に広い面積を有する凸部を形成でき、耐擦傷性を向上できればよく、例えば、2〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μm程度である。領域(A)の平均径がこの範囲にあると、防眩層の表面近傍にあって凸部を形成しても摩擦による応力が分散され、耐擦傷性が高い。
ポリマー領域(A)の形状は、特に限定されず、例えば、楕円体状、多角体状、角柱状、円柱状、棒状、不定形状などが例示できる。ポリマー領域(A)の平面形状(フィルム面方向に投影した形状)が、例えば、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形など)などであってもよい。
前記ポリマー領域(A)は、表面側が非平坦面で形成されている。非平坦面は、粗面又はうねり面であってもよく、例えば、凹凸構造又はうねり(微小うねり)構造を有している。非平坦面の粗さの程度は、例えば、凹凸構造の平均高さで表わしてもよく、凹凸構造の平均高さは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは0.03〜0.1μm(特に0.03〜0.08μm)程度である。凹凸構造の平均高さがこの範囲にあると、領域(A)の表面側が扁平で、かつ適度な傾斜(又はうねり)を有するため、光散乱性が高くなり、映り込みが抑制される。凹凸構造における凹部及び凸部の形状は、特に限定されないが、通常、曲面の山状及び谷状である。従って、凹凸構造は、通常、波形のうねり構造である。
防眩層の表面において、ポリマー領域(A)の占める面積割合は、例えば、表面全体に対して10〜95%程度の範囲から選択でき、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは30〜80%(特に40〜70%)程度である。ポリマー領域(A)の面積割合が、この範囲にあると、防眩効果が高い。
前記防眩層は、マトリックス樹脂中に表面側が非平坦面で形成されたポリマー領域(A)が存在することにより、高い耐擦傷性及び防眩効果を有するが、光散乱性を向上させる点から、さらに領域(B)を含んでいてもよい。
領域(B)の平均径は、前記領域(A)の平均径よりも小さく、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μm(特に0.5〜2μm)程度である。領域(B)の平均径がこの範囲にあると、領域(A)
との組み合わせによって、光散乱特性が向上する。前記領域(A)と前記領域(B)との平均径の比は、領域(A)/領域(B)=2/1〜100/1、好ましくは3/1〜50/1、さらに好ましくは(特に3/1〜10/1)程度である。
領域(B)は、防眩層の適所、例えば、表面、領域(A)間、領域(A)の下部などから選択された少なくとも1つの箇所に存在していてもよいが、少なくとも領域(A)の下部に存在するのが好ましい。領域(A)よりも平均径の小さい領域(B)が、領域(A)の下部に存在することにより、領域(A)で形成されたフィルム表面の凸部に、適度なうねり又は傾斜を付与することができる。すなわち、前記領域(A)の表面側は、下部の領域(B)によって、微小な突起ではないが平坦面でもない面(うねりを有するなだらかな面)となる。
領域(B)の形状も、特に限定されず、前記領域(A)と同様の形状の他、球状であってもよく、通常、球状又は楕円体状である。領域(B)のサイズを調整することにより、ポリマー領域(A)の表面平坦性をコントロールすることができる。
ポリマー領域(A)と領域(B)との体積割合は、例えば、領域(A)/領域(B)=99/1〜30/70、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜70/30(特に90/10〜80/20)程度である。
マトリックス樹脂と領域(ポリマー領域(A)及び(B)の合計)との体積割合は、例えば、95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70、さらに好ましくは80/20〜40/60(特に70/30〜50/50)程度である。
防眩フィルムの厚みは、1〜500μm程度の範囲から選択でき、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜200μm(特に10〜100μm)程度である。
防眩フィルムには、必要に応じて、その表面に、帯電防止層(例えば、導電剤や親水性成分を含む光硬化性樹脂で構成された導電性薄膜など)や、反射防止層(フッ素樹脂などで構成された低屈折率性薄膜など)などの薄膜を形成してもよい。これらの薄膜の厚みは、例えば、それぞれ、0.01〜10μm、好ましくは0.03〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.1μm程度である。
[透明基材フィルム]
(ラクトン環含有樹脂フィルム)
前記ラクトン環含有樹脂フィルムは、ラクトン環含有重合体を主成分として含む。
ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 2009180845
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。)
ラクトン環含有重合体構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環含有重合体構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。一方、ラクトン環構造の含有割合が90質量%を超えると、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
ラクトン環含有重合体は、一般式(1)で表されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。一般式(1)で表されるラクトン環構造以外の構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体の製造方法として後述するような、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(2)で表される単量体とからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
Figure 2009180845
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
ラクトン環含有重合体構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。また、不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。さらに、一般式(2)で表される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重合工程によって分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得られる。
重合工程においては、下記一般式(3)で表される単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体が得られる。
Figure 2009180845
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
一般式(3)で表される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル、メタリルアルコールなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの単量体のうち、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性を向上させる効果が高い点において、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。
重合工程において供する単量体成分中における一般式(3)で表される単量体の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。一般式(3)で表される単量体の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。一方、一般式(3)で示される単量体の含有割合が90質量%を超えると、重合工程やラクトン環化縮合工程においてゲル化が起こることや、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
