JP2007127892A - 偏光板 - Google Patents

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JP2007127892A
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Yuuki Nakano
勇樹 中野
Mie Nakada
美恵 中田
Hiroaki Hasegawa
裕彰 長谷川
Hisafumi Tsujino
尚史 辻野
Hideo Asano
英雄 浅野
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Nippon Shokubai Co Ltd
Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】偏光子に保護フィルムが貼合された偏光子において、前記偏光子と前記保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有する偏光板を提供すること。
【解決手段】偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする保護フィルムが、ポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合されている。前記ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007127892

[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光子に保護フィルムを接着剤で貼合してなる偏光板に関する。
従来、液晶表示装置(以下「LCD」ということがある。)は、主としてパソコンやテレビなどの屋内で使用する電子機器に幅広く用いられてきたが、最近では、カーナビゲーションシステムや携帯情報端末のように屋外で使用する電子機器に用いられることも多くなってきた。そこで、LCDは、高い表示特性に加えて、高温多湿などの過酷な雰囲気下における信頼性が強く求められている。
一般に、LCDには、それを構成する部品として、偏光板が必要不可欠であり、偏光板は、透明電極を形成する2枚の電極基板間に液晶を封入した液晶セルの両面または片面に貼合して用いられる。偏光板は、偏光機能を有する偏光子の両面に保護フィルムが接着剤で貼合された積層構造を有する。偏光子の素材としては、主にポリビニルアルコール(以下「PVA」ということがある。)が使用され、例えば、PVAフィルムを一軸延伸してからヨウ素または二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより、偏光子が製造される。
ところで、PVAフィルムは、透過軸方向に対する機械的強度が弱く、熱や湿気によって収縮することや、偏光機能が低下することがあるので、通常、PVAフィルムには、その両面に保護フィルムが貼合されている。一般に、保護フィルムは、複屈折性がなく、光線透過率が高く、耐熱性や耐湿性が良好で、機械的強度が高く、温度や湿度の変化による収縮率が小さく、表面が平滑で、解像度が高く、接着剤との相性が良好であり、外観に優れている、などの様々な性能が要求される。このような要求を満足する保護フィルムとして、現在のところ、複屈折性が低く、外観が良好であることから、トリアセチルセルロース(以下「TAC」ということがある。)の溶液流延フィルムが主に使用されている。通常、TACからなる保護フィルムは、PVAからなる偏光子の両面に水溶性の接着剤で貼合される。
しかし、TACフィルムは防湿性が不充分であり、高温多湿の環境下、例えば、80℃、90RH%の雰囲気下では、PVAからなる偏光子が100時間程度で劣化し、偏光機能が低下してしまう。また、TACフィルムは、ガスバリヤー性も不充分であり、透過した酸素によって、ヨウ素または二色性染料が変質しやすいという問題がある。また、TACフィルムには、製膜性を付与するために可塑剤が添加されているので、耐熱性が充分ではないという問題もある。さらに、厚さ40μm以下のTACフィルムは、強度や耐久性が低いので、例えば、厚さ80μmのTACフィルムを使用する必要があり、偏光板の薄型化を阻害する一因となっている。
上記問題を解決するために、例えば、特許文献1には、TACフィルムより透湿度が低い樹脂フィルム、例えば、非晶性ポリオレフィン樹脂を保護フィルムとすることが提案されている。具体的には、PVC系シートの少なくとも片面に保護フィルムとして熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムをポリウレタン系接着剤で貼合することが提案されている。しかし、ポリウレタン系接着剤は、硬化時に長時間を要するという問題があり、また、接着力も必ずしも充分とは言えない。
また、特許文献2には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを、主たる溶媒として水を用いた接着剤、例えば、ポリビニルアルコール水溶液を使用して、PVA系偏光子に貼合した後、溶媒を乾燥させるいわゆるウェットラミネーション法が提案されている。しかし、ウェットラミネーション法では、充分な強度が得られなかったり、外観が不良になったりする問題があった。これは、透湿性が低いフィルムは、一般的に、TACフィルムより疎水性であることや、透湿性が低いので、溶媒である水を充分に乾燥できないことなどの理由による。
保護フィルムとして使用されるTACフィルムの低い防湿性を改良するために、上記のように透湿度の低い保護フィルムを、水を主な溶媒とする接着剤、例えば、ポリビニルアルコール水溶液を使用して、PVA系偏光子に貼合する場合、偏光子と保護フィルムとの充分な接着強度を得られず、偏光板としての耐久性も不充分であった。
特開2000−321432号公報 特開2003−211589号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、偏光子に保護フィルムを接着剤で貼合してなる偏光板において、偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有する偏光板を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムを保護フィルムとして使用し、ポリエチレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で偏光子に貼合すれば、優れた光学的特性に加えて、偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有する偏光板が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、PVA系偏光子の少なくとも片面にラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムがポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合されていることを特徴とする偏光板を提供する。
前記ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007127892
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。前記ポリアルキレンイミンは、好ましくは、ポリエチレンイミンおよび/またはその誘導体である。前記架橋剤は、好ましくは、エポキシ系架橋剤および/またはイソシアネート系架橋剤である。前記接着剤は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する。
本発明の偏光板は、優れた光学的特性に加えて、偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有するので、高温多湿などの苛酷な環境下に長期間放置しても、偏光子と保護フィルムが剥離しにくい。それゆえ、TACフィルムを保護フィルムとして使用した従来の偏光板の問題点を解決することができる。
以下、本発明の偏光板について、詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施することができる。
≪偏光板≫
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが、ポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合されていることを特徴とする。すなわち、本発明の偏光板は、偏光子の一面に所定の熱可塑性樹脂フィルムが所定の接着剤で貼合されているが、前記偏光子の他面には、同様に所定の熱可塑性樹脂フィルムが所定の接着剤で貼合されているか、あるいは、従来公知の保護フィルム、例えば、TACフィルムが所定の接着剤で貼合されているか、あるいは、従来公知の保護フィルム、例えば、TACフィルムが従来公知の接着剤で貼合されている。なお、「ラクトン環含有重合体を主成分とする」とは、熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のうち、少なくとも50質量%以上がラクトン環含有重合体であることを意味する。
