JP2010011935A - スチームパック - Google Patents
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Abstract
【課題】複数種類の冷凍料理を配置するスチームパックにおいて、発熱剤を利用して複数の冷凍料理を同時に加熱処理する際に、蓋内側に付着する水滴が料理に滴下すると、味や見た目に悪影響を及ぼすことが課題となっている。
【解決手段】発熱剤を収納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋とからなるスチームパックであって、蓋は内側天井領域に下に凸で内側天井面の水滴を集めて流す水滴流導部を有するスチームパックを提供する。また、中皿には、前記水滴流導部に導かれる水滴を本体底部に滴下するための滴下穴が設けられている。あるいは、中皿の端縁と本体の間の隙間から本体底部に滴下する。
【選択図】 図1
【解決手段】発熱剤を収納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋とからなるスチームパックであって、蓋は内側天井領域に下に凸で内側天井面の水滴を集めて流す水滴流導部を有するスチームパックを提供する。また、中皿には、前記水滴流導部に導かれる水滴を本体底部に滴下するための滴下穴が設けられている。あるいは、中皿の端縁と本体の間の隙間から本体底部に滴下する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、冷凍された複数種類の料理を配置可能な容器であり、発熱剤により、冷凍された複数種類の料理を均等に、又は、料理ごとに強度を調節して、加熱処理することができる容器に関するものである。
従来から、中皿に料理を配置し蓋をした状態で、本体に格納されている発熱剤に水を添加することによって水蒸気を発生させ、料理を温めるための容器(以下、スチームパックとする)に関する技術はすでに特許文献1に開示されている。
特願2007−335211
しかしながら、従来のスチームパックは、発熱剤から生じる水蒸気によって蓋の内壁に水滴が付着し、中皿上の料理やスチームパックの外部に漏出する場合があった。水滴が料理の上に落下した場合には、料理の味や見た目に悪影響を及ぼす。また、水滴がスチームパックの外部に漏出した場合には、水滴が高温なために生じる危険な状況や、周囲が濡れる不便さなど改善すべき問題点がある。
本発明はかかる実情に鑑みて、上記課題を解決するためのスチームパックを提案するものである。本発明のスチームパックは、発熱剤を収納する本体と、複数種類の料理を配置する中皿とからなり、中皿は複数種類の料理を分けて配置するための複数の区画を有する。このとき、中皿の端縁が、本体端縁より内側に配置されることを特徴とする。
さらに、蓋は内側天井領域に下に凸で内側天井面の水滴を集めて流す水滴流導部を設けている場合がある。このとき、中皿には、前記水滴流導部に導かれる水滴を本体底部に滴下するための滴下穴を有するとしてもよい。
本発明のスチームパックにより、蓋の内側天井面に付着した水滴は、中皿の端縁と本体の間の隙間や、滴下穴から本体底部へ落ち、料理や周囲を濡らす危険を回避することが可能となる。
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施しうる。
なお、以下の実施形態と請求項の関係は次のとおりである。実施形態1は主として請求項1、2、3などについて説明する。実施形態2は主として請求項4、5などについて説明する。実施形態3は主として請求項6、7、8、10などについて説明する。実施形態4は主として請求項9などについて説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
本実施形態のスチームパックは、複数種類の冷凍料理を区分けして配置するための中皿の端縁が、発熱剤を収納する本体端縁より内側に配置されることを特徴とする。その結果、蓋の内側天井面に付着した水滴は、中皿の端縁と本体の間の隙間から本体底部へ落ち、料理や周囲を濡らす危険を回避する。
<実施形態1の機能的構成>
図1に本実施形態のスチームパックの一例を示す。図1のスチームパックは、「本体」(0101)と、「中皿」(0102)と、「蓋」(0103)から構成される。図は、それぞれの部品を上下に引き離した状態を示すものである。これらが一体に組み合わされて、一つのスチームパックを形成する。その詳細については、以下で説明する。