重合工程において供する単量体成分には、一般式(3)で示される単量体以外の単量体を含んでいてもよい。このような単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有単量体、不飽和カルボン酸、および、下記一般式(2)で表される単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Figure 2009180845
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(メタ)アクリル酸エステルとしては、一般式(3)で表される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである限り、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのうち、得られた重合体の耐熱性や透明性が優れることから、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
一般式(3)で表される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。
ヒドロキシ基含有単量体としては、一般式(3)で表される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられる。これらのヒドロキシ基含有単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
一般式(3)で表される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの不飽和カルボン酸のうち、本発明の効果が充分に発揮されることから、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
一般式(2)で表される単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、本発明の効果を充分に発揮することから、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
一般式(2)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて異なるが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が低すぎると生産性が低下するので、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑止することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中のヒドロキシ基とエステル基との割合を高めた場合であっても、ゲル化を充分に抑止することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合工程を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合工程で得られた重合体は、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体(a)であり、重合体(a)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。重合工程で得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)へラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不充分であると、耐熱性が充分に向上しないことや、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在することがある。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 2009180845
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。)
重合体(a)を加熱処理する方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を利用できる。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。あるいは、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。あるいは、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類;有機リン化合物を触媒として用いてもよい。さらに、例えば、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に開示されているように、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
これらの環化縮合反応の触媒の中でも、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減できることから、有機リン化合物が好ましい。さらに、有機リン化合物を環化縮合反応の触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオロメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸等のアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニル等のリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のモノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン等のアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン等の酸化モノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの有機リン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。触媒の使用量が0.001質量%未満であると、環化縮合反応の反応率が充分に向上しないことがある。一方、触媒の使用量が5質量%を超えると、得られた重合体が着色することや、重合体が架橋して、溶融成形が困難になることがある。
触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、且つ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体などの揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不充分であると、得られた重合体中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などにより着色することや、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こることがある。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、用いる装置については、特に限定されるものではないが、例えば、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることがより好ましい。
熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。一方、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜66.5hPa(600〜50mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。一方、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
前記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