≪保護フィルム≫
本発明の偏光板において、偏光子には、その少なくとも片面に、保護フィルムとして、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが貼合されている。熱可塑性樹脂フィルムの主成分であるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007127892
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、ラクトン環構造の含有割合が90質量%を超えると、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
ラクトン環含有重合体は、上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体の製造方法として後述するような、(メタ)アクリル酸エステルと、ヒドロキシ基含有単量体と、不飽和カルボン酸と、下記式(2):
Figure 2007127892
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体とからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。また、不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。さらに、上記式(2)で示される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重合工程によって分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得られる。
重合工程においては、例えば、下記式(3):
Figure 2007127892
[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体を配合した単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体が得られる。
上記式(3)で示される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性を向上させる効果が高いことから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。
重合工程に供する単量体成分中における上記式(3)で示される単量体の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。上記式(3)で示される単量体の含有割合が5質量%未満であると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が低下することがある。逆に、上記式(3)で示される単量体の含有割合が90質量%を超えると、重合工程やラクトン環化縮合工程においてゲル化が起こることや、得られた重合体の成形加工性が低下することがある。
重合工程に供する単量体成分には、上記式(3)で示される単量体以外の単量体を配合してもよい。このような単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有単量体、不飽和カルボン酸、および、下記式(2):
Figure 2007127892
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す]
で示される単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである限り、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのうち、得られた重合体の耐熱性や透明性が優れることから、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。
ヒドロキシ基含有単量体としては、上記式(3)で示される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられる。これらのヒドロキシ基含有単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で示される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの不飽和カルボン酸のうち、本発明の効果が充分に発揮されることから、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、本発明の効果を充分に発揮することから、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
上記式(2)で示される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、本発明の効果を充分に発揮させる上で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を使用する重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時間が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を使用する重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑制するために、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中に生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が低すぎると生産性が低下するので、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中に生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑制することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中のヒドロキシ基とエステル基との割合を高めた場合であっても、ゲル化を充分に抑制することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合工程を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合工程で得られた重合体は、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体(a)であり、重合体(a)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。重合工程で得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)にラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不充分であると、耐熱性が充分に向上しないことや、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在することがある。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1):
Figure 2007127892
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
で示されるラクトン環構造を有する。
重合体(a)を加熱処理する方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を利用すればよい。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。あるいは、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。あるいは、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。さらに、例えば、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に開示されているように、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