「スチームパック」は、冷凍された複数種類の料理を中皿上に配置して、利用者に提供できるよう構成されている。ここで、「冷凍された料理」には、加熱調理を完全に完了した後に冷凍されたものだけでなく、加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理をも含む。「加熱調理を完全に完了した後に冷凍された料理」は、その後、解凍することで食べることが可能な状態になる。一方、「加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理」は、解凍した後、さらに、不足している加熱調理を行うことで、食べることが可能な状態になる。冷凍料理は、その種類、量、材料の大きさなどにより、解凍に要する熱量が異なる。それにも拘わらず、発熱剤によりすべての料理を同様の手段で加熱処理すると、加熱処理し過ぎた料理があったり、加熱処理が不足している料理があったりするという不都合が生じ得る。そこで、解凍に要する熱量が少ない冷凍料理は、冷凍前の加熱調理を途中でストップして、その状態で冷凍しておき、解凍の際に加える熱量で、残りの加熱調理を完了するようにする。このようにすることで、複数種類の冷凍料理を、発熱剤により同様の手段で加熱処理しても、すべての料理をムラなく加熱処理することができる。なお、当該技術については、「特開2001−299309」の先行文献で開示されている。よって、ここでの詳細な説明は省略する。
「本体」(0101)は、発熱反応により水蒸気を発する発熱剤を収納するよう構成されている。図2(A)に本体(0201)を真上から見た様子を示す。また、本体を、図2(A)の(ア)で示す部分で切断した時の断面図を図2(B)に示す。当該本体の底面部分に発熱剤が収納される。本体の中で所定量の水が加えられると、発熱剤が発熱反応をして熱を発し、水蒸気を発生する。なお、本実施形態の本体は、発熱剤を収納でき、そこに水を加えて発熱反応を行うことができるようなものであればよく、その形状、大きさは、図2(A)、(B)に示すようなものに限定されるわけではない。例えば、図2(A)では、上から見た図が八角形になっているが、丸でもよいし、正方形でもよいし、長方形でもよいし、その他の多角形でもよい。また、本体の底面部分が、丸、正方形、長方形、その他の多角形などで構成されていてもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。なお、当該前提は、以下のすべての実施形態における「本体」において同様である。
ここで、「発熱剤」とは、水を加えると発熱反応により熱を発するものであり、生石灰を主成分とするものなど多数の種類のものが存在する。本実施形態においては、発生する熱量および加熱処理対象(冷凍料理)を考慮すると、高い熱量を発する「アルミニウム粉末と生石灰粉末を主成分とする発熱剤」を使用することが望ましい。このような発熱剤としては、例えば、株式会社エネルダインの「エディック スーパーヒート」(登録商標)などが該当する。また、本実施形態においては、発熱剤に水を加える態様に替えて、水に発熱剤を浸す態様を実施する場合もある。前者の場合には、発熱剤と水が接した瞬間から発熱反応が生じるために、水を注ぎ終わって中皿、蓋を設置する間に生じた熱は調理には用いられずロスが生じる可能性がある。
一方、本体底部に必要量の水を注入し、その後発熱剤を配置する方法によれば、前記ロスタイムを最小限にとどめることができ、かつ、化学反応によって生じた熱を最大限に調理に活用できる。さらに、この方法の有用性を高めるべく、本体内側に注水線を設ける場合もある。注水線とは、発熱剤が発熱反応を起こすために必要な水量を本体内部に注水した場合の水面の位置を示す線である。これによって、利用者は水を注入する際に計量する必要がなくなり、便利である。
「中皿」(0102)は、本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有し、仕切壁により仕切られた複数の区画を有するとともに、その端縁が本体端縁より内側に配置される。図3に中皿(0102)を真上から見た様子を示す。また、図4に、中皿と、本体の断面図を示す。図4(A)は、中皿が本体の上に載置されている状態を示している。また、図4(B)は、(A)にて点線で囲った部分を拡大した図である。
当該図3において、黒く塗りつぶした部分は仕切壁(0304)を示している。そして、仕切壁(0304)に仕切られた複数の区画の各区画内に記載された点線は、各区画内一番外側に薄く記載された点線が、各区画の底面を示し、その他の濃く記載された点線が、ピンホールを示している。
図3に示すように、中皿(0302)の底面部分には、複数のピンホールが設けられている。また、図4(A)に示すように中皿を本体の上に載置した状態においては、本体の開口部分の縁は、中皿(0402)の裏面とほとんど隙間なく密着するよう構成されている。したがって、本体に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気の大部分は、中皿(0402)の底面部分に設けられた複数のピンホールを通過して、本体から中皿へと上昇することとなる。