前記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。一方、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
前記ベント付き押出機を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜13.3hPa(600〜10mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。一方、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
なお、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が低下することがあるので、前述した脱アルコール反応の触媒を用い、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機などを用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤と共に環化縮合反応装置に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機などの環化縮合反応装置に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、さらに加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃付近、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解などが生じ、得られるラクトン環含有重合体の物性が低下することがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有重合体の物性の低下を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、例えば、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置を備えた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機などで、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特に、この形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
前述のように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、本発明においてラクトン環含有重合体を得る上で好ましい形態である。この形態により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れたラクトン環含有重合体が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、例えば、実施例に示すダイナッミクTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は、特に限定されるものではないが、例えば、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置などが挙げられ、さらに、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用できる。これらの反応器のうち、オートクレーブ、釜型反応器が特に好ましい。しかし、ベント付き押出機などの反応器を用いる場合でも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュー形状、スクリュー運転条件などを調整することにより、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、例えば、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、および、前記(i)または(ii)を加圧下で行う方法などが挙げられる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物それ自体、あるいは、一旦溶剤を除去した後に環化縮合反応に適した溶剤を再添加して得られた混合物を意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。好ましくは、重合工程に用いた溶剤と同じ種類の溶剤である。
前記方法(i)で添加する触媒としては、例えば、一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、本発明においては、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。触媒の添加時期は、特に限定されるものではないが、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。方法(i)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは室温〜180℃、より好ましくは50〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が室温未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。一方、加熱温度180℃を超えるか、あるいは、加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
前記方法(ii)としては、例えば、耐圧性の釜型反応器などを用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱する方法などが挙げられる。方法(ii)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは150〜180℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が100℃未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。逆に、加熱温度が180℃を超えるか、あるいは加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
前記方法(i)、(ii)のいずれにおいても、条件によっては、加圧下となっても何ら問題はない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。質量減少率が2%を超えると、続けて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が充分高いレベルまで上がらず、得られるラクトン環含有重合体の物性が低下することがある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入してもよいし、必要に応じて、前記重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加するなどのその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入しても構わない。
脱揮工程は、環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。さらに、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を超えると、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できないことがある。
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが330℃未満であると、充分な熱安定性を発揮できないことがある。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは1,500ppm以下、より好ましくは1,000ppm以下である。残存揮発分の総量が1,500ppmを超えると、成形時の変質などによって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
ラクトン環含有重合体は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D−1003に準拠した方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないことがある。