あるいは、環化縮合反応の触媒として有機リン化合物を用いてもよい。使用可能な有機リン酸化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸などのアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの有機リン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。触媒の使用量が0.001質量%未満であると、環化縮合反応の反応率が充分に向上しないことがある。逆に、触媒の使用量が5質量%を超えると、得られた重合体が着色することや、重合体が架橋して、溶融成形が困難になることがある。
触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、かつ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体などの揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。この除去処理が不充分であると、得られた重合体中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などにより着色することや、泡やシルバーストリークなどの成形不良が起こることがある。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、用いる装置については、特に限定されるものではないが、例えば、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることがより好ましい。
熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜66.5hPa(600〜50mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。逆に、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度が150℃未満であると、環化縮合反応が不充分となって残存揮発分が多くなることがある。逆に、反応処理温度が350℃を超えると、得られた重合体の着色や分解が起こることがある。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931〜1.33hPa(700〜1mmHg)、より好ましくは798〜13.3hPa(600〜10mmHg)である。反応処理圧力が931hPa(700mmHg)を超えると、アルコールを含めた揮発分が残存しやすいことがある。逆に、反応処理圧力が1.33hPa(1mmHg)未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
なお、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがあるので、前述した脱アルコール反応の触媒を用い、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機などを用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合体(a)を溶剤と共に環化縮合反応装置に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機などの環化縮合反応装置に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行ってもよい。例えば、重合体(a)を製造した装置を、さらに加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃付近、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起こる前に一部分解などが生じ、得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有重合体の物性の劣化を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、例えば、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置を備えた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機などで、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特に、この形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
前述したように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、本発明においてラクトン環含有重合体を得る上で好ましい形態である。この形態により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れたラクトン環含有重合体が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、例えば、実施例に示すダイナッミクTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は、特に限定されるものではないが、例えば、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置などが挙げられ、さらに、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用可能である。これらの反応器のうち、オートクレーブ、釜型反応器が特に好ましい。しかし、ベント付き押出機などの反応器を用いる場合でも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュー形状、スクリュー運転条件などを調整することにより、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、例えば、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、および、前記(i)または(ii)を加圧下で行う方法などが挙げられる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物それ自体、あるいは、いったん溶剤を除去した後に環化縮合反応に適した溶剤を再添加して得られた混合物を意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合工程に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。
方法(i)で添加する触媒としては、例えば、一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、本発明においては、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。触媒の添加時期は、特に限定されるものではないが、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。方法(i)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは室温〜180℃、より好ましくは50〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が室温未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。逆に、加熱温度180℃を超えるか、あるいは、加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
方法(ii)は、例えば、耐圧性の釜型反応器などを用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱すればよい。方法(ii)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が100℃未満であるか、あるいは、加熱時間が1時間未満であると、環化縮合反応率が低下することがある。逆に、加熱温度が180℃を超えるか、あるいは加熱時間が20時間を超えると、樹脂の着色や分解が起こることがある。
いずれの方法においても、条件によっては、加圧下となっても何ら問題はない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1%以下である。質量減少率が2%を超えると、続けて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行っても、環化縮合反応率が充分高いレベルまで上がらず、得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入してもよいし、必要に応じて、前記重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加するなどのその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入しても構わない。