また、図3に示すように、「中皿」(0302)は、仕切壁(0304)により仕切られた複数の区画を有する。図3は、仕切壁(0304)により、中皿(0302)内を5つの区画に仕切っている様子を示す。なお、図3は、あくまで一例であり、仕切る区画の数や、各区画の形状、大きさなどは特段制限されない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。このように仕切られた区画内には、それぞれ異なった種類の料理が配置されることとなる。このように料理を配置する区画を仕切ることで、解凍、及び/又は、加熱調理した際に味の異なる複数種類の冷凍料理の味が混じりあうなどの不都合を回避できるほか、見た目も鮮やかに盛り付けすることが可能となり、客の購買意欲を刺激する効果が期待できる。
さらに、図4に示すように、中皿(0402)は、その端縁が本体(0401)端縁より内側に配置される。したがって、蓋の内側天井面に付着した水滴は、中皿の端縁と本体の間の隙間から下(本体内部)へ落ち、スチームパック外部へ漏出しない構造となっている。その結果、スチームパック外部へ漏出した高温の水滴による火傷や、料理の上に水滴が滴下することで味や見た目に悪影響を及ぼす危険性を回避することができる。
なお、中皿の形状、大きさとしては特段制限されず、図3で示すような八角形のほか、丸、正方形、長方形、その他の多角形などでもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。
本実施形態のスチームパックは、本体に収納した発熱剤が発する熱により生じた水蒸気を利用して、中皿に配置された複数の冷凍料理を加熱解凍、及び/又は、加熱調理する。よって、中皿に設けられたピンホールを通過して本体より上昇してきた水蒸気は、可能な限り中皿内に留まらせることが望ましく、蓋(0103)を利用することで、より効率的に実現できる。
「蓋」(0103)は、中皿(0102)に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする。また、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を、適度にスチームパックの外部に逃がすための通気孔を有するとしてもよい。図5に、蓋(0103)を真上から見た様子を示す。また、図6に、中皿、本体、蓋の断面図を示す。図6(A)中皿が本体の上に載置され、さらに蓋が中皿に覆い被さっている状態を示しており、図6(B)は、(A)にて点線で囲った部分を拡大した図である。なお、本実施形態の蓋は、中皿に覆い被さり中皿内を略密閉状態にできるようなものであればよく、その形状、大きさは、図5、6に示すようなものに限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「蓋」において同様である。
図5は、蓋を真上から見た様子を示したものであるが、蓋中央から放射状に伸びる二つの実線とその間の一点鎖線で蓋の表面が下に凸の谷形状の筋が複数箇所形成されていることを示す。なお、詳細については実施形態2にて詳述する。
図6は、蓋の断面を示したものであるが、本体(0601)は、その周縁に蓋(0603)を受けて密着させるための本体つば部(0604)を有する。さらに、蓋は、その周縁に本体つば部(0604)と密着して重なる蓋つば部(0605)を有する。本体に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気が、中皿(0602)のピンホールを通過して上昇してきた場合には、本体つば部と、蓋つば部とが密着して中皿が密閉状態となっているために、水蒸気は中皿内で一定時間対流することができる。これによって、中皿に配置された複数の冷凍料理は、加熱解凍、及び/又は、加熱調理される。
さらに、蓋(0603)はその周縁に、本体つば部(0604)に対して本体中心側で低位置に落ち込む水滴漏出防止部(0606)を有するとしてもよい。蓋を開ける動作時など蓋が傾いた状態では、蓋の内側天井面に付着した水滴は水滴漏出防止部に集積する。中皿(0602)は、その端縁が本体(0601)端縁より内側に配置されているため、集まった水滴は、中皿の端縁と本体の間の隙間から下(本体底部)へ落ちる。
<実施形態1の効果>
本実施形態のスチームパックにより、複数種類の料理からなる冷凍料理を、その種類に応じて各区画に分けて配置することができる。このとき、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気で加熱処理を行う際に、蓋の内側天井面に付着した水滴は、中皿の端縁が本体端縁より内側に配置されているため、中皿の端縁と本体の間の隙間から下(本体底部)へ落ちる。その結果、スチームパック外部へ漏出した高温の水滴による火傷や、料理の上に水滴が滴下することで味や見た目に悪影響を及ぼす危険性を回避することができる。