ラクトン環含有樹脂フィルムに含まれるラクトン環含有重合体の含有割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%である。ラクトン環含有樹脂フィルムに含まれるラクトン環含有重合体の含有割合が50質量%未満であると、本発明の効果を充分に発揮できないことがある。
ラクトン環含有樹脂フィルムには、その他の成分として、ラクトン環含有重合体以外の重合体(以下「その他の重合体」ということがある。)を含有していてもよい。その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
ラクトン環含有樹脂フィルムにおけるその他の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
ラクトン環含有樹脂フィルムには、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
ラクトン環含有樹脂フィルムに添加される紫外線吸収剤の構造は、特に限定されるものではないが、発色団としてヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤が好ましく、その中でも、ガラス転移温度が110℃以上の熱可塑性アクリル系樹脂と相溶性が高く吸収特性が優れている点から、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有する紫外線吸収剤がより好ましく、下記式(4)で表される構造を有する紫外線吸収剤を主成分として含む紫外線吸収剤が特に好ましい。
Figure 2009180845
その他の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾオキサジノン誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル]、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、3−[3−メチル−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5―tert―ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応性生物、2−(2H―ベンゾトリアゾール―2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジキロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’, 4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ジヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾオキサジノン誘導体としては、具体的には、2−p−メトキシフェニル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−α−ナフチル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−β−ナフチル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−p−フタルイミドフェニル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,4−ジフェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジノン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6又は1,5−ジナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が挙げられ、その中でも特に融点が高いことと吸収特性の点から、2,2’−(1,4−ジフェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジノン−4−オン)(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:サイアソーブUV−3638)が好ましい。
トリアジン誘導体としては、具体的には、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチルフェニル)−s−トリアジン等が挙げられる。また、イソオクチル置換トリスレゾルシノールトリアジン(例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカル社製の商品名「CGL777MPAD」)、tert−ブチル置換トリスレゾルシノールトリアジン、クミル置換トリスレゾルシノールトリアジン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラクトン環含有樹脂フィルム中における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
ラクトン環含有樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体と、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で充分に混合することにより樹脂組成物を調製し、これをフィルム成形することができる。また、延伸することによって、延伸フィルムとしてもよい。
まず、熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサーなど、従来公知の混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混合機を用いることができる。
フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知のフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
ラクトン環含有樹脂フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルムまたは逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムは、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持することができる。
延伸を行う方法としては、例えば、一軸延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法など、従来公知のフィルム延伸方法が挙げられる。
延伸温度は、フィルム原料であるラクトン環含有重合体を主成分とする樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。一方、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えなくなることがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍の範囲である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。一方、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。
延伸速度は、一方向で、好ましくは10〜20,000%/分、より好ましくは100〜10,000%/分の範囲である。延伸速度が10%/分未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなることがある。一方、延伸速度が20,000%/分を超えると、延伸フィルムの破断などが起こることがある。
また、得られたフィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理の条件は、従来公知の延伸フィルムに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
ラクトン環含有樹脂フィルムは、その厚さが好ましくは5μm〜250μm、より好ましくは10〜150μmである。この範囲外であると、加工工程における工程張力の変化や曲げ等の変形によって割れる問題が特に起こりにくくなり、また、適度な曲げ強さを有するため毎葉シートの状態での手や機械によるハンドリング時に折れ曲がりなどの問題が生じて好ましくない。