脱揮工程は、環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。さらに、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を超えると、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できないことがある。
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが330℃未満であると、充分な熱安定性を発揮できないことがある。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃以上である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは1,500ppm以下、より好ましくは1,000ppm以下である。残存揮発分の総量が1,500ppmを超えると、成形時の変質などによって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良の原因となる。
ラクトン環含有重合体は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D−1003に準拠した方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないことがある。
熱可塑性樹脂フィルムにおけるラクトン環含有重合体の含有割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%である。熱可塑性樹脂フィルム中のラクトン環含有重合体の含有割合が50質量%未満であると、本発明の効果を充分に発揮できないことがある。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムには、その他の成分として、ラクトン環含有重合体以外の重合体(以下「その他の重合体」ということがある。)を含有していてもよい。その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムにおけるその他の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムには、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルム中における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体と、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルム成形することができる。あるいは、ラクトン環含有重合体と、その他の重合体や添加剤などを、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルム成形してもよい。
まず、熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサーなど、従来公知の混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混合機を用いることができる。
フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知のフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルムまたは逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムは、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持することができる。
延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えなくなることがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないことがある。逆に、延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないことがある。
延伸速度は、一方向で、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましく100〜10,000%/minの範囲内である。延伸速度が10%/min未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなることがある。逆に、延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムの破断などが起こることがある。
なお、ラクトン環含有重合体を主成分とするフィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うことができる。熱処理の条件は、従来公知の延伸フィルムに対して行われる熱処理の条件と同様に適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムは、その厚さが好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満であると、フィルムの強度が低下するだけでなく、偏光板の耐久性試験を行うと捲縮が大きくなることがある。逆に、厚さが200μmを超えると、フィルムの透明性が低下するだけでなく、透湿性が小さくなり、水系接着剤を用いた場合、その溶剤である水の乾燥速度が遅くなることがある。
ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムは、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が少なくとも40mN/m以上であると、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムと偏光子との接着強度がさらに向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
≪偏光子≫
偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、例えば、酢酸ビニルおよびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用できる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,100〜10,000である。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、前記一軸延伸フィルムを二色性色素で染色して、前記フィルムに前記二色性色素を吸着させる工程、前記二色性色素が吸着された前記一軸延伸フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、前記ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、およびこれらの工程が施されて前記二色性色素が吸着配向された前記一軸延伸フィルムに保護フィルムを貼合する工程を経て製造される。
なお、一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水あるいは水と相溶性がある有機溶剤を含んだ浴中で膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的には、ヨウ素または二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
他方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100質量部あたり、通常1×10−3〜1×10−2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常1〜15質量部程度、好ましくは2〜12質量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部程度である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、より好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃程度である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は、乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は、通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常20〜100℃程度である。乾燥時間は、通常120〜600秒程度である。