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
本実施形態のスチームパックは、実施形態1のスチームパックを基本とし、さらに、蓋は内側天井領域に下に凸で内側天井面の水滴を集めて流す水滴流導部を設けていることを特徴とする。その結果、水滴は、水滴流導部に導かれる場所に滴下することとなり、スチームパック外部や、料理を濡らす危険性を回避することができる。
<実施形態2の機能的構成>
図5は、蓋を真上から見た様子を示したものであるが、蓋中央から放射状に伸びる二つの実線とその間の一点鎖線で、蓋表面が下に凸の谷形状の筋が複数箇所形成されていることを示す。図7(A)は、この筋の部分の蓋の断面を示した図である。実線部分(0701)が平坦な部分で、一点鎖線(0702)が下に凸の水滴流導部である。図では、水滴流導部はさらに、蓋外周方向に向かって下向きに傾斜がついているため、水滴は蓋外周方向に向かって流れることになる。集積した水滴は、中皿の端縁と本体の間の隙間から下(本体底部)へ落ちるとしてもよいし、後述の滴下穴から本体底部へ落ちるとしてもよい。
また、図7(B)は、水滴流導部の別の例を示したものである。下に凸の水滴流導部が、蓋中央から外周方向へ下向きに傾斜がついている点は(A)と同様であるが、途中から逆に上向の傾斜がついている。これによって、水滴は水滴流導部最下点に集積し、後述の滴下穴から本体底部へ落ちることを想定している。
さらに、図7(C)は、蓋と、中皿の断面を示した図である。蓋は、図7(A)で示した通りである。さらに、中皿(0703)には、前記水滴流導部(0702)に導かれる水滴を本体底部に滴下するための滴下穴(0704)が設けられている。つまり、水滴流導部(0702)に沿って集積された水滴は、滴下穴(0704)から本体底部に滴下する。
なお、図8は、水滴の流れる様子を模式的に示したものである。図8(A)は、図7(A)で示した形状の水滴流導部を水滴が伝う様子を示した。水滴は、外周方向へ下向きに伸びる水滴流導部(0802)を伝って流れ、滴下穴(0804)から本体底部に滴下する。ただし、一部の水滴は、そのまま蓋(0801)の端壁まで流れ、蓋端壁を伝って、中皿の端縁と本体の間の隙間から本体底部へ落ちる場合もある。図8(B)は、図7(B)で示した形状の水滴流導部を水滴が伝う様子を示した。水滴は、外周方向へ下向きに伸びる水滴流導部(0802)を伝って流れ、水滴流導部最下点にて滴下穴(0804)へ落下する。
図9(A)は、滴下穴(0901)を設けた中皿を上から見た図を示した。なお、図では中皿の外周の5箇所に滴下穴を設けた図を示したが、数、大きさ、位置などはこれに限定されるものではない。また、図9(B)は、中皿に蓋をかぶせた状態を上から見た図を示した。蓋に設けられた各水滴流導部の真下に滴下穴が配置される。なお、水滴流導部と滴下穴がずれると水滴を集積した意義が薄れるため、中皿と蓋は所定の位置で重なり合う必要がある。これを識別するために、図で示したようなマークを用いる場合がある。中皿と蓋のそれぞれに設けられたマークを合致するように配置することで、水滴流導部と滴下穴が適正な位置となるような状態で中皿と蓋とを重ねることができる。
同様に、水滴流導部は、図5で示す数、大きさ、位置などはこれに限定されるものではない。また、図7、8では、水滴流導部は、蓋外周方向に向かって下向きに傾斜がついている態様を示したが、同様にこれに限定されるものではない。例えば、滴下穴を中皿中央部などに設けた場合には、水滴流導部は、蓋中央方向に向かって下向きに傾斜がついていることが望ましい。
<実施形態2の効果>
本実施形態のスチームパックにより、水滴は、水滴流導部に導かれる場所に滴下することとなり、スチームパック外部や、料理を濡らす危険性を回避することができる。
<<実施形態3>>
<実施形態3の概要>
本実施形態のスチームパックは、実施形態1、2のスチームパックを基本とし、さらに、中皿の仕切壁は、本体側に開放された中空構造であり、少なくとも一部の壁面には水蒸気を通過させるためのピンホールを有することを特徴とする。その結果、各区画に配置された冷凍料理の種類などに応じて、異なった条件で加熱処理することが可能となる。
<実施形態3の機能的構成>
図10(A)は、中皿の仕切壁の一部を拡大した図である。中皿は、仕切壁で複数の区画に仕切られており、底部に複数のピンホール(1001)が設けられている。このとき、中皿の仕切壁のうち、少なくとも一部の壁面には水蒸気を通過させるためのピンホール(1002)を有する場合がある。なお、一の中皿において、仕切壁にピンホール(1002)が設けられる区画と、設けられない区画が混在する場合がある。