本発明にかかるラクトン環含有樹脂フィルムは、高透明性を有しており、可視光透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明にかかるラクトン環含有樹脂フィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した引張強度が、好ましくは10MPa以上100MPa未満、より好ましくは30MPa以上100MPa未満である。引張強度が10MPa未満であると、充分な機械的強度を発現できなくなることがある。一方、引張強度が100MPaを越えると、加工性が低下することがある。
本発明にかかるラクトン環含有樹脂フィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した伸び率が、好ましくは1%以上である。上限は特に限定されないが、通常は100%以下が好ましい。伸び率が1%未満であると、靭性に欠けるため好ましくない。
本発明にかかるラクトン環含有樹脂フィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した引張弾性率が、好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは1GPa以上、さらに好ましくは2GPa以上である。上限は特に限定されないが、通常は20GPa以下が好ましい。0.5GPa未満の場合には、充分な機械的強度を得られなくなることがある。
ラクトン環含有樹脂フィルムは、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が少なくとも40mN/m以上であると、ラクトン環含有樹脂フィルムと防眩層との密着性がさらに向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
[防眩層の組成物]
マトリックス樹脂及びポリマー領域(A)は、透明樹脂で構成されている。透明樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂[セルロース誘導体、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ハロゲン含有樹脂、ビニルアルコール系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂など]、ゴム又は熱可塑性エラストマー[ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど]、熱又は光硬化性樹脂又は前駆体[エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなど]などが挙げられる。これらの透明樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの透明樹脂のうち、脂環式オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテルなどの熱又は光硬化性樹脂、特に、スチレン系樹脂[ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体など]、(メタ)アクリル系樹脂[ポリ(メタ)アクリル酸メチルなど]、セルロース誘導体[セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなど)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC1-6有機酸エステルなど]、エポキシ(メタ)アクリレート[エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC5-8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなど]などが好ましい。
なお、マトリックス樹脂とポリマー領域(A)とは、同一の透明樹脂であってもよいが、通常、異なる透明樹脂である。
領域(B)は、透明な材質で形成されている限り、特に限定されず、前記透明樹脂の他、無機物質(例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、雲母、タルク、モンモリロナイト、クレイなどの無機粒子など)などで構成されていてもよい。また、フィルム全体の透明性を損なわない範囲で、非透明樹脂や非透明無機物質であってもよい。これらのうち、透明樹脂、架橋樹脂粒子又はビーズ(例えば、架橋アクリル系樹脂や架橋ポリスチレン系樹脂などの有機粒子など)、特に、前記領域(A)と同様の透明樹脂が好ましい。
[フィルムの製造方法]
本発明の防眩フィルムの製造方法は、透明基材フィルムである前記ラクトン環含有樹脂フィルム上に、前記構造を有する防眩層が形成できる限り特に限定されないが、例えば、マトリックス樹脂中にポリマー領域(A)を分散させ、領域(A)の表面が軟化又は未硬化状態で、表面を非平坦面として形成し、固化又は固定する方法が挙げられる。領域(A)の表面を非平坦面とする方法としては、例えば、防眩相を相分離を利用して形成する方法などが挙げられる。この方法では、相分離の程度を調整することにより、領域(A)の表面平滑度をコントロールしてもよい。
特に、本発明の防眩フィルムの製造方法としては、ポリマー領域(A)の下部に、この領域(A)よりも平均径の小さい領域(B)を配設させて、フィルム表面の凸部にうねりを形成する方法が好ましい。領域(B)をポリマー領域(A)の下部に配設させると、領域(B)によって、ポリマー領域(A)はうねり状に盛り上げられ、ポリマー領域(A)の表面側はうねりを有する平坦面となる。
このような製造方法は、領域(B)とマトリックス樹脂とで構成された層を形成した後、その上に領域(A)とマトリックス樹脂とで構成された層を形成する方法(二段階法)と、領域(A)、領域(B)及びマトリックス樹脂で構成されたフィルムを一工程(一度の操作)で形成する方法(一段階法)とに大別できる。なお、両方法において、前記マトリックス及び領域で構成された防眩層単独フィルムを形成してもよいが、製造上の簡便性の点から、前記基材フィルムの上に、前記領域及びマトリックスで構成された防眩層を形成した積層体とするのが好ましい。基材フィルムとの積層体とする場合は、基材フィルムの上に塗布して乾燥するだけの簡便な方法で防眩フィルムが製造できると共に、乾燥後も基材フィルムを剥離する必要がない。
前者の二段階法において、マトリックス樹脂中にポリマー領域(A)を形成する方法としては、例えば、非相溶な2種類のポリマーを、それぞれ溶剤に溶解し、海島構造に液−液相分離した溶液を塗布して乾燥する方法、ポリマー溶液をフィルム表面に霧状に噴霧し、乾燥する方法、共通の溶媒によって非相溶な2種類のポリマーを相溶した均一な溶液を塗布し、乾燥に伴う相分離(スピノーダル分解)により形成する方法などが挙げられる。これらの方法において、ポリマーとともに、又はポリマーに代えて、熱又は光重合性成分(重合性オリゴマー及び/又はモノマーなどの反応性又は光重合性成分)を使用し、造膜後に、活性エネルギー線(紫外線、電子線など)の照射や加熱により重合させて硬化させてもよい。前記重合性成分(特に多官能硬化モノマー及び/又はオリゴマー)を用いることにより、フィルムの硬度及び耐擦傷性をさらに向上することができる。
重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが例示できる。重合性モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドンなどの単官能性単量体、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートなどが例示できる。
ポリマーと前記重合性成分との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜0.1/99.9程度の範囲から選択でき、例えば、80/20〜0.5/99.5、好ましくは70/30〜1/99、さらに好ましくは50/50〜3/97(特に70/30〜5/95)程度である。前記重合性成分において、オリゴマーとモノマーとの割合(重量比)は、前者/後者=99/1〜0/100程度の範囲から選択でき、例えば、90/10〜5/95、好ましくは80/20〜10/90、さらに好ましくは70/30〜20/80程度である。