≪接着剤≫
偏光子に保護フィルムを貼合する接着剤は、必須成分としてポリアルキレンイミンを含有する。ポリアルキレンイミンとしては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミンなどのアルキレンイミンを常法により重合して得ることができる。これらのポリアルキレンイミンのうち、工業的に入手しやすいことから、ポリエチレンイミンが好ましい。ポリアルキレンイミンは、重合により三次元に架橋され、通常、構造中に第三アミノ基のほか、活性水素含有アミノ基である第一アミノ基および第二アミノ基が導入される。
また、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加重合させたポリアルキレンイミン誘導体も好適に使用できる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド,1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド、スチレンオキシド、1,1−ジフェニルエチレンオキシドなどが挙げられる。なお、ポリエーテル鎖は、これらの1種を単独重合したものや、2種以上をランダム重合またはブロック重合させて得たものでもよい。好ましいポリエーテル鎖は、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを単独重合して得られたものや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとをランダム重合またはブロック重合したものである。
ポリアルキレンイミンおよびその誘導体の重量平均分子量は、好ましくは100〜100,000、より好ましくは200〜90,000、さらに好ましくは500〜80,000である。
接着剤には、ポリエチレンイミンを架橋するための架橋剤が配合されている。架橋剤を添加することにより、接着剤層と偏光子および/または保護フィルムとの接着強度、接着剤層の耐久性、機械的強度などを向上させることができる。架橋剤としては、ポリエチレンイミンのアミノ基やポリビニルアルコール系樹脂のヒドロキシ基と反応し、架橋構造を形成可能な官能基を有する限り、特に限定されるものではない。架橋構造を形成可能な官能基としては、例えば、アルデヒド、ケトン、アルキルハライド、イソシアネート、チオイソシアネート、二重結合、エポキシ、酸、酸無水物、アシルハライド、エステルなどが挙げられ、これらを分子内に有する化合物が用いられる。エポキシ系架橋剤としては、水溶性ポリエポキシ化合物が好ましい。水溶性ポリエポキシ化合物は、一般に、低分子量脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテルであるが、添加量において接着剤組成物の水相に溶解するのに充分に高い水中溶解度を有する必要がある。これらは、例えば、ナガセケムテックス(株)からデナコールEXシリーズの商品名で市販されており、低分子量脂肪族ポリオールがソルビトール、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどであるポリグリシジルエーテルが入手可能である。それらのうち、水溶率が好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは80%以上であり、かつ、2官能以上のポリグリシジルエーテルが特に好ましい。これに該当する具体例としては、例えば、デナコールEX−614B、デナコールEX−512、デナコールEX521、デナコールEX−313、デナコールEX810およびこれらに相当する他社からの市販品がある。また、イソシアネート系架橋剤の市販品としては、例えば、自己乳化型ポリイソシアネート(アクアネート100、日本ポリウレタン工業(株)製)などが挙げられる。
架橋剤の配合量は、その種類に応じて変化するので、適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ系架橋剤を用いた場合には、ポリアルキレンイミン中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比に換算して、モル比で、好ましくは0.05〜2.0、より好ましくは0.3〜1.0である。アミノ基に対するエポキシ基の官能基比が0.05未満であると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が向上しないことがある。逆に、官能基比が2.0を超えると、接着剤層の耐水性が悪くなることがある。また、イソシアネート系架橋剤を用いた場合には、ポリアルキレンイミン中のアミノ基に対するイソシアネート基の官能基比に換算して、モル比で、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.5〜1.0である。アミノ基に対するイソシアネート基の官能基比が0.5未満であると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が向上しないことがある。逆に、官能基比が2.0を超えると、接着剤層の耐水性が悪くなることがある。
接着剤には、必要に応じて、ポリビニルアルコール系樹脂(以下「PVA系樹脂」ということがある。)を配合してもよい。接着剤にPVA系樹脂を配合することにより、PVA系偏光子を接着させる際の強度を向上させることができるので、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムとPVA系偏光子との間、および、TACフィルムとPVA系偏光子との間の両方の接着剤として使用することができる。また、接着剤の可使時間を長くすることが可能になる。PVA系樹脂は、例えば、ビニルエステル単量体を主体とするビニル単量体を従来公知の方法で重合して、ビニルエステル重合体(すなわち、ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のビニルエステル単量体の共重合体、およびビニルエステル単量体と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体)を得て、このビニルエステル重合体を常法により鹸化することにより得られる。
ビニルエステル単量体は、ラジカル重合可能なものである限り、特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。これらのビニルエステル単量体のうち、工業的に製造されており、安価な酢酸ビニルが特に好ましい。
また、ビニルエステル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸または無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどの不飽和カルボン酸エステル類;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有化合物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物;3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウム基を有する単量体などを挙げることができる。
上記方法により得られたビニルエステル重合体を鹸化することにより、PVA系樹脂を得ることができる。PVA系樹脂の鹸化度は、従来公知の方法により調整することができる。PVA系樹脂の鹸化度は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。また、得られるPVA系樹脂の平均重合度は、鹸化前のビニルエステル重合体の平均重合度と同じ、すなわち、鹸化により重合体の平均重合度は変化しない。接着剤に配合するPVA系樹脂の平均重合度は、好ましくは200〜4,000、より好ましくは250〜3,000である。それゆえ、接着剤に配合するPVA系樹脂を得るためには、平均重合度が好ましくは200〜4,000、より好ましくは250〜3,000であるビニルエステル重合体を用いればよい。ビニルエステル重合体の平均重合度は、従来公知の方法により調整することができる。
なお、PVA系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲内で、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸などが数モル%程度共重合したものであってもよく、また、例えば、アルキル基、エポキシ基、カルボニル基、シラノール基、またはチオール基などを有する化合物をグラフト付加などさせて変性したものであってもよい。