また、中皿底部、及び、仕切壁に設けられるピンホールは、区画ごとに異なる密度で設けられてもよい。複数の冷凍料理は、その種類、量、使用する食材の大きさなどにより、加熱解凍に要する熱量がそれぞれ異なる場合がある。そこで、水蒸気が通過するピンホールの密度を区画ごとに異ならせることで、各区画の加熱条件を調節してもよい。具体的には、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要とする料理や、水蒸気の熱が伝わりにくい料理を配置する区画はピンホールの密度を高くし、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要としない料理や、水蒸気の熱が伝わりやすい料理を配置する区画はピンホールの密度を低くする。
例えば、白米は小さな米粒の集まりであり、冷凍した際、他の惣菜などの料理に比べて体積に対する表面積の比率が高い。その結果、他の惣菜などの料理に比べて、水蒸気の熱が効率的に伝わり、加熱解凍、及び/又は、加熱調理される。よって、白米を配置する区画は、他の惣菜などの料理を配置する区画よりもピンホールの密度を低くする(あるいは、仕切壁面にはピンホールを設けない)ことが望ましい。なお、前記白米は一例であり、他の惣菜などの料理についても同様に、調理加工・過熱の具合、食材の切り方、大きさなどを考慮して、各区画のピンホールの密度を調節してもよい。
ここで、仕切壁へのピンホールの設け方としては、例えば、図10(A)に示すように、縦長のスリット状に設けるものなどが例示できる。この時、スリット状に複数列に配列されたピンホールの隣り合う列どうしの間隔、及び、スリットの幅などの条件を調節することで、区画ごとのピンホールの密度を調節できる。また、その他のピンホールの設け方としては、各壁面全体にメッシュ状や、格子状に設けてもよい。
また、中皿の区画の少なくとも一部には、ピンホールのない小領域(1003)を設ける場合がある。これは、製造工程において必要不可欠であるために生じることがある。
さらに、図10(B)は、(A)の中皿を(ア)の部分で切断した断面図である。図で示すように、中皿の仕切壁は、本体側に開放された中空構造である。つまり、区画(1005)と、区画(1006)の間に隙間(1004)が設けられることになる。このような中空構造をとることで、水蒸気を仕切壁のピンホールを通過させて、各区画内の料理へ横からも熱を加えることが可能となる。図10(C)は、水蒸気の流れを模式的に示した図である。水蒸気の流れを矢印で示したが、水蒸気は底部だけでなく、仕切壁のピンホールからも中皿内に侵入することができる。したがって、下からだけでなく、横からも料理を加熱することが可能となり、より効率的に料理を加熱解凍、及び/又は、加熱調理できる。
また、中皿が中空構造であることによって、中皿同士を重ね置きすることができる。これによって、中皿の保管、輸送や、食品の盛付、冷凍、保管、輸送などの段階にて、中皿を重ね置いて、作業スペースを最小限にすることができる。
また、中皿の区画底面は、少なくとも一部の区画間で異なる深さである場合がある。例えば、図10(B)で示すように、中皿は浅い区画(1005)と、深い区画(1006)を有する場合がある。これは、主食、主菜、副菜などを中皿上に見栄えよく配置するためである。このとき、浅い深さの区画底面に足(1007)を設けることで、深い区画(1006)と底面が同等になり、中皿を載置面に載置する際に傾いてしまうことを防ぐことができる。なお、足の形状は図に示したものに限定されるものではない。加えて、一部に浅い区画が設けられていたとしても、深い区画で中皿全体の水平を保つことができる場合には、足は必要でない場合もある。
さらに、中皿の端壁(1008)は、スカート状に外側に二段傾斜しているとしてもよい。中皿の端壁の形状は、傾斜角度が一様の場合と比較して、中皿の強度が高まる効果を有する。なお、二段の傾斜の切替部分をはさんで、上部が下部よりも急な傾斜角を有している図を示したが、これに限定されるものではなく、逆に下部の方が上部よりも急な傾斜角を有しているとしてもよい。また、二段の傾斜の切替部分は中央でなくてもよい。
<実施形態3の効果>
本実施形態のスチームパックにより、中皿の仕切壁壁面に任意に設けるピンホールによって通過する水蒸気の量を調節することができるため、各区画に配置された冷凍料理の種類などに応じて、異なった条件で加熱処理することが可能となる。
また、中皿は本体側に開放された中空構造とし、底面が異なる深さの場合には浅い深さの区画底面に足を設けるなどすることで、製造、保存、運搬などの効率を高める効果を有する。
<<実施形態4>>
<実施形態4の概要>