また、溶剤は、ポリマーや前記重合性成分の種類に応じて適宜選択でき、反応開始剤や硬化剤などを適宜添加してもよい。領域の大きさや形状は、乾燥時間や硬化時間、ポリマーや前記重合性成分、添加剤の種類や量を適宜選択することにより調整できる。特に、スピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により領域を形成する方法においては、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的である構造を形成し易い。
領域(B)を形成する方法は、前記領域(A)を形成する方法と同様の方法の他、前記透明樹脂中に微粒子フィラー(前記無機粒子や前記有機粒子など)を分散させた溶液を基材フィルム上に塗布し、乾燥する方法であってもよい。
二段階法においては、例えば、基材フィルムの上に、前記方法によって、領域(B)を形成するためのポリマー溶液を塗布又は噴霧して乾燥した後、得られた層の上に、さらに、前記方法によって、領域(A)を形成するためのポリマー溶液を塗布又は乾燥することにより製造できる。
後者の一段階法としては、表面自由エネルギーの差を利用することにより、2種類の大きさの領域を形成する方法、すなわち、基材フィルムの上にポリマー溶液を塗布して、基材フィルム界面と空気界面との間で表面自由エネルギーに差を生じさせて、2種類の大きさの領域を形成する方法を使用できる。このような方法としては、例えば、基材フィルムの上に、共通の溶媒によって複数の非相溶なポリマーを相溶した溶液を塗布し、乾燥に伴う相分離(スピノーダル分解)により、2種類の大きさの領域を有する液滴相構造を形成する方法が好ましい。この方法では、乾燥に伴うスピノーダル分解の相分離において、界面の表面自由エネルギーの差によって、基材フィルム側には、小さなポリマー領域が形成され、空気界面側には、大きなポリマー領域が形成される。この方法においても、前記領域(A)を形成する方法と同様に、前記熱又は光重合性成分(特に多官能硬化モノマー及び/又はオリゴマー)を使用し、造膜後に、活性エネルギー線(紫外線、電子線など)の照射や加熱により重合させて硬化させてもよい。また、溶剤は、ポリマーや前記重合性成分の種類に応じて適宜選択でき、反応開始剤や硬化剤などを適宜添加してもよい。さらに、2種類の領域を形成し、その大きさを制御するために、乾燥時間や硬化時間、ポリマーや前記重合性成分、添加剤の種類や量を適宜選択することにより調整できる。
これらの方法のうち、複数の樹脂を相分離する製造方法(例えば、共通の溶媒によって複数の非相溶性ポリマーを相溶した均一な溶液を塗布し、乾燥に伴ってスピノーダル分解で相分離させる製造方法)、特に、簡便性の点から、一段階法で複数の樹脂を湿式スピノーダル分解で相分離する製造方法が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
≪評価方法≫
<ヘイズ>
JIS K7105に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて測定した。
<全光線透過率>
JIS K7361−1に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて測定した。
<60°光沢度>
JIS K7105に準拠して、光沢計(VG2000、日本電色工業(株)製)を用いて、60度での鏡面光沢度を測定した。
<凹凸平均高さ>
JIS B0601に準拠して、レーザー顕微鏡(VK-9710、キーエンス社製)を用い測定した。
<耐候性>
岩崎電気(株)製超促進耐候性試験装置を用いて試験を行い、100mW/cm2の条件にて、100時間後に△b*値の初期値からの変化量により評価した。
評価基準
◎:変化量が3.0%未満
○:変化量が3.0%以上5.0%未満
△:変化量が5.0%以上10.0%未満
×:変化量が10.0%以上
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4に準拠して鉛筆引っかき試験を行い、傷付きにより評価した。
<フィルム表面電位>
23℃、50%RHの環境の元、防眩フィルム同士を10回こすり擦り合わせ、表面電位計(FMX−003、SIMCO社製)を用い測定した。
評価基準
○:3 kVより小さい
△:3kV以上、5kV以下
×:5kVより大きい
<ギラツキ>
表示面におけるギラツキの判定は、150ppiの解像度を有する液晶用カラーフィルター上に、得られた防眩性フィルムを配設し、後方よりバックライトを照射し目視にて以下の基準に従って評価した。
評価基準
○:ギラツキが感じられない
△:ギラツキが僅かに感じられる
×:ギラツキが感じられる。
<防眩性の評価>
防眩性は防眩フィルムの裏面に黒フィルムを貼り合わせ、2mの距離より、むき出し蛍光灯(10000cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度により評価した。
評価基準
○:蛍光灯の輪郭がわからない
△:蛍光灯の輪郭が若干ぼける
×:蛍光灯がほとんどボケず、輪郭が非常に明確に見える
≪ラクトン環含有樹脂フィルムの調製≫
次に、ラクトン環含有樹脂フィルムの製造例について説明する。
まず、ラクトン環含有樹脂(以下「ラクトン環含有重合体」ということがある。)の評価方法について説明する。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフ(GC17A、(株)島津製作所製)を用いて測定して求めた。
<ダイナミックTG>
重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解または希釈し、過剰のヘキサンまたはメタノールに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:差動型示差熱天秤(Thermo Plus2 TG−8120 ダイナミックTG、(株)リガク製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 100mL/min
方法:階段状等温制御法(60℃から500℃までの範囲における質量減少速度値0.005%/sec以下に制御)
<ラクトン環構造の含有割合>
まず、得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる質量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において質量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による質量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有する重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の質量減少率の測定を行い、得られた実測値を実測質量減少率(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の質量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した質量減少率)を理論質量減少率(Y)とする。なお、理論質量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中における脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値を脱アルコール計算式:1−(実測質量減少率(X)/理論質量減少率(Y))に代入してその値を求め、百分率(%)で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
一例として、後述の製造例1で得られたペレットにおいてラクトン環構造の含有割合を計算する。この重合体の理論質量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、重合体中における2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有率(質量比)は組成上20.0質量%であるから、(32/116)×20.0≒5.52質量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測質量減少率(X)は0.34質量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.34/5.52)≒0.938となるので、脱アルコール反応率は93.8%である。