PVA系樹脂の配合量は、ポリアルキレンイミン100質量部に対して、好ましくは5〜500質量部、より好ましくは10〜400質量部である。PVA系樹脂の配合量が10質量%未満であると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が向上しないことがある。逆に、PVA系樹脂の配合量が500質量部を超えると、接着剤層の耐水性が逆に悪くなることがある。
接着剤に配合しうるその他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤;ポリエチレンイミンの黄変抑制剤;などが挙げられる。
接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられるが、水以外の溶媒としてアルコール系溶媒を用いてもよく、水とアルコールの混合溶媒を用いてもよい。溶媒として用いるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
≪偏光板の製造≫
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムを、ポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合することにより製造される。
一般に、偏光板は偏光子の両面に同じ種類の保護フィルムが貼合されているが、本発明の偏光板は、両方の保護フィルムが同じ種類のフィルムであってもよいし、異なる種類のフィルムであってもよい。いずれにしても、偏光子の一面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが貼合されていればよく、他面に貼合される保護フィルムは、特に限定されるものではない。それゆえ、例えば、偏光子の一面には、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが貼合され、他面には、TACからなる保護フィルムが貼合されていてもよい。TACフィルムのような透湿度の比較的高い樹脂フィルムを貼合する場合、前述の接着剤を用いてもよいし、従来公知の偏光板に使用されている接着剤を用いてもよい。このとき、前述の接着剤を用いる場合には、接着剤にPVA系樹脂を配合すれば、偏光子とTACフィルムとの接着強度が向上する。
偏光子に対する保護フィルムの接着方法としては、例えば、(1)偏光子および保護フィルムの両方または片方に接着剤の溶液を塗布し、塗膜が乾燥しないうちに偏光子と保護フィルムとを貼り合わせ、次いで溶媒を除去して接着する方法(いわゆる、ウェットラミネーション)、および、(2)偏光子および保護フィルムの両方または片方に接着剤の溶液を塗布し、次いで溶媒をほぼ除去して塗膜をほぼ乾燥させてから偏光子と保護フィルムとを貼り合わせ、加圧および/または加熱などにより接着する方法(いわゆる、ドライラミネーション)が挙げられる。接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、0.05〜5μm程度である。なお、ポリアルキレンイミンと架橋剤との反応は、接着および養生の間に加熱されることにより進行するので、別途、硬化工程を設ける必要はない。
(1)ウェットラミネーションの場合は、例えば、接着後の接着剤層の厚みや塗工性などを考慮し、固形分濃度が、例えば、0.1〜50質量%となるように、接着剤を溶媒に溶解させた後、メイヤバー、グラビアコーター、マイクログラビアコーターなどで接着剤溶液を偏光子および/または保護フィルムに塗工または滴下し、保護フィルムを接着した偏光子を、例えば、2本のロールなどでラミネートしながら溶媒を加熱などにより除去する。ロールで余分な接着剤を押し出しながらラミネートして、それを熱風などで乾燥させて接着する。
乾燥温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは30〜100℃である。接着剤溶液の粘度は、好ましくは10〜20,000mPa・s、より好ましくは100〜12,000mPa・sである。粘度が10mPa・s未満であると、ラミネート時の加圧によって接着剤溶液が偏光板の外部に余分に流れ出し、接着剤層の厚みが薄くなることがある。逆に、粘度が20,000mPa・sを超えると、塗工性が低下することがある。ウェットラミネーションにおいては、溶媒として水を用いると、保護フィルムとしてTACフィルムを用いていた従来の偏光板の製造設備をそのまま保護フィルムの接着設備として有効利用できる。
(2)ドライラミネーションの場合は、例えば、接着後の接着剤層の厚みや塗工性などを考慮し、適当な固形分濃度となるように接着剤を溶媒に溶解し、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどで偏光子および/または保護フィルムに塗工し、乾燥炉を通すなどの手段を用いて溶媒を除去する。加熱温度は、好ましくは、常温〜130℃の範囲内に設定する。偏光子と保護フィルムとのラミネートは、例えば、2本のロールなどを用いて、好ましくは98〜980kPaの圧力をかけて圧着することにより行う。その際、偏光子の光学性能を低下させない範囲で偏光板を加熱してもよく、その温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは30〜100℃である。接着剤溶液の粘度は、ウェットラミネーションの場合と同様の範囲内である。粘度が10mPa・s未満であると、溶媒の除去に時間がかかり生産性が低下することがある。逆に、粘度が20,000mPa・sを超えると、塗工性が低下する。ドライラミネーションにおいては、溶媒として有機溶剤を用いると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が優れるので好ましい。
いずれの接着方法においても、偏光子と保護フィルムとのラミネートは、公知のいかなる手段を用いてもよいが、ニップロールによる方法が簡便で、かつ、生産性にも優れるので好ましい。ニップロールとしては、ゴムロールと金属ロールとを組み合わせるか、あるいはゴムロールとゴムロールとを組み合わせることができる。ラミネート時の圧力は、ニップ線圧で、通常1〜100kgf/cm、好ましくは3〜30kgf/cmである。
上記方法で得られた偏光板は、養生、すなわち一定時間放置することにより、接着剤層と各層との接着強度、各層の耐久性などを向上させることができる。養生の条件は、例えば、常温または加温(例えば、約40℃程度)で、24〜72時間程度放置しておくことが好ましい。また、保護フィルムと偏光子とを接着剤層を介して貼合した後、これに圧力をかけることにより、接着剤層の厚みを調整することが好ましい。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層した光学フィルムには、例えば、液晶セルなどの他の部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などの重合体をベースとする粘着剤を適宜選択して用いることができる。これらの粘着剤のうち、アクリル系粘着剤は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性という良好な粘着特性を示し、耐候性や耐熱性などに優れるので、特に好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の偏光機能を利用する用途であれば、いかなる用途にも適用可能であるが、特に偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、耐湿熱性に優れるので、高温多湿などの過酷な環境下で使用される種々の電子機器の構成部品、例えば、LCDや有機EL素子、遮光用窓ガラス、偏光メガネなどに好適である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下では、便宜上、「質量部」を「部」、「質量%」を「wt%」と表すことがある。
まず、ラクトン環含有重合体、保護フィルム、偏光板の評価方法について説明する。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフ(GC17A、(株)島津製作所製)を用いて測定して求めた。
<ダイナミックTG>
重合体(または重合体溶液もしくはペレット)をいったんテトラヒドロフランに溶解または希釈し、過剰のヘキサンまたはメタノールに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:差動型示差熱天秤(Thermo Plus 2 TG−8120 ダイナミックTG、(株)リガク製)
測定条件:試料量5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー200mL/min