本実施形態のスチームパックは、実施形態1から3のスチームパックを基本とし、さらに、中皿の外縁は、蓋の内周壁にそった形状の端壁からなり、本体上に大まかに配置された中皿が本体へ蓋をかぶせる動作により蓋内周壁にならって本体に対して正しく配置可能となることに特徴を有する。
<実施形態4の機能的構成>
図11(A)は、本体(1101)と、中皿(1102)がずれた位置に配置されている状態を示したものである。食品の盛り付け工程中など、このような状態は日常的に生じることが推測できる。このとき、中皿の外縁は、蓋の内周壁にそった形状の端壁からなっているため、本体へ蓋をかぶせる動作により中皿は蓋内周壁にならって本体に対して正しく配置された図11(B)の状態に遷移する。これによって、僅かにずれた配置がなされた場合においては、特段の是正工程を設けることなく、蓋を閉じる通常の作業工程で位置の是正ができ、効率的であるといえる。
<実施形態4の効果>
本実施形態のスチームパックにより、本体へ蓋をかぶせる動作により中皿は蓋内周壁にならって本体に対して正しく配置されるため、僅かにずれた配置がなされた場合においては、特段の是正工程を設けることなく、蓋を閉じる通常の作業工程で位置の是正ができ、製造、保存、運搬などの効率を高める効果を有する。
0101 本体
0102 中皿
0103 蓋
0102 中皿
0103 蓋
Claims (10)
- 冷凍された複数種類の料理を配置するためのスチームパックであって、
発熱反応により熱を発する発熱剤を収納する本体と、
本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有し、仕切壁により仕切られた複数の区画を有するとともに、その端縁が本体端縁より内側に配置される中皿と、
本体の上に載置され中皿に覆いかぶさり、中皿を略密閉状態にする蓋と、
からなるスチームパック。 - 前記本体は、その周縁に蓋を受けて密着させるための本体つば部を有し
蓋は、その周縁に本体つば部と密着して重なる蓋つば部を有する請求項1に記載のスチームパック。 - 蓋はその周縁に、本体つば部に対して本体中心側で低位置に落ち込む水滴漏出防止部を有する請求項2に記載のスチームパック。
- 蓋は内側天井領域に下に凸で内側天井面の水滴を集めて流す水滴流導部を有する請求項1から3のいずれか一に記載のスチームパック。
- 前記中皿には、前記水滴流導部に導かれる水滴を本体底部に滴下するための滴下穴が設けられている請求項4に記載のスチームパック。
- 中皿の仕切壁は、本体側に開放された中空構造であり、少なくとも一部の壁面には水蒸気を通過させるためのピンホールを有する請求項1から5のいずれか一に記載のスチームパック。
- 中皿の区画底面は、少なくとも一部の区画間で異なる深さであり、中皿を載置面に載置する際に中皿が前記異なる深さであることにより傾かないように浅い深さの区画底面に足を設けた請求項1から6のいずれか一に記載のスチームパック。
- 中皿の区画の少なくとも一部には、ピンホールのない小領域を設けた請求項1から7のいずれか一に記載のスチームパック。
- 中皿の外縁は、蓋の内周壁にそった形状の端壁からなり、本体上に大まかに配置された中皿が本体へ蓋をかぶせる動作により蓋内周壁にならって本体に対して正しく配置可能となっている請求項1から8のいずれか一に記載のスチームパック。
- 前記中皿の端壁は、スカート状に外側に二段傾斜している請求項9に記載のスチームパック。
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JP2008172844A JP2010011935A (ja) | 2008-07-01 | 2008-07-01 | スチームパック |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019094069A (ja) * | 2017-11-20 | 2019-06-20 | 中央化学株式会社 | 包装用容器の蓋体 |
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2008
- 2008-07-01 JP JP2008172844A patent/JP2010011935A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019094069A (ja) * | 2017-11-20 | 2019-06-20 | 中央化学株式会社 | 包装用容器の蓋体 |
JP7007872B2 (ja) | 2017-11-20 | 2022-01-25 | 中央化学株式会社 | 包装用容器の蓋体 |
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