そして、この脱アルコール反応率分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該共重合体組成における含有量(質量比)に、脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環構造の含有率(質量比)に換算することにより、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合を算出することができる。後述の製造例の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が20.0質量%、算出した脱アルコール反応率が93.8%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環構造の式量が170であることから、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合は27.5(20.0×0.938×170/116)質量%となる。
<重量平均分子量、数平均分子量>
重合体の重量平均分子量や数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー(株)製)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。
<重合体の熱分析>
重合体の熱分析は、示差走査熱量計(DSC−8230、(株)リガク製)を用いて、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50mL/minの条件で行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に準拠して、中点法で求めた。
<製造例1>
(ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の製造例)
まず、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた容量30Lの反応容器に、メタクリル酸メチル8kg、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル2kg、メチルイソブチルケトン10kg、n−ドデシルメルカプタン5gを仕込んだ。
この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−75、化薬アクゾ(株)製)5gを添加すると同時に、メチルイソブチルケトン230gにt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−75、化薬アクゾ(株)製)10gを溶解した溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜120℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A−18、堺化学工業(株)製)30gを添加し、還流下、約90〜120℃で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/hの処理速度で導入し、この押出機内で、さらに環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、ラクトン環含有重合体の透明なペレットを得た。
得られたラクトン環含有重合体について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.34質量%の質量減少を検知した。また、このラクトン環含有重合体は、重量平均分子量は144,000であり、ガラス転移温度が131℃であった。
このラクトン環含有重合体のペレットを、20mmφのスクリューを有する二軸押出機を用いて、幅150mmのコートハンガータイプTダイから溶融押出して、厚さ約100μmのラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)を調製した。
<製造例2>
(紫外線吸収能を付与したラクトン環含有樹脂フィルム(F−2)の製造例)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、41.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、6部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、商品名:RUVA−93)、50部のトルエン、0.025部のアデカスタブ2112(旭電化工業(株)製)、0.025部のn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを3時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業(株)製、商品名:Phoslex A−8)を加え、還流下(約90〜110℃)で2時間、環化縮合反応を行った。引き続きオートクレーブにより240℃で30分間加熱処理を行い、環化縮合反応を完全に行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度240℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、脱揮を行った。そのとき、別途準備しておいた酸化防止剤・失活剤混合溶液を、第1ベントの後から高圧ポンプを用いて0.03kg/時間の投入速度で注入した。また、第2ベントの後より別途準備しておいた紫外線吸収剤溶液0.05kg/時間の投入速度で注入した。更に第3ベントの後から高圧ポンプを用いてイオン交換水を0.01kg/時間の投入速度で注入した。酸化防止剤・失活剤混合溶液はスミライザーGS(住友化学(株)製)50部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチクス亜鉛3.6% 日本化学産業(株)製)35部をトルエン200部に溶解したものである。紫外線吸収剤溶液は、分子量が954の紫外線吸収剤が主成分(分子量771、954、および、1138の紫外線吸収剤の混合物)でヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有するCGL777MPA(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 有効成分80%)19部をトルエン31部に溶解したものである。
上記脱揮操作により、透明で紫外線吸収性単量体単位を有する熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。GPCによる樹脂部の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は145000、ガラス転移温度は122℃であった。
上記樹脂を用い、270℃の押出温度でシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、100μmの厚みのラクトン環含有樹脂フィルム(F−2)を得た。(T−ダイ:温度270℃、幅120mm、成膜:つや付き2本ロール、ロール温度110℃、引き取り速度:2.5m/分)。
≪アクリル樹脂の合成≫
<UV硬化性アクリル樹脂(P−1)>
攪拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた1リットルのフラスコに、有機溶剤として酢酸ブチル260gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながら、フラスコ内温を95℃まで加熱した。ついで、ブチルアクリレート134g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート187g、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2.5gを混合した溶液を滴下口より3時間かけて滴下した。滴下後も同温度で1時間攪拌を続けた後、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)0.2gを30分おきに2回添加し、さらに2時間加熱して共重合を行い、数平均分子量が12,000重量平均分子量が27,000のアクリル樹脂溶液(不揮発分48.2%)を得た。