方法:階段状等温制御法(60℃から500℃までの範囲内における質量減少速度値0.005%/s以下に制御)
<ラクトン環構造の含有割合>
まず、得られた重合体組成からすべてのヒドロキシ基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる質量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において質量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による質量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有する重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の質量減少率の測定を行い、得られた実測値を実測質量減少率(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれるすべてのヒドロキシ基がラクトン環の形成に関与するためにアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の質量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した質量減少率)を理論質量減少率(Y)とする。なお、理論質量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(ヒドロキシ基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値を脱アルコール計算式:
1−(実測質量減少率(X)/理論質量減少率(Y))
に代入してその値を求め、百分率(%)で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。そして、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(ヒドロキシ基)を有する原料単量体の当該重合体組成における含有量(質量比)に、脱アルコール反応率を乗じることで、当該重合体中におけるラクトン環構造の含有割合を算出することができる。
一例として、後述の保護フィルムの製造で得られたペレットにおけるラクトン環構造の含有割合を計算する。この重合体の理論質量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(質量比)は組成上20.0質量%であるから、(32/116)×20.0≒5.52質量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測質量減少率(X)は0.17質量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.17/5.52)≒0.969となるので、脱アルコール反応率は、96.9%である。そして、重合体では、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該重合体中における含有率(20.0質量%)に、脱アルコール反応率(96.9%=0.969)を乗じると、当該重合体中におけるラクトン環構造の含有割合は、19.4(20.0×0.969)質量%となる。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー(株)製)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。
<メルトフローレート>
メルトフローレートは、JIS−K6874に準拠して、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
<重合体の熱分析>
重合体の熱分析は、示差走査熱量計(DSC−8230、(株)リガク製)を用いて、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50mL/minの条件で行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に準拠して、中点法で求めた。
<光学特性>
面内の位相差Δnd、厚さ方向の位相差Rthは、自動複屈折測定装置(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて測定した屈折率nx、ny、nzの値から算出した。全光線透過率は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D1003に準拠して、濁度計(NDH−1001DP、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
<接着強度>
養生後の偏光板をポリプロピレン樹脂板上に両面テープで固定させた。次いて、カッターを用いて、偏光子と保護フィルムとの境界に刃を入れながら、接着強度を下記の5段階で評価した。
評価1:フィルムの末端を持って剥がすと、簡単に剥離する。
評価2:カッターの刃を入れると剥がれる。
評価3:刃を入れて力を加えると剥がれる。
評価4:刃を入れても小片でしか剥がれない。
評価5:刃が界面に入らない。
<耐湿熱性>
養生後の偏光板を2.5×5cmに切断し、60℃の温水に4時間浸漬した後、偏光子と保護フィルムとの境界における剥がれを調べて、耐湿熱性を下記の3段階で評価した。
○:剥がれなし。
△:一部に剥がれあり。
×:全面が剥がれる。
次に、保護フィルム、偏光子、接着剤の製造例について説明する。
<保護フィルム>
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた容量30Lの釜型反応器に、8,000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2,000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10,000gの4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)、5gのn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として5.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(カヤカルボンBIC−7、化薬アクゾ(株)製)を添加すると同時に、10.0gのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと230gのMIBKからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105〜120℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、30gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(Phoslex A−18、堺化学工業(株)製)を加え、還流下、約90〜120℃で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で、2.0kg/hの処理速度で導入し、この押出し機内で、さらに環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、ラクトン環含有重合体の透明なペレットを得た。
得られたラクトン環含有重合体について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.17質量%の質量減少を検知した。また、このラクトン環含有重合体は、重量平均分子量が133,000、メルトフローレートが6.5g/10min、ガラス転移温度が131℃であった。
得られたペレットと、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(トーヨーAS AS20、東洋スチレン(株)製)とを、質量比90/10で、単軸押出機(スクリュー30mmφ)を用いて混練押出することにより、透明なペレットを得た。得られたペレットのガラス転移温度は127℃であった。
このペレットを、50mmφ単軸押出機を用い、400mm幅のコートハンガータイプTダイから溶融押出し、厚さ80μmのフィルムを作製した、このフィルムの光学特性を測定したところ、全光線透過率が93.16%、面内の位相差Δndが0.67nm、厚さ方向の位相差Rthが0.53nmであった。保護フィルムとしては、このフィルム(以下「保護フィルムA」ということがある。)を用いた。
他方、市販されている厚さ80μmのTACフィルムを鹸化処理したフィルム(以下「保護フィルムB」ということがある。)を用意した。保護フィルムBの光学的特性を測定したところ、全光線透過率が92%、面内の位相差Δndが8.7nm、厚さ方向の位相差Rthが45.5nmであった。
<偏光子>
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを乾式で5倍まで延伸し、0.5質量%のヨウ素水溶液に60秒間浸漬した後、ホウ酸水溶液に75℃で250秒間浸漬した。
その後、25℃の純水で20秒間洗浄後、60℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。
<接着剤>
まず、攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた反応器に、水700部および1,2−ジクロロエタン10部を仕込み加熱した。昇温後、エチレンイミン300部を80℃で4時間かけて添加した。添加終了後、80℃で3時間熟成し、反応を完結させてポリエチレンイミン水溶液を得た。冷却後、得られた水溶液の粘度をB型粘度計で測定したところ、275mPa・s(25℃)であった。また、5wt%水溶液を調製し、pH計を用いてpHを測定したところ、pH10.8であった。さらに、所定量の水溶液を熱風乾燥器により、150℃で1時間乾燥したところ、残分(不揮発分)は30wt%であった。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、プルランを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフで測定したところ、70,000であった。ポリエチレンイミンのアミン価は18mmol/g(固形分)であった。
接着剤1
上記で合成したポリエチレンイミン水溶液(不揮発分30wt%)を純水で10wt%に希釈した。この10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を20部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.1であった。
接着剤2
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を60部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.3であった。
接着剤3
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を100部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.5であった。
接着剤4
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を200部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、1.0であった。
接着剤5
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を100部配合した。さらにポリビニルアルコール(クラレポバールPVA−110、(株)クラレ製)の10wt%水溶液を25部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.5であった。
接着剤6
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を100部配合した。さらにポリビニルアルコール(クラレポバールPVA−110、(株)クラレ製)の10wt%水溶液を50部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.5であった。
接着剤7
10wt%ポリエチレンイミン水溶液100部に対して、架橋剤として水溶性ポリエポキシ化合物(デナコールEX−810、ナガセケミテックス(株)製)の10wt%水溶液を100部配合した。さらにポリビニルアルコール(クラレポバールPVA−110、(株)クラレ製)の10wt%水溶液を100部配合して、10wt%の接着剤水溶液を得た。この接着剤中のアミノ基に対するエポキシ基の官能基比は、モル比で、0.5であった。
接着剤8
上記で合成した30wt%ポリエチレンイミン水溶液を純水で10wtに希釈して使用した。
接着剤9
ポリビニルアルコール(クラレポバールPVA−110、(株)クラレ製)の10wt%水溶液を用いた。
≪実施例1≫
保護フィルムAおよびBの片面に、接着剤1をバーコーター#6で塗布した。これらの保護フィルムで偏光子を挟むようにして圧着ローラーで余分な接着剤を押し出しながら、ウェットラミネーションにより接着した。上記のように貼合した積層フィルムを熱風乾燥機中で70℃×30分の条件で乾燥させた。得られた偏光板に対して、保護フィルムAと偏光子との接着強度および耐湿熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
≪実施例2〜7および比較例1、2≫
接着剤1に代えて接着剤2、3、4、5、6、7、8または9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7および比較例1、2の偏光板を製造した。得られた偏光板に対して、保護フィルムAと偏光子との接着強度および耐湿熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007127892
表1から明らかように、実施例1の偏光板は、偏光子の片面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエチレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合されているが、架橋剤の配合量が少ないので、偏光板の一部にわずかな剥がれが認められたが、実用上問題ない。また、実施例2の偏光板は、実施例1よりも架橋剤の配合量が多いので、接着強度は非常に優れるのに対し、依然として偏光板の一部にわずかな剥がれが認められるが、実用上問題ない。さらに、実施例3〜7の偏光板は、さらに架橋剤の配合量が多いので、接着強度および耐湿熱性が非常に優れる。なお、実施例5〜7の偏光板のように、接着剤に架橋剤と共にPVA系樹脂を配合しても、接着強度や耐湿熱性に何ら影響を与えない。接着剤にPVA系樹脂を配合すれば、従来技術の保護フィルムであるTACフィルムをPVA系偏光子に高い接着強度で貼合することができるという効果を奏する。
これに対し、比較例1の偏光板は、接着剤に架橋剤やPVA系樹脂が配合されていないので、接着強度が良好であるものの、耐湿熱性が劣る。また、比較例2の偏光板は、接着剤にポリエチレンイミンおよび架橋剤が配合されていないので、接着強度および耐湿熱性が非常に劣る。
かくして、偏光子に保護フィルムとしてラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムを貼合して偏光板を製造するにあたり、ポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤を使用して貼合すれば、偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有する偏光板が得られることがわかる。
本発明の偏光板は、偏光子と保護フィルムとの接着強度が高く、優れた耐湿熱性を有することから、例えば、高温多湿などの過酷な環境下で使用される電子機器の構成部品であるLCDに好適に用いることができる。それゆえ、例えば、屋外で使用される電子機器の耐久性を高めることができ、偏光板を利用する分野の拡大に多大の貢献をなすものである。

Claims (5)

  1. 偏光子の少なくとも片面に、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムが、ポリアルキレンイミンおよび架橋剤を配合した接着剤で貼合されていることを特徴とする偏光板。
  2. 前記ラクトン環含有重合体が、下記式(1):
    Figure 2007127892
    [式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
    で示されるラクトン環構造を有する請求項1記載の偏光板。
  3. 前記ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンおよび/またはその誘導体である請求項1または2記載の偏光板。
  4. 前記架橋剤がエポキシ系架橋剤および/またはイソシアネート系架橋剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の偏光板。
  5. 前記接着剤がポリビニルアルコール系樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の偏光板。
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