得られたアクリル樹脂溶液400gを攪拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた1リットルのフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながら、フラスコ内温を70℃まで加熱した。ついでジブチル錫ジラウレート55mgをフラスコに添加した後、アクリロキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工社製)142gの酢酸ブチル溶液を、撹拌しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で6時間攪拌を続け反応を進行させた。反応後、系にイソプロパノールを加えて固形分が45%となるように調整し、UV硬化性アクリル樹脂(P−1)が酢酸ブチルに溶解した溶液を得た。
≪コーティング組成物の調製≫
<コーティング組成物(C−1)>
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(置換度=1.9[セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシル基で置換された水酸基の平均個数]、置換モル数=0.25[セルロースのグルコース環単位当たりに付加したヒドロキシプロポキシル基の平均モル数]、信越化学工業(株)製、メトローズ60SH)12重量部、UV硬化性アクリル樹脂(P−1)26重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PE−3A、共栄社化学(株)製)62重量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5重量部をメチルエチルケトン300重量部に溶解し、透明で均一なコーティング組成物(C−1)を得た。
≪防眩フィルムの評価≫
<実施例1>
調製したコーティング組成物(C−1)を透明基材フィルムであるラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)に、バーコーター#8を用いて塗布した。塗布層を100℃で1分乾燥した後、相分離による凹凸層を形成させた状態で窒素パージ下(酸素濃度1000ppm以下)、高圧水銀灯で250mJ/cmの紫外線を照射することにより硬化させ、表面凹凸を有する防眩フィルムを得た。得られた防眩フィルムについて、全光線透過率、ヘイズ、60°光沢度、凹凸平均高さ、ギラツキ、防眩性、耐候性、鉛筆硬度およびフィルム帯電電位を評価した。結果を表1に示した。
得られた防眩フィルムでは、ラクトン環含有樹脂フィルム上に、領域(A)、領域(A)よりも平均径の小さい領域(B)及びマトリックス樹脂が形成されている。領域(A)が防眩フィルムの表面であり、領域(A)は若干突出しているため、表面に凹凸構造が形成されている。
<実施例2>
ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の代わりに(F−2)を利用した以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを得た。全光線透過率、ヘイズ、60°光沢度、平均高さ、ギラツキ、防眩性、耐候性、鉛筆硬度およびフィルム帯電電位を評価した。結果を表1に示した。
<比較例1>
ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の代わりにトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U、富士フィルム社製)を利用した以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを得た。全光線透過率、ヘイズ、60°光沢度、凹凸平均高さ、ギラツキ、防眩性、耐候性、鉛筆硬度およびフィルム帯電電位を評価した。結果を表1に示した。
<比較例2>
ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の代わりにシクロオレフィンポリマーフィルム(ゼオノア、日本ゼオン社製)を利用した以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを得た。全光線透過率、ヘイズ、60°光沢度、平均高さ、ギラツキ、防眩性、耐候性、鉛筆硬度およびフィルム帯電電位を評価した。結果を表1に示した。
<比較例3>
ラクトン環含有樹脂フィルム(F−1)の代わりに耐候性PETフィルム(HBPF8W、帝人デュポン社製)を利用した以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルムを得た。全光線透過率、ヘイズ、60°光沢度、凹凸平均高さ、ギラツキ、防眩性、耐候性、鉛筆硬度およびフィルム帯電電位を評価した。結果を表1に示した。
Figure 2009180845
本発明の防眩フィルムは、防眩性に加えて、耐候性、表面硬度、フィルム製造・加工時の作業性および安全性がいずれも従来に比べ高く、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮することができるので、例えば、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機EL表示装置などのフラットパネルディスプレイなどに防眩性、光拡散性を付与する光学用途に好適である。

Claims (11)

  1. 透明基材フィルム上に形成されてなる防眩層とを備えてなる防眩フィルムであって、前記透明基材フィルムが、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有しているラクトン環含有樹脂フィルムであり、前記防眩層が、少なくともマトリックス樹脂及び平均径2〜100μmのポリマー領域(A)を含む防眩層で構成されたフィルムであって、前記ポリマー領域(A)が、防眩層の表面近傍に位置するとともに、表面側が非平坦面として形成されている防眩フィルム。
    Figure 2009180845
    [式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい]
  2. ポリマー領域(A)の非平坦面が、凹凸平均高さ0.01〜1μmの凹凸構造を有する請求項1記載のフィルム。
  3. ポリマー領域(A)が、防眩層表面から突出した凸部を形成するとともに、凹凸平均高さが0.03〜0.20μmであり、かつフィルム表面における前記凸部の面積割合が、表面全体に対して10〜95%である請求項1記載のフィルム。
  4. ポリマー領域(A)の平均径が5〜50μmであり、かつポリマー領域(A)の非平坦面が、凹凸平均高さ0.02〜0.5μmの凹凸構造を有する請求項1記載のフィルム。
  5. 防眩層が、さらに、平均径が0.1〜10μmであり、かつポリマー領域(A)よりも平均径が小さい領域(B)を含む請求項1記載のフィルム。
  6. 領域(A)と領域(B)との平均径の比が、領域(A)/領域(B)=2/1〜100/1である請求項5記載のフィルム。
  7. マトリックス樹脂中に、表面近傍のポリマー領域(A)と、前記領域(A)の下部に位置する領域(B)とが分散している請求項5記載のフィルム。
  8. マトリックス樹脂及びポリマー領域(A)が、同一又は異なって、脂環式オレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、及びエポキシ(メタ)アクリレートから選択された少なくとも一種の透明樹脂で構成された請求項1記載のフィルム。
  9. マトリックス樹脂中に、表面近傍に位置する平均径10〜40μmのポリマー領域(A)と、前記領域(A)の下部に位置する平均径0.2〜5μmの領域(B)とが分散している防眩層で構成されたフィルムであって、ポリマー領域(A)の表面側が、凹凸平均高さ0.03〜0.1μmの凹凸構造として形成され、前記領域(A)と領域(B)との平均径の比が、領域(A)/領域(B)=3/1〜50/1である請求項1記載の防眩フィルム。
  10. 共通の溶媒によって複数の非相溶性ポリマーを相溶した均一な溶液を塗布し、乾燥に伴って相分離させて請求項1記載の防眩フィルムを製造する方法。
  11. 請求項1記載のフィルムを備えている表示装置。
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